(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機(9)に設けられ、通電によって発熱するグロープラグ(1)と、その先端が前記内燃機関に設けた燃焼室(90)に臨む連通孔(913)の内側に位置するように前記グロープラグを固定する筒状の固定部材(2)と、圧電効果によって圧力を検出する圧電素子(50)を備えた燃焼圧検出部(5)と、前記燃焼圧検出部へ前記燃焼室内で発生した燃焼圧を伝達する荷重伝達部材(4)と、前記グロープラグへの通電制御を図ると共に前記燃焼圧検出部への入出力制御を図る制御部(6)と、前記制御部と外部との入出力を図る入出力部(7)とを具備し、これらを筒状のハウジング(3)に一体的に収容して、前記燃焼室の加熱と前記燃焼圧の検出とを図るグロープラグ一体型燃焼圧センサであって、
前記ハウジングが軸方向に筒状に伸びる外筒部(30)と、その先端側で内側に向かって環状に突出する荷重伝達部材係止部(31)と、前記内燃機関のエンジンヘッド(91)に設けたプラグホール(910)の雌ネジ部(912)と螺合し、前記外筒部の基端側に設けた雄ネジ部(32)と、該雄ネジ部のさらに基端側の前記エンジンヘッドから露出する位置に設けた素子収容部(33)を具備し、
前記荷重伝達材が、前記外筒部の内側に保持され、一端が前記荷重伝達部材係止部に当接し、他端が前記素子収容部の内側に露出する内筒部(40)と、該内筒部に延設され、前記素子収容部の内側で外径方向に向かって鍔状に広がる鍔部(41)とを具備し、
前記素子収容部の内側に固定された前記検出部の下面に前記鍔部を当接せしめたことを特徴とするグロープラグ一体型燃焼圧センサ(8、8a)
前記グロープラグと前記制御部との導通を図る導通経路の少なくとも一部が、前記素子収容部の内側において弾性変形可能なリード部(124)を具備する請求項1又は2に記載のグロープラグ一体型燃焼圧センサ(8、8a)
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1A、
図1B、
図1C、
図2A、
図2Bを参照して、本発明の第1の実施形態におけるグロープラグ一体型燃焼圧センサ8(以下、一体型センサ8と称する。)の概要について説明する。
なお、以下の説明において、内燃機関9の燃焼室90に臨む側を先端側とし、外部に接続される側を基端側とする。
一体型センサ8は、通電によって発熱するグロープラグ1と、グロープラグ1を保持固定する固定部材2と、固定部材2を内燃機関9のエンジンヘッド91に設けたプラグホール911内で気密3に保持するハウジング3と、燃焼室内で発生した燃焼圧P
SYLを伝達するための荷重伝達部材4と荷重伝達部材4によって伝達された圧力を検出する検出部5とグロープラグ1への通電制御と検出部5への入出力制御とを行う制御部6と外部との接続を図る入出力部7とによって構成されている。
【0015】
本発明の一体型センサ8においては、ハウジング3が軸方向に筒状に伸びる外筒部30と、その先端側で内側に向かって環状に突出する荷重伝達部材係止部31と、内燃機関9のエンジンヘッド91に設けたプラグホール910の雌ネジ部912と螺合し、外筒部30の基端側に設けた雄ネジ部32と、雄ネジ部32のさらに基端側で、エンジンヘッド91から露出する位置に設けた素子収容部33を具備し、荷重伝達材4が、外筒部30の内側に保持され、一端が前記荷重伝達部材係止部31に当接し、他端が素子収容部33の内側に露出する内筒部40と、内筒部40に延設され、素子収容部33の内側で外径方向に向かって鍔状に広がる鍔部41とを具備し、素子収容部33内に固定された検出部5の下面に鍔部41を当接せしめたことを特徴とする。
【0016】
本実施形態におけるグロープラグ1には、いわゆるセラミックヒータが用いられている。
グロープラグ1は、軸方向に伸びる棒状に形成された絶縁体13と、絶縁体13の内部に埋設され、U字状に形成された抵抗発熱体10と、抵抗発熱体10のそれぞれの端部に接続され絶縁体13の所定の位置で表面に引き出された接地側リード部11及び通電側リード部12と、接地側リード部11に接続して設けられた接地端子110と通電側リード部12に接続して設けられた通電端子120とによって構成されている。
【0017】
抵抗発熱体10には、例えば、炭化タングステン(WC)、二硅化モリブデン(MoSi
2)、二硅化タングステン(WSi
2)等の公知の導電性セラミック材料が用いられ、射出成形等の公知の方法により略U字形に形成されている。
接地側リード部11、通電側リード部12は、タングステン(W)等の公知の導電性材料を用いて所定の形状に形成され、略U字形の抵抗発熱体10のそれぞれの端に接続されている。
【0018】
絶縁体13は、窒化硅素Si
3N
4等の公知の絶縁性セラミックが用いられ、抵抗発熱体10と接地側リード部11と通電側リード部12とを覆っている。
絶縁体13は、内側に抵抗発熱体10と接地側リード部11と通電側リード部12とが埋設された状態で、ホットプレス等の公知の方法により一体的に焼結されている。
【0019】
接地端子110、通電端子120は、絶縁体13の焼結後、切削加工によって絶縁体13の表面の所定位置に露出させた地側リード部11と通電側リード部12のそれぞれの端部に接続して、膜印刷やメッキ等の公知の方法により形成され、絶縁体13の内部に埋設された抵抗発熱体10への通電を可能としている。
【0020】
通電端子120は、筒状の中継スリーブ121を介して長軸状の中軸122に接続され、中軸122の基端に設けられた端子金具123を介して制御回路基板60から引き出された基板接続リード部124に接続されている。
中軸122の基端側は、弾性変形可能な基板接続リード部124によって保持されているので、軸方向に荷重を受けることがなく、グロープラグ1から制御回路基板60までの導通経路において断線等の導通信頼性を害される虞がない。
【0021】
中継スリーブ121、中軸122、端子金具123、基板接続リード部124は、銅、アルミニウム、ステンレス、鉄ニッケル合金等の導電性に優れた公知の金属材料によって形成されている。
接地端子110は、固定部材2を介して、エンジンヘッド91に電気的に接続され、接地状態となっている。
本発明においては、比較的温度の低い素子収容部33の内側において、グロープラグ1と制御回路基板60とを繋ぐ通電経路の一部が弾性変形可能な状態であれば、燃焼圧P
SYLによって、ハウジング3が圧縮変形され歪みが生じたときに、基端側が基板接続リード部124によって弾性的に接続されているので、中軸122には、歪みが生じることがないのである。
【0022】
固定部材2(以下、固定部材2と称する。)は、ステンレス、炭素鋼、鉄ニッケル合金等、耐熱性の高い金属材料が用いられている。
また、固定部材2は、剛性が高くなるよう肉厚に形成されている。
固定部材2は、独楽型筒状に形成されており、径方向に向かって鍔状に張り出すように形成された圧接部20と、その基端側に形成され、筒状の基端側保持部21と、先端側に形成された筒状の先端側保持部22とによって構成されている。
【0023】
固定部材2の内側には、グロープラグ1が収容固定されている。
固定部材2の基端側からはグロープラグ1の基端側の露出し、通電端子120と中軸122との接続が可能となっている。
固定部材2の先端側からは、内側に抵抗発熱体10が埋設されたグロープラグ1の先端側が露出している。
【0024】
基端側保持部21の内周面とグロープラグ1の外周表面との間隙、先端側保持部22とグロープラグ1の外周表面との間隙に、ロウ材24が流し込まれ、グロープラグ1と固定部材2とを強固に接合している。
同時にグロープラグ1の表面に形成した接地端子110と固定部材2の内周面との導通が図られている。
また、基端側筒状部21の内周面とグロープラグ1の外周表面との境界には、環状の溝が形成され、ロウ材又は熔融ガラス等の封止部材23が配設され、グロープラグ1と固定部材2との接合をより強固なものとしている。
【0025】
圧接部20の基端側には、グロープラグ1の軸心に直交する圧接部水平面201が形成され、先端側には、先端に向かって径小となるように縮径する円錐台形状の圧接部傾斜面200が形成されている。
圧接部水平面201には、後述するハウジング外筒部30の下端面が当接し、ハウジング3がエンジンヘッド91に螺旋締め固定されたときの軸力が作用するようになっている。
圧接部傾斜面200は、エンジンヘッド91に設けられた着座傾斜面912に当接し、ハウジング外筒部30からの軸力によって押圧され、密着状態となる。
圧接部20には、軸方向に圧縮力が作用するため、圧接部20の内周面とグロープラグ1の表面との間隙にはロウ材24を流し込まないようにして、残留応力によるロウ材24の剥離を防ぐようにしても良い。
【0026】
ハウジング3は、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金、炭素鋼等の公知の金属材料が用いられている。
ハウジング3は略筒状で、固定部材2の圧接部水平面201に当接して軸方向に押圧するハウジング外筒部30(以下、外筒部30と称す。)と、外筒部30の先端側の所定位置において内側に向かって径小となるように環状に突出する内筒係止部31と、外筒部30の基端側外周に設けた雄ネジ部32と、外筒部30がエンジンヘッド91から露出する位置に延設した素子収容部33と、素子収容部33の内側で燃焼圧検出部2を固定する固定ワッシャ34と、基端側固定ワッシャ34を素子収容部33に溶接固定するワッシャ接合部35と、ハウジング3の雄ネジ部32をエンジンヘッド91に設けた雌ネジ部910に螺結するための六角部36とによって構成されている。
【0027】
外筒部30は、軸方向に伸びる筒状に形成されている。
外筒部30の基端側外周には、雄ネジ部32及び六角部36が設けられている。
外筒部30の先端は、固定部材2に設けた鍔状シール部20の水平面201に当接している。
雄ネジ部32をエンジンヘッド91のプラグホール911の基端に設けた雌ネジ部910に螺結したときの軸力が外筒部30を介して圧接部水平面201に作用する。
【0028】
ハウジングヘッド91のプラグホール911と燃焼室90に連通する貫通孔913との間には、燃焼室側に向かって径小となるように縮径するすり鉢状の着座傾斜面912が形成されている。
図1Bに示すように外筒部30によって押圧された圧接部傾斜面200が着座傾斜面912に密接し、燃焼室90から気体が漏れないようにシールされている。
また、
図1Cに示すように、圧接部傾斜面200aが先端側に向かって凸となるように湾曲面となるように圧接部20aを形成し、着座傾斜面912aの傾斜角度を圧接部傾斜面200aに接するように形成しても良い。
外筒部30の軸力によって圧接部20の水平面201を押圧することによって固定部材2とエンジンヘッド91とを気密にシールすることができれば良いので、圧接部傾斜面200と着座傾斜面912とには、互いに圧接することで、気密性を確保するために一般的に用いられているメタルシール構造を適宜採用することができる。
【0029】
素子収容部33は、外筒部30がエンジンヘッド91から露出する位置に設けられている。
素子収容部33は、エンジンヘッド91の基端側に露出する位置で燃焼圧検出部5と制御部6とを収容している。
【0030】
荷重伝達部材4は、筒状に伸びる荷重伝達内筒部40(以下、内筒部40と称する。)と内筒部40の端に延設され、径方向に広がる鍔状の荷重伝達鍔部41(以下、鍔部41と称する。)とによって構成されている。
荷重伝達部材4は、外筒部30と少なくとも同等か、外筒部30よりも硬い金属材料を用いるか、外部筒30と同材質の金属材料を用いて、外筒部30よりも厚肉に形成することで、外筒部30と少なくとも同等か、より高い剛性を発揮させることができる。
ハウジング3は、上記の通り、圧縮に耐えうる強度および、塑性変形しない耐力を持つことが必要とされ、螺旋軸力印加時に座屈しないように圧縮強度が十分高く、更に燃焼圧検出時のセンサ出力のリニアリティを保障するために、弾性変形域で用いることができるだけの耐力が必要である。
一方、荷重伝達部材4には、ハウジング3に必要とされる耐力に加えて、剛性が更に高いことが望ましい。荷重伝達部材4はハウジング3の歪みから生じた荷重変化を燃焼圧検出部5に損失なく伝達することが重要だからである。
【0031】
内筒部40は、外筒部30の内側に摺動可能に保持され、一端が内筒係止部31に当接して支持され、他端が外筒部30の基端に設けられた雄ネジ部32及び六角部36よりも基端側に露出している。
鍔部41は、素子収容部33の内側で外径方向に広がり、素子収容部33内に収容された燃焼圧検出部5の底面に当接している。
内筒部40の内側には、中軸120が配設されている。
内筒部40と中軸122との間には筒状の中軸絶縁部材125が配設され、内筒部40と中軸122との電気的絶縁が確保されている。
【0032】
中軸絶縁部材125は、中軸122を内筒部40の中心に保持しつつ、内筒部40との電気絶縁性が確保でき、グロープラグ1からの放熱に対抗できる程度の耐熱性が確保されれば、特に材質を限定するものではない。
例えば、アルミナ、ムライト、シリカ、チタニア、スピネル等の絶縁材料を筒状に焼結した硬質のものを中軸122と内筒部40との間に介装しても良いし、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴム等の耐熱性、絶縁性を有する樹脂材料を用いて中軸122を覆う被覆膜とし設けても良い。
また、本実施形態においては、中軸絶縁部材125として、筒状に形成した例を示したが、必ずしも、中軸122の長手方向に亘って全面的に覆う必要もなく、シリコーンゴム、フッ素樹ゴム等の絶縁性、耐熱性を有する弾性部材からなるOリング等を中軸122と内筒部40との間に複数配設して、中軸122を正中に保持するようにしても良い。
【0033】
検出部5は、圧縮により電荷を発生する圧電素子50と、圧電素子50に発生した電荷を取り出す検出電極51と検出電極51と制御部6とを繋ぐ信号線52と、圧電素子50を収容しつつ、接地電極として機能するセンサハウジング53とによって構成されている。
検出部5の中心には、電気的に絶縁を図った状態で中軸122が配設されている。
圧電素子50には、水晶、PZT、ニオブ酸リチウム、ポリフッ化ビニリデン等の公知の圧電材料を用いることができる。
本実施形態においては、ドーナツ円板状に形成した2枚の圧電素子50を内側が正極となるように分極方向を揃えて重ね、その間に検出電極51を介装してある。
本実施形態では、圧電素子50を2枚重ねた例を示しているが、本発明において、圧電素子の数を限定するものではなく、分極方向を一定方向に揃えた圧電素子の間に検出電極と接地電極とを交互に介装して、同極同士を接続した、ピエゾスタックを用いても良い。圧電素子の枚数を増やすことで、燃焼圧P
SYLが伝達され機械的応力が加えられたときに発生する電荷量を多くして測定精度の向上を図ることもできる。
【0034】
圧電素子50の外周表面と内周表面は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の絶縁被覆501で覆われている。
信号線52は、銅等の良電導材料からなる芯線520の表面が絶縁被覆522で覆われている。
検出電極51の内周面側に接続部521を設けて、信号線52の芯線520の一方の端部を接続して、検出素子50の内径を通して、信号線接続端子523を介して基端側に設けた制御回路基板61から引き出した基板引き出しリード524に接続されている。
【0035】
また、基板引き出しリード524には弾性変形可能な撓み部が形成されているので、接続部521への応力集中を緩和し、接続不良を防ぐことができる。 本発明において、信号線52の引き出し方法を特に限定するものではなく、検出電極51の外周面側からセンサハウジング52との絶縁を図りつつ制御部6側に引き出すようにしても良い。
【0036】
センサハウジング53は、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等の金属材料によって形成され、圧電素子50と検出電極51とを収容する筐体部530と、蓋部531とによって構成されている。
センサハウジング53は、圧電素子50の表面と電気的に接続され、接地電極としての機能を発揮する。
センサハウジング53の下面側は、荷重伝達部材4の鍔部41に当接している。
センサハウジング53の上面側に当接して、固定ワッシャ35が配設され、固定ワッシャ35は、素子収容部35に接合部37を設けて接合されている。
【0037】
制御部6は、グロープラグ通電制御装置(GUC)60と制御回路基板61とによって構成されている。
GCU60は、外部から伝達された駆動信号SIにしたがって、グロープラグ1へ通電するデューティを算出して所定の電力を供給し、発熱体の温度制御を行う。
また、図略の自己診断回路を設けて、グロープラグ1の劣化や断線異常等の有無を判定し、外部に自己診断信号DIを発信させることもできる。
GCU60にグロープラグ1への通電制御以外に、自己の気筒位置を判別したり、電源逆接続から半導体素子を保護したり、異常診断をしたりするなど、具体的にどのような機能を持たせるかは適宜変更可能である。
【0038】
制御回路基板61は、外部から供給された電源電圧を調整してGCU60を制御するための制御電圧を供給したり、GCU60によって調整された電力をグロープラグ1へ供給したりするための電源回路や、燃焼室90内の燃焼圧P
SYLの上昇によってエンジンヘッドの燃焼圧検出部5で発生した電荷を電圧として取り扱うためのチャージポンプ回路等が設けられている。
燃焼室90内の燃焼圧P
SYLによってエンジンヘッド91が歪み、外筒部30が圧縮変形すると、外筒部30内に設けた内筒係止部31によって支持された荷重伝達部材4が相対的に押し上げられ、鍔部41と固定ワッシャ35とによって挟持された検出部5が圧縮されることになる。
【0039】
圧電素子50に負荷された荷重に比例する電荷が発生し、これをこれが制御回路部61に設けたチャージポンプによって取扱いのし易い電圧に変換され、外部に設けたECU等に算出した燃焼圧P
SYLを示す信号が出力される。
なお、燃焼圧P
SYLをどのような信号にして外部に伝達するかは適宜選択し得る。
例えば、燃焼圧P
SYLそのものをシリアルデータとして外部に送信するようにしても良いし、GCU60内に設けた自己診断装置によって、燃焼圧P
SYLを閾値判定して、失火、ノッキングといった燃焼異常の有無等の結果のみを、グロープラグ1への通電経路の断線やグロープラグ1の劣化等の他の異常検出結果と共に自己診断信号DIとして、外部に出力することもできる。
【0040】
入出力部7は、図略のコネクタワイヤハーネスを介して、外部に設けた図略の直流電源やエンジン制御装置(以下、ECUと称す。)に接続される通電端子70、信号端子71、コネクタベース72、及び、コネクタハウジング73によって構成されている。
通電端子70及び信号端子71は、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス等の導電性に優れた金属材料によって形成されている。
通電端子70は、電源用端子と接地用端子とによって構成され、制御回路6への電圧供給と接地とを図っている。
【0041】
信号端子71は、ECUから内燃機関9の運転状況に応じて発振される駆動信号SIを制御部6に伝達する駆動信号端子、検出部5によって検出された燃焼圧P
SYLをECUに伝達するセンサ出力端子、制御部6からECUに自己診断信号DIを伝達する自己診断信号端子等によって構成されている。
信号端子71を介して、具体的にどのような信号を入出力させるかは適宜変更可能である。
【0042】
コネクタベース72及びコネクタハウジング73は、公知の絶縁性樹脂材料が用いられている。
通電端子70及び信号端子71は、コネクタベース72に埋設固定され、一方の端が筒状に形成されたコネクタハウジング73内に露出し、外部との接続が可能となっている。
【0043】
電端子70及び信号端子71の他方の端は、制御部6側に露出し、GCU60及び、制御回路基板61の所定位置に接続されている。
コネクタハウジング73は、図略のコネクタハーネスと勘合することで、コネクタハウジング73内で各端子と相手方の端子とを電気的に接続する。
【0044】
エンジンヘッド91に穿設された連通孔913は燃焼室90とプラグホール911とを連通する。
連通孔913内にグロープラグ1の先端が配設され、通電によりグロープラグ1が発熱し、燃料室90内に導入された混合気を加熱して着火の補助を図ったり、燃焼排気を加熱して、排気浄化の補助をしたりする。
【0045】
図2A、
図2Bを参照して本発明の効果について詳述する。
ハウジング3に設けた雄ネジ部35をエンジンヘッド91に設けた雌ネジ部910に螺結したときの締め付けトルクを一定以上大きくすると、外筒部30に歪みを生じ、外筒部30の内側に設けた内筒係止部31に支持された荷重伝達部材4の内筒部40が相対的に基端側に押し上げられることになる。
【0046】
このとき、センサハウジング53内に収容された圧電素子50の基端側は固定ワッシャ35で固定され、先端側は、荷重伝達部材4の鍔部41によって押圧されるので、圧電素子50に対する圧縮荷重が増加する。
圧電効果によって圧電素子50に発生する電荷から、締め付けトルクを定量的にモニタすることができるので、過剰な締め付けを防止し、検出部5に負荷される予圧縮荷重が一定の条件となるように一体型センサ8をエンジンヘッド91に組み付けることもできる。
【0047】
このときの締め付けトルクが、外筒部30の引っ張り強度を超えていたり、圧電素子50の圧縮限界を超えていたりすれば、外筒部30の降伏値を超えて塑性変形を招いたり、圧電素子50の破損を招いたりして測定できなくなる虞があり、また、組み付け時に圧電素子50が過剰に圧縮されていると、燃焼圧が負荷されても、検出できなくなる虞がある。
しかし、本発明のセンサ8では、燃焼圧だけでなく検出部5によって締め付けトルクも検出できるため、組み付け次の過剰な締め付けを回避し、安定して燃焼圧の検出が可能となる。
【0048】
さらに、燃焼室90内の燃焼圧P
SYLがエンジンヘッド91に作用し、エンジンヘッド91が圧縮変形されると、外筒部30の雄ネジ部32の先端から固定部材2に設けた圧接部20の傾斜面200がエンジンヘッド着座傾斜面912に当接する位置までの距離が短くなり、その分荷重伝達部材4が基端側に押し上げられることになる。
このとき、鍔部41が検出部5を圧縮し、そのときの荷重に比例して発生する電荷量から、燃焼圧P
SYLを算出することができる。
【0049】
従来のように、燃焼圧力を予圧縮荷重を減らす方向に作用させて、燃焼圧力を検出しようとした場合には、中軸の引っ張り強度限界を超える予圧縮荷重を付加することができないため、予圧縮荷重が中軸の引っ張り強度に依存し、最大予圧縮荷重を超える燃焼圧が発生した場合には、計測ができなくなる虞がある。
しかし、本発明の一体型センサ8は、組み付け時に予圧縮荷重を精度良く調整できるのに加え、燃焼圧P
SYLが荷重伝達部材4を介して、圧電素子50の圧縮方向に作用するので、中軸122の引っ張り強度に依存することなく、高い燃焼圧P
SYLを検出することができる。
【0050】
さらに、本発明の一体型センサ8は、発熱体や中軸を圧力伝達媒体として使用していないので、燃焼圧P
SYLによって、熱熱体1から制御部6に至るまでの導通経路において断線を生じさせる虞がない。
加えて、可動部も設けられておらず、従来のようなデポジットにより、可動性が低下して検出精度が低下するような問題も発生しない。
【0051】
本発明の一体型センサ8では、燃焼圧P
SYLの変化によって生じるエンジンヘッド91の歪みの変化に伴って、荷重伝達部材4が相対的に移動したときに、制御回路基板61と中軸122とを繋ぐ123が軸方向に対して弾性的に伸縮変化することになる。
しかし、制御部6は、エンジンヘッド91から基端側に露出した比較的温度の低い環境に設けられた素子収容部33内に配設されているため、従来の高温環境下で弾性変形する可動部に比べて金属疲労のリスクが低く、発熱体や中軸などが圧力伝達媒体として用いられる場合に比べて、制御部6からグロープラグ1に至るまでの導通経路に対するストレスが小さく、長期に亘って高い導通信頼性の維持を図ることができる。
【0052】
図3を参照して、本発明の第2の実施形態における一体型センサ8aについて説明する。
なお、前記実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、相違する箇所に枝番としてアルファベットの符号を付したので、重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
前記実施形態においては、発熱体として、いわゆるセラミックグロープラグ1を用いた例を示したが、本発明は、発熱体の種類を限定するものではなく、本実施形態のように、発熱体としていわゆる金属グロープラグ1aを用いることもできる。
さらに、前記実施形態においては、グロープラグ1への通電を図るのに、長軸状に伸びる中軸を用いた例を示したが、本発明においては、中軸は圧力伝達媒体としては用いられていないため、剛性材料を用いる必要がなく、本実施形態のように、可撓性を有する絶縁被覆122で覆われた通電線122aを用いるようにしても良い。
可撓性を有する通電線122aを用いることで、プリント基板61との接続を図る基板接続リード部124aに、弾性的に伸縮するたわみ部を形成する必要がない。
【0053】
また、本発明においては、前期実施形態に示したように必ずしも外部との接続をコネクタ構造にする必要はなく、外部に設けた電源装置の電源電圧+B及びGNDと制御部との接続を図る電源導通線70aと、制御部6と外部に設けたECUとの間で駆動信号SI、自己診断信号DI、燃焼圧信号PIとの授受を図る信号線71aとを、耐熱ゴムからなるグロメット72aによって束ねて、素子収容部33の基端側に加締め部73aを設けて気密に封止するようにした入出力部7aを設けても良い。
さらに、本実施形態に示した構成を第1の実施形態における一体型センサ8に組み合わせて用いても良い。