【実施例】
【0017】
このシリンジ固定機構1は、
図1〜
図6に示すように、シリンジSの外周部を受ける受け面11を有する載置台10と、受け面11に略平行に沿う回転運動により、受け面11に対向してシリンジSの外周部を挟持可能なクランプ位置(
図1(a)に示す位置)と、同シリンジSの外周部を挟持不能な非クランプ位置(
図1(c)に示す位置)との間で回動するクランプ20と、一端側にクランプ20を固定するとともに他端側を載置台10に対し回転可能に貫通させた回転軸30と、回転軸30の前記他端側に設けられた複数(図示例によれば3つ)の歯車41,42,43と、これら歯車41,42,43と連動して双方向へ回転する回転カム44と、回転カム44に係合されることで載置台10の端部に接近離隔する挟持部材50と、挟持部材50の位置を検出する位置センサ60とを備える。
そして、このシリンジ固定機構1は、
図7に示すように、シリンジポンプAのシリンジ装着部位に組み込まれる。
【0018】
なお、このシリンジ固定機構1に装着されるシリンジSは、円筒状のシリンダ部s1と、該シリンダ部s1の後端部から径外方向へ延設されたフランジ部fと、シリンダ部s1に対し後方側から挿入されたピストン部pとを具備している。
フランジ部fは、平面視(
図5の右側から視ると)略横長楕円状に形成され、載置台10と挟持部材50とによって挟持される鍔状の被挟持部f1と、該被挟持部f1よりも径外方向へ長い鍔状の長尺状部分f2とを有し、正規位置では、被挟持部f1が載置台10の端部と挟持部材60との間に挟まれるようになっている。
【0019】
載置台10は、載置されるシリンジSの長手方向へ連続する略凹状の受け面11と、クランプ20を支持する支持軸12とを一体に具備し、図示例によれば、合成樹脂材料の成形によって平面視略正方形状に形成されるとともにその下面側(
図2における下面側)を略凹状に凹ませている。
【0020】
受け面11は、シリンジSにおけるシリンダ部s1を、周方向において部分的に受けるように凹状に形成される。この受け面11は、載置されるシリンジSの長手方向に沿うようにして、載置台10の一端部から、該一端部と逆側の他端部の全長にわたって連続している。
【0021】
支持軸12は、受け面11の連続方向に交差する平面方向へ、受け面11から離れて配置される。
この支持軸12は、載置台10から上方へ突出する略円筒状に形成され、その外周部には、受け面11に対する接近離隔方向(換言すれば上下方向)へ連続する溝状のガイド部12aが設けられる。また、支持軸12外周部の上端側には、周方向へ所定長さだけ略C字状に連続する環状凹部12bが形成される。この環状凹部12bは、凹溝状の前記ガイド部12aの上端部に連通しおり、クランプ20を周方向へ案内し回転させる。
【0022】
クランプ20は、受け面11との間にシリンジSのシリンダ部s1を挟むクランプ本体部21と、該クランプ本体部21を回転操作するための略円柱状の操作部22とを、一体回転可能に具備している。
このクランプ20は、操作部22の内部が支持軸12に支持されることで、支持軸12に対し上下移動可能であって、且つ、上方側へ移動した際に、前記環状凹部12bに嵌り合って回動することで、前記クランプ位置(
図1(a)参照)と前記非クランプ位置(
図1(c)参照)との間で約90度回転する。
【0023】
クランプ本体部21は、前記クランプ位置にて、受け面11の連続方向に対し略直交して受け面11に対向する棒状に設けられ、その下端部には、シリンジSの外周部に対し上方側から嵌り合う凹部21aを有する。このクランプ本体部21の基端側は、操作部22の外周部に接続されている。
【0024】
操作部22は、外周部に滑り止め用の凹凸を有する略円筒状に形成され、その内部には、支持軸12の上端側に対し回転可能に嵌り合う嵌合穴22aと、該嵌合穴22aの内周面から突出して支持軸12外周のガイド部12a及び環状凹部12bに嵌り合う突起状の被ガイド部22bとを有する。
嵌合穴22aは、支持軸12を下方から挿入する有底穴状であって、支持軸12の外径よりも若干大きい内径に形成される。
被ガイド部22bは、上記クランプ位置では支持軸12外周のガイド部12aに対し嵌り合って上下方向へ移動し、支持軸12上端側では環状凹部12bに嵌り合って周方向へ所定量回動するように形成される。
【0025】
また、回転軸30は、円筒状又は円柱状の軸体であり、その一端側にクランプ20を一体回転可能に固定するとともに、その他端側を、支持軸12の中心部に対し回転可能に貫通させ、載置台10の下方へ突出させている(
図2参照)。
この回転軸30は、支持軸12の内周面に対し、オーリングや軸受部材等を介して、上下方向へスライド可能であって且つ周方向へ回転可能に嵌合している。
また、この回転軸30における載置台10よりも下側には、歯車41が環状に固定され、この歯車41よりも更に下側には、付勢部材31が装着され、この付勢部材31よりも更に下側には、付勢部材31の下端を受けるようにして受け部材32が固定されている。
【0026】
歯車41は、回転軸30と一体回転可能なように、該回転軸30の外周部に固定された歯車であり、下方側から、バネ受け31aを介して付勢部材31に押圧されることで、載置台10の下面に押し付けられている。
【0027】
付勢部材31は、図示例によれば圧縮コイルスプリングであり、回転軸30の外周部に対し遊びを有する状態で環状に装着される。この付勢部材31は、クランプ20及び受け部材32が載置台10に相対し上方へ移動した際に、歯車41と受け部材32との間で収縮して弾発力を蓄積する。
【0028】
また、受け部材32は、図示例によれば、付勢部材31を下方側から覆う略有底筒状に形成され、付勢部材31の下端側の座面を受けている。
【0029】
また、歯車41に噛み合う歯車42,43は、それぞれ、
図4に示すように、載置台10の下端面に対し、双方向へ回転するように支持されている。
より詳細に説明すれば、歯車42は歯車41に対し噛み合い、歯車43は歯車42に対し噛み合っている。
これら歯車41,42,43は、後述する回転カム44を受け面11の略真下に配置するためのものであり、1対1のギヤ比で噛み合っている。なお、他例としては、前記ギヤ比を変えることも可能である。
【0030】
回転カム44は、歯車43と一体回転可能なように該歯車43に対し同軸状に固定され、
図4に破線にて例示するように、歯車43と載置台10下面との間に位置している。
この回転カム44は、略円板状に形成されるとともに、その外周部に、略凹状のカム面44aを有する。このカム面44aは、周方向寸法を遠心方向へ向かって徐々に拡大する略扇形の凹状に形成される。この形状によれば、このカム面44aにおける周方向の両端側には、傾斜面が形成され、この傾斜面が、回転カム44の回転に伴って挟持部材50の係合突起51aに摺接して、挟持部材50を進退させる。
【0031】
挟持部材50は、回転カム44のカム面44aに係合される被係合部51と、該被係合部51から受け面11の連続方向の一方へ延設されて、載置台10の側壁部10aに貫通したロッド部52と、このロッド部52における載置台10外側に連結された挟持片部53とから一体に構成される。
【0032】
被係合部51は、回転カム44と載置台10の側壁部10aとの間に位置する部材であり、カム面44aに対向するように係合突起51aを有する。この係合突起51aは、カム面44a両端の傾斜面に摺接されて進退する。
【0033】
ロッド部52は、受け面11と略平行な方向に間隔を置いて複数(図示例によれば二つ)設けられる。各ロッド部52は、略円柱状に形成され、側壁部10aを貫通して、該側壁部10aの両側へ突出する。このロッド部52外周部における前記被係合部51と前記側壁部10aとの間には、付勢部材54(図示例によれば、圧縮コイルスプリング)が環状に装着される。この付勢部材54は、挟持部材50全体を回転カム44側へ付勢している。
【0034】
また、挟持片部53は、載置台10の端面に対し略平行する略板状に形成される。この挟持片部53の挟持面(換言すれば,載置台10側の面)には、受け面11の幅方向(
図4の載置台10下面における上下方向)へ長尺な突起53aが設けられる。
この突起53aは、シリンジSにおけるフランジ部fの長尺状部分f2が、当挟持片部53と載置台10との間に差し込まれた場合に、該長尺状部分f2の端部に摺接され押し上げられるように、傾斜面53a1を有する。この傾斜面53a1は、
図5及び
図6に示すように、下方へ向かって載置台10に近づくように傾斜している。
【0035】
また、上記挟持部材50には、該挟持部材50と一体的に進退するように非感知部51bが設けられる。
この非感知部51bは、挟持部材50がシリンジSのフランジ部fを挟持した正規の挟持状態(
図5(b)に示す状態)になった際に、位置センサ60により感知されるように構成される。より具体的に説明すれば、この非感知部51bは、一方のロッド部52の端部から反挟持片部53側へ突出する突片状に形成されるとともに、その突片状の部分に、挟持部材50の進退方向に対し交差する方向へ貫通するスリット51b1を有する。
【0036】
位置センサ60は、発光素子と受光素子の間に形成する光路が、物体に遮られたり遮られなくなったりすることでオンオフし、そのオン又はオフの信号を出力するように構成される。
本実施例のシリンジ固定機構1では、挟持部材50がフランジ部fの被挟持部f1を挟持した正規の挟持状態(
図5(b)に示す位置)にて、位置センサ60の光路が非感知部51bのスリット51b1を通過した際に、位置センサ60から感知信号が出力され、その他の位置では、前記光路が非感知部51bのスリット51b1以外の部分によって遮られて前記感知信号の出力が停止するように構成される。なお、他例としては、前記光路が遮られた際に感知信号を出力し、前記光路がスリット51b1を通過した場合に前記感知信号の出力を停止するようにしてもよい。
【0037】
そして、挟持部材50が前記正規の挟持状態(
図5(b)に示す位置)になった場合には、位置センサ60の感知により、図示しない報知装置(例えば、LEDやスピーカ等)から光及び/又は音による報知信号が出力される。なお、他例としては、前記正規の挟持状態以外になった場合、例えば、挟持片部53が閉じた状態(
図5(a)に示す状態)や、挟持片部53の突起53aと載置台10の端部と間にフランジ部fの長尺状部分f2が挿入された誤装着の状態(
図6(b)に示す状態)で、前記報知信号が出力されるようにしてもよい。
【0038】
次に、上記構成のシリンジ固定機構1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
図1(a)に示す状態は、当該シリンジ固定機構1がシリンジSを挟持しない初期位置にあるものとする。
初期位置のシリンジ固定機構1に対しシリンジSを挟持させる場合、先ず、クランプ20を、載置台10に相対し上方へ引き上げ、
図1(b)に示す状態にする。この引き上げ操作の際、クランプ20は、その内周部の被ガイド部22bが支持軸12外周のガイド部12aに案内されることで、回転することなく上方へスライドする(
図1及び
図2参照)。
【0039】
クランプ20を前記のようにして引き上げた状態では、クランプ20内において、被ガイド部22bが上下方向のガイド部12aから外れるため、該クランプ20は、環状凹部12bに沿って周方向へ回転可能な状態となる。
この状態において、クランプ20に回転操作が加えられると、該クランプ20は、内部の被ガイド部22bを環状凹部12bに嵌め合うことで引き上げ状態を維持したまま、周方向の一方へ所定量(図示例によれば90度)回転し、非クランプ位置(
図1に示す位置)となる。
【0040】
前記回転の際、載置台10よりも下側では、クランプ20と一体の回転軸30の回転に伴って歯車41,42,43、及び回転カム44が連動して回転する。
したがって、回転する回転カム44のカム面44a(詳細には該カム面44a両側の傾斜面)によって、挟持部材50の係合突起51aが押し上げられ、挟持部材50の挟持片部53が載置台10の端部から離れ、挟持片部53と載置台10との間に隙間Wが形成される(
図1(c)及び
図4(b)参照)。
【0041】
次に、
図5(a)(b)に示すように、載置台10の受け面11にシリンジSが載置されるとともに、挟持片部53と載置台10との間に、フランジ部fの被挟持部f1が差し込まれる。
そして、この状態で、クランプ20が逆方向(
図1によれば時計方向)へ回転操作されと、クランプ本体部21が受け面11に対向するクランプ位置になり、クランプ20全体が付勢部材31の付勢力によって下方へ若干下がり、クランプ本体部21と受け面11との間にシリンダ部s1が挟まれ、略同時に、挟持部材50の係合突起51aが回転カム44に嵌り合いながら、挟持片部53が、付勢部材54の付勢力によって載置台10の端部に接近し該端部との間にフランジ部fの被挟持部f1を挟持する。この正規の挟持状態は、位置センサ60の感知信号に基づき、外部から認識できる。
【0042】
また、載置台10にシリンジSが載置される際、例えば、
図6に示す非正規の挟持状態となった場合、すなわち、フランジ部fの長尺状部分f2が載置台10と挟持片部53の間に挿入された場合には、長尺状部分f2が突起53aを押し上げるようにして、載置台10と挟持片部53との間が前記正規の挟持状態の場合(
図5(b)参照)よりも広くなるため、載置台10の下側において、位置センサ60の光路が非感知部51bのスリット51b1を貫通せずに遮られる。したがって、この非正規の挟持状態は、位置センサ60の感知信号に基づき、外部から認識できる。
【0043】
また、装着状態のシリンジSを外す際には、上記と逆の操作を行えばよく、すなわち、先ず、クランプ20を若干上方へ引き上げて、クランプ本体部21下面の凹部21aをシリンジS外周部から外す。この際、挟持部材50はまだ開動しないので、上下振動によりシリンジSが不意に外れるようなことがない。
次の操作として、若干上方へ引き上げた操作部22を逆方向(
図1によれば反時計方向)へ回転させれば、クランプ本体部21が被クランプ位置となり、略同時に挟持部材50が挟持状態を解除するため、シリンジSを上方へ外すことが可能となる。
【0044】
よって、上記シリンジ固定機構1によれば、シリンジSのフランジ部fを載置台10の端部と挟持部材50の挟持片部53との間に挟むようにしているため、装着されたシリンジSが前後方向へガタつくのを防ぐことができる。
また、クランプ20を回す操作により挟持部材50が開閉する構造であるため、挟持部材50を開閉する操作を直感的に把握し易い上、挟持部材50の開閉に伴う上下振動が比較的小さく、ひいては、例えば、装着状態のシリンジSを外す際に、操作時の上下振動によってシリンジSが不意に外れてしまうようなことを防ぐことができる。
また、シリンジSに対する正規の挟持状態(
図5(b)参照)、あるいはそうでない状態を、位置センサ60の感知に基づく信号によって容易に把握することができる。
また、載置台10の端部と挟持片部53の間の隙間Wの下方に、位置センサ60や、歯車41,42,43、回転カム44等を配置しない構造であるため、万が一シリンジSから液体が漏れた場合でも、その液体により当該シリンジ固定機構1が支障をきたすようなことを防ぐことができる。
【0045】
なお、上記実施例によれば、クランプ20内に突起状の被ガイド部22bを設け、支持軸12外周部に凹状のガイド部12a及び環状凹部12bを設けるようにしたが、他例としては、その凹凸関係を逆にすることが可能である。
同様に、回転カム44と被係合部51についても、その凹凸関係を逆にすることが可能である。
【0046】
また、上記実施例によれば、単一の位置センサ60によって、シリンジSに対する正規の挟持状態(
図5(b)参照)、あるいはそうでない状態を認識するようにしたが、他例としては、非感知部51bの進退方向に複数の位置センサを設け、挟持片部53と載置台10の間が閉じた状態(
図1(a)及び
図4(a)参照)、挟持片部53と載置台10の間がフランジ部fを挿入可能なように開いた状態(
図1(c)及び
図4(b)参照)、シリンジSに対する正規の挟持状態(
図5(b)参照)、シリンジSに対する非正規の挟持状態(
図6(b)参照)等を、前記複数の位置センサによって区別して認識する構成とすることも可能である。
【0047】
また、上記実施例によれば、位置センサ60の一例としてフォトセンサを用いているが、この位置センサ60の他例としては、フォトセンサ以外の非接触式センサ(例えば、磁気感知する近接センサ等)や、接触式センサ(例えば、リミットスイッチ等)等を用いることも可能である。
【0048】
また、上記実施例によれば、クランプ20の回転運動を、複数の歯車41,42,43を介して回転カム44に伝達するようにしたが、他例としては、クランプ20の回転運動を単数の歯車を介して回転カム44に伝達する態様や、回転軸30の下端に直接回転カム44を設けて歯車を省いた態様や、クランプ20の回転運動を、チェーンとスプロケットや、ベルトとプーリー等の他の動力伝達手段によって回転カム44に伝達するようにした態様等とすることが可能である。
【0049】
また、上記実施例によれば、クランプ20が上方へスライドした後に回転する構造としているが、他例としては、クランプ20が上下方向へスライドすることなく回転し、この回転に連動して挟持部材50が進退する構造とすることも可能である。この構造とする場合には、クランプ20の回転を容易にするためにクランプ本体部21から凹部21aを省き、また、ガイド部12a、被ガイド部22b、付勢部材31、受け部材32等、クランプ20を上下方向へスライドさせるための構成が不要となる。