特許第6228908号(P6228908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228908加熱ヘッドおよびそれを用いた加熱装置と加熱方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228908
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】加熱ヘッドおよびそれを用いた加熱装置と加熱方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20171030BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20171030BHJP
   H05B 3/12 20060101ALI20171030BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20171030BHJP
   B41J 2/32 20060101ALN20171030BHJP
   B41J 29/00 20060101ALN20171030BHJP
【FI】
   H05B3/10 B
   B41J2/01 125
   H05B3/12 B
   H05B3/00 310E
   !B41J2/32 J
   !B41J29/00 H
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-231728(P2014-231728)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-96037(P2016-96037A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】514277570
【氏名又は名称】株式会社ヒットデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】砂田 重政
(72)【発明者】
【氏名】大井 次郎
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−054567(JP,A)
【文献】 特開平03−089482(JP,A)
【文献】 特開2003−237123(JP,A)
【文献】 特開平06−206325(JP,A)
【文献】 特開2005−305677(JP,A)
【文献】 特開2005−028698(JP,A)
【文献】 特開平04−032184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00− 3/18
B41J 2/01
H05B 3/40− 3/82
B41J 2/315−2/325
B41J 2/42− 2/425
B41J 2/475−2/48
B41J 29/00−29/70
G03G 15/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が矩形状のヘッド基板と、該ヘッド基板の一面に長手方向に沿って形成される帯状の発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に接続され、電流を流すための一対の電極端子と、前記発熱抵抗体の表面に被着され、放射率が0.8以上の材料からなり、かつ、露出面が凹凸に形成された熱放射層とを有し、非接触で媒体を加熱する加熱ヘッド。
【請求項2】
前記熱放射層が、グラファイト、黒アルマイトまたは黒色ガラスにより形成されてなる請求項1記載の加熱ヘッド。
【請求項3】
前記発熱抵抗体が設けられる前記ヘッド基板上に温度測定用抵抗体が設けられ、該温度測定用抵抗体により測定された温度に基づき媒体の温度を推定し、前記発熱抵抗体に供給する電力を調整する制御手段が、さらに設けられてなる請求項1または2記載の加熱ヘッド。
【請求項4】
なくとも1個の加熱ヘッドと、前記少なくとも1個の加熱ヘッドの熱放射層側と直接媒体が対向するように前記媒体を搬送する少なくとも1組の駆動ローラと、を有し、前記加熱ヘッドが請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱ヘッドである加熱装置。
【請求項5】
前記駆動ローラが、前記媒体を鉛直方向に搬送すべく設けられてなる請求項4記載の加熱装置。
【請求項6】
前記加熱ヘッドと前記駆動ローラとを被覆する被覆容器がさらに設けられてなる請求項4または5記載の加熱装置。
【請求項7】
前記加熱ヘッドと対向する前記媒体を挟んで、該媒体に熱放射層側が対向するようにさらに少なくとも1個の加熱ヘッドが設けられ、前記2個の加熱ヘッドの間を前記媒体が搬送される構造である請求項4〜6のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記少なくとも1組の駆動ローラが、前記加熱ヘッドよりも鉛直方向の下方に設けられ、前記加熱ヘッドより鉛直方向上方に少なくとも1個の送りローラが設けられ、前記駆動ローラにより前記媒体が引っ張られることにより、前記媒体が鉛直方向に搬送されながら、前記加熱ヘッドの前を通ることにより加熱されるように形成された請求項4〜7のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記加熱ヘッドの前記送りローラ側に、記録、転写、塗布、コート、およびフィルム接着のうち少なくとも1つの加工を行う第1加工部が設けられている請求項記載の加熱装置。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された加熱ヘッドの前記熱放射層に媒体を近接させることにより非接触加熱をする加熱方法。
【請求項11】
前記媒体を鉛直方向に搬送しながら加熱する請求項10記載の加熱方法。
【請求項12】
前記加熱ヘッドの周囲を被覆することにより前記加熱ヘッドから放出される熱を保持し、前記媒体の余熱に利用する請求項9〜11のいずれか1項に記載の加熱方法。
【請求項13】
前記媒体に記録、転写、塗布、コート、およびフィルム接着の少なくとも1つの第1加工を施した後に、該媒体を搬送させることにより、前記加熱ヘッドの非接触加熱により前記媒体を乾燥させる請求項10〜12のいずれか1項に記載の加熱方法。
【請求項14】
前記非接触加熱をした後に、さらに前記媒体に記録、転写、塗布、コート、およびフィルム接着のうち少なくとも1つの第2加工を施す請求項10〜13のいずれか1項に記載の加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙類、フィルム類、布類、不織布、テープ類(粘着剤、接着剤)などの連続帯状媒体の予熱、記録、消去、媒体への転写や再転写、トナーの定着、加熱による接着、変形加工、オーバーコート、書類のラミネート加工、シートの接着、インプリント加工(プラスティックなどの凹凸熱加工)などを行うために、媒体に非接触で加熱するための帯状の発熱抵抗体を有する加熱ヘッド、およびそれを用いた加熱装置と加熱方法に関する。さらに詳しくは、加熱加工の前後において非接触で熱放射により媒体を加熱するのに適した加熱ヘッドおよびそれを用いた加熱装置と加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置の小型軽量化による省資源、省エネルギー、速度アップ、高品質加工、省スペース等のため、たとえばカードの記録・消去や、転写・再転写などをするのに、セラミック基板などの表面に発熱抵抗体を帯状に形成した加熱ヘッドを用いて、発熱抵抗体に通電して温度を上昇させ、その上または加熱されたセラミック基板に媒体をプラテンなどで圧接して搬送しながら加熱することにより行われている。しかし、転写・再転写をしたり、インクジェットプリンタなどによる印刷物を高速乾燥したり、定着したりする場合、媒体に吸湿性が少ない場合や、印刷面などにトナーと共に、そのキャリア液が残存し、完全にトナーだけの状態にならない場合がある。そのような場合、圧接加熱により乾燥をしようとすると、転写や印刷をした画像の流れ(劣化)が生じ、画像不良になる。そのため、非接触で加熱することが行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、図8に示されるように、第1ニップ70と非接触加熱装置80と第2ニップ90とを備え、プリントされた媒体をこの順で通して定着する装置が開示されている。この第1ニップ70は、定着ローラ71が上下に移動できるようにされており、媒体60の吸湿性がよくなくて、キャリア液が残存する場合には、図8に示されるように、定着ローラ71が上に持ち上げられて、第1ニップの加圧ローラ72上を進むだけで、定着ローラ71と加圧ローラ72とにより挟み付けて加圧して加熱することはされないで、非接触加熱装置80に進むようにされている。そして、非接触加熱装置80で放射熱により加熱されて、第2ニップ90では、定着ローラ91と加圧ローラ92により加圧しながら加熱して、完全に定着させるものである。この非接触加熱装置80は、媒体60の上下両面に遠赤外線ヒータ81が配置されているが、詳細な構造に関しては何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−120330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、赤外線ヒータ81で加熱する場合、一般的に大型のヒータ装置が使用され、熱利用の観点からは非常に無駄が多く効率が悪くなる。すなわち、放射熱を利用する場合、放射物体、および吸収物質により、その放射率、透過率が異なり、放射した熱量を有効に利用することに関して、何も考慮されていない。また、図8に示されるように、搬送ベルト82により媒体60が搬送される構造では、放射熱は殆ど搬送ベルト82で遮断されてしまい、非常に熱効率が悪くなると共に、上下の加熱を均等にすることは非常に難しい。しかし、今日のエネルギー事情に鑑み、電力の無駄な消費を避け、効率的に加熱することが求められている。
【0006】
従来の、たとえばカード類の記録や消去などを行う加熱ヘッドは、そのカードなどの媒体の幅などに合せた長さの発熱抵抗体を用いて、小型、かつ、コンパクトで、熱利用効率の優れた加熱ヘッドを用いてその発熱部に直接接触させて加熱が行われ、発熱する熱を有効に利用することができるので、エネルギーの有効利用という観点で、非常に優れている。しかし、このような加熱ヘッドのタイプで非接触加熱をするものは実用化されていない。一方、赤外線ランプヒータなど大掛かりな装置を用いて加熱すると、無駄な熱の放散が非常に多くなり、今日のエネルギーの有効利用が叫ばれている状況下においては、非常に好ましくない。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、従来の加熱ヘッド型の加熱装置を用いて、効率的な発熱をしながら、非接触加熱する必要がある場合でも、放射効率を高めてエネルギーの利用効率を高めた非接触型の加熱ヘッドおよびその加熱ヘッドを用いた加熱装置と加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱ヘッドは、平面形状が矩形状のヘッド基板と、該ヘッド基板の一面に長手方向に沿って形成される帯状の発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に接続され、電流を流すための一対の電極端子と、前記発熱抵抗体の表面に被着され、放射率が0.8以上の材料からなり、かつ、露出面が凹凸に形成された熱放射層とを有し、非接触で媒体を加熱するものである。なお、熱放射層の露出面の凹凸は、微少粗面とし、さらに点状に凹凸が形成されたり、曲面に形成されたりして、熱を放射する面積大きくされることが好ましい。
【0009】
ここに熱放射層とは、熱の伝達に必要な赤外線の放射に優れた被膜を意味し、熱伝導による放熱を意図するものでは無い。すなわち、できるだけ放射率の高い材料が好ましく、放射率を向上させる表面構造に形成されることが好ましい。具体的に放射率とは、完全黒体を1.0として比較して示された値で黒鉛(グラファイト)が最高で1.0である。金属酸化物系やガラス、石英も放射率が大きいが、金属は小さい物が多く好ましくない。さらに具体的には、黒色アルマイトの放射率が0.95で好ましい。また、黒色塗装や黒色ガラスなどでも放射率は0.85程度で使用できるが、放射率の大きな顔料などを多く含む材料であれば好ましい。また、表面は、凹凸が形成され、表面積が大きい方が好ましい。図1に示される例は、規則的な面、角錐、曲面などの凹凸が形成されているが、その表面はさらに粗面とし、このような整然とした凹凸ではなく、ランダムな凹凸でもよい。また、同一基板でも表面積が大きくなる形状が特に好ましい。また、表面の状態とは関係ないが、放射熱量は、表面の絶対温度の3〜4乗に比例するので、表面温度が高い方が好ましい。さらに、媒体との距離が近いほど効率的に加熱することができる。さらに、熱に変換し易い波長の一例では、波長が1〜15μmの領域で、近赤外、中赤外、遠赤外線であることが好ましい。
【0010】
なお、加熱される媒体は一部透過し発熱しないが透過後、対板で反射してくれればよいので、放射率がよくて反射もよい材料形状がよい。赤外線は電磁波なので波長や材料および放射層面と媒体の間に存在する気体によっても透過、吸収発熱に関与する。
【0011】
前述のように、前記熱放射層が、グラファイト、黒アルマイトまたは黒色系顔料を混合したガラスにより形成されていることが好ましい。なお、黒色でもよくない物もある。ストーブ等に使用される専用塗布物は様々に開発され進化している。
【0012】
前記発熱抵抗体が設けられる前記ヘッド基板上に温度測定用抵抗体が設けられ、該温度測定用抵抗体により測定された温度に基づき媒体の温度を推定し、前記発熱抵抗体に供給する電力を調整する制御手段が、さらに設けられていることが好ましい。なお、重要なのはヘッド表面の温度ではなく、媒体の温度の制御であり、媒体までの距離の設定、測定制御も必要である。
【0013】
本発明の加熱装置は、少なくとも1個の加熱ヘッドと、前記少なくとも1個の加熱ヘッドの熱放射層側と直接媒体が対向するように前記媒体を搬送する少なくとも1組の駆動ローラと、を有し、前記加熱ヘッドが請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱ヘッドで形成されている。なお、媒体の搬送は、連続の場合、または間欠的の場合がある。なお、媒体としては、カード上、連続した長尺状のもの、キャリアが使用されるものなどを含む。
【0014】
前記加熱ヘッドと対向する前記媒体を挟んで、該媒体に熱放射層側が対向するようにさらに少なくとも1個の加熱ヘッドが設けられ、前記2個の加熱ヘッドの間を前記媒体が搬送される構造であることが好ましい。
【0015】
前記少なくとも1組の駆動ローラが、前記加熱ヘッドよりも鉛直方向の下方に設けられ、前記加熱ヘッドより鉛直方向上方に少なくとも1個の送りローラが設けられ、前記駆動ローラにより前記媒体が引っ張られることにより、前記媒体が鉛直方向に搬送されながら、前記加熱ヘッドの前を通ることにより加熱されるように形成されることにより、媒体を搬送するベルトコンベヤなどを媒体と加熱ヘッドとの間に介在させる必要が無いので、効率的に加熱をすることができるという観点から好ましい。すなわち、ベルトコンベヤに載せるということは両面加工のときは不利で、ベルトコンベヤをなくすると、下方に垂れさがる場合も想定される。
【0016】
前記加熱ヘッドの前記送りローラ側に、記録、転写、塗布、コート、およびフィルム接着のうち少なくとも1つの第1加工を行う加工部が設けられていることにより、加工された状態で完全には定着していない加工品でも、そのまま連続的に乾燥させて定着させることができるので、非常に好都合である。
【0017】
本発明の加熱方法は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された加熱ヘッドの前記熱放射層に媒体を近接させることにより非接触加熱をするものである。前記加熱ヘッドの周囲を被覆することにより、前記加熱ヘッドから放出される熱を保持し、前記媒体の余熱に利用するものである。
【0018】
前記媒体に記録、転写、塗布、コート、およびフィルム接着の少なくとも1つの第1加工を施した後に、該媒体を搬送させることにより、前記加熱ヘッドの非接触加熱により前記媒体を乾燥させることにより、媒体への加工から乾燥までを一括して行うことができる。前記非接触加熱をした後に、さらに前記媒体に記録、転写、塗布、コート、およびフィルム接着の少なくとも1つの第2加工を施すこともできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の加熱ヘッドによれば、加熱ヘッドの発熱抵抗体の表面に放射率が0.8以上の熱放射層が設けられ、しかも、その熱放射層の表面に凹凸面が形成されているので、小形に形成された加熱ヘッドで発生した熱を、非常に効率的に熱放射させて媒体を加熱することができる。従って、熱の発生から放射までを非常に効率よく行うことができ、エネルギー資源を非常に有効に利用することができ、地球環境に優しい加熱ヘッドが得られる。なお、インクジェット等の水分や溶剤の場合、温度上昇に加えて蒸発させるための気化熱が必要となるが、これは4番目の熱の移動量になる。しかし、後述するように、本発明の加熱装置によれば、被覆容器により加熱ヘッドが被覆されているので、被覆容器内の温度が上昇しており、有効に気化熱を供給することもできる。
【0020】
また、本発明の加熱装置によれば、上述した加熱ヘッドおよび媒体を搬送する駆動ローラの周囲を被覆する被覆容器が設けられているので、放射された熱は、被覆容器内に保持することができる。そのため、媒体が加熱ヘッドの前まで搬送されなくても、被覆容器内に搬入されるだけで、媒体の温度を上昇させることができ、媒体の予熱に利用することができる。その結果、より一層媒体の加熱を効率的に行うことができる。なお、予熱に使用された気体は水分の他に溶剤や有機化合物を含み、適当な汚染防止処理をして排気する必要があるが、被覆容器から排気することにより、容易に汚染防止を図ることができる。
【0021】
さらに、少なくとも1組の駆動ローラが鉛直方向の下流側、すなわち、水平面に対して垂直方向に設けられ、媒体が鉛直方向に搬送されるように構成されることにより、媒体を鉛直方向に搬送することができる。その結果、媒体をベルトコンベヤなどにより搬送する必要がなく、媒体の両面から加熱する場合でも、加熱ヘッドにより直接加熱することができる。しかも、両面と加熱ヘッドとの距離を等しくすることができ、両面をそれぞれ均一に加熱することができる。その結果、非常に効率よく輻射による加熱をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の加熱ヘッドの一実施形態を示す平面説明図および断面説明図である。
図2】本発明の加熱装置の一実施形態を示す断面説明図である。
図3図1に示される加熱ヘッドの動作回路の一例を示す回路図である。
図4図2に示される加熱装置の前段に転写加工部が設けられた例を示す説明図である。
図5図2に示される加熱装置の前段に設けられる他の後部の例を示す図である。
図6図2に示される加熱装置の変形例を示す図である。
図7】温度測定用抵抗体を用いて温度を測定する原理の説明図である。
図8】従来の定着装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに、図面を参照しながら本発明の加熱ヘッドおよび加熱装置と加熱方法について説明をする。図1には、本発明による加熱ヘッドの一実施形態を示す平面説明図、熱放射層5を除去した状態の平面説明図および長手方向と垂直な断面説明図が、それぞれ示されている。平面形状が矩形状のヘッド基板1の一面に、長手方向に沿って帯状の発熱抵抗体2が形成され、発熱抵抗体2に接続される一対の電極端子4が形成されている。そして、発熱抵抗体2の表面に、放射率が0.8以上の材料で、露出面に凹凸5aが形成された放熱板5が設けられている。
【0024】
図1に示される例では、発熱抵抗体2が1本設けられた例が示されているが、発熱抵抗体2の本数は制限されない。また、図1に示される例では、図1(b)に示されるように、発熱抵抗体2の傍に、温度測定用抵抗体3が設けられている。この温度測定用抵抗体3は、発熱の目的ではなく、温度係数の大きい抵抗体を用いて、ヘッド基板1の温度を測定し、媒体の温度を推定するためのものである。従って、他の方法で媒体などの温度が測定されるなら不要である。さらに、発熱抵抗体2および温度測定用抵抗体3は、ヘッド基板1に直接設けられるのではなく、ガラス層など、熱抵抗の大きい絶縁層などからなるグレース層とも呼ばれる熱絶縁層6を介して設けられている。発熱抵抗体2で発熱した熱をできるだけヘッド基板1側に逃がさないようにするためである。さらにヘッド基板1の裏面側は、たとえば多孔質セラミックス、熱伝導度の小さい耐熱樹脂系基板類などからなる熱絶縁層7を介してベース8に接続され、ベース8はホルダー9に固定されている。ホルダー9の裏側も、後述する図2で説明されるように、たとえばアルミニウムなどから断熱性の被覆容器34により被覆され、空間33を確保して、できるだけ熱が放散しないように形成される。
【0025】
すなわち、本実施形態の加熱ヘッド10は、非接触加熱用として形成され、発熱抵抗体2の表面に熱放射層5が形成されていることに特徴がある。熱放射層5としては、前述のように、熱伝導により放熱するのではなく、熱放射し易い物質でコートするものである。従って、材料としては、熱を移動させる電磁波の放射率の高い材料が用いられる。放射率は、一般的には、0〜1.0(黒鉛:グラファイト)のものがあり、金属は放射率が小さく、黒酸化物系は放射率が大きい。ガラスや石英も放射率は大きい。この放射率の観点からは、グラファイト(1.0)、黒色アルマイト、ガラス、ゴムなど(0.9)、黒ラッカー(0.9)、黒色塗装(0.85)、エポキシガラス、紙フェノール、ポリテトラフルオロエチレンガラス(0.8)、などのうち耐熱性が高く変質し難い材料を用いることができる。さらに、この熱放射層5の表面は、凹凸面や曲面(波状)に形成され、表面積が大きいことが好ましい。図1に示される例では、規則的な凹凸が長手方向およびその垂直方向に形成された例が示されているが、このように規則的な凹凸にする必要は無い。しかし、たとえば図1に示されるような凹凸は、10〜50μm程度の幅で、10〜50μm程度の深さに形成されているが、その程度のメッシュを押し付けて形成されたものでもよく、また、深さが、10μm程度の粗面に形成されたものでもよい。この凹凸や曲面が点状に形成されることにより、表面積を倍程度にすることができるため好ましい。
【0026】
具体的には、発熱抵抗体2と同様の酸化ルテニウム(RuO2)とアルミナ(Al23)との混合物主体とする(発熱抵抗体2では、さらにAgが混入され、抵抗値が調整されている)のペーストが印刷などにより塗付され焼結することにより形成されている。従って、完全に硬化する前に、前述のメッシュなどを押し付けることにより、表面に凹凸が形成され、所望の粗面にも形成することができる。
【0027】
さらに、物体の熱放射量は、(放射率)×(物体表面の絶対温度の4乗(K4))に比例することが知られている。従って、この熱放射層5の表面温度を高くすることが熱放射量を大きくする上で好ましい。その観点から、発熱抵抗体2で発生した熱ができるだけ逃げないで熱放射層5に集中するようにすることが好ましい。従って、前述のように、発熱抵抗体2とヘッド基板1との間に熱絶縁層6が形成され、発熱抵抗体2で発生した熱ができるだけヘッド基板1側に伝達しないように形成されている。さらに、ヘッド基板1とベース8との間にも、前述のような熱絶縁層7が介在されることにより、発熱抵抗体2の熱量がベース8側に逃げるのを防止している。
【0028】
ヘッド基板1は、たとえば長さ約60mm、幅約8mm、厚さ約0.6mmの略矩形状の板材からなり、縦、横に接続すれば所望の大きさの加熱装置にすることができる。しかし、ヘッド基板1としても、その大きさに制限はされず、たとえば幅を大きくして、発熱抵抗体2の数を増やすこともできる。更にヘッド基板1を複数個接続する場合でも、長手方向のみならず、垂直方向にも接続でき、任意の3次元空間も製作可能である。
【0029】
発熱抵抗体2は、たとえばAg+Pd+RuO2+Pt+金属酸化物+ガラスなどの粉末を選択してペースト状にして塗布して、焼成することにより形成されている。焼成により形成される抵抗膜のシート抵抗は100mΩ/Sq〜100kΩ/Sqが得られ(固形絶縁粉末の量によっても異なる)、両者の比率により抵抗値や温度係数を変えることができる。また、導体(電極4)として使用する材料としては、端子接続の関係で使用温度により変る。Agが多い程抵抗を低くすることができる。
【0030】
1個の発熱抵抗体2の大きさは、たとえば、厚さは約20μm、長さは直線状でヘッド基板1の長さ60mmと同じ長さに形成され、その端部でヘッド基板1の幅方向に折り曲げられ、その折り曲げられた部分に電極4が接続されている。このような構造にすることが、ヘッド基板を複数個連結するのに都合がよい。しかし、ヘッド基板1の端部で、側面を介して側面または裏面側で電極4と接続する構造にすることもできる。熱放射面積はヘッド基板1の全面であり、幅8mm、長さは60mmで、前述のように縦横共に別のヘッド基板1を接続して大きさを自由に選択することができる。抵抗値は200℃用で約8Ω、抵抗温度係数を約1500ppm/℃(温度が100℃変化すると抵抗値が15%変化する)に形成されている。しかし、使用温度に応じて変更できる。発熱抵抗体2の発熱特性は、これに限定されず、自由に設定することができるが、発熱抵抗体2の抵抗温度係数は正に高い方が好ましく、とくに1000〜3500ppm/℃の材料を用いることが、後述する発熱抵抗体2の温度を検出して制御するのに好ましい。
【0031】
抵抗温度係数が正に大きいということは、温度が上昇すると抵抗値の増加が大きいことであるから、発熱させた状態における抵抗値測定により基準抵抗値からのずれにより実際の発熱温度の検出を容易に精度よく行え、印加電圧を調整し、または印加パルスのデューティを調整することにより所望の発熱温度からのずれを修正しやすくなる。また、抵抗温度係数が正であることにより、温度が上昇し過ぎた場合に抵抗値が増大して電流値が下がり、抵抗による発熱量が下がるため、より早く温度が飽和状態となり、高温時の温度安定性に優れているからであり、熱暴走などによる過熱を防止できるからである。なお、発熱抵抗体2の幅も前述の例に限定されず、用途に応じて設定され、複数本並列に並べてもよい。
【0032】
また、発熱抵抗体2の両端部には、たとえばパラジウムの比率を小さくした銀・パラジウム合金やAg-Pt合金などの良導電体からなる電極4が印刷形成されている。この電極4は、ホルダー9と兼用の配線基板に接続され、配線基板に設けられる外部接続端子を介して電源が接続されて発熱抵抗体2に通電される構造になっている。
【0033】
温度測定用抵抗体3は、発熱抵抗体2と同じ材料で形成されてもよいが、好ましくはできるだけ温度係数の絶対値(%)が大きい方が好ましい。この温度測定用抵抗体3は、発熱させるものではなく、ヘッド基板1の温度を検出して、媒体の温度を推定するもので、たとえば0.5mm幅、45mm程度の長さで、56Ω程度に形成され、温度測定用抵抗体3自身は発熱しないよう印加電圧が低く抑えられて、たとえば5V程度が印加される。すなわち、この温度測定用抵抗体3はヘッド基板1上に薄い層で設けられているため、両者の温度は殆ど同じで、温度測定用抵抗体3の温度を測定することにより、ヘッド基板1表面の温度を推測することができる。温度検出手段については後述するが、この温度測定用抵抗体3の両端の電圧変化を検出することにより温度測定用抵抗体3の温度を検出するため、温度係数が大きい方が測定誤差を小さくすることができる。なお、この場合は、温度係数は正でも負でもよい。
【0034】
温度測定用抵抗体3は、発熱抵抗体2と同じ材料とは限らず用途に応じて印刷などにより形成する。しかし、測定温度の精度を必要とする場合には、AgとPdの混合比率を変えたものや、全く別の材料で温度係数の大きいものを用いることもできる。非接触加熱においては基板温度が重要ではなく、移動して加熱される媒体30(図2参照)の温度を測定して熱放射面の温度や媒体30と加熱ヘッド10との間隔を決めることとなる。なお、図1(b)に示される例では、温度測定用抵抗体3の一方の電極は、発熱用抵抗体2の一端部の電極4と共用されて、両者で電極4は3端子に形成されている。勿論、発熱抵抗体2用の電極4とは別々に形成することもできる。
【0035】
なお、この発熱抵抗体2および温度測定用抵抗体3は、一般的にヘッド基板1上に直接設けられないで、前述のように、また、図1(c)に示されるように、熱絶縁層(グレース層)6が2〜3層程度スクリーン印刷などにより設けられ、その上に前述の抵抗体材料がスクリーン印刷などにより設けられ、その表面にさらに熱放射層5が設けられる。非接触加熱のため耐摩耗性は必要ない。
【0036】
なお、図1(c)において、熱放射層5の厚さは約20μm程度であり、厚さが10〜20μm程度の各抵抗体のオーバーコートの役目もある。
【0037】
ベース8の裏面側には、さらにホルダー9が設けられている。このホルダー9は、たとえばプリント配線板などが用いられ、回路基板として利用することもできる。すなわち、発熱抵抗体2用の電極4および温度測定用抵抗体3の電極4と外部電極端子との接続用に使用することができる。なお、図示しないサーミスタが、過熱防止二重安全用にヘッド基板1の裏面に設けられる場合もある。さらには、後述する加熱される媒体30自身の温度が温度センサなどで測定されることもある。
【0038】
この加熱ヘッド10を用いた本発明の加熱装置は、たとえば図2に概略図で示されるような構成にすることができる。すなわち、加熱ヘッド10の長手方向が水平面と平行になるように、換言すると、加熱ヘッド10の幅方向が水平面に対して垂直になるように、加熱ヘッド10がセッティングされ、その熱放射層5の表面側を接触しないで媒体30が鉛直方向に搬送されるように、上流側の送り用ローラ31と、下流側の一対の駆動ローラ32により、媒体30が搬送される構成になっている。すなわち、駆動ローラ32により媒体30が駆動され、送り用ローラ31は緊張を保つための「滑り」をもたせた圧力になるローラである。図2に示される例では、媒体30を挟んで一対の加熱ヘッド10が媒体30と接触しないように設けられ、さらに、鉛直方向にも2個ずつの加熱ヘッド10が並置して設けられている。すなわち、一対の加熱ヘッド10がその熱放射層5を対向させて配列され、その間を媒体30が直接加熱ヘッド10と対向して通るように搬送される構造になっている。このような一対の加熱ヘッド10が対向して配置されることにより、媒体30の表裏両面から同じ温度に加熱されるため、効率よく、しかも均一に加熱することができる。しかし、片面は、図6で後述するように、単純な加熱板が配置されてもよいし、一方だけに設けられて片面の加熱でもよい。また、図2に示される例では、鉛直方向にも加熱ヘッド10が2個ずつ配列されているが、この鉛直方向の配列の数も、加熱する媒体30、および媒体30の搬送スピードなどにより自由に設定することができる。
【0039】
図2のローラ31に沿う媒体30のローラ31に接しない面に、サーマルプリントヘッド、インクジェットヘッド、皮膜コータなどの加工部が設けられることが、加工した状態でそのまま非接触で乾燥させることができるので好都合である。たとえば図4に示されるように、サーマルヘッド40の発熱体41で印刷をしながら、媒体32を送り出すことにより、インクの乾ききらない状態のものが、図2に示されるような加熱層の加熱ヘッド10の間に自動的に送られて乾燥させ、さらに、駆動ローラで挟み付けて完全に焼き付けることができる。なお、図4において、42は駆動部、43はインクリボン、44は、インクリボン43の回収用ローラである。なお、送りローラ31は、媒体30のたるみを防止するため、バネで緊張させてもよいし、この部分で方向を曲げてもよい。その場合被覆容器34は31とヘッド10の間にまで移動させることになる。また、図4は、サーマルプリントヘッド40を取り付けた例であるが、サーマルプリントヘッド40に代えて、後述するインクジェットヘッドや皮膜コータなど、他の加工部を取り付けることができる。
【0040】
この鉛直方向に配列される加熱ヘッド10の数は、特に加熱ヘッド10の発熱抵抗体2の本数によっても変わる。すなわち、図1に示される例では、1本の幅広の発熱抵抗体2が設けられているが、この数が少なければ加熱ヘッド1の数が多くなるし、発熱抵抗体2の数が多ければ、または発熱抵抗体2の幅が広ければ、加熱ヘッド10の数を減らすことができる。たとえば発熱抵抗体2の本数を5本以上に増やすことも可能であり、媒体の種類や搬送速度などにより、加熱ヘッド10の数は適宜選定される。
【0041】
上述のように、上流側駆動ローラ31が鉛直方向の上側に設けられ、下流側の駆動ローラ32が下側に配置され、媒体30が鉛直方向に搬送されるように構成されることにより、媒体30は自重で下側に垂れ下がるため、加熱ヘッド10に触れにくいため好ましい。従って、媒体を搬送するベルトコンベヤなども必要でなくなり、媒体30の両面側から効率よく加熱することができる。その結果、媒体を加熱ヘッドの放熱板5に非常に接近させながら、媒体を加熱ヘッドに接触させることなく搬送することができ、より一層加熱効率を向上させることができる。
【0042】
図2に示される加熱装置のもう1つの特徴は、この加熱ヘッド10および下流側の駆動ローラ32の全体が被覆容器34で覆われていることである。このように、被覆容器34で覆われていることにより、加熱ヘッド10の裏面側も殆ど移動しない滞留した空気33で覆われるため、加熱ヘッド10自体の温度低下を防止することができる。その結果、小形の発熱抵抗体2を加熱するだけで、放射熱による非接触加熱を非常に効率よく行うことができる。さらに加熱された空気は上昇し余熱利用にもなる。
【0043】
図1に示される加熱ヘッド10の駆動回路が図3に示されている。すなわち、この駆動回路は直流または交流の電源29で駆動する例で電源29としては、電池、商用電源または商用電源29をトランスなどにより電圧や印加時間を調整して、印加電力を調整する調整部27を介して発熱抵抗体2に接続される電極4(図1参照)に駆動電力が供給されるようになっている。その結果、交流電源をそのまま使用することもでき、商用の交流電源29により供給される電圧は、電力の調整部27により調整され、所望の温度になるように調整される。その結果、直流電源が不要で、電源冷却ファンも不要になる。しかし、電池による直流電源を用いることもできる。その温度は、温度測定用抵抗体3を利用して、定電流源25により供給される電流と、温度測定用抵抗体3の両端の電圧Vの測定により、温度を測定して、その温度により電力の調整部27で電圧などを調整できるようになっている。調整部27は、特に複数の加熱ヘッド10を並べて加熱する場合に、各加熱ヘッドの温度を均一にするために有効である。
【0044】
この温度測定の原理を、もう少し簡略化した図7を参照しながら説明する。直流電源21の両端に調整抵抗体24と定電流装置CCR(current controlled regulator)25を温度測定用抵抗体3と直列に接続しておき、温度測定用抵抗体3の両端の電圧Vを測定すれば、温度検出手段23により、その電圧を定電流で割り算することにより、温度測定用抵抗体3のその時点での抵抗値を知ることができ、予め分っている温度測定用抵抗体3の温度係数(材料により定まる)とから温度を算出することができる。その検出温度に応じて、制御手段26から調整部27により発熱抵抗体2の両端に印加する電圧を制御することにより、ヘッド基板1の温度を所定の温度に維持することができる。この制御手段26による発熱用抵抗体2の温度制御は、印加電圧をパルスにして、そのパルスのデューティを変えてもよいし、電圧そのものを変化させてもよい。
【0045】
温度測定用の抵抗体は、前述のように、好ましくはできるだけ温度係数の絶対値(%)が大きい方(正でも負でもよい)が好ましい。また、温度測定のみに用いる場合には、たとえば0.3〜0.5mm幅程度で、ヘッド基板1の適当な位置(発熱抵抗体2の近傍)に取り付けることが好ましく、温度測定用抵抗体3自身は発熱しないよう印加電圧が低く抑えられて5V程度の直流電圧の印加が好ましい。これにより、ヘッド基板1の表面の温度を推測することができる。しかし、たとえば図2に示される構造で、鉛直方向に並ぶ2個の加熱ヘッド10の間から媒体30の温度を直接サーモパイルなどの熱赤外線センサを使用した温度計で点測定をできる。
【0046】
前述の図4に示される加工部では、サーマルプリントヘッドの例であったが、その代りに種々の加工部を配置することができる。たとえば図5(a)には、圧接加熱転写し、そのトナーを定着する例である。すなわち、媒体30と転写用フィルム45とを同時に進行させながら、プラテンローラ46と小ローラ47とで圧接しながら小ローラ47を加熱ヘッド48により加熱して転写するものである。なお、この加熱ヘッドは、図1に示されるような非接触型の加熱ヘッドではなく、通常の圧接による接触加熱をできる加熱ヘッドである。このような転写の場合、媒体30によっては、定着や硬化が不十分な状態で送られる場合があるので、そのまま前述の図2に示される加熱装置に送られることにより、画像の乱れが生じることなく非接触で乾燥することができる。
【0047】
また、図5(b)に示される例は、平面プラテン49とホットスタンプ50とでホットスタンプ50を上下させてプリントするもので、媒体30とインクリボン51などとを搬送させながら、ホットスタンプ50を上下させ、ホットスタンプ50を下したときに数字などの画像を転写するものである。この平面プラテン49の表面は、軟質ゴム、スポンジ、フェルトなどで形成されており、ホットスタンプの加熱時間によって媒体30をステップ搬送されるが、連続搬送も可能である。この場合も、媒体30により定着、硬化が完全でない場合があるので、非接触の加熱装置で加熱することが効果的であり、前述の加熱装置に送られる。
【0048】
図5(c)に示される例は、(b)と同様にホットスタンプ50により定着させる例で、同様に平面プラテン49とホットスタンプ50とで加熱してトナー52を定着させるもので、トナーインク51が静電気で転写された媒体30にホットスタンプ50を上下させてトナー52を定着させるものである。この場合も、媒体30により、定着が不十分な場合があるため、さらに非接触の加熱装置に送られ、乾燥させて、完全に定着させる。この場合も、媒体30はステップ搬送される。
【0049】
さらに、図5(d)に示される例は、インクジェットプリンタ54で印刷されたものを前述の非接触の加熱装置に送るもので、図5(d)に示される例では、インクジェットプリンタ54による印刷の前に、媒体を予熱するため、プラテン46と通常の加熱ヘッド48とで圧接して加熱できるようになっている。なお、図5(d)において、53は、ヒータで、加熱して乾燥を早めるようにしているが、媒体30の材質によっては、乾燥が充分でない場合があるため、接触させることなく乾燥加熱して定着させる必要があるので、前述の図2に示される非接触の加熱層に送られる。
【0050】
以上のように種々の加工部を形成することができるが、加工部としては、前述の転写やインクジェットプリントに限らず、記録、塗布、コート、およびフィルム接着など種々の場合に非接触加熱の必要のある加工がされる場合、前述の図2に示される送り用のローラ31の前後に配置して、加工と非接触加熱を連続的に行うことが非常に重要である。さらに、このような第1加工部による加工を行った後に非接触加熱による乾燥をし、その後に、前述のような加工を第2加工として行うことができる。このようなループを繰り返すことにより、非常に効率的に加熱加工を行うことができる。なお、加熱装置としては、前述の駆動ローラ32の次に、前述のような加工装置が配置される。
【0051】
図6は、図2に示される加熱装置の変形例を示す説明図である。すなわち、この例は、媒体30を両面から非接触用の加熱ヘッド10で加熱するのではなく、一方の面はホットプレート55で加熱する例である。一般的には、ホットプレートは熱効率がよくないが、殆ど加熱する必要がなく、媒体30の加熱温度より5〜10℃程度低い温度でよく、また、薄い層でよいため、電力の消耗もほとんどないので、熱効率は向上する。また、被覆容器34内の保温という観点からホットプレート55を用いることも好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1 ヘッド基板
2 発熱抵抗体
3 温度測定用抵抗体
4 電極
5 熱放射層
6 熱絶縁層
7 断熱層
8 ベース
9 ホルダー
10 非接触型の加熱ヘッド
30 媒体
31 送り用ローラ
32 駆動ローラ
33 空間
34 被覆容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8