特許第6228864号(P6228864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228864
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】カバー体
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   E01F8/00
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-40209(P2014-40209)
(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公開番号】特開2015-165069(P2015-165069A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】510106968
【氏名又は名称】首都高メンテナンス東東京株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 博
(72)【発明者】
【氏名】岡部 次美
(72)【発明者】
【氏名】萩原 徹
(72)【発明者】
【氏名】日向 準
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−032220(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3104839(JP,U)
【文献】 特開2003−119727(JP,A)
【文献】 特開2009−035955(JP,A)
【文献】 特開2013−124483(JP,A)
【文献】 特開2012−252136(JP,A)
【文献】 特開2000−248518(JP,A)
【文献】 特開2002−069940(JP,A)
【文献】 特開2011−026898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮音装置に取り付け可能な板状部材からなるカバー体であって、
前記遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられており、
前記遮音装置の前面板が前記支柱よりも道路側に配置され、前記遮音装置の前面板が前記支柱に締結部材により締結され、
前記板状部材は前記遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる前記板状部材および前記前面板の厚み方向に貫通するように前記締結部材が配置され、
前記板状部材には、切欠部が形成され、
前記切欠部には、前記締結部材の軸部が配置されることを特徴とするカバー体。
【請求項2】
遮音装置に取り付け可能な板状部材からなるカバー体であって、
前記遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられており、
前記遮音装置の前面板が前記支柱よりも道路側に配置され、前記遮音装置の前面板が前記支柱に締結部材により締結され、
前記板状部材は前記遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる前記板状部材および前記前面板の厚み方向に貫通するように前記締結部材が配置され、
前記板状部材には、切欠部が形成され、
前記切欠部には、前記締結部材のフランジ部が配置されることを特徴とするカバー体。
【請求項3】
遮音装置に取り付け可能な板状部材からなるカバー体であって、
前記遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられており、
前記遮音装置の前面板が前記支柱よりも道路側に配置され、前記遮音装置の前面板が前記支柱に締結部材により締結され、
前記板状部材は前記遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる前記板状部材および前記前面板の厚み方向に貫通するように前記締結部材が配置され、
前記板状部材には、上下方向に延びる長孔が形成され、
前記長孔には、前記締結部材の軸部が配置されることを特徴とするカバー体。
【請求項4】
遮音装置に取り付け可能な板状部材からなるカバー体であって、
前記遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられており、
前記遮音装置の前面板が前記支柱よりも道路側に配置され、前記遮音装置の前面板が前記支柱に締結部材により締結され、
前記板状部材は前記遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる前記板状部材および前記前面板の厚み方向に貫通するように前記締結部材が配置され、
前記板状部材には、上下方向に延びる長孔が形成され、
前記長孔には、前記締結部材のフランジ部が配置されることを特徴とするカバー体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のカバー体において、
重ねられる前記板状部材および前記前面板の横方向の端部に前記締結部材が配置されることを特徴とするカバー体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のカバー体において、
前記板状部材には、上端部および下端部の少なくともいずれか一方に折曲部が形成されていることを特徴とするカバー体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音装置に取り付け可能なカバー体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を走行する車両に起因する騒音を低減するために、道路に沿って設置される遮音装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置されるH形鋼の間に設けられている。具体的には、遮音装置の前面板がH形鋼の道路側のフランジよりも道路側に配置され、その遮音装置の前面板がH形鋼のフランジにボルトおよびナットにより締結されている。
【0004】
また、この遮音装置には、落下防止用のワイヤが連結されている。そして、遮音装置は、車両などが衝突した場合に、H形鋼の間から道路外側に抜けやすいように構成されている。これは、ボルトおよびナットにより遮音装置がH形鋼に強固に締結されていると、遮音装置に車両などが衝突した場合に、遮音装置の破損度合いが大きくなることにより、破片などが落下しやすくなるためである。すなわち、特許文献1では、遮音装置がH形鋼の間から抜けやすいことから、遮音装置に車両などが衝突した場合に、破損が抑制された状態で遮音装置がH形鋼の間から抜け、その遮音装置がワイヤにより吊り下げられるので、破片などの落下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−252136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記した遮音装置では、長期間使用されると前面板などに汚れが堆積する。また、遮音装置の前面板に情報や図形などが描かれている場合には、その情報や図形などの変更を要求されることがある。これらに対処するために、遮音装置の前面板を交換したり、遮音装置の全体を交換することが考えられるが、交換作業に要する時間が長くなるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、支柱の間から抜けやすくされた遮音装置の前面を短時間でリフレッシュすることが可能なカバー体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるカバー体は、遮音装置に取り付け可能な板状部材からなる。遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられている。遮音装置の前面板が支柱よりも道路側に配置され、遮音装置の前面板が支柱に締結部材により締結されている。板状部材は遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる板状部材および前面板の厚み方向に貫通するように締結部材が配置される。そして、板状部材には、切欠部が形成され、切欠部には、締結部材の軸部が配置される。
【0009】
このように、遮音装置の前面板に新しい板状部材を取り付けることにより、遮音装置の前面板を交換したり、遮音装置の全体を交換する必要がないので、支柱の間から抜けやすくされた遮音装置の前面を短時間でリフレッシュすることができる。さらに、遮音装置が支柱の間から抜けるときに、板状部材の切欠部が締結部材の軸部から抜けるので、遮音装置の抜けやすさがカバー体の設置前後において変化するのを抑制することができる。また、切欠部の幅が小さいことにより、板状部材が前面板を覆う面積を大きくすることができるので、美観の向上を図ることができる。
【0010】
本発明によるカバー体は、遮音装置に取り付け可能な板状部材からなる。遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられている。遮音装置の前面板が支柱よりも道路側に配置され、遮音装置の前面板が支柱に締結部材により締結されている。板状部材は遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる板状部材および前面板の厚み方向に貫通するように締結部材が配置される。そして、板状部材には、切欠部が形成され、切欠部には、締結部材のフランジ部が配置される。
【0011】
このように、遮音装置の前面板に新しい板状部材を取り付けることにより、遮音装置の前面板を交換したり、遮音装置の全体を交換する必要がないので、支柱の間から抜けやすくされた遮音装置の前面を短時間でリフレッシュすることができる。さらに、遮音装置が支柱の間から抜けるときに、板状部材の切欠部が締結部材のフランジ部から抜けるので、遮音装置の抜けやすさがカバー体の設置前後において変化するのを抑制することができる。また、切欠部の幅が大きいことにより、カバー体の取付時に締結部材を緩める必要がないので、遮音装置の前面をより短時間でリフレッシュすることができる。
【0012】
本発明によるカバー体は、遮音装置に取り付け可能な板状部材からなる。遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられている。遮音装置の前面板が支柱よりも道路側に配置され、遮音装置の前面板が支柱に締結部材により締結されている。板状部材は遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる板状部材および前面板の厚み方向に貫通するように締結部材が配置される。そして、板状部材には、上下方向に延びる長孔が形成され、長孔には、締結部材の軸部が配置される。
【0013】
このように、遮音装置の前面板に新しい板状部材を取り付けることにより、遮音装置の前面板を交換したり、遮音装置の全体を交換する必要がないので、支柱の間から抜けやすくされた遮音装置の前面を短時間でリフレッシュすることができる。さらに、遮音装置が支柱の間から抜けるときに、締結部材の軸部により板状部材の端部が変形しやすいので、遮音装置の抜けやすさがカバー体の設置前後において変化するのを抑制することができる。また、長孔の幅が小さいことにより、板状部材が前面板を覆う面積を大きくすることができるので、美観の向上を図ることができる。
【0014】
本発明によるカバー体は、遮音装置に取り付け可能な板状部材からなる。遮音装置は、道路に沿って間隔を隔てて配置される支柱の間に設けられている。遮音装置の前面板が支柱よりも道路側に配置され、遮音装置の前面板が支柱に締結部材により締結されている。板状部材は遮音装置の前面板に取り付けられ、重ねられる板状部材および前面板の厚み方向に貫通するように締結部材が配置される。そして、板状部材には、上下方向に延びる長孔が形成され、長孔には、締結部材のフランジ部が配置される。
【0015】
このように、遮音装置の前面板に新しい板状部材を取り付けることにより、遮音装置の前面板を交換したり、遮音装置の全体を交換する必要がないので、支柱の間から抜けやすくされた遮音装置の前面を短時間でリフレッシュすることができる。さらに、遮音装置が支柱の間から抜けるときに、締結部材のフランジ部により板状部材の端部が変形しやすいので、遮音装置の抜けやすさがカバー体の設置前後において変化するのを抑制することができる。また、長孔の幅が大きいことにより、カバー体の取付時に締結部材を緩める必要がないので、遮音装置の前面をより短時間でリフレッシュすることができる。
【0016】
上記カバー体において、重ねられる板状部材および前面板の横方向の端部に締結部材が配置されるようにしてもよい。
【0018】
上記カバー体において、板状部材には、上端部および下端部の少なくともいずれか一方に折曲部が形成されていてもよい。
【0019】
このように構成すれば、板状部材が撓むのを抑制することができる。また、折曲部を少なくとも上端部に形成すれば、折曲部を遮音装置に引っ掛けることにより、遮音装置に対して板状部材を仮止めすることができるので、取付作業の簡単化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のカバー体によれば、支柱の間から抜けやすくされた遮音装置の前面を短時間でリフレッシュすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるカバー体が遮音装置に設置された状態を正面から見た概略図である。
図2図1のカバー体が遮音装置に設置された状態を側面から見た概略図である。
図3図1のカバー体が遮音装置に設置された状態を平面的に見た概略図である。
図4】遮音装置にカバー体が取り付けられた状態を示した部分斜視図である。
図5】遮音装置の側面板に形成された切欠部を示した部分拡大斜視図である。
図6】2〜4段目のカバー体を示した正面図である。
図7】カバー体のボルト近傍を拡大して示した正面図である。
図8図6のカバー体を示した側面図である。
図9】1段目のカバー体を示した側面図である。
図10】第1変形例によるカバー体のボルト近傍を拡大して示した正面図である。
図11】第2変形例によるカバー体のボルト近傍を拡大して示した正面図である。
図12】第3変形例によるカバー体のボルト近傍を拡大して示した正面図である。
図13】第4変形例によるカバー体のボルト近傍を拡大して示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
まず、図1図5を参照して、本実施形態によるカバー体100が取り付けられる遮音装置200の構造について説明する。
【0024】
−遮音装置−
遮音装置200は、図1に示すように、道路250の路側に設けられた壁高欄251上に設けられている。遮音装置200は、道路250の延びる方向(X方向)に沿って隣接するように複数設けられるとともに、垂直方向(Z方向)に隣接するように複数(たとえば、4個)設けられている。なお、図1では、見やすさを考慮して、後述する貫通孔11および202a(図4参照)などの図示を省略した。
【0025】
遮音装置200は、後述するグラスウール製の吸音部材204が収納された遮音装置200aと、アルミ繊維製の吸音部材(図示省略)が収納された遮音装置200bとを含んでいる。なお、遮音装置200aは、1段目〜3段目において道路の延びる方向に沿って設けられ、遮音装置200bは、4段目(最上段)において道路の延びる方向に沿って設けられている。
【0026】
遮音装置200aは、図3に示すように、本体部201と、前面板202と、一対の側面板203と、吸音部材204と、吸音部材204を支持する支持部材205とを含んでいる。
【0027】
本体部201は、図2に示すように、背面板201aと、背面板201aの下端部から前方に延びる底面板と、背面板201aの上端部から前方に延びる上面板とを有する。背面板201aには、一対の突部201bが形成されている。突部201bは、横方向(X方向)に延びるように形成されている。
【0028】
前面板202は、正面から見て長方形状に形成されており、たとえば、縦方向(Z方向)の長さが約50cmであり、横方向(X方向)の長さが約148cmである。前面板202には、図4に示すように、車両の通行による騒音が入射される貫通孔202aが複数形成されている。なお、前面板202には、情報や図形などが描かれていてもよい。
【0029】
側面板203は、図3に示すように、前端部(Y1方向側の端部)から外方向に突出する取付部203aと、後端部(Y2方向側の端部)から内方向に突出する取付部203bとを有する。側面板203には、リベット(図示省略)により支持部材205が取り付けられている。
【0030】
取付部203aには、リベット261(図4参照)により前面板202が取り付けられている。なお、前面板202は、リベット261により本体部201にも取り付けられている。取付部203bには、リベット(図示省略)により本体部201の背面板201aが取り付けられている。
【0031】
そして、遮音装置200aでは、本体部201と、前面板202と、一対の側面板203とにより、直方体状の内部空間が形成されている。吸音部材204は、支持部材205に支持されることにより、内部空間の前方側(Y1方向側)に配置されている。吸音部材204は、たとえば、グラスウールと、グラスウールを包む保護フィルムとにより構成されている。
【0032】
これにより、遮音装置200aは、道路250を走行する車両に起因して騒音が発生した場合に、発生した騒音を前面板202の貫通孔202aを介して内部空間に取り込み、内部空間に取り込んだ騒音を吸音部材204により吸収するように構成されている。
【0033】
ここで、遮音装置200aは、道路250の延びる方向に沿って所定の間隔を隔てて配置されるH形鋼252(図1参照)の間に設けられている。具体的には、図3に示すように、ボルト254aおよびナット254bにより、遮音装置200aの前面板202がH形鋼252のフランジ252bに締結されている。これにより、遮音装置200aの前面板202がH形鋼252の道路側のフランジ252bよりも道路側に配置されている。なお、H形鋼252は、本発明の「支柱」の一例であり、ボルト254aおよびナット254bは、本発明の「締結部材」の一例である。
【0034】
なお、H形鋼252はベースプレート252a(図2参照)に取り付けられており、ボルト253aおよびナット253b(図2参照)によりベースプレート252aが壁高欄251に取り付けられている。これにより、H形鋼252が壁高欄251に取り付けられている。また、H形鋼252は、壁高欄251の外側(道路250側とは反対側)に配置されるとともに、垂直方向に延びるように形成されている。
【0035】
また、遮音装置200aの側面板203の取付部203bには、背面板201aを介してアイボルト255が取り付けられている。アイボルト255には、遮音装置200aの落下を防止するためのワイヤ256が通されている。ワイヤ256は、図2に示すように、遮音装置200aの背面側に配置されており、両端がそれぞれH形鋼252の上端部および下端部に取り付けられている。
【0036】
また、遮音装置200aの下方には、H形鋼252の下端部やベースプレート252aなどを覆う化粧板257が設けられている。また、壁高欄251の上端部には、水切板258が設けられている。
【0037】
そして、遮音装置200aは、車両などが衝突した場合に、H形鋼252の間から道路外側(Y2方向側)に抜けやすいように構成されている。具体的には、図5に示すように、側面板203に切欠部203cが形成されるとともに、その切欠部203cにボルト254aの軸部254c(図3参照)が配置されている。この切欠部203cは、取付部203aに形成されるとともに、側方が開放されるようになっている。すなわち、切欠部203cにより、取付部203aの側端部に凹状部が形成されている。また、側面板203とH形鋼252との間には、ゴム製の緩衝部材206が設けられている。そして、ボルト254aの軸部254cは、前面板202の挿入孔(図示省略)、側面板203の切欠部203c、緩衝部材206の挿入孔206a、および、H形鋼252の挿入孔(図示省略)に挿入されている。なお、側面板203は、前面板202に比べて、厚みが大きくされるとともに、強度が高くなっている。
【0038】
このように、側面板203に切欠部203cを形成するとともに、その切欠部203cにボルト254aの軸部254cを配置することによって、ボルト254aから側面板203が抜けやすくなるので、遮音装置200aに車両などが衝突した場合に、遮音装置200aがH形鋼252の間から道路外側(Y2方向側)に抜けやすくなっている。これにより、遮音装置200aに車両などが衝突した場合に、破損が抑制された状態で遮音装置200aがH形鋼252の間から抜けるので、破片などの落下が抑制される。なお、H形鋼252の間から抜けた遮音装置200aは、前面板202の端部がちぎられ、ワイヤ256により吊り下げられる。
【0039】
遮音装置200bは、箱状に形成されており、内部空間にアルミ繊維製の吸音部材(図示省略)が収納されている。遮音装置200bは、背面板201cが平坦状に形成されている。また、遮音装置200bの背面板201cには、ワイヤ256が挿通される挿通孔201dが形成されている。なお、遮音装置200bのその他の構成は、遮音装置200aと略同様である。
【0040】
次に、図1図9を参照して、本実施形態によるカバー体100の構造について説明する。
【0041】
−カバー体−
カバー体100は、遮音装置200に取り付け可能に構成されている。カバー体100は、図1に示すように、2〜4段目の遮音装置200に取り付けられるカバー体100aと、1段目(最下段)の遮音装置200に取り付けられるカバー体100bとを含んでいる。
【0042】
カバー体100aは、図4に示すように、遮音装置200の前面板202に取り付けられる板状部材1を備えている。板状部材1は、正面から見て長方形状に形成されており、たとえば、縦方向の長さが約50cmであり、横方向の長さが約148cmである。この板状部材1は、前面板202の全体を覆うように形成されている。すなわち、板状部材1は、前面板202の横方向における全長にわたって配置されている。これは、前面板202がH形鋼252よりも道路側に配置されていることによって可能となっている。
【0043】
板状部材1には、正面から見て、前面板202の貫通孔202aと対応する位置に貫通孔11が形成されている。これにより、カバー体100aが遮音装置200に取り付けられた場合にも、車両の通行による騒音が貫通孔11および202aを介して遮音装置200の内部に入射されるようになっている。すなわち、カバー体100aが遮音装置200に取り付けられた場合にも、遮音装置200の吸音機能が維持される。なお、板状部材1の表面(道路側の面)には、情報や図形などが描かれていてもよい。また、板状部材1に描かれる情報や図形などは、前面板202に描かれているものと異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0044】
板状部材1には、図6に示すように、外縁部に沿って間隔を隔てて複数の貫通孔12および13が形成されている。貫通孔12は、貫通孔13よりも径が小さくされるとともに、貫通孔13は、貫通孔11よりも径が小さくされている。貫通孔12は、リベット262(図4参照)により、板状部材1を前面板202に取り付けるために形成されている。貫通孔13は、板状部材1が前面板202に取り付けられたときにリベット261(図4参照)を逃がすために形成されている。
【0045】
また、板状部材1には、横方向の端部にそれぞれ切欠部14が複数形成されている。このカバー体100aでは4つの切欠部14が形成されている。各切欠部14は、側方が開放されるようになっている。このため、各切欠部14により、板状部材1の横方向の端部に、内側に窪むように凹状部が形成されている。
【0046】
各切欠部14の幅(縦方向の長さ)は、図7に示すように、ボルト254aのボルト頭部254dの径よりも小さくされるとともに、ボルト254aの軸部254c(図3参照)の径よりも大きくされている。このため、切欠部14には、ボルト254aの軸部254cが配置されている。したがって、ボルト頭部254dとナット254bとの間には、図3に示すように、板状部材1、前面板202、側面板203、緩衝部材206、および、H形鋼252のフランジ252bが挟み込まれている。なお、板状部材1の切欠部14の幅は、側面板203の切欠部203cの幅よりも小さくされている。また、ボルト頭部254dは、本発明の「フランジ部」の一例である。
【0047】
また、板状部材1には、図8に示すように、上端部および下端部にそれぞれ折曲部15が形成されている。各折曲部15は、裏面側(前面板202側)に立ち上がるように形成されている。また、各折曲部15は、板状部材1の横方向における全長にわたって形成されるとともに、板状部材1の裏面に対して直角になるように形成されている。これにより、板状部材1が前面板202に取り付けられたときに、折曲部15が遮音装置200を上下方向から挟み込むようになっている。
【0048】
カバー体100bは、図9に示すように、上端部のみに折曲部15が形成されている。なお、カバー体100bのその他の構成は、カバー体100aと略同様である。
【0049】
次に、本実施形態によるカバー体100の取付方法について説明する。
【0050】
−取付方法−
まず、遮音装置200をH形鋼252に締結しているボルト254aおよびナット254bが緩められる。そして、カバー体100が、ボルト頭部254dと前面板202との間に挿入される。これにより、切欠部14にボルト254aの軸部254cが配置される。このとき、板状部材1の上端部の折曲部15が遮音装置200の上端部に係合される。これにより、カバー体100が遮音装置200に対して仮止めされる。
【0051】
そして、ボルト254aおよびナット254bが締め付けられる。その後、板状部材1の貫通孔12と対応する位置の前面板202にリベット孔が形成される。そして、リベット262により、板状部材1が前面板202に取り付けられる。なお、リベット262により板状部材1が前面板202に取り付けられた後に、ボルト254aおよびナット254bが締め付けられてもよい。
【0052】
−効果−
本実施形態では、上記のように、遮音装置200の前面板202に新しい板状部材1を取り付けることによって、遮音装置200の前面板202を交換したり、遮音装置200の全体を交換する必要がないので、H形鋼252の間から抜けやすくされた遮音装置200の前面を短時間でリフレッシュすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、板状部材1に切欠部14を形成するとともに、その切欠部14にボルト254aの軸部254cを配置することによって、遮音装置200がH形鋼252の間から抜けるときに、板状部材1の切欠部14がボルト254aの軸部254cから抜けるので、遮音装置200の抜けやすさがカバー体100の設置前後において変化するのを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、切欠部14の幅がボルト頭部254dの径よりも小さいことによって、板状部材1が前面板202を覆う面積を大きくすることができるので、美観の向上を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、板状部材1の上端部および下端部に折曲部15を形成することによって、板状部材1が撓むのを抑制することができる。また、板状部材1の折曲部15を遮音装置200に引っ掛けることにより、遮音装置200に対して板状部材1を仮止めすることができるので、取付作業の簡単化を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態では、1段目のカバー体100bには上端部のみに折曲部15を形成することによって、壁高欄251や水切板258を避けながら、カバー体100bを遮音装置200に取り付けることができる。
【0057】
また、本実施形態では、板状部材1が前面板202に取り付けられたときに、リベット261を逃がすための貫通孔13を形成することによって、前面板202と板状部材1との間に隙間が生じないようにすることができる。これにより、前面板202と板状部材1との間に空気が侵入するのを抑制することができるので、板状部材1が振動するのを抑制することができる。
【0058】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0059】
たとえば、本実施形態では、切欠部14の幅がボルト254aのボルト頭部254dの径よりも小さい例を示したが、これに限らず、図10に示す第1変形例による板状部材1aのように、切欠部14aの幅がボルト254aのボルト頭部254dの径よりも大きくされていてもよい。このとき、切欠部14aには、ボルト頭部254dが配置されている。このため、ボルト頭部254dとナット254bとの間には、前面板202、側面板203、緩衝部材206、および、H形鋼252のフランジ252bが挟み込まれている。このように構成すれば、板状部材1aの取付時にボルト254aおよびナット254bを緩める必要がないので、遮音装置200の前面をより短時間でリフレッシュすることができる。さらに、板状部材1aがボルト254aおよびナット254bに干渉されないので、遮音装置200の抜けやすさがカバー体100の設置前後において変化するのをより抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、切欠部14の幅が一定である例を示したが、これに限らず、図11に示す第2変形例による板状部材1bのように、切欠部14bがT字状に形成されていてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、板状部材1に切欠部14を形成する例を示したが、これに限らず、図12に示す第3変形例による板状部材1cのように、上下方向に延びる長孔14cが形成されていてもよい。長孔14cの幅は、ボルト254aのボルト頭部254dの径よりも小さくされるとともに、ボルト254aの軸部254cの径よりも大きくされている。また、長孔14cは、板状部材1cの横方向の端部に形成され、ボルト254aの軸部254cが配置されている。このため、ボルト頭部254dとナット254bとの間には、板状部材1c、前面板202、側面板203、緩衝部材206、および、H形鋼252のフランジ252bが挟み込まれている。このように構成しても、遮音装置200がH形鋼252の間から抜けるときに、ボルト254aの軸部254cにより板状部材1cの端部が変形しやすいので、遮音装置200の抜けやすさがカバー体100の設置前後において変化するのを抑制することができる。また、長孔14cの幅がボルト頭部254dの径よりも小さいことにより、板状部材1cが前面板202を覆う面積を大きくすることができるので、美観の向上を図ることができる。なお、長孔14cの外側の領域(板状部材1cの端部と長孔14cとの間であって、上下方向において長孔14cと対応する領域)には、変形しやすさを考慮してリベット262が設けられていないことが好ましい。
【0062】
同様に、図13に示す第4変形例による板状部材1dのように、上下方向に延びる長孔14dが形成されていてもよい。長孔14dの幅は、ボルト254aのボルト頭部254dの径よりも大きくされている。また、長孔14dは、板状部材1dの横方向の端部に形成され、ボルト254aのボルト頭部254dが配置されている。このため、ボルト頭部254dとナット254bとの間には、前面板202、側面板203、緩衝部材206、および、H形鋼252のフランジ252bが挟み込まれている。このように構成しても、遮音装置200がH形鋼252の間から抜けるときに、ボルト254aのボルト頭部254dにより板状部材1dの端部が変形しやすいので、遮音装置200の抜けやすさがカバー体100の設置前後において変化するのを抑制することができる。また、板状部材1dの取付時にボルト254aおよびナット254bを緩める必要がないので、遮音装置200の前面をより短時間でリフレッシュすることができる。なお、長孔14dの外側の領域には、変形しやすさを考慮してリベット262が設けられていないことが好ましい。
【0063】
また、本実施形態では、リベット262により板状部材1が前面板202に取り付けられる例を示したが、これに限らず、タッピングねじなどにより板状部材が前面板に取り付けられるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、各折曲部15が板状部材1の裏面に対して直角になるように形成される例を示したが、これに限らず、折曲部の両方または一方が、板状部材の裏面に対して鋭角になるように形成されていてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、騒音を入射させるための貫通孔11が板状部材1に形成される例を示したが、これに限らず、騒音を入射させるための貫通孔が板状部材に形成されていなくてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、板状部材1の上端部および下端部の両方に折曲部15が形成される例と、板状部材1の上端部のみに折曲部15が形成される例とを示したが、これに限らず、板状部材の下端部のみに折曲部が形成されていてもよいし、折曲部が形成されていなくてもよい。
【0067】
また、本実施形態において、板状部材1の表面に防汚性塗料などが塗装されていてもよい。
【0068】
また、本実施形態において、ボルト頭部254dとカバー体100との間にワッシャー(図示省略)が設けられていてもよい。この場合には、そのワッシャーが本発明の「フランジ部」の一例である。
【0069】
また、本実施形態では、4つのボルト254aおよびナット254bにより、遮音装置200がH形鋼252に取り付けられる例を示したが、これに限らず、H形鋼に遮音装置を取り付けるためのボルトおよびナットの数はいくつであってもよい。すなわち、本実施形態では、板状部材1に切欠部14が4つ形成される例を示したが、これに限らず、板状部材に形成される切欠部の数はいくつであってもよい。
【0070】
また、本実施形態において、複数のボルト254aのうちの一部を取り外した状態で、遮音装置200にカバー体100を嵌め合わせ、その一部のボルト254aを取り付けた後に、残りのボルト254aを付け直すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1、1a、1b、1c、1d 板状部材
14、14a、14b 切欠部
14c、14d 長孔
15 折曲部
100、100a、100b カバー体
200、200a、200b 遮音装置
202 前面板
250 道路
252 H形鋼(支柱)
254a ボルト(締結部材)
254b ナット(締結部材)
254c 軸部
254d ボルト頭部(フランジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13