(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口部に隣接する位置に設けられた前記空気吹出口又は前記空気吸引口とは別に、該空気吹出口又は該空気吸引口から離間した位置に、空気吸引口が設けられている請求項1に記載のシート融着体の製造装置。
前記支持部材が、軸周りに回転可能な円筒ロールを具備し、該円筒ロールは、これが一周する間に、その周面において、空気を吸引するゾーンと空気を噴出するゾーンとを有する請求項1ないし4のいずれか一項に記載のシート融着体の製造装置。
前記支持部材の面のうち、前記照射ヘッドに臨む面の側に、前記開口部に通ずるとともに、該照射ヘッドから照射されたレーザー光が該開口部に到達可能な狭空間部が、該開口部の延びる方向に沿って形成されており、
前記空気吹出口又は前記空気吸引口が、前記狭空間部に向けて開口しており、
前記狭空間部は、前記円筒ロールの軸線方向と直交する方向での断面で見たときの最大長さをDとし、前記開口部の延びる方向に沿った長さをLとしたとき、D/Lの値が0.05以下である請求項5に記載のシート融着体の製造装置。
前記開口部に向けて空気を吹き付けるか、又は該開口部から空気を吸引することに加えて、該開口部から離間した位置において、空気を吸引する請求項7に記載のシート融着体の製造方法。
前記支持部材が、軸周りに回転可能な円筒ロールを具備し、前記円筒ロールとして、これが一周する間に、その周面において、空気を吸引するゾーンと空気を噴出するゾーンとを有するものを用いる請求項7ないし10のいずれか一項に記載のシート融着体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態の製造装置及び製造方法で製造されるシート融着体、すなわち、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体は、例えば、
図1ないし
図3に示すとおり、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1である。先ず、
図1ないし
図3に基づいてパンツ型使い捨ておむつ1について説明する。
【0011】
おむつ1は、
図1及び
図2に示すように、吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌当接面側に配されて該吸収性本体2を固定している外装体3とを備え、かつ腹側部1Aにおける外装体3の両側縁部と背側部1Bにおける該外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部4,4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9,9が形成されているパンツ型使い捨ておむつである。このサイドシール部4が、前記の「複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部」に相当する部分である。
【0012】
本実施形態の製造装置及び本実施態様の製造方法で製造されるおむつ1の主たる特長部分の1つとして、サイドシール部4が挙げられる。
図2及び
図3に示す如き、サイドシール部4の延びる方向と直交する方向(おむつ1の幅方向)の断面視において、前記分断によって生じたサイドシール部4の外縁4aが、外装体3(シート融着体)の内方に向かって凸の弧状をなし、かつ外縁4aを含んでそれよりも外装体3の内方に、該外装体3を構成する4枚のシート31,32どうしの融着部40が形成され、該融着部40は、該外装体3の厚み方向(
図2の上下方向)の中央部が両端部(上端部及び下端部)に比して幅が広い。すなわち、融着部40は、おむつ1の幅方向(レーザー光による分断方向と直交する方向)の断面視したときに、厚み方向において中央部に向けて融着部40の幅が徐々に広くなっており、所謂、三日月状又は半月状に形成されている。なお、
図2に示す融着部40は、三日月状である。
【0013】
一般的に、サイドシール部とは、シートの形成材料が溶融固化してなる融着部の存在により、おむつの他の部位に比して硬くて肌触りが悪く、おむつの着用感を低下させる原因となり得る部位である。しかし、おむつ1の有するサイドシール部4のように、融着部40がおむつ1の幅方向の断面視において三日月状又は半月状に形成されていると、従来のサイドシール部における融着部のように同断面視において矩形形状に形成されている場合に比して、サイドシール部4を構成する外装体3の側縁部の角部3Sに存する融着部40の割合が減少し、これにより角部3Sが本来有する柔軟性、肌触り感が損なわれ難くなる。そのため、おむつ1は、従来品に比しておむつの着用感が向上する。一方、サイドシール部4の融着強度に大きな影響を及ぼす部位である、外装体3の側縁部の厚み方向の中央部(
図3に示す外装体3の一面側の角部3Sと他面側の3Sとに挟まれた部分の中央部)には、十分な量の融着部40が存しているため、サイドシール部4は実用上十分な融着強度を有し、おむつ1の着用中にサイドシール4が破れる等の不都合が生じ難い。
【0014】
また、サイドシール部4(融着部40)は、おむつ1の着用状態又は自然状態(収縮状態)において外部から視認し難いという特徴を有している。
図3には、おむつ1の着用時にウエスト開口部8が拡げられた状態における、サイドシール部4(融着部40)が示されている。ウエスト開口部8が拡げられた状態において、サイドシール部4は、通常は
図3(a)に示すように、融着部40が露出した状態となるが、サイドシール部4の外縁4aが外装体3の内方に向かって凸の弧状をなしていること、及び融着部40が従来のサイドシール部(融着部)に比して小さいこと等により、外部から視認し難い。特に、サイドシール部4の外縁4aが外装体3の内方に向かって凸の弧状をなしていることにより、シート31,32の形成材料如何によっては、
図3(b)に示すように、おむつ1の着用時にウエスト開口部8が拡げられた状態においては、腹側部1A側の外装体3の側縁部の角部3Sと背側部1B側の外装体3の側縁部の角部3Sとが接近し、両角部3S,3S間の離間距離が縮まる場合がある。そのため、両角部3S,3S間に位置する融着部40は、該融着部40よりもおむつ1の外方側に位置する、互いに近接した両角部3S,3Sによって、手で触れ難くかつ外部から視認し難い状態となり、それによって、おむつ1の着用感のみならず外観も向上する。
【0015】
サイドシール部4のシール縁部41は、
図3(a)及び(b)に示すように、着用時におけるサイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、融着部40の外縁4aが、着用物品の内方に向かって窪んだ形状を有している。また、サイドシール部4における融着部40は、同断面において、おむつの外面に表れる幅W4が狭く、その幅W4は、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下であり、更に好ましくは2mm以下である。
【0016】
なお、おむつ1の着用状態又は自然状態(収縮状態)においてサイドシール部4(融着部40)が外部から視認し難い状態となると、例えばおむつ1の使用後に、着用者である乳幼児からその保護者(例えば母親)がおむつを取り外す際にサイドシール部4を見つけ難く、おむつ1の取り外し作業に手間取るおそれがある。このような、サイドシール部4の視認性の低下に起因する不都合を解消する手段としては、例えば、サイドシール部4を横断するおむつ1の構成部材の色を、サイドシール部4よりも腹側(前側)と背側(後側)とで異ならせる方法が挙げられる。より具体的には例えば、おむつ1の腹側部1A(前見頃)と背側部1B(後見頃)とで、ウエスト部弾性部材5又は外装体3(外層シート31、内層シート32)の色を異ならせる方法が挙げられる。斯かる方法により、色の切り替え部分にサイドシール部4が位置するようになるため、サイドシール部4の目視による視認性が高まり、前記不都合の発生が効果的に防止される。
【0017】
続いて、本発明の製造装置の好ましい実施形態であるレーザー式接合装置20及び本実施態様の製造方法について、
図4ないし
図10に基づいて詳述する。
図4に示すとおり、レーザー式接合装置20(複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造装置)は、レーザー光30を集光するレンズ311を有する照射ヘッド312と、少なくとも一部に樹脂材を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体(おむつ連続体10)の一方の面を支持しながら搬送する支持部材21と、加圧手段として無端状の加圧ベルト24(押さえ部材)及び該加圧ベルト24が架け渡された状態で回転する複数本(3本)のロール25a,25b,25cを備えたベルト式加圧装置26とを備えている。レーザー式接合装置20は、あらかじめ別途製造されたおむつ連続体10(帯状のシート積層体)に対して、
図4に示すように、レーザー光を照射して、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有する外装体3(シート融着体)を具備するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)を連続的に製造する装置である。
【0018】
本実施形態のレーザー式接合装置20は、
図4に示すように、回転軸周り(矢印A方向)に回転する環状の支持部材21を備えた中空の円筒ロール23と、中空の円筒ロール23の中空部に配され、該円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド312とを備えている。レーザー式接合装置20は、環状の支持部材21の外周面に帯状のおむつ連続体10(シート積層体)が巻き掛けられて搬送される装置である。
【0019】
レーザー式接合装置20は、支持部材21の外周面(円筒ロール23の周面部)に巻き掛ける加圧ベルト24の張力を増減調整できる張力調整機構(図示せず)を備え、該張力の調整により、支持部材21と加圧ベルト24とによって、おむつ連続体10(シート積層体)に加える圧力を適宜調整することができる。
【0020】
図4に示すように、中空の円筒ロール23の中空部には、該円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド312が設けられている。照射ヘッド312は、レーザー光30を自在に走査するガルバノスキャナ(モータ軸にミラーが付いた装置)であり、レーザー光30を円筒ロール23の回転軸と平行な方向(
図4中符号Xで示す方向)に進退させる機構、レーザー光30が支持部材21上のおむつ連続体10に当たる位置(照射点)を円筒ロール23の周方向に移動させる機構、及び円筒ロール23の周面上でレーザー光30のスポット径を一定にする機構等を備えている。レーザー照射機構は、このような構成を有することによって、レーザー光30の照射点を、円筒ロール23の周方向及び該周方向と直交する方向(
図4中符号Xで示す方向。円筒ロール23の回転軸と平行な方向。)の両方向に任意に移動させることができる。
【0021】
支持部材21は、集光されたレーザー光30が該支持部材21側から通過可能な、おむつ連続体10の幅方向(
図4中符号Xで示す方向)に長いスリット状の開口部27を有している。具体的には、支持部材21は、
図4に示すように、円筒ロール23の周面部(被加工物との当接部)を形成しており、円筒ロール23の左右両側縁部を形成する一対の環状の枠体22,22間に挟持固定されている。支持部材21は、環状の枠体22の周長と同じ長さの単一の環状部材から構成されており、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属又はセラミックス等の耐熱性を有する材料からなる。
【0022】
図5ないし
図10には、レーザー式接合装置20の要部がそれぞれ示されている。レーザー式接合装置20は、基台100上に立設された一対の側板101によって支持されている。レーザー式接合装置20は固定軸102を有する。固定軸102が、対向する一対の側板101間に架け渡されることで、レーザー式接合装置20は側板101間に支持される。レーザー式接合装置20を構成する円筒ロール23と固定軸102との間にはベアリング106が配置されており、該ベアリング106によって円筒ロール23は固定軸102に対して回転可能になっている。
【0023】
円筒ロール23は、一方の枠体22と一方の側板101との間に位置するプーリ103を有する。プーリ103には駆動ベルト104が架け渡されている。駆動ベルト104は、基台100上に載置された駆動源105に接続されている。駆動源105を駆動させることで、回転運動が駆動ベルト104を介してプーリ103に伝達されて、円筒ロール23は
図5中、矢印で示す方向に回転する。
【0024】
図5に示すとおり、円筒ロール23の内部には、管体140a,140bが配置されている。管体140a,140bは、その長手方向を円筒ロール23の軸方向と一致させた状態で、かつその一端が円筒ロール23の内部に位置するように配置されている。この一端には、空気の吸引部材(後述する
図9参照)が取り付けられている。管体140a,140bの他端は円筒ロール23の外部に位置し、該他端は空気の吸引装置(図示せず)に接続されている。
【0025】
図6並びに
図7(a)及び(b)に示すとおり、支持部材21は、レーザー光が通過可能な光通過部である前記スリット状の開口部27を有している。なお、
図7(a)及び(b)では、説明を容易にする観点から、支持部材21及び加圧ベルト24並びに支持部材21と加圧ベルト24との間に挟まれたおむつ連続体10が、
図7(a)及び(b)中、左側から右側に向かって水平移動しているかのように記載しているが、実際にはこれら各部材は、
図5及び
図6に示すとおり、円筒ロール23の円筒状に対応した湾曲状態で回転移動している。
【0026】
図5ないし
図7に示すとおり、開口部27は、平面視して矩形形状を有し、その長手方向を支持部材21の幅方向(
図7(a)中符号Xで示す方向。円筒ロール23の回転軸と平行な方向。)に一致させて、円筒状の支持部材21の周方向に所定間隔を置いて複数形成されている。支持部材21は、開口部27ではレーザー光を通過させる一方、開口部27以外の部分ではレーザー光を通過(透過)させない。支持部材21に開口部27を形成する方法としては、1)支持部材21の所定箇所にエッチング、パンチング、レーザー加工等により開口部27を穿設する方法の他、2)支持部材21として、単一の環状部材に代えて、湾曲した矩形形状の部材を複数用い、それら複数の部材を、一対の枠体22,22間に、該枠体22の周方向に所定間隔を置いて配置する方法が挙げられる。前記2)の方法では、隣接する2つの部材の間隔が、スリット状の開口部27となる。
図5及び
図6に示す実施形態では、2)の方法が採用されている。
【0027】
なお、レーザー式接合装置20においては、レーザー光が通過可能な光通過部が、支持部材21を厚み方向に貫通する(スリット状の)開口部27からなるため、おむつ連続体10における開口部27と重なる部分(分断予定部分10C)は、加圧ベルト24が当接するだけで、支持部材21と加圧ベルト24(押さえ部材)とで挟まれない。したがって厳密に言えば、分断予定部分10Cには、両部材21,24で挟持されることにより発生する加圧力は発生しない。しかし、開口部27と重なる分断予定部分10Cは、それ自体は両部材21,24で挟持されなくとも、その近傍、すなわち、おむつ連続体10における開口部27の近傍(開口縁部)と重なる部分は両部材21,24で挟持されるため、レーザー光の照射前後で動かず、したがって、レーザー光の照射によるおむつ連続体10の分断によって生じた切断縁部は動かない。つまり、おむつ連続体10の分断予定部分10C(シート積層体における開口部27と重なる部分)は、両部材21,24での挟持による加圧力により拘束された部分であり、該加圧力が事実上影響する部分である。
【0028】
支持部材21は、その外面(被加工物との当接面)に凹部28を有している。凹部28は、円筒状の支持部材21の周方向に所定間隔を置いて複数形成されており、隣接する2つの凹部28,28間に位置する領域(凸部)に、スリット状の開口部27が形成されている。開口部27は、前記凸部における円筒状の支持部材21の周方向の中央に形成されている。
【0029】
このように、支持部材21の外面に凹部28が形成されていることにより、おむつ連続体10の厚みが均一でない場合は、該おむつ連続体10における相対的に厚みの大きい部分(例えば吸収性本体2の配置領域)が凹部28内に収まるように、該おむつ連続体10を支持部材21の外面上に導入することが可能となる。そして、おむつ連続体10をそのように支持部材21上に導入すると、
図7(b)に示すように、おむつ連続体10における加圧ベルト24との当接面(他方の面10b)が略平坦となるため、加圧ベルト24をおむつ連続体10に押し付けたときに、おむつ連続体10における、開口部27が形成された前記凸部上に位置する部分(
図7中符号10Cで示す分断予定部分及びその近傍)全体が、おむつ連続体10の支持部材21への所定のテンションでの巻き掛けと加圧ベルト24とによって、所定の圧力でその厚み方向に均一に加圧されるようになり、こうしてレーザー光の照射による分断前から厚み方向に加圧された該部分に、レーザー光を照射して該部分を分断したときに、その分断された該部分を構成する複数枚のシートの切断縁部どうしをより確実に融着させることが可能となり、サイドシール部4(シール縁部)の融着強度の一層の向上が図られる。
【0030】
図5及び
図6に示すとおり、支持部材21は、先に述べた凹部28を有する第1支持部111と、隣接する2つの凹部28,28間に位置する凸部を構成する第2支持部112とを有している。第1支持部111と第2支持部112とは、円筒ロール23の回転方向に沿って交互に配置されている。なお、
図5及び
図6では、円筒ロール23の内部構造の理解を助けるために、一部の第1支持部111が取り外された状態が示されている。実際には、円筒ロール23の周面は、その全域が第1支持部111及び第2支持部112で構成されており、該周面を通じては、該円筒ロール23の内部は視認できない。
【0031】
図6に示すとおり、第1支持部111には、その外面、すなわちおむつ連続体10と対向する面において開口している多数の吸引孔111aが設けられている。吸引孔111aは、第1支持部111の厚み方向と直交する方向に延びるように穿設された連通孔111bと連通している。連通孔111bは、円筒ロール23の軸方向と同方向に延びている。連通孔111bは、第1支持部111の側面において開口している。
【0032】
図6に示すとおり、第2支持部112は、該第2支持部112の厚み方向と直交する方向に延びるように穿設された連通孔112bを有している。連通孔112bは、円筒ロール23の軸方向と同方向に延びている。この連通孔112bは、後述する
図8に示す吸引孔112aと連通している。また、この連通孔112bは、第2支持部112の側面において開口している。
【0033】
図8及び
図9には、円筒ロール23の内部の要部が示されている。同図に示すとおり、支持部材21を構成する第2支持部112は、その内面、つまり照射ヘッド312と対向する面に凹部120を有している。凹部120の底部は開口しており、その開口の位置においてスリット状の開口部27が露出している。凹部120の壁面には複数の吸引孔112aが開口している。吸引孔112aは、開口部27に隣接する位置に形成されている。また吸引孔112aは、開口部27の延びる方向に沿って配置されている。更に吸引孔112aは、先に述べた連通孔112bと連通している。吸引孔112aは、スリット状の開口部27から空気を吸引するためのものである。
【0034】
ところで、第2支持部112は、その外面、すなわちおむつ連続体10と対向する面が別部材で構成されていてもよい。こうすることで、スリット状の開口部27の間隙の調整を容易に行うことができ、レーザー光30の照射によるおむつ連続体10の分断及び融着を一層首尾よく行うことができる。
図8及び
図9には、別部材122を有する第2支持部112が示されている。別部材122は、例えば板状のものである。
【0035】
先に述べた第1支持部111の連通孔111b及び第2支持部材の連通孔112bは、
図5に示す吸引リング130と連通している。詳細には、吸引リング130は、円筒ロール23の側面に配置されており円筒ロール23の回転とは独立して固定状態となっている。吸引リング130における円筒ロール23との対向面には開口(図示せず)が設けられている。この開口は、第1支持部材111の連通孔111b及び第2支持部材の連通孔112bと連通する位置に設けられている。更に、この開口は、吸引源(図示せず)とも連通している。したがって、支持部材21が回転しているときは、吸引リング130の開口と連通した連通孔111b及び連通孔112bのみが吸引路を形成し、それによって、該吸引路の延長上にある吸引孔111a及び112aのみから吸引が行われる。吸引リング130は、レーザー光30の照射範囲にわたって設けられているので、レーザー光30の照射範囲では、必ず吸引が行われることになる。
【0036】
図9に示すとおり、円筒ロール23の内部には、空気の吸引部材141a,141bが配置されている。吸引部材141a,141bは、円筒ロール23の軸方向と直交する方向での断面が略U字形をしている。吸引部材141a,141bは、先に述べた管体140a,140b(
図5参照)の一端と接続している。吸引部材141a,141bは、円筒ロール23の内周に対向する開口部142a,142bを有している。管体140a,140bを通じて空気を吸引すると、開口部142a,142bから空気が吸引され、吸引部材141a,141bを通じて管体140a,140bへ向けて空気が吸引される。
【0037】
このようにレーザー式接合装置20においては、レーザー光が照射される部位の近辺に配置された第1吸引系統と、第1吸引系統とは別に、第1吸引系統から離間した位置、具体的には第1吸引系統よりも円筒ロール23の中心域寄りに位置する第2吸引系統という2系統の吸引系統を有する。
【0038】
以上のように構成されたレーザー式接合装置20は、加圧ベルト24による加圧状態の帯状のおむつ連続体10(シート積層体)に、支持部材21側から集光されたレーザー光30をスリット状の開口部27に沿って照射して分断するとともに、この分断の縁部を重なった状態で融着し、シール縁部を有するシート融着体(一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1)を複数個連続的に製造することができる。分断及び融着時には、第1吸引系統である吸引孔112aを通じてスリット状の開口部27から空気を吸引して、分断及び融着時に発生するガスを吸引して除去する。この操作と同時に第2吸引系統も動作させ、吸引部材141a,141bの開口部142a,142bを通じて吸引を行い、分断及び融着時に発生するガスを吸引して除去する。これによって、分断及び融着時に発生する樹脂ヒューム等を含むガスを首尾よく除去することができる。また、本実施形態のレーザー式接合装置20は、環状の支持部材21を有しているので、更に効率的にシール縁部を有するシート融着体(一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1)を連続的に製造することができる。この理由は、支持部材21が環状であることに起因して、帯状のおむつ連続体10を該支持部材21に巻き掛けた状態において、該おむつ連続体10に加圧力が均等に加わり、しかも連続的に加圧力を付与できるからである。
【0039】
第1吸引系統である吸引孔112aを通じてスリット状の開口部27から空気を吸引する場合には、該開口部27に向けてレーザー光が照射されている間だけ吸引を行ってもよく、あるいはレーザー式接合装置20を運転している間にわたって連続して吸引を行ってもよい。一方、吸引部材141a,141bを有する第2吸引系統については、第1吸引系統と同様に、開口部27に向けてレーザー光が照射されている間だけ吸引を行ってもよく、あるいはレーザー式接合装置20を運転している間にわたって連続して吸引を行ってもよい。
【0040】
サイドシール部4(シール縁部)に実用上十分な融着強度を付与する観点、及びシート融着体を製造するために必要な加工エネルギーを低減させる観点から、レーザー光30が照射されるスリット状の開口部27の幅W(
図7(b)参照。開口部27の、円筒ロール23の周方向に沿った長さ。)に対する、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)におけるレーザー光30のスポット(レーザー光30が照射されている部分)の直径φの比(φ/W)は、好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.4以上、そして、好ましくは8以下、更に好ましくは7以下、特に好ましくは2以下、より具体的には、好ましくは0.05〜8、更に好ましくは0.1〜7、特に好ましくは0.4〜2である。例えば、スリット状の開口部27の幅Wは0.1〜4.0mmである。
【0041】
レーザー光30としては、おむつ連続体10を構成するシートに吸収され該シートを発熱させる発振波長のレーザー光を用いる。ここで、「おむつ連続体10を構成するシート」は、シート積層体の一方の面(支持部材との当接面)を構成するシート(例えば前記実施態様では外層シート31)に限定されず、シート積層体を構成するシートであればどれであってもよい。おむつ連続体10に照射するレーザー光が、該シート積層体を構成する個々のシートについて、該シートに吸収されて該シートを発熱させる発振波長であるか否かは、シートの材質と、使用するレーザー光の発振波長との関係で決まる。シート積層体を構成するシートが、合成樹脂製の不織布やフィルムである場合、レーザー光としては、CO
2レーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO
4レーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。また、おむつ連続体10を構成するシートが、合成樹脂として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等を含む場合、該シートに吸収され該シートを良好に発熱させ得る発振波長としては、例えば、8.0〜15μmを用いることが好ましく、高出力のレーザー装置が存在するCO
2レーザーの発振波長の9.0〜11.0μmを用いることが特に好ましい。レーザー光30のレーザー出力等は、おむつ連続体10を構成するシートの材質や厚み等を考慮して適宜選択することができる。
【0042】
続いて、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有する本発明のシート融着体の製造方法の一実施態様を、上述した実施形態のレーザー式接合装置20を用いて説明する。
本実施態様の製造方法は、複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体(おむつ連続体10)の一方の面10aを、集光されたレーザー光30が通過可能な、シート積層体(おむつ連続体10)の幅方向(X方向)に長いスリット状の開口部27を有する支持部材21に当接させて加圧状態となりながら搬送される該帯状のシート積層体(おむつ連続体10)に対して、該支持部材21側からスリット状の開口部27に沿って、シート積層体(おむつ連続体10)を構成するシートに吸収され該シートを発熱させる発振波長のレーザー光30を照射ヘッド312から照射することにより、帯状のシート積層体(おむつ連続体10)を分断するのと同時に、その分断によって生じた加圧状態にある複数枚のシートの切断縁部どうしを融着させてシール縁部(サイドシール部4,4)を形成するシール縁部形成工程を有している。この工程においては、上述のとおり、シート積層体の分断及び融着時に、スリット状の開口部27を含む第1吸引系統、及び吸引部材141a,141bを含む第2吸引系統から空気を吸引して、分断及び融着時に発生するガスを吸引して除去する。以下、具体的に説明する。
【0043】
本実施態様の製造方法においては、「複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体」として、複数の枚葉のシート積層体(サイドシール部4が形成されていないパンツ型使い捨ておむつの前駆体)が一方向に連なってなる、おむつ連続体10を別途製造し、このおむつ連続体10を、レーザー光30の照射により、個々に分断するのと同時に、その分断によって生じた加圧状態にある複数枚のシートの切断縁部どうしを融着して、サイドシール部4,4(シール縁部)を形成する。
【0044】
前記「複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体」において、複数枚のシートの少なくとも一部のシートは、樹脂材を含み、該樹脂材を主成分として形成されていることが好ましく、具体的には例えば、樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含み、不織布、フィルム、不織布とフィルムとのラミネートシート等からなることが好ましい。不織布としては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、具体的には、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。前記シート積層体は、該シート積層体を構成する複数枚のシートのすべてが、樹脂材を含むことが好ましい。以下、先ず、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)の製造方法について、
図11を参照しながら説明する。
【0045】
先ず、
図11に示すように、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の外層シート31と、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の内層シート32の間に、ウエストギャザーを形成するウエスト部弾性部材5、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材6及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材7を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、本実施態様においては、ウエスト部弾性部材5及び胴回り部弾性部材6には、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を連続的あるいは間欠的に塗工し、レッグ部弾性部材7は、シートの流れ方向とは直交して往復運動する公知の揺動ガイド(図示せず)を介して、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32には、それらを重ね合わせる前に、両シートのいずれか一方又は双方の相対向する面の所定部位に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を塗工する。なお、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が、両シート31,32における、レーザー光の照射によって分断される部分(サイドシール部4の形成予定部分)(先に説明した
図7中、符号10Cで示す分断予定部分)を跨ぐように伸長状態で配されている場合、その分断後の該弾性部材の大幅な縮みや該弾性部材の抜け等の不都合を回避するために、該部分及びその近傍に接着剤を塗工しておくことが好ましい。
【0046】
そして、
図11に示すように、一対のニップロール11,11の間に、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6及びレッグ部弾性部材7を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32を送り込んで加圧することにより、帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3を形成する。その後、本実施態様においては、弾性部材プレカット手段(図示せず)を用いて、後述する吸収性本体2を配する位置に対応させて、複数本の胴回り部弾性部材6及び複数本のレッグ部弾性部材7を押圧して、収縮機能が発現されないように個々複数個に分断する。前記弾性部材プレカット手段としては、例えば、特開2002−253605号公報に記載の複合伸縮部材の製造方法に用いる弾性部材分断部等が挙げられる。
【0047】
次いで、
図11に示すように、別工程で製造された吸収性本体2にあらかじめホットメルト接着剤等の接着剤を塗工し、該吸収性本体2を90度回転させて、帯状の外装体3を構成する内層シート32上に間欠的に供給して固定する。なお、吸収性本体固定用の接着剤は、吸収性本体2ではなく、内層シート32における吸収性本体2の配置予定位置にあらかじめ塗工してもよい。
【0048】
次いで、
図11に示すように、吸収性本体2が配置された帯状の外装体3におけるレッグ部弾性部材7で環状に囲まれた環状部の内側にレッグホールLO’を形成する。このレッグホール形成工程は、ロータリーカッター、レーザーカッター等の従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法を用いて実施することができる。なお、本実施態様においては、帯状の外装体3に吸収性本体2を配置した後にレッグホールを形成しているが、吸収性本体2の配置前にレッグホールを形成してもよい。
【0049】
次いで、帯状の外装体3をその幅方向(外装体3の搬送方向と直交する方向)に折り畳む。より具体的には、
図11に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3aを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返して吸収性本体2の長手方向両端部を固定した後、外装体3を吸収性本体2とともにその幅方向に2つ折りする。こうして、目的のおむつ連続体10(帯状のシート積層体)が得られる。
【0050】
本実施態様のおむつの製造方法においては、こうして別途製造されたおむつ連続体10(帯状のシート積層体)に対して、
図4に示すように、レーザー式接合装置20を用いて、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)を連続的に製造する。
具体的には、先に説明した
図4に示すように、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)は、図示しない案内ロール等によって、所定のテンションが掛けられた状態で、矢印A方向に回転駆動される円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21の外面上に導入され、環状の支持部材21の外周面に巻き掛けられて該円筒ロール23の回転によりその周方向に所定距離搬送された後、図示しない導出ロール及びニップロール等によって該支持部材21から離れる。このように、おむつ連続体10を、円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に所定のテンションで巻き掛けかつ加圧ベルト24によって圧接するようにして搬送することにより、おむつ連続体10における支持部材21と押さえ部材26の加圧ベルト24とに挟まれた部分及びその近傍は、レーザー光の照射による分断前からその厚み方向に加圧(圧縮)された状態となるため、おむつ連続体10が不織布を含む場合等に、該おむつ連続体10をより効率的に圧縮させることができ、結果として、斯かる圧縮中のおむつ連続体10に対してレーザー光を照射してこれを分断したときに、その分断された部分を構成する複数枚のシートの切断縁部どうしをより確実に融着させることが可能となり、サイドシール部4(シール縁部)の融着強度の一層の向上が図られる。その上、分断及び融着時に発生するガスが吸引孔112aを含む第1吸引系統(
図8参照)及び開口部142a,142bを含む第2吸引系統(
図9参照)を通じて吸引されるので、該ガス中に含まれる樹脂ヒューム等に起因する発火のおそれもない。
【0051】
以上の実施形態においては、レーザー光30の照射によって発生したガスを、吸引孔112aを含む第1吸引系統を通じて吸引して除去したが、これに代えて、第1吸引系統を吸引に用いるのではなく、開口部27に向けて空気を吹き付けるための空気噴出系統として用い、該空気噴出系統から開口部27に向けて吹き付けられた空気によって、分断及び融着時に発生するガスを吹き飛ばして除去してもよい。この場合には、吸引孔112aは空気吹出口として機能する。吸引孔112aから開口部27に向けて空気を噴出させることは、該開口部27の隙間が小さい場合に特に有効である。この理由は、隙間が小さい開口部27を通じて吸引を行うと、分断及び融着時に発生するガスが冷却されて生じる樹脂等が該開口部27に付着堆積して、該開口部27を閉塞するおそれがあるのに対して、開口部27に向けて空気を噴出させれば、そのようなおそれがないからである。
【0052】
開口部27に向けて空気を噴出させる場合には、開口部27に向けてレーザー光が照射されている間だけ噴出を行ってもよく、あるいはレーザー式接合装置20を運転している間にわたって連続して噴出を行ってもよい。連続して噴出を行う場合には、レーザー光が照射される前から噴出が行われることになる。このようにすることで、開口部27周辺のヒュームガスを効率的に除去することができ、該開口部27への樹脂等の付着をより一層防止できるので好ましい。
【0053】
開口部27は、押さえ部材である加圧部材側に向けて突出して開口していることが好ましい。
【0054】
また、開口部27に向けて空気を噴出させる場合には、
図10に示すとおり、第1支持部111に設けられた連通孔111bの位置と、第2支持部112に設けられた連通孔112bの位置とを異ならせることが好ましい。具体的には、円筒ロール23の中心から連通孔111bまでの距離と、円筒ロール23の中心から連通孔112bまでの距離とを異ならせることが好ましい。その上で、先に説明した吸引リング130(
図5参照)を二系統に分割し、分割された一方の系統(すなわち吸引リング)が連通孔111bと対向し、かつ分割された他方の系統(すなわちブローリング)が連通孔112bと対向するようにすることが好ましい。こうすることで、連通孔111bと対向する系統の吸引リングにおいて空気の吸引を行いつつ、連通孔112bと対向する系統のブローリングにおいては空気の噴出を行うことができる。このように、円筒ロール23は、これが一周する間に、その周面において、空気を吸引するゾーンと空気を噴出するゾーンとを有する。これによって、円筒ロール23は、吸引力及び噴出力が変化する。吸引力及び噴出力を変化させるには、例えば上述した吸引リング及びブローリングにおける連通孔111bや連通孔112bとの対向面に設ける溝(図示せず)を、円筒ロール23の周方向に複数に分割し(すなわち該溝を周方向の途中で区切り)、区切られたそれぞれの区画において吸引力及び噴出力に差を設ければよい。あるいは、吸引リング及びブローリングに形成する溝(図示せず)の幅や深さに差を設けることで、吸引力及び噴出力を連続的に変化させることができる。このような構成を採用した上で、レーザー加工中は、強く吸引を行うか、又は強く噴出を行うことが好ましい。
【0055】
レーザー式接合装置20を運転している間にわたって連続して空気の噴出を行う場合には、上述した吸引リング130のうち、連通孔112bと対向する系統のブローリングを、円筒ロール23の周方向の全域にわたって配置すればよい(
図5では、円筒ロール23の周方向の半分、すなわち180度の範囲にわたって吸引リング130が配置されている)。この角度範囲は、本実施形態のレーザー式接合装置20において、上述したとおり、レーザー光30が照射される範囲と同じになっている。この角度範囲は、加圧ベルト24が巻き掛けられる範囲と同じになっている。
【0056】
おむつ連続体10が、支持部材21上に導入されてからこれを離れるまでの該支持部材21(円筒ロール23)の回転角度は、例えば、90〜270度とすることができ、より好ましくは120〜270度である。また、押さえ部材26の加圧ベルト24によっておむつ連続体10を支持部材21に圧接させる角度(圧接角度)の範囲は、円筒状の支持部材21(円筒ロール23)の周方向の全周にわたって圧接させる場合を360度とした場合に、90〜270度であることが好ましく、より好ましくは120〜270度である。
【0057】
本実施態様のおむつの製造方法における、シール縁部(サイドシール部4,4)を形成するシール縁部形成工程について詳述すると、
図4及び
図7に示すように、支持部材21に当接しているおむつ連続体10の他方の面10b(支持部材21との当接面である一方の面10aとは反対側の面)に、加圧ベルト24を押し付けて加圧状態とする。そして加圧状態のおむつ連続体10を搬送しながら、該おむつ連続体10に対して、支持部材21側からスリット状の開口部27に沿って、レーザー光30を照射ヘッド312から照射することにより、おむつ連続体10を個々に分断するのと同時に、その分断によって生じた加圧状態にある複数枚のシートの切断縁部どうしを融着して、サイドシール部4,4(シール縁部)を形成し、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有する外装体3(シート融着体)を具備するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)を連続的に製造する。このように、レーザー光30の照射は、支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれることによって加圧状態(圧縮状態)にあるおむつ連続体10に対して行うことが、該照射によって生じた複数枚のシートの切断縁部どうしを確実に融着させて、サイドシール部4の融着強度を向上させる観点から好ましい。
【0058】
図12(a)及び(b)は、レーザー式接合装置20を用いておむつ連続体10(帯状のシート積層体)を分断するのと同時にサイドシール部4(シール縁部)を形成する様子を示す図である。
図12(a)には、おむつ連続体10のレーザー光30による分断予定部分10C及びその近傍が模式的に示されている。本実施態様におけるおむつ連続体10の分断予定部分10Cは、先に説明した
図7(a)に示すように、おむつ連続体10の吸収性本体2が配置されていない領域における長手方向(搬送方向A)の中央である。斯かる分断予定部分10Cは、ウエスト開口部8(
図1参照)の開口端部及びその近傍が、8枚のシートが重ねられた8層構造部分、それ以外の部分が、4枚のシートが重ねられた4層構造部分となっている。4層構造部分は、
図12(a)に示すように、腹側部1Aにおける1枚の外装体3を構成する2枚のシート(外層シート31及び内層シート32)と、背側部1Bにおける1枚の外装体3を構成する同じく2枚のシート31,32とからなり、これら4枚のシートが積層されて構成されている。一方、8層構造部分は、前述したように、おむつ連続体10の製造時に帯状の外装体3の両側部3a,3aが吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返されている(
図11参照)ことに起因して、腹側部1A及び背側部1Bそれぞれに外装体3が2枚存しかつこれら計4枚の外装体3,3が積層されているので、結果として8枚のシート31,32が積層されて構成されている。なお、4層構造部分及び8層構造部分それぞれにおいて、互いに重なり合うシート31,32間には、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が介在配置されている場合があるが、
図12では、説明容易の観点から、該弾性部材の図示を省略している。以下、主として、4層構造部分について説明するが、特に断らない限り、8層構造部分も4層構造部分と同様に構成されサイドシール部4が形成される。
【0059】
おむつ連続体10における4層構造の分断予定部分10Cにおいて、おむつ連続体10の一方の面10a(支持部材21との当接面)を構成する外層シート31及び一方の面10aを構成するシート以外のシート(内層シート32)は、いずれか一方又は両方が、レーザー光30を吸収して発熱するシートである。本実施態様においては、分断予定部分10Cを構成する4枚のシート31,32のすべてが、レーザー光30を吸収して発熱するシート(不織布)である。また、分断予定部分10C及びその近傍における互いに重なり合う2枚のシート間は、レーザー光30の照射前において、接着剤等により接合されていてもよく、全く接合されていなくてもよい。
【0060】
おむつ連続体10は、
図12(b)に示すように、一方の面10aが支持部材21に当接しかつ分断予定部分10Cがスリット状の開口部27上に位置するように、矢印A方向に回転する支持部材21上に導入されるとともに、他方の面10bに加圧ベルト24が押し付けられることによって、矢印A方向に搬送されつつ厚み方向に加圧(圧縮)される。そして、斯かる搬送中かつ加圧状態の分断予定部分10Cに対して、支持部材21側からスリット状の開口部27に沿ってレーザー光30が照射される。前述したように、レーザー光30の照射点は、ガルバノスキャナ(図示せず)によって、円筒ロール23の周方向に任意に移動可能に構成されており、開口部27の該周方向に沿った移動に追従して移動するように設定されているので、該開口部27上に位置する分断予定部分10Cには、その搬送中にレーザー光30が一定時間連続的に照射される。
【0061】
4層構造の分断予定部分10Cにレーザー光30が照射されると、該分断予定部分10Cに存するシート31,32の形成材料(繊維等)は、レーザー光30の直射による発熱によって気化して消失し、該分断予定部分10Cの近傍に存する該形成材料は、レーザー光30によって間接的に熱せされて溶融する。その結果、
図12(c)に示すように、4層構造の分断予定部分10Cが溶断されて、おむつ連続体10から1つの枚葉のシート積層体(おむつ前駆体)が切り分けられる形で、該おむつ連続体10が分断されるのと同時に、その分断によって生じた該枚葉のシート積層体における4枚のシート31,32の切断縁部どうし、及び、切り分けられた該おむつ連続体10における4枚のシート31,32の切断縁部どうしが、それぞれ融着して融着部40が形成される。これらの切断縁部どうしは、それぞれ、その形成前(レーザー光30の照射によるおむつ連続体10の分断前)から、支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれることによって加圧状態(圧縮状態)とされていたものである。融着部40の形状は、
図12(c)に示すとおり、例えば三日月状となる。
【0062】
このように、サイドシール部4の融着部40がおむつ1の幅方向の断面視において三日月状又は半月状に形成される理由は、
図12(b)及び
図12(c)に示すように、おむつ連続体10の分断予定部分10Cへのレーザー光30の照射中及び照射直後に、不織布からなるおむつ連続体10(分断予定部分10C)が、金属材料からなる支持部材21と加圧ベルト24との間に介在配置されているためと推察される。すなわち、おむつ連続体10(外層シート31及び内層シート32)を上下から挟持する支持部材21及び加圧ベルト24(押さえ部材)の主たる形成材料である金属材料の方が、シート31,32の主たる形成材料である不織布に比して熱伝導率が高いため、レーザー光30の照射によってシート31,32に発生した熱は、外気によって冷やされると同時に、該シート31,32に接する支持部材21又は加圧ベルト24(押さえ部材)に速やかに吸収されやすいところ、レーザー光30の照射によっておむつ連続体10が分断されて形成された、サイドシール部4を構成する外装体3の側縁部の角部3Sは、該角部3Sに比して熱伝導率の高い支持部材21又は加圧ベルト24に接しているため、該角部3に発生した熱は両部材21,24に速やかに吸収され、結果として、該角部3は、融着部40が形成される程の高温にはなり難く、そのため、融着部40の割合が極めて少ない部位となる。一方、外装体3の側縁部の厚み方向の中央部(外装体3の一面側の角部3Sと他面側の3Sとに挟まれた部分の中央部)は、熱伝導率の高い両部材21,24と接していないため、レーザー光30の照射によって該中央部に発生した熱は該中央部に留まって該中央部を溶融させ、結果として、該中央部に融着部40が多く偏在するようになる。
【0063】
したがって、融着部40をおむつ1の幅方向の断面視において三日月状又は半月状に形成し前述した作用効果を奏させるようにするためには、本実施態様のように、支持部材21及び加圧ベルト24は、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属材料やセラミックスからなり、かつおむつ連続体10(帯状のシート積層体)を構成する複数枚のシート31,32の少なくとも一部のシート(特に外装体3の外面を形成する外層シート31)は、その一部に樹脂材を含むものであり、具体的には例えば、不織布からなることが好ましい。特に、加圧ベルト24(押さえ部材)は、通気性を有する金属材料からなることが好ましく、例えば、金網や金属製のパンチングメタルからなることが好ましい。また、複数枚のシート31のすべてのシートに樹脂材が含まれることが好ましい。不織布としては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。
【0064】
ところで、レーザー式接合装置20(複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造装置)においては、レーザー光が通過可能な光通過部が、支持部材21を厚み方向に貫通する(スリット状の)開口部27からなるため、おむつ連続体10(シート積層体)における開口部27と重なる部分(分断予定部分10C)には、支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれることにより発生する加圧力が発生しない。該部分10Cは該加圧力が事実上影響する部分であるため、融着部40が形成される。融着部40がより安定的に形成されるようにするためには、両部材21,24での挟持による加圧力をより高める工夫が有効である。
【0065】
そこで、融着部40のより安定的な形成を可能にするための手段が、
図8の要部拡大模式図である
図14に示されている。
図14においては、おむつ連続体10が配される支持部材21の外面21aにおけるスリット状の開口部27の近傍(開口部27の縁部から35mm以内の領域)に、周辺部よりも該外面21a上のおむつ連続体10側(加圧ベルト24側)に突出した突出部45が形成されている。更に説明すると、突出部45は、支持部材21の外面21aにおける、複数の開口部27それぞれの長手方向(支持部材21の幅方向)に延びる一対の開口縁部それぞれに形成されている。各突出部45は、開口部27に沿ってその長手方向の全長にわたって連続しており、平面視して矩形形状を有している。各突出部45の突出高さ45h(周辺部からの突出高さ)は、該突出部45の全長にわたって変化せずに一定となっている。突出部45の頂部は、平坦でも良く、所定の曲率を有する曲面であってもよく、斯かる曲面は、円筒状の支持部材21の外面21aと平行であってもよい。
【0066】
このように、支持部材21の外面21aにおける開口部27の近傍(開口縁部)に突出部45を形成し、開口部27の近傍とその周辺部とで段差を設けることにより、該段差における相対的に高い位置にある突出部45の頂部に、おむつ連続体10における前記分断予定部分近傍が位置するようになるため、該開口部近傍対応部の前記加圧力が局所的に増加する。そのため、おむつ連続体10における局所的な加圧力の低下が効果的に防止され、おむつ連続体10の溶断がより一層安定的に行われるようになり、最終的に得られるおむつ1(シート融着体)におけるサイドシール部4(シール縁部)の融着強度が一層向上する。
【0067】
斯かる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、突出部45の突出高さ45h(
図14参照)は、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは1mm以上、そして、好ましくは10mm以下、更に好ましくは8mm以下、より具体的には、好ましくは0.1mm以上10mm以下、更に好ましくは1mm以上8mm以下である。
また、突出部45の幅45w(
図12参照。支持部材21の幅方向と直交する方向の長さ。)は、好ましくは1mm以上、更に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下、より具体的には、好ましくは1mm以上20mm以下、更に好ましくは2mm以上10mm以下である。
【0068】
図15(a)及び(b)には、
図14に示す支持部材を更に改変した実施形態が示されている。本実施形態の支持部材21は、レーザー光30の照射によって発生したガスを一層効率よく吸引することができるものである。
図15(a)及び(b)に示す支持部材21には、その2つの面のうち、照射ヘッド(図示せず)に臨む面の側、すなわち円筒ロールの内面側に、狭空間部120aが形成されている。狭空間部120aは、開口部27に隣接して形成されており、かつ開口部27に通じている。狭空間部120aは、開口部27の延びる方向、すなわち円筒ロールの軸線方向に沿って形成されている。更に狭空間部120aは、照射ヘッドから照射されたレーザー光が開口部27に到達可能な形状をしている。そして吸引口112aが、狭空間部120aに向けて開口している。吸引口112aは、上述した連通孔112bに連通している。
【0069】
狭空間部120aは、円筒ロール23の軸線方向と直交する方向での断面で見たときの最大長さDが、開口部27の延びる方向に沿った長さLよりも十分に小さいものである。例えばD/Lの値が0.05以下である空間は狭空間部120aであると言える。最大長さDとは、狭空間部120aを、円筒ロール23の軸線方向と直交する方向での断面で観察したとき、その断面形状を横切る長さが最も長くなる線分における当該長さのことを言う。最大長さDは、レーザー光のスポット径φとの関係で決定することができる。例えばD/φの値が1以上15以下となるように最大長さDを決定すればよい。
【0070】
狭空間部120aは、支持部材21の一部を構成する第2支持部112と、板状の別部材122とによって画成されている。狭空間部120aを、円筒ロール23の軸線方向と直交する方向での断面で観察したときの形状は、本実施形態では略菱形になっている。したがって、この略菱形の長い方の対角線の長さが、上述した最大長さDとなる。なお、この断面形状は、狭空間部を形成し得る限り略菱形に限られない。
【0071】
照射ヘッドから照射されたレーザー光は、スリット状空間部120b及び狭空間部120aを通過して開口部27に到達する。スリット状空間部120bは、対向する一対の第2支持部材112によって画成される幅狭な空間である。スリット状空間部120bは、円筒ロール23の周方向に沿う幅が狭く、かつ、開口部27の延びる方向に沿って長く延びている。またスリット状空間部120bは、円筒ロール23の径方向に沿って深く延びている。スリット状空間部120bのうち、円筒ロール23の径方向に沿う一端側は、円筒ロール23の内面側に向けて開口しているとともに、径方向に沿う他端側は、狭空間部120aと連通している。スリット状空間部120bの円筒ロール23の周方向に沿う幅D’は、上述したレーザー光のスポット径φとの関係で決定することができる。例えばD’/φの値が1以上5以下となるように最大長さD’を決定することが好ましい。
【0072】
スリット状空間部120bには、第2吸引口112cが開口している。第2吸引口112cは、連通孔112bに通じている。つまり、先に述べた吸引口112a及び第2吸引口112cはいずれも連通孔112bに通じている。したがって連通孔112bに接続された吸引源(図示せず)を作動させることで、吸引口112a及び第2吸引口112cを通じての吸引が行われる。
【0073】
図15に示す実施形態によれば、開口部27と吸引口112aが狭空間部によって連通しているので、レーザー光30の照射によって発生したガスが拡散しづらく、しかも吸引効率を高くすることができる。更に第2吸引口112cによる吸引を併用することで、吸引口112aによって狭空間部120aで吸引しきれなかったガスを第2吸引口112c吸引できるので、吸引効率を一層高くすることができるとともに、円筒ロール23の内部へのガスの拡散を阻止することができる。なお、吸引口112a及び第2吸引口112cは、吸引の目的に代えて、空気の吹出口として用いることもできる。
【0074】
以上のとおり、本実施態様のおむつの製造方法によれば、このように、一回のレーザー光の照射で、帯状のシート積層体の分断と、その分断によって生じた2箇所の加圧状態にあるシートの切断縁部どうしの融着とを同時に実施するため、2箇所の融着箇所を二回のレーザー光の照射で融着する方法(本発明の範囲外の方法)に比べ、おおよそ半分のレーザー出力で融着と分断とを同一工程で実施でき、シートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部(サイドシール部4)を有するシート融着体(パンツ型使い捨ておむつ1)を効率的に製造することができる。また、融着と分断とを同一工程で行えるため、シートの切断縁部どうしが融着されていない非シール縁部が発生しないので、材料の削減効果もある。
【0075】
シート31,32の切断縁部は、レーザー光30の照射中及び照射終了直後は、発熱して溶融状態となっているが、レーザー光30の照射によっておむつ連続体10から切り分けられた1つの枚葉のシート積層体(おむつ前駆体)及び該おむつ連続体10それぞれの、支持部材21と加圧ベルト24とによる加圧状態が保持されたまま、照射終了後からは外気や支持部材21・加圧ベルト24への伝熱によって速やかに冷却されて固化し、該切断縁部の形成材料(繊維等)が溶融一体化した融着部40となる。こうして、融着部40が形成されることによって、1個のおむつ1における一対のサイドシール部4,4のうちの一方が形成される。なお、必要に応じ、吸引装置、排気装置等の公知の冷却手段を用いてシート31,32の切断縁部を強制的に冷却し、融着部40の形成を促進してもよい。
【0076】
こうして1箇所の分断予定部分10Cが分断されると、レーザー光30は、その照射点が搬送方向Aとは逆方向に隣接する別の開口部27に当たるように移動され、該別の開口部27を介してその上に位置する別の分断予定部分10Cに照射される。これにより、別の分断予定部分10Cが前記と同様に分断・融着され、先に形成されたサイドシール部4と対をなす他方のサイドシール部4(融着部40)が形成される。以後、同様の操作を繰り返すことにより、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有する外装体3(シート融着体)を具備するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)が連続的に製造される。
【0077】
なお、レーザー光30が照射されるスリット状の開口部27の幅W(
図12(b)参照。開口部27の、円筒ロール23の周方向に沿った長さ。)に比して、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)におけるレーザー光30のスポット(レーザー光30が照射されている部分)の直径φが小さい場合(φ/Wが1未満の場合)には、
図13に示すように、レーザー光30の照射によって形成された一対のサイドシール部4,4(融着部40,40)は、おむつ連続体10における開口部27と重なる部位(平面視において、スリット状の開口部27の、搬送方向Aと直交する方向に沿う一対の開口縁部に挟まれた部位)に位置し得る。すなわち、おむつ連続体10において、支持部材21と加圧ベルト24(押さえ部材)とで挟まれていない部位であっても、開口部27の近傍(開口縁部)、すなわち前述したように、両部材21,24での挟持による加圧力が事実上影響する部位であれば、融着部40は形成され得る。
【0078】
前記の各実施態様における光通過部は、例えば
図12(b)に示す開口部27の如き、支持部材21を厚み方向に貫通するスリット状の開口部であったが、本発明に係る光通過部はこれに限定されず、例えば
図16(a)に示すように、支持部材21の端部(外縁)21sの近傍(支持部材が存していない部分)を光通過部として利用することができる。その場合、シート積層体10は、支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれた部分10Aと、支持部材21に当接していない部分10Bとを有し、部分10A及びその近傍は、レーザー光の照射による分断前からその厚み方向に加圧(圧縮)された状態となり、部分10Bにおける、部分10Aの近傍を除く部分(支持部材21の端部21sから所定距離以上離間した部分)は、非加圧(非圧縮)状態となる。このような、レーザー光が照射される部分を基準として一方側のみが加圧された、片側加圧の状態のおむつ連続体10に対して、
図16(a)に示すように、レーザー光30を支持部材21の端部21sの近傍に照射して、おむつ連続体10を部分10A側と部分10B側とに分断した場合、部分10A側のシートの切断縁部どうしは、分断前から加圧状態にあるため融着するが、部分10B側のシートの切断縁部どうしは、分断前から非加圧状態にあるため融着しない。ここで、「支持部材21の端部(外縁)21sの近傍」は、支持部材21によっておむつ連続体10(帯状のシート積層体)が加圧状態となっている領域であり、より具体的には、支持部材21の端部21sから好ましくは2mm以内、更に好ましくは1mm以内の領域である。
【0079】
図16(a)に示すように、光通過部が支持部材21の端部21sの近傍であり、片側加圧の状態のおむつ連続体10に対して該光通過部を介してレーザー光30を照射してこれを分断する場合、融着部40をおむつ1の幅方向の断面視において確実に三日月状又は半月状に形成するとともに、サイドシール部4(シール縁部)に実用上十分な融着強度を付与する観点、及びシート融着体を製造するために必要な加工エネルギーを低減させる観点から、支持部材21の端部21sからおむつ連続体10におけるレーザー光30のスポット(レーザー光30が照射されている部分)の中心までの距離W’に対する、該スポットの直径φの比(φ/W’)は、好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.8以上、そして、好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、特に好ましくは8以下、より具体的には、好ましくは0.1〜16、更に好ましくは0.2〜14、特に好ましくは0.8〜8である。
【0080】
また、前記実施態様における押さえ部材としての加圧ベルト24(
図12(b)参照)は、
図16(b)に示すように、支持部材21側の開口部27(光通過部)に対応する部分に、開口部29を有していてもよい。開口部29は、開口部27と平面視形状及びその寸法が同じである。開口部29を設ける場合には、空気の噴出に随伴して円筒ロール23の外部に放出されるガスを捕集することを目的として、
図10に示すとおり、円筒ロール23の外側の位置であって、かつ開口部29の位置に、集塵部材としてのガス捕集用フード143を配置することが好ましい。このように、押さえ部材における、シート積層体10を挟んで開口部27(光通過部)と対向する部分に、開口部29が設け、かつ該開口部29に対向する位置にフード143が設けられていると、レーザー光の照射によって発生するガスを、吸引孔112aを通じて吸引することに加えて、開口部29を通じて噴出する空気をフード143によって吸引することができるので、一層効率的にガスを除去することができる。また、押さえ部材の汚れ防止、押さえ部材の過熱抑制、押さえ部材の冷却促進、融着部40の冷却促進、等の効果が期待できる。
図16(b)に示すように、開口部27を介して帯状のシート積層体10にレーザー光30を照射してこれを分断した場合、開口部27を挟んで一方側のシートの切断縁部どうし及び他方側のシートの切断縁部どうしのいずれも、その分断前から加圧状態にあるため融着する。
【0081】
以上、本発明をその実施態様に基づいて説明したが、本発明は、前記実施態様に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、シート積層体は、
図12(a)に示す如き4枚のシートが重ねられたものの他、2枚、3枚又は5枚以上のシートが重ねられたものであってもよい。また、おむつ連続体10(シート積層体)を円筒ロール23(支持部材21)に皴やたるみを発生させずに巻き掛けるために、レーザー式接合装置20に、おむつ連続体10のテンションを制御する機構を具備させてもよい。また、レーザー式接合装置20は、加圧ベルト24におけるおむつ連続体10との当接面に付着した樹脂等を除去するための機構を備えていてもよい。前述した一の実施態様のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
【0082】
また前記実施形態においては、円筒ロール23を備えたレーザー式接合装置20を用いたが、円筒ロール23に代えて平板状の部材を備えたレーザー式接合装置20を用いてもよい。
【0083】
また前記実施形態で用いた円筒ロール23においては、その内面に設けられた凹部120の壁面に、複数の吸引孔112aが開口しており、該吸引孔112aを通じて空気を吸引するか、又は空気を噴出させたが、これに代えて、
図17及び
図18に示すとおり、吸引スリット112cを形成してもよい。吸引スリット112cは、複数の吸引孔112aが円筒ロール23の軸方向にわたって連結したものとみなすことができる。吸引スリット112cを設けることで、スリット状の開口部27に近接した位置に、大きな開口面積を有する開口部を配置することができるので、開口部27に照射したレーザー光によって生じるガスの吸引又は吹き飛ばしを一層効果的に行うことができる。
【0084】
なお、本発明においては、前記外装体の分断及び融着部の形成は、熱源を用いて該外装体を溶融することにより実施し、該融着部の形成によりおむつの着用時における突出部の形成を可能にすればよく、熱源を用いた外装体の溶融は、前述の如き、外装体へのレーザー光の照射に制限されず、非接触熱源として、赤外線やハロゲン光を用いてもよく、それ以外の他の方法、例えば、公知のヒートロール装置等を用いた外装体の加熱圧着、あるいは公知の超音波振動装置等を用いた外装体への超音波振動の付与等により実施することもできる。
また、前記外装体の分断及び融着部の形成は、同時でもよく、融着部の形成後に分断してもよい。
【0085】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記(シート融着体の製造方法、シート融着体、吸収性物品の製造方法)を開示する。
<1>
複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造装置であって、
レーザー光を集光するレンズを有する照射ヘッドと、少なくとも一部に樹脂材を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体の一方の面を支持する支持部材とを具備し、
前記支持部材が、集光されたレーザー光が該支持部材側から通過可能な、前記シート積層体の幅方向に長いスリット状の開口部を有しており、
前記開口部に隣接する位置に、該開口部に向けて空気を吹き付けるための空気吹出口、又は該開口部から空気を吸引するための空気吸引口が設けられており、
前記支持部材に支持された前記帯状のシート積層体に、該支持部材側から集光されたレーザー光を前記スリット状の開口に沿って照射して分断するとともに、この分断の縁部を重なった状態で融着し、前記シール縁部を有するシート融着体を複数個連続的に製造するシート融着体の製造装置。
【0086】
<2>
前記開口部に隣接する位置に設けられた前記空気吹出口又は前記空気吸引口とは別に、該空気吹出口又は該空気吸引口から離間した位置に、空気吸引口が設けられている<1>に記載のシート融着体の製造装置。
<3>
前記シート積層体の他方の面を支持する押さえ部材を更に具備し、前記開口部に対向する位置であって、かつ前記押さえ部材側の位置に集塵部材が配置されており、前記支持部材側から前記押さえ部材側に向けて空気が吹き出すようになっている<1>又は<2>に記載のシート融着体の製造装置。
<4>
前記押さえ部材は、通気性を有する金属材料からなることが好ましく、例えば、金網や金属製のパンチングメタルからなることが好ましい、<3>に記載のシート融着体の製造装置。
<5>
前記押さえ部材は、支持部材側の開口部に対応する部分に、開口部を有している<3>又は<4>に記載のシート融着体の製造装置。
<6>
レーザー光が照射される前から、前記空気吹出口を通じて空気の噴出が行われるようになされている<3>ないし<5>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<7>
前記支持部材が、軸周りに回転可能な円筒ロールを具備し、該円筒ロールは、これが一周する間に、その周面において、空気を吸引するゾーンと空気を噴出するゾーンとを有する<1>ないし<6>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<8>
前記開口部が、前記押さえ部材側に向けて突出して開口している<1>ないし<7>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
【0087】
<9>
前記支持部材は、その内面に凹部を有している<1>ないし<8>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<10>
前記凹部の底部が開口しており、その開口の位置においてスリット状の開口部が露出している<9>に記載のシート融着体の製造装置。
<11>
前記凹部の壁面に複数の前記空気吸引孔又は前記空気吹出口が開口している<9>又は<10>に記載のシート融着体の製造装置。
<12>
前記支持部材が、軸周りに回転可能な円筒ロールを具備し、
前記円筒ロールの側面に吸引リングが配置されており、
前記吸引リングは、前記円筒ロールの回転とは独立して固定状態となっている<1>ないし<11>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<13>
前記吸引リングにおける前記円筒ロールとの対向面に開口が設けられており、
前記開口は、前記支持部材に設けられた連通孔と連通する位置に設けられており、かつ吸引源とも連通しており、
前記吸引リングの前記開口と連通した前記連通孔のみが吸引路を形成し、該吸引路の延長上にある前記空気吸引孔のみから吸引が行われる<12>に記載のシート融着体の製造装置。
【0088】
<14>
前記吸引リングは、前記レーザー光の照射範囲にわたって設けられており、該レーザー光の照射範囲で吸引が行われる<12>又は<13>に記載のシート融着体の製造装置。
<15>
前記支持部材が、軸周りに回転可能な円筒ロールを具備し、
前記円筒ロールの内部に、空気の吸引部材が配置されている<1>ないし<14>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<16>
前記支持部材の面のうち、前記照射ヘッドに臨む面の側に、前記開口部に通ずるとともに、該照射ヘッドから照射されたレーザー光が該開口部に到達可能な狭空間部が、該開口部の延びる方向に沿って形成されており、
前記空気吹出口又は前記空気吸引口が、前記狭空間部に向けて開口している<1>ないし<15>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<17>
前記シートが、不織布、フィルム又は不織布とフィルムとのラミネートシートからなる<1>ないし<16>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<18>
前記不織布が、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布からなる<17>に記載のシート融着体の製造装置。
<19>
一対のサイドシール部を有する外装体を具備するパンツ型使い捨ておむつを製造するパンツ型使い捨ておむつの製造装置であって、
<1>ないし<18>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置を備えたパンツ型使い捨ておむつの製造装置。
【0089】
<20>
複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造方法であって、
前記複数枚のシートの少なくとも一部のシートは樹脂材を含み、
複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体の一方の面を、レーザー光が通過可能な開口部を有する支持部材に当接させ、該帯状のシート積層体に対して、該支持部材側から該開口部を介して、該シート積層体を構成するシートに吸収され該シートを発熱させる発振波長のレーザー光を照射することにより、該帯状のシート積層体を分断するのと同時に、その分断によって生じた複数枚のシートの切断縁部どうしを融着させて前記シール縁部を形成する工程を有し、
前記工程において、前記帯状のシート積層体の分断及び融着時に、前記開口部に向けて空気を吹き付けるか、又は該開口部から空気を吸引して、分断及び融着時に発生するガスを吹き飛ばして除去するか、又は吸引して除去する、シート融着体の製造方法。
<21>
前記開口部に向けて空気を吹き付けるか、又は該光通過部から空気を吸引することに加えて、該開口部から離間した位置において、空気を吸引する<20>に記載のシート融着体の製造方法。
<22>
前記シート積層体の他方の面を押さえ部材に当接させ、前記開口部に対向する位置であって、かつ前記押さえ部材側の位置に集塵部材を配置しておき、前記支持部材側から前記押さえ部材側に向けて空気を吹き出す<20>又は<21>に記載のシート融着体の製造方法。
<23>
前記押さえ部材は、通気性を有する金属材料からなることが好ましく、例えば、金網や金属製のパンチングメタルからなることが好ましい、<22>に記載のシート融着体の製造方法。
<24>
前記押さえ部材は、支持部材側の開口部に対応する部分に、開口部を有している<22>又は<23>に記載のシート融着体の製造方法。
<25>
レーザー光を照射する前から、前記開口部に向けて空気を吹き付ける<20>ないし<24>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法。
<26>
前記支持部材が、軸周りに回転可能な円筒ロールを具備し、前記円筒ロールとして、これが一周する間に、その周面において、空気を吸引するゾーンと空気を噴出するゾーンとを有するものを用いる<20>ないし<25>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法。
【0090】
<27>
前記シート積層体の他方の面を押さえ部材に当接させておき、
前記開口部として、前記押さえ部材側に向けて突出して開口しているものを用いる<20>ないし<26>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法。
<28>
前記支持部材が、軸周りに回転可能な円筒ロールを具備し、
前記円筒ロールの側面に吸引リングが配置されており、
前記吸引リングは、前記円筒ロールの回転とは独立して固定状態となっている<20>ないし<27>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法。
<29>
前記吸引リングにおける前記円筒ロールとの対向面に開口が設けられており、
前記開口は、前記支持部材に設けられた連通孔と連通する位置に設けられており、かつ吸引源とも連通しており、
前記吸引リングの前記開口と連通した前記連通孔のみが吸引路を形成し、該吸引路の延長上にある前記空気吸引孔のみから吸引が行われる<28>に記載のシート融着体の製造方法。
<30>
前記吸引リングは、前記レーザー光の照射範囲にわたって設けられており、該レーザー光の照射範囲で吸引が行われる<28>又は<29>に記載のシート融着体の製造方法。
<31>
前記シートが、不織布、フィルム又は不織布とフィルムとのラミネートシートからなる<20>ないし<30>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法。
【0091】
<32>
前記不織布が、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布からなる<31>に記載のシート融着体の製造方法。
<33>
一対のサイドシール部を有する外装体を具備するパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
<20>ないし<32>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法を用い、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体を形成する工程を有する、パンツ型使い捨ておむつの製造方法。