(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリカは、ポリエチレングリコール、カルボキシベタイン、スルホベタインおよびこれらのポリマー、混合原子価分子、これらのオリゴマーおよびポリマー、ならびに前記種のあらゆるブレンドから選択される防汚性部分で表面処理されている、請求項1に記載の分離媒体。
前記シリカは、第1のシリカが正に帯電した部分で処理されており、第2のシリカが負に帯電した部分で処理されている、シリカのブレンドを含む、請求項1に記載の分離媒体。
前記シリカが、官能基で表面修飾されており、前記流体流から分離すべき物質が、前記官能基に化学収着または物理収着され、および/または官能基によって減成される、請求項17に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
任意の実施例以外で、または他の意味であると示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる成分、反応条件などの量をあらわす全ての数字は、あらゆる場合に、用語「約」で修飾されていると理解されるべきである。したがって、矛盾することが示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは概算値であり、本発明によって得られるべきである望ましい性質によって、変わってもよい。少なくとも、特許請求の範囲に均等論の原理を適用することを制限するつもりはなく、それぞれの数値パラメータは、少なくとも、報告されている有効桁数の観点で、および通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0009】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは、概算値であるが、特定の実施例に記載されている数値は、可能な限り正確になるように報告されている。しかし、いかなる数値も、それぞれの試験測定値でみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を固有に含んでいる。
【0010】
さらに、本明細書に引用されているいかなる数値範囲も、その範囲に含まれる全ての副次的な範囲を含むことを意図していることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、引用されている最小値である1と、引用されている最大値である10との間の全ての副次的な範囲(ならびに1および10を含む)、つまり、1に等しいか、または1よりも大きい最小値と、10に等しいか、または10よりも小さい最大値との間の全ての副次的な範囲を含むことが意図されている。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」という冠詞は、明示的に明確に1個の対象物に限定されている場合を除き、複数の対象物を含む。
【0012】
本明細書に提示されるような本発明の種々の実施形態および例は、それぞれ、本発明の範囲に関して非限定的であると理解される。
【0013】
以下の記載および特許請求の範囲で使用する場合、以下の用語は、以下に示す意味を有する。
【0014】
「ポリマー」とは、ホモポリマーおよびコポリマーおよびオリゴマーを含むポリマーを意味する。「複合材料」は、2種類以上の異なる材料の組み合わせを意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、「から作られる」は、例えば、「〜を含む(comprising)」という特許請求の範囲の用語のように、開放型を示す。このように、引用した要素のリスト「から作られる」組成物は、組成物を作製している間に、少なくともこれらの引用した要素を含む組成物であり、さらにその他の引用していない要素を含んでいてもよいことを意図している。
【0016】
本明細書で使用する場合、「ポリマー無機材料」という用語は、炭素以外の1種類以上の元素に基づく骨格繰り返し単位を有するポリマー材料を意味する。さらなる情報については、本明細書に具体的に参考として援用されるJames Markら、Inorganic Polymers、Prentice Hall Polymer Science and Engineering Series(1992)の5ページを参照。さらに、本明細書で使用する場合、「ポリマー有機材料」という用語は、合成ポリマー材料、半合成ポリマー材料および天然ポリマー材料であり、全てが炭素に基づく骨格繰り返し単位を有するものを意味する。
【0017】
「有機材料」は、本明細書で使用する場合、炭素が、典型的には、炭素自身および水素に結合し、多くは、他の元素に同様に結合する炭素含有化合物を意味し、二元化合物、例えば、炭素酸化物、カーバイド、二硫化炭素など;金属シアニド、金属カルボニル、ホスゲン、カルボニルスルフィドなどの三元化合物;および炭素含有イオン性化合物、例えば、金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウムを除く。本明細書に具体的に参考として援用されるR.Lewis、Sr.、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary(12th Ed.1993)の761〜762ページ、およびM.Silberberg、Chemistry The Molecular Nature of Matter and Change(1996)の586ページを参照。
【0018】
本明細書で使用する場合、「無機材料」という用語は、有機材料ではない任意の材料を意味する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「熱可塑性」材料は、熱にさらされると軟化し、室温まで冷却すると元の状態に戻る材料である。本明細書で使用する場合、「熱硬化性」材料は、加熱すると不可逆的に固化するか、または「硬化する(set)」材料である。
【0020】
本明細書で使用する場合、「細孔性材料」または「細孔性シート材料」は、コーティングを含まず、印刷インクを含まず、含浸剤を含まず、あらかじめ結合していることを基礎として、相互に接続する孔の網目構造を有する材料を意味し、孔は、体積平均直径が0.001〜0.5マイクロメートルの範囲であり、本明細書で以下に記載するような材料の少なくとも5体積%を構成する。
【0021】
「プラストマー」は、可塑性およびエラストマー性を両方とも示すポリマーを意味する。
【0022】
上述のように、本発明は、回転させて乾燥したか、または噴霧乾燥した沈降シリカを含む分離媒体に関する。シリカは、実施例で以下に記載するようなPまたはBJHで示される孔表面積を有し、log
10P>2.2である。本発明の特定の実施形態では、log
10P>2.27、またはlog
10P>2.69、またはlog
10P>2.86である。
【0023】
本発明は、さらに、液体流または気体流と、上述の分離媒体とを接触させることを含む、液体流または気体流から1つ以上の汚染物質を除去する方法に関する。
【0024】
沈降シリカは、通常は、可溶性金属ケイ酸塩、通常はアルカリ金属ケイ酸塩、例えば、ケイ酸ナトリウムの水溶液と酸とを合わせ、その結果、弱アルカリ性溶液中でコロイド状粒子が成長し、得られた可溶性アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンによって凝集することによって商業的に製造される。鉱物酸を含む種々の酸を使用してもよいが、好ましい酸は、二酸化炭素である。凝固剤が存在しないと、シリカは、任意のpHで溶液から沈殿しない。沈殿を起こさせるために用いられる凝固剤は、コロイド状シリカ粒子を作製している間に作られる可溶性アルカリ金属塩であってもよく、電解質(例えば、可溶性の無機塩または有機塩)を加えてもよく、または、これら両方の組み合わせであってもよい。
【0025】
次いで、沈降シリカは、任意の時点で、調製中に目に見えるゲルとして存在しないコロイド状アモルファスシリカの最終的な粒子の沈殿した凝集物として記載されてもよい。凝集物の大きさおよび水和度は、広範囲に変動してもよい。
【0026】
沈降シリカ粉末は、より開放した構造を多く含み、すなわち、孔の比容積が大きい通常の粉砕したシリカゲルとは異なる。しかし、吸着質として窒素を用い、Brunauer、Emmet、Teller(BET)法によって測定した場合、沈降シリカの比表面積は、シリカゲルの比表面積より小さいことが多い。
【0027】
多くの異なる沈降シリカを本発明で利用してもよいが、好ましい沈降シリカは、適切な酸(例えば、硫酸、塩酸、または二酸化炭素)を用い、ケイ酸ナトリウム水溶液から沈殿させることによって得られるものである。このような沈降シリカ自体が公知であり、この沈降シリカを製造するプロセスは、特に、沈降シリカを製造するためのプロセスおよび生成物の特性を含め、米国特許第2,940,830号および西独国特許出願公開第35 45 615号に詳細に記載されており、これらの開示内容全体は、本明細書に参考として援用される。
【0028】
本発明で使用する沈降シリカは、以下の連続工程を含むプロセスによって製造することができる:
(a)所望なアルカリ度を有するアルカリ金属ケイ酸塩水溶液の初期ストック溶液を調製し、反応器の内容物を加熱するための手段を備えた反応器に加え(または、反応器の中で調製し)、
(b)反応器の中の初期ストック溶液を所望の反応温度まで加熱し、
(c)攪拌しつつ、アルカリ度値と反応器の内容物温度を所望の値に維持しつつ、酸性化剤とさらなるアルカリ金属ケイ酸塩溶液を反応器に同時に加え、
(d)反応器へのアルカリ金属ケイ酸塩の添加を止め、さらなる酸性化剤を加え、沈降シリカの得られた懸濁物のpHを所望の酸価になるように調整し、
(e)反応器内の沈降シリカを反応混合物から分離し、洗浄して副生成物の塩を除去し、
(f)乾燥させて沈降シリカを作製する。
【0029】
次いで、洗浄したシリカ固体を従来の乾燥技術を用いて乾燥させる。このような技術の非限定的な例としては、オーブンでの乾燥、減圧オーブンでの乾燥、ロータリー乾燥器、噴霧乾燥またはスピンフラッシュ乾燥が挙げられる。噴霧乾燥器の非限定的な例としては、ロータリーアトマイザおよびノズル噴霧乾燥器が挙げられる。噴霧乾燥は、任意の適切な種類のアトマイザ(特に、タービン式、ノズル式、液圧式または二流体式のアトマイザ)を用いて行ってもよい。
【0030】
洗浄したシリカ固体は、噴霧乾燥に適した状態ではない場合がある。例えば、洗浄したシリカ固体は、密集しすぎていて噴霧乾燥できない場合がある。上述のプロセスの一態様では、洗浄したシリカ固体(例えば、洗浄した濾過ケーキ)を水と混合して液体懸濁物を作製し、懸濁物のpHを、所望な場合、希酸または希アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)を用いて6〜7、例えば、6.5に調整し、次いで、噴霧乾燥器の入口ノズルに供給する。
【0031】
シリカを乾燥させる温度は、非常に広範囲に変えることができるが、シリカの融解温度よりは低い。典型的には、乾燥温度は、50℃より高く700℃未満、例えば、100℃より高く(例えば、200℃)500℃までの範囲である。上述のプロセスの一態様では、シリカ固体を、入口温度が約400℃であり、出口温度が約105℃の噴霧乾燥器で乾燥させる。乾燥したシリカの遊離水含有量は、さまざまであってもよいが、通常は、約1〜10重量%、例えば、4〜7重量%の範囲である。本明細書で使用する場合、遊離水という用語は、100℃〜200℃(例えば、105℃)で24時間加熱することによってシリカから除去することができる水を意味する。
【0032】
本明細書に記載するプロセスの一態様では、乾燥したシリカを造粒機に直接向かわせ、造粒機で圧縮し、顆粒化して顆粒状生成物を得る。乾燥したシリカに対し、例えば、研磨および微粉砕によって例示されるような従来の粒径低下技術を行うこともできる。作業流体として空気または過熱蒸気を用いる液体エネルギー粉砕も使用することができる。得られる沈降シリカは、通常は、粉末の形態である。
【0033】
最も多くは、沈降シリカを、回転させて乾燥するか、または噴霧乾燥する。回転させて乾燥したシリカ粒子は、噴霧乾燥したシリカ粒子よりも大きな構造的一体性を示すことが観察されている。これらのシリカ粒子は、押出成形および細孔性材料製造中の他のその後の処理の間に、噴霧乾燥した粒子より小さい粒子に破壊されそうもない。回転させて乾燥した粒子の粒径分布は、処理中に噴霧乾燥した粒子の粒径分布と有意に変わらない。噴霧乾燥したシリカ粒子は、回転させて乾燥したシリカ粒子よりも脆く、多くは処理中により小さな粒子を与える。膜内の最終粒径分布が水の流れに有害な影響を与えないように、特定の粒径の噴霧乾燥したシリカを使用することができる。特定の実施形態では、シリカを強化し、すなわち、シリカは、押出成形後に多孔率が保存されるような構造的一体性を有する。より好ましくは、シリカ粒子の初期の数と、初期のシリカ粒径分布が、膜製造中に加えられる応力によってほとんど変わらない沈降シリカである。最も好ましくは、最終的な膜に広範囲の粒径分布が存在するように強化されたシリカである。異なる種類の乾燥シリカと、異なる大きさのシリカのブレンドを用い、膜に固有の特性を付与してもよい。例えば、二峰分布の粒径を有するシリカのブレンドは、特定の分離プロセスに特に適切である。任意の種類のシリカに加えられる外からの力を使用し、粒径分布に影響を与え、調整し、最終的な膜に固有の特性を付与すると予想される。
【0034】
限定されないが、当該技術分野で公知の技術を用い、表面特徴を化学的または物理的に変えることによって、当該技術分野で周知の任意の様式で粒子表面を改質してもよい。例えば、シリカを、防汚性部分(例えば、ポリエチレングリコール、カルボキシベタイン、スルホベタインおよびこれらのポリマー、混合原子価分子、これらのオリゴマーおよびポリマー、ならびにこれらの混合物)で表面処理してもよい。別の実施形態は、第1のシリカが正に帯電した部分で処理され、第2のシリカが負に帯電した部分で処理されたシリカのブレンドであってもよい。シリカは、官能基(例えば、接近可能なLewis酸部分およびLewis塩基部分)で表面改質され、特定の標的物質(例えば、精製すべき流体流中の汚染物質)が除去されてもよい。「接近可能な(accessible)」とは、化学反応のための別の官能基によって化学的に接近可能であることを意味する。また、未処理粒子を使用してもよい。親水性コーティングでコーティングされたシリカ粒子は、汚れが減り、あらかじめ濡らし処理を行わなくてよい場合がある。疎水性コーティングでコーティングされたシリカ粒子も、汚れが減り、系の脱気および排気が促進される場合がある。
【0035】
沈降シリカは、典型的には、最終的な平均粒径が1〜100ナノメートルである。典型的には、本発明の分離媒体で有用なシリカは、シリカ粒子の90%より多くが、平均粒子直径と等しい粒子直径を有するような粒径分布を示す。
【0036】
シリカ粒子の表面積は、孔に起因する外側および内側の両方が、性能に影響を及ぼすことがある。表面積が大きなフィラーは、非常に粒径が小さな材料、多孔率が大きな材料、または両方の特徴を示す材料である。通常は、フィラー自体の表面積は、ASTM C 819−77にしたがって、吸着質として窒素を用いるが、系およびサンプルを130℃で1時間脱気するように改変したBrunauer、Emmett、Teller(BET)法によって決定される場合、約125〜約700平方メートル/グラム(m
2/g)である。多くは、BET表面積は、約20〜900m
2/g、例えば、190〜350m
2/gの範囲であり、より多くは、シリカは、125〜700m
2/g、例えば、351〜700m
2/gのBET表面積を示す。
【0037】
BET/CTAB指数は、外側表面積(CTAB)に対する、小さな分子(例えば、窒素)のみが接近可能な孔に含まれる表面積を含む全体的な沈降シリカ表面積(BET)の比である。この比は、典型的には、細孔率の指標と呼ばれる。細孔率の値が大きい、すなわち、BET/CTAB指数の数が大きいとは、外側表面(CTAB)に対して、大きな粒子ではなく小さな窒素分子が接近可能な内部表面(BET表面積)の割合が大きいことである。
【0038】
シリカCTAB値は、CTAB溶液を用い、本明細書で以下に記載する方法を用いて決定されてもよい。Metrohm Interchangeable「Snap−In」50ミリリットルビュレットを取り付けたMetrohm 751 Titrino自動滴定装置と、550nmフィルターを取り付けたBrinkmann Probe Colorimeter Model PC 910とを用いて分析を行う。それに加え、Mettler Toledo HB43または等価物を用い、105℃でのシリカの水分損失を決定し、シリカと残留するCTAB溶液とを分離するために、Fisher Scientific Centrific
TM Centrifuge Model 225を用いてもよい。過剰なCTABは、プローブ比色計を用いて検出することができる最大濁度が得られるまで、Aerosol OT(登録商標)溶液を用いた自動滴定によって決定することができる。最大濁度点は、150ミリボルトの読みに対応するものとして得られる。所与の重量のシリカに吸着するCTABの量と、CTAB分子によって占められる空間がわかれば、シリカの外側比表面積が計算され、乾燥重量基準で平方メートル/グラムとして報告される。
【0039】
試験および調製に必要な溶液としては、pH9.6のバッファー、セチル[ヘキサデシル]トリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート(Aerosol OT)および1N 水酸化ナトリウムが挙げられる。pH9.6のバッファー溶液は、3.101gのオルトホウ酸(99%;Fisher Scientific,Inc.、工業グレード(technical grade)、結晶性)を、500ミリリットルの脱イオン水と3.708グラムの塩化カリウム固体(Fisher Scientific,Inc.、工業グレード、結晶性)が入った1リットルのメスフラスコに溶解させることによって調製することができる。ビュレットを用い、36.85ミリリットルの1N水酸化ナトリウム溶液を加えた。この溶液を混合し、所定体積まで希釈した。
【0040】
秤量皿の上で11.0g±0.005gの粉末状CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドとしても公知である、Fisher Scientific Inc.、工業グレード)を用いることによって、CTAB溶液を調製する。CTAB粉末を2リットルビーカーに移し、秤量皿を脱イオン水ですすぐ。約700ミリリットルのpH9.6バッファー溶液および1000ミリリットルの蒸留水または脱イオン水をこの2リットルビーカーに加え、磁気攪拌棒で攪拌する。このビーカーを覆い、CTAB粉末が完全に溶解するまで室温で攪拌してもよい。この溶液を2リットルのメスフラスコに移し、脱イオン水を用い、ビーカーと攪拌棒をすすぐ。気泡を消失させ、溶液を脱イオン水で所定体積まで希釈する。大きな攪拌棒を加えてもよく、磁気攪拌器で溶液を約10時間混合してもよい。24時間後に、15日間だけCTAB溶液を使用することができる。Aerosol OT(登録商標)(ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、Fisher Scientific Inc.、100%固体)溶液を、3.46g±0.005gを秤量皿に置くことによって調製してもよい。秤量皿の上のAerosol OTを、約1500ミリリットルの脱イオン水と大きな攪拌棒が入った2リットルビーカー内ですすぐ。Aerosol OT溶液を溶解し、すすいで2リットルメスフラスコに入れる。メスフラスコ中、この溶液を2リットル体積の印まで希釈する。Aerosol OT(登録商標)溶液は、使用前に最低でも12日間熟成させる。Aerosol OT溶液の貯蔵寿命は、調製日から2ヶ月である。
【0041】
表面積サンプルを調製する前に、CTAB溶液のpHを確認し、必要な場合、1N水酸化ナトリウム溶液を用い、pHを9.6±0.1に調整すべきである。試験の計算のために、ブランクサンプルを調製し、分析すべきである。5ミリリットルのCTAB溶液をピペットで取り、55ミリリットルの脱イオン水を150ミリリットルビーカーに加え、Metrohm 751 Titrino自動滴定装置で分析する。この自動滴定装置は、以下のパラメータを用い、ブランクとサンプルを決定するようにプログラムされている:測定点の密度=2、シグナルドリフト=20、平衡時間=20秒、開始時の体積=0ml、停止時の体積=35ml、および固定した終点=150mV。ビュレットの先端と比色計のプローブを溶液の表面よりすぐ下に置き、ビュレットの先端と写真プローブ経路の長さが完全に下にある(submerge)ように位置決めする。ビュレットの先端と写真プローブの両方が、本質的にビーカーの底から等距離にあり、互いに接していないようにすべきである。攪拌を最小限にしつつ(Metrohm 728スターラーで1に設定)、ブランクとサンプルそれぞれを決定する前に比色計を100%Tに設定し、Aerosol OT(登録商標)溶液を用いて滴定を開始する。150mVでの滴定液の体積(mL)として終点を記録することができる。
【0042】
試験サンプル調製のために、約0.30グラムの粉末状シリカを、攪拌棒を入れた50ミリリットル容器に秤量した。顆粒状シリカサンプルをかき混ぜ(粉砕および計量の前に)、代表的なサブサンプルを得た。コーヒーミル型の粉砕機を用い、顆粒状物質を粉砕した。次いで、pHを調整したCTAB溶液30ミリリットルを、0.30グラムの粉末状シリカが入ったこのサンプル容器にピペットで取った。次いで、シリカとCTAB溶液をスターラーで35分間混合した。混合が終了したら、シリカとCTAB溶液を20分間遠心分離処理し、シリカと過剰なCTAB溶液とを分離した。遠心分離処理が終了したら、CTAB溶液をきれいな容器にピペットで取り、分離した固体を引き、これを「遠心分離物」と呼ぶ。サンプル分析のために、50ミリリットルの脱イオン水を、攪拌棒が入った150ミリリットルビーカーに入れた。次いで、10ミリリットルのサンプル遠心分離物を同じビーカーに分析のためにピペットで取った。ブランク溶液に用いるのと同じ技術およびプログラムした手順を用い、サンプルを分析した。
【0043】
含水量を決定するために、CTAB値を決定しながら、約0.2グラムのシリカをMettler Toledo HB43に秤量した。水分分析機は、shut−off 5の乾燥基準を用い、105℃までプログラムされた。水分損失は、直近の+0.1%まで記録された。
【0044】
外側表面積を、以下の式を用いて計算する。
【0045】
【数1】
式中、
Vo=ブランク滴定で使用したAerosol OT(登録商標)のml単位での体積
V=サンプル滴定で使用したAerosol OT(登録商標)のml単位での体積
W=グラム単位でのサンプルの重量
Vol=水分損失%(Volは「揮発性」をあらわす)。
【0046】
典型的には、本発明で使用するシリカ粒子のCTAB表面積は、20〜700m
2/g、例えば、120〜500m
2/gの範囲である。多くは、シリカは、170〜280m
2/gのCTAB表面積を示す。より多くは、シリカは、281〜500m
2/gのCTAB表面積を示す。
【0047】
本発明の特定の実施形態では、沈降シリカのBET値は、平方メートル/グラム単位でのCTAB表面積に対する、平方メートル/グラム単位でのBET表面積の指数が1.0に等しいかもしくは1.0より大きいか、または少なくとも1.1になるような値である。多くは、BET対CTABの比は、1.0〜1.5である。より多くは、BET対CTABの比は、1.5〜4.0である。シリカ粒子の表面改質前に測定を行う。
【0048】
本出願の実施例で報告するBET表面積値を、ASTM D1993−03にしたがってBrunauer−Emmett−Teller(BET)法で決定した。BET表面積は、Micromeritics TriStar 3000
TM装置を用いて作られた窒素吸収等温測定から5個の相対的な圧力点をフィッティングすることによって決定することができる。フローPrep−060
TMステーションは、分析のためのサンプルを調製するために熱と連続的な気体流を与える。窒素吸着の前に、窒素(P5グレード)を少なくとも1時間流しつつ、160℃の温度まで加熱することによってシリカサンプルを乾燥させる。
【0049】
本発明の分離媒体は、流体流から懸濁した物質または溶解した物質を分離する方法、例えば、流体(液体または気体)流から1つ以上の汚染物質を除去するか、または系を再循環させるための減損流の中の望ましい要素を濃縮する方法で使用するのに適している。典型的な方法は、流体流と分離媒体とを接触させることを含む。シリカが未処理である場合、汚染物質は、主に、分離媒体の表面に吸着する。シリカが官能基で表面改質されている場合、汚染物質は、官能基に化学収着または物理収着され、および/または官能基によって減成されてもよい。
【0050】
分離媒体と流体流との接触は、分離媒体が染みこんでいるか、または他の方法で分散しているか、または表面に塗布された濾過膜に流体流を通すことによって行われてもよい。分離媒体は、流体流が通過する流動床の状態であってもよい。または、分離媒体を塊状態で流体流に加え、後で濾過し、沈降させ、または処理後に他の方法で流体流から除去してもよい。
【0051】
分離媒体が染みこんでいてもよい膜は、典型的には、ポリマー材料、例えば、アクリル樹脂(acrylic)、ポリエステル、PVDF、PTFE、細孔性材料全体に連通する相互に接続する孔の網目構造を有する細孔性材料である。特定の実施形態では、本発明の膜に用いられる細孔性材料は、ポリオレフィンマトリックス(a)を含む。ポリオレフィンは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーから誘導されるポリマーである。本発明の特定の実施形態では、マトリックスは、プラストマーを含む。例えば、マトリックスは、ブテン、ヘキセン、および/またはオクテンから誘導されるプラストマーを含んでいてもよい。適切なプラストマーは、ExxonMobil Chemicalから「EXACT」の商品名で入手可能である。
【0052】
本発明の特定の実施形態では、マトリックスは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーから誘導される異なるポリマーを含み、これをプラストマーの代わりに、またはプラストマーと組み合わせて使用してもよい。例としては、エチレン、プロピレン、および/またはブテンから誘導されるポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブテンが挙げられる。高密度および/または超高分子量ポリオレフィン、例えば、高密度ポリエチレンも適している。
【0053】
本発明の特定の実施形態では、ポリオレフィンマトリックスは、エチレンとブテンのコポリマーを含む。
【0054】
超高分子量(UHMW)ポリオレフィンの非限定的な例としては、本質的に線状のUHMWポリエチレンまたはポリプロピレンを挙げることができる。UHMWポリオレフィンは、無限の分子量を有する熱硬化性ポリマーではない限り、これらは、技術的には熱可塑性材料に分類される。
【0055】
超高分子量ポリプロピレンは、本質的に線状の超高分子量アイソタクチックポリプロピレンを含んでいてもよい。多くは、このようなポリマーのアイソタクチック度は、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%である。
【0056】
UHMWポリエチレンの固有粘度の上限に特に制限はないが、ある非限定的な例では、固有粘度は、18〜39デシリットル/グラム、例えば、18〜32デシリットル/グラムの範囲であってもよい。UHMWポリプロピレンの固有粘度の上限に特に制限はないが、ある非限定的な例では、固有粘度は、6〜18デシリットル/グラム、例えば、7〜16デシリットル/グラムの範囲であってもよい。
【0057】
本発明の目的のために、固有粘度は、溶媒が新しく蒸留したデカヒドロナフタレンであり、これに0.2重量%の3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイ皮酸、ネオペンタンテトライルエステル[CAS登録番号6683−19−8]を加えたUHMWポリオレフィンの数種類の希釈溶液の換算粘度またはインヘレント粘度(inherent viscosity)をゼロ濃度まで外挿することによって決定される。UHMWポリオレフィンの換算粘度またはインヘレント粘度は、ウベローデ1番の粘度計を用い、ASTM D 4020−81の一般的な手順(ただし、異なる濃度の数種類の希釈溶液を利用した)にしたがって、135℃で得られた相対粘度から確認される。
【0058】
UHMWポリエチレンの名目上の分子量は、以下の式にしたがって、経験的にポリマーの固有粘度に関連する。
【0059】
【数2】
式中、Mは、名目上の分子量であり、
【0060】
【数3】
は、デシリットル/グラムであらわされるUHMWポリエチレンの固有粘度である。同様に、UHMWポリプロピレンの名目上の分子量は、以下の式にしたがって、経験的にポリマーの固有粘度に関連する。
【0061】
【数4】
式中、Mは、名目上の分子量であり、
【0062】
【数5】
は、デシリットル/グラムであらわされるUHMWポリプロピレンの固有粘度である。
【0063】
実質的に線状の超高分子量ポリエチレンおよび低分子量ポリエチレンの混合物を使用することができる。特定の実施形態では、UHMWポリエチレンは、固有粘度が少なくとも10デシリットル/グラムであり、低子量ポリエチレンは、ASTM D 1238−86 Condition Eでのメルトインデックスが50グラム/10分より小さく、例えば、25グラム/10分より小さく、例えば、15グラム/10分より小さく、ASTM D 1238−86 Condition Fでのメルトインデックスが少なくとも0.1グラム/10分、例えば、少なくとも0.5グラム/10分、例えば、少なくとも1.0グラム/10分である。この実施形態で使用するUHMWポリエチレンの量(重量%として)は、米国特許第5,196,262号の第1欄、第52行〜第2欄、第18行に記載され、この開示内容は、本明細書に参考として援用される。さらに具体的には、使用するUHMWポリエチレンの重量%は、U.S.5,196,262号の
図6に関連して、すなわち、
図6の多角形ABCDEF、GHCIまたはJHCKを参照して記載されており、この図は、本明細書に参考として援用される。
【0064】
低分子量ポリエチレン(LMWPE)の名目上の分子量は、UHMWポリエチレンの名目上の分子量より低い。LMWPEは、熱可塑性材料であり、多くの異なる種類が公知である。分類の1つの方法は、ASTM D 1248−84(1989年に再承認された)にしたがって、グラム/立方センチメートルで表現され、小数点第3位に丸められた密度によるものである。LMWPEの密度の非限定的な例は、以下の表1に見出される。
【0065】
【表1A】
上の表1に列挙した任意のポリエチレンまたは全てのポリエチレンを、細孔性材料のマトリックス中のLMWPEとして使用してもよい。HDPEは、MDPEまたはLDPEよりも線状であり得るため、HDPEを使用してもよい。種々のLMWPEを製造するプロセスは周知であり、十分に記載されている。これらは、高圧プロセス、Phillips Petroleum Companyプロセス、Standard Oil Company(Indiana)プロセスおよびZieglerプロセスを含む。ASTM D 1238−86 Condition E(すなわち、190℃および負荷が2.16キログラム)でのLMWPEのメルトインデックスは、約50グラム/10分より小さい。多くは、Condition Eでのメルトインデックスは、約25グラム/10分より小さい。Condition Eでのメルトインデックスは、約15グラム/10分より小さくてもよい。ASTM D 1238−86 Condition F(すなわち、190℃および負荷が21.6キログラム)でのLMWPEのメルトインデックスは、少なくとも0.1グラム/10分である。多くの場合に、Condition Fでのメルトインデックスは、少なくとも0.5グラム/10分、例えば、少なくとも1.0グラム/10分である。
【0066】
UHMWPEおよびLMWPEは、合わせて、細孔性材料のポリオレフィンポリマーの少なくとも65重量%、例えば、少なくとも85重量%を構成していてもよい。また、UHMWPEおよびLMWPEは、合わせて、細孔性材料のポリオレフィンポリマーの実質的に100重量%を構成していてもよい。
【0067】
本発明の特定の実施形態では、細孔性材料は、超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、またはこれらの混合物を含むポリオレフィンを含んでいてもよい。
【0068】
所望な場合、他の熱可塑性有機ポリマーは、細孔性材料のマトリックス中に存在していてもよいが、ただし、これらの存在は、細孔性材料基材の特性に有害な様式で重大な影響を与えない。存在していてもよい他の熱可塑性ポリマーの量は、このようなポリマーの性質によって変わる。一般的に、大量の分岐が存在し、多くの長い側鎖または多くの嵩高い側鎖基が存在する場合よりも、分子構造が、ほとんど分岐を含まず、長い側鎖および嵩高い側鎖基をほとんど含まない場合に、より多くの他の熱可塑性有機ポリマーを使用してもよい。細孔性材料のマトリックス中に場合により存在していてもよい熱可塑性有機ポリマーの非限定例としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンのコポリマー、エチレンとアクリル酸のコポリマー、およびエチレンとメタクリル酸のコポリマーが挙げられる。所望な場合、カルボキシル含有コポリマーのカルボキシル基の全てまたは一部が、ナトリウム、亜鉛などで中和されていてもよい。一般的に、細孔性材料は、マトリックスの重量を基準として少なくとも70重量%のUHMWポリオレフィンを含む。非限定的な実施形態では、上述の他の熱可塑性有機ポリマーは、細孔性材料のマトリックスには実質的に存在しない。
【0069】
分離媒体を用いて流体流から除去可能な材料は、固体粒状物であってもよく、溶解した有機分子および/または無機分子であってもよい。例としては、毒素、例えば、神経毒;重金属;炭化水素;油;染料;神経毒;医薬;および/または殺虫剤が挙げられる。
【0070】
以下の実施例は、本発明の種々の実施形態を示すことを意図しており、いかなる様式にも本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0071】
本発明の特定の実施形態を説明のために上に記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の詳細の多くの改変がなされてもよいことは、当業者には明らかである。
【0072】
第1部は、実施例1〜4および比較例1〜4の分析試験に使用する手順を記載する。第2部は、実施例および比較例の調製を記載する。第3部は、実施例および比較例の特性を記載する。第4部は、関連する化学汚染物質であるパラコートを用いた性能試験を記載する。第5部は、データの分析を与える。
【0073】
(第1部−分析試験)
以下の表面積法は、本発明の処理済フィラーの外側比表面積を分析するためにセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)溶液を使用する。表1に列挙されている実施例1および4を除き、全てのシリカが市販されていた。Metrohm 751 Titrino自動滴定装置にMetrohm Interchangeable「Snap−In」50ミリリットルビュレットを取り付け、Brinkmann Probe 比色計 Model PC 910に550nmフィルターを取り付けたものを用い、分析を行った。それに加え、Mettler Toledo HB43を使用し、フィラーの水分損失を決定し、フィラーと残留するCTAB溶液を分離するためにFisher Scientific CentrificTM Centrifuge Model 225を使用した。過剰なCTABは、Aerosol(登録商標)OT界面活性剤を用いた自動滴定によって決定し、プローブ比色計を用いて検出された最大濁度が得られるまでのスルホコハク酸ナトリウムとして報告した。最大濁度点は、150ミリボルトの読みに対応するものとして取得した。所与の重量のフィラーに吸着したCTABの量と、CTAB分子で占められている空間がわかれば、処理済フィラーの外側比表面積を計算することができ、これを表2に乾燥重量基準で平方メートル/グラムとして報告した。
【0074】
試験および調製に必要な溶液は、pH9.6のバッファー、CTAB溶液、Aerosol OT界面活性剤、および1N水酸化ナトリウムを含んでいた。pH9.6のバッファー溶液は、3.101gのオルトホウ酸(99%;Fisher Scientific,Inc.、工業グレード、結晶性)を、500ミリリットルの脱イオン水と3.708gの塩化カリウム固体(Fisher Scientific,Inc.、工業グレード、結晶性)が入った1リットルのメスフラスコ中で溶解することによって調製した。ビュレットを用い、36.85ミリリットルの1N水酸化ナトリウム溶液を加えた。この溶液を混合し、所定体積まで希釈した。秤量皿に置いた11.0gの粉末状CTAB(Fisher Scientific Inc.、工業グレード)を用い、CTAB溶液を調製した。秤量皿を脱イオン水ですすぎつつ、CTAB粉末を2リットルビーカーに移した。約700ミリリットルのpH9.6バッファー溶液と、1000ミリリットルの蒸留水または脱イオン水をこの2リットルビーカーに加え、磁気攪拌棒で攪拌した。大きな時計皿をビーカーに乗せ、このビーカーを、CTABが完全に溶解するまで室温で攪拌した。この溶液を、ビーカーおよび攪拌棒を脱イオン水ですすぎ、2リットルのメスフラスコに移した。気泡を消し、脱イオン水で所定体積まで希釈した。大きな攪拌棒を加え、マグネチックスターラーで約10時間混合した。秤量皿に載せた3.46gを用い、溶液(Aerosol OT(登録商標)界面活性剤、Fisher Scientific Inc.、100%固体)を調製した。Aerosol(登録商標)OTを、約1500ミリリットルの脱イオン水と大きな攪拌棒が入った2リットルビーカーにすすぎつつ入れた。Aerosol(登録商標)OT溶液を溶解し、2リットルメスフラスコにすすぎつつ入れた。この溶液を、メスフラスコの2リットル体積の印まで希釈した。Aerosol(登録商標)OT溶液を使用前に最低でも12日間熟成し、調製日から2ヶ月の有効期限より前に使用した。
【0075】
表面積サンプルを調製する前に、CTAB溶液のpHを確かめ、1N水酸化ナトリウム溶液を用い、pH9.6±0.1に調整した。試験の計算のために、ブランクサンプルを調製し、分析した。5ミリリットルのCTAB溶液をピペットで取り、55ミリリットルの脱イオン水を150ミリリットルビーカーに加え、Metrohm 751 Titrino自動滴定装置で分析した。この自動滴定装置は、以下のパラメータを用い、ブランクとサンプルを決定するようにプログラムされた:測定点の密度=2、シグナルドリフト=20、平衡時間=20秒、開始時の体積=0ml、停止時の体積=35ml、固定した終点=150mV。ビュレットの先端と比色計のプローブを溶液の表面よりすぐ下に置き、ビュレットの先端と写真プローブ経路の長さが完全に下にあるように位置決めした。ビュレットの先端と写真プローブの両方が、本質的にビーカーの底から等距離にあり、互いに接していなかった。攪拌を最小限にしつつ(Metrohm 728スターラーで1に設定)、ブランクとサンプルそれぞれを決定する前に比色計を100%Tに設定し、Aerosol(登録商標)OT溶液を用いて滴定を開始した。150mVでの滴定液の体積(mL)として終点を記録した。
【0076】
試験サンプル調製のために、約0.30グラムの粉末状フィラーを、攪拌棒を入れた50ミリリットル容器に秤量した。pHを調整したCTAB溶液(30ミリリットル)を、0.30グラムの粉末状フィラーが入ったこのサンプル容器にピペットで取った。次いで、フィラーとCTAB溶液をスターラーで35分間混合した。混合が終了したら、フィラーとCTAB溶液を20分間遠心分離処理し、フィラーと過剰なCTAB溶液とを分離した。遠心分離処理が終了したら、CTAB溶液をきれいな容器にピペットで取り、分離した固体を引き、これを「遠心分離物」と呼ぶ。サンプル分析のために、50ミリリットルの脱イオン水を、攪拌棒が入った150ミリリットルビーカーに入れた。10ミリリットルのサンプル遠心分離物を同じビーカーに分析のためにピペットで取った。本明細書に記載するのと同じ技術および手順を用い、サンプルを分析した。
【0077】
含水量を決定するために、CTAB値を決定しながら、約0.2グラムのシリカをMettler Toledo HB43に秤量した。水分分析機は、shut−off 5の乾燥基準を用い、105℃までプログラムされた。水分損失は、直近の+0.1%まで記録された。
【0078】
外側表面積を、以下の式を用いて計算した。
【0079】
【数6】
式中、
Vo=ブランク滴定で使用したAerosol OT(登録商標)のml単位での体積
V=サンプル滴定で使用したAerosol OT(登録商標)のml単位での体積
W=グラム単位でのサンプルの重量
Vol=水分損失%(Volは「揮発性」をあらわす)。
【0080】
本出願の実施例で報告するBET表面積値は、ASTM D1993−03にしたがってBrunauer−Emmett−Teller(BET)法で決定した。BET表面積は、Micromeritics TriStar 3000
TMおよびPrep−060
TM装置を用いて作られた窒素吸収等温測定から5個の相対的な圧力点をフィッティングすることによって決定することができる。
【0081】
これらの実施例では、「細孔率」という用語を使用する。BET表面積の測定で用いられる窒素吸着質が、サイズ排除に起因して不可能なより大きな分子(例えば、CTAB)を多孔性材料の領域で利用することができることが一般的に公知である。したがって、BET/CTAB比は、沈降シリカ中の小さな孔の量の指標をある程度与えることができる。BET/CTAB比を変えた材料の比較において、比を大きくするにつれて、細孔率は大きくなると言われる。
【0082】
当業者に公知であるように、BJH(Barret−Joyner−Halenda)分析を開始し、窒素脱着等温線を利用し、複数の相対的な圧力にわたる孔面積および孔の比容積を決定する。このような使用の1つは、全体的な表面積に対する孔径の寄与を観察することである。典型的には、最低で60点が記録され、これらの分析のための装置ソフトウェアによって分析される。BJH(本明細書でPとも呼ばれる)は、孔の表面積をあらわす。PまたはBJHの底が10の対数を表2に報告する。
【0083】
(Na
2O滴定)
1.試験すべきサンプル20mlをピペットで採取する。
【0084】
2.ピペットの内容物を、磁気攪拌棒を取り付けたビーカーに出す。
【0085】
3.ビーカー内のサンプルをほぼ100mlの脱イオン水で希釈する。
【0086】
4.磁気攪拌プレートにビーカーを置き、サンプルを中程度に攪拌する。
【0087】
5.約10滴のメチルオレンジ−キシレンシアノール指示薬を加える。ビーカー内の溶液の色は緑色のはずである。
【0088】
6.50mlビュレットから0.645N HClを用いて滴定する。滴定の終了は、溶液の色が紫色に変わるときに示される。
【0089】
7.加えた0.645N HClのミリリットル数を読む。この値は、サンプル中のNa2Oのリットル数あたりのグラム数である。
【0090】
(第2部−実施例1および4の調製ならびに実施例2〜3および比較例(CE)1〜4の同定)
実施例1のために使用した沈殿装置
反応器は、丸底150リットルステンレススチールタンクであった。このタンクは、加えられる混合のためにタンクの内側の対向する側面に垂直方向に配置された2個の5cmバッフルを備えていた。加熱は、タンクの上部から46.4cm下に位置する蒸気コイルによって行われた。タンクは、2個のアジテータを備えていた。主な攪拌は、Ekato MIG型ブレードによって行われ、第2の高速アジテータを、1750RPMで回転するコールズ型ブレードと共に、酸添加のために使用した。第2の高速アジテータは、酸がタンクに加えられるときのみ動かした。
【0091】
(実施例1で使用する原材料)
ケイ酸ナトリウム−SiO
2/Na
2O比が3.2である84g/l Na2O
硫酸−96%、36N
(実施例1)
90.0リットルの水を150L反応タンクに加え、間接的な蒸気コイル加熱によって67℃まで加熱した。8.4Lのケイ酸ナトリウムを844mL/分の速度で加え、Na
2O濃度7.2g/Lを達成した。上述のNa
2O滴定法を用い、ケイ酸ナトリウム/水混合物を滴定することによって、Na
2O濃度を確認した。必要な場合、間接的な蒸気コイル加熱によって、温度を67℃に調整し、沈殿工程を開始した。150リットル反応器を主要なタンクアジテーターで攪拌した。
【0092】
主要なアジテータをオンのままにして、同時に添加沈殿工程を開始した。ケイ酸ナトリウム38.0リットル、および硫酸2.3リットルを90分かけて同時に加えた。タンクの底部付近にある開口管によってケイ酸ナトリウムを速度422ml/分で加え、第2の高速ミキサーブレードの上から硫酸を直接加えた。酸添加速度は、90分間の同時添加工程で、平均で25.0ml/分であった。
【0093】
同時添加工程終了時に、溶液のpHを硫酸を用いて15分以内に4.0に調整した。混合物をポンプでフィルタープレスに圧送し、測定した洗浄水の伝導度が1000マイクロジーメンス未満になるまで洗浄した。得られた濾過ケーキを水に再スラリー化させ、圧送可能なスラリーを得て、Niro噴霧乾燥器(Type FU−11ロータリーアトマイザを含むUtility Model 5、Niro Inc)を用いて噴霧乾燥した。
【0094】
(実施例4)
開示内容が本明細書によって参考として援用されるUS8,114,935 B2号の実施例3に記載される条件にしたがって、実施例4を合成した。最終的なシリカは、顆粒の形態であり、Hosokawa Air Classifier Mill(ACM)、Model:ACM2を用い、平均粒径が17ミクロンになるまで粉砕した。
【0095】
表1は、実施例および比較例を製造するために用いられるシリカ源の属性を列挙する。
【0096】
【表1B】
(第3部−実施例および比較例の特性)
【0097】
【表2A】
(第4部−性能試験)
吸着質の表面積が大きくなるにつれて、吸着質の多くの体積が接近可能であることが一般的に受け入れられている。このことは、吸着質と吸着剤との間の共有結合性相互作用の機会がない場合であっても、ファンデルワールス相互作用、水素結合、π相互作用または双極子−双極子相互作用によって吸着質を溶液から除去することができることを意味する。したがって、分子間力が、溶液からの吸着剤を保持するのに十分に強いとき、表面積が大きくなるにつれて吸着能が大きくなると予想される。分子を物理的に捕捉することが可能であり、分子間力の累積的な効果が最大になると思われるため、より小さな孔を有する吸着質がさらに良好であるという仮説が立てられる。
【0098】
分光光度法によって、関連する化学汚染物質であるパラコートに対するシリカ吸着能を評価した。二塩化パラコートをSigma Aldrichから購入し、受領したまま使用した。最初の作業を完了し、水溶液中の作業範囲(検出限界)を決定した後、パラコートの緩衝化したボレート(0.025M)アルカリ性(pH=8.06)溶液を、258nmのπ→π
*電子遷移の強度にしたがうことによって、0ppmから25ppmの間で正確に測定することができることがわかった。ストック溶液を用いて吸光度とパラコート濃度との関係を確立したら、吸着剤にさらした後の電子吸収強度は、溶液中に残っている濃度と相関関係にある。この計算は、周知のベールの法則の式を用いて完成した。吸着能を決定するために、25PPM水溶液を調製し、1.67グラムのシリカを加えた。種々の時間にサンプルを採取し、スペクトルを記録した。このプロジェクトのための全ての作業は、HP 8542Aダイオードアレイ分光光度計によって行われた。
【0099】
【表2B】
(第5部−データ分析)
表面積のみに基づくと、実施例3Aは、最も大きな吸着能を有すると予想される。しかし、この場合にはあてはまらなかった。処理装置のわずかな違いに起因して、わずかに低いBET表面積およびCTAB表面積を有するが、細孔率(BET/CTAB比)の量が大きい実施例3Bは、溶液からより多くのパラコートを除去することができる。さらに、表面積がほぼ半分であるが、実施例3Aおよび3BよりもBET/CTAB比が顕著に大きい実施例1は、パラコート濃度を実施例3Aまたは3Bのいずれかよりも低い濃度まで下げることができる。
【0100】
孔が1.7nm〜300nmであり、吸着能を有するlog
10BJH孔表面積のx,y散布図(二次元)は、ほとんどが直線関係を示し、実施例1は、明らかにこの傾向からはずれている。このシリカは、実施例2A、2B、3Aおよび3Bよりも表面積が小さくなるように慎重に合成され、細孔率の量が有意に多い。実施例3Bは、実施例3AよりBET表面積およびCTAB表面積が小さいが、細孔率は大きく、得られた吸着能が大きいため、実施例3Bもこの傾向にあてはまらない。log
10CTAB表面積 対 吸着能および細孔率の比(BET/CTAB)の二次元散布図も作製した。直線のトレンドラインは、実施例1および3Bを含むデータ、ならびに実施例1および3Bを含まないデータに適合した。決定係数またはR
2によって、この関係の強度を評価することができる。R
2という用語は、このモデルによって説明される統計モデル(この場合には、最適線)の中の変動率である。R
2値が1.0とは、このモデルが、調べている系を完全に記述することを示し、現実世界のプロセスではほとんど出会わない。言い換えると、ある変数の変化の100%を、他の変数の変化によって説明することができる。
【0101】
【表3】
実施例1および3Aをプロットから除くことによってBJHおよびCTABのフィッティングが改良されたという事実は、BETおよびCTABが直線的な傾向を有するか、または細孔率が直線的に変化している場合に限り、表面積自体の増加が、パラコートの吸着能を直線的に増やす傾向があることを示す。しかし、BET表面積とCTAB表面積の差がすばやく大きくなっていく場合、シリカ中に存在する微細孔は、表面積および捕捉される吸着質分子の損失を補っていることを示す。本発明では、表面積が重要であるが、最適な吸着材料の設計では、細孔率が最大になった。このことは、特に、全ての実施例で、上の細孔率モデルが、吸着能の変化の90%を説明するという事実から明らかである。