【実施例】
【0063】
図1には、本発明に係る熱源装置の一実施例の要部制御構成がブロック図により示されている。本実施例は、
図3に示した熱源装置と同様のシステム構成を有し、さらに、
図1に示されるように、給湯器16の制御装置46に、燃焼制御手段47、給水温度演算値算出手段71、制御用給水温算出手段72、メモリ部73、バイパス開閉弁制御手段74、給湯バーナ燃焼再開指令手段75を設けており、燃焼制御手段47は、給湯設定温度設定操作手段45を備えたリモコン装置43に接続されている。リモコン装置43は、屋内において、リビングや、浴室、台所、洗面所等の適宜の場所に設置されている。
【0064】
また、タンクユニット4内の制御装置33には、ミキシング流量制御手段35と混合設定温度設定手段36が設けられており、制御装置33はリモコン装置43とは信号接続されているので、制御装置33がリモコン装置43と送受信する情報は取得できる。
【0065】
給湯設定温度設定操作手段45は、利用者等により給湯設定温度を設定するための操作手段であり、例えばリモコン装置43の表面側に設けられている操作ボタン等により形成されている。この給湯設定温度設定操作手段45により設定された給湯設定温度の値は、タンクユニット4の制御装置33の混合設定温度設定手段36と給湯器16の制御装置46の燃焼制御手段47とに加えられる。
【0066】
流量検出手段42は、給湯通路18を通って給湯される給湯流量を検出する。そして、流量検出手段42は、制御装置46の燃焼制御手段47に給湯流量の検出流量(検出値)を加える。また、給水流量センサ29も給湯通路18を通って給湯される給湯流量を検出し、制御装置33のミキシング流量制御手段35に給湯流量の検出流量(検出値)を加える。
【0067】
ミキシング流量制御手段35は、合流部10側に出湯通路9から流れる湯の流量と給水通路8bから合流部10側に流れる水の流量を制御し、混合設定温度設定手段36により設定される設定混合温度の混合湯水が合流部10で形成されるようにするものである。
【0068】
混合設定温度設定手段36は、混合湯水の設定温度(混合設定温度)を設定するものであり、例えば貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値よりも高い温度のときには、給湯時の前記混合設定温度を給湯設定温度に対応させて、例えば給湯設定温度の値と同じ値または、それより0.5℃といった温度だけ高めに設定する。なお、混合設定温度設定手段36は、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値以下の時には、混合設定温度を給湯設定温度よりも低い適宜の温度に設定する。
【0069】
ミキシング流量制御手段35は、給水流量センサ29によって、給湯通路18を通って給湯される給湯流量が検出されたときにタンク側電磁弁13を開き、タンク湯水混合器12および水混合器14の制御による湯の流量と水の流量との制御により、合流部10で形成される混合湯水の温度が混合設定温度設定手段36により設定される混合設定温度となるように制御する。この制御によって形成された混合設定温度の湯は湯水導入通路15を通って給湯器16の給湯回路62に導入される。
【0070】
給湯器16の制御装置46に設けられている給水温度演算値算出手段71は、給湯温度検出手段76により検出される給湯温度と、給湯熱交換器17の加熱量と、給湯熱交換器17の容量と、給湯熱交換器17とバイパス通路68とのバイパス比とに基づいて、給湯器16に導入される湯水の温度を給水温度演算値(認識値)として演算により求めるものである。この演算の仕方は特に限定されるものではないが、例えば0.5秒といった単位時間毎に移動平均を取って求められる。
【0071】
例えばサンプリングタイムにおける給水温度演算値をTin、給湯温度をTout、給湯熱交換器17の容量をQ、給湯熱交換器17の加熱量をH、給湯熱交換器17とバイパス通路68とのバイパス比をBrとし、各サンプリングタイムにおける給水温度演算値Tinを以下の式(2)により算出する。なお、式(2)におけるバイパス比Brは、給湯器16に導入される湯水が給湯熱交換器17側とバイパス通路68側とに分かれて流れる際の、給湯熱交換器17側への分岐比(分岐率)であり(給湯熱交換器17側のバイパス比であり)、給湯熱交換器17側にほぼ100%流れる場合はBr=1となる。また、例えば給湯熱交換器17とバイパス通路68とに1:3の割合で流れる場合はBr=0.25となる。
【0072】
Tin=Tout−H/(Q・Br)・・・(2)
【0073】
そして、初回のサンプリングタイムにおいて式(2)で求めた値と2回目のサンプリングタイムにおいて式(2)で求めた値との平均(相加平均)をとって、2回目のサンプリングタイムにおける給水温度演算値(認識値)とする。3回目のサンプリングタイム以降においては、前回のサンプリングタイムにおいて求めた給水温度演算値と今回のサンプリングタイムにおいて式(2)により算出した値との平均(相加平均)をとって、その値を今回の給水温度演算値(認識値)とするものであり、本実施例における給水温度演算値の時系列データの一例が、
図2の特性線aに示されている。
【0074】
なお、給湯停止後の再出湯時における初回のサンプリングタイムにおける値は、式(2)により求められる値の代わりに、例えば給湯停止前の最後のサンプリングタイムで求めた給水温度演算値としてもよいし、例えば給湯停止から再出湯までの時間に応じて最後のサンプリングタイムで求めた給水温度演算値を補正した値としてもよい。
【0075】
給水温度演算値算出手段71により求めた給水温度演算値は、逐次、制御用給水温度算出手段72と燃焼制御手段47とに加えられる。
【0076】
制御用給水温度算出手段72は、給水温度演算値算出手段71により求められる給水温度演算値と予め定められる温度変化量(温度上昇量や温度下降量)とに基づき、燃焼制御手段47による給湯バーナ61の燃焼制御用の制御用給水温度を求める手段である。なお、前記温度変化量の値はメモリ部73に格納されている。
【0077】
この制御用給水温度の算出に際し、制御用給水温度算出手段72は、例えば初回のサンプリングタイムに式(2)により算出した給水温度演算値を初期値とし、その値と2回目のサンプリングタイムにおいて給水温度演算値算出手段71により求めた給水温度演算値とを比較する。そして、初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値よりも2回目の給水温度演算値の方が大きい場合には、予め与えられている温度上昇分(例えば0.5秒ごとに0.1℃)を初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値に加算して2回目のサンプリングタイムにおける制御用給水温度とし、初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値よりも2回目の給水温度演算値の方が小さい場合には、予め与えられている温度上昇分(例えば0.5秒ごとに0.1℃)を初回のサンプリングタイムにおける給水温度演算値から減算して2回目のサンプリングタイムにおける制御用給水温度とする。
【0078】
その後、制御用給水温度算出手段72は、前記サンプリングタイム毎に、給水温度演算値算出手段71により求めた前回の給水温度演算値と今回の給水温度演算値とを比較し、前回の給水温度演算値よりも今回の給水温度演算値の方が大きい場合には、前記温度上昇分を前回の制御用給水温度に加算して今回の制御用給水温度とし、前回の給水温度演算値よりも今回の給水温度演算値の方が小さい場合には、前回の制御用給水温度から前記温度下降分を減算して今回の制御用給水温度とする。
図2の特性線bには、本実施例における制御用給水温度の時系列データの一例が示されている。制御用給水温度算出手段72が求めた制御用給水温度の値は逐次、燃焼制御手段47に加えられる。
【0079】
なお、給湯停止後の再出湯時における初回のサンプリングタイムにおける値は、式(2)により求められる値の代わりに、例えば給湯停止前の最後のサンプリングタイムで求めた制御用給水温度としてもよいし、例えば給湯停止から再出湯までの時間に応じて最後のサンプリングタイムで求めた制御用給水温度を補正した値としてもよい。
【0080】
燃焼制御手段47は、流量検出手段42によって給湯バーナ61の最低作動流量が検出されたときに給湯バーナ61の燃焼を開始させ、制御用給水温度算出手段72により求められる制御用給水温度に基づいて給湯バーナ61のフィードフォワード燃焼制御を行う。このように、制御用給水温度を用いることにより的確なフィードフォワード燃焼制御を行うことができる。また、本実施例においては、給湯器16は入水温度(給水温度)の検出センサを設けないことによりコストダウンを図ることができている。
【0081】
なお、制御用給水温度と給湯設定温度との差が予め定められる燃焼不要温度範囲(例えば3℃)以下の場合には、給湯が開始されても給湯バーナ61の燃焼を行わない。また、給湯開始以降に制御用給水温度と給湯設定温度との差が前記燃焼不要温度範囲以下となった場合には、それまでの間に給湯バーナ61を燃焼していたときには給湯バーナ61の燃焼を停止する。
【0082】
また、前記の如く、給水流量センサ29によって、給湯通路18を通って給湯される給湯流量が検出されたときに、タンクユニット4側の制御装置33では、ミキシング流量制御手段35がタンク側電磁弁13を開き、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値よりも高い温度のときには給湯設定温度(または給湯設定温度より0.5℃といった温度だけ高めの温度)の湯を形成して給湯器16側に送る。そのため、この湯を給湯器16側で追い加熱する必要はないが、この湯が給湯器16側に到達するまでには時間がかかり、その間は給湯器16の給湯回路62内の通路や湯水導入通路15内の水を給湯熱交換器17で加熱する必要があるので、前記の如く、給湯バーナ61の燃焼により給湯回路62内の通路や湯水導入通路15内の水を給湯熱交換器17で加熱する。
【0083】
そして、燃焼制御手段47は、給湯バーナ61の燃焼制御中に、給水温度演算値算出手段71により求められる前記給水温度演算値をモニタし、該給水温度演算値の温度上昇に基づき、主熱源である貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に到達して導入されたと判断されたときに、給湯バーナ61の燃焼を停止する。この給湯バーナ61の燃焼停止により、給湯設定温度の湯が給湯回路62に到達した以降に余分な追い加熱が行われることを防ぐ。
【0084】
具体的には、燃焼制御手段47は、給水温度演算値算出手段71により求めた前記給水温度演算値Tbから制御用給水温度算出手段72により求めた前記制御用給水温度Tcを差し引いた温度差(Tb−Tc)が、予め定められる燃焼停止基準温度差TinDiffに達したとき、または超えたときに、貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に導入されたと判断するものであり、本実施例において、燃焼停止基準温度差TinDiffは、前記式(1)により求められるものである。なお、失火係数は、予め実験等により求めてメモリ部73に格納されており、一例を挙げると、失火係数K=5である。
【0085】
例えば、
図2において、給湯設定温度は40℃であり、失火係数K=5のときには、燃焼停止基準温度差TinDiffは、式(1)より、TinDiff=(40−Tc)÷5 となり、制御用給水温度であるTcが22℃のときには燃焼停止基準温度差TinDiffは3.6℃、制御用給水温度Tcが20℃のときには燃焼停止基準温度差TinDiffは4℃、制御用給水温度Tcが18℃のときには燃焼停止基準温度差TinDiffは4.4℃になり変化するが、この例では、制御用給水温度Tcが約20℃のときに、給水温度演算値から制御用給水温度を差し引いた温度差が約4℃となり、Tc=20℃のときの燃焼停止基準温度差TinDiff=4℃と一致した、又は超えたので、貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に導入されたと判断し、給湯バーナ61の燃焼を停止している。
【0086】
なお、
図2には、実験用に検出した給水温度実測値が特性線dに示されており、前記給湯バーナ61の燃焼停止タイミングと実際の給水温度が給湯設定温度である40℃に到達したタイミングとが一致している。つまり、前記給湯バーナ61の燃焼停止タイミングは適切であることが立証されており、また、このとき、特性線cで示されている給湯温度のオーバーシュートも2℃程度であり、利用者の利用において許容できる範囲であることが分かった。
【0087】
また、本実施例では、貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に導入されたと判断するための、給湯バーナ61の燃焼停止基準となる燃焼基準温度差を前記の如く給湯設定温度に対応させて変化させることにより、以下に述べるように、給湯バーナ61の停止タイミングをより一層適切に決定することができる。
【0088】
例えば給水温度演算値の上昇幅は、実際の給水温度(実際に給湯器16に導入される水の温度)と給湯設定温度との温度差に応じて異なるものであり、そのため、給水温度演算値と制御用給水温度との差は給湯設定温度によっても変動する。すなわち、例えば実際の給水温度が一定の場合に、給湯設定温度が高く設定されて給水温度と給湯設定温度との温度差が大きければ給水温度演算値の上昇幅が大きくなり、給水温度演算値と制御用給水温度との差が大きくなる。ここで燃焼停止基準温度差を小さく設定すると、給湯バーナ61の停止タイミングが早めに判断されることになり、貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度の湯が到達する前に給湯バーナ61を停止してしまうといった誤動作が生じる可能性があるが、前記の如く、燃焼停止基準温度差を給湯設定温度に応じた値とすることにより給湯バーナ61の停止タイミングが早めに判断されることを防止できる。
【0089】
すなわち、前記式(1)から明らかなように、給湯設定温度が高いときには、燃焼停止基準温度差TinDiffが大きく設定されるために、その大きく設定される燃焼停止基準温度差以上に給水温度演算値と制御用給水温度との差が大きくならなければ貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度(給湯設定温度の近傍温度を含む)の湯が到達したと判断されないため、この給湯設定温度の湯が到達するタイミングを適切に判断して適切なタイミングで給湯バーナ61を停止することができる。
【0090】
また、その逆に、例えば実際の給水温度が一定の場合に、給湯設定温度が低く設定されて実際の給水温度と給湯設定温度との温度差が小さければ給水温度演算値の上昇幅が小さくなり、給水温度演算値と制御用給水温度との差が小さくなる。ここで燃焼停止基準温度差を大きく設定すると給湯バーナ61の停止タイミングの判断が遅くなり、貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度の湯が到達しても給湯バーナ61の燃焼を継続してしまうことによりオーバーシュートが大きく発生してしまう可能性があるが、前記の如く、前記式(1)から明らかなように、給湯設定温度が低いときには、燃焼停止基準温度差が小さく設定されるために、給水温度演算値と制御用給水温度との差が、その小さく設定される燃焼停止基準温度差以上になったら貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度(給湯設定温度の近傍温度を含む)の湯が到達したと判断され、貯湯槽2側から給湯回路62側に給湯設定温度の湯が到達するタイミングを適切に判断して適切なタイミングで給湯バーナ61を停止することができる。
【0091】
例えば再出湯の場合に、前回給湯時の給湯設定温度が40℃であったとし、今回給湯時の給湯設定温度を60℃とする場合を考える。この場合、前回の給湯停止から再出湯までの時間が短い場合には、貯湯槽2側と給湯器16との接続配管内の湯の温度は40℃近傍の温度となっており、その40℃の湯が給湯器16の給湯回路62に導入されるが、その時点では給湯バーナ61の燃焼は行われている。
【0092】
そして、給湯設定温度を40℃から60℃に変更したことによって、導入される湯の温度である実際の給水温度と給湯設定温度との温度差が大きくなることから給水温度演算値の上昇幅が大きくなり、また、燃焼停止基準温度差も給湯設定温度に対応させて大きく設定されるため、給湯設定温度の変化に応じて大きくなる給水温度演算値の上昇幅と給湯設定温度の変化に応じて大きく設定される燃焼停止基準温度差との対応が図れることから、貯湯槽2側から送られてくる60℃の湯が給湯器16の給湯回路62に導入されたときに60℃の湯の到達を適切に判断でき、給湯バーナ61の停止タイミングを適切に決定することができる。
【0093】
また、熱源装置の初回運転時や、前回給湯後の再出湯までの時間が長い場合等、貯湯槽2側と給湯器16側とを接続する接続配管内の湯が冷えていて給湯器16に導入される給水温度が低い場合の給湯時(コールドスタート時)等、実際の給水温度(入水温度)が低い場合には、前記制御用給水温度も低い値となり、また、前記式(1)から明らかなように、燃焼停止基準温度差が大きく設定されることから、燃焼停止基準温度差が小さい場合に比べると給湯バーナ61の燃焼停止のタイミングが遅めとなる。言い換えると、給湯バーナ61の燃焼停止タイミングの判断が慎重に行われて貯湯槽2側から給湯設定温度の湯が確実に届いたときに給湯バーナ61の燃焼停止のタイミングが判断され、適切なタイミングで給湯バーナ61の燃焼停止が行われる。
【0094】
一方、実際の給水温度(入水温度)が高い場合には、前記給水温度演算値も高い値となって制御用給水温度も高い値となり、また、前記式(1)から明らかなように、燃焼停止基準温度差が小さく設定されることから、燃焼停止基準温度差が大きい場合に比べると給湯バーナ61の燃焼停止のタイミングが早めとなる。つまり、入水温度が高い場合には給湯バーナ61の燃焼停止タイミングの判断が遅くなった場合に生じるオーバーシュートが大きくなるため、その大きなオーバーシュートが発生しないような適切なタイミングで給湯バーナ61の燃焼停止が行われる。
【0095】
さらに、熱源装置の配置されている外気温が低いと給水温度の温度変動が大きく、
図6(a)の特性線aに示されるように、給水温度演算値の変動も大きい(同図のCに示す温度の落ち込みが大きい)。また、外気温が低いときには、例えば同図の特性線bに示されるように、制御用給水温度も低めとなって燃焼停止基準温度差が大きめに設定されることになり、仮に燃焼停止基準温度差を小さめとした場合のように給湯設定温度の湯が給湯器16に到達する前に給湯バーナ61の燃焼を停止してしまうことを防ぐことができ、給湯温度の大きなアンダーシュートが発生することを防止できるため、利用者が不快な思いをすることを防止する。
【0096】
一方、
図6(b)に示されるように、外気温が高いときには給水温度の温度変動も小さいため、特性線aに示されるような給水温度演算値の変動も小さく(同図のCに示す温度の落ち込みが小さく)、同図の特性線bに示されるように、制御用給水温度も高めとなる。そして、この場合は燃焼停止基準温度差が小さめに設定されることから、給湯バーナ61の燃焼停止タイミングが遅めに判断されることはなく、給湯温度の大きなオーバーシュートが発生することが抑制される。なお、入水温度が高めのときには、燃焼停止基準温度差を小さくしたことによって、たとえ誤って早めに消火したとしても給湯温度が急激に下がることはない。
【0097】
以上のように、本実施例では、給湯設定温度が高い場合でも低い場合でも、また、実際の給水温度が低い場合でも高い場合でも、外気温が低い場合でも高い場合でも、いずれの場合も、給湯設定温度の湯が給湯器16の給湯回路62に到達するタイミングを適切に判断して給湯バーナ61の燃焼停止を適切なタイミングで行うことができ、給湯温度の安定化を図ることができる。
【0098】
なお、前記実施例では、給水流量センサ29によって給湯通路18を通って給湯される給湯流量が検出されたときに、タンクユニット4側の制御装置33のミキシング流量制御手段35がタンク側電磁弁13を開き、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が前記閾値よりも高い温度のときには合流部10で給湯設定温度(または給湯設定温度より0.5℃といった温度だけ高めの温度)の湯を形成して給湯器16側に送るようにしたが、この際、合流部10で形成される湯の温度を徐々に高めていって給湯設定温度またはその近傍温度になるようにしてもよい。
【0099】
また、本実施例において、バイパス開閉弁制御手段74は、燃焼制御手段47の制御情報を取り込み、給湯バーナ61の燃焼中はバイパス電磁弁69を閉じ、給湯熱交換器17側への流通割合が予め定められている割合変化範囲内における最大値または最大値に近い値となるように、つまり、ほぼ100%給湯熱交換器17側に通すことができるようにし、給湯バーナ61を停止した以降はバイパス通路68側への流通割合が前記割合変化範囲内で最大となるように、つまり、ここでは、パイパス電磁弁69を完全に開いて、例えば給湯回路62に導入された湯水を給湯熱交換器17側とバイパス通路68側との比が1:3になるような割合で通すようにする。このことによって、給湯バーナ61の燃焼停止以降に給湯熱交換器17の余熱等の影響を受け難くでき、より一層給湯温度の安定化を図ることができる。
【0100】
また、給湯バーナ燃焼再開指令手段75は、燃焼制御手段47の制御情報と給湯温度検出手段76の検出温度とを取り込み、給湯バーナ61を停止した直後の給湯温度が給湯バーナ61の停止直前の給湯設定温度よりも予め定められる給湯再開基準温度(例えば3℃)以上低下したときには、燃焼制御手段47により給湯バーナ61の燃焼を再開させる。
【0101】
つまり、給湯バーナ61を停止しても、その直後の給湯温度は給湯バーナ61の停止直前の給湯温度よりも高くなるものであるので、給湯バーナ61を停止した直後の給湯温度が給湯バーナ61の停止直前の給湯設定温度よりも前記給湯再開基準温度(例えば3℃)以上低下したときには貯湯槽2側から給湯設定温度の湯が給湯器16に到達して導入されるよりも早く給湯バーナ61の燃焼を停止してしまったと考えられるため、このようなときに給湯バーナ燃焼再開指令手段75の指令によって燃焼制御手段47が給湯バーナ61の燃焼を再開させることにより、給湯温度の安定化を図ることができる。
【0102】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば燃焼制御手段47は、給湯バーナ61の燃焼制御中に、給水温度演算値算出手段71により求められる前記給水温度演算値をモニタし、該給水温度演算値の温度上昇に基づき、主熱源である貯湯槽2から給湯設定温度の湯が給湯器16に到達して導入されたと判断されたときに、給湯バーナ61の燃焼を停止するようにすればよく、この判断を前記実施例のように、給水温度演算値と制御用給水温度との差に基づいて行わずに、例えば給水温度演算値の上昇勾配が予め定められる基準勾配以上になったときに行うようにしてもよい。
【0103】
また、前記実施例においては、前記給水温度演算値から制御用給水温度を差し引いた温度差が予め定められる燃焼停止基準温度差に達したときに、主熱源から給湯設定温度の湯が補助熱源装置に到達して導入されたと判断したが、このタイミングは、給水温度演算値の微分値が所定値(予め定められる設定値)を超えた時と略同義であり、したがって、給水温度演算値の微分値が予め定められる設定値を超えたときに主熱源から給湯設定温度の湯が補助熱源装置に到達して導入されたと判断してもよい。
【0104】
さらに、前記実施例では、給湯器16は、給水流量を検出するためのセンサである給水サーミスタを用いないものについて記載したが給湯器16に給水サーミスタを設けてもよい。この場合にも、主熱源から給湯設定温度の湯が補助熱源装置に到達して導入されたと判断する判断方法として、前記実施例のような方法を適用してもよいし、給水サーミスタの検出温度の微分値に基づいて、この検出温度の微分値が予め定められる判断基準微分値に達したとき又は超えたときに、主熱源から給湯設定温度の湯が補助熱源装置に到達して導入されたと判断することもできる。
【0105】
また、本発明の熱源装置の詳細なシステム構成は適宜設定されるものであり、例えば前記実施例では、タンク湯水混合器12と水混合器14も共に2方弁として、これらの混合器12,14で2カ所で混合比を調整したが、例えば2方弁を用いる代わりに、1カ所に3方弁を設けて混合比を調整するようにしてもよい。
【0106】
また、前記実施例では、給水流量センサ29と流量検出手段42を別々のものとして両方を熱源装置に設けたが、どちらか1つで兼用してもよい。例えば流量検出手段42のみ設ける場合には、流量検出手段42の検出信号を、流量割合検出手段38とミキシング流量制御手段35にも加えるようにする。なお、給水流量センサ29と流量検出手段42の両方を設ける場合にも、流量検出手段42の検出信号をミキシング流量制御手段35等に加えてもよいが、ミキシング流量制御手段35等には給水流量センサ29の検出信号を加えるようにする方が、給湯器16等の補助熱源装置とタンクユニット4間の情報融通を行わずにすみ、制御構成を簡略化できる。
【0107】
さらに、給湯器16は、給湯熱交換器17を例えば石油燃焼式のバーナ装置により加熱するタイプの給湯器としてもよい。
【0108】
さらに、
図3、
図4において、接続通路21,22を省略したシステム(循環ポンプ23、電磁弁24もなし)においても本発明は有効である。
【0109】
さらに、
図3の破線で示されるようなバイパス路79とバイパス電磁弁80を設けて熱源装置を形成してもよい。このような構成においては、バイパス路79と通路28との合流部で合流した後の温度が給湯設定温度となるように、必要に応じてバイパス電磁弁80の開閉制御やミキシング流量制御手段35等による温度制御、燃焼制御手段47による燃焼制御等が適宜行われる。
【0110】
なお、給湯通路62側とバイパス路79側との分岐比(バイパス比)は例えば8:2としたり5:5としたり適宜設定されるものであるが、例えば湯水導入通路15が冷えている状態で給湯が開始されたときは、給湯器16の給湯バーナ61の燃焼中はバイパス路79側には湯水を通さずに給湯バーナ61の燃焼停止時に(つまり、給湯設定温度の湯が給湯器16に導入される頃に)バイパス路79側にも湯水を通すようにすることができる。
【0111】
さらに、前記実施例では、貯湯槽2は燃料電池1に熱的に接続されていたが、燃料電池1の代わりに、太陽熱の集熱機やヒートポンプ等を接続してもよい。