特許第6228844号(P6228844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228844ガラス技術の3次元インダクタおよび変圧器設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228844
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ガラス技術の3次元インダクタおよび変圧器設計方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20171030BHJP
   H01F 19/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   H01F17/00 C
   H01F19/00 B
   H01F19/00 Z
【請求項の数】22
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-501512(P2013-501512)
(86)(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公表番号】特表2013-524488(P2013-524488A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011029978
(87)【国際公開番号】WO2011119947
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2012年10月23日
【審判番号】不服2015-9726(P2015-9726/J1)
【審判請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】12/731,393
(32)【優先日】2010年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ジョンヘ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミリンド・ピー・シャア
(72)【発明者】
【氏名】チィ・シュン・ロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ−シュン・ラン
(72)【発明者】
【氏名】シア・リ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・マイケル・ノワク
【合議体】
【審判長】 酒井 朋広
【審判官】 森川 幸俊
【審判官】 井上 信一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−304157(JP,A)
【文献】 特開平8−51024(JP,A)
【文献】 特開平8−250332(JP,A)
【文献】 特開平10−154795(JP,A)
【文献】 特開2002−100733(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/121619(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F17/00-21/12,27/00-27/02,27/16-27/08,27/29,27/36,27/42,30/00,38/42
H01F41/00-41/04,41/08-41/10
H01L21/822,27/04
H05K 1/09, 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路デバイスにおいて使用される第1のポートおよび第2のポートを有するインダクタであって、
頂面、底面、第1の側壁、および第2の側壁を有する基板であって、ガラス、サファイア、または石英から形成され、前記第1の側壁および第2の側壁が前記基板の外面を含む基板と、
前記基板の前記頂面上の実質的に互いに平行な複数の頂面導電トレースと、
前記基板の前記底面上の実質的に互いに平行な複数の底面導電トレースと、
前記第1の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂面導電トレースの1つを前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、前記基板の前記第1の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースと、
前記第2の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂面導電トレースの1つを前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、前記基板の前記第2の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースとを備え、
前記複数の頂面導電トレース、底面導電トレース、および側壁導電トレースが、前記インダクタの前記第1のポートから前記第2のポートまでの連続した導電パスを形成し、
前記複数の頂面導電トレースが、集積回路ダイにおけるバックエンドオブライン層に形成され、
前記複数の底面導電トレースが、前記集積回路ダイの裏面メッキによって形成される、インダクタ。
【請求項2】
前記側壁導電トレースが前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁と直接接触する、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁上のチャネルをさらに備え、前記側壁導電トレースが前記チャネル内に形成されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記側壁導電トレースが、前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁上に印刷されている、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁に結合された複数の頂部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂部接点の1つを通じて前記複数の頂面導電トレースの1つに結合している、複数の頂部接点と、
前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁に結合された複数の底部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の底部接点の1つを通じて前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、複数の底部接点とをさらに備える、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記基板の前記頂面と前記頂面導電トレースとの間に位置する、前記基板の前記頂面上の頂部絶縁層と、
前記基板の前記底面と前記底面導電トレースとの間に位置する、前記基板の前記底面上の底部絶縁層とをさらに備える、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記頂部絶縁層に結合された複数の頂部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂部接点の1つを通じて前記複数の頂面導電トレースの1つに結合している、複数の頂部接点と、
前記底部絶縁層に結合された複数の底部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の底部接点の1つを通じて前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、複数の底部接点とをさらに備える、請求項に記載のインダクタ。
【請求項8】
前記複数の頂面導電トレース、底面導電トレース、および側壁導電トレースが、前記インダクタの前記第1のポートから前記第2のポートまでのソレノイド状導電パスを形成する、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記インダクタが一体化される、セットトップボックス、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、通信デバイス、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、モバイルロケーションデータユニット、携帯電話、セルフォン、コンピュータ、ポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モニタ、コンピュータモニタ、テレビジョン、チューナ、ラジオ、衛星無線、ミュージックプレーヤ、デジタルミュージックプレーヤ、ポータブルミュージックプレーヤ、ビデオプレーヤ、デジタルビデオプレーヤ、デジタルビデオディスク(DVD)プレーヤ、およびポータブルデジタルビデオプレーヤからなる群から選択されたデバイスをさらに備える、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項10】
集積回路デバイスにおいて使用される変圧器であって、
頂面、底面、第1の側壁、および第2の側壁を有する基板であって、ガラス、サファイア、または石英から形成され、前記第1の側壁および第2の側壁が前記基板の外面を含む基板と、
前記基板の前記頂面上の実質的に互いに平行な複数の頂面導電トレースと、
前記基板の前記底面上の実質的に互いに平行な複数の底面導電トレースと、
前記第1の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂面導電トレースの1つを前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、前記基板の前記第1の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースと、
前記第2の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂面導電トレースの1つを前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、前記基板の前記第2の側壁上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレースと、
入力ポートおよび出力ポートを有する第1のインダクタであって、第1の組の前記複数の頂面導電トレース、第1の組の前記複数の底面導電トレース、および第1の組の前記複数の側壁導電トレースによって形成され、前記第1の組の前記複数の頂面導電トレース、前記第1の組の前記複数の底面導電トレース、および前記第1の組の前記複数の側壁導電トレースが前記第1のインダクタの前記入力ポートから前記出力ポートまでの連続した第1の導電パスを形成している、第1のインダクタと、
入力ポートおよび出力ポートを有する第2のインダクタであって、第2の組の前記複数の頂面導電トレース、第2の組の前記複数の底面導電トレース、および第2の組の前記複数の側壁導電トレースによって形成され、前記第2の組の前記複数の頂面導電トレース、前記第2の組の前記複数の底面導電トレース、および前記第2の組の前記複数の側壁導電トレースが前記第2のインダクタの前記入力ポートから前記出力ポートまでの連続した第2の導電パスを形成し、前記連続した第2の導電パスが前記連続した第1の導電パスから独立している、第2のインダクタとを備え、
前記第1のインダクタが前記第2のインダクタに電磁結合され
前記第1の組の前記複数の頂面導電トレース及び前記第2の組の前記複数の頂面導電トレースが、集積回路ダイにおけるバックエンドオブライン層に形成され、
前記第1の組の前記複数の底面導電トレース及び前記第2の組の底面導電トレースが、前記集積回路ダイの裏面メッキによって形成される、変圧器。
【請求項11】
前記第1の組の前記複数の頂面導電トレースの各頂面導電トレースが、前記第2の組の前記複数の頂面導電トレースの1つの前記頂面導電トレースに隣接し、前記第1の組の前記複数の底面導電トレースの各底面導電トレースが、前記第2の組の前記複数の底面導電トレースの1つの前記底面導電トレースに隣接し、前記第1の組の前記複数の側壁導電トレースの各側壁導電トレースが、前記第2の組の前記複数の側壁導電トレースの1つの前記側壁導電トレースに隣接するように、前記第1のインダクタの前記連続した第1の導電パスが前記第2のインダクタの前記連続した第2の導電パスと交互配置される、請求項10に記載の変圧器。
【請求項12】
前記側壁導電トレースが前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁と直接接触する、請求項10に記載の変圧器。
【請求項13】
前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁上のチャネルをさらに備え、前記側壁導電トレースが前記チャネル内に形成されている、請求項10に記載の変圧器。
【請求項14】
前記側壁導電トレースは、前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁上に印刷されている、請求項10に記載の変圧器。
【請求項15】
前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁に結合された複数の頂部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂部接点の1つを通じて前記複数の頂面導電トレースの1つに結合している、複数の頂部接点と、
前記基板の前記第1の側壁および前記第2の側壁に結合された複数の底部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の底部接点の1つを通じて前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、複数の底部接点とをさらに備える、請求項10に記載の変圧器。
【請求項16】
前記基板の前記頂面と前記頂面導電トレースとの間に位置する、前記基板の前記頂面上の頂部絶縁層と、
前記基板の前記底面と前記底面導電トレースとの間に位置する、前記基板の前記底面上の底部絶縁層とをさらに備える、請求項10に記載の変圧器。
【請求項17】
前記頂部絶縁層に結合された複数の頂部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の頂部接点の1つを通じて前記複数の頂面導電トレースの1つに結合している、複数の頂部接点と、
前記底部絶縁層に結合された複数の底部接点であって、前記複数の側壁導電トレースの各々が前記複数の底部接点の1つを通じて前記複数の底面導電トレースの1つに結合している、複数の底部接点とをさらに備える、請求項16に記載の変圧器。
【請求項18】
前記第1のインダクタの前記連続した第1の導電パスがソレノイド状であり、かつ前記第2のインダクタの前記連続した第2の導電パスがソレノイド状である、請求項10に記載の変圧器。
【請求項19】
前記変圧器が一体化される、セットトップボックス、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、通信デバイス、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、モバイルロケーションデータユニット、携帯電話、セルフォン、コンピュータ、ポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モニタ、コンピュータモニタ、テレビジョン、チューナ、ラジオ、衛星無線、ミュージックプレーヤ、デジタルミュージックプレーヤ、ポータブルミュージックプレーヤ、ビデオプレーヤ、デジタルビデオプレーヤ、デジタルビデオディスク(DVD)プレーヤ、およびポータブルデジタルビデオプレーヤからなる群から選択されたデバイスをさらに備える、請求項10に記載の変圧器。
【請求項20】
集積回路デバイスにおいて使用される第1のポートおよび第2のポートを有するインダクタであって、
外面を有し、ガラス、サファイア、または石英から形成される基板と、
前記基板の前記外面の周囲において前記インダクタの前記第1のポートから前記第2のポートまで通電するための手段とを備え、
前記通電するための手段が、実質的に互いに平行なソレノイド状であり、かつ前記基板の外面と直接接触し、
前記基板の頂面上の通電するための手段が、集積回路ダイにおけるバックエンドオブライン層に形成され、
前記基板の底面上の通電するための手段が、前記集積回路ダイの裏面メッキによって形成される、インダクタ。
【請求項21】
集積回路デバイスにおいて使用される変圧器であって、
外面を有し、ガラス、サファイア、または石英から形成される基板と、
前記基板の前記外面の周囲に通電するための第1の手段と、
前記基板の前記外面の周囲に通電するための第2の手段とを備え、
前記第1の手段が前記第2の手段に電磁結合され、
前記第1の手段および前記第2の手段が、実質的に互いに平行なソレノイド状であり、かつ前記基板の外面と直接接触すし、
前記基板の頂面上の前記第1の手段及び前記第2の手段が、集積回路ダイにおけるバックエンドオブライン層に形成され、
前記基板の底面上の前記第1の手段及び前記第2の手段が、前記集積回路ダイの裏面メッキによって形成される、変圧器。
【請求項22】
前記第1の手段が前記第2の手段と交互配置される、請求項21に記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して集積回路デバイスに関し、より詳細には、集積回路デバイスで使用される高抵抗率基板において実現されるインダクタおよび変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタおよび変圧器は、無線周波数(RF)集積回路用途を含む様々な集積回路用途において使用される。インダクタは、それを通過する電流によって生成された磁界中のエネルギーを貯蔵することのできる受動電気構成要素である。インダクタは、1つまたは複数の「巻き」を含むコイルまたはソレノイドとして成形された導体であってもよい。各巻きは、導体の各巻き内を流れる電流によって誘導された磁束をインダクタの巻き内の「誘電」領域に集中させる。巻きの数および巻きのサイズはインダクタンスに影響を与える。
【0003】
結合された磁束を有する2つ(またはそれ以上)のインダクタは変圧器を形成する。変圧器は、誘導結合された導体、通常は変圧器を形成するインダクタのコイルまたは巻きを通じて電気エネルギーを1つの回路から別の回路へと送るデバイスである。第1のインダクタまたは「一次」インダクタ内の可変電流は、第2のインダクタまたは「二次」インダクタにおいて可変電流を誘導する。二次インダクタに負荷が結合された場合、二次インダクタ内を電流が流れ、電気エネルギーが一次回路から変圧器を通じて負荷まで流れる。
【0004】
様々な技術、たとえば相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術、ガラス技術、サファイア技術、石英技術などを使用して集積回路を設計することができる。これらの様々な技術は、それらを様々な用途により適したものにするそれぞれの異なる特性を有する。たとえば、CMOS技術は、フィーチャサイズが小さくなるにつれて小型化することのできる、トランジスタなどの能動構成要素に適している。しかしながら、インダクタなどの受動構成要素は、フィーチャサイズに応じて小型化することはなく、したがって、CMOS技術では比較的顕著な量の空間を消費することがある。別の例として、ガラス技術は、能動デバイスには適していないが、CMOS技術よりもコストが安いので、ガラス技術を受動デバイスによりうまく適合させることができる。当業者に知られている様々な技術を区別する様々な他の特性がある。
【0005】
集積回路ダイおよび回路パッケージにおいて実現される従来のインダクタは、いくつかの欠点を有することがある。これらのインダクタは、導電層にらせん状または渦巻状のトレースを形成してインダクタの巻きを形成することによって製造されてもよい。場合によっては、このようなトレースを隣接する層内のトレースに結合してより高いインダクタンスを実現してもよい。残念ながら、インダクタは、過度の金属層資源を消費することがあり、望ましくないスケーリングを行わないかぎり十分な電流容量または十分に高いQ値を実現することができない。また、インダクタの誘導領域は、パッケージ基板および回路ダイ内の他の層に対して実質的に平行であるので、集積回路内の他の構成要素に対して好ましくない電磁干渉(EMI)作用を及ぼすことがあり、かつ/またはインダクタのインダクタ特性が、基板または回路ダイ内の隣接する導体の悪影響を受ける可能性がある。
【0006】
より高いインダクタンス値を生成し、しかも他の構成要素に望ましいより狭い空間を占有し、かつ他の構成要素に対してEMIの悪影響をほとんど与えないことが可能なインダクタおよび変圧器実装形態を有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
集積回路デバイスにおいて使用される第1のポートおよび第2のポートを有するインダクタを開示する。このインダクタは、頂面、底面、第1の側壁、および第2の側壁を有する高抵抗率基板を含む。インダクタはまた、基板の頂面上の実質的に互いに平行な複数の頂面導電トレースと、基板の底面上の実質的に互いに平行な複数の底面導電トレースと、基板の第1の側壁および第2の側壁上の複数の側壁導電トレースとを含む。第1の側壁および第2の側壁上の各側壁導電トレースは、1つの頂面導電トレースを1つの底面導電トレースに結合する。頂面導電トレース、底面導電トレース、および側壁導電トレースは、インダクタの第1のポートから第2のポートまでの連続した導電パスを形成する。頂面導電トレース、底面導電トレース、および側壁導電トレースは、インダクタの第1のポートから第2のポートまでのソレノイド状導電パスを形成してもよい。
【0008】
高抵抗率基板は、ガラス、サファイア、石英、またはその他の高抵抗率材料で作られてもよい。頂面導電トレースは、集積回路ダイのバックエンドオブライン工程の間に形成されてもよい。底面導電トレースは、集積回路ダイの裏面メッキ工程によって形成されてもよい。
【0009】
インダクタは、基板の第1の側壁および第2の側壁上にチャネルを含んでもよく、側壁導電トレースはチャネル内に形成されてもよい。側壁導電トレースは、基板の第1の側壁および第2の側壁上に印刷されてもよい。
【0010】
インダクタは、基板の第1の側壁および第2の側壁に結合された複数の頂部接点および複数の底部接点を含んでもよく、各側壁導電トレースは1つの頂部接点を通じて1つの頂面導電トレースに結合し、1つの底部接点を通じて1つの底面導電トレースに結合する。インダクタは、基板の頂面上に頂部絶縁層を含み、かつ基板の底面上に底部絶縁層を含んでもよく、頂部絶縁層は、基板の頂面と頂面導電トレースとの間に配置され、底部絶縁層は、基板の底面と底面導電トレースとの間に配置される。頂部接点は、頂部絶縁層に結合されてもよく、底部接点は底部絶縁層に結合されてもよい。
【0011】
インダクタは、セットトップボックス、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、通信デバイス、携帯情報端末(PDA)、固定位置データユニット、モバイルロケーションデータユニット、携帯電話、セルフォン、コンピュータ、ポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モニタ、コンピュータモニタ、テレビジョン、チューナ、ラジオ、衛星無線、ミュージックプレーヤ、デジタルミュージックプレーヤ、ポータブルミュージックプレーヤ、ビデオプレーヤ、デジタルビデオプレーヤ、デジタルビデオディスク(DVD)プレーヤ、およびポータブルデジタルビデオプレーヤを含む様々なデバイスに一体化されてもよい。
【0012】
本明細書では、集積回路デバイスにおいて使用される変圧器を開示する。この変圧器は、頂面、底面、第1の側壁、および第2の側壁を有する高抵抗率基板を含む。変圧器はまた、基板の頂面上の実質的に互いに平行な複数の頂面導電トレースと、基板の底面上の実質的に互いに平行な複数の底面導電トレースと、基板の第1の側壁および第2の側壁上の複数の側壁導電トレースとを含む。第1の側壁および第2の側壁上の各側壁導電トレースは、1つの頂面導電トレースを1つの底面導電トレースに結合する。変圧器は、第1のインダクタと第2のインダクタとを含む。第1のインダクタは、入力ポートと、出力ポートと、第1の組の頂面導電トレース、第1の組の底面導電トレース、および第1の組の側壁導電トレースによって形成される入力ポートから出力ポートまでの連続した第1の導電パスとを有する。第2のインダクタは、入力ポートと、出力ポートと、第2の組の頂面導電トレース、第2の組の底面導電トレース、および第2の組の側壁導電トレースによって形成される入力ポートから出力ポートまでの連続した第2の導電パスとを有する。連続した第2の導電パスは連続した第1の導電パスから独立しており、第1のインダクタは第2のインダクタに電磁的に結合される。
【0013】
第1のインダクタの連続した第1の導電パスおよび第2のインダクタの連続した第2の導電パスはソレノイド状であってもよい。第1のインダクタの連続した第1の導電パスは、第2のインダクタの連続した第2の導電パスと交互配置されてもよい。連続した第1の導電パスと第2の導電パスを交互配置すると、第1の組の頂面導電トレースの各頂面導電トレースは、第2の組の頂面導電トレースの1つの頂面導電トレースに隣接し、第1の組の底面導電トレースの各底面導電トレースは、第2の組の底面導電トレースの1つの底面導電トレースに隣接し、第1の組の側壁導電トレースの各側壁導電トレースは、第2の組の側壁導電トレースの1つの側壁導電トレースに隣接する。
【0014】
高抵抗率基板は、ガラス、サファイア、石英、またはその他の高抵抗率材料で作られてもよい。頂面導電トレースは、集積回路ダイのバックエンドオブライン工程の間に形成されてもよい。底面導電トレースは、集積回路ダイの裏面メッキ工程によって形成されてもよい。変圧器は、基板の第1の側壁および第2の側壁上にチャネルを含んでもよく、側壁導電トレースはチャネル内に形成されてもよい。側壁導電トレースは、基板の第1の側壁および第2の側壁上に印刷されてもよい。
【0015】
変圧器は、基板の第1の側壁および第2の側壁に結合された複数の頂部接点および複数の底部接点を含んでもよく、各側壁導電トレースは1つの頂部接点を通じて1つの頂面導電トレースに結合し、1つの底部接点を通じて1つの底面導電トレースに結合する。変圧器は、基板の頂面と頂面導電トレースとの間に頂部絶縁層を含み、基板の底面と底面導電トレースとの間に底部絶縁層を含んでもよい。頂部接点は、頂部絶縁層に結合されてもよく、底部接点は底部絶縁層に結合されてもよい。
【0016】
変圧器は、セットトップボックス、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、通信デバイス、携帯情報端末(PDA)、固定ロケーションデータユニット、モバイルロケーションデータユニット、携帯電話、セルフォン、コンピュータ、ポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、モニタ、コンピュータモニタ、テレビジョン、チューナ、ラジオ、衛星無線、ミュージックプレーヤ、デジタルミュージックプレーヤ、ポータブルミュージックプレーヤ、ビデオプレーヤ、デジタルビデオプレーヤ、デジタルビデオプレーヤ、デジタルビデオディスク(DVD)プレーヤ、およびポータブルデジタルビデオプレーヤを含む様々なデバイスに一体化されてもよい。
【0017】
集積回路デバイスにおいて使用される第1のポートおよび第2のポートを有するインダクタであって、外面を有する高抵抗率基板と、外面の周囲においてインダクタの第1のポートから第2のポートまで通電する手段とを含むインダクタを開示する。通電手段はソレノイド状であってもよい。
【0018】
集積回路デバイスにおいて使用される変圧器であって、外面を有する高抵抗率基板と、基板の外面の周囲において通電する第1の手段と、基板の外面の周囲において通電する第2の手段とを含み、第1の手段が第2の手段に電磁的に結合される変圧器を開示する。第1の手段および第2の手段はソレノイド状であってもよい。第1の手段は、第2の手段と交互配置されてもよい。
【0019】
本開示のより完全な理解のために、ここで、以下の詳細な説明および添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ガラス技術デバイスの断面図である。
図2】3次元ソレノイド状インダクタの概略図である。
図3】基板上に実現された3次元ソレノイド状インダクタの概略斜視図である。
図4】変圧器を表した図である。
図5】2つの3次元ソレノイド状インダクタによって実現された3次元変圧器の概略図である。
図6】2つの3次元ソレノイド状インダクタによって基板上に実現された3次元変圧器の概略斜視図である。
図7】BEOL層を含む基板の簡略化された概略図である。
図8】裏面メッキ層を含む図7の基板の簡略化された概略図である。
図9】側壁導電トレースを含む図8の基板の簡略化された概略図である。
図10】BEOL層および裏面メッキ層が除去された図8の基板の簡略化された概略図である。
図11】側壁接点を使用する変圧器の一実施形態の図である。
図12】ウエハ上の素子列を示す図である。
図13】ウエハから切り出された図12の素子列を示す図である。
図14図13の素子列の裏面図である。
図15】側壁導電トレースを含む図13の素子列を示す図である。
図16】別個の素子として切り分けられた図13の素子列を示す図である。
図17】有利なことに3次元インダクタおよび/または変圧器あるいはそれに基づく他のデバイスが使用され得る例示的なワイヤレス通信システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ガラス基板102と、デバイス層104と、複数のバックエンドオブライン(BEOL)層106とを含むガラス技術ダイ100を示している。ガラス基板102は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)基板よりも抵抗率が高く、かつ誘電率が低い(約4.7)。集積回路ダイでは抵抗率のより高い他の基板材料、たとえばサファイアまたは石英を使用してもよい。
【0022】
図2は、ソレノイド状導電パス202と、入力ポート204と、出力ポート206とを備える3次元インダクタ200を示している。ソレノイド状導電パス202は、実質的に互いに平行な複数の頂面トレース210と、底面トレース212と、側壁トレース214とを備え、側壁トレース214が頂面トレース210を底面トレース212に結合してソレノイド状導電パス202内にプログレッシブループを形成している。導電パス202は入力ポート204から出力ポート206まで延びている。インダクタ200に通電すると、ソレノイド状導電パス202内に磁界が生成される。インダクタ200のインダクタンスは導電パス202の長さ、ループの数、および導電パス202内のループのサイズに比例する。
【0023】
図3は、高抵抗率基板302上の3次元ソレノイド状インダクタ300の一実施形態を示している。基板302は、ガラス、サファイア、またはその他の適切な高抵抗率材料で作られてもよい。例示的な基板302は、頂面304と、底面306と、第1の側壁308と、第2の側壁310とを含む。基板は、所望される場合、これよりも多いかまたは少ない数の面を含む他の形状を有してもよい。インダクタ300は、第1のポート312と、第2のポート314と、第1のポート312から第2のポート314まで延びる連続したソレノイド状導電パス316とを含む。ソレノイド状導電パス316は、基板302の頂面304上の実質的に互いに平行な複数の頂面導電トレース318と、基板302の底面306上の実質的に互いに平行な複数の底面導電トレース(図示せず)と、基板302の側壁308、310上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレース320とを備える。各側壁導電トレース320は、基板302の頂面304上の1つの頂面導電トレース318を基板302の底面306上の1つの底面導電トレースに結合して連続したソレノイド状導電パス316を形成する。インダクタ300に通電すると、ソレノイド状導電パス316内に磁界が生成される。インダクタ300のインダクタンスは導電パス316の長さ、導電トレースによって形成されるループの数、およびループのサイズに比例する。
【0024】
図4は、第1のインダクタ402と第2のインダクタ404とを含む変圧器400を示している。第1のインダクタ402は、第1のポート406と第2のポート408とを有し、第1のポート406は、一次回路(図示せず)に結合されてもよく、第2のポート408はグランドに結合されるように示されている。第2のインダクタ404は、第1のポート410と第2のポート412とを有し、第1のポート410は、負荷(図示せず)に結合されてもよく、第2のポート412はグランドに結合されるように示されている。第1のインダクタ402は、第2のインダクタ404から物理的に分離されており、そのため、2つのインダクタ間の電磁結合を推進し、したがって、第1のインダクタ402内の可変電流が変圧器400の第1のインダクタ402の両端間に第1の電位P1を生成し、それによって変圧器400の第2のインダクタ404の両端間に第2の電位P2を生じさせ、負荷に電圧を生じさせる。
【0025】
図5は、第2のソレノイド状インダクタ530と交互配置された第1のソレノイド状インダクタ510を備える3次元変圧器500を示している。第1のインダクタ510は、第1の入力ポート514から第1の出力ポート516まで延びる第1のソレノイド状導電パス512を備える。第1のソレノイド状導電パス512は、実質的に互いに平行な複数の頂面トレース518と、底面トレース520と、側壁トレース522とを備え、側壁トレース522が頂面トレース518を底面トレース520に結合してソレノイド状導電パス512内にプログレッシブループを形成している。第2のインダクタ530は、第2の入力ポート534から第2の出力ポート536まで延びる第2のソレノイド状導電パス532を備える。第2のソレノイド状導電パス532は、実質的に互いに平行な複数の頂面トレース538と、底面トレース540と、側壁トレース542とを備え、各側壁トレース542が1つの頂面トレース538を1つの底面トレース540に結合して第2のソレノイド状導電パス532内にプログレッシブループを形成している。変圧器500の第1のインダクタ510に通電すると磁界が生成され、それによって、変圧器500の第2のインダクタ530内に電流が誘導される。
【0026】
図6は、高抵抗率基板602上で第2のソレノイド状インダクタ606と交互配置された第1のソレノイド状インダクタ604を備える高抵抗率基板602上の3次元変圧器600の例示的な実施形態を示している。基板602は、ガラス、サファイア、またはその他の適切な高抵抗率材料で作られてもよい。基板602は、頂面608と、底面610と、第1の側壁612と、第2の側壁614とを含む。基板は、所望される場合、これよりも多いかまたは少ない数の面を含む他の形状を有してもよい。
【0027】
第1のインダクタ604は、第1の入力ポート622から第1の出力ポート624まで延びる連続した第1のソレノイド状導電パス620を含む。第1の導電パス620は、基板602の頂面608上の実質的に互いに平行な複数の頂面導電トレース626と、基板602の底面610上の実質的に互いに平行な複数の底面導電トレース(図示せず)と、基板602の側壁612、614上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレース628とを備える。各側壁導電トレース628は、基板602の頂面608上の1つの頂面導電トレース626を基板602の底面610上の1つの底面導電トレースに結合して第1のインダクタ604の連続したソレノイド状導電パス620を形成する。
【0028】
第2のインダクタ606は、第2の入力ポート632から第2の出力ポート634まで延びる連続した第2のソレノイド状導電パス630を備える。第2の導電パス630は、基板602の頂面608上の実質的に互いに平行な複数の頂面導電トレース636と、基板602の底面610上の実質的に互いに平行な複数の底面導電トレース(図示せず)と、基板602の側壁612、614上の実質的に互いに平行な複数の側壁導電トレース638とを備える。各側壁導電トレース638は、基板602の頂面608上の1つの頂面導電トレース636を基板602の底面610上の1つの底面導電トレースに結合して第2のインダクタ606の連続したソレノイド状導電パス630を形成する。
【0029】
変圧器600の第1のインダクタ604に通電すると、変圧器600の交互配置された第2のインダクタ606内に電流が誘導される。
【0030】
図7図9は、図3に示されているインダクタ300と同様のインダクタ900に関する例示的な製造プロセスを示している。同様のプロセスを使用して図6の変圧器600と同様の変圧器を製造してもよい。この例示的なプロセスではまず、高抵抗率基板702が用意される。バックエンドオブライン(BEOL)製造プロセスの間に高抵抗率基板702上の金属層704内に互いに平行な1組の頂面導電トレースを形成してもよい。裏面メッキ工程を使用して基板702の底面上に互いに平行な1組の底面導電トレース806を形成してもよい。各側壁トレース908が金属層704内の1つの頂面トレースを裏面メッキ層806内の1つの底面トレースに結合して基板702の外側の周囲にソレノイド状導電パスを形成するように、基板702の側壁上に1組の側壁トレース908を形成してもよい。
【0031】
図10は、図を明確にするために金属層704および裏面メッキ層806が除去された基板702上の側壁トレース908の例示的な実施形態のより詳細な図を示している。この実施形態では、側壁トレース908は、基板702の側壁の刻み目として示されている。これらの刻み目は、基板に切り込みを入れて側壁にノッチまたはチャネルを形成することによって形成されてもよい。次いで、基板702の側壁のノッチまたはチャネルに側壁トレース908を形成してもよい。代替実施形態では、基板にノッチまたはトレースを形成せずに基板の側壁上に側壁トレースを印刷してもよい。
【0032】
図11は、基板1102上に形成されたインダクタ1100の例示的な実施形態の一部を示している。この実施形態では、基板1102の頂面上に頂部絶縁層1104が形成され、基板1102の底面上に底部絶縁層1106が形成される。インダクタ1100は、基板1102、頂部絶縁層1104、および底部絶縁層1106の外側の周囲を延びる連続した導電パス1108を備える。
【0033】
インダクタ1100の導電パス1108は、頂部絶縁層1104の頂部を横切って延びる複数の頂面導電トレース1110と、底部絶縁層1106の底部を横切って延びる複数の底面導電トレース1112と、複数の側壁トレース1114とを備える。各側壁トレース1114は、1つの頂面導電トレース1110を1つの底面導電トレース1112に結合する。頂部絶縁層1104は、基板1102の頂面と複数の頂面トレース1110との間に位置し、底部絶縁層1106は、基板1102の底面と複数の底面トレース1112との間に位置している。インダクタ1100は、頂部絶縁層1104に結合された複数の頂部接点1116と、底部絶縁層1106に結合された複数の底部接点1118も含む。頂部接点1116は、頂面トレース1110を側壁トレース1114の頂部に結合し、底部接点1118は、底面トレース1112を側壁トレース1114の底部に結合している。頂部金属接点1116、側壁トレース1114、および底部接点1118の同様の構造が基板1102の反対側の側壁上に形成され、頂部金属トレース1110と底部金属トレース1112を基板1102の反対側の側壁上で結合している。頂部金属トレース1110、頂部接点1116、側壁トレース1114、底部接点1118、および底部金属トレース1112を通る連続した導電パスはインダクタ1100の連続した導電パスを形成している。
【0034】
図12図16はインダクタ素子または変圧器素子用の例示的な製造プロセスを示している。図12は、頂面1204と底面1206とを有する高抵抗率ウエハ1202上の例示的な素子列1200を示している。素子列1200の各素子は、ウエハ1202の頂面1204上に複数の導電トレース1210を含む。ウエハ1202の頂面1204上の導電トレース1210は、BEOL工程の間に金属層から形成されてもよい。素子列1200の各素子は、ウエハ1202の底面1206上に複数の導電トレース1212も含む。ウエハ1202の底面1206上の導電トレース1212は、裏面メッキ工程を使用して形成されてもよい。ウエハ1202は、複数の素子列を含んでもよいが、図を明確にするために1列1200のみが示されている。
【0035】
図13は、ウエハ1202の残りの部分から分離された後の素子列1200を示している。素子列1200は、ウエハ1202の一部であった基板1302を含む。基板1302は、頂面1304と、底面1306と、第1の側壁1308と、第2の側壁1310とを有する。導電トレース1210は、基板1302の頂面1304上に位置している。図14は、導電トレース1212を示す、基板1302の底面1306の例示的な図を示している。基板1302をウエハ1202から切り出すまたは分離するプロセスの間に、基板1302の側壁1308、1310にノッチまたはチャネルを形成してもよい。このようなノッチまたはチャネルを以後の工程において形成される側壁トレースに使用してもよい。
【0036】
図15は、側壁トレース1500が基板1302の第1の側壁1308および第2の側壁1310上に形成された後の素子列1200を示している。各側壁トレース1500は、1つの頂面導電トレース1210を1つの底面導電トレース1212に結合し、連続した導電パスを形成している。側壁トレース1500は、第1の側壁1308および第2の側壁1310に形成されたノッチまたはチャネル内に形成されてもよい。
【0037】
図16は、素子列1200を個々の素子に分離することによって作られた4つの変圧器素子またはインダクタ素子1602、1604、1606、1608を示している。各素子1602、1604、1606、1608はそれぞれ、素子1602、1604、1606、1608の基板の頂面、第1の側壁、底面、および第2の側壁の周囲を延びる、連続した少なくとも1つのソレノイド状導電パス1612、1614、1616、1618を備える。
【0038】
図17は、基板の頂部、底部、および側壁の周囲を延びて連続したソレノイド状導電パスを形成する複数の導電トレースによって実現されるインダクタまたは変圧器の実施形態を有利に使用することができる例示的なワイヤレス通信システム1700を示している。例示のために、図17は、3つの遠隔ユニット1720、1730および1750ならびに2つの基地局1740を示している。一般的なワイヤレス通信システムは、これよりも多くの遠隔ユニットおよび基地局を有し得ることを認識されたい。遠隔ユニット1720、1730、および1750のいずれも、基板の頂部、底部、および側壁の周囲を延びて、本明細書において開示するような連続したソレノイド状導電パスを形成する複数の導電トレースによって実現されるインダクタまたは変圧器を含んでもよい。図17は、基地局1740から遠隔ユニット1720、1730および1750への順方向リンク信号1780、ならびに遠隔ユニット1720、1730および1750から基地局1740への逆方向リンク信号1790を示している。
【0039】
図17では、遠隔ユニット1720は携帯電話として示され、遠隔ユニット1730はポータブルコンピュータとして示され、遠隔ユニット1750はワイヤレスローカルループシステム内の固定ロケーション遠隔ユニットとして示されている。たとえば、遠隔ユニットはセルフォン、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、個人情報端末などのポータブルデータユニット、またはメータ読取り機器などの固定位置データユニットであってもよい。図17は、本明細書に開示されているように実現されるインダクタおよび変圧器を含んでもよいあるいくつかの例示的な遠隔ユニットを示しているが、本明細書に開示されているように実現されるインダクタおよび変圧器はこれらの例示的な図示のユニットに限定されない。基板の頂部、底部、および側壁の周囲を延びて連続したソレノイド状導電パスを形成する複数の導電トレースによって実現されるインダクタまたは変圧器が望ましい任意の電子デバイスにおいて各実施形態を好適に使用することができる。
【0040】
上記に本発明の原則を組み込んだ例示的な実施形態を開示したが、本発明は開示された実施形態に限定されない。その代わり、本出願は、本発明のあらゆる変形例、用途、または適応例を、本発明の一般的な原則を使用して対象とするものである。また、本出願は、本発明が関係する、添付の特許請求の範囲の制限内の技術分野の公知の慣習または慣習の範囲内の、本開示からのそのような逸脱を対象とするものである。
【符号の説明】
【0041】
100 ガラス技術ダイ
102 基板
104 デバイス層
106 バックエンドオブライン(BEOL)層
202 ソレノイド状導電パス
204 入力ポート
206 出力ポート
210 頂面トレース
212 底面トレース
214 側壁トレース
300 ソレノイド状インダクタ
302 高抵抗率基板
304 頂面
306 底面
308 第1の側壁
310 第2の側壁
312 第1のポート
314 第2のポート
316 ソレノイド状導電パス
318 頂面導電トレース
400 変圧器
402 第1のインダクタ
404 第2のインダクタ
406 第1のポート
408 第2のポート
410 第1のポート
412 第2のポート
500 3次元変圧器
510 第1のソレノイド状インダクタ
512 第1のソレノイド状導電パス
514 第1の入力ポート
516 第1の出力ポート
518 頂面トレース
520 底面トレース
522 側壁トレース
530 第2のインダクタ
532 第2のソレノイド状導電パス
534 第2の入力ポート
538 頂面トレース
540 底面トレース
542 側壁トレース
600 3次元変圧器
602 高抵抗率基板
604 第1のソレノイド状インダクタ
606 第2のインダクタ
608 頂面
610 底面
612 第1の側壁
614 第2の側壁
620 第1のソレノイド状導電パス
622 第1の入力ポート
624 第1の出力ポート
626 頂面導電トレース
630 ソレノイド状導電パス
632 第2の入力ポート
634 第2の出力ポート
638 側壁導電トレース
640 第1のインダクタ
702 高抵抗率基板
704 金属層
806 底面導電トレース
900 インダクタ
908 側壁トレース
1100 インダクタ
1102 基板
1104 頂部絶縁層
1106 底部絶縁層
1108 導電パス
1110 頂面導電トレース
1112 底面導電トレース
1114 側壁トレース
1116 頂部接点
1118 底部接点
1200 素子列
1202 高抵抗率ウエハ
1204 頂面
1206 底面
1210 導電トレース
1212 導電トレース
1302 基板
1304 頂面
1306 底面
1308、1310 側壁
1500 側壁トレース
1602、1604、1606、1608 インダクタ素子
1612、1614、1616、1618 ソレノイド状導電パス
1720、1730、1750 遠隔ユニット
1740 基地局
1780 順方向リンク信号
1790 逆方向リンク信号
P1 第1の電位
P2 第2の電位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17