特許第6228875号(P6228875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228875
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】電動モータの電子回路装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/215 20160101AFI20171030BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20171030BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20171030BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20171030BHJP
【FI】
   H02K11/215
   B62D5/04
   H02K5/00 B
   !H05K9/00 J
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-56925(P2014-56925)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-180156(P2015-180156A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】元田 晴晃
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−229228(JP,A)
【文献】 特開2012−019031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00−11/40
B62D 5/04
H02K 5/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの一端部に設けられたハウジング内に、制御系電子部品を備えた制御基板と、パワー系電子部品を備えたパワー系基板と、が互いに重ねて配置され、かつ、上記制御基板が上記電動モータと上記パワー系基板との間に位置する電動モータの電子回路装置において、
上記制御基板の上記電動モータ側となる第1の面に、回転センサが取り付けられており、
上記制御基板の第2の面には、上記回転センサの投影領域を覆う磁気シールドが取り付けられており、
上記磁気シールドは、上記投影領域を覆う本体部と、この本体部の端縁から延び、かつステップ状に折曲形成された少なくとも一対の脚部と、を備え、上記脚部が上記制御基板の上記第2の面に支持されている、ことを特徴とする電動モータの電子回路装置。
【請求項2】
上記磁気シールドは、上記制御基板を上記ハウジングに取り付ける固定部から独立して上記制御基板自体に支持されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電動モータの電子回路装置。
【請求項3】
上記制御基板の上記第2の面に、金属面からなるランド部が形成されており、このランド部に上記磁気シールドが接合されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動モータの電子回路装置。
【請求項4】
上記磁気シールドが上記ランド部にハンダ付けされている、ことを特徴とする請求項3に記載の電動モータの電子回路装置。
【請求項5】
上記ランド部は、他の配線回路から電位的に独立して形成されている、ことを特徴とする請求項3または4に記載の電動モータの電子回路装置。
【請求項6】
上記磁気シールドは長方形状をなしており、その長辺の方向が、上記パワー系基板により生じる上記回転センサ近傍における磁束線の方向に沿っている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電動モータの電子回路装置。
【請求項7】
上記磁気シールドは、上記本体部の上記脚部を具備しない第2の端縁から上記第2の面へ向かって延びた側壁部を有する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電動モータの電子回路装置。
【請求項8】
上記磁気シールドは、上記制御基板の第2の面に実装される他の電子部品と重ならない大きさに形成されている、ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電動モータの電子回路装置。
【請求項9】
上記磁気シールドは、鉄系の金属板からなり、少なくとも上記第2の面との接触面が、スズ、金、銅、もしくはニッケルによって表面処理されている、ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電動モータの電子回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車の電動パワーステアリング装置などに用いられる電動モータの電子回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の電動パワーステアリング装置は、一般にアクチュエータとして3相交流モータを用いており、その駆動・制御のために、パワー系電子部品を含む電子回路装置(コントローラ)が必要となるが、近年では、構成の簡素化の要求から、この電子回路装置を別置きとはせずに、電動モータと一体化することが一般的である。
【0003】
特許文献1には、電動モータの一端部に設けたハウジングの内部に、マイクロプロセッサを含む制御系電子部品を備えた制御基板と、インバータを構成するパワー系電子部品を備えたパワー系基板と、を互いに重ねて配置した電子回路装置が開示されている。ここで、特許文献1の装置では、電動モータの回転を検出するセンサとして、回転軸端部に設けたマグネット部と組み合わされる磁気式回転センサが用いられており、比較的小型のパッケージを有する回転センサが制御基板の表面、詳しくは、電動モータの回転軸端部に対向する側の面に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−90532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の装置では、磁気式回転センサの背部(つまり制御基板を挟んで電動モータとは反対側)にパワー系基板が存在し、このパワー系基板の回路を比較的大きな電流が流れるので、この電流によって生じた磁界が磁気式回転センサへ影響する、という問題がある。そして、この磁界の影響を抑制するために、特許文献1の装置では、制御基板とパワー系基板との間の距離を比較的大きく確保しており、装置の小型化の点でなお改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、電動モータの一端部に設けられたハウジング内に、制御系電子部品を備えた制御基板と、パワー系電子部品を備えたパワー系基板と、が互いに重ねて配置され、かつ、上記制御基板が上記電動モータと上記パワー系基板との間に位置する電動モータの電子回路装置において、
上記制御基板の上記電動モータ側となる第1の面に、回転センサが取り付けられており、
上記制御基板の第2の面には、上記回転センサの投影領域を覆う磁気シールドが取り付けられている
上記磁気シールドは、上記投影領域を覆う本体部と、この本体部の端縁から延び、かつステップ状に折曲形成された少なくとも一対の脚部と、を備え、上記脚部が上記制御基板の上記第2の面に支持されている。
【0007】
このように上記制御基板の第2の面つまり回転センサが取り付けられる第1の面の裏側となる面に磁気シールドを取り付けることで、パワー系基板を流れる電流により磁界が発生しても、磁束は磁気シールドを通って流れることとなり、回転センサへの影響が抑制される。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、パワー系基板を流れる電流による磁界の回転センサへの影響が効果的に抑制される。従って、制御基板とパワー系基板とを比較的近付けて配置することが可能となり、電子回路装置の小型化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施例を電動モータとともに示す断面図。
図2】この実施例の電子回路装置の分解斜視図。
図3】制御基板の第1の面を示す斜視図。
図4】制御基板の第2の面を示す斜視図。
図5】磁気シールドの斜視図。
図6】磁気シールドの側面図。
図7】制御基板の第2の面に形成されたランド部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、この発明に係る電子回路装置を一体に備えた電動アクチュエータの断面図であり、図2は、その電子回路装置部分の分解斜視図である。この電動アクチュエータは、例えば、自動車の電動パワーステアリング装置に適用されるものであって、アルミニウム合金のダイキャスト等からなる略矩形の外形状を有するハウジング1と、このハウジング1の背面の開口部に取り付けられる同じくアルミニウム合金のダイキャスト等からなる略矩形のカバー2と、ハウジング1前面の円筒状開口部3に取り付けられる同じくアルミニウム合金のダイキャスト等からなる略円筒状のモータハウジング4と、ハウジング1前面の矩形状開口部5に取り付けられる合成樹脂製のコネクタ6と、を備えている。
【0012】
図1に示すように、上記モータハウジング4の内部には、円筒状のステータ8とロータ9とを主体として3相交流ブラシレスモータとして構成された電動モータ7が収容されており、2つのベアリング11,12によって支持されたロータ9の回転軸10の一端部10aがモータハウジング4の先端面から突出している。回転軸10の他端部10bは、モータハウジング4の基端開口部を覆うエンドプレート13の中心部からハウジング1内部へ突出しており、この回転軸10の他端部10bに、磁気式回転検出装置を構成するマグネット部15を備えている。詳しくは、有底円筒状をなすキャップ状部材14が回転軸10の他端部10bに取り付けられており、このキャップ状部材14の端面に、回転軸10と同心の円盤状をなすマグネット部15が設けられている。上記マグネット部15は、N極とS極とがそれぞれ半円形に分かれた形に構成されている。
【0013】
電子回路装置を構成するハウジング1とカバー2との間には、略矩形状の偏平な空間が形成されており、この空間に、2枚の回路基板つまり制御基板21とパワー系基板22とが収容されている。これらの制御基板21およびパワー系基板22は、ハウジング1およびカバー2の内部空間の形状に対応した互いに略等しい外形の矩形状をなし、互いに重ね合わせた形に配置されている。詳しくは、制御基板21は、ハウジング1の内側面(カバー2に向かう面)に複数本のネジ23によって固定されており、他方、パワー系基板22は、カバー2の内側面(ハウジング1に向かう面)に複数本のネジ24によって固定されている。従って、制御基板21は、電動モータ7とパワー系基板22との間に位置している。制御基板21とパワー系基板22との間には適宜な間隔が与えられており、基本的に互いに平行となっている。また、これら2つの基板21,22は、回転軸10の中心線に対し直交する平面に沿って配置されている。なお、カバー2は、一対のネジ25によってハウジング1に対し固定されている。
【0014】
上記制御基板21は、エポキシ樹脂基材等の非金属基材を用いたプリント配線基板からなり、図3および図4に示すように、相対的に小さな電流が流れるマイクロプロセッサ27等の制御系電子部品が両面に実装されている。ここで、図3は、電動モータ7側に向かう制御基板21の第1の面21Aの上の部品レイアウトを示し、図4は、パワー系基板22側に向かう第2の面21Bの上の部品レイアウトを示している。図示するように、制御基板21は、長辺21aおよび短辺21bを有する矩形状をなし、周囲の複数箇所に、前述したネジ23が挿通される固定孔26が形成されている。
【0015】
パワー系基板22は、熱伝達性に優れた金属回路基板を用いたもので、長辺22aおよび短辺22bを有する矩形状をなし、インバータ回路を構成するように3×2の形に配置された6個の半導体スイッチング素子(MOS−FET)29、3個の相リレー30、複数個の電解コンデンサ31、等の相対的に大きな電流が流れるパワー系電子部品(図2参照)が片面に実装されている。パワー系基板22は、さらに、電動モータ7端部から突出したU相,V相,W相それぞれの端子32(図1参照)を挟持する金属コネクタ33や、コネクタ6から延びる電源入力用の端子34(図2参照)を挟持する金属コネクタ35を、制御基板21との接続のための多数の端子片とともに備えている。また、このパワー系基板22においては、インバータ回路の配線の一部として、比較的厚肉の帯状金属導体をブリッジ状に折り曲げてなる3個のジャンパ36を備えており、各ジャンパ36が、各相の一対の半導体スイッチング素子29を相リレー30を跨いで接続している。これら3個のジャンパ36は、半導体スイッチング素子29の3×2の配置に対応して互いに平行に並んで位置している。より詳しくは、矩形をなすパワー系基板22の長辺22aと平行をなす向きにそれぞれ配置されている。
【0016】
図2図3に示すように、制御基板21の第1の面21Aに、前述したマグネット部15とともに磁気式回転検出装置を構成する回転センサ41が取り付けられている。この回転センサ41は、例えば磁気抵抗効果素子(MR素子)ないし巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を用いたもので、偏平な矩形の樹脂パッケージを備えており、他の制御系電子部品とともに制御基板21の第1の面21Aの上に実装されている。この回転センサ41は、図1に示すように、電動モータ7の回転軸10の中心線上つまりマグネット部15に対向する位置に配設されている。前述したようにマグネット部15は半円形にN極とS極とに分かれており、電動モータ7の回転時に、回転センサ41からロータ9(マグネット部15)の回転角ならびに回転速度を示す信号が得られる。
【0017】
上記の回転センサ41に対し、制御基板21の第2の面21Bには、透磁率の高い材料からなる比較的薄い金属板を折り曲げ形成してなる磁気シールド43が取り付けられている。この磁気シールド43は、少なくとも上記回転センサ41のパッケージの投影領域(第1の面21Aにある回転センサ41のパッケージを第2の面21Bに投影したときの領域)41A(図5図7参照)を覆い得る大きさを有している。
【0018】
具体的には、本実施例の磁気シールド43は、図5および図6にも示すように、正方形に近い矩形の本体部43aと、この本体部43aの4辺の中の短辺となる一対の端縁43aaからそれぞれ延長形成された一対の脚部43bと、残りの2辺つまり本体部43aの長辺となる一対の端縁43abからそれぞれ延長形成された一対の側壁部43cと、を有する。脚部43bは、図6に示すように、略90°ずつ2回折り曲げることでステップ状に形成されたものであり、各々の先端部が本体部43aと平行な接合面43dを構成している。この一対の脚部43bによって、本体部43aは、制御基板の第2の面21Bから僅かに浮き上がった状態に支持される。また、側壁部43cは、本体部43aから制御基板21へ向かって略90°折り曲げられたものであり、先端縁が制御基板21の第2の面21Bに接近するものの非接触状態を保つように、その寸法が設定されている。脚部43bの側壁部分は、上記側壁部43cを兼ねたものともいえ、これらの本体部43aと脚部43bと側壁部43cとによって、磁気シールド43は、底面のみが開口した偏平な箱状に構成されている。
【0019】
ここで、上記本体部43aは、上述した回転センサ41の投影領域41Aよりも大きな形状を有し、投影領域41Aの全体を覆っている。また、脚部43bを含む磁気シールド43全体の寸法としては、脚部43bの延長方向に沿った図5に示す長さ寸法L1がこれと直交する幅寸法L2よりも大きな矩形ないし長方形状となっているが、制御基板21に取り付けた状態においては、図4に示すように、その長辺の方向(つまり図5の矢印L1に沿った方向)が制御基板21の短辺21bに沿った姿勢となっている。換言すれば、前述したジャンパ36の長手方向(電流が流れる方向)に対し、長方形状の磁気シールド43の長辺(図5の矢印L1方向)が直交した姿勢となっている。
【0020】
上記のように一対の脚部43bを有する磁気シールド43に対して、本実施例では、プリント配線基板からなる制御基板21の第2の面21Bに、図7に示すように、金属面からなる一対のランド部45が予め形成されており、磁気シールド43は、脚部43bを各々のランド部45にハンダ付けすることによって制御基板21に固定支持されている。上記ランド部45は、他の電子部品の実装に必要なランド部や印刷配線と同様にかつ同時に形成されるものであり、脚部43bの接合面43dに対応した帯状にそれぞれ形成されている。特に、この実施例では、ランド部45は他の印刷配線から分離独立しており、電位的に制御基板21上の他の配線回路から独立している。従って、磁気シールド43は、電位的に接地もされておらず、いわゆる浮島状態となっている。
【0021】
磁気シールド43のハンダ付けは、制御基板21への他の電子部品のハンダ付けと同時に行うことができる。つまり、制御基板21に実装される電子部品の一つとして自動化したマウント装置によって制御基板21上に搭載した上で、他の電子部品とともにリフローハンダ付けすることが可能である。特に、ハンダ付けされる脚部43bに対し平坦な本体部43aが上方に位置するので、吸着式のマウント装置などによって、偏平な矩形のパッケージを有する電子部品と同等に取り扱うことが可能である。さらに、上記実施例の磁気シールド43では、ハンダ付けされる一対の脚部43bが本体部43aに対し弾性変形し得るので、組付後の熱膨張や振動による応力が緩和される。
【0022】
なお、制御基板21に磁気シールド43を取り付けた状態において、磁気シールド43は、第2の面21Bの上の他の電子部品と重なってはいない。図4に示すように、回転センサ41のパッケージの投影領域41Aを覆うとともに磁束遮断の上で必要最小限の大きさに磁気シールド43は構成されており、他の電子部品やその配線類は、磁気シールド43と重なることなく該磁気シールド43の周囲に配置されている。
【0023】
上記磁気シールド43は、一実施例では、透磁率が高い鉄系金属板からなり、ハンダ付けの接合強度の確保のために、その表面が、スズ、金、銅、もしくはニッケルによって表面処理されている。ハンダ付けされる脚部43bの接合面43dのみを表面処理するようにしてもよい。なお、磁気シールド43を構成する材料としては、少なくとも大気よりも相対的に透磁率が高いものであればよく、銅などからなる他の配線類よりも透磁率が高いものがさらに望ましい。
【0024】
上記のように構成された制御基板21およびパワー系基板22をハウジング1内に収容した状態では、図1に示すように、回転センサ41の背部にインバータ回路のジャンパ36が位置し、このジャンパ36から回転センサ41を覆い隠すように磁気シールド43が両者間に介在している。パワー系基板22のインバータ回路などには比較的大きな電流が流れ、これによって磁界が発生する。特にジャンパ36は物理的に回転センサ41に近い位置にあるので、仮に磁気シールド43がないと、ジャンパ36で発生した磁界が磁気式回転センサ41に影響を与え得る。これに対し、上記実施例では、透磁率の高い金属からなる磁気シールド43が回転センサ41の投影領域41Aの全体を覆っているので、磁束線が磁気シールド43に沿って迂回し、回転センサ41への影響が抑制される。特に、上記磁気シールド43は、制御基板21自体に取り付けられているので、回転センサ41に近い位置で該回転センサ41を覆っており、しかも周囲を脚部43bおよび側壁部43cによって囲った形状となっているため、比較的小型の磁気シールド43でもって効果的な磁界の遮断が可能である。
【0025】
また、ジャンパ36で生じる磁界の磁束線は、基本的にジャンパ36に直交する方向に膨らむ形となるが、全体として長方形状をなす磁気シールド43が、この磁束線の方向に沿って配置されているため、磁気シールド43を不必要に大型化することなく磁界の影響を効果的に抑制できる。
【0026】
そして、磁気シールド43は、電位的に他の配線回路から独立しており、ハウジング1への接地などもなされていないので、磁気シールド43が受けた磁界がさらに他の電子部品へ影響するような懸念がない。
【0027】
なお、図4および図2から明らかなように、磁気シールド43は、制御基板21のハウジング1に対する固定部(ネジ23ないし固定孔26)から離れて位置しており、制御基板21自体によって独立して支持されている。
【0028】
このように、上記実施例では、制御基板21に搭載した小型の磁気シールド43でもってパワー系基板22からの磁界の影響を抑制できるため、制御基板21とパワー系基板22とを比較的近接して配置することが可能となり、ジャンパ36のレイアウトなどについても設計の自由度が高くなる。
【0029】
しかも、上記実施例では、ランド部45は他の印刷配線と同時に形成が可能であり、磁気シールド43の取付は他の電子部品の実装と実質的に同時に行うことができるので、実質的な組立工程の増加ないし煩雑化を伴うことがない。例えば、大型の金属板からなるシールド部材をハウジングにネジ止めするような構成に比べて、装置の小型化のみならず、組立工程の上で有利となる。
【0030】
以上、この発明の一実施例を詳細に説明したが、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、磁気シールド43は、ハンダ付けではなく適宜な接着剤を用いて制御基板21に接合するようにしてもよい。電子部品を導電性接着剤によって固定するような場合には、同じ導電性接着剤によって磁気シールド43を固定することが可能である。なお、接着の場合であっても、接着強度確保のためにランド部45を形成するようにしてもよい。
【0031】
磁気シールド43の形状や寸法等は、任意であり、制御基板21の第2の面21Bに配置される他の電子部品の位置関係などから適宜に設定すればよい。脚部43bの有無も任意であり、また、脚部43bの位置は必ずしも本体部43aを挟んで対向する2辺でなくてもよい。
【0032】
また上記実施例では、回転軸10の端面にマグネット部15を備えているが、本発明においては、回転センサ41の被検出対象となるマグネット部の位置は必ずしも回転軸10の端面でなくてもよく、回転軸10の端部の適当な位置(例えば周面など)あるいはロータ9の回転軸10以外の箇所に配置することも可能である。この場合、回転センサ41は、制御基板21上において、このマグネット部に対応した位置に配置される。
【符号の説明】
【0033】
1…ハウジング
2…カバー
7…電動モータ
21…制御基板
21A…第1の面
21B…第2の面2
22…パワー系基板
29…半導体スイッチング素子
36…ジャンパ
41…回転センサ
43…磁気シールド
45…ランド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7