【実施例1】
【0029】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機Pは、
図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されている。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。打球発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。なお、上の球受け皿Eの上面には、演出操作ボタンS、貸し玉ボタンQ、カード取り出しボタンRも備えられている。
【0030】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし打球発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。
【0031】
[2 遊技盤の構成]
遊技盤1は、ベニヤ板、透明合成樹脂板などによって形成される板部材1aの中央開口に裏面側から臨む様に液晶表示装置LCDが取り付けられ、この液晶表示装置LCDを取り囲む様に、板部材1aの前面側からセンター役物30が取り付けられている。液晶表示装置LCDは、遊技盤1の裏側に取り付けられる裏ユニット3に対して、可動体役物や電飾装置などと共に組み付けられ、板部材1aの背面側から組み付けられる。なお、センター役物30と液晶表示装置LCDの間には、こうした可動体役物が液晶表示装置LCDの前面へ出没するためのスペースを確保する様に、液晶表示装置LCDは、板部材1aの背面よりも後方に控えた状態の前後方向位置に組み付けられる。
【0032】
遊技盤1は、
図2に示す様に、障害釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央にセンター役物30が取り付けられ、センター役物30の中央直下に始動入賞装置7が備えられる。また、この始動入賞装置7の右斜め下方に大入賞口15が設置され、センター役物30の右側には大入賞口15の開放時に右側から遊技球を入賞させるための右打ち通路20が備えられた構成となっている。遊技盤1には、この他、誘導レール17、普通入賞口18、アウト口19等も設置されている。
【0033】
センター役物30は、大型装飾体31、ステージ32、ワープ通路33を備えるリング状を呈し、右上部分には障害釘に代わる障害ブロック34が設けられている。また、センター役物30には、右打ち通路20に侵入した遊技球を受け入れる入口35aを備えた右側トンネル35も組み付けられている。この右側トンネル35の出口35bの真下に位置する様にゲート37が設けられている。また、センター役物30の右側下方には、第2始動入賞装置27も設置されている。この第2始動入賞装置27は、ゲート37を遊技球が通過したことを契機に実行される普通図柄抽選結果に基づいて開閉動作される電動式チューリップを供えている。
【0034】
[3 制御装置の構成]
次に、本実施例の遊技機Pの制御系統について
図3に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置7に備えられている第1特図スイッチSW1、第2始動入賞装置27に備えられている第2特図スイッチSW2、ゲート37に備えられている普図スイッチSW4、大入賞口15に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞装置18に備えられた入賞検知スイッチSW11,SW12からの検知信号が入力される様になっている。
【0035】
また、主制御基板310からは、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器410、大入賞口15の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置27の普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。インタフェース基板350は、払出制御基板330との間でコマンドのやり取りを行う構成となっている。なお、電源基板360は、電源中継基板380を介して主制御基板310への電源供給を行う構成となっている。そして、サブ制御基板320は、演出表示制御基板370へとコマンドを出力する構成となっている。また、貸し玉ボタンQ、カード取り出しボタンRからの押下信号は、球貸し操作基板390へと入力され、この球貸し操作基板390からインタフェース基板350を経由して払出制御基板330へと入力される構成となっている。インタフェース基板350はまた、カードユニット395との間でもコマンドをやり取りする構成となっている。また、演出操作ボタンSからの押下信号は、サブ制御基板320へと入力される構成となっている。
【0036】
サブ制御基板320は、主制御基板310からの演出指令信号に基づいて、発光装置LED、スピーカーSP、モータMT、ソレノイドSOLに対して制御信号を出力して発光演出、音声演出、可動体演出を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力している。演出表示制御基板370は、サブ制御基板320からの演出表示のための指令信号に基づいて、液晶表示装置LCDに対して制御信号を出力し、表示演出を実行する。
【0037】
払出制御基板330は、主制御基板310からの払出コマンドに従って、賞球の払出を実行する。賞球払出個数は、どの入賞口に入賞したかによって予め定められている。また、主制御基板310は、払出制御基板330の外部出力端子を介してホールコンピュータ400へとエラー信号を出力する機能も備えている。
【0038】
発射制御基板340は、主制御基板310からの制御コマンドに従って、発射装置Gによる打球の発射・停止を実行する。打球の停止は、例えば、何らかのエラーが発生したときなどに指令される。
【0039】
インタフェース基板350は、球貸し操作基板390からの貸し玉指令やカード取り出し指令の中継基板として機能する。貸し玉指令は、インタフェース基板350を中継して払出制御基板330とカードユニット395へと出力される。貸し玉指令が入力された払出制御基板330は、BCユニット335へと玉貸し信号を出力し、BCユニット335が作動して上皿Eへと玉貸しが実行される。また、貸し玉指令が入力されたカードユニット395は、貸し玉指令に対応する残度数管理を行う。具体的には、カード式記憶媒体の残度数の減算処理を行う。そして、カードユニット395は、減算処理した後の残度数データをインタフェース基板350へと出力する。この残度数データは、貸し玉ボタンQの近傍に設けられた残度数表示の更新に用いられる。また、カード取り出し指令は、インタフェース基板350を中継してカードユニット395へと出力する。カードユニット395は、カード取り出し指令が入力されるとカード取り出し動作を実行する。
【0040】
[4 主制御基板の構成]
また、主制御基板310には、
図4(A)に示す様に、CPU,EEPROM,RAM,クロック及びI/Oポートを有する演算装置315が搭載されている。前述の第1特図スイッチSW1、第2特図スイッチSW2、普図スイッチSW4、入賞検知スイッチSW7,SW11,SW12からの検知信号は、このI/Oポートを介して演算装置315に入力される。また、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器410、大入賞口開閉用ソレノイドSOL7、普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へのコマンドも、このI/Oポートを介して演算装置315から出力される。
【0041】
本実施例の特徴点は、抽選処理、賞球払出、遊技演出等の遊技機としての機能を発揮するための入出力以外に、書込・書換専用端子311を介してプログラム若しくはデータの書き込み又は書き換えが可能に構成されている点にある。このため、EEPROMは、書込・書換プログラムPGM11及び認証プログラムPGM12がプリインストールされると共に、プログラム記憶領域MEM11及びデータ記憶領域MEM12が備えられている。また、書込・書換プログラムPGM11及び認証プログラムPGM12は、書換禁止に設定されている。一方、プログラム記憶領域MEM11及びデータ記憶領域MEM12は、書込・書換可に設定されている。
【0042】
[5 サブ制御基板の構成]
同様に、サブ制御基板320には、
図4(B)に示す様に、CPU,EEPROM,RAM,クロック及びI/Oポートを有する演算装置325が搭載されている。前述の主制御基板310からのコマンド入力や、演出表示制御基板370へのコマンド出力等は、このI/Oポートを介して演算装置325により実行される。
【0043】
また、サブ制御基板320の演算装置325は、主制御基板310の演算装置315と同様に、書込・書換専用端子321を介してプログラム若しくはデータの書き込み又は書き換えが可能に構成されていて、EEPROMは、書込・書換プログラムPGM21及び認証プログラムPGM22がプリインストールされると共に、プログラム記憶領域MEM21及びデータ記憶領域MEM22が備えられている。そして、書込・書換プログラムPGM21及び認証プログラムPGM22は、書換禁止に設定され、プログラム記憶領域MEM21及びデータ記憶領域MEM22は、書込・書換可に設定されている。
【0044】
[6 主制御基板等の配線]
図5(A)に示す様に、主制御基板310、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370及び電源中継基板380は、パチンコ機中枠Bに嵌め込まれた機構板500の背面側に設置され、それぞれ基板ケース510,520,530,540,550,560,570,580で覆うように収納されている。
【0045】
主制御基板310を収納した基板ケース(主基板ケース)510には、サブ制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、及び電源中継基板380に対してハーネスHN1〜HN4を接続するためのコネクタを背面側に臨ませるコネクタ開口511〜514が形成されている。
【0046】
サブ制御基板320を収納した基板ケース(サブ基板ケース)520には、主制御基板310及び演出表示制御基板370に対してハーネスHN1,HN5を接続するためのコネクタを背面側に臨ませるコネクタ開口521,522が形成され、演出表示制御基板370の基板ケース570には、ハーネスHN5を接続するためのコネクタを背面側に臨ませるコネクタ開口571が形成されている。
【0047】
払出制御基板330及び発射制御基板340の基板ケース530,540には、主制御基板310に対してハーネスHN2,HN3を接続するためのコネクタを背面側に臨ませるコネクタ開口531,541が形成されている。
【0048】
電源中継基板380の基板ケース580には、主制御基板310との間を接続するハーネスHN4のためのコネクタ開口581と、電源基板360との間を接続するハーネスHN6のためのコネクタ開口582が形成されている。そして、電源基板360の基板ケース560には、電源中継基板380との間を接続するハーネスHN6のためのコネクタ開口561が形成されている。さらに、払出制御基板330の基板ケース530には、インタフェース基板350との間を接続するハーネスHN7のためのコネクタ開口532も形成されている。
【0049】
そして、
図5(B)に示す様に、主基板ケース510と他の基板ケース520等との間に跨る様にハーネスダクトHD111〜HD114を備えさせて、その中にハーネスHN1〜HN4を収納すると共に、サブ制御基板320と演出表示制御基板370とを接続するハーネスHN5についても基板ケース520,570間を跨ぐ様に設置したハーネスダクトHD115の中に収納する様に構成すると共に、電源基板360と電源中継基板380とを接続するハーネスHN6、払出制御基板330とインタフェース基板350とを接続するハーネスHN7も、それぞれ基板ケース間を跨ぐ様に設置したハーネスダクトHD116,HD117の中に収納する構成としている。
【0050】
これら各ハーネスダクトHD111〜HD117は、内部にハーネスHN1〜HN7を収納した状態で、
図5(C)に示す様に、基板ケース510〜570及び機構板500に対して嵌め殺し状態に固着される溝型ベース部材610と、その封止カバー620とによって構成されている。
【0051】
ここで、払出制御基板330、発射制御基板340、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370及び電源中継基板380は、それぞれ基板ケース530,540,550,560,570,580に収納する前に、制御プログラムや制御用データ等を書き込んである。
【0052】
一方、主制御基板310及びサブ制御基板320は、基板ケース510,520に収納する前の段階においては、書込・書換プログラムPGM11,PGM21と、認証プログラムPGM12,PGM22がプリインストールされているものの、抽選処理や遊技演出等のためのプログラム及びデータは書き込まれていない状態である。これら主制御基板310及びサブ制御基板320に対するプログラム等の書き込みは、基板ケース510,520をカシメて封印した後に、書込・書換専用端子311,321を介して実行する。
【0053】
[7 書込・書換専用端子の構成]
図6(A)に示す様に、主制御基板310とサブ制御基板320には、ハーネスHN1の両端のコネクタを接続するための基板側ソケット312,322として、ハーネス用端子313,323に加えて書込・書換専用端子311,321を備えるものが設置されている。
【0054】
主制御基板310の書込・書換専用端子311には、
図6(B)に示す様に、ROM書込用端末700のコネクタ710を接続する。そして、主制御基板310に対して、ROM書込用端末700を介してプログラム・データ書込要求を入力する。主制御基板310においては、書込・書換専用端子311にコネクタ710が接続されると、演算装置315のEEPROMにプリインストールされている書込・書換プログラムPGM11及び認証プログラムPGM12を起動し、正規の書込要求であるか否かの認証を行うと共に、正規の書込要求であることが認証できたら、プログラム記憶領域MEM11及びデータ記憶領域MEM12へと、書込・書換専用端子311を介して入力されるプログラム及びデータの書き込みを実行する。
【0055】
そして、プログラム及びデータの書き込みが終了したら、
図6(C),(D)に示す様に、コネクタ開口511に対して嵌め殺し式カバー720を装着すると共に、封印シール730で封印する。
【0056】
なお、サブ制御基板320の書込・書換専用端子321に対しても、同様に、ROM書込用端末700のコネクタ710を接続して、認証を経た後にプログラム若しくはデータの書き込みを実行し、嵌め殺し式カバー720を装着すると共に、封印シール730で封印する。
【0057】
[8 主制御基板へのプログラム及びデータの書込・書換]
主制御基板310の演算装置315のEEPROMへのプログラム及びデータの書込・書換について説明する。
図7(A)、
図8(A)に示す様に、主制御基板310の書込・書換専用端子311に対してROM書込用端末700のコネクタ710を接続すると、演算装置315のCPUは、EEPROMにプリインストールされている書込・書換プログラムPGM11を起動する。この状態で、作業者が、ROM書込用端末700を操作して、書込要求を出力すると、プログラム及びデータの書込・書換が実行される。
【0058】
ROM書込用端末700における処理は、
図7(B)に示す手順で実行される。まず、書込要求を出力する(S1)。すると、
図7(C)に示す様に、演算装置315のCPUは、書込要求が入力されたと判定し(S11:YES)、認証プログラムPGM12を起動し(S12)、認証結果を待つ状態となる(S13〜S15)。
【0059】
演算装置315のCPUは、起動した認証プログラムPGM12に基づいて、
図8(B)に示す様に、書込・書換専用端子311へと認証コードID及びパスワードPWの入力を要求するためのコマンドを出力し(S31)、ID及びPWが入力されるのを待つ(S32)。
【0060】
このとき、ROM書込用端末700は、
図7(B)に示す様に、ID及びPWが要求されるのを待っている状態となっており(S2)、演算装置315からのID及びPWの要求を受けて(S2:YES)、認証コードID及びパスワードPWを所定の順番で出力する(S3)。このID及びPWの出力は、例えば、作業者が、ROM書込用端末700からのキー入力操作をすることによって実行される。
【0061】
演算装置315のCPUは、
図8(B)に示す様に、ID・PW入力があったら(S32:YES)、ID及びPWが正規のものと一致するか否かの認証を実行し、一致しているときは(S33:YES)、認証OKを出力し(S34)、一致していないときは認証NGを出力する(S35)。
【0062】
前述の様に、演算装置315のCPUは、書込・書換プログラムの処理においては、認証結果を待っている状態となっている。この認証結果を待っている状態においては、
図7(C)に示す様に、認証OKが入力されたか否かを判定し(S13)、S13の判定が「NO」の場合は認証NGが入力されたか否かを判定し(S14)、S14の判定が「NO」の場合はタイムアウトしたか否かを判定する(S15)。認証NGが入力されるか(S14:YES)、タイムアウトとなった場合は(S15:YES)、書込・書換専用端子311へと要求NGのコマンドを出力する(S16)。
【0063】
ROM書込用端末700は、
図7(B)に示す様に、演算装置315から要求NGを受信した場合は(S4:YES)、プログラム送信等をすることなく処理を終了する。要求NGが入力されていないときは(S4:NO)、プログラム出力許可が入力されたか否かを判定する(S5)。
【0064】
演算装置315のCPUは、
図7(C)に示す様に、認証プログラムPGM12を実行した結果、認証OKとなった場合は(S13:YES)、書換カウンタC1をインクリメントすると共に(S17)、書換カウンタC1が「1」であるか否かを判定する(S18)。そして、書換カウンタC1が「1」でない場合は(S18:NO)、EEPROM内に設定されているプログラム記憶領域MEM11及びデータ記憶領域MEM12の消去を実行する(S19)。なお、書換カウンタC1の初期値は「0」である。
【0065】
次に、演算装置315のCPUは、プログラムPGMの出力許可を書込・書換専用端子311へと出力し(S21)、プログラムPGMが入力されるのを待つ(S22)。
【0066】
ROM書込用端末700では、
図7(B)に示す様に、プログラム出力許可の入力により、S5が「YES」となって、書き込むべきプログラムPGMの出力を実行する(S6)。このプログラム出力は、例えば、ROM書込用端末700にプログラム出力許可を表示し、作業者が端末側のキーあるいはスイッチ等を操作することによって開始する様に構成することができる。なお、出力すべきプログラムPGMは、予め、ROM書込用端末700内に記憶させておく。
【0067】
演算装置315のCPUは、
図7(C)に示す様に、こうしてROM書込用端末700から出力され、書込・書換援用端子311を介して入力されてきたプログラムPGMをプログラム記憶領域MEM11へと書き込む(S22→S23)。
【0068】
演算装置315のCPUは、次に、データDATの出力許可を書込・書換専用端子311へと出力し(S24)、データDATが入力されるのを待つ(S25)。
【0069】
ROM書込用端末700では、
図7(B)に示す様に、データ出力許可の入力により、S7が「YES」となって、書き込むべきデータDATの出力を実行する(S8)。このデータ出力も、例えば、ROM書込用端末700にデータ出力許可を表示し、作業者が端末側のキーあるいはスイッチ等を操作することによって開始する様に構成することができる。なお、出力すべきデータDATは、予め、ROM書込用端末700内に記憶させておく。
【0070】
演算装置315のCPUは、
図7(C)に示す様に、こうしてROM書込用端末700から出力され、書込・書換援用端子311を介して入力されてきたデータDATをデータ記憶領域MEM12へと書き込む(S25→S26)。
【0071】
[9 サブ制御基板へのプログラム及びデータの書込・書換]
サブ制御基板320の演算装置325のEEPROMへのプログラム及びデータの書込・書換について説明する。
図9(A)に示す様に、サブ制御基板320の書込・書換専用端子321に対してROM書込用端末700のコネクタ710を接続すると、
図9(B)に示す様に、演算装置325のCPUは、EEPROMにプリインストールされている書込・書換プログラムPGM21を起動する。この状態で、作業者が、ROM書込用端末700を操作して、書込要求を出力すると、認証プログラムPGM22が起動され、ID・PW要求を出力する。これに対して、ROM書込用端末700からID・PWが出力されると、演算装置325側で、ID・PWの認証が実行される。
【0072】
ID・PWの認証がOKとなると、演算装置325からプログラム出力許可が出力される。これを受けて、ROM書込用端末700からプログラムPGMが出力される。演算装置325は、このプログラムPGMをプログラム記憶領域MEM21へと書き込む。次に、演算装置325からデータ出力許可が出力される。これを受けて、ROM書込用端末700からデータDATが出力される。演算装置325は、このデータDATをデータ記憶領域MEM22へと書き込む。
【0073】
なお、上述の一連の処理は、主制御基板310へのプログラム及びデータの書込・書換において説明したのと同様であり、書き換えの場合は、プログラム記憶領域MEM21及びデータ記憶領域MEM22の消去を行った後に、プログラム及びデータの書込を実行する手順となっている。
【0074】
[10 実施例1の作用・効果]
実施例1によれば、主制御基板310及びサブ制御基板320は、遊技機の仕様を決定するプログラム若しくはデータが書き込まれていない状態で、基板ケース510,520へと収納され、カシメによって封印されている。しかし、主制御基板310及びサブ制御基板320には、それぞれ、書込・書換プログラムPGM11,PGM21及び認証プログラムPGM12,PGM22がプリインストールされていて、基板ケース510,520に形成したコネクタ開口511,521に臨ませた書込・書換専用端子311,321にROM書込用端末700のコネクタ710を接続してプログラム及びデータを書き込むことで、仕様を決定することができる。こうしてプログラム及びデータを書き込んだ後に、コネクタ開口511に対して嵌め殺し式カバー720を装着すると共に、封印シール730で封印する。
【0075】
また、一旦、プログラム及びデータを書き込んだ後、書込・書換専用端子311,321にROM書込用端末700のコネクタ710を接続して、古いプログラム及びデータを消去した上で新たなプログラム及びデータを書き込むことにより、書き換えも可能となっている。このとき、封印シール730を除去し、嵌め殺し式カバー720を開く際に、開封して書き換えを実行したことを記録することができる。例えば、新しい嵌め殺し式カバー720を装着して新しい封印シール730で再度封印する際に、嵌め殺し式カバー720又は封印シール730に対して、開封回数を示す記録を記入する。
【0076】
この結果、本実施例によれば、遊技機製造工程において、最終的な仕様が決定される前の段階であっても、基板等の組み付け作業を先行して実施することができる。この結果、遊技機製造スケジュールを柔軟に変更等することが可能となる。また、一旦仕様を決定した後に、例えば、不正対策を強化するためのバージョンアップや、仕様自体を異なるものにしたいといった場合にあっても、制御基板を取り換えることなく、プログラム若しくはデータを書き換えるという方法で対応することができる。
【0077】
そして、こうした書き込みや書き換えを実施可能にするための書込・書換プログラムPGM11,PGM21及び認証プログラムPGM12,PGM22は、演算装置315,325のEEPROMにプリインストールされ、書換禁止に設定しているから、不正なプログラム若しくはデータの書き込みや書き換えを防止することができている。プログラム若しくはデータの書き込みや書き換えは、書込・書換専用端子311,321を介してだけ、実施可能に構成したことによっても、不正対策は万全となっている。
【0078】
この様に、不正な書き換え等を防止できる結果、基板ケース510内に組み付け、カシメて封印した後の主制御基板310に対して、仕様を決定するプログラム若しくはデータの書き込み及び書き換えが可能な結果、同型機に対して、大当たり確率等の仕様を異ならせた種々のタイプの遊技機を、組立工程を共通にして、最終的なプログラム及びデータの書き込みをタイプ毎に実施することによって製造することも可能となる。
【0079】
また、例えば、出荷後においても、認証コード及びパスワードの認証を通じて、書き換え操作を実行することができるから、不正対策を強化したり、バグを解消したり、大当たり確率の異なる機種への仕様変更などといった要望に対しても、遊技機を分解して部品を取り換える等の作業をすることなく対応できる。従って、遊技機のリサイクルといった観点においても、有益な技術である。
【0080】
逆に、基板ケース510を封印した状態のままで、こうしたバージョンアップ等を実行できる結果、不正基板への入れ換えを防止する効果は、むしろ高いものとなる。この様に、不正対策も十分に可能な本実施例によれば、出荷時のプログラム若しくはデータの書き込み以外に、出荷後においてもプログラム若しくはデータの書き換えを、適切に実施することができる。この場合、例えば、「(1)変動パターンの追加・変更・削除」を主制御基板やサブ制御基板を取り換えることなく、基板ケースに収納したままの状態で実行することができる。また、「(2)大当たりやはずれリーチの確率についての変更」、「(3)賞球個数の変更」、「(4)可動体役物の動きの追加・変更・削除」、「(5)大当たりの種類や内容の追加・変更・削除」、「(6)デモ演出の追加・変更・削除」などを実行することもできる。ここで、例えば、追加・変更だけでなく「変動パターン」の削除となる内容への書き換えにより、「期間限定で、いつまでしか見られない」といった演出をも可能にすることができる。また、ここでいう追加・変更・削除は、いずれかという意味ではなく、「一つの演出を削除し、複数の演出を追加する」といった内容になっていても構わない。また、プログラムだけ書き換えてデータは書き換えない、データだけ書き換えてプログラムは書き換えないといった実施方法としてもよい。