特許第6228913号(P6228913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228913リチウムイオン電池用アルミニウム合金板材およびその製造方法
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  • 特許6228913-リチウムイオン電池用アルミニウム合金板材およびその製造方法 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228913
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池用アルミニウム合金板材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/00 20060101AFI20171030BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20171030BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20171030BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20171030BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20171030BHJP
   B23K 26/21 20140101ALN20171030BHJP
【FI】
   C22C21/00 L
   C22F1/04 B
   H01M2/02 A
   H01M2/02 F
   H01M2/04 A
   H01M2/04 F
   !C22F1/00 604
   !C22F1/00 623
   !C22F1/00 630M
   !C22F1/00 673
   !C22F1/00 682
   !C22F1/00 683
   !C22F1/00 685Z
   !C22F1/00 686A
   !C22F1/00 691A
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 691C
   !C22F1/00 694A
   !C22F1/00 694B
   !B23K26/21 P
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-506143(P2014-506143)
(86)(22)【出願日】2013年3月11日
(86)【国際出願番号】JP2013056638
(87)【国際公開番号】WO2013141060
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-67416(P2012-67416)
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】特許業務法人あしたば国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(72)【発明者】
【氏名】滝口 浩一郎
【審査官】 相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−037129(JP,A)
【文献】 特開2000−239775(JP,A)
【文献】 特開2000−017364(JP,A)
【文献】 特開2009−019223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00−21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、Mn:0.8%以上1.5%以下、Si:0.6%以下、Fe:0.7%以下、Cu:0.20%以下、Zn:0.20%以下を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金板材のマトリックス中に、最大長1.0μm未満の大きさのAl−Mn−Si系金属間化合物が0.25個/μm以上分布しており、5000μmの視野を画像解析した場合の前記金属間化合物の面積率が3.0%以上であり、
25℃における導電率が45〜55IACS%であり、
表面における平均結晶粒径が、円相当径で50μm以下であること、
を特徴とするリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材。
【請求項2】
請求項1記載の組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を、400〜550℃で3〜48h均質化処理した後、開始温度を400〜550℃とする熱間圧延を行い、その後、加工度70%以上の冷間圧延を行って所定の厚さとし、連続式焼鈍炉中で、昇温速度を100〜500℃/s、焼鈍温度を480〜550℃とする最終焼鈍を施すことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に車載用リチウムイオン電池のケース材および封口材として好適なアルミニウム合金板材であり、特に、ケース材と封口材とをレーザー溶接する際に、溶接欠陥の発生を抑制できるリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車に利用する電池として注目されているリチウムイオン電池は、円筒形あるいは矩形の容器(ケース材)に電極などの内部構造体を封入した後、封口のための蓋(封口材)をレーザー溶接し、電解液を注入することにより形成される。ケース材および封口材の材質には、軽量で、かつプレス成形による一体成形およびレーザー溶接が可能なアルミニウム合金が好適に用いられている。
【0003】
ケース材と封口材とのレーザー溶接の際に、局所的にビードが大きくかつ深くなること(ビード不揃い)に起因して、ポロシティの発生や、内部構造体へ熱影響を与える不具合が発生したり、局所的にビードがふきとび凹みが生じることによって封止部分の残厚が小さくなり、安全性を損なわれるなどの不具合が発生するという問題がある。
【0004】
プレス成形性やレーザー溶接性が良好なアルミニウム合金として、JIS A1050が採用されており、レーザー溶接の際の上記溶接欠陥の発生数を低減するために、JIS A1050中のTi含有量を0.01%以下に抑えるものや、Ti、B含有量を調整し、液相における粘度を0.016Pa・sに抑えるものが提案されている。
【0005】
リチウムイオン電池用アルミニウム合金板材においては、電池の小型軽量化のために、さらに高強度で薄板のものが要望されており、適用されるアルミニウム合金についても、JIS A1050からJIS A3003の使用が望まれるようになっている。しかしながら、JIS A3003は、JIS A1050よりも、含有成分量や金属間化合物が多いため、前記の溶接欠陥を発生し易く、早急な対策が必要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−127075号公報
【特許文献2】特開2009−287116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車載用リチウムイオン電池のケース材と封口材のレーザー溶接には、YAGレーザー(波長:1.06μm)やファイバーレーザー(波長:1.07μm)などのレーザーが使用されている。発明者らは、JIS A3003に含まれるAl−Fe系、Al−Fe−Si系、Al−Mn系、Al−Mn−Si系の金属間化合物のレーザー吸収率が、アルミニウム母材のレーザー吸収率と比較して、高いことに着目して試験、検討を重ねた結果、アルミニウム母材中に、上記の金属間化合物を微細に分散させ、照射されたレーザーの吸収を均一化することにより、レーザー溶接時に発生する溶接欠陥が低減できること、母材の導電率が高い場合、レーザー溶接中に溶接欠陥を生じるような急激な入熱(例えば粗大な金属間化合物にレーザーが命中した場合)が生じた場合にも、熱が逃げ易くなり、溶接欠陥を低減することができることを見出した。
【0008】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その目的は、パルスレーザー溶接や、CW(連続波)レーザー溶接などのレーザー溶接時に発生するビード不揃いや凹みなどの溶接欠陥の発生数を大幅に低減することができるリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための請求項1によるリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材は、質量%で、Mn:0.8%以上1.5%以下、Si:0.6%以下、Fe:0.7%以下、Cu:0.20%以下、Zn:0.20%以下を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金板材のマトリックス中に、最大長1.0μm未満の大きさのAl−Mn−Si系金属間化合物が0.25個/μm以上分布しており、5000μmの視野を画像解析した場合の前記金属間化合物の面積率が3.0%以上であり、
25℃における導電率が45〜55IACS%であり、
表面における平均結晶粒径が、円相当径で50μm以下であること、
を特徴とする。
【0012】
請求項によるリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材の製造方法は、請求項1記載の組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を、400〜550℃で3〜48h均質化処理した後、開始温度を400〜550℃とする熱間圧延を行い、その後、加工度70%以上の冷間圧延を行って所定の厚さとし、連続式焼鈍炉中で、昇温速度を100〜500℃/s、焼鈍温度を480〜550℃とする最終焼鈍を施すことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材の製造方法である
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レーザー溶接時に発生するビード不揃いや凹みなどの溶接欠陥の発生数を大幅に低減することができ、リチウムイオン電池のケース材および封口材として好適に使用できるリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】パルスレーザー溶接におけるビード不揃い部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によるリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材の合金成分の意義およびその限定理由について説明する。
Mn:
Mnは、リチウムイオン電池用アルミニウム合金板材の強度を高めるために有効な元素である。Mnの好ましい含有量は0.8%以上1.5%以下の範囲である。0.8%未満では強度を高める効果が十分ではなく、1.5%を超えると、鋳造時に粗大な金属間化合物を生成し、ケース成形時の破胴を増加させ、封口材成形時の防爆弁部の成形性が低下する。また、Mnはアルミニウム母材中に固溶して導電率を下げ、照射されたレーザーの熱変換効率を高めるとともに、Al−Mn系、Al−Mn−Si系の金属間化合物を生成し、レーザーの吸収率を高めるよう作用する。
【0016】
Si:
Siは鋳塊の均質化処理時に、Al−Mn−Si系の金属間化合物を生成し、金属間化合物の分散性を向上させる効果があるが、Si含有量が0.6%超えると、粗大なAl−Fe−Si系、もしくはAl−Mn−Si系の金属間化合物が生成し易く、これらの金属間化合物がレーザー溶接時に発生する溶接欠陥の起点となる。従って、Si含有量は0.6%以下、より好ましくはSi0.35%以下、さらに好ましくはSi0.05%以下に制限することが望ましいが、Si含有量の低減は高純度地金の使用による製造コストの上昇につながるとともに、固溶Si量の低減に伴い導電率が向上し、照射されたレーザーの熱変換効率が低下し、溶込み深さが減少するため、コスト、要求される溶込み深さとの兼ね合いで最適値を選定することが望ましい。
【0017】
Fe:
Feは鋳塊の均質化処理時に、Al−Fe系、Al−Fe−Si系の金属間化合物を生成し、金属間化合物の分散性を向上させる効果があるが、Fe含有量が0.7%を超えると、粗大なAl−Fe系金属間化合物が増加し、ケース成形時の破胴を増加させ、封口材成形時の防爆弁部の成形性を低下させる。従って、Fe含有量は0.7%以下に制限するのが好ましい。
【0018】
Cu:
Cuは材料表面の電位調整を目的として添加するが、Cu含有量が0.20%を超えると、析出したAl−Cu系金属間化合物を起点とした局所腐食が生じ易くなるため、Cu含有量は0.20%以下に制限するのが好ましい。
【0019】
Zn:
Znの好ましい含有量は0.20%以下の範囲であり、Zn含有量が0.20%を超えると、材料表面の電位が卑になり、全面腐食を起こし易くなる。
【0020】
その他の合金元素として、Cr:0.05%以下、Mg:0.05%以下、Ti:0.05%以下が含有されていても本発明の効果に影響することはない。
【0021】
以下、本発明によるリチウムイオン電池用アルミニウム合金板材の製造方法について説明する。
前記の組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造する。鋳造は一般的な半連続鋳造で行うことができる。鋳造時、照射されたレーザーを吸収して溶接欠陥を生成する要因となり得る粗大な晶出物(金属間化合物)の生成を低減するため、鋳造速度を高めたり、鋳塊(スラブ)厚さを低減するなどの手法をとることが望ましい。
【0022】
得られた鋳塊に対して均質化処理を行う。均質化処理は、Al−(Mn、Fe)−Si系金属間化合物(以下、Al−Mn−Si系金属間化合物という)を微細に析出させる目的で、400〜550℃の温度に3〜48h保持する。均質化処理温度が400℃未満では、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物の析出が不十分となり、550℃以上では、Al−Mn−Si系金属間化合物の凝集による粗大化とMnの再固溶が生じるため、いずれも本発明の効果を得難くなる。均質化処理時間が3h時間未満ではAl−Mn−Si系金属間化合物の析出が不十分となり、48h以上の均質化処理は、析出の効果に対し、均質化処理のコストが合わなくなるため望ましくない。
【0023】
均質化処理に続いて熱間圧延を行う。熱間圧延の開始温度は、熱間圧延中のAl−Mn−Si系金属間化合物の析出を促進するため400〜550℃とする。熱間圧延後、所定の厚さとするため、冷間圧延を行う。冷間圧延によって導入された歪をAl−Mn−Si系金属間化合物の析出サイトとして使用するため、冷間圧延の加工度は70%以上とするのが好ましい。
【0024】
最終焼鈍は、連続式焼鈍炉を使用して行なう。Al−Mn−Si系の微細析出の影響で、再結晶が進行し難くなっているため、昇温速度100〜500℃/sで480〜560℃の温度に昇温して最終焼鈍を施す。焼鈍温度が480℃未満では再結晶が不十分となり、絞りしごき成形やプレス成形時に割れや肌荒れが生じ易くなる。焼鈍温度が560℃を超えると、Mnの再固溶が生じるとともに、再結晶粒の粗大化が生じ易くなる。
【0025】
本発明においては、レーザーの吸収率を高めて溶接欠陥を低減させるため、マトリックス中にMnを含む金属間化合物(Al−Mn−Si系金属間化合物)を特定量析出させることが重要であり、上記の製造工程で製造されたアルミニウム合金板材においては、最大長1.0μm未満の大きさのAl−Mn−Si系金属間化合物が0.25個/μm以上分布しており、5000μmの視野を画像解析した場合の該金属間化合物の面積率が3.0%以上となる。さらに、25℃における導電率が45〜55IACS%、表面における平均結晶粒径が円相当径で50μm以下となり、これらの性状をそなえることにより前記本発明の効果を達成することができる。
【0026】
最大長1.0μm未満の大きさのAl−Mn−Si系金属間化合物を0.25個/μm以上分布させることにより、レーザー溶接時のレーザーの吸収が均一化され溶接欠陥が低減される。5000μmの視野を画像解析した場合の上記の金属間化合物の面積率を3.0%以上とすることにより、さらにレーザー吸収の均一性が高まり溶接欠陥の無いレーザー溶接を行うことができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、本発明の効果を実証する。これらの実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されない。
【0028】
実施例1
表1に示す組成を有するアルミニウム合金A〜Gを溶解し、常法に従い、半連続鋳造法により造塊した。得られた鋳塊(厚さ500mm)を500℃の温度で12h均質化処理した後、圧延面をそれぞれ8mm面削して除去した。その後、500℃の温度で熱間圧延を開始、270℃の温度で熱間圧延を終了し、厚さ5.0mmの熱間圧延板を得た。熱間圧延の後、冷間圧延により厚さ1.0mmとし、さらに加熱速度200℃/sで500℃に昇温し、500℃の温度で120s保持する最終焼鈍を施して試験材1〜7を得た。
【0029】
比較例1
表1に示す組成を有するアルミニウム合金H〜Mを溶解し、常法に従い、半連続鋳造法により造塊した。得られた鋳塊を実施例1と同じ工程で処理し、試験材8〜13を得た。
【0030】
実施例2
実施例1で造塊したアルミニウム合金Fの鋳塊(厚さ500mm)を、表2に示す条件で均質化処理した後、圧延面をそれぞれ8mm面削して除去した。その後、表2に示す条件で熱間圧延、冷間圧延および最終焼鈍を行って試験材14〜28を得た。
【0031】
比較例2
実施例1で造塊したアルミニウム合金Fの鋳塊(厚さ500mm)を、表2に示す条件で均質化処理した後、圧延面をそれぞれ8mm面削して除去した。その後、表2に示す条件で熱間圧延、冷間圧延および最終焼鈍を行って試験材29〜36を得た。
【0032】
実施例1〜2で製造された試験材1〜7、14〜28および比較例1〜2で製造された試験材8〜13、29〜36について、以下の方法により、金属間化合物(Al−Mn−Si系金属間化合物)の画像解析を行ない、導電率、結晶粒径を測定し、レーザー溶接の安定性を評価した。結果を表3〜4に示す。表1〜4において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
【0033】
画像解析:金属間化合物の分布数と金属間化合物の最大長の平均値を、倍率が1000倍の光学顕微鏡写真(各3視野、5000μm)に対し、NIRECO製画像解析装置 LUZEX−APを用いて、最大長1.0μm以上の金属間化合物を除外した後に計測した。
【0034】
導電率:試験材の25℃における導電率を、日本フェルスター製シグマテスト2.069により各5点測定し、最大値、最小値を除外した3点の平均値を測定値とした。
【0035】
結晶粒径:試験材表面の平均結晶粒径を、100倍の光学顕微鏡写真(各3視野)に対し、ASTMの比較法を用いて算出した。
【0036】
レーザー溶接の安定性(ビード不揃い発生数):レーザー溶接は、iPG製YLR−2000(Ytterbium Fiber Laser)を使用して、ファイバー径=0.1mm、周波数=120Hz、ピーク出力=1.6kW、溶接速度=15mm/s、シールドガス=Ar(0.25L/s)の条件で各500mm長さを実施し、図1に示すような局所的に大きさが粗大となったビード不揃いの数を計測することにより評価した。ビード不揃い発生数が0.10個/mm未満のものを合格とした。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
表3〜4に示すように、本発明に従う試験材1〜7および試験材14〜28はいずれも、ビード不揃い発生数が0.09個/mm以下と少なく、レーザー溶接の安定性に優れていた。
【0042】
これに対して、表3に示すように、試験材8〜13はいずれも、合金組成が本発明の条件を外れているため、成形性、レーザー溶接の安定性、あるいは耐食性などの観点からリチウムイオン電池用アルミニウム板材として不適なものとなっている。
【0043】
また、表4に示すように、試験材29は均質化処理温度が低いため、Al−Mn−Si系金属間化合物の析出が不十分となり、レーザー溶接の安定性に劣っていた。試験材30は均質化処理時間が短く、試験材31は均質化処理温度と熱間圧延開始温度が高く、いずれも適切なAl−Mn−Si系金属間化合物の析出が得られず、また、試験材33は冷間圧延の加工度が小さいため、Al−Mn−Si系金属間化合物の析出サイトが少なくなり、レーザー溶接の安定性に劣っていた。試験材32は熱間圧延開始温度が低く、熱間圧延中のAl−Mn−Si系金属間化合物の析出が不十分となり、レーザー溶接の安定性に劣っていた。
【0044】
試験材34は最終焼鈍における昇温速度が小さく、試験材35は最終焼鈍温度が低く、試験材36は最終焼鈍温度が高いため、いずれも適切な再結晶が行われず、成形性に劣ることが確認された。
図1