特許第6228872号(P6228872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228872通信装置、通信方法、および、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228872
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/02 20090101AFI20171030BHJP
   H04W 36/06 20090101ALI20171030BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20171030BHJP
   H04W 36/28 20090101ALI20171030BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20171030BHJP
【FI】
   H04W36/02
   H04W36/06
   H04W16/32
   H04W36/28
   H04W72/04 111
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-53151(P2014-53151)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-177400(P2015-177400A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】彭 海蘭
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊明
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 NTT DOCOMO, INC., KDDI,UL DRB handling for Dual Connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG2♯85,3GPP,2014年 2月14日,R2-140190,検索日[2017.06.16],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85/Docs/R2-140190.zip>
【文献】 NSN, Nokia Corporation,SeNB change and inter-MeNB handover procedure[online],3GPP TSG-RAN WG3♯83,3GPP,2014年 2月14日,R3-140424,検索日[2017.06.16],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_83/Docs/R3-140424.zip>
【文献】 Ericsson,Dual connectivity - non-mobility scenarios[online],3GPP TSG-RAN WG3♯83,3GPP,2014年 2月14日,R3-140344,検索日[2017.06.16],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_83/Docs/R3-140344.zip>
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Discussion on SeNB change procedure[online],3GPP TSG-RAN WG2♯85,3GPP,2014年 2月14日,R2-140745,検索日[2017.06.16],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85/Docs/R2-140745.zip>
【文献】 NEC,Scell change in dual connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG2♯85,3GPP,2014年 2月14日,R2-140512,検索日[2017.09.12],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85/Docs/R2-140512.zip>
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Discussion on Special Scell (Spcell) change procedure[online],3GPP TSG-RAN WG2♯85,3GPP,2014年 2月14日,R2-140749,検索日[2017.09.12],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_85/Docs/R2-140749.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに主従関係にあるマスタ基地局とセカンダリ基地局と、双方の基地局との間でDualConnectivity通信を実行する端末装置とを含む無線通信システムにおける前記セカンダリ基地局に備えられた通信装置であって、
複数のコンポーネントキャリアのいずれかが、前記マスタ基地局もしくは前記セカンダリ基地局の通信のためのプライマリセルもしくはセカンダリセルとして設定されており、
前記プライマリセルにおいてはアップリンクとダウンリンクの通信が可能であり、前記セカンダリセルにおいてはダウンリンク通信のみが可能であり、
前記通信装置は、
前記セカンダリ基地局と前記端末装置との間の無線リンク上のいずれかのセカンダリセル通信品質劣化したことを示す通信品質劣化情報取得した場合に、前記通信品質が劣化したセカンダリセルのdeactivation処理および切り替え先となる新たなセカンダリセルのactivation処理を実施する制御部と、
前記セカンダリ基地局と前記端末装置との間の無線リンク上のセカンダリセルのいずれかを用いて端末装置に送信すべき未送信データを記憶する記憶部と、
前記制御部において前記新たなセカンダリセルのactivation処理が実施された場合に、前記記憶部に記憶された未送信データから、前記通信品質が劣化したセカンダリセルに対応する未送信データを読み出して、前記新たなセカンダリセルに転送する送信部と、
を備え
前記送信部は、前記未送信データの転送後に、前記通信品質が劣化したセカンダリセルのdeactivation処理の完了および切り替え先となる新たなセカンダリセルのactivation処理の完了を通知するための情報を、前記マスタ基地局に送信する通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記端末装置から前記通信品質劣化情報が通知されることにより、前記通信品質劣化情報を取得する請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記セカンダリ基地局と前記端末装置との間の無線リンク上のいずれかのセカンダリセルの通信品質の劣化を検出することにより、前記通信品質劣化情報を取得する請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
互いに主従関係にあるマスタ基地局とセカンダリ基地局と、双方の基地局との間でDualConnectivity通信を実行する端末装置とを含む無線通信システムにおける前記セカンダリ基地局により行われる通信方法であって、
複数のコンポーネントキャリアのいずれかが、前記マスタ基地局もしくは前記セカンダリ基地局の通信のためのプライマリセルもしくはセカンダリセルとして設定されており、
前記プライマリセルにおいてはアップリンクとダウンリンクの通信が可能であり、前記セカンダリセルにおいてはダウンリンク通信のみが可能であり、
前記通信方法は、
前記セカンダリ基地局と前記端末装置との間の無線リンク上のいずれかのセカンダリセルセル通信品質劣化したことを示す通信品質劣化情報取得した場合に、前記通信品質が劣化したセカンダリセルのdeactivation処理および切り替え先となる新たなセカンダリセルのactivation処理を実施するステップと、
前記新たなセカンダリセルのactivation処理が実施された場合に、前記通信品質が劣化したセカンダリセルにおける未送信データを前記新たなセカンダリセルに対して転送するステップと、
前記通信品質が劣化したセカンダリセルのdeactivation処理の完了および切り替え先となる新たなセカンダリセルのactivation処理の完了を通知するための情報を、前記マスタ基地局に送信するステップと、
を含む通信方法。
【請求項5】
互いに主従関係にあるマスタ基地局とセカンダリ基地局と、双方の基地局との間でDualConnectivity通信を実行する端末装置とを含む無線通信システムにおける前記セカンダリ基地局に備えられたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
複数のコンポーネントキャリアのいずれかが、前記マスタ基地局もしくは前記セカンダリ基地局の通信のためのプライマリセルもしくはセカンダリセルとして設定されており、
前記プライマリセルにおいてはアップリンクとダウンリンクの通信が可能であり、前記セカンダリセルにおいてはダウンリンク通信のみが可能であり、
前記プログラムは、
前記セカンダリ基地局と前記端末装置との間の無線リンク上のいずれかのセカンダリセル通信品質劣化したことを示す通信品質劣化情報取得した場合に、前記通信品質が劣化したセカンダリセルのdeactivation処理および切り替え先となる新たなセカンダリセルのactivation処理を実施するステップと、
前記新たなセカンダリセルのactivation処理が実施された場合に、前記通信品質が劣化したセカンダリセルにおける未送信データを前記新たなセカンダリセルに対して転送するステップと、
前記通信品質が劣化したセカンダリセルのdeactivation処理の完了および切り替え先となる新たなセカンダリセルのactivation処理の完了を通知するための情報を、前記マスタ基地局に送信するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)においては、MAC層より上位の層においてU/C分離により2以上の基地局(eNodeB。以下、eNBという。)において無線端末装置(User Equipment。以下、UEという。)と接続するための技術であるDual Connectivityが議論されている。
【0003】
Dual Connectivityは、光ファイバに代表されるような、遅延が生じにくい、いわゆるideal Backhaul環境が望めない場所においても、通信の信頼性、スループットを向上させることができる技術である。
【0004】
Dual Connectivity通信においては、UEに接続される基地局として、主従の関係であるマスタとセカンダリの2つの基地局(MeNB(Master eNB)、SeNB(Secondary eNB))が存在する。ここで、MeNBとSeNBは、Non−ideal Backhaulと呼ばれる遅延が生じうる経路にて接続されている。SeNBはU−planeのみを扱うが、MeNBは、UEに送信されるべきRRCメッセージを生成するなど、C−planeをも制御する(たとえば、非特許文献1、2を参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3gpp TS36.300 Ver.12.0.0
【非特許文献2】3gpp TR36.842 Ver.12.0.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来におけるDual Connectivityが形成されている無線通信システムにおいては、UEとSeNBとの間の無線リンクにおける異常状態(Secondary cell group Radio Link Failure。以下、S−RLFという。)や、UEの移動に伴う通信品質の劣化、エリア内の通信量の増大に伴うスループットの低下など、通信品質が劣化してしまったような場合、UE、MeNB、SeNBのそれぞれにおいて通信品質の劣化を認識できたとしても、無線通信システム全体における通信品質の劣化に対する処理に時間を要してしまっていた。そのため、当該通信品質の劣化の回復の遅れが発生し、Dual Connectivityの再確立に影響を与えてしまい、UEに対するデータパケットが喪失されてしまうような場合があった。
【0007】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信品質が劣化したような場合においても、UEに対するデータパケットを速やかに保護できる通信装置、通信方法、および、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、通信装置に関する。この通信装置は、互いに主従関係にあるマスタ基地局とセカンダリ基地局と、双方の基地局との間でDualConnectivity通信を実行する端末装置とを含む無線通信システムにおける通信装置である。ここで、複数のコンポーネントキャリアのいずれかが、前記マスタ基地局もしくは前記セカンダリ基地局の通信のためのプライマリセルもしくはセカンダリセルとして設定されている。また、前記プライマリセルにおいてはアップリンクとダウンリンクの通信が可能であり、前記セカンダリセルにおいてはダウンリンク通信のみが可能である。ここで、前記通信装置は、前記セカンダリ基地局と前記端末装置との間の無線リンク上のいずれかのセルにおける通信品質の劣化を検出した場合に、使用セルの切り替え処理を実施する制御部と、前記セルのいずれかを用いて端末装置に送信すべき未送信データを記憶する記憶部と、前記制御部においてセルの切り替え処理が実施された場合に、記憶部に記憶された未送信データから、通信品質が劣化したセルに対応する未送信データを読み出して、切り替え先のセルに転送する送信部と、を備える。
【0009】
このような態様によると、通信品質が劣化したセルに対応する未送信データを切り替え先のセルに転送することによって、無線端末装置に対するデータパケットを速やかに保護できる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、通信品質が劣化したような場合においても、UEに対するデータパケットを速やかに保護できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の概要)
本発明の実施例を説明する前に、まず、本発明の概要を述べる。本発明は、Dual Connectivity通信におけるセカンダリ基地局と端末との間の無線リンク上で発生した異常状態(S−RLF)などの通信品質が劣化したような状態(以下、通信品質劣化状態という。)から速やかに復旧するための技術に関する。また、復旧と共に、速やかにUEに対するデータパケットを保護するための技術に関する。
【0013】
通信品質劣化状態を速やかに復旧するためには、MeNBにおいて通信品質劣化状態が認識された上で、通信品質劣化状態にかかるセルの変更や、UEの再設定(Reconfigration)などの処理が必要とされる。しかしながら、UE、SeNBのそれぞれにおいて検知されたとしても、MeNBへの報告手順については規格書上規定されていなかったため、MeNBが通信品質劣化状態を認識するまでに時間を要することがあった。
【0014】
本発明においては、UE、SeNBのそれぞれにおいて通信品質劣化状態を検知した場合、速やかにMeNBに報告する構成とすることで、通信品質劣化状態の状態から速やかに復旧することとしている。MeNBに報告される内容としては、通信品質劣化状態が発生した事実のほか、発生要因、ならびに、発生セルに関する情報を含めることによって、通信品質劣化状態の復旧のための再設定を速やかに行える構成とした。また、復旧のための再設定とともに、通信品質劣化状態が発生したセルについてバッファされている未送信データを速やかに切り替え先のセルに転送することとした。
【0015】
以上の態様により、以下のような効果が得られる。
・MeNBにS−RLFなどの通信品質劣化状態の詳細を知らせることができる。
・UEもしくはSeNBからの報告内容に応じた適切なアクションをMeNBに実施させることができる。
・SeNBは、自身のセカンダリセル上の通信品質劣化状態を制御できる。
・UEは、速やかに、通信品質劣化状態から回復できる。
・UEに対するパケットのロスを低減できる。
・UEにおけるサービス中断時間を低減できる。
【0016】
(本発明の実施形態にかかる無線通信システムの構成例)
ここで、本発明の実施形態にかかる無線通信システムの構成例について説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる無線通信システム100の構成例を示す図である。無線通信システム100は、MeNB10とSeNB20とUE30とを含む。
【0017】
MeNB10とSeNB20は、双方とも基地局装置である。また、MeNB10とSeNB20は、互いに主従関係にあり、後者が前者に属している関係となる。また、MeNB10とSeNB20は、有線もしくは無線にて接続されている。図1においては、図示の都合上、MeNB10をマクロ基地局、SeNB20をフェムト基地局として図示しているが、これにかぎらず、SeNB20もマクロ基地局であっても本発明を適用することができることは当業者に容易に理解されるところである。
【0018】
MeNB10は、図示するごとく、複数のコンポーネントキャリアからなるMCG40(Master Cell Group)を用いて、UE30との間で通信を実施する。同様に、SeNB20は、複数のコンポーネントキャリアからなるSCG50(Secondary Cell Group)を用いて、UE30との間で通信を実施する。コンポーネントキャリアとは、複数のサブキャリアから構成される周波数リソースであり、所定の個数のサブキャリアを1単位として、UE30との通信リソースとして、以下のようにPCell、Scell、PScellが割り当てられるものである。
【0019】
図1においては、MCG40として、MeNB10のプライマリセルであるPCell42とMeNB10のセカンダリセルであるScell44が設定されており、セル46は、いずれのUEにもセルが割り当てられていないNotServingCellとなる。また、SCG50として、SeNB20のプライマリセルであるPScell54とSeNB20のセカンダリセルであるScell52が設定されている他、NotServingCell56が存在する。
【0020】
ここで、MeNB10もしくはSeNB20は、プライマリセル(PCell42、PScell54)を用いると、UE30との間でアップリンクとダウンリンクの通信が可能であり、セカンダリセル(Scell44、Scell52)を用いると、UE30との間でダウンリンク通信のみが可能である。
【0021】
PCell42においては、UE30との間でU−planeおよびC−planeの通信が可能である。一方、PCell42以外のセルであるPScell54、Scell44、Scell52においては、UE30との間でU−planeの通信のみが可能となる。なお、図1においては、MCG40もしくはSCG50を用いたUE30とのU−plane通信を実線の矢印で図示し、C−plane通信を破線の矢印で図示する。後述する同様の無線通信システムを表す図においても同様である。
【0022】
(MeNB10の構成例)
図2は、図1のMeNB10の構成例を示す図である。MeNB10は、MeNB送信部12と、MeNB制御部14と、MeNB記憶部16とを含む。
【0023】
MeNB送信部12は、MCG40のいずれかのコンポーネントキャリアに設定されたセルを用いて、UE30との間で無線通信を行う。また、MeNB送信部12は、SeNB20との間で有線もしくは無線による通信を行ってもよい。これらの無線通信、有線通信は、公知の変復調技術、アンテナ技術などが用いられてもよい。後述するSeNB20、UE30における送信部においても同様である。
【0024】
MeNB記憶部16は、UE30あるいはSeNB20に対して、送信すべき情報を記憶し、管理する。
【0025】
MeNB制御部14は、UE30あるいはSeNB20との間の通信を制御する。また、MeNB制御部14は、当該MeNB10と、UE30、SeNB20との間でDual Connectivity通信を行う場合、特に、SeNB20とUE30との間の無線リンク上のいずれかのセルの通信品質劣化状態に関する情報を受信した場合、受信した情報に応じて適切なアクション、たとえば、以下の処理をおこなってもよい。
・MSG40におけるPCell42、Scell44の設定(Activation/Deactivation)、解除(Release)、変更処理(Modification)、新たなSeNB20への変更処理
・UE30に対する設定/再設定処理(Configration/Reconfigration)
・SeNB20に対する、PSCell54、Scell52の設定、解除、変更処理
・SeNB20に対する、切り替え先セルへの未送信データの転送処理の指示
・SeNB20に対する、他のSeNBへの切り替え指示。ならびに、切り替え先のSeNBへの未送信データの転送処理の指示
【0026】
ここで、S−RLFについて説明する。S−RLFが発生した原因は、以下の3つのケースに分類でき、それぞれのケースにおいてSeNB20もしくはUE30によって以下に述べる処理にて検出可能である。これらの検出は、公知の技術を用いて実施可能であることは当業者に理解されるところである。
【0027】
(1)PhysicalLayerにおける問題に起因した原因
・SeNB20において、UE30からのCQI、HARQフィードバック情報に基づいた通信品質を指標として検出。
・UE30において、無線リンク監視(RadioLinkMonitoring)による通信品質の劣化の程度に基づいて検出。
【0028】
(2)MAC (medium access control)Layerにおける問題に起因した原因
・UE30において、Contention−basedランダムアクセスにおける再送回数に基づいた検出。
・SeNB20もしくはUE30において、Contention−Freeランダムアクセスにおける再送回数に基づいた検出。
【0029】
(3)RLC (radio link control) Layerにおける問題に起因した原因
・RLC AM entityにおけるSeNB20による下り無線リンクの最大再送回数を超えた場合の検出、あるいは、UE30による上り無線リンクの最大再送回数を超えた場合の検出
・RLC UM entityにおけるSeNB20による上り/下り無線リンクの最大再送回数を超えた場合の検出、あるいは、UE30による上り無線リンクの最大再送回数を超えた場合の検出
【0030】
MeNB10がSeNB20もしくはUE30から受信する通信品質劣化状態に関する情報は、通信品質劣化状態の発生原因および/または発生セルを特定するための関する情報が含まれていてもよい。通信品質劣化状態の発生原因は、上述した3つの原因を特定する原因識別子を定義して、その原因識別子を情報に含めてもよい。また、通信品質劣化状態の発生セルについては、発生セルにかかるセルIDを情報に含めてもよい。また、通信品質劣化状態の発生原因と発生セルの双方を含める場合、たとえば、後述する10個のタイプのいずれかのタイプを示す識別情報を含めてもよい。
【0031】
ここで、SeNB20とUE30の双方から通信品質劣化状態に関する情報を受信した場合、MeNB制御部14は、いずれか一方の情報にのみ従ったアクションを実施してもよい。また、MeNB制御部14は、UE30もしくはSeNB20のいずれか一方の情報を優先して判断してもよい。また、MeNB制御部14は、過去に受信した通信品質劣化状態に関する情報を考慮して、優先すべき情報を選択してもよい。
【0032】
(SeNB20の構成例)
図3は、図1のSeNB20の構成例を示す図である。SeNB20は、SeNB送信部22と、SeNB制御部24と、SeNB記憶部26とを含む。
【0033】
SeNB制御部24は、上述した3つのケースのうちのいずれかの処理を行って、SeNB20とUE30との間の無線リンク上に発生した通信品質劣化状態にかかるセルを検出し、また、通信品質劣化状態の原因を推定する。通信品質劣化状態を検出した場合、SeNB制御部24は、通信品質劣化状態が発生した原因に関する情報を含ませる。もしくは、通信品質劣化状態が発生した原因に関する情報の代わりに、通信品質劣化状態が発生したセルを特定するための情報を含ませてもよいし、通信品質劣化状態が発生した原因に関する情報に加えて、通信品質劣化状態が発生したセルを特定するための情報も含ませてもよい。
【0034】
また、SeNB制御部24は、SeNB20とUE30との間の無線リンク上のいずれかのセルにおける通信品質の劣化や通信品質劣化状態を検出した場合に、使用セルの切り替え処理を実施する。
【0035】
SeNB記憶部26は、セルごとに、UE30に送信すべき未送信データを記憶する。SeNB記憶部26は、SeNB送信部22の指示にしたがって、指示にかかるセルに対応した未送信データを読み出す。
【0036】
SeNB送信部22は、SeNB制御部24において検出した通信品質劣化状態に関する情報をMeNB10に通知する。SeNB制御部24において、SeNB20のプライマリセルPScell54における無線リンク上の通信品質劣化状態が検出された場合、SeNB送信部22は、MeNB10のプライマリセルPCell42に対して、通信品質劣化状態を通知する。
【0037】
また、SeNB制御部24において、SeNB20のプライマリセルPScell54以外のセルにおける無線リンク上の通信品質劣化状態が検出された場合、SeNB送信部22は、MeNB10のプライマリセルPCell42に対して、通信品質劣化状態に関する情報を通知する。
【0038】
ここで、MeNB10に通知されるS−RLFに関する情報は、以下のように定義されてもよい。
・S-RLF indication type 7: PHY layer problem on PScell54, if CQI and HARQ feedback based detection
・S-RLF indication type 8: PHY layer problem on Scell52, if CQI and HARQ feedback based detection
・S-RLF indication type 9: RLC layer DL problem on PScell54
・S-RLF indication type 10: RLC layer DL problem on Scell52
【0039】
また、SeNB記憶部26は、UE30に送信すべき未送信データをセルごとに記憶する。SeNB制御部24は、SeNB20とUE30との間の無線リンク上のいずれかのセルにおける通信品質の劣化を検出した場合に、使用セルの切り替え処理を実施する。SeNB送信部22は、SeNB制御部24においてセルの切り替え処理が実施された場合に、通信品質が劣化したセルに対応するSeNB記憶部24に記憶された未送信データを切り替え先のセルに転送する。切り替え先のセルは、当該SeNB20のすべてのセルをリリースしてSeNB20自体を切り替えるような場合、MeNB10、もしくは、他のSeNBにおけるセルであってもよい。切り替え先の他のSeNB、切り替え先のセルは、MeNBから指示されてもよい。
【0040】
具体的に説明する。SeNB送信部22は、SeNB制御部24がSeNB20のセカンダリセルにおける通信品質の劣化を検出した場合、SeNB20における切り替え先である他のセカンダリセルに対して、未送信データを転送する。また、SeNB送信部22は、SeNB制御部24がSeNB20のプライマリセルにおける通信品質の劣化を検出した場合、SeNB20における切り替え先であるプライマリセルに対して、未送信データを転送してもよい。
【0041】
また、SeNB送信部22は、SeNB制御部24がSeNB20における使用中のすべてのセルにおける通信品質の劣化を検出した場合、MeNB10のプライマリセルに対して、SeNB記憶部26に記憶されているすべての未送信データを転送してもよい。また、SeNB送信部22は、MeNB10のプライマリセルにSeNB記憶部26に記憶されているすべての未送信データを転送する場合、転送されたすべての未送信データは、MeNB10のプライマリセルを介して、他のSeNBであって新たにDualConnectivity通信の対象とすべきSeNBのプライマリセルに対して転送されてもよい。また、SeNB送信部22は、MeNB10のプライマリセルにSeNB記憶部26に記憶されているすべての未送信データを転送する場合、他のSeNBであって新たにDualConnectivity通信の対象とすべきSeNBのプライマリセルに対して、SeNB記憶部26に記憶されているすべての未送信データを直接転送してもよい。
【0042】
(UE30の構成例)
図4は、図1のUE30の構成例を示す図である。UE30は、UE送信部32と、UE制御部34と、UE記憶部36と、ユーザIF38とを含む。
【0043】
UE制御部34は、上述した3つのケースのうちのいずれかの処理を行って、SeNB20とUE30との間の無線リンク上に発生した通信品質劣化状態にかかるセルを検出し、また、通信品質劣化状態の原因を推定する。また、UE制御部34は、通信品質劣化状態に関する情報に、当該異常状態が発生した原因に関する情報を含ませてもよい。もしくは、通信品質劣化状態が発生した原因に関する情報の代わりに、通信品質劣化状態が発生したセルを特定するための情報を含ませてもよいし、通信品質劣化状態が発生した原因に関する情報に加えて、通信品質劣化状態が発生したセルを特定するための情報も含ませてもよい。
【0044】
UE送信部32は、UE制御部34において検出した通信品質劣化状態に関する情報をMeNB10もしくはSeNB20に通知する。UE制御部34において、SeNB20のプライマリセルであるPScell54における無線リンク上の通信品質劣化状態を検出した場合、MeNB10のプライマリセルPCell42に対して、通信品質劣化状態に関する情報を通知する。
【0045】
また、UE制御部34において、SeNB20のプライマリセルPScell54以外のセル(Scell52)における無線リンク上の通信品質劣化状態を検出した場合、UE送信部32は、MeNB10のプライマリセルPCell42もしくはSeNB20のプライマリセルPScell54に対して、通信品質劣化状態に関する情報を通知する。
【0046】
ここで、MeNB10もしくはSeNB20に通知されるS−RLFに関する情報は、以下のように定義されてもよい。なお、「RLM」とは、Radio Link Monitoringの略であり、「if RLM」とは、無線リンクの品質を監視し、異常状態を検出したような場合を含む。
・S-RLF indication type 1: PHY layer problem on PScell54, if RLM
・S-RLF indication type 2: PHY layer problem on Scell52, if RLM
・S-RLF indication type 3: MAC layer random access problem on PScell54
・S-RLF indication type 4: MAC layer random access problem on Scell52
・S-RLF indication type 5: RLC layer UL problem on PScell54
・S-RLF indication type 6: RLC layer UL problem on Scell52
【0047】
ユーザIF38は、画面インタフェースと、キーボードやタッチパネルなどのユーザからの入力を受け付ける入力インタフェースと、カメラなどの画像撮像手段を含んでもよい。
【0048】
UE記憶部36は、MeNB10もしくはSeNB20から送信されたデータを記憶し、また、MeNB10もしくはSeNB20に対して送信すべき、ユーザIF38を通じて得たデータを記憶してもよい。
【0049】
以下、実施例1〜10を用いて、本発明の実施例について具体的に説明する。実施例1〜5においては、UE30とSeNB20の間における無線リンクのセルのいずれかがS−RLF状態となったことを仮定している。また、説明の都合上、通信品質劣化状態がS−RLFであるとして説明を行うが、これに限らず、SINRやEb/Iorなどの所定の通信品質が劣化したようなケースでも本発明を適用できることは言うまでもない。また、実施例6〜10は、通信品質劣化状態が検出された後のデータ転送処理についての具体例である。
【実施例1】
【0050】
まず、実施例1について説明する。ここでは、図5図6を用いて説明する。なお、既出の構成、動作については、同じ符号を用いることによってその説明を簡略化する。以下、本明細書において同様である。
【0051】
図5は、実施例1にかかる第1無線通信システム110の構成例を示す図である。図6は、図5の動作例を示すシーケンス図である。実施例1は、図5に示す第1無線通信システム110において、図中に「x」にて示したように、UE30との通信用のセルであるPScell54において発生したS−RLFを検出した場合におけるS−RLFに関する情報の通知に関する例である。以下においては、図5に示した(1)〜(4)と図6に示したS10〜S18とを対応させながら、実施例1のシーケンスを説明する。
【0052】
(1)まず、UE30が、UE制御部34により、PScell54のS−RLFを検出する(S10)。
【0053】
(2)つぎに、UE30は、MeNB10におけるPCell42に対して、S-RLF indication type 1、 type 3、もしくはtype 5が示されたS−RLFに関する情報を通知する(S12)。S-RLF indication type 1、 type 3、もしくはtype 5の別は、UE制御部34によるS−RLFの検出結果にしたがって、選択される。
【0054】
(3)ここで、MeNB10がUE30から通知されたS−RLFに関する情報を受信すると、受信した情報の内容に応じたアクションを実行する(S14)。実行されるアクションとしては、たとえば、PScell54の変更処理を行い、さらに、Scell52のactivation/deactivation処理を行ってもよい(S16)。また、PScell54の変更先にふさわしいコンポーネントキャリアがSCG50に存在しないような場合には、SeNB20を他のSeNB20に変更する処理を行ってもよい(S16)。
【0055】
(4)最後に、MeNB10は、実行したアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施する(S16)。
【0056】
以上のような態様によると、Dual Connectivityの制御の中心となるべきMeNB10にUE30がS−RLFに関する情報を通知することによって、S−RLFの復旧を速やかに実行できることとなる。
【実施例2】
【0057】
つぎに、実施例2について説明する。ここでは、図7図8を用いて説明する。図7は、実施例2にかかる第2無線通信システム120の構成例を示す図である。図8は、図7の動作例を示すシーケンス図である。
【0058】
実施例2は、図7に示す第2無線通信システム120において、図中に「x」にて示したように、SeNB20が、UE30との通信用のセルであるPScell54において発生したS−RLFを検出した場合におけるS−RLFに関する情報の通知に関する例である。以下においては、図7に示した(1)〜(4)と図8に示したS20〜S26とを対応させながら、実施例2のシーケンスを説明する。
【0059】
(1)まず、SeNB20が、SeNB制御部24により、PScell54のS−RLFを検出する(S20)。
【0060】
(2)つぎに、SeNB20は、MeNB10におけるPCell42に対して、S-RLF indication type 7、もしくはtype 9が示されたS−RLFに関する情報を通知する(S22)。S-RLF indication type 7、もしくはtype 9の別は、SeNB制御部24によるS−RLFの検出結果にしたがって、選択される。
【0061】
(3)ここで、MeNB10がSeNB20から通知されたS−RLFに関する情報を受信すると、受信した情報の内容に応じたアクションを実行する(S24)。実行されるアクションとしては、たとえば、PScell54の変更処理を行い、さらに、Scell52のactivation/deactivation処理を行ってもよい(S26)。また、PScell54の変更先にふさわしいコンポーネントキャリアがSCG50に存在しないような場合には、SeNB20を他のSeNBに変更する処理を行ってもよい(S26)。
【0062】
(4)最後に、MeNB10は、実行したアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施する(S26)。
【0063】
以上のような態様によると、Dual Connectivityの制御の中心となるべきMeNB10にSeNB20がS−RLFに関する情報を通知することによって、S−RLFの復旧を速やかに実行できることとなる。
【実施例3】
【0064】
つぎに、実施例3について説明する。ここでは、図9図12を用いて説明する。図9図10は、実施例3にかかる第3−1無線通信システム130、第3−2無線通信システム132の構成例をそれぞれ示す図である。図11図12は、それぞれ、図9図10の動作例を示すシーケンス図である。
【0065】
実施例3は、図9、10に示す第3−1無線通信システム130、第3−2無線通信システム132において、図中にそれぞれ「x」にて示したように、UE30が、Scell52にて発生したS−RLFを検出した場合におけるS−RLFに関する情報の通知に関する例である。図9図11図10図12との相違点は、S−RLFの通知先がMeNB10であるかSeNB20であるかという点である。以下においては、図9、10にそれぞれ示した(1)〜(4)と、図11、12にそれぞれ示したS30〜S36、S40〜S48とを対応させながら、実施例3のシーケンスをそれぞれ説明する。
【0066】
(1)まず、UE30が、UE制御部34により、Scell52のS−RLFを検出する(S30、S40)。
【0067】
図9図11の場合)
(2)つぎに、UE30は、MeNB10におけるPCell42に対して、S-RLF indication type 2、type 4、もしくはtype 6が示されたS−RLFに関する情報を通知する(S32)。あるいは、S-RLF indication type 2、type 4、もしくはtype 6の別は、UE制御部34によるS−RLFの検出結果にしたがって、選択される。
(3)S−RLFに関する情報をMeNB10のPcell42に通知した場合(図9図11)、MeNB10のMeNB制御部14は、SeNB20に対して、Scell52のactivation / deactivation procedureを要求する(S34、S36)。(4)最後に、MeNB10は、実行したアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施する。
【0068】
図10図12の場合)
(2)UE30は、SeNB20におけるPScell54に対して、S-RLF indication type 2、type 4、もしくはtype 6が示されたS−RLFに関する情報を通知する(S42)。
(3)一方、S−RLFに関する情報をSeNB20のPScell54に通知した場合(図10図12)、SeNB20のSeNB制御部24は、S−RLFに係るScell52のactivates/deactivate処理を実施し(S44)、その旨をMeNB10に報告する(S46)。(4)最後に、MeNB10は、実行したアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施する(S48)。
【0069】
以上のような態様によると、Dual Connectivityの制御の中心となるべきMeNB10にUE30がS−RLFに関する情報を通知することによって、S−RLFの復旧を速やかに実行できることとなる。
【0070】
また、UE30がSeNB20に対してS−RLFに関する情報を直接通知することによって、SeNB20自身が速やかにS−RLFにかかるScell52の切り替え処理を実行することができ、もって、Dual Connectivity通信を速やかに復旧できることとなる。
【0071】
UE30は、S−RLFの通知先として、MeNB10、SeNB20のいずれかを選択してもよい。この選択は、Pcell42とPScell54のうち、いずれのセルとの通信状態が良好であるかによって、二者択一的に決定されてもよい。このような態様によれば、より好ましい経路が選択されるため、より速やかにS−RLFの状態を復旧できる可能性があるからである。一方、UE30は、選択することなく、MeNB10とSeNB20の双方にS−RLFに関する情報を送信してもよい。このような態様により、より速やかに、S−RLFの状態を復旧できる可能性があるからである。
【実施例4】
【0072】
つぎに、実施例4について説明する。ここでは、図13図16を用いて説明する。図13図14は、実施例4にかかる第4−1無線通信システム140、第4−2無線通信システム142の構成例をそれぞれ示す図である。図15図16は、それぞれ、図13図14の動作例を示すシーケンス図である。
【0073】
実施例4は、図13、14に示す第4−1無線通信システム140、第4−2無線通信システム142において、図中にそれぞれ「x」にて示したように、SeNB20が、UE30とScell52の双方で発生したS−RLFを検出した場合におけるS−RLFに関する情報の通知に関する例である。図13図15図14図16との相違点は、S−RLFを検知したSeNB20がMeNB10にまず報告を行った上で、S−RLFにかかるScell52のactivation / deactivation procedureを行うか、あるいは、自律的に行うかという点である。以下においては、図13、14にそれぞれ示した(1)〜(4)と、図15、16にそれぞれ示したS50〜S56、S60〜S66とを対応させながら、実施例4のシーケンスをそれぞれ説明する。
【0074】
(1)まず、SeNB20が、SeNB制御部24により、Scell52のS−RLFを検出する(S50、S60)。
【0075】
図13図15の場合)
(2)つぎに、SeNB20は、MeNB10におけるPCell42に対して、S-RLF indication type 8、もしくはtype 10が示されたS−RLFに関する情報を通知する(S52)。S-RLF indication type 8、もしくはtype 10の別は、SeNB制御部24によるS−RLFの検出結果にしたがって、選択される。
(3)ここで、MeNB10がSeNB20から通知されたS−RLFに関する情報を受信すると、受信した情報の内容に応じたアクションを実行する(S54)。実行されるアクションとしては、たとえば、Scell52のactivation/deactivation処理を行ってもよい(S56)。
(4)最後に、MeNB10は、SeNB20において実行されたアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施する(S56)。
【0076】
図14図16の場合)
(2)SeNB20のSeNB制御部24は、自身が検知したS−RLFにかかるScell52のactivation/deactivation処理を行う(S62)。
(3)ついで、SeNB20は、MeNB10におけるPCell42に対して、Scell52のactivation/deactivation処理が完了した旨を報告する(S64)
(4)最後に、MeNB10は、SeNB20において実行されたアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施する(S66)。
【0077】
以上のような態様によると、Dual Connectivityの制御の中心となるべきMeNB10にSeNB20がS−RLFに関する情報を通知することによって、S−RLFの復旧を速やかに実行できることとなる。また、MeNB10への報告を後回しにして、S−RLFが発生したScell52への対処を優先させることによって、より速やかにS−RLFを復旧できることとなる。
【実施例5】
【0078】
(実施例1〜4の変形例)
つぎに、実施例5について説明する。実施例5は、実施例1〜4の変形例である。図17は、本発明の変形例にかかる第5無線通信システム150を示す図である。本変形例は、図中にそれぞれ「x」にて示したように、UE30がScell44で発生したRLFを検出した場合におけるRLFに関する情報の通知に関する例である。
【0079】
このような場合、UE30は、PCell42に対して、RLFに関する情報を通知する。通知されたMeNB10は、RLFにかかるScell44について、activation/deactivation処理を実施するとともに、UE30に対する再設定処理を行うこととなる。
【0080】
また、他の変形例としては、MeNB10自身が、Scell44におけるRLFを検出してもよい。この場合、速やかにRLFにかかるScell44について、activation/deactivation処理を実施できることとなる。
【0081】
また、他の変形例としては、MeNB10自身が、実施例1〜4で述べたようなSeNB20のPScell54、Scell52におけるS−RLFを検出してもよい。たとえば、検出の方法としては、UE30からMeNB10に通知される周辺基地局に関するMeasurementReportを参照し、その時間変化を観測することで可能となる。これにより、MeNB10は、SeNB20やUE30からのS−RLFに関する情報の通知を待つことなく、速やかにS−RLFにかかるセルの復旧処理を開始することができる。
【0082】
また、他の変形例としては、MeNB10におけるS−RLFの復旧処理は、同一のセルについてのS−RLFに関する情報を所定の時間内に一定の回数受け取ったことを契機として開始されてもよい。所定の時間や一定の回数は、過去のS−RLFの履歴によって変化してもよいし、上位レイヤから指定されてもよい。たとえば、UE30からS-RLF indication type 1を受け取っただけでなく、SeNB20からも同様のS−RLF発生要因&同一のセルに対する通知となるS-RLF indication type 7を受け取ったような場合が想定される。このような態様により、S−RLFの検出精度を高められ、S−RLFの誤検出による無用な復旧処理を低減できることとなる。
【実施例6】
【0083】
つぎに、実施例6について説明する。ここでは、図18図19を用いて説明する。図18は、実施例6にかかる第6無線通信システム160の構成例を示す図である。図19は、図18の動作例を示すシーケンス図である。
【0084】
実施例6は、図18に示す第6無線通信システム160において、図中に「x」にて示したように、SeNB20とUE30との通信で使用されるセルであるScell52で発生した通信品質劣化状態が検出されて、通信品質劣化状態に関する情報が通知された後の転送処理に関する例である。転送にかかる経路は、図中において一転破線の矢印で示しており、実施例7〜10において同様とする。以下においては、図18に示した(1)〜(4)と図19に示したS70〜S78とを対応させながら、実施例6のシーケンスを説明する。
【0085】
(1)まず、SeNB制御部24は、UE30との通信で使用しているScell52で生じた通信品質劣化状態を認識する(S70)。Scell52における通信品質劣化状態の認識は、実施例3〜5に示したように、UE30から通知され、もしくは、SeNB制御部24が自ら検知したことによりなされてもよい。
【0086】
(2)つぎに、SeNB制御部24は、通信品質劣化状態となったScell52のdeactivation処理、ならびに、newScell59のactivation処理を行う(S72)。さらに、SeNB送信部22は、newScell59に対して、通信品質劣化状態となったScell52にてUE30に送信する予定であった未送信データを転送する(S72)。
【0087】
(3)その後、SeNB送信部22は、MeNB10に対して、Scell52のdeactivation処理ならびにnewScell59のactivation処理の完了を通知する(S74)。
【0088】
(4)最後に、MeNB10は、SeNB20において実行されたアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施し(S76)、その処理の終了後、UE30は、処理が完了した旨をMeNB10に通知する(S78)。
【0089】
以上のような態様によると、MeNB10に対して、通信品質劣化状態となったScell52のdeactivation処理、ならびに、newScell59のactivation処理の完了報告に先だって、データの転送処理を実施することによって、より速やかに未送信データを保護することができる。
【実施例7】
【0090】
つぎに、実施例7について説明する。ここでは、図20図21を用いて説明する。図20は、実施例7にかかる第7無線通信システム170の構成例を示す図である。図21は、図20の動作例を示すシーケンス図である。
【0091】
実施例7は、図20に示す第7無線通信システム170において、図中に「x」にて示したように、SeNB20とUE30との通信の使用せるであるPScell54において発生した通信品質劣化状態が検出されて、通信品質劣化状態に関する情報が通知された後の処理に関する例である。以下においては、図20に示した(1)〜(4)と図21に示したS80〜S90とを対応させながら、実施例7のシーケンスを説明する。
【0092】
(1)まず、MeNB10は、UE30との通信で使用しているPScell54で生じた通信品質劣化状態を認識する(S80)。PScell54における通信品質劣化状態の認識は、実施例1、2に示したように、UE30から通知され、もしくは、SeNB20から通知されたことによりなされてもよい。
【0093】
(2)つぎに、MeNB送信部12は、PScell54の変更要求をSeNB20に指示する(S82)。SeNB制御部24は、通信品質劣化状態となったPScell54の変更処理を行う(S84)。変更処理は、PScell54のdeactivation処理、ならびに、newPScell58のactivation処理がなされてもよい。さらに、SeNB送信部22は、newPScell58に対して、通信品質劣化状態となったPScell54にてUE30に送信する予定であった未送信データを転送する(S84)。
【0094】
(3)その後、SeNB送信部22は、MeNB10に対して、PScell54の変更処理の完了を通知する(S86)。
(4)最後に、MeNB10は、SeNB20において実行されたアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施し(S88)、その処理の終了後、UE30は、処理が完了した旨をMeNB10に通知する(S90)。
【0095】
以上のような態様によると、MeNB10に対して、通信品質劣化状態となったPScell54の変更処理の完了報告に先だって、データの転送処理を実施することによって、より速やかに未送信データを保護することができる。
【実施例8】
【0096】
つぎに、実施例8について説明する。ここでは、図22図23を用いて説明する。図22は、実施例8にかかる第8無線通信システム180の構成例を示す図である。図23は、図22の動作例を示すシーケンス図である。
【0097】
実施例8は、図22に示す第8無線通信システム180において、図中に「x」にて示したように、SeNB20におけるUE30との通信をおこなっているすべてのセルであるPScell54、Scell52において通信品質劣化状態が検出され、通信品質劣化状態に関する情報が通知された後の処理に関する例である。以下においては、図22に示した(1)〜(4)と図23に示したS100〜S108とを対応させながら、実施例8のシーケンスを説明する。
【0098】
(1)まず、MeNB10は、UE30との通信で使用しているPScell54、Scell52で生じた通信品質劣化状態を認識する(S100)。PScell54、Scell52における通信品質劣化状態の認識は、実施例1〜5に示したように、UE30から通知され、もしくは、SeNB20から通知されたことによりなされてもよい。
【0099】
(2)つぎに、MeNB送信部12は、SeNB20のリリースならびに未送信データの転送要求をSeNB20に指示する(S102)。SeNB制御部24は、通信品質劣化状態となったPScell54、Scell52のすべてをdeactivation処理し、リリース処理を行う。さらに、SeNB送信部22は、MeNB10に対して、通信品質劣化状態となったPScell54、Scell52にてUE30に送信する予定であったすべての未送信データを転送する。転送先は、PScell54に対応する未送信データはPCell42に、Scell52に対応する未送信データはScell44になされてもよい。
【0100】
(3)その後、SeNB送信部22は、MeNB10に対して、その完了報告をMeNB10に行う(S104)。
(4)最後に、MeNB10は、SeNB20において実行されたアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施し(S106)、その処理の終了後、UE30は、処理が完了した旨をMeNB10に通知する(S108)。
【0101】
以上のような態様によると、SeNB20自体をリリースする必要があるような通信品質劣化状態となったような場合でも、MeNB10に未送信データを速やかに転送することによって、UE30に対するデータパケットの損失を回避できる。
【実施例9】
【0102】
つぎに、実施例9について説明する。ここでは、図24図25を用いて説明する。図24は、実施例9にかかる第9無線通信システム190の構成例を示す図である。図25は、図24の動作例を示すシーケンス図である。第9無線通信システム190は、転送先のSeNBとして、TargetSeNB60が図示されている。ここで、MeNB10とSeNB20とTargetSeNB60とは、互いにbackhaul回線で接続されていてもよい。
【0103】
実施例9は、図24に示す第9無線通信システム190において、図中に「x」にて示したように、SeNB20におけるUE30との通信をおこなっているすべてのセルであるPScell54、Scell52において通信品質劣化状態が検出され、通信品質劣化状態に関する情報が通知された後の処理に関する例である。以下においては、図24に示した(1)〜(5)と図25に示したS110〜S124とを対応させながら、実施例9のシーケンスを説明する。
【0104】
(1)まず、MeNB10は、UE30との通信で使用しているPScell54、Scell52で生じた通信品質劣化状態を認識する(S110)。PScell54、Scell52における通信品質劣化状態の認識は、実施例1〜5に示したように、UE30から通知され、もしくは、SeNB20から通知されたことによりなされてもよい。
【0105】
(2)つぎに、MeNB送信部12は、SeNB20のリリースならびに未送信データの転送要求をSeNB20に指示する(S112)。SeNB制御部24は、通信品質劣化状態となったPScell54、Scell52のすべてをdeactivation処理し、リリース処理を行う。さらに、SeNB送信部22は、MENB10に対して、通信品質劣化状態となったPScell54、Scell52にてUE30に送信する予定であったすべての未送信データを転送する。
【0106】
(3)その後、SeNB送信部22は、MeNB10に対して、その完了報告をMeNB10に行う(S114)。
【0107】
(4)ここで、MeNB10は、TargetSeNB60に対して、当該Dual Connectivity構成の1つとしてのSeNBとなるべく、追加要求を行う(S116)。この要求を受けて、TargetSeNB60は、自身のSCGのコンポーネントキャリアにPScell、Scellを設定し、MeNB10にその結果を報告する(S118)。その後、MeNB10は、TargetSeNB60のプライマリセルに対し、SeNB20から転送されていた未送信データを転送する(S120)。転送先は、PScell54に対応する未送信データはTargetSeNB60のPSCellに、Scell52に対応する未送信データはTargetSeNB60のScellになされてもよい。
【0108】
(5)最後に、MeNB10は、SeNB20において実行されたアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施し(S122)、その処理の終了後、UE30は、処理が完了した旨をMeNB10に通知する(S124)。
【0109】
以上のような態様によると、SeNB20自体をリリースする必要があるような通信品質劣化状態となったような場合でも、MeNB10を介して、新たな接続先となるTargetSeNB60に未送信データを速やかに転送することによって、UE30に対するデータパケットの損失を回避できる。
【実施例10】
【0110】
つぎに、実施例10について説明する。ここでは、図26図27を用いて説明する。図26は、実施例10にかかる第10無線通信システム200の構成例を示す図である。図27は、図26の動作例を示すシーケンス図である。
【0111】
実施例10は、図26に示す第10無線通信システム200において、図中に「x」にて示したように、SeNB20におけるUE30との通信をおこなっているすべてのセルであるPScell54、Scell52において通信品質劣化状態が検出され、通信品質劣化状態に関する情報が通知された後の処理に関する例である。以下においては、図26に示した(1)〜(5)と図27に示したS130〜S144とを対応させながら、実施例10のシーケンスを説明する。
【0112】
(1)まず、MeNB10は、UE30との通信で使用しているPScell54、Scell52で生じた通信品質劣化状態を認識する(S130)。PScell54、Scell52における通信品質劣化状態の認識は、実施例1〜5に示したように、UE30から通知され、もしくは、SeNB20から通知されたことによりなされてもよい。
【0113】
(2)つぎに、MeNB10は、TargetSeNB60に対して、当該Dual Connectivity構成の1つとしてのSeNBとなるべく、追加要求を行う(S132)。この要求を受けて、TargetSeNB60は、自身のSCGのコンポーネントキャリアにPScell、Scellを設定し、MeNB10にその結果を報告する(S134)。
【0114】
(3)ついで、MeNB送信部12は、SeNB20のリリースならびに未送信データの転送要求をSeNB20に指示する(S136)。
【0115】
(4)ここで、SeNB20は、TargetSeNB60のプライマリセルに対し、通信品質劣化状態となったPScell54、Scell52にてUE30に送信する予定であったすべての未送信データを転送する(S138)。転送先は、PScell54に対応する未送信データはTargetSeNB60のPSCellに、Scell52に対応する未送信データはTargetSeNB60のScellになされてもよい。ついで、SeNB制御部24は、通信品質劣化状態となったPScell54、Scell52のすべてをdeactivation処理し、リリース処理を行う。その後、SeNB送信部22は、MeNB10に対して、その完了報告をMeNB10に行う(S140)。
【0116】
(5)最後に、MeNB10は、SeNB20において実行されたアクションにあわせて、UE30の設定を変更するためのReconfiguration処理を実施し(S142)、その処理の終了後、UE30は、処理が完了した旨をMeNB10に通知する(S144)。
【0117】
以上のような態様によると、SeNB20自体をリリースする必要があるような通信品質劣化状態となったような場合でも、MeNB10を介さずに、新たな接続先となるTargetSeNB60に未送信データを直接転送することによって、UE30に対するデータパケットの損失を効率的に回避できる。
【0118】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。本発明は上述した実施例並びに各実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。上記実施例は例示であり、各実施例を組み合わせるなどして、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
図1】本発明の実施形態にかかる無線通信システムを示す図である。
図2図1のMeNBの構成例を示す図である。
図3図1のSeNBの構成例を示す図である。
図4図1のUEの構成例を示す図である。
図5】実施例1にかかる第1無線通信システムを示す図である。
図6図5の動作例を示すシーケンス図である。
図7】実施例2にかかる第2無線通信システムを示す図である。
図8図7の動作例を示すシーケンス図である。
図9】実施例3にかかる第3‐1無線通信システムを示す図である。
図10】実施例3にかかる第3‐2無線通信システムを示す図である。
図11図9の動作例を示すシーケンス図である。
図12図10の動作例を示すシーケンス図である。
図13】実施例4にかかる第4‐1無線通信システムを示す図である。
図14】実施例4にかかる第4‐2無線通信システムを示す図である。
図15図13の動作例を示すシーケンス図である。
図16図14の動作例を示すシーケンス図である。
図17】本発明の実施例1〜4の変形例にかかる第5無線通信システムを示す図である。
図18】実施例6にかかる第6無線通信システムを示す図である。
図19図18の動作例を示すシーケンス図である。
図20】実施例7にかかる第7無線通信システムを示す図である。
図21図20の動作例を示すシーケンス図である。
図22】実施例8にかかる第8無線通信システムを示す図である。
図23図22の動作例を示すシーケンス図である。
図24】実施例9にかかる第9無線通信システムを示す図である。
図25図24の動作例を示すシーケンス図である。
図26】実施例10にかかる第10無線通信システムを示す図である。
図27図26の動作例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0120】
10 MeNB、 12 MeNB送信部、 14 MeNB制御部、 16 MeNB記憶部、 20 SeNB、 22 SeNB送信部、 24 SeNB制御部、 26 SeNB記憶部、 30 UE、 32 UE送信部、 34 UE制御部、 36 UE記憶部、 38 ユーザIF、 40 MCG、 42 PCell、 44 Scell、 46 NotServingCell、 52 Scell、 54 PScell、 56 NotServingCell、 58 newPScell、 59 newScell、60 TargetSeNB、 100 無線通信システム、 110 第1無線通信システム、 120 第2無線通信システム、 130 第3−1無線通信システム、 132 第3−2無線通信システム、 140 第4−1無線通信システム、 142 第4−2無線通信システム、 150 第5無線通信システム、 160 第6無線通信システム、 170 第7無線通信システム、 180 第8無線通信システム、 190 第9無線通信システム、 200 第10無線通信システム。
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