(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の攪拌装置を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
【0015】
本発明の攪拌装置は、分散・混合すべき粒子を貯留する貯留槽と、該貯留槽の底部に回転可能に配置された回転翼とを有するものであり、前記回転翼は、前記貯留槽の底部で回転する際に中心に位置するハブ部と、該ハブ部から放射状に突出して設けられた複数の羽根部とを備え、前記羽根部は、角柱が延伸する延伸方向に対して直交する直交方向に捻られたものであることを特徴とする。
【0016】
ここで、回転翼が回転する際に、ハブ部から放射状に突出して設けられた複数の羽根部により、貯留槽に貯留された粒子に対して遠心力が作用するため、貯留槽中の粒子に渦巻状をなす曲線で流れる曲線流(対流)が形成される。
【0017】
この際、従来の攪拌装置では、貯留槽に貯留された粒子のうち、重さが軽いものがハブ部側、重さが重いものが貯留槽の側面側に滞留する傾向を示すため、粒子同士を優れた分散性をもって分散・混合させることができないという問題が生じる。
【0018】
これに対して、本発明では、羽根部を、角柱が延伸する延伸方向に対して直交する直交方向に捻られた構成のものとしている。羽根部をかかる構成のものとすることにより、ハブ部側に滞留する粒子に対しては、貯留槽の側面側に向かう力を作用させ、貯留槽の側面側に滞留する粒子に対しては、ハブ部側に向かう力を作用させることができるため、貯留槽に貯留された重量の異なる粒子同士を優れた分散性をもって分散・混合させることができる。
【0019】
<攪拌装置>
<<第1実施形態>>
図1は、本発明の攪拌装置の第1実施形態を示す縦断面図、
図2は、
図1に示す攪拌装置が備える回転翼の斜視図(
図2(a)は、回転翼の斜視図、
図2(b)は、
図2(a)に示す二点鎖線で囲まれた領域を部分的に拡大した部分拡大斜視図)、
図3は、
図1に示す攪拌装置において回転翼の固定箇所を部分的に拡大した部分拡大縦断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、
図1〜3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0020】
図1に示す攪拌装置100は、各部材を収納する外箱10と、分散・混合すべき粒子(粉体)を貯留する貯留槽30と、粒子を貯留槽30に供給する粒子供給部20と、貯留槽30の底部に回転可能に配置された回転翼(第1の回転翼)70と、回転翼70を回転させる駆動部(第1の駆動部)80と、これら各部の作動を制御する制御部15とを有している。
【0021】
外箱10は、攪拌装置100を構成する各部材を収納する攪拌装置100の筐体をなす。
【0022】
この外箱10は、例えば、金属または合成樹脂で構成され、その上面において開口している。
【0023】
また、外箱10の底部には、その縁部において等間隔に、それぞれ、外箱10を床上に支えるための脚部11が設けられている。なお、複数の脚部11のうちの少なくとも1つが高さを可変し得るネジ脚で構成されており、ネジ脚が備えるネジを回転させることで外箱10すなわち攪拌装置100が水平に保たれる。
【0024】
貯留槽30は、外箱10の内部に配置されており、分散・混合すべき粒子(粉体)を貯留し、この貯留槽30の底部に配置された回転翼70の回転により、貯留槽30において、粒子が均一に分散・混合される。
【0025】
本実施形態では、この貯留槽30は、1槽構成をなすものであり、その上面に備える開口部12で開口しており、下側半分が有底円筒状の形状をなし、上側半分が内径が上側に向かって漸減する漏斗状の形状をなしている。このような状態で、貯留槽30は、貯留槽30および外箱10にそれぞれ設けられた支持柱35および支持柱37と、これら支持柱35、37が両端に接続された支持板36とを介して、外箱10の内壁に支持されている。
【0026】
また、貯留槽30の底面33には、貯留槽30内に貯留された粒子に、渦巻状をなす曲線で流れる曲線流を生じさせるための回転翼70が配置されており、本発明では、この回転翼70の構成に特徴を有するが、その説明は後に行うこととする。
【0027】
さらに、貯留槽30の底面33の中心には、回転軸90を挿通するための挿通孔31が設けられ、この挿通孔31に挿通された回転軸90の先端部に回転翼70が接続されている。
【0028】
駆動部80は、貯留槽30の底面側の外部に配置され、回転翼70を回転させる。
この駆動部80は、回転翼70の中心から軸線に沿ってその下方へ延設された回転軸(第1の回転軸)90と、この回転軸90の下端に接続されかつ回転軸90をその軸周りに回転させるモーター(第1のモーター)81とを有し、モーター81を回転させることにより、回転軸90を介して、回転翼70を回転させる。
【0029】
さらに、回転軸90は、その先端に形成されたネジ穴98を備えている。また、後述するとおり、回転翼70は、ハブ部71と、羽根部72とを備え、また、ハブ部71は、円筒状をなす第1の部材73と、その先端側で螺合により固定された円錐状をなす第2の部材74とを備えている。かかる構成の回転軸90と、回転翼70とにおいて、ネジ穴98に、止ネジ75を、第1の部材73の中心に形成された挿通孔76に挿通した状態で螺合することで、回転翼70に回転軸90が固定される。すなわち、回転翼70と回転軸90とが連結される。
【0030】
回転翼70に対する回転軸90の固定を、以上のような構成とすることで、回転軸90を回転させることで回転翼70を、貯留槽30の底面33で回転させることができる。また、止ネジ75を、ドライバー等を用いてネジ穴98から取り外すことで、回転軸90から回転翼70が離脱される。
【0031】
粒子供給部20は、これを介して、粒子を貯留槽30内に供給するものであり、回転翼70の回転により樹脂組成物に曲線流を生じさせる前、すなわち回転翼70の回転より以前に、貯留槽30に粒子を供給する。
【0032】
この粒子供給部20は、外箱10の上面で開口する貯留槽30の開口部12を塞ぐように設けられた蓋部41を有している。この蓋部41は、外箱10の上面にヒンジ部を介して結合されており、これにより、開口部12に開閉自在に設けられる。なお、この蓋部41の開閉は、手動で行うものであってもよいし、制御部15の作動により、自動で行うものであってもよい。
【0033】
この蓋部41が開けられている際に、開口部12を介して、貯留槽30の内部に、粒子が供給される。
【0034】
また、開口部12の縁部には環状をなすシール材13が設けられており、このシール材13の上面側が、蓋部41を閉じた際に、蓋部41の底面側に当接することで、貯留槽30と蓋部41とで密閉された密閉空間14が形成される。このような密閉空間14により、シール材13が変形し蓋部41底面側へ押圧することで、内部に収納される回転翼70が回転したとしても、その密閉性が維持される。
【0035】
制御部15は、外箱10の上部に設けられ、例えば、CPUやメモリー等が組み合わされることで構成され、粒子供給部20、回転翼70および駆動部80等の各部の作動、すなわち、攪拌装置100の各部の作動を制御する。これにより、分散・混合すべき粒子の貯留槽30への供給、貯留槽30における粒子の分散・混合が実施される。
【0036】
さて、前述のとおり、本発明では、貯留槽30の底面33に配置される回転翼70の構成に特徴を有する。
【0037】
すなわち、回転翼70は、貯留槽30の底部で回転する際に中心に位置するハブ部71と、このハブ部71から放射状に突出して設けられた複数の羽根部72とを備え、羽根部72は、角柱が延伸する延伸方向に対して直交する直交方向に捻られたものであることを特徴とする。
【0038】
ハブ部71は、複数の羽根部72を支持するとともに、回転軸90からの出力を羽根部72に伝えるためのものである。
【0039】
このハブ部71は、本実施形態では、
図3に示すように、その下側に位置する円筒状をなす第1の部材73と、上側に位置する円錐状をなす第2の部材74とで構成され、これらは、第1の部材73の下側に形成された雄螺子と第2の部材74の下側に形成された雌螺子との螺合により固定(接合)されている。
【0040】
羽根部72は、ハブ部71から放射状に突出して複数(本実施形態では3つ)設けられており、ハブ部71に連結する回転軸90の回転により、貯留槽30に貯留された粒子に遠心力を作用させるためのものである。そして、この遠心力の作用により、貯留槽30中の粒子に渦巻状をなす曲線で流れる曲線流が形成される。
【0041】
このような曲線流を形成させる羽根部72は、本実施形態では、四角柱が延伸する延伸方向(
図2中、X軸方向)に対して直交する直交方向(
図2中、Z軸方向)に捻られたものである。
【0042】
このように四角柱を前記直交方向で捻るものとすることにより、四角柱を構成する4つの側面は、それぞれ、四角柱の延伸軸(中心軸)に対して傾斜した傾斜面を構成する。
【0043】
そのため、回転翼70を回転させると、
図2(b)に示すように、ハブ部71側に滞留する粒子のうち四角柱の側面(傾斜面)に接触するものに対して、貯留槽30の側面側に向かう力を作用させることができ、さらに、貯留槽30の側面側に滞留する粒子のうち四角柱の側面に接触するものに対しては、ハブ部71側に向かう力を作用させることができる。したがって、主として粒子のうち重さが軽いものがハブ部71側、粒子のうち重さが重いものが貯留槽30の側面側に滞留する傾向を示すが、かかる傾向を確実に抑制または防止することができるため、貯留槽30に貯留された重量の異なる粒子同士を優れた分散性をもって分散・混合させることができる。すなわち、貯留槽30に貯留された粒子同士を均一に分散・混合させることができる。
【0044】
なお、四角柱の側面(傾斜面)は、それぞれ、凹面および平面のいずれであっても良いが、凹面で構成されているのが好ましい。四角柱の側面を凹面とすることで、この側面(凹面)で捉えた粒子を、羽根部72の回転により、側面から離脱してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、ハブ部71側に滞留する粒子を貯留槽30の側面側に確実に移動させることができ、さらに、貯留槽30の側面側に滞留する粒子をハブ部71側に確実に移動させることができる。
【0045】
また、羽根部72は、本実施形態では、貯留槽30の底面33に沿うようにして、ハブ部71の第1の部材73の側面に配設されている。これにより、貯留槽30の底面33から粒子に曲線流を形成することができるため、粒子同士をより優れた分散性をもって分散・混合させることができる。
【0046】
さらに、羽根部72は、四角柱を前記直交方向に捻る捻れ角度が180°のものであるが、この捻れ角度は、90°以上、360°以下であるのが好ましく、120°以上、180°以下であるのがより好ましい。捻れ角度をかかる範囲内に設定することにより、前記延伸軸に向かって湾曲した凹面を確実に形成することができ、さらに、この凹面を前記延伸軸に対して適切な角度で傾斜したものとすることができるため、粒子同士をより優れた分散性をもって分散・混合させることができる。
【0047】
なお、本明細書中において、「捻れ角度」とは、四角柱を前記直交方向に捻った際に、前記延伸方向(軸方向)から見たときの、四角柱を構成する1つの側面の基端側の一辺と、先端側の一辺とがなす角度のことを言う。
【0048】
また、貯留槽30に貯留される粒子のうち最大粒径を有するものの直径をA[mm]とし、前記直交方向における縦断面に形成される四角形の四辺のうち最長の一辺の長さをB[mm]としたとき、1<B/Aなる関係を満足するのが好ましく、1.5<B/A<100,000なる関係を満足するのがより好ましい。B/Aをかかる範囲内に設定することにより、羽根部72に接触した粒子を、四角柱を捻ることにより形成された前記傾斜面で確実に捉えることができる。そのため、ハブ部71側に滞留する粒子のうち四角柱の側面に接触するものに対して、貯留槽30の側面側に向かう力を作用させることができ、さらに、貯留槽30の側面側に滞留する粒子のうち四角柱の側面に接触するものに対しては、ハブ部71側に向かう力を作用させることができる。
【0049】
回転翼70の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種樹脂材料および各種金属材料が用いられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)のような樹脂材料、超硬合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、SUS201、SUS301、SUS304、SUS316、SUS420、SUS403等のステンレス鋼、チタンまたはチタン合金のような金属材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせたものを好適に用いることができる。
【0050】
なお、回転翼70を金属材料で構成する場合、その表面が、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、窒化ケイ素アルミナ、ハイドロキシアパタイト、ジルコニアのようなセラミックス材料で表面処理が施されているものであってもよい。
【0051】
次に、上述した攪拌装置100を用いて、粒子(粉体)を分散・混合する方法を、以下で説明する。すなわち、攪拌装置100の動作について説明する。
【0052】
<1> まず、蓋部41を開き、開口部12を介して、貯留槽30の内部に、粒子(粉体)を供給する。
すなわち、粒子供給部20を介して、貯留槽30の内部に、粒子を供給する。
【0053】
この粒子としては、各粒子が同一の構成材料で構成されるものであってもよいし、異なる構成材料で構成される2種以上の粒子を含んでおり、各粒子が異なる構成材料で構成されるものが含まれていてもよい。なお、各粒子が同一の構成材料で構成される場合には、異なる粒径を有する各粒子同士を、均一な粒度分布で分散・混合することを目的とし、各粒子が異なる構成材料で構成されるものを含む場合には、これら構成材料が異なる粒子同士を、均一に分散・混合することを目的として、攪拌装置100を用いて粒子を分散・混合する。なお、粒子同士を均一に分散・混合すことができない原因は、各粒子の重さ、形状および大きさ等が異なることが考えられる。なお、この各粒子の重さが異なるのは、粒子の粒径が異なること、粒子の構成材料の比重が異なること等による。
【0054】
また、粒子の構成材料としては、特に限定されず、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等のような無機材料、アルミニウムまたはアルミニウム合金、SUS201、SUS301、SUS304、SUS316、SUS420、SUS403等のステンレス鋼、チタンまたはチタン合金のような金属材料、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェリレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂のような樹脂材料、アルミナ、ハイドロキシアパタイトのようなセラミックス材料等が挙げられる。
【0055】
<2> 次に、蓋部41を閉じ、この状態で、回転翼70を回転させる。
すなわち、制御部15は、駆動部80の作動を制御することにより、回転軸90を回転させ、この回転により、回転軸90に連結する回転翼70を貯留槽30の底面33で回転させる。
【0056】
この回転翼70の回転により、ハブ部71から突出する羽根部72が回転し、これに起因して、貯留槽30に貯留された粒子に遠心力が作用するため、貯留槽30中の粒子に渦巻状をなす曲線で流れる曲線流(渦巻流)が形成される。
【0057】
さらに、羽根部72は、四角柱が延伸する延伸方向に対して直交する直交方向に捻られたものであることに起因して、ハブ部71側に滞留する粒子のうち四角柱の側面に接触するものに対して、貯留槽30の側面側に向かう力を作用させることができ、さらに、貯留槽30の側面側に滞留する粒子のうち四角柱の側面に接触するものに対しては、ハブ部71側に向かう力を作用させることができる。したがって、粒子のうち重さが軽いものがハブ部71側、粒子のうち重さが重いものが貯留槽30の側面側に滞留するのを確実に抑制または防止することができるため、貯留槽30に貯留された重量の異なる粒子同士を優れた分散性をもって分散・混合させることができる。
【0058】
また、回転翼70の回転速度は、分散・混合すべき粒子の種類等によっても若干異なるが、10〜5000rpm程度であるのが好ましく、50〜3000rpm程度であるのがより好ましい。これにより、貯留槽30に貯留された重量の異なる粒子同士をより優れた分散性をもって分散・混合させることができる。なお、本発明の攪拌装置では、前述のとおり、羽根部が前記直交方向に捻られたものであるため、高効率に粒子同士を分散・混合させることができる。したがって、前記範囲のように比較的低い回転速度、すなわち穏和な条件であっても、粒子同士を分散・混合させることができることから、粒子が摩耗することや、粒子が溶融すること(粉体溶融)を的確に抑制または防止することができる。
【0059】
<3> 次に、樹脂組成物における分散が完了した後に、回転翼70の回転を停止し、その後、蓋部41を開き、貯留槽30の内部から、分散・混合された粒子を取り出す。
【0060】
以上のような工程を経ることにより、均一に分散・混合された粒子を得ることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、ハブ部71から突出して設けられた羽根部72が、前記直交方向における縦断面の辺の長さが隣接するもので異なる四角柱が前記直交方向に捻られたものである場合について説明したが、かかる場合に限定されず、羽根部72は、例えば、前記直交方向における縦断面の各辺の長さが等しい正四角柱が前記直交方向に捻られたものであってもよいし、四角柱とは異なる多角柱が前記直交方向に捻られたものであってもよい。
【0062】
ただし、本実施形態のように、羽根部72を、四角柱が前記直交方向に捻られたものとすることで、前記直交方向における縦断面の各辺の長さを、四角柱の側面で粒子を捉えるのに十分な大きさに、容易に設定することができる。そのため、ハブ部71側に滞留する粒子のうち四角柱の側面に接触するものに対して、貯留槽30の側面(側壁)側に向かう力を確実に作用させることができ、さらに、貯留槽30の側面側に滞留する粒子のうち四角柱の側面に接触するものに対しては、ハブ部71側に向かう力を確実に作用させることができる。
【0063】
さらに、本実施形態のように、羽根部72を、正角柱が前記直交方向に捻られたものとすることで、前記直交方向における縦断面の各辺の長さを、均一な大きさを有するものとすることができる。そのため、ハブ部71側に滞留する粒子のうち正角柱の各側面に接触するものに対して、貯留槽30の側面側に向かう力を均一に作用させることができ、さらに、貯留槽30の側面側に滞留する粒子のうち正角柱の各側面に接触するものに対しては、ハブ部71側に向かう力を均一に作用させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、羽根部72が、四角柱が前記直交方向に一定の捻れ角度で捻られたものである場合について説明したが、かかる場合に限定されず、羽根部72は、例えば、その基端(ハブ部71)側で前記捻れ角度が大きく、その先端(貯留槽30の側面)側で前記捻れ角度が小さくなっているものであってもよいし、これとは逆に、その基端(ハブ部71)側で前記捻れ角度が小さく、その先端(貯留槽30の側面)側で前記捻れ角度が大きくなっているものであってもよい。
【0065】
さらに、本実施形態では、攪拌装置100を用いて粒子(粉体)を分散・混合する場合について説明したが、これに限定されず、粒子(粉体)の造粒に、攪拌装置100を用いることもできる。
【0066】
この場合、前記工程<1>〜<3>のうち工程<1>において、貯留槽30の内部に、造粒すべき粒子とバインダーとを供給することにより、粒子を造粒することができる。
【0067】
造粒すべき粒子としては、特に限定されないが、例えば、前述した無機材料、樹脂材料およびセラミックス材料等が挙げられる。また、この粒子は、同一の材料で構成される1種の粒子が造粒されてもよいし、異なる材料で構成される2種以上の粒子が混在して造粒されてもよい。
【0068】
また、バインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスステアロアミド、エチレンビニル共重合体、パラフィン、ワックス、アルギン酸ソーダ、寒天、アラビアゴム、レジン、ショ糖等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。なお、このバインダーは、貯留槽30の内部に供給される際に、固体状または液状のいずれをなすものであってもよいし、さらに、固体状をなす場合、粉体状をなしていてもよい。
【0069】
なお、バインダーの配合量は、特に限定されないが、通常、粒子とバインダーとの混合物に対して好ましくは5〜30重量%の範囲内に設定される。
【0070】
<<第2実施形態>>
以下、本発明の攪拌装置の第2実施形態について説明する。
【0071】
図4は、本発明の攪拌装置の第2実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、
図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0072】
以下、
図4に示す攪拌装置100について説明するが、
図1に示す攪拌装置100との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0073】
図4に示す攪拌装置100では、貯留槽30の底部に回転する回転翼(第1の回転翼)70に加えて、さらに、その上方に回転可能に配置された第2の回転翼77を備えること以外は、
図1に示した攪拌装置100と同様である。
【0074】
すなわち、本実施形態では、第2の回転翼77は、回転翼(第1の回転翼)70の上方に、これに接触しないように、回転翼70のハブ部71に対して左右対称に、それぞれ、4個ずつ貯留槽30内に配置されている。また、これら左右対称に配置された4個の第2の回転翼77は、それぞれ、回転翼70の羽根部72に対して直交する方向に配置され、これらのうちハブ部71側に位置する2個と、貯留槽30の側面側に位置する2個とが互いに対向するように配置されている。
【0075】
このような第2の回転翼77は、これらに接続された第2の駆動部の作動により回転される。そして、この回転により、回転翼70の回転により生じた渦巻状をなす曲線で流れる曲線流にその上部で乱流を発生させることができるため、曲線流の流れが複雑化する。これにより、曲線流は単調な渦巻状をなす形状から脱却し、その結果、粒子の内部における動きが複雑化するため、粒子同士がより優れた分散性をもって分散・混合されることとなる。
【0076】
また、第2の回転翼77を回転させる第2の駆動部85は、貯留槽30の側面側の外部に配置されている。
【0077】
この第2の駆動部85は、第2の回転翼77の中心から軸線に沿ってその左右方向へ貫通して延設され、その両端が貯留槽30の側面で固定された第2の回転軸95と、この第2の回転軸95の基端(左側の端部)に接続されかつ第2の回転軸95をその軸周りに回転させる第2のモーター86とを有し、第2のモーター86を回転させることにより、第2の回転軸95を介して、回転翼70を回転させる。
【0078】
また、第2の駆動部85は、貯留槽30および外箱10にそれぞれ設けられた支持柱87および支持柱89と、これら支持柱87、89が両端に接続された支持板88とを介して、外箱10の内壁に支持されている。
【0079】
このような構成の本実施形態の攪拌装置100も、前記第1実施形態の攪拌装置100と同様にして使用することができ、前記第1実施形態の攪拌装置100と同様の効果が得られる。
【0080】
なお、本実施形態では、第2の回転翼77は、貯留槽30に8つ設けられている場合について説明したが、その個数はこれに限定されるものではない。また、その形状は、先端部が湾曲したものに限定されず、曲線流に乱流を発生させることができるものであれば、いかなる形状をなすものであってもよい。
【0081】
以上、本発明の攪拌装置について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0082】
例えば、本発明の攪拌装置の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
【0083】
具体的には、本発明の攪拌装置を、貯留槽の底面付近に排出口が設けられたものとし、分散・混合された粒子の取り出しの際に、回転翼を回転させることで、この排出口に粒子を押し、これにより、排出口を介して、粒子を取り出すようにしてもよい。
【実施例】
【0084】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
<攪拌装置>
(実施例)
回転翼70が、
図2に示すように、羽根部72として、四角柱が前記直交方向に捻られたものを備える、攪拌装置を実施例の攪拌装置として用意した。
【0086】
(比較例)
回転翼70Bが、
図5に示すように、羽根部72Bとして、その先端に上方に湾曲した湾曲部73Bと、粒子をすくい上げる傾斜面74Bとを有するものを備える、攪拌装置を比較例の攪拌装置として用意した。
【0087】
<粉体>
攪拌装置を用いて分散・混合すべき粉体(粒子)として、アルミナ粉体(比重:3.60、平均粒径:3.0mm)と、SUS粉体(比重:7.93、平均粒径:3.0mm)とを、これらの粉体の数がほぼ同数となるように用意した。
【0088】
<攪拌装置を用いた粉体の分散・混合>
<1> まず、実施例および比較例の攪拌装置について、それぞれ、攪拌装置の貯留槽を平面視で視た際に、その左側半分にアルミナ粉体を配置し、さらに、右側半分にSUS粉体を配置した。
【0089】
<2> 次に、実施例および比較例の攪拌装置において、それぞれ、回転翼を、100rpmの回転速度で回転させることにより、アルミナ粉体とSUS粉体とを分散・混合させた。
【0090】
<3> そして、実施例および比較例の攪拌装置において、それぞれ、回転翼の回転開始後、30sec、60secおよび300secの時点で、ハブ部の中心と貯留槽の側面とを結ぶ線分の中点付近において、分散・混合された粉体(粒子)の一部を採取した。
【0091】
以上のようにして採取した粉体における、SUS粉体の個数比率[%]の結果を、
図6に示す。
【0092】
図6から明らかなように、実施例の攪拌装置では、前記中点付近におけるSUS粉体の個数比率が57%程度となっており、アルミナ粉体とSUS粉体とがほぼ均一に分散・混合していることが判った。
【0093】
これに対して、比較例の攪拌装置では、前記中点付近におけるSUS粉体の個数比率が25%程度となっており、前記中点付近には、重さが軽いアルミナ粉体が偏在しており、貯留槽の側面側には、重さが重いSUS粉体が偏在している結果となった。