(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228905
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】作業ロボットの設置状態検出方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20171030BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
B25J9/10 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-212184(P2014-212184)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-78173(P2016-78173A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】下山 真生
(72)【発明者】
【氏名】吉野 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】山中 理広
【審査官】
貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−42909(JP,A)
【文献】
特開2009−274188(JP,A)
【文献】
特開平4−193491(JP,A)
【文献】
特開2012−223871(JP,A)
【文献】
特開2009−6452(JP,A)
【文献】
特開2011−36956(JP,A)
【文献】
特開平8−137528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業エリアに設置される設置部と、前記設置部に連結され且つ第1軸を中心として回転する第1回転部と、前記第1回転部よりも1つエンドエフェクタ側に位置し且つ第2軸を中心として回転する第2回転部と、を備え、前記第1軸は軸線上に作業ロボットの原点を有し且つ前記設置部に対して垂直であり、前記第2軸は前記第1軸に対して垂直である作業ロボットの設置状態を検出する作業ロボットの設置状態検出方法において、
前記第1回転部よりもエンドエフェクタ側に第1被測定部材を設け、前記第1回転部を回転させて、少なくとも3つの位置で前記第1被測定部材の座標を測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程で測定した座標に基づいて前記作業ロボットの設置位置及び傾きを決定する第1決定工程と、
前記第2回転部よりもエンドエフェクタ側に第2被測定部材を設け、前記第2回転部を回転させて、少なくとも3つの位置で前記第2被測定部材の座標を測定する第2測定工程と、
前記第2測定工程で測定した座標に基づいて前記作業ロボットの向きを決定する第2決定工程と、
前記第1決定工程で決定した前記作業ロボットの設置位置及び傾きと前記第2決定工程で決定した前記作業ロボットの向きを、それぞれ特定の基準値と比較して、その差を前記作業ロボットの設置ずれ量として検出する設置ずれ検出工程と、
を備えたことを特徴とする作業ロボットの設置状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業エリアに対する作業ロボットの設置状態を検出する作業ロボットの設置状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業ロボットを用いてワークの溶接等を行う作業現場において、作業ロボットは作業エリアの基準位置に設置される。作業ロボットは基準位置に設置された状態で教示される。
【0003】
作業ロボットを交換した場合に、新たな作業ロボットの設置位置、設置姿勢が本来設置されるべき正規の基準位置、設置姿勢からずれることがある。このような場合に、エンドエフェクタが既に作成された教示データに従って位置制御されると、エンドエフェクタの移動経路や溶接位置がロボットの位置ずれ、姿勢ずれの分だけずれることになる。したがって、作業ロボットを交換した場合は、作業ロボットの設置状態、具体的には設置位置、設置姿勢を検出し、検出した設置位置、設置姿勢と基準位置、基準姿勢とのずれの分だけ教示データを修正する必要がある。
【0004】
例えば特許文献1は、作業ロボットの設置部に最も近い設置部とエンドエフェクタに最も近いアームを回転させることにより、作業ロボットの設置状態を検出する方法を開示している。この方法では、設置部を第1軸を中心に1回転させ、その1回転のうちの3つの回転位置で、アームを第n軸を中心にそれぞれ1回転させている。その際に、レーザ光Lを受発光する測定機でエンドエフェクタに設置されたミラーの座標を測定し、各種演算を行うことによって作業ロボットの設置状態を検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−42909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明は、設置部に最も近い旋回部と、エンドエフェクタに最も近いアーム、言い換えると、設置部から最も遠いアームを回転させている。作業ロボットの関節が多くなるほど設置部とアームは離間する。このため、アームには設置部からアームまでの間に備えられる各可動部の停止誤差が集中する。したがって、設置部から最も遠いアームを回転させる方法では測定誤差が大きくなり、作業ロボットの設置状態を正確に把握できない虞がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、作業ロボットの設置状態を正確に且つより少ない工数で検出できる作業ロボットの設置状態検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業ロボットの設置状態検出方法は、作業エリアに設置される設置部と、前記設置部に連結され且つ第1軸を中心として回転する第1回転部と、前記第1回転部よりも1つエンドエフェクタ側に位置し且つ第2軸を中心として回転する第2回転部と、を備え、前記第1軸は軸線上に作業ロボットの原点を有し且つ前記設置部に対して垂直であり、前記第2軸は前記第1軸に対して垂直である作業ロボットの設置状態を検出する作業ロボットの設置状態検出方法において、前記第1回転部よりもエンドエフェクタ側に第1被測定部材を設け、前記第1回転部を回転させて、少なくとも3つの位置で前記第1被測定部材の座標を測定する第1測定工程と、前記第1測定工程で測定した座標に基づいて前記作業ロボットの設置位置及び傾きを決定する第1決定工程と、前記第2回転部よりもエンドエフェクタ側に第2被測定部材を設け、前記第2回転部を回転させて、少なくとも3つの位置で前記第2被測定部材の座標を測定する第2測定工程と、前記第2測定工程で測定した座標に基づいて前記作業ロボットの向きを決定する第2決定工程と、前記第1決定工程で決定した前記作業ロボットの設置位置及び傾きと前記第2決定工程で決定した前記作業ロボットの向きを、それぞれ特定の基準値と比較して、その差を前記作業ロボットの設置ずれ量として検出する設置ずれ検出工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、設置部に連結される第1回転部を回転させ、少なくとも3つの位置で第1被測定部材の座標を測定し、測定した座標に基づいて作業ロボットの設置位置及び傾きを決定する。また、第1回転部よりも1つエンドエフェクタ側に設けられる第2回転部を回転させ、少なくとも3つの位置で第2被測定部材の座標を測定し、測定した座標に基づいて作業ロボットの向きを決定する。そして、決定した作業ロボットの設置位置、傾き、向きを基準値と比較して、その差を作業ロボットの設置ずれ量として検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設置部に近い第1回転部及び第2回転部を回転させることによって作業ロボットの設置位置、設置姿勢(傾き、向き)を決定している。設置部に近い箇所であれば、作業ロボットの各可動部の停止誤差の影響を受けることがないため、作業ロボットの設置状態を正確に検出できる。このため、作業ロボットの設置状態に変化が生じた場合(例えば作業ロボットの新設等)、最小限の操作で作業ロボットの設置位置、設置姿勢を詳細に把握することができる。また、把握した設置位置、設置姿勢を教示データに反映することで、作業ロボットの教示位置と実働位置とのずれをなくすことができ、作業ロボットの作業精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は作業ロボットの設置状態を検出する一連の処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は各座標及びベクトルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る作業ロボットの設置状態検出方法の好適な実施形態について、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0013】
[作業エリア10に設置される各機器]
図1は作業エリア10を示す図である。作業エリア10には、任意の位置に位置測定装置12が配置され、特定の位置に水準装置18とワーク設置台20と作業ロボット30とが配置される。
【0014】
位置測定装置12は、測定機14と演算装置16とからなり、測定対象物の位置を測定する。測定機14は、所謂レーザートラッカーである。測定機14は、測定対象物にレーザ光Lを照射し、測定対象物で反射された反射光を検出する。測定機14の座標系をRefsとする。演算装置16は、例えばパーソナルコンピュータで構成される。演算装置16は、測定機14の検出結果に基づいて所定の演算処理を行い、測定対象物の位置、具体的には座標を特定する。
【0015】
水準装置18は、作業エリア10内の水準点であり、作業エリア10内で動かない絶対的な基準位置として使用される。水準装置18の座標系をRefzとする。作業エリア10に配置される各機器の位置は、水準装置18の座標系Refzにて把握される。水準装置18は、3つ以上のターゲット18a〜18cを備える。各ターゲット18a〜18cは反射体にて構成されており、反射体で位置測定装置12の測定機14から照射されるレーザ光Lを反射する。
【0016】
ワーク設置台20は、ワークを支持する複数の治具22a〜22dを備えると共に、水準装置18と同様に、3つ以上のターゲット20a〜20cを備える。各ターゲット20a〜20cは反射体にて構成されており、反射体で位置測定装置12の測定機14から照射されるレーザ光Lを反射する。
【0017】
作業ロボット30は多軸ロボットであって、設置部32と、設置部32を基準にして順に、旋回部34と第1アーム36と第2アーム38と第3アーム40とを有する。設置部32は作業エリア10に設置される。旋回部34は設置部32と軸J1で回動可能に連結されている。この軸J1は設置部32に対して垂直であり、作業ロボット30の原点PBは軸J1上にある。第1アーム36は旋回部34と軸J2で回動可能に連結されている。この軸J2は軸J1よりもエンドエフェクタ42側に位置し、軸J1に対して垂直である。第2アーム38は第1アーム36と軸J3で回動可能に連結されている。第2アーム38は軸J4によって捻れ回転が可能になっている。第3アーム40は第2アーム38と軸J5で回動可能に連結されている。第3アーム40は軸J6によって捻れ回転が可能になっている。軸J4及び軸J6はそれぞれ360°以上の捻れ回動が可能である。第3アーム40の先端には、エンドエフェクタ42が着脱自在に設けられている。エンドエフェクタ42にはターゲット44が設けられている。ターゲット44は球状の反射体にて構成されており、反射体で位置測定装置12の測定機14から照射されるレーザ光Lを反射する。
【0018】
コントローラ50は、ワーク設置台20に設置される図示しないワークを加工すべく予め設定される教示データに基づいて作業ロボット30の動作を制御する。
【0019】
[RefsからRefzへの変換の仕方]
位置測定装置12の測定機14は、座標系Refsにて座標を検出する。しかし、座標系Refsは測定機14の位置が変わる度に変わる。このため、座標系Refsを基準位置に配置された水準装置18の座標系Refzに変換する必要がある。座標系Refsから座標系Refzへの変換は、変換マトリックス[T]により行われる。変換マトリックス[T]は、例えば特開2001−42909号公報に開示されように、位置測定装置12で水準装置18のターゲット18a〜18cの座標を測定し、測定値と水準装置18の既知の位置とから求められる。
【0020】
[作業ロボット30の位置]
図2は作業ロボット30の設置状態を検出する一連の処理を示すフローチャートである。
図3は各座標及びベクトルを示す説明図である。
【0021】
ステップS1にて、作業ロボット30の第1アーム36と第2アーム38と第3アーム40とエンドエフェクタ42を第1測定用の姿勢に調整する。第1測定用の姿勢は任意であるが、
図3に示されるように、このときターゲット44の高さHを把握しておく。ターゲット44の高さHは、ターゲット44の位置から軸J1まで垂線を下ろした場合の軸J1との交点Ph0と作業ロボット30の原点PBとの距離に相当する。ターゲット44の高さHは、第1アーム36と第2アーム38と第3アーム40とエンドエフェクタ42の姿勢、すなわち軸J2〜J6の回転角度により算出可能である。
【0022】
ステップS2にて、作業ロボット30の第1アーム36と第2アーム38と第3アーム40とエンドエフェクタ42の姿勢を維持しつつ、軸J1を中心として旋回部34を1回転させる。すると、ターゲット44も軸J1を中心として1回転する。このとき、位置測定装置12を用いて、その回転中の少なくとも3点Ph1、Ph2、Ph3の座標を測定する。3点Ph1、Ph2、Ph3の座標は座標系Refsであるため、変換マトリックス[T]を用いて座標系Refzの座標に変換する。なお、「´」を付す符号はRefzの座標系であることを意味する。
【0023】
ステップS3にて、変換した3点Ph1´、Ph2´、Ph3´の座標に基づいて、作業ロボット30の原点PB´と傾きを決定する。ステップS2で回転させたターゲット44の軌跡は円であり、3点Ph1´、Ph2´、Ph3´はその円の軌跡上に位置する。つまり、3点Ph1´、Ph2´、Ph3´は、軸J1上の点Ph0´を中心とする円C1に位置する。このため、3点Ph1´、Ph2´、Ph3´の座標から中心点Ph0´の座標と円C1の法線ベクトルv1を求める。この法線ベクトルv1は軸J1の向きと一致しており、作業ロボット30の傾きに相当する。そこで、法線ベクトルv1を、作業ロボット30の傾きとして決定する。そして、法線ベクトルv1の方向に沿って、中心点Ph0´の座標から作業ロボット30の原点PB´方向に、ターゲット44の高さHの分だけ移動した座標を、作業ロボット30の原点PB´として決定する。原点PB´は作業ロボット30の設置位置である。
【0024】
ステップS4にて、作業ロボット30の姿勢を第2測定用の基本姿勢にする。基本姿勢というのは、ずれを考慮しない場合の作業ロボット30の正姿勢である。基本姿勢において、各可動部は初期値に設定される。
【0025】
ステップS5にて、第1アーム36を除く作業ロボット30の基本姿勢を維持しつつ、軸J2を中心として第1アーム36を1回転させる。なお、仮に第1アーム36が1回転した場合に床面に接触する虞がある場合は、第1アーム36を可動できる範囲で回転動作させる。すると、ターゲット44も軸J2を中心として回転動作する。このとき、位置測定装置12を用いて、その回転中の少なくとも3点Pv1、Pv2、Pv3の座標を測定する。3点Pv1、Pv2、Pv3の座標は座標系Refsであるため、変換マトリックス[T]を用いて座標系Refzの座標に変換する。
【0026】
ステップS6にて、変換した3点Pv1´、Pv2´、Pv3´の座標に基づいて、作業ロボット30が基準姿勢における向きを決定する。ステップS5で回転させたターゲット44の軌跡は円であり、3点Pv1´、Pv2´、Pv3´はその円の軌跡上に位置する。つまり、3点Pv1´、Pv2´、Pv3´は、軸J2上の点Pv0´を中心とする円C2に位置する。このため、3点Pv1´、Pv2´、Pv3´の座標から円C2の法線ベクトルv2を求める。この法線ベクトルv2は軸J2の向きと一致しており、その水平成分は作業ロボット30の向きに相当する。そこで、法線ベクトルv2の水平方向の成分を、作業ロボット30の向きとして決定する。
【0027】
ステップS7にて、ステップS3で決定した作業ロボット30の設置位置(原点PB´の座標)及び傾き(法線ベクトルv1´)と、ステップS6で決定した作業ロボット30の向き(法線ベクトルv2´の水平成分)を、それぞれ特定の基準値と比較する。特定の基準値というのは、正規の基準位置、基準姿勢(傾き、向き)の値のことをいう。そして、その差を作業ロボット30の設置ずれ量として検出する。
【0028】
[ワーク設置台20の位置]
位置測定装置12でワーク設置台20のターゲット20a〜20cの座標を測定する。この測定値は座標系Refsの座標であるため、変換マトリクス[T]を用いて座標系Refzの座標に変換する。
【0029】
[教示データの修正]
教示データはワーク設置台20及び作業ロボット30に位置ずれが生じていない状態で教示されている。ワーク設置台20及び/又は作業ロボット30に位置ずれが生じている場合に、この教示データに基づいて作業ロボット30を動作させると、正確な加工を行うことができない。本実施形態では、ワーク設置台20及び作業ロボット30の位置ずれを測定し、その位置ずれ分だけ教示データを修正する。このため正確な加工を行えるようになる。
【0030】
[実施形態のまとめ]
本実施形態で使用する作業ロボット30は、作業エリア10に設置される設置部32と、設置部32に連結され且つ第1軸(軸J1)を中心として回転する第1回転部(旋回部34)と、第1回転部(旋回部34)よりも1つエンドエフェクタ42側に位置し且つ第2軸(軸J2)を中心として回転する第2回転部(第1アーム36)と、を備える。第1軸(軸J1)は軸線上に作業ロボット30の原点PBを有し且つ設置部32に対して垂直である。第2軸(軸J2)は第1軸(軸J1)に対して垂直である。このような作業ロボット30の設置状態を検出するために、本実施形態は次の各工程を行う。すなわち、第1回転部(旋回部34)よりもエンドエフェクタ42側に第1被測定部材(ターゲット44)を設け、第1回転部(旋回部34)を回転させて、少なくとも3つの位置で第1被測定部材(ターゲット44)の座標を測定する第1測定工程(ステップS2)を行う。また、第1測定工程(ステップS2)で測定した座標に基づいて作業ロボット30の設置位置及び傾きを決定する第1決定工程(ステップS3)を行う。また、第2回転部(第1アーム36)よりもエンドエフェクタ42側に第2被測定部材(ターゲット44)を設け、第2回転部(第1アーム36)を回転させて、少なくとも3つの位置で第2被測定部材(ターゲット44)の座標を測定する第2測定工程(ステップS5)を行う。また、前記第2測定工程(ステップS5)で測定した座標に基づいて作業ロボット30の向きを決定する第2決定工程(ステップS6)を行う。また、第1決定工程(ステップS3)で決定した作業ロボット30の設置位置及び傾きと第2決定工程(ステップS6)で決定した作業ロボット30の向きを、それぞれ特定の基準値と比較して、その差を作業ロボット30の設置ずれ量として検出する設置ずれ検出工程(ステップS7)を行う。
【0031】
本実施形態によれば、設置部32に近い第1回転部(旋回部34)及び第2回転部(第1アーム36)を回転させることによって作業ロボット30の設置位置、設置姿勢(傾き、向き)を決定している。設置部32に近い箇所であれば、作業ロボット30の各可動部(第2アーム38、第3アーム40)の停止誤差の影響を受けることがないため、作業ロボット30の設置状態を正確に検出できる。このため、作業ロボット30の設置状態に変化が生じた場合(例えば作業ロボット30の新設等)、最小限の操作で作業ロボット30の設置位置、設置姿勢を詳細に把握することができる。また、把握した設置位置、設置姿勢を教示データに反映することで、作業ロボット30の教示位置と実働位置とのずれをなくすことができ、作業ロボット30の作業精度を向上させることができる。
【0032】
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0033】
例えば、本実施形態では、
図2に示すステップS2及びステップS5で実施する測定において、共通のターゲット44を用いている。しかし、ステップS2及びステップS5で別々のターゲット44を用いることも可能である。
【0034】
また、本実施形態では、エンドエフェクタ42にターゲット44を設けている。しかし、ステップS2の測定時であれば、旋回部34の回転と共に回転するどのような部位にターゲット44を設けてもよい。また、ステップS5の測定時であれば、第1アーム36の回転と共に回転するどのような部位にターゲット44を設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10…作業エリア 12…位置測定装置
14…測定機 16…演算装置
18…水準装置 18a〜18c…ターゲット
20…ワーク設置台 20a〜20c…ターゲット
30…作業ロボット 32…設置部
34…旋回部 36…第1アーム
38…第2アーム 40…第3アーム
42…エンドエファクタ 44…ターゲット