特許第6228802号(P6228802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228802袋状容器の充填装置、袋状容器の充填方法および袋状包装体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228802
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】袋状容器の充填装置、袋状容器の充填方法および袋状包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/22 20060101AFI20171030BHJP
   B65B 3/06 20060101ALI20171030BHJP
   B65B 39/12 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   B65B3/22
   B65B3/06
   B65B39/12
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-210379(P2013-210379)
(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公開番号】特開2015-74457(P2015-74457A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】中川 健司
(72)【発明者】
【氏名】森田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】和久田 佳裕
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正明
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−099904(JP,A)
【文献】 特開平11−292024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/00− 3/36
B65B 37/00−39/14
B65B 7/00− 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状容器を把持するグリッパが円周方向等間隔で設けられた回転体と、この回転体を間欠回転させる駆動手段と、袋状容器の搬送経路上に配置されて、停止中の袋状容器に液体を吐出する充填ノズルと、この充填ノズルの昇降手段とを備え、
袋状容器を充填ノズルの下方に停止させた後、充填ノズルを袋状容器上部に形成された開口部に挿入させて液体を吐出する袋状容器の充填装置において、
前記充填ノズルを、グリッパによって把持されている袋状容器の上部の長手方向に対して交差する方向に傾斜させる傾斜手段を設け、
充填ノズルを袋状容器の開口部に挿入して、傾斜手段によって傾斜させた後に、充填ノズル先端の吐出口側が袋状容器の壁面に当接した状態で液体の吐出を開始し、液体の吐出が終了後、傾斜手段によって充填ノズルの傾斜を解除してから充填ノズルを上昇させることを特徴とする袋状容器の充填装置。
【請求項2】
袋状容器を充填ノズルの下方に停止させた後、充填ノズルを袋状容器上部に形成された開口部に挿入させて液体を吐出する袋状容器の充填方法において、
充填ノズルを袋状容器の開口部に挿入し、この充填ノズルを袋状容器の上部の長手方向に対して交差する方向に傾斜させた後に、充填ノズル先端の吐出口側が袋状容器の壁面に当接した状態で液体の吐出を開始し、液体の吐出が終了後、充填ノズルを垂直に戻してから充填ノズルを上昇させることを特徴とする袋状容器の充填方法。
【請求項3】
袋状容器を充填ノズルの下方に停止させた後、充填ノズルを袋状容器上部に形成された開口部に挿入させて液体を吐出充填した後、袋状容器の上部をシールして密封する袋状包装体の製造方法において、
前記充填ノズルを袋状容器の開口部に挿入する工程と、この充填ノズルを袋状容器の上部の長手方向に対して交差する方向に傾斜させる工程と、充填ノズル先端の吐出口側が袋状容器の壁面に当接した状態で液体の吐出を開始する工程と、液体の吐出が終了後、充填ノズルを垂直に戻してから充填ノズルを上昇させる工程と、袋状容器の上部をシールする工程を有することを特徴とする袋状包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に飲料やシャンプー等の液体を充填する充填装置および充填方法に係り、特に、袋状の容器に充填を行う充填装置および充填方法に関するものである。また、袋状容器に充填を行い袋状包装体を製造する製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に液体を充填する充填装置では、泡立ちの激しい液体の充填を行う場合には、充填中に容器から泡が溢れ出るのを防ぐために泡立ちを防ぐ必要がある。このような泡立ちを防ぐための構成を備えた充填装置は従来から広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された発明では、充填中の液体の泡立ちを抑えるため、容器または充填ノズルを傾斜させて、充填ノズルから放出された充填流を容器の壁に対して垂直ではなく、鋭角に流すことにより、充填流の衝撃を効果的に弱めるようにする構成が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、袋状の容器をグリッパによって保持して搬送し、停止中に開口部を開放し、この開口部から充填ノズルを挿入して充填を行う構成の充填装置が記載されている。この特許文献2に記載された構成では、グリッパにより保持された袋状容器の搬送経路の途中に充填ステーションが設けられ、この充填ステーションに固定配置された充填ノズルにより、停止している袋状容器に充填を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−104403号公報
【特許文献2】特開2012−30811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献2のように、回転体の周囲に設けられた間欠移動するグリッパに対して、充填ノズルが回転体の外部に固定配置されている場合には、容器を傾斜させようとすると個々のグリッパすべてに傾斜機構を設けなければならず、構造が複雑になるという問題があった。また、扁平な袋状容器の場合には、傾斜させる方向が上から見て長手方向に平行な方向に傾斜させようとすると、幅の大きい容器では大きく傾斜させないと充填ノズルの先端を袋状容器の壁面に当てることができない。逆に長手方向に直角な方向に傾斜させようとすると、その材質によっては袋状容器が途中で折れてしまい、底部側まで上手く充填できなくなるという問題があった。
【0007】
さらに、前記特許文献1には、図9に示すように充填ノズルを傾斜させる構成が記載されているが、この構成では、充填ノズルの先端を容器の開口部の上方に位置させて充填を行っており、粘性の高い液体の場合には、容器に垂れてしまうおそれがある。また、充填ノズルから吐出された液体を容器の壁面に当てるには強く吐出する必要があり、逆に泡立ちを促進させるおそれがある等種々の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、袋状容器を把持するグリッパが円周方向等間隔で設けられた回転体と、この回転体を間欠回転させる駆動手段と、袋状容器の搬送経路上に配置されて、停止中の袋状容器に液体を吐出する充填ノズルと、この充填ノズルの昇降手段とを備え、袋状容器を充填ノズルの下方に停止させた後、充填ノズルを袋状容器上部に形成された開口部に挿入させて液体を吐出する袋状容器の充填装置において、前記充填ノズルを、グリッパによって把持されている袋状容器の上部の長手方向に対して交差する方向に傾斜させる傾斜手段を設け、充填ノズルを袋状容器の開口部に挿入して、傾斜手段によって傾斜させた後に、充填ノズル先端の吐出口側が袋状容器の壁面に当接した状態で液体の吐出を開始し、液体の吐出が終了後、傾斜手段によって充填ノズルの傾斜を解除してから充填ノズルを上昇させることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、第の発明は、袋状容器を充填ノズルの下方に停止させた後、充填ノズルを袋状容器上部に形成された開口部に挿入させて液体を吐出する袋状容器の充填方法において、充填ノズルを袋状容器の開口部に挿入し、この充填ノズルを袋状容器の上部の長手方向に対して交差する方向に傾斜させた後に、充填ノズル先端の吐出口側が袋状容器の壁面に当接した状態で液体の吐出を開始し、液体の吐出が終了後、充填ノズルを垂直に戻してから充填ノズルを上昇させることを特徴とするものである。
【0012】
また、第の発明は、袋状容器を充填ノズルの下方に停止させた後、充填ノズルを袋状容器上部に形成された開口部に挿入させて液体を吐出充填した後、袋状容器の上部をシールして密封する袋状包装体の製造方法において、前記充填ノズルを袋状容器の開口部に挿入する工程と、この充填ノズルを袋状容器の上部の長手方向に対して交差する方向に傾斜させる工程と、充填ノズル先端の吐出口側が袋状容器の壁面に当接した状態で液体の吐出を開始する工程と、液体の吐出が終了後、充填ノズルを垂直に戻してから充填ノズルを上昇させる工程と、袋状容器の上部をシールする工程を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る袋状容器の充填装置では、充填ノズルを傾斜させる傾斜手段を設け、充填ノズルを袋状容器内に挿入してから傾斜させた後に液体の吐出を開始するようにしたので、液体が袋状容器の内壁面を沿うようにして流れるため、袋状容器に液体を充填する際の泡立ちを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の一実施例に係る袋状容器の充填装置を備えた袋状容器の処理装置の全体の構成を簡略化して示す斜視図である。(実施例1)
図2図2は充填ステーションを示す図であり、図(a)は半径方向の縦断面図、図(b)は充填ノズルの正面図である。
図3図3は充填ノズルの傾斜手段を示す図である。
図4図4は充填動作を順次説明する図である。
図5図5グリッパに保持された袋状容器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の袋状容器の充填装置を備えた袋状容器の処理装置は、回転体(ターンテーブル)の外周部に円周方向等間隔で複数のグリッパが設けられており、袋状容器供給手段によって供給された袋状容器をグリッパによって把持する。袋状容器は、回転方向の前後をグリッパによって把持され、その上端部の長手方向をターンテーブルの接線方向に向けて搬送される。駆動手段によってターンテーブルを間欠的に回転させ、グリッパに把持されている袋状容器を各処理ステーションに順次停止させてそれぞれの処理を行う。開口ステーションで、ターンテーブルの半径方向外方側と内方側にそれぞれ配置された吸着パッドによって袋状容器の両面側を吸着し、後退することにより袋状容器の開口部を開放する。さらに、開放している袋状容器の開口部に開口フラッパを挿入して確実に開口する。
【0017】
充填ステーションには、回転体の外部側に充填ノズルが配置されており、この充填ノズルは、昇降手段によって昇降されるとともに、傾斜手段によって、袋状容器の上部の長手方向に対して交差する方向に傾斜可能になっている。開口フラッパとともに回転移動して充填ステーションに停止した袋状容器に、充填ノズルを下降させて開口部内に挿入する。その後、開口フラッパを抜き出した後、傾斜手段によって充填ノズルを傾斜させ、その先端の吐出口側を袋状容器の内面に当接させる。この状態で液体の内容物の充填を行い、終了後、充填ノズルを傾斜した状態から直立した状態に戻した後、袋状容器から充填ノズルを抜き出す。その後、袋とじステーションで袋状容器の開口部を閉じ、シールステーションで開口部をシールした後、冷却ステーションで冷却して排出コンベヤに排出することによって、液体の内容物を収容した袋状包装体を製造する。このように充填ステーションの充填ノズルに傾斜機構を設け、充填ノズルを袋状容器内に挿入して傾斜させた後充填を開始するという構成により、充填液を袋状容器の内壁面に沿って流下させるようにして、液体への衝撃を少なくすることが可能になり、泡立ちの発生を抑制するという目的を達成することができる。
【0018】
ここで袋状容器とは、例えば印刷適性に優れ、対内容物バリア性のある外側樹脂フィルム層とシール性(熱シール性等)に優れた内側樹脂フィルム層等を適宜積層した樹脂製の胴部フィルム同士の左右両縁部および底縁部をシール(熱シール等)して作られる平型袋状容器、あるいは前記樹脂製フィルム同士の間に別の樹脂製フィルムを挟み込み、周縁部をシールして作られる自立性の袋状容器(いわゆるスタンディングパウチ)等を指す。
【0019】
本明細書で袋状容器の上部の長手方向とは、袋状容器の開口部における前記胴部フィルムの左右両縁部の方向を指す。
【0020】
また、袋状容器には、洗剤類、化粧品類、食品類、医薬類等、種々の液体が充填され、その開口部がシールされて袋状包装体となる。
【実施例1】
【0021】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この袋状容器の充填装置は袋状容器の処理装置(全体として符号1で示す)に設けられている。この袋状容器の処理装置1は、図1に示すように、回転体(ターンテーブル)2の外周部に円周方向等間隔で複数のグリッパ4(後に説明する図2および図5参照)が設けられている。このグリッパ4を備えたターンテーブル2に、袋状容器供給装置6(図示を省略)によって袋状容器8が供給され、各グリッパ4に保持される。ターンテーブル2が図示しない駆動手段の駆動によって間欠的に回転することにより、グリッパ4に保持された袋状容器8が各処理ステーションに順次停止されて、それぞれの処理が行われる。なお、この実施例では、8箇所の処理ステーションA〜Hが設けられており、各ステーションA〜Hで袋状容器8を2個ずつ処理するようになっている。従って、ターンテーブル2には、一つの袋状容器8を把持する一対のグリッパ4が2個一組として円周方向等間隔で8組、計16個のグリッパ4が設けられている。このターンテーブル2は、1/8回転ずつ間欠動作して、2個(2対)のグリッパ4がそれぞれ保持している2枚の袋状容器8を各ステーションA〜Hに順次停止させる。
【0022】
ターンテーブル2の周囲に設けられている8箇所の処理ステーションA〜Hについて簡単に説明すると、袋状容器供給装置6によって袋状容器8が供給される第1位置が給袋ステーションA、その次の第2位置が印字装置9によって袋状容器8に印字を行う印字ステーションB、第3位置は、閉じた状態の開口部側を上にして、グリッパ4に両側端部を把持されている袋状容器8を開口する開口ステーションC、第4位置が、開口している袋状容器8内に充填ノズル10を挿入して液体等の内容物を充填する充填ステーションD、第5位置は、袋状容器8の上方に位置している開口部を閉じる袋閉じステーションE、第6位置は、液体が充填された袋状容器8の開口部をシールする第1シールステーションF、第7位置は、同様の第2シールステーションGであり、袋状容器8の形状に応じていずれか一方のシールステーションF、Gでシールが行われる。最後の第8位置は、前記第1シールステーションFまたは第2シールステーションGでシールをした部分の安定化を図るために冷却を行う冷却ステーションHであり、この冷却ステーションHで冷却処理が済んだ袋状容器8は、グリッパ4から解放され、排出コンベヤ12によって排出されて次の工程に送られる。なお、この実施例で扱う袋状容器8は、図5に示すように上端の一部分、中央に開口部8aが形成されており、開口部8aを挟んで両側にシール部8bが形成されている。この袋状容器8は、充填を行う前の状態では、両面が密着した扁平形状をしている。
【0023】
袋状容器供給装置6は、袋状容器8の開口部8a側を搬送方向の前方側(下流側)を向けた状態で連続的に供給する供給コンベヤ(図示せず)を備えており、この供給コンベヤ上の先頭の袋状容器8を、一枚ずつ取り出して位置決めをした後、受け渡し手段によって、給袋ステーションAに停止しているグリッパ4に受け渡す。各グリッパ4は、それぞれ一対のグリップ部材を備えており、これら両グリップ部材によって袋状容器8の両面側から挟んで保持するようになっており、この実施例では、両側に配置された2個のグリッパ4によって、前記袋状容器供給装置6から供給された袋状容器8の両側のシール部8bの下方を把持するようになっている(図5参照)。
【0024】
第3位置の開口ステーションCには、グリッパ4に保持されて搬送されてきた袋状容器8の開口部8aを開放する開放手段としての吸着パッド(図示せず)が設けられている。開口ステーションCに搬送されてくる袋状容器8は、開口部8aを上に向け、この開口部8aに近い上部の両側端部をグリッパ4よって把持されて、ほぼ垂直に垂れ下がった状態で搬送されてくる。袋状容器8は、その両面が密着した状態で、一方の面をターンテーブル2の半径方向外方側を向け、他方の面を半径方向の内方側を向けて保持されており、吸着パッドは、この両面を吸着できるように、グリッパ4に保持されて搬送される袋状容器8の移動経路の内側と外側にそれぞれ配置されている。
【0025】
前記開口ステーションCには、袋状容器8の開口部8aから内部に挿入され、内部で拡開することにより袋状容器8を強制的に開放するとともに、袋状容器8の内部にエアを吹き込んで袋状容器8を底部側まで完全に開放するための開口フラッパ16が設けられている(図2(a)参照)。この開口フラッパ16には、回転および昇降させる機構が設けられており、回転機構によってターンテーブル2の第3位置の開口ステーションCと第4位置の充填ステーションDとの間で往復回動されるとともに、昇降機構によって、袋状容器8内に挿入された位置と上方の位置との間で昇降できるようになっている。開口フラッパ16は、下部側が外方へ向けて折り曲げられた一対のフラッパ部材16a、16bを有している。これら各フラッパ部材16a、16bは、その内部にエア通路が設けられており、このエア通路から袋状容器8内にエアを噴射できるようになっている。また、この実施例では、開口フラッパ16の両フラッパ部材16a、16bを閉じた状態(下部が当接して鉛直方向を向いた状態)で袋状容器8の開口部8aから内部に挿入し、両フラッパ部材16a、16bを拡開することにより袋状容器8の開口部8aを開放する。
【0026】
前記開口ステーションCの次の第4位置は充填ステーションDであり、グリッパ4によって把持されて搬送されてくる2個の袋状容器8に対し液体等の内容物の充填を行う2本の充填ノズル10が配置されている。これら充填ノズル10は昇降動作を行うようになっており、開口ステーションCで、吸着パッドおよび開口フラッパ16によって開口部8aから下部までに亘って開放された袋状容器8が、開口フラッパ16によって開放した状態を維持したまま搬送されて来ると、下降されて袋状容器8に内に挿入される。なお、この実施例では、シリンダピストン式の充填方式を用いており、図示しないシリンダピストン機構によって定量の液体を袋状容器8内に充填する。但し、その他の充填方式を用いることもできる。
【0027】
充填ノズル10は、充填ステーションDが設けられた位置の、前記ターンテーブル2の外側に配置されている。図2(a)、(b)に示すように、下方に配置された固定プレート18上の、ターンテーブル2の外側に、直立した固定筒20が設置されており、この固定筒20を貫通して昇降軸22が昇降可能に支持されている。この昇降軸22は、下端部が基台24上に設置されたサーボモータ26の駆動軸に連結され、サーボモータ26の駆動により昇降される。また、この昇降軸22の上端に、水平な取付プレート28を介して2本の充填ノズル10が支持されている。水平な取付プレート28の両端に、グリッパ4に保持されて搬送されてきた袋状容器8に対して直交する方向を向けて、ベース30が取り付けられている。充填ノズル10は、これらベース30に支点ピン32を介して支持されており、この支点ピン32を中心に揺動することができる。水平な取付プレート28の下面にシリンダ34が取り付けられており、このシリンダ34によって前記支点ピン32よりもやや下方を押されて、充填ノズル10の先端(下端)の吐出口10aをターンテーブル2の中心方向を向けて傾斜させる。また、ベース30上には、充填ノズル10の上部側を向けてストッパ36が設けられており、シリンダ34によって下部側が押されたときに、充填ノズル10の支点ピン32よりも上方位置がこのストッパ36に当たることにより充填ノズル10の傾斜位置が規制される。
【0028】
以上の構成に係る袋状容器の処理装置1の作動について説明する。袋状容器の処理装置1の第1位置である給袋ステーションAの前方に、袋状容器供給装置6が設けられており、図示しない供給コンベヤによって搬送されてきた袋状容器8を、受け渡し手段が取り出して、この給袋ステーションAに停止しているグリッパ4に受け渡す。袋状容器8は、開口部8a側を上方に向けて受け渡され、グリッパ4は、図5に示すように、袋状容器8の上端両側に設けられたシール部8bのやや下方を把持する。
【0029】
給袋ステーションAでグリッパ4に把持された袋状容器8は、間欠回転するターンテーブル2の一ピッチの回転(1/8回転)により次の印字ステーションBに停止する。この印字ステーションBには印字装置9が設けられており、袋状容器8に所定の印字が行われる。
【0030】
ターンテーブル2の次の1ピッチ分の回転により、袋状容器8は、次の開口ステーションCに送られる。この開口ステーションCには、吸着パッド(図示せず)が設けられており、半径方向内方側と外方側の吸着パッドが互いに接近して袋状容器8を両面から吸着する。袋状容器8を吸着した内外の吸着パッドを後退させるとともに、両側一対のグリッパ4を接近させて吸着パッドによる袋状容器8の開放動作を補助する。
【0031】
袋状容器8の開口部8aが開放された時点で、開口フラッパ16は、両フラップ部材16a、16bの下部側を閉じた状態で上方に停止しており、その後、昇降手段により開口フラッパ16を下降させて、その下端部を、開放している袋状容器8の開口部8a内に挿入する。その後、開口フラッパ16の下部側を拡開して、袋状容器8の開口部8aを開放する。続いて、吸着パッドを前進(互いに接近)させるとともに、両グリッパ4を再度離隔させ、開口フラッパ16を挿入した状態のまま、開口部8aと開口フラッパ16との間に形成されている隙間を閉鎖した後、開口フラッパ16から袋状容器8内にエアを噴射して袋状容器8を完全に開放させる。その後、再び両吸着パッドを後退(離隔)させるとともに、両グリッパ4を接近させることにより袋状容器8の開口部8aを開放して、袋状容器8全体を開放した状態にする。
【0032】
袋状容器8全体を開放した後、吸着パッドのバキュームを解除して袋状容器8を離す。続いて、ターンテーブル2の回転による袋状容器8の移動に追従して、開口フラッパ16を回転機構により回転させる。
【0033】
ターンテーブル2の回転により、開口フラッパ16が挿入されたまま回転搬送された袋状容器8が、充填ステーションDに到達して停止すると、開口フラッパ16が挿入された状態のまま、上方に停止していた充填ノズル10(図4(a)参照)が下降されて袋状容器8内に挿入される(図4(b)参照)。充填ノズル10は袋状容器8に挿入される時点では図3に示すように直立した状態になっており、この状態でサーボモータ26の駆動により昇降軸22が下降され、充填ノズル10の先端の吐出口10a側が袋状容器8内に挿入される。
【0034】
直立した状態の充填ノズル10を袋状容器8内に挿入した後、開口フラッパ16を上昇させて袋状容器8の開口部8aから抜き取る(図4(c)参照)。その後、シリンダ34を作動させて、充填ノズル10の支点ピン32によって支持されている位置よりも下方側を、ターンテーブル2の中心方向に押圧し、充填ノズル10を袋状容器8の上端部の長手方向に対し直交する方向(ターンテーブル2の接線方向に対する直交方向)に傾斜させる。このように充填ノズル10を傾斜させることにより、充填ノズル10の先端の吐出口10a側を袋状容器8の壁面に当接させる(図4(d)参照)。
【0035】
充填ノズル10の先端を袋状容器8の内壁面に当接させた状態で液体の充填を開始する(図4(e)参照)。所定量の充填を行った後(図4(f)参照)、シリンダ34の作動により充填ノズル10を垂直な状態に戻す(図4(g)参照)。充填ノズル10を垂直な状態に戻した後、サーボモータ26の駆動により昇降軸22を上昇させて充填ノズル10を袋状容器8から抜き取る(図4(h)参照)。
【0036】
充填が終了した後、ターンテーブル2の回転により、袋状容器8は次の袋閉じステーションEに移動される。袋閉じステーションEで停止した後、両グリッパ4を離隔させることによって、袋状容器8の両側端部を引き離し、開放していた開口部8aを閉じる。また、前記開口フラッパー16は、上昇した位置のまま充填ステーションDから開口ステーションCに戻り、次の袋状容器8に挿入される。
【0037】
その後、ターンテーブル2の一ピッチ分ずつの回転によって第1シールステーションF、第2シールステーションGに順次停止する。これらのシールステーションF、Gでは、各袋状容器8の形状、サイズ等に応じて予め決められたいずれかのステーションでシールが行われる。続いて、冷却ステーションHまで搬送されて冷却された後、袋状容器8を把持していたグリッパ4を開放して袋状容器8を離す。すると、袋状容器8はグリッパ4から開放されて排出コンベヤ12に載せられてこの袋状容器の処理装置1から排出され、次の工程へ送られる。
【符号の説明】
【0038】
2 回転体(ターンテーブル)
4 グリッパ
8 袋状容器
8a 袋状容器の開口部
10 充填ノズル
26 昇降手段(サーボモータ)
図1
図2
図3
図4
図5