(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の駆動装置は、1本の出力軸を備え、ケース内にこの出力軸を回転駆動するための一つの駆動系を備えるギヤードモータを2つ用意し、これら2つのギヤードモータを各出力軸が平行になるように隣接配置して連結したものと実質的に同一の構成を備えている。
【0005】
一方、洋式便器の機種の中には、出力軸が1本のギヤードモータを2つ用い、一方のギヤードモータの出力軸を、便座および便蓋の回転中心線方向の一方側から便蓋に接続し、他方のギヤードモータの出力軸を便座および便蓋の回転中心線方向の他方側から便座に接続して、便蓋と便座の開閉を可能としているものがある。従って、出力軸が1本のギヤードモータを隣接する状態に連結して特許文献1の駆動装置の代替とすることができれば、出力軸が1本のギヤードモータを洋式便器の複数の機種において有効に利用することができ、洋式便器の製造コストを抑制できる。
【0006】
しかし、出力軸が1本のギヤードモータを隣接配置して連結するだけでは、互いのギヤードモータのケースが干渉し合って並列に配置された2本の出力軸の軸間距離を所望の距離とすることができないという問題がある。2本の出力軸の軸間距離を調整できなければ、予め2本の出力軸の間の距離が所望の距離とされて設計されている駆動装置の代替として、出力軸が1本のギヤードモータを隣接配置して連結した構成のギヤードモータユニットを用いることは難しい。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、同一のケースを備える2つのギヤードモータを連結して用いる際に一方のギヤードモータの出力軸と他方のギヤードモータの出力軸の軸間距離を接近させることが可能な便座便蓋開閉用ギヤードモータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の便座便蓋開閉用ギヤードモータユニットは、
第1ケースに第1モータ、第1出力歯車、および前記第1モータの駆動力を前記第1出力歯車に伝達する第1輪列が収納された第1ギヤードモータと、
第2ケースに第2モータ、第2出力歯車、および前記第2モータの駆動力を前記第2出力歯車に伝達する第2輪列が収納され、前記第1ギヤードモータと隣り合う位置に配置された第2ギヤードモータと、
前記第1出力歯車に設けられた第1装着部に装着され、前記第1ケースの出力側の第1端面に設けられた第1開口を貫通して出力側に突出する
前記第1ギヤードモータの出力軸と、
前記第2ケースの出力側の第2端面に重なる付加ユニットと、
を有し、
前記第2ケースは、前記第2端面に第2開口が設けられ、
前記第2出力歯車には第2装着部が設けられ、
前記付加ユニットは、前記第2開口を貫通して前記第2装着部に装着されたユニット入力軸と、
前記第1ギヤードモータの出力軸および前記ユニット入力軸と平行に出力側に突出
して前記第2ギヤードモータの出力軸となるユニット出力軸と、前記ユニット入力軸の回転を前記ユニット出力軸に伝達するユニット輪列と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、付加ユニットが、第2ギヤードモータの第2出力歯車に連結されたユニット入力軸と、第1ギヤードモータの第1出力歯車に連結された出力軸と平行に配置されたユニット出力軸とを備え、ユニット出力軸にはユニット輪列を介してユニット入力軸の駆動力が伝達される。従って、第1ギヤードモータの第1出力歯車に連結された出力軸と連結ユニットのユニット出力軸とを、便座および便蓋を駆動する2本の出力軸のそれぞれとすることができる。このため、第1ギヤードモータの第1出力歯車に連結された出力軸と第2ギヤードモータの第2出力歯車に連結された出力軸とを、便座および便蓋を駆動する2本の出力軸のそれぞれとした場合と比較して、2本の出力軸の軸間距離を短くすることができる。また、第1ギヤードモータの第1出力歯車と同様、第2ギヤードモータの第2出力歯車に出力軸を装着すれば、第1ギヤードモータおよび第2ギヤードモータのそれぞれを単体のギヤードモータとして用いることができる。
【0010】
本発明において、前記第1ケースと前記第2ケースとは、同一の構成を有していることが好ましい。このような構成によれば、部品の共通化が図られているので、第1ギヤードモータ、第2ギヤードモータおよび便座便蓋開閉用ギヤードモータユニットのコストを低減することができる。
【0011】
本発明において、前記付加ユニットは、前記第1ギヤードモータおよび前記第2ギヤードモータに連結されて前記第1ギヤードモータと前記第2ギヤードモータとを連結する連結ユニットであることが好ましい。このような構成によれば、第1ギヤードモータと第2ギヤードモータとを付加ユニット(連結ユニット)により連結して便座便蓋開閉用ギヤードモータユニットとすることができる。
【0012】
本発明において、前記付加ユニットは、前記ユニット入力軸および前記ユニット出力軸を回転可能に支持するユニットケースを備え、前記ユニットケースは、前記第1端面および前記第2端面に当接する底板と、前記底板に出力側で対向する天井板と、を備え、前記ユニット入力軸は、前記底板に設けられた底板開口を貫通し、前記ユニット出力軸は、前記天井板に設けられた天井板開口を貫通し、前記ユニット輪列は、前記底板と前記天井板との間に収納されていることが好ましい。このような構成によれば、ユニットケースを第1ギヤードモータの第1端面および第2ギヤードモータの第2端面に当接させた状態で第1ギヤードモータおよび第2ギヤードモータに連結することができる。
【0013】
本発明において、前記ユニット輪列は、前記ユニット入力軸に同軸に固定されている第1歯車と、前記ユニット出力軸に同軸に固定され、前記第1歯車に噛合する第2歯車と、を備えていることが望ましい。
【0014】
本発明において、前記第2歯車は、前記ユニット出力軸の軸線方向から見たときに前記第1出力歯車と部分的に重なる位置に配置されていることが好ましい。このようにすれば、出力軸とユニット出力軸が近接配置され、2本の出力軸の軸間距離が短くなる。
【0015】
本発明において、前記第1歯車と前記第2歯車とは、外径寸法が等しく、歯数が等しいことが好ましい。このような構成によれば、第2出力歯車の回転速度と同じ回転速度でユニット入力軸およびユニット出力軸が回転する。従って、ユニット出力軸の角度位置の制御が容易である。
【0016】
この場合、前記出力軸の角度位置を監視する回転角度検出機構と、前記ユニット出力軸の角度位置を監視する回転角度検出機構と、を備えていることが好ましい。第1歯車および第2歯車において、外径寸法および歯数が等しい場合には、出力軸の角度位置を監視する回転角度検出機構、およびユニット出力軸の角度位置を検出する回転角度検出機構において、出力電圧と角度位置との関係が同一である。それ故、出力軸の角度位置、およびユニット出力軸の角度位置の監視が容易である。
【0017】
本発明において、前記第1歯車と前記第2歯車とは、歯幅が等しい構成を採用することができる。
【0018】
本発明において、前記第1歯車および前記第2歯車は、金属製であることが好ましい。このように構成すれば、第1歯車および第2歯車の変形を防止することができるとともに、第1歯車および第2歯車での歯の欠けを防止することができる。
【0019】
本発明において、前記第1歯車を構成する材料は、前記ユニット入力軸を構成する材料より強度が高く、前記第2歯車を構成する材料は、前記ユニット出力軸を構成する材料より強度が高いことが好ましい。このように構成すれば、第1歯車および第2歯車の変形を防止することができるとともに、第1歯車および第2歯車での歯の欠けを防止することができる。また、第1歯車、ユニット出力軸、第2歯車およびユニット出力軸のうち、強度が高いことが求められる第1歯車および第2歯車のみを強度が高くて高価なものを用いることができる。これに対して、ユニット入力軸およびユニット出力軸は、十分な肉厚を有するので、強度が高い。それ故、ユニット入力軸およびユニット出力軸については、汎用の安価な材料によって構成することができる。
【0020】
本発明において、前記第1歯車および前記ユニット入力軸は、前記ユニット入力軸を樹脂により成形する際に前記ユニット入力軸を構成する樹脂部分と前記第1歯車とを一体化させた歯車付きユニット入力軸を構成しており、前記第2歯車および前記ユニット出力軸は、前記ユニット出力軸を樹脂により成形する際に前記ユニット出力軸を構成する樹脂部分と前記第2歯車とを一体化させた歯車付きユニット出力軸を構成していることが好ましい。かかる構成によれば、第1歯車およびユニット入力軸が一体化し歯車付きユニット入力軸や、第2歯車およびユニット出力軸が一体化した歯車付きユニット出力軸をインサート成形によって効率よく形成することができる。
【0021】
本発明において、前記第1歯車および前記第2歯車が、リング状の金属部材である構成を採用することができる。
【0022】
この場合、前記第1歯車は、内周面に第1凹部が形成され、前記ユニット入力軸は、前記第1歯車の内側に位置する部分の外周面に前記第1凹部と係合する空回り防止用の第1凸部が形成され、前記第2歯車は、内周面に第2凹部が形成され、前記ユニット出力軸は、前記第2歯車の内側に位置する部分の外周面に前記第2凹部と係合する空回り防止用の第2凸部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、第1歯車とユニット入力軸との空回りや、第2歯車とユニット出力軸との空回りを防止することができる。
【0023】
本発明において、前記第1凹部、前記第1凸部、前記第2凹部および前記第2凸部は、前記軸線方向に延在している構成を採用することができる。かかる構成によれば、第1歯車とユニット入力軸との空回りや、第2歯車とユニット出力軸との空回りを確実に防止することができる。
【0025】
本発明において、前記ユニット入力軸は、
前記ユニット入力軸を前記第1歯車と一体化するようにインサート成形した際に前記第1歯車の軸線方向の両側の端面
に各々重なるように形成された一対の第1フランジ部を備え、前記ユニット出力軸は、
前記ユニット出力軸を前記第2歯車と一体化するようにインサート成形した際に前記第2歯車の軸線方向の両側の端面
に各々重なるように形成された一対の第2フランジ部を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、ユニット入力軸を回転可能に支持している部分に第1歯車が直接、接触することを防止することができるとともに、ユニット出力軸を回転可能に支持している部分に第2歯車が直接、接触することを防止することができる。
【0026】
本発明において、前記第1歯車および前記第2歯車は、同一構成の部品からなることが好ましい。かかる構成によれば、部品の共通化を図ることができるので、便座便蓋開閉用ギヤードモータユニットの低コスト化を図ることができる。
【0027】
本発明において、前記第1モータおよび前記第2モータのうちの少なくとも一方は、供給される電力の極性を反転させたときに、回転方向が逆方向となる直流モータであることが好ましい。かかる構成によれば、第1モータによって駆動される出力軸の回転方向と、第2モータによって駆動されるユニット出力軸の回転方向とを合わせることができる。
【0028】
本発明において、前記第1ケースは、前記第1端面と直交する方向に延びて前記軸線と直交する方向で対向する一対の第1壁面を備え、前記第2ケースは、前記一対の第1壁面に対応する一対の第2壁面を備えており、前記第1ギヤードモータと前記第2ギヤードモータは、前記一対の第1壁面の一方と前記一対の第2壁面の一方とが当接した状態で配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、第1ギヤードモータと第2ギヤードモータとを隣接させることができる。
【0029】
本発明において、前記第1ギヤードモータと前記第2ギヤードモータとは、同一の構成を備えていることが好ましい。すなわち、同一のギヤードモータを2つ用いて、2つの駆動源と各駆動源によってそれぞれ駆動される2本の出力軸を備えるギヤードモータユニットを構成することが好ましい。このようにすれば、一つの駆動源と1本の出力軸を備えるギヤードモータと、2つの駆動源と2本の出力軸を備えるギヤードモータとの間で共通の部品を用いることができるので、製造コストを抑制できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明では、付加ユニットが、第2ギヤードモータの第2出力歯車に連結されたユニット入力軸と、第1ギヤードモータの第1出力歯車に連結された出力軸と平行に配置されたユニット出力軸とを備え、ユニット出力軸にはユニット輪列を介してユニット入力軸の駆動力が伝達される。従って、第1ギヤードモータの第1出力歯車に連結された出力軸と連結ユニットのユニット出力軸とを、便座および便蓋を駆動する2本の出力軸のそれぞれとすることができる。このため、第1ギヤードモータの第1出力歯車に連結された出力軸と第2ギヤードモータの第2出力歯車に連結された出力軸とを、便座および便蓋を駆動する2本の出力軸のそれぞれとした場合と比較して、2本の出力軸の軸間距離を短くすることができる。また、第1ギヤードモータの第1出力歯車と同様、第2ギヤードモータの第2出力歯車に出力軸を装着すれば、第1ギヤードモータおよび第2ギヤードモータのそれぞれを単体のギヤードモータとして用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面を参照して本発明の実施の形態の便座便蓋開閉用ギヤードモータユニット(以下、「ギヤードモータユニット」という。)を説明する。
【0033】
[ギヤードモータユニット]
(全体構成)
図1は、本発明を適用したギヤードモータユニットの斜視図である。なお、以下の説明において、ギヤードモータユニットおよびギヤードモータの長手方向のうち、出力軸が配置されている側をギヤードモータユニットおよびギヤードモータの装置前側(装置前方)とし、その反対側を装置後側(装置後方)とする。また、ギヤードモータユニットおよびギヤードモータにおいて、出力軸が突出している側を出力側とし、出力軸が突出している側とは反対側を反出力側とする。また、ギヤードモータユニットおよびギヤードモータにおいて、出力軸と直交する方向のうち、ギヤードモータの短手方向(第1ギヤードモータと第2ギヤードモータの配列方向)を幅方向とする。なお、本形態のギヤードモータユニットおよびギヤードモータは、後述する洋式便器において、便座および便蓋の開閉用に用いられため、出力軸は水平に配置される。
【0034】
図1に示すように、本例のギヤードモータユニット100は、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを備えている。また、ギヤードモータユニット100は、第1ギヤードモータ1に装着された出力軸3と、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを着脱可能に連結している連結ユニット4(付加ユニット)と、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを着脱可能に連結している連結板5とを備えている。
【0035】
第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とは同一の構成を備えている。ギヤードモータユニット100から連結ユニット4および連結板5を取り外して第2ギヤードモータ2に出力軸3と同一の出力軸を装着すれば、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2は、それぞれを単体で使用することができる。
【0036】
(ケース(第1ケース))
図2は、出力軸3を装着する前の状態の第1ギヤードモータ1の斜視図である。
図2に示すように、第1ギヤードモータ1は一定厚さのケース10を備えている。ケース10の出力側の端面10a(第1端面)には開口11(第1開口)が設けられ、出力軸3は開口11を貫通して出力側に突出している。
【0037】
ケース10は、開口11が形成されている端面10aと、出力軸3の軸線L方向の反出力側で端面10aと対向して端面10aと平行に延びている底面10bと、軸線L方向に延びて端面10aと底面10bとの間を連結している側面とを備えている。側面は、軸線Lと直交する幅方向で対向する第1、第2側面部分10c、10d(一対の第1壁面10s)と、これら一対の第1壁面10s(第1側面部分、第2側面部分10c、10d)の前端を連結している第3側面部分10eと、一対の第1壁面10s(第1側面部分、第2側面部分10c、10d)の後端を連結している第4側面部分10fとを備えている。第1壁面10s(第1、第2側面部分10c、10d)は、ケース10の幅方向の両側において長手方向に向かって平行に延びた平坦面になっている。第3側面部分10eは、第2側面部分10dの前端から前方に向かって内側に傾斜する傾斜面部分10gと、傾斜面部分10gの前端と第1側面部分10cの前端を連結している円弧面部分10hとを備えている。第4側面部分10fは、平坦面であり、一対の第1壁面10s(第1、第2側面部分10c、10d)と直交する方向に延びている。
【0038】
ケース10において第2側面部分10dと第4側面部分10fによって形成される角部分には、上方から切り欠かれた切り欠き部10iが設けられている。切り欠き部10iの下方にはコネクタ搭載部12が設けられている。コネクタ搭載部12には第1ギヤードモータ1と外部の制御装置を電気的に接続する配線を接続するためのコネクタ13が配置されている。
【0039】
(第1ギヤードモータ1の内部構成)
図3は、第1ギヤードモータ1から出力軸3を駆動する駆動系を取り出して示した斜視図である。なお、
図3では、各歯車の噛合関係を分かり易くするために、一部の歯車の歯部を2点鎖線で模式的に示してある。
【0040】
図3に示すように、ケース10(
図2参照)内には、出力軸3の駆動源となるモータ14(第1モータ)と、出力歯車15(第1出力歯車)と、モータ14の駆動力を減速して出力歯車15に伝達する輪列16(第1輪列)と、回転角度検出機構17とが収納されている。モータ14はケース10の後端部分に収納されており、出力歯車15はケース10の前側部分に収納されている。
【0041】
モータ14は、ブラシ付きDC(直流)モータであり、剛性基板18に搭載されている。剛性基板18にはコネクタ13が搭載されており、コネクタ13とモータ14とは剛性基板18に形成された配線パターンを介して電気的に接続されている。モータ14にはコネクタ13に接続される配線を介して外部の制御装置(不図示)から電力が供給される。コネクタ13に供給される電力の極性を第1極性から当該第1極性とは反対の第2極性に反転させると、モータ14の回転方向は第1方向から当該第1方向とは逆の第2方向に逆転する。モータ14の回転方向が逆転すると、この逆転に伴って、出力歯車15の回転方向が逆転するので、出力軸3の回転方向が逆となる。
【0042】
出力歯車15は、外周面に歯部を備える歯車部20と、歯車部20よりも小径で歯車部20と同軸に形成された筒部21とを備えている。筒部21の中心孔は、出力軸3の下端部分に設けられた被装着部22が挿入される装着孔23(第1装着部)となっており、出力歯車15および装着孔23は、ケース10の開口11(
図2参照)と同軸上に位置するように配置されている。ここで、出力軸3の被装着部22は、軸線Lを挟んだ両側を平行に切り欠いた一対の切り欠き部22aと、各切り欠き部22aに設けられたリブ22bとを備える。リブ22bは軸線方向に延びている。出力歯車15の装着孔23は、出力軸3の被装着部22と嵌合する形状をしており、出力軸3は、被装着部22が装着孔23に挿入されることにより出力歯車15に着脱可能に装着されて、出力歯車15と一体に回転する状態となる。
【0043】
(回転角度検出機構17)
図4は、ポテンショメータの説明図であり、
図4(a)、(b)、(c)は、ポテンショメータの平面図、ポテンショメータからの出力電圧の説明図、およびポテンショメータに印加される電圧の極性を反転させたときのポテンショメータからの出力電圧の説明図である。
【0044】
回転角度検出機構17は、出力軸3の回転角度を検出するためのものであり、ポテンショ歯車25(センサ歯車)と、ポテンショ歯車25の回転角度を検出するポテンショメータ26とを備えている。ポテンショ歯車25は、輪列16を構成する歯車のうち、出力歯車15と噛合する最終歯車と噛合している。ポテンショメータ26からはポテンショ歯車25の回転角度に対応する信号が出力される。
【0045】
ポテンショメータ26は、リード線27(
図4(a)参照)を介して剛性基板18と接続されており、剛性基板18に形成された配線パターンを介してコネクタ13と電気的に接続されている。
図4(a)に示すように、ポテンショメータ26は、第1端子部26a、第2端子部26bおよび第3端子部26cを備えている。また、ポテンショメータ26には第1端子部26aと第2端子部26bを介して電圧が印加されるようになっており、第1端子部26aをグランド電位が印加されるグランド電極とし、第2端子部26bを正の電源が印加されるプラス電極として用いると、ポテンショ歯車25(センサ歯車)の角度位置の変化に伴い、第3端子部26cからの出力電圧は、
図4(b)に示すように変化する。かかる第3端子部26cからの出力電圧は、リード線27およびコネクタ13を介して外部に取り出されて、制御装置に入力される。ここで、第3端子部26cからの出力電圧は、ポテンショ歯車25が回転する所定の回転可能角度範囲の一方端から他方端に向かって回転角度に伴って線形に低下する信号であり、ポテンショ歯車25の角度位置の絶対位置を示す。このため、第3端子部26cからの出力電圧は、輪列16において、ポテンショ歯車25に噛合する最終歯車の角度位置の絶対位置を示すことになるので、出力軸3の角度位置の絶対位置を示すことになる。
【0046】
また、
図4(c)に示すように、第2端子部26bをグランド電位が印加されるグランド電極とし、第1端子部26aを正の電源が印加されるプラス電極として用いると、ポテンショ歯車25(センサ歯車)の角度位置の変化に伴い、第3端子部26cからの出力電圧は、
図4(c)に示すように変化する。このような条件下での第3端子部26cからの出力電圧は、
図4(b)に示す変化とは反対に、ポテンショ歯車25が回転する所定の回転可能角度範囲の一方端から他方端に向かって回転角度に伴って線形に上昇する信号であるが、第3端子部26cからの出力電圧は、ポテンショ歯車25の角度位置の絶対位置を示す。このため、第3端子部26cからの出力電圧は、輪列16において、ポテンショ歯車25に噛合する最終歯車の角度位置の絶対位置を示すことになるので、出力軸3の角度位置の絶対位置を示すことになる。
【0047】
(第2ギヤードモータ)
第2ギヤードモータ2は第1ギヤードモータ1と同一の構成を備えているので、第1ギヤードモータ1と同様、
図2および
図3を参照して説明する。また、第2ギヤードモータ2の内部構成は、第1ギヤードモータ1の内部構成と同一であるので、第2ギヤードモータ2において第1ギヤードモータ1と対応する構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0048】
第2ギヤードモータ2は、第1ギヤードモータ1と同一の構成を備えている。すなわち、
図1および
図2に示すように、第2ギヤードモータ2は、一定厚さのケース30(第2ケース)を備えており、ケース30(第2ケース)は、ケース10(第1ケース)と同一の構成を有している。より具体的には、ケース30において、ケース10の端面10aに対応する出力側の端面30a(第2端面)には、開口11と対応する位置に開口31(第2開口)が形成されている。また、ケース30は、端面30aと底面30bを連結している側面に、互に長手方向に延びる平行な一対の第2壁面30s(第1、第2側面部分30c、30d)と、第1、第2側面部分30c、30dの前端を連結する第3側面部分30eと、第1、第2側面部分30c、30dの後端を連結する第4側面部分30fとを備えている。第1側面部分30cと第4側面部分30fとの間の角部分には切り欠き部30iが設けられており、切り欠き部30iの下方にはコネクタ33が搭載されている。
【0049】
ケース30内には、
図3に示すように、モータ(第2モータ)14と、出力歯車(第2出力歯車)15と、モータ14の駆動力を出力歯車15に伝達する輪列(第2輪列)16と、回転角度検出機構17とが収納されている。第2ギヤードモータ2においても、モータ14への給電およびポテンショメータ26への電力の印加はコネクタ33を介して外部の制御装置から行われる。また、ポテンショメータ26からの信号はコネクタ33を介して外部に取り出されて制御装置に入力される。本例では、制御装置は第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2をそれぞれ別々に制御する。
【0050】
ここで、
図5に示すように、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2は、それぞれの開口11、31を同一の方向(出力側)に向けた状態で隣り合う位置に配置されている。より詳細には、第1ギヤードモータ1のケース10の一対の第1壁面10sのうちの一方(第2側面部分10d)と、第2ギヤードモータ2のケース30の一対の第2壁面30sのうちの一方(第1側面部分30c)とを当接させ、第1ギヤードモータ1の端面10aと第2ギヤードモータ2の端面30aとが出力側の同一平面内に位置するようにする。その結果、第1ギヤードモータ1の第4側面部分10fと第2ギヤードモータ2の第4側面部分30fとが反出力側の同一平面内に位置することになる。
【0051】
(連結ユニット4)
図1、
図5を参照して、連結ユニット4を説明する。
図5は、連結ユニット4の分解斜視図である。
【0052】
図1および
図5に示すように、連結ユニット4は、第1ギヤードモータ1の端面10a、および第2ギヤードモータ2の端面30aに出力側で重なるように配置されている。また、連結ユニット4は、第1ギヤードモータ1の端面10aの出力側、および第2ギヤードモータ2の端面30aの出力側に架け渡されて、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2を着脱可能に連結している。
【0053】
より具体的には、連結ユニット4は、第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2のそれぞれの端面10a、30aに有頭ネジ39によって固定されるユニットケース35を備えている。ユニットケース35は、第1ギヤードモータ1の端面10aおよび第2ギヤードモータ2の端面30aに当接する底板36aを備えた箱部36と、箱部36に出力側から被せられて軸線L方向の出力側で底板36aと対向する天井板37(蓋板)とを備えている。ユニットケース35は、その長手方向をギヤードモータユニット100の幅方向に向けている。ユニットケース35の長手方向の両端には、ユニットケース35を第1ギヤードモータ1の端面10aおよび第2ギヤードモータ2の端面30aに固定するための固定部38が設けられている。固定部38は、箱部36に設けられた箱部側固定部38aと、天井板37に設けられた蓋板側固定部38bとから構成されている。また、端面10a、30aには、固定部38を軸線L方向に貫通する有頭ネジ39が止められるネジ孔10r、30rが形成されており、ユニットケース35は、有頭ネジ39によって、箱部36と天井板37とが固定されるとともに、第1ギヤードモータ1の端面10aおよび第2ギヤードモータ2の端面30aに着脱可能に取り付けられる。この状態で、ユニットケース35は、第1ギヤードモータ1の端面10aの端部のみに出力側で重なり、第2ギヤードモータ2の端面30aの略全体にわたって出力側で重なった状態にある。
【0054】
ここで、ユニットケース35の底板36aには底板開口40が設けられている。この底板開口40にはユニット入力軸41が貫通しており、ユニット入力軸41の基端側は、底板36aから軸線L方向の反出力側(第2ギヤードモータ2の側)に突出している。天井板37には天井板開口42(蓋板開口)が設けられている。この天井板開口42にはユニット出力軸43が貫通しており、ユニット出力軸43の先端は、天井板37から軸線L方向の出力側に突出している。
【0055】
ユニット入力軸41は、反出力側の端部に第2ギヤードモータ2の出力歯車15の装着孔23(第2装着部)に挿入される被装着部44を備えている。被装着部44は、出力軸3の被装着部22と同一の構成を有しており、軸線Lを挟んだ両側を平行に切り欠いた一対の切り欠き部44aと、各切り欠き部44aに設けられたリブ44bを備える。リブ44bは軸線L方向に延びている。ユニット入力軸41は、第2ギヤードモータ2のケース30の端面30aの開口31からケース30内に挿入されて、その被装着部44が出力歯車15の装着孔23に挿入される。これにより、ユニット入力軸41は、第2ギヤードモータ2の出力歯車15に着脱可能な状態かつ一体回転可能な状態となる。
【0056】
ユニットケース35内には、ユニット入力軸41の駆動力をユニット出力軸43に伝達するユニット輪列45が収納されている。ユニット輪列45は、ユニット入力軸41に同軸に固定されている第1歯車46と、ユニット出力軸43に同軸に固定されている第2歯車47とを備えており、第1歯車46と第2歯車47とは噛合している。ここで、第1歯車46は、ユニット入力軸41の出力側の端部にユニット入力軸41と一体に形成されている。このため、第1歯車46およびユニット入力軸41は、第1歯車46とユニット入力軸41とが一体の第1歯車付きユニット入力軸48を構成している。また、第2歯車47は、ユニット出力軸43の反出力側の端部にユニット入力軸41と一体に形成されている。このため、第2歯車47およびユニット出力軸43は、第2歯車47とユニット出力軸43とが一体の第2歯車付きユニット出力軸49を構成している。
【0057】
本形態において、第1歯車46の外径寸法は第2歯車47の外径寸法と等しく、第1歯車46の歯数は第2歯車47の歯数と等しい。従って、第1歯車46および第2歯車47はアイドラ歯車であり、ユニット入力軸41の駆動力が第1歯車46および第2歯車47を介してユニット出力軸43に伝達される際に、ユニット入力軸41の回転速度と、ユニット出力軸43の回転速度とは同じになる。但し、ユニット入力軸41の回転方向と、ユニット出力軸43の回転方向とは逆である。
【0058】
第1歯車付きユニット入力軸48の出力側の端面(ユニット入力軸41の出力側の端面)には円形凹部50が同軸に形成されている。一方、ユニットケース35の天井板37の反出力側の面37aには円形突出部51が設けられており、円形突出部51が第1歯車付きユニット入力軸48の円形凹部50に挿入されることにより、第1歯車付きユニット入力軸48はユニットケース35に回転可能な状態で支持される。
【0059】
また、第2歯車付きユニット出力軸49の反出力側の端面(第2歯車付きユニット出力軸49の反出力側の端面)には円形凹部(不図示)が同軸に形成され、この円形凹部にはユニットケース35の底板36aの出力側の面に設けられた円形突出部(不図示)が挿入され、これにより、第2歯車付きユニット出力軸49は、ユニットケース35に回転可能な状態で支持される。この状態で、第1歯車付きユニット入力軸48(ユニット入力軸41)と、第2歯車付きユニット出力軸49(ユニット出力軸43)とは、平行に配置される。また、第1歯車付きユニット入力軸48(ユニット入力軸41)、および第2歯車付きユニット出力軸49(ユニット出力軸43)は、出力軸3と平行に配置される。なお、本例では、天井板37の反出力側の面37aと第1歯車付きユニット入力軸48の出力側の面との間には円環状のスペーサ52が挿入されている。
【0060】
(連結板5の構成)
連結板5は一定厚さの平板である。連結板5は第1ギヤードモータ1の端面10aの中央部分および第2ギヤードモータ2の端面30aの中央部分に架け渡されている。また、連結板5は有頭ネジ53によって第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2の端面10a、30aに取り付けられており、これにより第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2を着脱可能に連結している。なお、連結板5は省略することもでき、この場合、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とは、連結ユニット4のみによって連結されることになる。
【0061】
(出力歯車15とユニット出力軸43との位置関係)
図6は、第1ギヤードモータ1の出力歯車15と連結ユニット4のユニット出力軸43との位置関係を示す説明図である。なお、
図6では、連結ユニット4の天井板37や、ケース10の端面10a等の図示を省略してある。
【0062】
連結ユニット4および連結板5によって第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを連結した状態では、
図1に示すように、第1ギヤードモータ1に連結された出力軸3とユニット出力軸43とが出力側に向かって平行に延びている。また、ユニット出力軸43は、出力軸3の回転中心線L1(第1ギヤードモータ1の出力歯車15の回転中心線L1)と、ユニット入力軸41の回転中心線L2(第2ギヤードモータ2の出力歯車15の回転中心線L2)とを結んだ直線上にあり、第1ギヤードモータ1の出力軸3とユニット出力軸43の間の距離は、第1ギヤードモータ1の出力歯車15の回転中心線L1と第2ギヤードモータ2の出力歯車15の回転中心線L2との間の距離よりも短くなっている。さらに、
図6に示すように、軸線L方向から見たときに、ユニット出力軸43は、その一部分が、第2ギヤードモータ2のケース30よりも第1ギヤードモータ1の側にはみ出している。また、ユニット出力軸43と同軸に設けられている第2歯車47は、軸線L方向から見たときに、第1ギヤードモータ1の出力歯車15と部分的に重なっている。
【0063】
(ギヤードモータの構成例)
以下に、
図3、
図7〜
図10を参照して、第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2の具体的な構成例を説明する。
図7は、ケース10の上ケースを取り外した状態の第1ギヤードモータ1の斜視図である。
図8は、ケース10の下ケースを上方から見た斜視図である。
図9は中ケースの斜視図であり、
図9(a)は、ケース10の中ケースを上方から見た斜視図であり、
図9(b)は中ケースを下方から見た斜視図である。
図10は、上ケースを下方から見た斜視図である。なお、第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2は同一の構成を備えているので、第1ギヤードモータ1について、その詳細を説明し、第2ギヤードモータ2の説明を省略する。
【0064】
図7に示すように、第1ギヤードモータ1のケース10は下方から上方に向かって積層された下ケース60、中ケース61、および上ケース62を備えている。
図3に示すように、ケース10内には、モータ14、出力歯車15、および輪列16が収納されている。
【0065】
モータ14は、モータ本体63と、モータ本体63から上方に突出する回転軸64を備えている。モータ本体63の下端面からは2本の端子(不図示)が突出しており、これらの端子が剛性基板18に直接ハンダ付けされている。モータ本体63の上端面にはネジ穴が設けられ、中ケース61を上方から下方に向かって貫通する有頭ネジ61aによって中ケース61に固定されている。
【0066】
出力歯車15は、歯車部20と歯車部20と同軸に形成された筒部21を備えており、筒部21の中心孔は装着孔23となっている。歯車部20の周方向の一部分からは、出力歯車15が回転する角度範囲を規制するための回転範囲規制突起65が上方に突出している。
【0067】
輪列16は、モータ14の回転軸64に取り付けられたピニオン66、ピニオン66と噛合する第1複合歯車67、第1複合歯車67と噛合する第2複合歯車68、第2複合歯車68と噛合する第3複合歯車69、および第3複合歯車69と噛合する第4複合歯車70を備えており、第4複合歯車70が出力歯車15と噛合している。より具体的には、第1複合歯車67は、第1大径歯車67aと第1大径歯車67aよりも小径で第1大径歯車67aと同軸に設けられた第1小径歯車67bを備えており、第1大径歯車67aがピニオン66と噛合している。第2複合歯車68は、第2大径歯車68aと第2大径歯車68aよりも小径で第2大径歯車68aと同軸に設けられた第2小径歯車68bを備えており、第2大径歯車68aが第1複合歯車67の第1小径歯車67bと噛合している。第3複合歯車69は、第3大径歯車69aと第3大径歯車69aよりも小径で第3大径歯車69aと同軸に設けられた第3小径歯車69bを備えており、第3大径歯車69aが第2複合歯車68の第2小径歯車68bと噛合している。第4複合歯車70は、第4大径歯車70aと第4大径歯車70aよりも小径で第4大径歯車70aと同軸に設けられた第4小径歯車70bを備えており、第4大径歯車70aが第3複合歯車69の第3小径歯車69bと噛合し、第4小径歯車70bが出力歯車15と噛合している。第4小径歯車70bには、出力軸3の角度位置を検出するためのポテンショ歯車25が噛合している。
【0068】
第1複合歯車67は第1支軸71に回転可能に支持されており、第2複合歯車68は第2支軸72に回転可能に支持されている。第3複合歯車69は第3支軸73に回転可能に支持されており、第4複合歯車70は第4支軸(不図示)に回転可能に支持されている。第2複合歯車68の第2大径歯車68aにはラチェットを用いたトルクリミッタ(不図示)が組み込まれている。トルクリミッタは、出力軸3の側から作用する力が出力歯車15を介して輪列16に入力され、所定のトルクを超えたときに、輪列16の伝達を遮断することでその力がモータ14にまで伝達されることを防止するものである。
【0069】
図8に示すように、下ケース60は、その下面がケース10の底面10bとなっている底板部75と、底板部75の外周縁から上方に延びる周壁部76を備えている。底板部75の後端部分には、中ケース61に取り付けられたモータ本体63およびモータ本体63の端子に接続された剛性基板18を配置するモータ配置スペース77と、剛性基板18に搭載された状態のコネクタ13を載置するコネクタ搭載部12が幅方向に並んで設けられている。底板部75の前端部分には出力歯車15を回転可能に支持する出力歯車支持部78が設けられている。出力歯車支持部78は底板部75から軸線方向に突出する円柱部78aを備えており、この円柱部が出力歯車15の下端面に設けられた円形凹部(不図示)に挿入された状態で出力歯車15を支持する。出力歯車支持部78の円柱部78aは出力歯車15のラジアル軸受として機能し、出力歯車支持部78の底板部75は、出力歯車15のスラスト軸受として機能する。モータ配置スペース77および出力歯車支持部78の間には、第1支軸71、第2支軸72、第3支軸73、および第4支軸74の下端をそれぞれ保持する第1支軸下端保持部79a、第2支軸下端保持部79b、第3支軸下端保持部79c、および第4支軸下端保持部79dが設けられている。
【0070】
図9に示すように、中ケース61は、その前端部分が出力歯車15を回転可能に保持する出力歯車保持部80となっている。
図9(a)に示すように、出力歯車保持部80は、出力歯車15の筒部21が摺動可能な状態で内側に挿入される保持孔81を備えている。また、
図9(b)に示すように、出力歯車保持部80における保持孔81の外周側には上方に窪む円弧溝82が設けられている。円弧溝82の円弧中心は出力歯車15の回転中心線L1および保持孔81の中心と一致しており、円弧溝82内には出力歯車支持部78に支持された出力歯車15の回転範囲規制突起65が挿入される。出力歯車15は、回転範囲規制突起65が円弧溝82の周方向の端に当接することによって回転範囲が規制される。
【0071】
出力歯車保持部80の後側には、中間板部83と、中間板部83の外周縁から上下方向に延びる周壁部84が設けられている。中間板部83は出力歯車保持部80の軸線L方向の途中から後方に向かって延びており、ケース10の内部を軸線L方向で上側(一方側)と下側(他方側)に部分的に仕切っている。中間板部83は、上段部分85と、上段部分85の下面から下方に後退した下段部分86を備えている。下段部分86は、中間板部83の幅方向で第1側面部分10cに近い側の部位であって、出力歯車保持部80に隣接する部位に設けられている。上段部分85の下面と下段部分86の上面の軸線L方向の間には、開口部87が設けられている。
【0072】
図9(b)に示すように、上段部分85の下面側には、後端部分にモータ保持部88が設けられている。モータ保持部88はモータ本体63の上端面を当接させる保持面88aと、モータ14の回転軸64を中間板部83よりも上方に突出させるための貫通孔88bを備えている。モータ保持部88の側方であってケース10の切り欠き部10iの前方には、矩形の挿通孔89が設けられている。モータ保持部88と挿通孔89の間には、第1複合歯車67の第1小径歯車67bを挿通させるための第1複合歯車貫通孔90が設けられている。上段部分85の下面における第1複合歯車貫通孔90の前側には、第2支軸72の上端を保持する第2支軸上端保持部91aと、第4支軸74の上端を保持する第4支軸上端保持部91bが前方に向かってこの順番で設けられている。下段部分86の下面には、第3支軸73の上端を保持する第3支軸上端保持部91cが設けられている。
【0073】
図9(a)に示すように、上段部分85の上面側の前側部分には凹部が設けられている。凹部は、ポテンショメータ26が搭載されるポテンショメータ搭載部92となっている。また、上段部分85の上面の後側部分であって、ケース10の切り欠き部10iの前側位置には挿通孔89が設けられている。ポテンショメータ搭載部92と挿通孔89は、ケース10の第1側面部分10cを規定している周壁部84に沿って設けられた溝93によって連通している。挿通孔89の側方にはモータ14の回転軸64を上方に突出させる貫通孔88bが位置している。挿通孔89および貫通孔88bの前方には第1複合歯車貫通孔90が位置している。下段部分86の上面には、ポテンショ歯車25を回転可能に支持するポテンショ歯車支持部94が設けられている。
【0074】
ここで、
図7に示すように、中間板部83の上段部分85の上側にはモータ14の回転軸64に取り付けられたピニオン66が配置される。また、輪列16においてピニオン66と噛合する第1複合歯車67の第1大径歯車67aが配置される。すなわち、第1複合歯車67が第1複合歯車貫通孔90を介して第1小径歯車67bを中間板部83の下方に突出させた状態で配置される。第1複合歯車67が配置された状態では、溝93はポテンショメータ搭載部92から第1大径歯車67aの下側を経由して挿通孔89に達した状態となる。挿通孔89と第1大径歯車67aとは軸線L方向から見たときに一部分が重なっている。
【0075】
また、中間板部83の上段部分85には、ポテンショメータ26がポテンショメータ搭載部92に搭載されて配置される。一方、中間板部83の下段部分86にはポテンショ歯車25がポテンショ歯車支持部94に支持された状態で配置される。ポテンショ歯車25がポテンショ歯車支持部94に支持された状態では、ポテンショ歯車25の歯部は開口部87を介して第4複合歯車70の第4小径歯車70bに噛合する。ここで、ポテンショメータ26と剛性基板18を接続するリード線27は、溝93内および挿通孔89内を引き回されており、第1大径歯車67aの軸線L方向の下側を通過している。
【0076】
上ケース62は、中ケース61に積層されて、中間板部83の上方を被う。上ケース62は、
図10に示すように、上面がケース10の端面10aとなっている蓋板部95と、蓋板部95の外周縁から下方に延びる周壁部96を備えている。蓋板部95には第1支軸71の上端を保持する第1支軸上端保持部97aと、ポテンショ歯車25の回転中心軸を回転可能な状態で保持するポテンショ歯車保持部97bが形成されている。また、蓋板部95において、中ケース61に被せられたときに溝93と対向する位置にはリード線押さえ突起98が設けられている。リード線押さえ突起98は、上ケース62が中ケース61に被せられると、その下端部分が溝93の中程まで挿入されて、溝93内を引き回されているリード線27を上方から抑える。
【0077】
(洋式便器の説明)
図11は、本発明を適用したギヤードモータユニット100を用いた洋式便器の説明図である。
【0078】
図11に示す洋式便器1000は、便器本体110、便器本体110に被さる便座120、便座120に被さる便蓋130、およびタンク140等を有しており、便座120および便蓋130にはギヤードモータユニット100が設けられている。洋式便器1000において、ギヤードモータユニット100は、出力軸3およびユニット出力軸43のうちの一方が便座120に連結され、他方が便蓋130に連結される。従って、第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2に通電すれば、出力軸3およびユニット出力軸43が軸線回りに回転するので、便座120および便蓋130に開閉動作を行わせることができる。ここで、便座120および便蓋130の閉状態は水平な状態である。便座120および便蓋130の開状態は水平な姿勢に対して90°以上かつ180°未満の角度を成す状態であり、例えば、約120°の角度を成す状態である。
【0079】
ここで、第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2に同一極性の電力を供給すると、出力軸3およびユニット出力軸43は、軸線回りに逆方向に回転する。このため、第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2には逆一極性の電力が供給される。また、第1ギヤードモータ1に設けたポテンショメータ26、および第2ギヤードモータ2に設けたポテンショメータ26のうちの一方は、
図4(b)に示す形態、および
図4(c)に示す形態の一方の形態で使用され、他方は、
図4(b)に示す形態、および
図4(c)に示す形態の他方の形態で使用される。このため、第1ギヤードモータ1に設けたポテンショメータ26、および第2ギヤードモータ2に設けたポテンショメータ26では、便座120および便蓋130の角度位置と出力電圧と関係が同一である。
【0080】
(本形態の作用および主な効果)
本例のギヤードモータユニット100では、第1ギヤードモータ1の
出力歯車15(第1出力歯車)に装着された出力軸3と、連結ユニット4(付加ユニット)のユニット出力軸43を2本の出力軸とすることができる。このため、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2を連結して2つの駆動源と2本の出力軸を備えるギヤードモータユニット100を構成する際に、第1ギヤードモータ1の出力歯車15に装着された出力軸3と第2ギヤードモータ2の出力歯車15に装着された出力軸を2本の出力軸とした場合と比較して、2本の出力軸の軸間距離を短くすることができる。
【0081】
また、連結ユニット4および連結板5は第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2に対して着脱可能とされているので、連結ユニット4および連結板5を取り外した後に、第2ギヤードモータ2の出力歯車15に出力軸3を装着すれば、第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2のそれぞれを単体として用いることができる。
【0082】
さらに、本例では、ユニットケース35を第1ギヤードモータ1の端面10aおよび第2ギヤードモータ2の端面30aに載置して第1ギヤードモータ1および第2ギヤードモータ2に固定することにより第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2を連結することができるので、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2の連結が容易である。
【0083】
また、本例では、同一の構成の第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを連結して2つの駆動源と2本の出力軸を備えるギヤードモータユニット100を構成しているので、一つの駆動源と1本の出力軸を備えるギヤードモータと、2つの駆動源と2本の出力軸を備えるギヤードモータユニット100との間で部品を共用することができ、第1ギヤードモータ1、第2ギヤードモータ2およびギヤードモータユニット100のコストを低減することができる。
【0084】
ここで、第1歯車46および第2歯車47を用いてユニット入力軸41の駆動力をユニット出力軸43に伝達した場合には、ユニット入力軸41の回転方向に対してユニット出力軸43が逆方向に回転してしまう。これに対して、本例では、モータ14をブラシ付きDCモータとしてあるので、モータ14へ供給する電力の極性を反転させることによりモータ14の回転方向を反転させて、ユニット出力軸43の回転方向を所望の方向に変更することができる。また、出力軸3の回転角度を検出する回転角度検出機構17にポテンショメータ26を用いており、モータ14の回転方向を変更した場合にはポテンショメータ26に印加される電力の極性を反転させているので、制御装置の側では、出力軸3の回転方向に拘わらず、ポテンショメータ26からの出力に基づいて出力軸3の回転角度を把握できる。この結果、モータ14の回転方向を反転させてもモータ14の駆動制御方法を変更する必要がなく、同一の制御装置を用いることができる。
【0085】
また、第1歯車46および第2歯車47は、外径寸法および歯数が等しいアイドラ歯車である。このため、ユニット入力軸41の回転速度と、ユニット出力軸43の回転速度とは同じであり、回転角速度が等しい。このため、ポテンショメータ26を備えた回転角度検出機構17によって出力軸3およびユニット出力軸43の角度位置を監視した場合でも、出力軸3の角度位置を監視する回転角度検出機構17、およびユニット出力軸43の角度位置を検出する回転角度検出機構17において、出力電圧と角度位置との関係が同一である。従って、出力軸3の角度位置、およびユニット出力軸43の角度位置の監視が容易である。それ故、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とにおいてモータ14の回転速度を同じにしておけば、便座120および便蓋130の開閉動作の制御が容易であるとともに確実である。
【0086】
[ユニット輪列45の改良例]
図12は、本発明を適用したギヤードモータユニット100に用いたユニット輪列45の改良例の説明図であり、
図12(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、ユニット輪列45の斜視図、第2歯車付きユニット出力軸49をユニット出力軸43側からみた斜視図、第2歯車付きユニット出力軸49をユニット出力軸43側からみた分解斜視図、第1歯車付きユニット入力軸48を第1歯車46側からみた斜視図、および第1歯車付きユニット入力軸48を第1歯車46側からみた分解斜視図である。
図13は、
図12に示す第1歯車付きユニット入力軸48の説明図であり、
図13(a)、(b)、(c)、(d)は、第1歯車付きユニット入力軸48をユニット入力軸41側からみた斜視図、第1歯車付きユニット入力軸48をユニット入力軸41側からみた分解斜視図、側面図、およびA−A′断面図である。
図14は、
図12に示す第2歯車付きユニット出力軸49の説明図であり、
図14(a)、(b)、(c)、(d)は、第2歯車付きユニット出力軸49を第2歯車47側からみた斜視図、第2歯車付きユニット出力軸49を第2歯車47側からみた分解斜視図、第2歯車付きユニット出力軸49の側面図、およびB−B′断面図である。
【0087】
図1〜
図10を参照して説明したギヤードモータユニット100において、第1歯車46は、ユニット入力軸41の出力側の端部にユニット入力軸41と一体に形成された樹脂成形品であり、第2歯車47は、ユニット出力軸43と一体に形成された樹脂成形品であった。
【0088】
これに対して、本形態において、第1歯車46およびユニット入力軸41は、
図12および
図13に示すように、ユニット入力軸41を樹脂により成形する際、インサート成形により、ユニット入力軸41を構成する樹脂部分と第1歯車46とを一体化させた第1歯車付きユニット入力軸48を構成している。ここで、第1歯車46を構成する材料は、ユニット入力軸41を構成する材料より強度が高い。例えば、ユニット入力軸41は樹脂製であるが、第1歯車46はステンレス等の金属製である。第1歯車46に用いる金属としては、ステンレスの他にも、各種鋼材、真鍮、アルミニウム等を挙げることができるが、強度が高いという観点から、第1歯車46についてはステンレス製とすることが好ましい。また、ユニット入力軸41は樹脂製であり、第1歯車46はステンレス製であるため、ユニット入力軸41および第1歯車46は、洋式便器1000の洗浄に多用される酸性洗剤に対して耐食性を有している。従って、洋式便器1000の洗浄に酸性洗剤を用いても錆の発生を防止することができる。
【0089】
本形態において、第1歯車46は、外周面に平歯車が形成されたリング状の金属部材であり、ボブ盤等を用いた切削加工により製造される。また、第1歯車46は、内周面46aには第1凹部46bが形成されている。このため、ユニット入力軸41は、第1歯車46の内側に位置する部分の外周面41aに第1凹部46bと係合する空回り防止用の第1凸部41bが形成されている。本形態において、第1凹部46bは、周方向の複数個所で第1歯車46の軸線方向に延在する溝状に形成されており、その断面は半円形である。かかる形状の第1凹部46bは、フライス加工等によって形成することができる。また、第1歯車46は、メタルインジェクション法(金属粉末射出成形法)/Metal Injection Molding(MIM)や、焼結法により形成することもでき、この場合、第1歯車46は、第1凹部46bも含めて成形により一体に形成される。かかる構成に対応して、第1凸部41bは、周方向の複数個所でユニット入力軸41の軸線方向に延在するリブ状に形成されており、その断面は半円形である。また、ユニット入力軸41は、第1歯車46の内側を貫通するように延在しており、第1歯車46の軸線方向の両側の端面に重なる一対の第1フランジ部41s、41tを備えている。
【0090】
また、第2歯車47およびユニット出力軸43は、
図12および
図14に示すように、ユニット出力軸43を樹脂により成形する際、インサート成形により、ユニット出力軸43を構成する樹脂部分と第2歯車47とを一体化させた第2歯車付きユニット出力軸49を構成している。ここで、第2歯車47を構成する材料は、ユニット出力軸43を構成する材料より強度が高い。例えば、ユニット出力軸43は樹脂製であるが、第2歯車47はステンレス等の金属製である。第2歯車47に用いる金属としては、ステンレスの他にも、各種鋼材、真鍮、アルミニウム等を挙げることができるが、強度が高いという観点から、第2歯車47についてはステンレス製とすることが好ましい。また、ユニット出力軸43は樹脂製であり、第2歯車47はステンレス製であるため、ユニット出力軸43および第2歯車47は、洋式便器1000の洗浄に多用される酸性洗剤に対して耐食性を有している。従って、洋式便器1000の洗浄に酸性洗剤を用いても錆の発生を防止することができる。
【0091】
本形態において、第2歯車47は、外周面に平歯車が形成されたリング状の金属部材であり、ボブ盤等を用いた切削加工により製造される。また、第2歯車47は、内周面47aには第2凹部47bが形成されている。このため、ユニット出力軸43は、第2歯車47の内側に位置する部分の外周面43aに第2凹部47bと係合する空回り防止用の第2凸部43bが形成されている。本形態において、第2凹部47bは、周方向の複数個所で第2歯車47の軸線方向に延在する溝状に形成されており、その断面は半円形である。かかる形状の第2凹部47bは、フライス加工等によって形成することができる。また、第2歯車47は、メタルインジェクション法や焼結法により形成することもでき、この場合、第2歯車47は、第2凹部47bも含めて成形により一体に形成される。かかる構成に対応して、第2凸部43bは、周方向の複数個所でユニット出力軸43の軸線方向に延在するリブ状に形成されており、その断面は半円形である。また、ユニット出力軸43は、第2歯車47の内側を貫通するように延在しており、第2歯車47の軸線方向の両側の端面に重なる一対の第2フランジ部43s、43tを備えている。
【0092】
本形態において、第1歯車46と第2歯車47とは同一の構成である。このため、第1歯車46の外径寸法は第2歯車47の外径寸法と等しく、第1歯車46の歯数は第2歯車47の歯数と等しい。従って、第1歯車46および第2歯車47はアイドラ歯車である。また、第1歯車46の歯幅(軸線方向の寸法)は、第2歯車47の歯幅(軸線方向の寸法)と等しい。
【0093】
なお、出力歯車15は、歯車部20が大径であることから、歯車部20および筒部21が一体の樹脂成形品からなる。
【0094】
このように本形態において、第1歯車46および第2歯車47は、金属製であり、強度が高い。従って、第1歯車46および第2歯車47の変形を防止することができるとともに、第1歯車46および第2歯車47での歯の欠けを防止することができる。それ故、第1歯車46および第2歯車47の歯幅を広くする必要がないので、ユニット入力軸41(第1歯車付きユニット入力軸48)およびユニット出力軸43(第2歯車付きユニット出力軸49)の軸線方向の寸法を短くすることができる、それ故、連結ユニット4の軸線方向の寸法を短くすることができる。また、第1歯車46および第2歯車47の外径寸法を大きくして強度を高める必要がない。それ故、第1歯車46および第2歯車47の外径寸法を出力歯車15の外径寸法より小さくすることができ、出力軸3とユニット出力軸43との軸間距離を狭くすることができる。
【0095】
また、第1歯車46を構成する材料は、ユニット入力軸41を構成する材料より強度が高く、第2歯車47を構成する材料は、ユニット出力軸43を構成する材料より強度が高い。従って、第1歯車46、ユニット入力軸41、第2歯車47およびユニット出力軸43のうち、強度が高いことが求められる第1歯車46および第2歯車47のみを強度が高くて高価なものを用いることができる。また、ユニット入力軸41およびユニット出力軸43は、十分な肉厚を有するので、強度が高い。それ故、ユニット入力軸41およびユニット出力軸43については、ポリアミド樹脂等の安価な汎用樹脂材料によって構成することができる。
【0096】
この場合でも、第1歯車46およびユニット入力軸41はインサート成形により一体化され、第2歯車47およびユニット出力軸43もインサート成形により一体化されている。従って、第1歯車46およびユニット入力軸41を容易かつ確実に一体化することができ、第2歯車47およびユニット出力軸43も容易かつ確実に一体化することができる。しかも、ユニット入力軸41は、第1歯車46の第1凹部46bと係合する空回り防止用の第1凸部41bが形成され、ユニット出力軸43は、第2歯車47の第2凹部47bと係合する空回り防止用の第2凸部43bが形成されている。このため、ユニット入力軸41と第1歯車46との空回りを防止することができるとともに、ユニット出力軸43と第2歯車47との空回りを防止することができるので、伝達トルクを高く設定することができる。また、第1凹部46b、第1凸部41b、第2凹部47bおよび第2凸部43bは、軸線方向に延在しているため、第1歯車46とユニット入力軸41との空回りや、第2歯車47とユニット出力軸43との空回りを確実に防止することができる。
【0097】
また、第1歯車46および第2歯車47は、同一構成の部品からなり、部品の共通化が図られている。それ故、ギヤードモータユニット100の低コスト化を図ることができる。
【0098】
また、ユニット入力軸41は、第1歯車46の内側を貫通するように延在しており、第1歯車46の軸線方向の両側の端面に重なる一対の第1フランジ部41s、41tを備えている。このため、ユニットケース35によってユニット入力軸41を回転可能に支持した状態としたとき、第1歯車46の軸線方向の両側に底板36aおよび天井板37が位置する場合でも、第1フランジ部41s、41tをスラスト軸受板として機能させることができる。それ故、第1歯車46が底板36aおよび天井板37と直接、接することを防止することができる。本形態において、底板36aおよび天井板37は、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate:PBT)からなる。また、ユニット出力軸43は、第2歯車47の内側を貫通するように延在しており、第2歯車47の軸線方向の両側の端面に重なる一対の第2フランジ部43s、43tを備えている。このため、ユニットケース35によってユニット出力軸43を回転可能に支持した状態としたとき、第2歯車47の軸線方向の両側に底板36aおよび天井板37が位置する場合でも、第2フランジ部43s、43tをスラスト軸受板として機能させることができる。それ故、第2歯車47が底板36aおよび天井板37と直接、接することを防止することができる。なお、底板36aと第1フランジ部41tとの間、天井板37と第1フランジ部41sとの間、底板36aと第2フランジ部43sとの間、および天井板37と第2フランジ部43tとの間に樹脂製や金属製のワッシャを配置してもよい。
【0099】
[第1歯車46および第2歯車47の変形例]
図12〜
図14を参照して説明した形態において、第1凹部46bおよび第2凹部47bの断面が半円形であったが、第1凹部46bおよび第2凹部47bの断面は角形のキー溝状であってもよい。かかる形状の第1凹部46bおよび第2凹部47bは、ブローチ加工等によって形成することができる。また、第1歯車46を焼結により形成する場合、第1歯車46は、第1凹部46bも含めて成形により一体に形成される。また、第2歯車47を焼結により形成する場合、第2歯車47は、第2凹部47bも含めて成形により一体に形成される。
【0100】
図12〜
図14を参照して説明した形態において、第1歯車46およびユニット入力軸41はインサート成形により一体化し、第2歯車47およびユニット出力軸43もインサート成形により一体化するにあたって、第1歯車46および第2歯車47を金属製としたが、第1歯車46および第2歯車47を高融点で強度が強い樹脂製としてもよい。かかる樹脂材料としては、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(polyetheretherketone:PEEK)等の芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin:PPS)、ポリイミド(polyimide:PI)を例示することができる。この場合でも、ユニット入力軸41およびユニット出力軸43を構成する樹脂材料が第1歯車46および第2歯車47を構成する樹脂材料より融点が低ければ、第1歯車46およびユニット入力軸41はインサート成形により一体化し、第2歯車47およびユニット出力軸43もインサート成形により一体化することができる。
【0101】
図12〜
図14を参照して説明した形態において、第1歯車46およびユニット入力軸41はインサート成形により一体化し、第2歯車47およびユニット出力軸43もインサート成形により一体化したが、第1歯車46にユニット入力軸41を嵌め込み固定した構造や、第2歯車47にユニット出力軸43を嵌め込み固定した構造を採用してもよい。この場合、第1歯車46および第2歯車47の内径形状をD字形状とし、ユニット入力軸41およびユニット出力軸43において第1歯車46および第2歯車47に嵌る部分の断面をD字形状とすれば、空回りを防止することができる。
【0102】
また、第1歯車46および第2歯車47を金属製とするにあたっては、第1歯車付きユニット入力軸48および第2歯車付きユニット出力軸49の全体を金属製としてもよい。また、第1歯車付きユニット入力軸48および第2歯車付きユニット出力軸49の全体を芳香族ポリエーテルケトン樹脂等によって形成して、第1歯車46および第2歯車47の強度を高めてもよい。
【0103】
[ユニット輪列45の変形例]
図15は、本発明を適用したギヤードモータユニット100に用いたユニット輪列45の変形例の説明図である。
【0104】
上記の実施の形態では、ユニット入力軸41の駆動力をユニット出力軸43に伝達するユニット輪列45として第1歯車46と第2歯車47を備える構成を採用しているが、
図15に示すように、第1歯車46と第2歯車47の間に第3の歯車450を挿入した構成を採用してもよい。このようにすれば、ユニット入力軸41とユニット出力軸43の回転方向を同一方向とすることができる。また、第1歯車46および第2歯車47の外径寸法を大きくしなくても、ユニット入力軸41とユニット出力軸43との軸間距離を広げることができるので、ユニット出力軸43と出力軸3との軸間距離を狭めることができる。
【0105】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とは、同一の構成を備えているが、同一の構成を備えていない2つのギヤードモータを連結ユニット4によって連結して2つの駆動源と各駆動源によってそれぞれ駆動される2本の出力軸を備えるギヤードモータユニットを構成することもできる。この場合には、2つのギヤードモータの間で少なくともケース10とケース30を共通な部材としておけば、2つのギヤードモータを単体として利用する際に、ケースの分だけ部品点数が削減されるので、装置の製造コストを抑制できる。
【0106】
また、上記実施の形態において、ユニット入力軸41とユニット出力軸43とを同一の部材とすることができる。このようにすれば、部品点数が減るので、装置の製造コストを抑制することができる。
【0107】
また、上記実施の形態において、連結ユニット4が第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを連結機能を担っていたが、連結ユニット4については、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを連結機能を備えていない付加ユニットとして構成してもよい。この場合、連結板5等によって、第1ギヤードモータ1と第2ギヤードモータ2とを連結することになる。
【0108】
また、上記実施の形態において、連結ユニット4(付加ユニット)が第1ギヤードモータ1の端面10aおよび第2ギヤードモータ2の端面30aの双方に重なっていたが、連結ユニット4(付加ユニット)が第2ギヤードモータ2の端面30aのみに重なり、第1ギヤードモータ1の端面10aに重なっていない構造を採用してもよい。
【0109】
また、上記実施の形態において、第1歯車46および第2歯車47は平歯車であったが、斜歯歯車であってもよい。