特許第6228889号(P6228889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228889無線装置、無線システムおよび無線装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228889
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】無線装置、無線システムおよび無線装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/34 20090101AFI20171030BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20171030BHJP
   H04W 84/22 20090101ALI20171030BHJP
【FI】
   H04W40/34
   H04W52/02 110
   H04W84/22
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-92640(P2014-92640)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-211373(P2015-211373A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 亮介
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 祐行
(72)【発明者】
【氏名】竹内 隆
【審査官】 倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/089928(WO,A1)
【文献】 Fumihide Kojima, et.al.,Research, development and testbed on Smart Utility Networks by IEEE standard,IEEE 802.15-11/0633r0,2011年 9月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局をランク0とする階層ネットワークにおいてランクN−1(Nは2以上の自然数)の無線装置へデータを送信するランクNの無線装置であって、
ランクN−1の第1の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングにスリープ状態から復帰し、
前記リクエスト信号を受信すると、キャリアセンスを行い、所定時間の前記キャリアセンスの結果がアイドルであれば前記データを前記第1の無線装置へ送信し、
前記所定時間のキャリアセンスの結果がアイドルでない場合と前記データの送信後に確認信号を受信できない場合とのいずれかの場合は、ランクN−1の第2の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングまでスリープ状態に入ること
を特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記ランクNの無線装置は送信用のバッファを有し、
前記バッファへ前記データを登録するためにスリープ状態から復帰して、前記ランクN−1の第1の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングにスリープ状態から復帰するようにイベントを登録し、スリープ状態に入ること
を特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記ランクNの無線装置がリクエスト信号をブロードキャストするタイミングにスリープ状態から復帰して、リクエスト信号をブロードキャストし、
ランクN+1の無線装置から前記データを受信し、ランクN−1の無線装置へ前記データを送信することを特徴とする請求項2に記載の無線装置。
【請求項4】
ランクN+1の複数の無線装置から複数のデータを受信し、1つの前記リクエスト信号の受信後に、前記受信した複数のデータを連続して送信する、またはアグリゲーションして送信することを特徴とする請求項3に記載の無線装置。
【請求項5】
前記データを送信するために必要なランクNのネットワーク参加許可をランクN−1の無線装置から受信し、
前記ランクNのネットワーク参加許可に含まれるランクN−1のリクエスト信号のブロードキャストされるタイミングに関する情報と前記ランクNの無線装置のリクエスト信号をブロードキャストするタイミングに関する情報に基づき前記スリープ状態から復帰するようにイベントを登録すること
を特徴とする請求項4に記載の無線装置。
【請求項6】
ランク0の基地局とランクN−1(Nは2以上の自然数)の無線装置とランクNの無線装置を有する無線システムであって、
前記ランクNの無線装置は、
ランクN−1の第1の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングにスリープ状態から復帰し、
前記リクエスト信号を受信すると、キャリアセンスを行い、所定時間の前記キャリアセンスの結果がアイドルであればデータを前記第1の無線装置へ送信し、
前記所定時間のキャリアセンスの結果がアイドルでない場合と前記データの送信後に確認信号を受信できない場合とのいずれかの場合は、ランクN−1の第2の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングまでスリープ状態に入り、
前記ランクN−1の無線装置は、
前記ランクNの無線装置から前記データを受信すると、前記ランク0の場合もあるランクN−2へ送信すること
を特徴とする無線システム。
【請求項7】
前記ランクNの無線装置は、
送信用のバッファを有し、
前記バッファへ前記データを登録するためにスリープ状態から復帰して、前記ランクN−1の第1の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングにスリープ状態から復帰するようにイベントを登録し、スリープ状態に入ること
を特徴とする請求項6に記載の無線システム。
【請求項8】
前記ランクNの無線装置は、
前記ランクNの無線装置がリクエスト信号をブロードキャストするタイミングにスリープ状態から復帰して、リクエスト信号をブロードキャストし、
ランクN+1の無線装置から前記データを受信し、ランクN−1の無線装置へ前記データを送信することを特徴とする請求項7に記載の無線システム。
【請求項9】
前記ランクNの無線装置は、
ランクN+1の複数の無線装置から複数のデータを受信し、1つの前記リクエスト信号の受信後に、前記受信した複数のデータを連続して送信する、またはアグリゲーションして送信することを特徴とする請求項8に記載の無線システム。
【請求項10】
前記ランクNの無線装置は、
前記データを送信するために必要なランクNのネットワーク参加許可をランクN−1の無線装置から受信し、
前記ランクNのネットワーク参加許可に含まれるランクN−1のリクエスト信号のブロードキャストされるタイミングに関する情報と前記ランクNの無線装置のリクエスト信号をブロードキャストするタイミングに関する情報に基づき前記スリープ状態から復帰するようにイベントを登録すること
を特徴とする請求項9に記載の無線システム。
【請求項11】
前記基地局からリクエスト信号を送信する期間と、前記ランクN−1の無線装置からリクエスト信号を送信する期間と、前記ランクNの無線装置からリクエスト信号を送信する期間とが異なる期間であること
を特徴とする請求項10に記載の無線システム。
【請求項12】
前記Nは2であり、
前記ランク1の無線装置は、
前記ランク2の無線装置から前記データを受信すると、
ランク0の基地局からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングにスリープ状態から復帰し、
前記リクエスト信号を受信すると、キャリアセンスを行い、所定時間の前記キャリアセンスの結果がアイドルであれば前記データを前記基地局へ送信し、
前記所定時間のキャリアセンスの結果がアイドルでない場合と前記データの送信後に確認信号を受信できない場合とのいずれかの場合は、前記基地局から次のリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングまでスリープ状態に入ること
を特徴とする請求項6に記載の無線システム。
【請求項13】
ランクNの第1の無線装置のキャリアセンスの所定時間とランクNの第2の無線装置のキャリアセンスの所定時間とは異なる時間であること
を特徴とする請求項6に記載の無線システム。
【請求項14】
前記ランクN−1の第1の無線装置のリクエスト信号をブロードキャストするタイミングと前記ランクN−1の第2の無線装置のリクエスト信号をブロードキャストするタイミングとは異なるタイミングであること
を特徴とする請求項6に記載の無線システム。
【請求項15】
基地局をランク0とする階層ネットワークにおいてランクN−1(Nは2以上の自然数)の無線装置へデータを送信するランクNの無線装置の制御方法であって
ランクN−1の第1の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングにスリープ状態から復帰するステップと、
前記リクエスト信号を受信すると、キャリアセンスを行うステップと、
所定時間の前記キャリアセンスの結果がアイドルであれば前記データを前記第1の無線装置へ送信するステップと、
前記所定時間のキャリアセンスの結果がアイドルでない場合と前記データの送信後に確認信号を受信できない場合とのいずれかの場合は、ランクN−1の第2の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングまでスリープ状態に入るステップと、を有することを特徴とする無線装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線装置、無線システムおよび無線装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
端末からデータを収集するマルチホップ型無線センサーネットワークにおいて、電池寿命の制約から中継ノードを含む無線端末の低電力化が重要である。低電力のマルチホップ型無線ネットワークに対して、非循環有向グラフにより、1対多のツリー型トポロジを形成するRPL(IPv6 Routing Protocol for Low−Power and Lossy Networks)というルーティング方式が提案されている。これはツリートポロジーの各階層としてランクを定義し、ランク上位の端末に順にデータを受け渡す方式である。
【0003】
また、特許文献1には、受信機が間欠受信待ち受けを行い、送信機が一定時間連続又はバースト的にデータ送信する間欠動作に関して、端末間での同期を順々に行いマルチホップの経路上の端末のタイミングを最適化する技術が開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、無線端末の間欠動作を可能にする受信機が送信したリクエスト信号を受信した場合にのみデータ送信が可能となるRIT(Receiver Initiative Transmission)に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−206624号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】En−Yi A. Lin, Jan M. Rabaey, Sven Wiethoelter, Adam Wolisz, “Receiver Initiated Rendezvous Schemes for Sensor Networks”, In Proc. of IEEE Globecom 2005, Nov. 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RPLのようなネットワークルーティング方式は、ツリー型トポロジを形成し、端末は各階層に相当するランクを持ち、ランク上位の端末へ順にデータを受け渡して行く簡易なルーティング方式である。しかしながら、このルーティング方式は、データがアップロードされる上位ランクの端末をあらかじめ決めておく必要があり、例えば、あるルートの通信環境が変化して悪くなった場合、通信性能の改善のためにはルートの再構築が必要である。
【0008】
このルート再構築を行うためには、常時、各ルートにおける通信状況の把握と確認が必要であり、一般的に通信状況の変化に対する経路の再構築性と消費電力はトレードオフとなる。したがって、消費電力性を優先するならば、急な通信環境の変化にすぐには対応できず、パケットロスが生じてしまう。また、通信環境の変化に迅速に対応しようとすると、そのためのパケットのやり取りが頻発しオーバーヘッドが頻発することになり、スループットの低下や消費電力の増大を招く。これに対して、特許文献1や非特許文献1に開示された間欠動作の技術でもネットワークルーティングまでは考慮されていない。
【0009】
そこで、上記課題を顧みて、本発明では急な通信環境の変化においても低電力動作を可能とする無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る代表的な無線装置は、基地局をランク0とする階層ネットワークにおいてランクN−1(Nは2以上の自然数)の無線装置へデータを送信するランクNの無線装置であって、ランクN−1の第1の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングにスリープ状態から復帰し、前記リクエスト信号を受信すると、キャリアセンスを行い、所定時間の前記キャリアセンスの結果がアイドルであれば前記データを前記第1の無線装置へ送信し、 前記所定時間のキャリアセンスの結果がアイドルでない場合と前記データの送信後に確認信号を受信できない場合とのいずれかの場合は、ランクN−1の第2の無線装置からリクエスト信号がブロードキャストされるタイミングまでスリープ状態に入ることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は無線システムあるいは無線装置の制御方法としても把握される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、急な通信環境の変化においても低電力動作を可能とする無線システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ネットワーク構成例を示す図である。
図2】上り通信のシーケンス例を示す図である。
図3】RITリクエスト送信タイミングの割り当て例を示す図である。
図4】上り通信時のアグリゲーション送信例を示す図である。
図5】下り通信のシーケンス例を示す図である。
図6】端末の構成例を示す図である。
図7】基地局の構成例を示す図である。
図8】通信制御部の状態遷移例を示す図である。
図9】ネットワーク未接続状態におけるMAC制御部の動作例を示す図である。
図10】ネットワーク未接続状態におけるNW制御部の動作例を示す図である。
図11】ネットワーク接続状態におけるMAC制御部の動作例を示す図である。
図12】ネットワーク接続状態におけるMAC制御部のRITリクエスト送信イベント時動作例を示す図である。
図13】ネットワーク接続状態におけるMAC制御部のRITリクエスト受信イベント時動作例を示す図である。
図14】データ送信の動作例を示す図である。
図15】ネットワーク接続状態におけるMAC制御部の下りバッファ登録イベント時動作例を示す図である。
図16】ネットワーク接続状態におけるMAC制御部の上りバッファ登録イベント時動作例を示す図である。
図17】ネットワーク接続状態におけるNW制御部の動作例を示す図である。
図18】基地局のリソース管理部の参加申請パケットを受信したときの動作例を示す図である。
図19】実施例2における上りデータ通信のシーケンス例を示す図である。
図20】実施例2におけるデータ送信の動作例を示す図である。
図21】実施例3における上りデータ通信のシーケンス例を示す図である。
図22】実施例3におけるデータ送信の動作例を示す図である。
図23】実施例4における上り通信のシーケンス例を示す図である。
図24】実施例4のネットワーク接続状態におけるMAC制御部のRITリクエスト受信イベント時動作例を示す図である。
図25】実施例5におけるランク1端末の上り通信時のシーケンス例を示す図である。
図26】実施例5のネットワーク接続状態におけるMAC制御部の動作例を示す図である。
図27】実施例5のネットワーク接続状態におけるMAW制御部の上位ランク割り当てイベント時の動作例を示す図である。
図28】実施例5のネットワーク接続状態におけるMAC制御部の上りバッファ登録イベント時動作例を示す図である。
図29】実施例6における基地局のリソース管理部の中継局負荷調整機能の動作例を示す図である。
図30】RITリクエスト信号のフレーム構成例を示す図である。
図31】データ(上り/下り)のフレーム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好ましい実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0015】
(1)ネットワーク構成
ネットワークの構成例を図1に示す。図1に示したネットワークは無線で通信する基地局(001)と複数のランクをもつ階層化された端末(002a〜002e)から構成される。なお、符号を括弧で囲って記載する。このネットワークは複数の端末から基地局へ伝送する上り通信、及び基地局から各端末へ伝送する下り通信を対象としている。
【0016】
図1においては、2つのランク1端末と3つのランク2端末との2階層から構成されるネットワークの構成例を示している。下位の端末が基地局にデータを伝送する場合は、上位の端末に順々に転送していく。例えば、ランク2の端末はランク1の端末のいずれかにデータを伝送し、それを受信したランク1の端末は基地局へ転送する。ランク1の端末より受信し、階層の最上位であることから、基地局はランク0であるとみなせる。また、端末は受信したデータを転送することから、無線装置であるともみなせる。
【0017】
(2)上り通信の制御
下位の端末が上位の端末へ伝送する際のシーケンス例を図2に示す。特定の無線チャンネルを使用してランク2の端末(002c)と端末(002d)がデータをランク1の端末(002a〜002b)に送信する場合である。全ての端末は定期的にRITリクエストをブロードキャスト(アドレス)で送信する。端末(002c)と端末(002d)はランク1の端末(002a)からのRITリクエストを受信する。データ送信を予定しているランク2の端末(002c〜002d)は、RITリクエストを受信した後、所定の時間キャリアセンスを行い、他からの無線信号が検出されない場合すなわち無線チャンネルがアイドルの場合にデータ送信を行う。キャリアセンスを行う時間は、各端末で異なる値になるように設定する。例えば、その都度ランダムの値にしてもよい。また、RITリクエストの信号強度に反比例した値を利用してもよい。
【0018】
図2の例では、キャリアセンス時間が端末(002c)より端末(002d)の方が長く設定されており、その結果、端末(002c)がデータ送信することに成功している。ランク1の端末(001a)ではRITリクエスト信号を送信後に受信待ち受けに入り、端末(002c)からのデータを受信し、無事に受信した場合はACK(確認信号)を端末(002c)に送信する。これにより、端末(002c)はランク1にデータ送信することに成功する。
【0019】
一方、端末(002d)はデータをランク1へ送信することに失敗した。この場合、次のRITリクエストを受信するのを待つ。図2の例では、ランク1の他の端末(002b)からのRITリクエスト信号を受信し、同様のシーケンスでデータ送信を行う。
【0020】
RITリクエストは図3に示すように周期的に送信され、その周期(T)及び送信タイミング(S)、周期(T)内の送信回数(N)は下位ランクの端末(002)に共有される。1つの周期(T)はいわゆるスーパーフレームである。このようにRITリクエスト信号の送信されるタイミングが決まっているため、RITリクエスト信号が送信されるタイミング直前に受信待ち受け状態に入る動作を可能にし、それまではスリープさせておき、消費電力を低減することができる。また、全体の周期を分割して、各ランクにRITリクエストを送信する期間を割り当て、更に各ランクの期間を分割して各端末(002)へタイムスロットを割り当てることにより、RITリクエスト信号の衝突を防ぐことができる。図3の例では、周期の最初はランク2の各端末、次にランク1の各端末、最後に基地局のRITリクエスト送信タイミングに割り当てている。また、図3の例では、周期中、各端末に2回RITリクエストの送信を許可されている。
【0021】
図3ではランク2の端末(002c)のRすなわちRITリクエスト信号から周期(T)が開始する例を示したが、これに限定されるものではない。端末(002c)は図3に示した周期(T)の開始のタイミングで必ずしもRITリクエスト信号を送信しなくてもよい。このように周期(T)の開始を示す特定の信号はなく、下位ランクの端末(002)により共有される上位ランクの送信タイミング(S)などの情報と実際に送信されるRITリクエスト信号とから周期(T)の開始および周期(T)内の各タイミングを取得する。
【0022】
例えばランク2の端末(002d)はランク1の端末(002a)のRITリクエスト割り当てタイミング(S)の情報を共有しているため、端末(002a)のRITリクエストの受信に基づきタイミング(S)だけ前の周期(T)の開始のタイミングやランク1割り当てのタイミングを取得し、この取得した情報から端末(002d)自身のRITリクエスト信号の送信タイミングなどを算出する。ここで、端末(002a)のタイミング(S)のRITリクエスト信号も必ずしも送信されないため、送信された時点で端末(002d)内の自走するタイマなどとの同期をとればよい。これにより1つの周期(T)では端末(002a)の送信前の時点においても端末(002d)が正確なタイミングで送信できる。
【0023】
図4は、ランク2の端末(002c、002d)がランク1の端末(002a)に図2で説明した手順でデータ送信し、ランク1の端末(002a)がさらに同様の手順で基地局(001)に転送するシーケンスの例を示す図である。このようにすることで、端末から基地局までのデータ転送を、ルートを一意に決めることなく行うことができる。すなわち、図1で示したように、仮に端末(002d)から端末(002a)への転送が失敗した場合、すぐ端末(002b)への転送によりランク1へ転送することができ、端末(002b)は基地局(001)へデータ転送することができる。
【0024】
また、図4においては、端末(002c)と端末(002d)の両方のデータが端末(002a)へ転送されているが、この場合、端末(002a)から基地局(001)への転送は、1回の基地局(001)からのRITリクエスト受信後に連続またはアグリゲーションして一度に送信することも可能である。図4にはアグリゲーションの例を示すが、1回のRITリクエストに対して端末(002c)のデータを送信してACKを受信し、さらに端末(002d)のデータを送信してACKを受信するという連続でもよい。これにより、RITリクエスト受信動作を節約できるので、低消費電力化が可能である。
【0025】
図30はRITリクエスト信号のフレーム構成例を示す図である。RITリクエスト信号のフレーム(パケット)は一般的な無線フレーム(無線パケット)の物理層ヘッダとMACヘッダに加えてRITヘッダとRITリクエスト信号情報を有する。物理層ヘッダは無線フレームの復調に必要な情報を有する。MACヘッダは無線フレームのあて先アドレスを有し、RITリクエスト信号においては既に説明したようにブロードキャストのアドレスである。また、無線フレームを送信した送信元アドレスとその他フレーム識別に必要な情報を有する。RTIヘッダはフレームのデータタイプここではRITリクエストというデータタイプと送信元のランク情報を有する。
【0026】
シーケンスナンバーはRITリクエストのシーケンス番号であり、どのRITリクエスト信号であるかを識別する番号である。スーパーフレーム長は図3に示した周期(T)であり、タイムスロット長は図3に示したRと次のRとの間隔の最小単位である。なお、図3に示すように他の端末のRITリクエスト信号も出力されるため、例えば端末(002c)のRと端末(002d)のRとの間隔であり、基地局と各端末は必ずしもRITリクエスト信号を連続して出力するものではないため、実際の出力の間隔ではなく、出力する間隔の最小単位である。
【0027】
RITリクエスト信号送信回数は1つのスーパーフレーム長におけるRITリクエスト信号の送信回数である。本RITリクエスト信号の送信位置は図3における送信タイミング(S)に相当する位置の情報であり、RITリクエスト信号の送信位置(1)〜(n)はそれぞれスーパーフレーム長における1番目からn番目のRITリクエスト信号の位置の情報である。なお、位置の情報はスーパーフレームの先頭からタイムスロットの何番目という情報でもよいし、時間の情報などでもよい。ペイロードは一般的な無線フレームにおけるペイロードと同じく必要に応じてさまざまな情報を有する。フレームチェックコードは無線フレームが正しく受信できたかをチェックするためのコードである。
【0028】
(3)下り通信
基地局(001)からの下り通信のシーケンス例について図5を用いて説明する。下り通信においても、図2で説明したシーケンスと同様な手順を用いる。ただし、下り通信の場合のルーティング情報は、明確なルーティング情報を持たない(特定のルーティングに固定しない)上り通信と異なり、パケット内にルーティング情報が格納される。下り通信のルーティング情報は上り通信の受信の統計的情報に基づいて決定される。
【0029】
図5では、基地局(001)からランク2の端末(002d)にデータ伝送する例を示している。ランク1の端末(002b)を経由する場合、端末(002b)からのRITリクエストの受信を待って、データ送信する。例えば基地局(001)での端末(002d)からの転送に端末(002b)経由の回数が多い場合は端末(002b)経由の通信実績があるとして端末(002b)経由に決定してもよい。受信した端末(002b)は、ランク2のあて先端末(002d)からのRITリクエストの受信を待って、データ送信する。以上の動作により、下り通信を可能とする。
【0030】
なお、下位ランクの端末の送信タイミング(S)は上位ランクの端末に共有されないため、基地局(001)は周期(T)のランク1の割り当て期間の先頭からスリープせずに受信を開始し、ランク1の端末(002b)は周期(T)のランク2の割り当て期間の先頭からスリープせずに受信を開始し、それぞれ送信先となる端末のRITリクエスト信号を受信する。また、後述するように基地局(001)は伝送すべきデータが用意できた時点から受信を開始し、ランク1の端末(002b)は基地局(001)から伝送すべきデータを受信した時点から受信を開始してもよい。
【0031】
図31はデータのフレーム構成例を示す図である。データのフレームは物理層ヘッダ、MACヘッダ、RITヘッダを有し、その情報の定義はRITリクエスト信号の各ヘッダと同じである。ただし、データタイプの内容は上りデータあるいは下りデータとなる。NWヘッダのシーケンス番号は何番目のデータであるかのシーケンス番号である。ネットワークあて先アドレスとネットワーク送信元アドレスはそれぞれデータを最後に受信するもののアドレスとデータを最初に送信するもののアドレスである。このため、上りデータではネットワークあて先アドレスが基地局(001)となり、下りデータではネットワーク送信元アドレスが基地局(001)となる。シーケンス番号とネットワークあて先アドレスとネットワーク送信元アドレスは最初に送信する基地局(001)あるいは端末(002)が付与する。
【0032】
通過した中継局数は端末(002)が中継局としてフレームを転送する毎にインクリメントし付与することにより得られる数である。中継局アドレス(1)〜(n)は中継した端末(002)のアドレスである。既に説明したように上りデータはルートすなわち中継する端末(002)を一意に決めることなく転送するため、上りデータの中継局アドレス(1)〜(n)は中継した端末(002)が自身のアドレスを付与する。これに対して、下りデータはルートを一意に決めるため基地局が付与し、中継する各端末(002)が中継局アドレス(1)〜(n)をルーティング情報として次の端末(002)へ転送する。
【0033】
ペイロードはフレームで転送するデータの内容であり、フレームチェックコードは無線フレームが正しく受信できたかをチェックするためのコードである。
【0034】
(4)端末及び基地局の構成
以上で説明した制御を行なうための端末(002)の構成例を図6に示す。ただし、図6及び以降の図を用いて説明する構成は、専用ハードウェア、FPGA、及びプロセッサ上のソフトウェア等、いずれのものを用いても実装可能であり、実装の形態を限定するものでない。
【0035】
端末(002)は、送受信部(011)、通信制御部(012)、アプリケーション部(017)、電源管理部(018)、イベントスケジューラ(019)で構成される。さらに通信制御部(012)は、MAC制御部(013)、上りバッファ部(014)、下りバッファ部(015)、NW制御部(016)で構成される。
【0036】
送受信部(011)は、ヘッダの付与、無線信号の生成、送信、受信を行う。アプリケーション部(017)は、用途によって各アプリケーションを動作させ、送信データの送信要求や、通信制御部(012)から受信したデータに応じて所定の動作を行う。端末(002)は低電力化のために、アクティブ時以外はスリープして余分な消費電力を抑える間欠動作をする。このスケジュールを管理するのがイベントスケジューラ(019)であり、電源管理部(018)はイベントスケジューラ(019)に従って各部すべての電源管理を行い、必要な部位のみに電源を供給する。特にスリープの状態では電源の供給を停止し、イベントスケジューラ(019)の後述する各種イベントの発生に応じてスリープの状態から復帰して電源の供給を再開する。
【0037】
通信制御部(012)の動作については後述するが、MAC制御部(013)とNW制御部(026)との間の矢印は送信方向と受信方向を示し、送信方向には上位ランクへの送信に使用する上りバッファ(014)と下位ランクへの送信に使用する下りバッファ(015)を備える。ここでは動作の説明に必要な上りバッファ(014)と下りバッファ(015)を示しており、一般的であるため特の説明の必要ない受信方向のバッファは図示を省略する。
【0038】
図7は基地局(001)の構成例を示す図である。基地局(001)は、送受信部(011)、通信制御部(022)、アプリケーション部(027)、リソース管理部(028)、イベントスケジューラ(029)で構成され、さらに通信制御部(022)は、MAC制御部(023)、上りバッファ(014)、下りバッファ(015)、NW制御部(026)で構成される。
【0039】
図6で示した端末(002)の構成例と異なり、基地局(001)はバッテリ動作でないため間欠動作が必要なく、電源管理部を備えていない。また、端末(002)のネットワーク接続の管理やRITリクエスト信号の送信タイミングの管理等のネットワーク全体の管理を行うリソース管理部(028)を有する。
【0040】
以降、図8図18のフローチャートを用いて、端末(002)の通信制御部(012)の動作を説明する。図8は通信制御部(012)の状態遷移の例を示したものである。電源投入後、ネットワーク未接続状態(C001)とネットワーク接続状態(C002)の状態がある。ネットワーク未接続状態(C001)からネットワーク接続状態(C002)からの遷移は、基地局(001)からネットワーク接続許可が得られた場合に行われる。逆に、RITリクエスト信号が所定の条件で受信されなくなった場合、ネットワーク未接続状態(C001)に遷移する。なお、ここでのネットワーク接続とは図2〜5を用いて説明したRITリクエスト信号に基づく通信動作に参加することであり、ネットワーク未接続状態(C001)であっても基地局(001)からの接続許可の通信等は可能である。
【0041】
図9はネットワーク未接続状態(C001)における端末(002)のMAC制御部(013)の動作例を示す図である。電源ON後、受信待ち受けを行う(S001)。パケットを受信し、それがブロードキャストを含む自局宛てのパケットの場合(S002)、データをNW制御部(016)に転送する。もし仮に受信パケットがRITリクエストの場合(S003)、上りバッファ(014)にRITリクエストの受信元ランクの端末宛てのデータが存在する場合に、データをRITリクエストの受信元端末へ送信する(S006)。これによりネットワークへの参加申請を送信できる。その結果、送信が成功した場合(S007)、上りバッファから該データをクリアし(S008)、受信待ち受け(S001)へ戻る。S002、S004、S005、S007でそれ以外の条件の場合も受信待ち受け(S001)に戻る。
【0042】
図10はネットワーク未接続状態(C001)における端末(002)のNW制御部(016)の動作例を示す図である。電源ON後、しばらく周辺の端末からのRITリクエストを受信し、受信元ランク、受信元端末情報(受信強度、送信周期、送信タイミング)を収集する(S021)。得られた情報から自ランクを決定する(S022)。決定のアルゴリズムではここでは一意に限定しないが、例えば自ランクを信号強度が一番強い端末のランクの一つ下位になるように選んでもよい。
【0043】
また、他の例では自局のランクを、一定以上の信号強度が検出された端末の内で最も上位の端末の一つ下位になるように選んでもよい。自ランクを決定後、上位ランクに参加申請パケットを送信すべく、上りバッファ(014)に登録する(S023)。その後、送信先端末を経由して基地局から参加許可を受信した場合、ネットワーク接続状態(C002)に遷移する。参加許可にはRITリクエスト信号の送信周期とタイミングが含まれる。
【0044】
図11は端末(002)のネットワーク接続状態(C002)におけるMAC制御部(013)の動作例を示す図である。端末(002)は間欠動作を行うため、イベントが発生するまでスリープを行う(S031)。イベントには、基地局から与えられた送信タイミングで与えられるRITリクエスト送信イベント(S033)、上り送信データが存在する場合に上位ランクの端末からのRITリクエストを受信するRITリクエスト受信イベント(S034)、NW制御部(016)からの上りデータが登録される上りバッファ登録イベント(S035)、NW制御部(016)からの下りデータが登録される下りバッファ登録イベント(S036)がある。以下、図12図16を用いて各イベント時の動作例について説明する。なお、各動作例において処理を終了するとスリープの状態へ移行する。
【0045】
図12はRITリクエスト送信イベント時の動作例を示す図である。まず所定のタイミングでRITリクエストを、キャリアセンスを行った後に送信をする(S041)。RITリクエスト送信後、受信待ち受けに入る(S042)。データ受信された場合(S043)、ACKを送信し(S044)、NW制御部(016)へ受信されたデータを転送する(S045)。所定の時間が経過してもデータ受信されない場合(S043)、そのまま終了する。
【0046】
図13はRITリクエスト受信イベント時の動作例を示す図である。RITリクエスト受信イベント開始後、所定時間の受信待ち受けを行い、RITリクエストの受信を行う(S051)。所望のランクの端末から受信した場合(S052)、受信されたRITリクエスト信号(同期信号)から端末内部のクロックを補正する同期処理を行う。所望のランク端末からの受信でなかった場合もしくは受信されなかった場合(S051)でN回連続(Nは予め設定された正の整数)の受信失敗でない場合(S058)、上位ランクからの次のRITリクエストの受信タイミングにRITリクエスト受信イベントを設定して終了する(S060)。もしN回連続失敗した場合、同期はずれが起こったものとして、RITリクエストを受信するまで受信待ち受け状態にする(S059)。
【0047】
図13のフローチャートに示さなかったが、それでも所定時間受信しなかった場合、ネットワーク切断と判断し、ネットワーク非接続状態(C001)に遷移する。RITリクエストを受信した後、上りバッファ(014)にデータが存在する場合に、所定のシーケンスによりデータ送信を行う(S006)。送信成功した場合(S057)、上りバッファ(014)から送信したデータをクリアし、S054に戻る。上りバッファ(014)にデータが存在しない場合(S054)は終了する。データ送信(S006)においてデータ送信失敗した場合(S056)、上位ランクからの次のRITリクエストの受信タイミングにRITリクエスト受信イベントを設定して終了する(S060)。ここで、図2、3に示したように上位ランクからの次のRITリクエストを送信する端末が他の端末である場合は、他の端末からのRITリクエストを受信するイベントとなる。
【0048】
図14はデータ送信(S006)の動作例を示す図である。所定の時間(X秒)キャリアセンスを行う(S071)。Xの値に関しては、例えば所定の範囲内のランダムにしてもよいし、または受信したRITリクエストの信号強度に比例した値にしてもよい。キャリアセンス後、チャンネルがアイドルであった場合、データを送信する(S072)。送信先からACKが受信された場合に、送信成功として終了する。ACKが受信されなかった場合、送信失敗として終了する(S073)。
【0049】
図15は、下りバッファ登録イベント時の動作例を示したものである。下りバッファ(015)にNW制御部(016)からデータが登録された時、ただちに受信待ち受けに入り、所望の端末からのRITリクエストの受信を待つ(S081)。所望の端末からRITリクエストが所定時間受信されなかった場合、タイムアウトとして下りバッファからデータをクリアする(S085)。所望の端末から受信された場合、図14で示したシーケンスによりデータ送信を行う(S006)。送信が成功した場合、下りバッファから送信したデータをクリアし送信成功として終了する(S084)。送信が成功しなかった場合、受信待ち受け(S081)に戻る。上位ランク端末からRITリクエストを受信した場合、図13で示したのと同様のシーケンスで、上りバッファ(014)にデータがある場合にデータ送信を行う(S086〜S089)。また、所望の端末及び上位ランク端末以外の端末から受信した場合は、受信待ち受け(S081)に戻る。
【0050】
図16は上りバッファ登録イベント時の動作例を示す図である。上位ランク端末のRITリクエスト受信タイミングにRITリクエスト受信イベントを設定して終了する(S091)。RITリクエスト受信タイミングは、ネットワーク非接続状態(C001)のRITリクエスト情報収集時に取得したタイミングであって、上位ランクからのRITリクエストを次に受信できるタイミングである。
【0051】
なお、下りバッファ登録イベントでも図16と同じように下位ランク端末からのRITリクエスト受信イベントを設定して終了し、そのイベントに基づいて下位ランク端末からRITリクエスト信号を受信してもよい。この場合は先に説明したように下位ランクの個別の端末の情報は取得しないため、周期(T)の下位ランクの割り当て開始時にイベントが発生するように設定する。
【0052】
図17は端末(002)のネットワーク接続状態(C002)におけるNW制御部(016)の動作例を示す図である。MAC制御部(013)と同様に端末は間欠動作を行うため、イベントが発生するまでスリープを行う(S101)。スリープからアクティブ状態になるイベントとして、MAC制御部(013)からのデータ受信、または上位層すなわちアプリケーション部(017)からのデータ発生が含まれる(S102)。データ送信の場合、パケットを生成し(S106)、上りバッファ(014)又は下りバッファ(015)へ登録する(S107)。データ受信の場合、あて先がブロードキャストを含む自局宛の場合、適切な上位層へデータ転送する(S108)。あて先が上りデータで中継する必要がある場合、自局のIDをパケットに付加し(S104)、上りバッファ(014)に登録する(S105)。下りデータで中継する必要がある場合、データ内のルーティング情報からあて先を取得し(S109)、取得したあて先へ転送するため下りバッファに登録する(S110)。
【0053】
図18図7の基地局(001)のリソース管理部(028)の動作例を示す図であり、通信制御部(022)から参加申請を受信した場合の動作例を示している。参加申請を受信した後、リソース計算を行い、参加申請を送信した端末(002)へのRITリクエストのタイミング割り当てを決定する(S121)。ここでリソースが不足する場合は割り当てを行わない。その後、参加許可/不許可パケットを生成し(S122)、通信制御部(022)のNW制御部(026)へ転送する(S123)。
【0054】
以上で説明したように、上りデータのルーティングを一意に決めないデータ転送と間欠動作によるマルチホップデータ通信が実現でき、低消費電力かつ通信環境の変化に強い無線ネットワークを提供することができる。
【実施例2】
【0055】
(5)RITリクエスト内のキャリアセンスアクセス
実施例2における端末(002)と基地局(001)は、実施例1において図1〜18を用いた説明と、図2の上り通信のシーケンス例及び図14のデータ送信(S006)の動作例を除き、同じである。
【0056】
実施例2における上りデータの通信シーケンス例を図19に示す。これは図2で示したデータの通信シーケンス例とは異なり、端末(002d)がキャリアセンスにより送信できなかった場合、キャリアセンスを続け、端末(002c)が送信し終わった後、次のRITリクエスト信号の受信を待つことなく、ただちに端末(002d)が送信する。
【0057】
これを実現する端末(002)の動作例を図20に示す。これは図14で示した実施例1の動作例を置き換えるものである。図14で説明した動作との違いは、ビジーの状態でX秒間のキャリアセンス(S071)の後、さらに継続キャリアセンスを行い(S131)。その中でビジーからアイドルとなり、チャンネルがZ秒間アイドルであったならばデータ送信するものである(S072)。また、継続キャリアセンス(S131)においてY秒間行ってもビジーの場合は送信失敗として終了する。なお、Y秒間の計測開始はX秒終了時点としてもよいし、ビジーとなった時点としてもよい。X秒の値とY秒の値は予め設定するが、計測開始時点の相違はY秒にX秒が含まれるか否かの違いとなるだけである。
【0058】
実施例2によれば、ビジーのため送信できなかった場合でも同じRITリクエスト内で送信ができるので、新たなRITリクエストの受信が不要であり、低消費電力化及び効率化が可能である。
【実施例3】
【0059】
(6)隠れ端末への第1の対応
実施例3における端末(002)と基地局(001)は、実施例1において図1〜18を用いた説明と、図2の上り通信のシーケンス例及び図14のデータ送信(S006)の動作例を除き、同じである。
【0060】
実施例3は、例えば図2で説明した状態において、端末(002c)と端末(002d)がお互いに電波が届かない状況を想定したものである。端末(002c)と端末(002d)はお互いのデータ送信をキャリアセンスで検出できず、検出できないという点においてお互いが隠れ端末となる。図21は実施例1の図2を置き換える上り通信のシーケンス例を示す図である。端末(002c)と端末(002d)のそれぞれは、RITリクエストを受信した後でキャリアセンスを行い、送信権獲得のためにRTS(Request To Send)を送信する。その後、RITリクエストを送信した端末(002a)が送信するCTS(Clear To Send)を受信した場合のみにデータ送信することができる。
【0061】
これを実現する端末(002)の動作例を図22に示す。これは図14で示した実施例1の動作例を置き換えるものである。図14で説明した動作との違いは、X秒間のキャリアセンス(S071)の後、RTSを送信し(S141)、CTSを受信後(S142)にデータ送信する。CTSを受信しなかった場合は送信失敗として終了する。
【0062】
実施例3によれば、隠れ端末が存在する状態であっても、衝突なくデータを送信でき、再送信によるスループットの低下や遅延の増加及び消費電力の増加を抑えられる。
【実施例4】
【0063】
(7)隠れ端末への第2の対応
実施例4における端末(002)と基地局(001)は、実施例1において図1〜18を用いた説明と、図2の上り通信のシーケンス例及び図13のMAC制御部(013)のRITリクエスト受信イベント時の動作例を除き、同じである。
【0064】
実施例4は、例えば図2で説明した状態において、端末(002c)と端末(002d)がお互いに電波が届かない状況を想定したものである。図23は実施例1の図2を置き換える上り通信のシーケンス例を示す図である。端末(002c)と端末(002d)は隠れ端末の状態にあるので、1回目のキャリアセンスで互いのデータ送信を検出できずにデータ送信が衝突する。次のRITリクエストを受信するタイミングがランダムになるように設定することにより衝突を避ける。
【0065】
これを実現する端末(002)のMAC制御部(013)のRITリクエスト受信イベント時の動作例を図24に示す。これは図13で示した実施例1の動作例を置き換えるものである。図13で説明した動作との違いは、図13のステップS060を置き換えるステップS151において、次のRITリクエスト受信イベントの設定をR(ランダム値)番目のRITリクエストのタイミングに設定することである。
【0066】
実施例4によれば、隠れ端末が存在する状態であっても、再送信時の衝突を抑えて送信ができ、再送信の繰り返しによるスループットの低下や遅延の増加及び消費電力の増加を抑えられる。
【実施例5】
【0067】
(7)間欠動作しない基地局への対応
実施例5はランク1の端末から基地局(001)への送信において実施例1〜4と異なる。ランク1の端末から基地局へのデータ送信では、基地局(001)が電源に接続されている場合は間欠動作が不要になるため、RITリクエストに基づく通信を用いなくてもよい。
【0068】
このシーケンス例を図25に示す。ランク2の端末(002C、002d)からデータを受信したランク1の端末(002a)は、基地局(001)からのRITリクエスト受信を待たずにデータを送信する。ただし、データを送信するタイミングは、周期(T)の中で基地局(001)に割り当てられた期間を使用することが、他信号との衝突を避ける意味で望ましい。
【0069】
図26図25に示したシーケンスを実現するランク1の端末(002)のMAC制御部(013)の動作例を示す図である。これは図11に示した実施例1の動作に置き換えるものである。図11で説明した動作との違いは、RITリクエスト受信イベント(S034)の代わりに上位ランク割り当てイベント(S161)が行われることと、上りバッファ登録イベント(S035)の代わりに上りバッファ登録イベント(S162)が行われることである。これは上位ランクである基地局(001)のRITリクエスト送信へ割り当てられるはずの割り当て期間に発生させるイベントである。この割り当て期間に基地局(001)へデータ転送を行う。データ転送を行う場合はこれまでの説明と同じようにキャリアセンスしてから送信される。
【0070】
図27は上位ランク割り当てイベント(S161)の動作例を示す図である。基地局(001)の割り当て期間になった場合に開始し、X秒間キャリアセンスを行う(S171)。チャンネルがアイドルの場合はデータ送信(S172)を行い、ACK受信すると(S173)、上りバッファから送信したデータをクリアし(S177)、送信成功として終了する。X秒間キャリアセンス(S171)でチャンネルがビジーであった場合、継続してキャリアセンスを行う(S174)。チャンネルがZ秒間アイドルになった場合はデータ送信(S172)を行う。Z秒間の値はある範囲内でランダムに設定する。
【0071】
さらにY秒間ビジーになった場合は、次の周期の割り当て期間に上位ランク割り当てイベントを設定して(S178)通信失敗として終了する。またACK未受信であった場合(S173)及び割り当て時間が終了してなかった場合はX秒間の値をランダムに再設定(S175)し、X秒間のキャリアセンスを再び行う(S171)。割り当て期間を終了する場合は、次の周期の割り当て期間に上位ランク割り当てイベントを設定し(S178)通信失敗として終了する。なお、図27では図示を省略したが、N回再送失敗した時点で上りバッファ(014)をクリアする動作を追加してもよい。
【0072】
図28はランク1の端末(002)のMAC制御部(012)の上りバッファ登録イベント時(S162)の動作例を示す図である。上りバッファ登録時に、上位ランク割り当てイベントを基地局(001)の割り当て期間に発生するように設定する(S181)。
【0073】
実施例5によれば、ランク1の端末(002)が基地局(001)へデータ送信する際に、RITリクエスト信号を受信することなくデータ送信できるので、ランク1の端末(002)の低消費電力化が可能となる。
【実施例6】
【0074】
(8)中継局の負荷調整
実施例6では、実施例1での説明に加えて、基地局(001)のリソース管理部(028)が、中継局となる端末(002)の負荷状況あるいはバッテリ残量を監視し、負荷調整する動作を説明する。図29はリソース管理部(028)の中継局負荷調整の動作例を示す図である。受信されたデータから端末(002)の負荷状況または残りバッテリ容量情報を収集し、負荷状況が閾値より超えたり残りバッテリ容量が閾値より低下したりした場合は、その端末(002)の転送負荷を軽減する。転送負荷を軽減させるために、軽減対象の端末(002)のRITリクエスト送信頻度を下げる。すなわち、軽減対象の端末(002)に割り当てたRITリクエストのパラメータ(周期、送信タイミング、送信回数)により送信頻度を下げるような変更通知を軽減対象の端末(002)に転送する。変更通知を受け取った軽減対象の端末(002)はその情報を基に自身のRITリクエスト送信のパラメータを変更し、RITリクエスト送信頻度を下げる。
【0075】
実施例6によれば、ネットワークがツリー状の場合、自身より下位に接続される端末数が多いほど転送負荷が上がり消費電力が増大するが、その負荷を調整あるいは分散させることにより、電池寿命を延ばすことができる。なお、軽減対象の端末の送信するRITリクエスト送信頻度を下げるため、他の端末あるいは基地局の送信するRITリクエスト信号に基づく軽減対象の端末からの端末としての送信には影響がない。
【0076】
以上、好ましい実施の形態について説明したが、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0077】
001 基地局
002 端末
011 送受信部
012、022 通信制御部
013、023 MAC制御部
014 上りバッファ
015 下りバッファ
016、026 NW制御部
017、027 アプリケーション部
018 電源管理部
019、029 イベントスケジューラ
028 リソース管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図31