特許第6228924号(P6228924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6228924-植物油ベースの感圧接着剤 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228924
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】植物油ベースの感圧接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20171030BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20171030BHJP
   C09J 163/10 20060101ALI20171030BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J163/00
   C09J163/10
   C09J201/00
【請求項の数】17
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-546027(P2014-546027)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-500373(P2015-500373A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】US2012067976
(87)【国際公開番号】WO2013086014
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】61/568,099
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506253388
【氏名又は名称】オレゴン ステイト ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】カイチャン リー
(72)【発明者】
【氏名】アンローン リー
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/023255(WO,A1)
【文献】 特開2000−080242(JP,A)
【文献】 特許第5834072(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バッキング基質;ならびに
(B)前記バッキング基質上に堆積された感圧接着剤組成物であって、前記感圧接着剤組成物が
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油;と
(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物
とを反応させてなる反応生成物を含む、感圧接着剤組成物を含む、感圧接着剤構造体。
【請求項2】
(ii)がダイマー酸である、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記ダイマー酸が分子当たり平均2つのカルボン酸基を有する、請求項に記載の構造体。
【請求項4】
前記ダイマー酸がオレイン酸および/またはリノール酸のダイマーである、請求項1、またはのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
成分(ii)がトリマー酸である、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油を(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物と反応させるステップ;および
バッキング基質上に得られた反応生成物から感圧接着剤を形成するステップを含む、感圧接着剤構造体の製造方法。
【請求項7】
前記方法が
前記エポキシ化植物油を成分(ii)とまず反応させ、プレポリマー生成物を生成するステップ;
前記プレポリマー生成物をバッキング基質または剥離ライナー上に塗布するステップ;および
前記プレポリマー生成物をさらに反応させ、前記感圧接着剤組成物を生成するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記エポキシ化植物油を成分(ii)とまず反応させるステップが前記エポキシ化植物油および成分(ii)の混合物の30〜300℃の温度での加熱を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記プレポリマー生成物をさらに反応させるステップは前記バッキング基質上に堆積させた前記プレポリマー生成物の100〜300℃の温度での加熱を含む、請求項またはに記載の方法。
【請求項10】
前記エポキシ化植物油を少なくとも1つの一塩基性酸またはその無水物とまず反応させ、変性エポキシ化植物油をもたらし;前記変性エポキシ化植物油を成分(ii)と反応させる、請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記エポキシ化植物油と反応させる成分(ii)の量が成分(ii)カルボン酸基のエポキシ化植物油エポキシ基に対するモル比で3:1〜1:3である、請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
エポキシ化植物油と反応させる一塩基性酸またはその無水物の量が前記変性エポキシ化植物油1モル当たり1.5〜6のエポキシ基を残すのに十分である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
成分(i)および(ii)のみが前記感圧接着剤を形成するためのポリマー形成反応物質である、請求項に記載の方法。
【請求項14】
過剰の成分(ii)をグリシジルまたは少なくとも二つのエポキシ基を有するエポキシ化化合物またはこれらの混合物と反応させ、プレポリマーもしくはオリゴマーの両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマー、または分岐および鎖端の少なくとも2つがカルボン酸基でキャップされた分岐プレポリマーもしくはオリゴマーをもたらすステップ、およびその後前記カルボン酸キャッププレポリマーまたはカルボン酸キャップオリゴマーを前記エポキシ化植物油と反応させるステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項15】
成分(ii)がダイマー酸である、請求項または14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油を(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物と反応させ、感圧接着剤組成物を生成するステップであって、前記エポキシ化植物油と反応させる成分(ii)の量が成分(ii)中のカルボキシル基の成分(i)中のエポキシ基に対するモル比で3:1〜1:3である、ステップ
を含む、感圧接着剤組成物の生成方法。
【請求項17】
(A)バッキング基質;ならびに
(B)前記バッキング基質上に堆積された感圧接着剤組成物であって、前記感圧接着剤組成物が
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油;および
(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物
との反応生成物を含み、前記エポキシ化植物油(i)が、一塩基性酸またはその無水物とエポキシ化植物油との反応生成物である、感圧接着剤構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は2011年12月7日出願の米国仮特許出願第61/568,099号の優先権を主張し、その全開示を本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤(PSA)(別名「自己接着剤」または「自己粘着接着剤」)は、軽い圧力が加えられると、さまざまな異なる表面と室温で結合を形成する非反応性接着剤である。接着剤を活性化するのに溶剤、熱または放射線は必要ない。これは感圧テープおよび/または箔、汎用ラベル、ノートパッド、自動車トリム、包装、医療、ならびに幅広いさまざまな他の製品において幅広い用途を有する。
【0003】
今日、ほとんどの市販のPSAはゴム、アクリル、変性アクリル、およびシリコーンベースの製剤から誘導され、これらは主に石油化学系ポリマーから生成される。石油および天然ガスは天然の供給が限られコストが増加している枯渇性の非再生可能資源なので、再生可能な天然材料から生成することができるPSA組成物を提供することが望ましい。加えて、PSAの製造および使用は環境汚染を発生させないことが大いに望ましい。
【0004】
植物油はもっとも豊富な再生可能材料の1つである。米国では毎年約200億ポンドが製造されている。現在、6億ポンド弱の大豆油が産業用途に用いられている。従って、大量の大豆油が新たな産業用途に利用可能である。
【0005】
植物油は主にトリグリセリドの混合物であり、長鎖飽和および不飽和脂肪酸の組成は植物、収穫物、および成長条件に応じて異なる。不飽和脂肪酸中の二重結合は、適切な反応により、より反応性のオキシラン部分(エポキシ官能基)に変換することができる。エポキシ化大豆油(ESO)のようなエポキシ化植物油(EVO)は市販され、ゴム、プラスチック、樹脂、コーティング、および各種熱硬化性複合材において幅広く用いられている。
【0006】
PSAを製造するための出発材料としての植物油の使用は、低コスト、低毒性、固有の生分解性、およびかなりの高純度のような多数の利点を有する。植物油からPSAを製造するための3つの一般的な方法が開示されている(国際公開第WO2008/144703号参照)。第1の方法では、アクリレートまたはメタクリレート基のようなフリーラジカル重合性官能基を脂肪酸、脂肪エステルまたは植物油上にまず導入した後、紫外線放射のようなフリーラジカル重合方法によって重合し、PSAを形成する。官能基の導入は一般的には、エポキシ化脂肪エステルまたはエポキシ化油とアクリル酸/メタクリル酸との間の反応によって達成される。重合中、さまざまなアクリルまたはメタクリルモノマーを用い、アクリル化脂肪エステル/脂肪酸/油と共重合することができる。この方法では、石油化学系アクリレートがまだ用いられている。この方法は石油化学系PSAを製造する従来のフリーラジカル重合方法の延長とみなされる。第2の方法では、脂肪エステルまたは植物油をまずエポキシ化する。エポキシ化脂肪エステルまたはエポキシ化植物油を次に重合し、カチオンで触媒されたエポキシ環の開環重合によってPSAを形成する。いくつかの他のエポキシ化合物は、PSAの特性を向上させるため、エポキシ化脂肪エステルまたはエポキシ化植物油と共重合することができる。第3の方法は、脂肪酸、脂肪エステルまたは植物油上の炭素−炭素二重結合のアクリレートまたはメタクリレートのような他のフリーラジカル重合性化合物との直接重合を含む。桐油のような乾性油中のものと違い、植物油中のほとんどの炭素−炭素二重結合は共役せず、よってフリーラジカル重合中に比較的低い反応性を有する。この第3の方法では、脂肪酸、脂肪エステルまたは植物油はフリーラジカル重合前に変性し、共役二重結合を形成しなければならない。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、感圧接着剤組成物、感圧接着剤構造体、感圧接着剤組成物の生成方法および感圧接着剤構造体の製造方法が開示される。
【0008】
本明細書に開示される1つの実施形態は、
(A)バッキング基質;ならびに
(B)前記バッキング基質上に堆積された感圧接着剤組成物であって、前記感圧接着剤組成物が
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油;および
(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはその混合物
からなる生成物を含む、感圧接着剤組成物
を含む、感圧接着剤構造体である。
【0009】
本明細書に開示される追加の実施形態は、
(A)バッキング基質;ならびに
(B)前記バッキング基質上に堆積された感圧接着剤組成物であって、前記感圧接着剤組成物が
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油;および
(ii)プレポリマーもしくはオリゴマーの両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマー、またはプレポリマーもしくはオリゴマーの分岐およびプレポリマーもしくはオリゴマーの鎖端の少なくとも2つがカルボン酸基でキャップされた分岐プレポリマーもしくはオリゴマーであって、前記カルボン酸キャッププレポリマーまたはオリゴマーが(a)過剰な二塩基性酸を(b)少なくとも2つのエポキシ基を有するグリシジルもしくはエポキシ化化合物、ジオールもしくはポリオール、ジアミン、またはこれらの組み合わせと反応させてなる、プレポリマーまたはオリゴマー
からなる生成物を含む、感圧接着剤組成物
を含む、感圧接着剤構造体である。
【0010】
本明細書に開示されるさらなる実施形態は、
(I)バッキング基質;ならびに
(II)前記バッキング基質上に堆積された感圧接着剤組成物であって、前記感圧接着剤組成物が
(A)エポキシ化植物油成分;および
(B)(i)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはその混合物;
(ii)プレポリマーもしくはオリゴマーの両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマー、またはプレポリマーもしくはオリゴマーの分岐およびプレポリマーもしくはオリゴマーの鎖端の少なくとも2つがカルボン酸基でキャップされた分岐プレポリマーもしくはオリゴマーであって、前記カルボン酸キャッププレポリマーまたはオリゴマーが(a)過剰な二塩基性酸を(b)少なくとも2つのエポキシ基を有するグリシジルもしくはエポキシ化化合物、ジオールもしくはポリオール、ジアミン、またはこれらの組み合わせと反応させてなる、プレポリマーまたはオリゴマー;または
(iii)(i)および(ii)の組み合わせ
から選択される成分
を含む架橋ポリエステル縮合生成物を含む、感圧接着剤組成物
を含む、感圧接着剤構造体である。
【0011】
本明細書に開示される追加の実施形態は、
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油を(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物と反応させるステップ;および
バッキング基質上に得られた反応生成物から感圧接着剤を形成するステップ
を含む、感圧接着剤構造体の製造方法である。
【0012】
本明細書に開示される別の実施形態は、
(a)(i)二塩基性酸を(ii)少なくとも1つの作用剤と反応させ、プレポリマーもしくはオリゴマーの両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマー、またはプレポリマーもしくはオリゴマーの分岐および鎖端の少なくとも2つがカルボン酸基でキャップされた分岐プレポリマーもしくはオリゴマーをもたらすステップ;および
(b)少なくとも1つのエポキシ化植物油を前記カルボン酸キャッププレポリマーまたはカルボン酸キャップオリゴマーと反応させ、感圧接着剤組成物を生成するステップ
を含む、感圧接着剤組成物の生成方法である。
【0013】
本明細書では、
(i)少なくとも1つのエポキシ化植物油を(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物と反応させ、感圧接着剤組成物を生成するステップであって、前記エポキシ化植物油と反応させる成分(ii)の量が成分(ii)中のカルボキシル基の成分(i)中のエポキシ基に対するモル比で3:1〜1:3である、ステップ
を含む、感圧接着剤組成物の生成方法も開示される。
【0014】
本明細書に開示される別の実施形態は、
(a)少なくとも1つのエポキシ化植物油を少なくとも1つの一塩基性酸またはその無水物と反応させ、変性エポキシ化植物油をもたらすステップ;および
(b)前記変性エポキシ化植物油を(i)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物、または(ii)プレポリマーもしくはオリゴマーの両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマー、またはプレポリマーもしくはオリゴマーの分岐および鎖端の少なくとも2つがカルボン酸基でキャップされた分岐プレポリマーもしくはオリゴマーと反応させ、感圧接着剤組成物を生成するステップ
を含む、感圧接着剤組成物の生成方法である。
【0015】
本明細書では、本明細書に開示される感圧接着剤を第1基質に塗布した後、前記感圧接着剤塗布第1基質を第2基質に接着結合するステップを含む方法も開示される。
【0016】
前述は添付の図面を参照しながら進む以下の詳細の説明からより明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書に開示されるPSAおよびPSA構造体の調製のための反応性押出および反応性カレンダーの組み合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において用いられる場合、単数語「a」、「an」および「the」は、文脈で別に明記されない限り、複数の指示対象を含む。また、本明細書において用いられる場合、「comprises(〜を含む)」の語は「includes(〜を含む)」を意味する。
【0019】
「脂肪族」の語は、上述のようにアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキルおよびシクロアルキル基を含むと定義される。「低級脂肪族」基は1〜10個の炭素原子を有する分岐または非分岐脂肪族基である。
【0020】
「アルキル」の語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等のような、1〜24個の炭素原子を有する分岐または非分岐飽和炭化水素基を指す。「低級アルキル」基は、1〜10個の炭素原子を有する飽和分岐または非分岐炭化水素である。好適なアルキル基は1〜4個の炭素原子を有する。アルキル基は、1つ以上の水素原子がハロゲン、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、ヒドロキシル、アリール、またはカルボキシルのような置換基で置換される「置換アルキル」であってもよい。
【0021】
「アリール」の語は、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、等を含む、いずれかの炭素系芳香族基を指す。「アリール」の語は、少なくとも1つのヘテロ原子が芳香族基の環内に組み入れられた芳香族基と定義される「ヘテロアリール基」も含む。ヘテロ原子の例としては、これらに限定されないが、窒素、酸素、硫黄、およびリンが挙げられる。アリール基は、これらに限定されないが、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ハライド、ニトロ、アミノ、エステル、ケトン、アルデヒド、ヒドロキシ、カルボン酸、もしくはアルコキシを含む、1つ以上の基で置換することができ、またはアリール基は非置換であり得る。
【0022】
「シクロアルキル」の語は、少なくとも3つの炭素原子からなる非芳香族炭素系環を指す。シクロアルキル基の例としては、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、等が挙げられる。「ヘテロシクロアルキル基」の語は、環の炭素原子の少なくとも1つが、これらに限定されないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンのようなヘテロ原子で置換される、上で定義されたシクロアルキル基である。
【0023】
「ヘテロアルキル」とは、そうでなければアルキル骨格の少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子、例えば、O、SまたはNで置換されるアルキル基を意味する。
【0024】
プレポリマーは、本明細書に記載される場合、プレ重合後だが(さらなる)重合および硬化反応前の反応生成物混合物とすることができる。反応混合物は、幅広い分子量のスペクトルを有するポリマーで構成することができる。オリゴマーは低重合度(比較的低分子量)を有する。プレポリマー混合物はオリゴマーを含むまたはそれらで構成することができる。
【0025】
本明細書では、エポキシ化植物油(EVO)をベースとする新規PSA組成物と、PSA製剤、そのPSAテープおよび/または箔、ならびに他のPSA製品の調製方法とが開示される。一般的には、EVOをダイマー酸、トリマー酸および/または重合脂肪酸と反応させ、PSAをもたらす。例えば、本明細書では、少なくとも1つのEVOをダイマー酸と反応させることによる、またはダイマー酸を少なくとも1つのジエポキシとまずプレ重合し、両鎖端がカルボン酸基でキャップされた熱可塑性エポキシポリマーもしくはオリゴマーを生成した後、得られた熱可塑性エポキシポリマーもしくはオリゴマーを少なくとも1つのEVOで硬化させることによる、PSA製品の製造方法が開示される。製品の化学構造はとくにPSAとしての用途の基準を満たすように設計される。組成物のポリマーは一般的には室温以下のガラス転移温度Tを有し、適切な密度の化学物質および/または物理的架橋を有し、これはポリマーに十分な凝集強度(「乾燥」)と良好な初期粘着性および接着力との間のバランスを与える。例えば、PSA組成物のTは−100〜50℃、好適には−80〜40℃、より好適には−50〜30℃であってもよい。なお、PSAのTは、最終PSA製品の各種要求を満たすように微調整されるべきである。例えば、低剥離ラベルに用いるのに好適なPSAは−50〜−30℃のTを有するだろう。フリーザーラベルに用いるのに好適なPSAは−45〜−30℃のTを有するだろう。低温ラベルに用いるのに好適なPSAは−25〜−10℃のTを有するだろう。PSAテープに用いるのに好適なPSAは−10〜10℃のTを有するだろう。高剥離ラベルに用いるのに好適なPSAは0〜10℃のTを有するだろう。使い捨てラベルに用いるのに好適なPSAは10〜30℃のTを有するだろう。架橋密度は、最終組成物が上述の適切なTg、十分な凝集強度、ならびに良好な初期粘着性および接着力を有するという点でPSAに適したものである。さらに、組成物の架橋密度はPSAの基準および最終PSA製品の各種要求を満たすように微調整することができる。
【0026】
本明細書に開示される特定の実施形態は、EVOのダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物との、または二塩基性酸をジグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物、ジオール、ジアミン、もしくはこれらの組み合わせと反応させることにより誘導される両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマーとの、または多塩基性酸を少なくとも2つのエポキシ基を有するグリシジルもしくはエポキシ化化合物、ジオールもしくはポリオール、ジアミン、またはこれらの組み合わせと反応させることにより誘導される分岐および鎖端の少なくとも2つがカルボン酸基でキャップされた分岐もしくは超分岐ポリマーもしくはオリゴマーとの反応からのPSAの直接製造を可能にする。PSAとしてのそれらの使用を可能にするのにEVO/「二塩基性酸」反応生成物のさらなる反応は必要はない。
【0027】
本明細書に開示されるPSA接着剤組成物の特定の実施形態は、室温で接着性または粘着性を示し、無臭であり、有機溶剤および/または毒性触媒を用いては生成されず、再生可能な材料のみで構成される(すなわち、それらは石油化学物質または石炭系化学物質のような化石燃料からは生成または誘導されない)。
【0028】
1つの実施形態では、PSA組成物は、PSAをもたらす少なくとも1つのEVOとダイマー酸、トリマー酸および/または重合脂肪酸、ならびに任意で少なくとも1つの一塩基性酸またはその無水物誘導体との高温で調製されるポリエステル縮合生成物を含む。
【0029】
EVOは、植物油の二重結合の少なくとも一部をより反応性のオキシラン部分に変換することにより、植物油から生成することができる。特定の実施形態では、「EVO」は一般的には、いずれかの方法、例えば、産業においてもっとも幅広く適用されるプロセスである、いわゆるin situ過ギ酸プロセスを用い、その二重結合が完全にまたは部分的にエポキシ化される、植物油のいずれかの誘導体を指す。本明細書では、「植物油」とは、グリセロール分子と結合した3つの脂肪酸からなる、多価不飽和トリグリセリドの群を指す。一般的には、脂肪酸は、鎖当たり複数の二重結合を有する長鎖(C12〜C24以上の)物質である。植物油は、パーム油、オリーブ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、綿実油、大豆油、亜麻仁油、菜種油、ヒマシ油、ココナッツ油、パーム核油、米糠油、紅花油、ゴマ油、ヒマワリ油、もしくは他の多価不飽和植物油(天然および遺伝子組換え両方)、またはこれらの混合物とすることができる。同様に「EVO」成分として用いることができる適切な多価不飽和トリグリセリドとしては、大型ニシン、イワシ、およびニシン油のような、海洋起源の不飽和油を挙げることもできる。特定の実施形態では、2つ以上のEVOは必要に応じて単一混合物で用いることができる。EVOは一般的には2よりかなり高い官能性(エポキシ基および場合によってはそのヒドロキシル基を含む)を有し、これはダイマー酸、トリマー酸、および/または重合脂肪酸と重合した場合かなり高い架橋密度を有するポリマーをもたらし得、従ってポリマーの弾性率を増加させ、PSAとしてのそれらの有用性を低下させる。従って、いくつかの実施形態では、組成物の変性が行われる、および/または反応条件がPSA組成物に適した適切な架橋密度を有するポリエステルをもたらすように最適化される。架橋密度および/またはポリマー弾性率は、最終組成物が上述の適切なT、十分な凝集強度、ならびに良好な初期粘着性および接着力を有するように、PSAに適したものとする。さらに、架橋密度および/またはポリマー弾性率は、PSAの基準および最終PSA製品の各種要求を満たすように微調整することができる。ESOおよびエポキシ化亜麻仁油のようなEVOは、カリフォルニア州のSpectrum Chemical Mfg Corp、およびミズーリ州のSigma−Aldrich Corpのような商業的供給業者からも容易に入手可能である。
【0030】
EVOはトリグリセリド当たり約1.5〜約6個(またはそれ以上)のエポキシ基を含有することができる。EVOは好適には2〜5、より好適には2.5〜4.5の官能性(エポキシ価)を含有する。EVOのエポキシ官能性は、出発植物油のすべてより少ない二重結合をエポキシ化することにより制御することができる。または、特定の実施形態によると、本SPA組成物に用いられる高い官能性を有するEVOは、少なくとも1つの一塩基性酸またはその無水物誘導体(「変性剤」)と反応させることにより、任意で変性し、それらのエポキシ官能性を低下させ、以下でより詳細に記載されるダイマー酸、トリマー酸、および/または重合脂肪酸とのその後の重合における架橋速度および密度を低減することができる。EVO(または変性EVO)のエポキシ官能性は、EVOとダイマー酸、トリマー酸、および/または重合脂肪酸との重合における架橋速度および密度を決定する。変性剤の使用および量ならびに重合温度および時間の選択も、PSAの特性を最終的に決定する要素である。
【0031】
特定の実施形態では、EVO(本明細書に記載される変性EVOであってもよい)は、ダイマー酸、トリマー酸、および/または重合脂肪酸と反応させる。これらの化合物は分子当たり2つ以上のカルボン酸官能基を含有することができ、その例としては、限定なしに、ダイマー酸、トリマー酸、重合脂肪酸(水素化によって得られるそれらの飽和形態を含む)、またはこれらの混合物が挙げられる。ダイマー酸、または二量体化脂肪酸は、通常は粘土触媒(例えば、モンモリロナイト粘土)上の不飽和脂肪酸を二量体化することにより調製することができるジカルボン酸である。同様に、トリマー酸および重合脂肪酸は、得られる分子がそれぞれ3つ以上の脂肪酸分子で構成される、対応する生成物である。トリマー酸および重合脂肪酸はそれぞれ3つ以上のカルボン酸基で構成されるが、それらは重縮合化学の観点から「二塩基性酸」であるとみなすこともできる。トール油脂肪酸(主にオレイン酸およびリノール酸で構成される)および植物油からの他の脂肪酸(例えば、エルカ酸、リノレン酸)、海洋油または獣脂(例えば、高オレイン酸獣脂)を出発材料とし、ダイマー酸、トリマー酸および重合脂肪酸またはこれらの混合物を調製することができる(例えば、 “Preparation of Meadowfoam Dimer Acids and Dimer Esters and Their Use as Lubricants” by D.A.Burg and R.Kleiman(JAOCS.1991)、 “Fats and oils as oleochemical raw materials” by K.Hill(Pure Appl.Chem.2000)参照)。ダイマー酸、トリマー酸または重合脂肪酸を植物油から生成または誘導することができるという事実は、PSA組成物を再生可能な供給源のみから生成することができることを意味する。
【0032】
特定の実施形態では、ダイマー酸は、不飽和脂肪酸のダイマーまたはダイマーおよび少量(最大10重量パーセント)の不飽和脂肪酸のモノマーもしくはトリマーの混合物である。トリマー酸は、不飽和脂肪酸のトリマーまたはトリマーおよび少量(最大10重量パーセント)の不飽和脂肪酸のモノマーもしくはダイマーの混合物である。重合脂肪酸は4つ以上の不飽和脂肪酸残基を含有する。ダイマー酸、トリマー酸または重合脂肪酸は、二量体化、三量体化または重合不飽和脂肪酸の混合物であってもよい。好適な不飽和脂肪酸としては、分子当たり12〜24個の炭素原子および少なくとも1つの不飽和結合を有するカルボン酸が挙げられる。1つの不飽和結合を有する好適な酸としては、例えば、オレイン酸、エライジン酸およびセトレイン酸が挙げられる。2つの不飽和結合を有する好適な脂肪酸としては、ソルビン酸およびリノール酸が挙げられる。3つ以上の不飽和結合を有する好適な脂肪酸としては、リノレン酸およびアラキドン酸が挙げられる。ダイマー酸、トリマー酸、または重合脂肪酸は部分的または完全に水素化することができる。例となるダイマー酸は構造:
【化1】
、または
【化2】

を有し、RおよびR’は、独立して1〜30個の炭素原子を有する、同じまたは異なる、飽和、不飽和または多価不飽和、直鎖または分岐アルキル基であり、n、m、n’およびm’は0〜20の範囲内で同じまたは異なる。単官能性カルボン酸部分間には2つ以上のC−C架橋があってもよい。あるいは、RおよびR’は、独立して1〜20個の炭素原子を有する、または独立して1〜8個の炭素原子を有する、同じまたは異なる、飽和、不飽和または多価不飽和、直鎖アルキル基であり;nおよびmは、独立して1〜10の範囲内、または独立して4〜16の範囲内で同じまたは異なる。他の非限定的な実施形態では、Rはブチルであってもよく、R’はオクチルであってもよく;nは8であってもよく、mは14であってもよい。
【0033】
別の実施形態では、ダイマー酸は、本明細書にその全開示を参照により組み入れる、米国特許第3,287,273号において記載される定義を有することができる。こうした市販のダイマー酸は一般的には、C36二塩基性ダイマー酸を形成する不飽和C18脂肪酸の重合により生成される。プロセスに用いられる原材料に応じて、C18モノマー酸はリノール酸もしくはオレイン酸またはこれらの混合物であってもよい。得られるダイマー酸は従って、リノール酸、オレイン酸またはこれらの混合物のダイマーであってもよい。
【0034】
例となるダイマー酸としては:
【化3】

【化4】
、および
【化5】

が挙げられる。
【0035】
トリマー酸および重合脂肪酸の構造は3つ以上の不飽和脂肪酸残基を含む。それらは、ディールス−アルダーおよび/またはラジカル機構による、不飽和脂肪酸、そのダイマー酸、ならびに/またはそのトリマー酸および重合脂肪酸の間の反応生成物であり得る。
【0036】
他の実施形態によると、EVO(本明細書に記載される変性EVOであってもよい)は、カルボン酸キャッププレポリマーまたはカルボン酸キャップオリゴマーと反応させ、PSAを生成するが、カルボン酸キャッププレポリマーまたはカルボン酸キャップオリゴマーは過剰な二塩基性酸を少なくとも1つの作用剤と反応させ、プレポリマーまたはオリゴマーの両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーまたはオリゴマーをもたらすことにより誘導される。カルボン酸キャッププレポリマーまたはカルボン酸キャップオリゴマーはそれ自体が「二塩基性酸」として機能する。好適には、プレポリマーまたはオリゴマーは、プレポリマーまたはオリゴマーの両鎖端がカルボン酸基でキャップされるように、モノマー状二塩基性酸初期反応物質で終端させる。プレポリマーまたはオリゴマーは、鎖端が二塩基性酸(すなわち、カルボン酸基)の部分となるようにモノマー状二塩基性酸で終端させた重縮合生成物である。プレ重合は、「硬質」セグメント/ブロックをポリマー中に導入し、よって最終PSAの強度および弾性率を増加させることができる。例えば、PSA製品は、ダイマー酸を少なくとも1つのジエポキシとまずプレ重合し、両鎖端がカルボン酸基でキャップされた熱可塑性エポキシポリマーまたはオリゴマーを生成した後、得られた熱可塑性エポキシポリマーまたはオリゴマーを少なくとも1つのエポキシ化植物油で硬化することにより製造することができる。
【0037】
PSAの調製に用いられる二塩基性酸は、2つのカルボン酸官能基、およびそれらの誘導体または類似体を含有するいずれかの化合物を含むことができる。分子当たり2つの置換可能な活性水素原子を含むが、前記水素原子がカルボン酸部分には含まれない化合物も、重縮合化学の観点から二塩基性酸であるとみなされる。例えば、「置換可能な活性水素原子」は、ヒドロキシル基(−OH)、アミン基(−NHRおよび−NH)、またはチオール基(−SH)、スルホンアミド、等の一部であり得る。2つ以上の二塩基性酸は必要に応じて単一混合物で用いることができる。二塩基性酸は、最大30個の炭素原子、好適には2〜22個の炭素原子を含有する脂肪族(直鎖、分岐または環状)飽和カルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、およびドコサンジオン酸とすることができる。二塩基性酸はまた、限定なしに、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸を含む、芳香族酸およびその誘導体であってもよい。二塩基性酸は無水物のような他の誘導体から生成することもできる。特定の例としては、限定なしに、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、およびフタル酸無水物が挙げられる。二塩基性酸または無水物誘導体は好適には天然資源から誘導される。高いエネルギーを消費する従来の二塩基性酸製造プロセスに加えて、さまざまな二塩基性酸を再生可能な供給原料から得る代替方法については十分に報告されてきた(例えば、 “Lipids as renewable resources:current state of chemical and biotechnological conversion and diversification” by J.O.Metzger and U.Bornscheuer(Appl.Microbiol.Biotechnol.2006)参照)。三塩基性以上のH官能性酸としては、限定なしに、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、クエン酸、トリマー酸、重合脂肪酸、等が挙げられる。再生可能な原材料から入手または誘導されるもの、例えば、トリマー酸、重合脂肪酸、およびクエン酸が好ましい。クエン酸は、さまざまな果物および野菜、もっとも顕著には柑橘類中に存在する三塩基性有機酸である。これは世界中で製造および消費される汎用化学品である;2007年のクエン酸の世界的生成量は160万トン超であり、世界的需要はまだ急激に増加している(例えば、“citric acid production” by M.Berovic and M.Legisa(Biotechnol.Annu.Rev.2007)参照)。「二塩基性酸」は上述のダイマー酸、トリマー酸、および重合脂肪酸も含む。
【0038】
過剰な三塩基性以上のH官能性酸の適切な作用剤(例えば、ジエポキシドまたはポリエポキシド)とのプレ重合は、分岐および鎖端の少なくとも2つまたはすべてがカルボン酸基でキャップされた可溶性および/または熱可塑性分岐(超分岐であってもよい)ポリマーまたはオリゴマーをもたらすことができる。例えば、1つの分岐および1つの鎖端をそれぞれカルボン酸基でキャップすることができる。別の例では、2つ以上の分岐をそれぞれカルボン酸基でキャップすることができる。さらなる例では、分岐ではなく各鎖端をカルボン酸基でキャップすることができる。慎重なモノマーペアの選択、モノマー供給比の設計、ならびに反応条件および操作の最適化により、分岐および鎖端の少なくとも2つまたはすべてがカルボン酸基でキャップされた可溶性および/または熱可塑性分岐または超分岐ポリマーまたはオリゴマーを幅広く得ることができる。特定の実施形態では、カルボン酸基はペンダント基として存在し得る。
【0039】
カルボン酸キャッププレポリマーまたはオリゴマーを調製するのに有用な作用剤の例としては、ジエポキシまたはポリエポキシド、例えば少なくとも2つのエポキシ基を有するグリシジルまたはエポキシ化化合物;ジオールまたはポリオール;およびジアミンが挙げられる。
【0040】
例となるジエポキシとしては、ジグリシジルエーテルおよび少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化化合物、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAプロポキシレートジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエトキシレートジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ジグリシジル1,2,3,6−テトラヒドロフタレート、1,2−シクロヘキサンジカルボキシレートジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル末端ポリ(ジメチルシロキサン)、エポキシ化リノール酸エステル、および2つのエポキシ官能基を有するエポキシ化植物油がある。加えて、以下の化合物も重縮合化学の観点からジエポキシとして用いられる:三塩基性以上のエポキシ官能性化合物、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、エポキシ化植物油、エポキシ化リノレン酸エステルのような、2つ以上のエポキシ官能基を有するエポキシ化脂肪酸エステル、等。
【0041】
ジエポキシドまたはポリエポキシドから誘導される上述のプレポリマーまたはオリゴマーの例となる繰り返し単位は以下:
【化6】

【化7】

【化8】

または
【化9】

のように表され、R、R、R、R、R、R、R、およびRのそれぞれは独立して水素または置換もしくは非置換アルキルもしくはヘテロアルキル基を表す。
【0042】
例となるジオール(またはグリコール)としては、限定なしに、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、エトヘキサジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、等が挙げられる。例となるポリオールとしては、限定なしに、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、およびイソマルトが挙げられる。
【0043】
ジオールから誘導される上述のプレポリマーまたはオリゴマーの例示的な繰り返し単位は以下:
【化10】

のように表され、RおよびRのそれぞれは独立して水素または置換もしくは非置換アルキルもしくはヘテロアルキル基を表す。
【0044】
例となるジアミンとしては、限定なしに、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサン−1,6−ジアミン、1,2−ジアミノプロパン、ジフェニルエチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、ジメチル−4−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノビフェニル、1,8−ジアミノナフタレン、および2つ以上の第一級アミノ基(−NH)を有する他の化合物が挙げられる。
【0045】
ジアミンから誘導される上述のプレポリマーまたはオリゴマーの例となる繰り返し単位は以下:
【化11】

のように表され、RおよびRのそれぞれは独立して水素または置換もしくは非置換ホモアルキルもしくはヘテロアルキル基を表す。
【0046】
PSA組成物の一部を(例えば、特定の実施形態では「変性剤」として)形成することができる一塩基性酸は、1つのカルボキシル基のみを含有する有機化合物のいずれか、例えば、遊離酸またはその誘導体であってもよい。2つ以上の一塩基性酸は必要に応じて単一混合物で用いることができる。一塩基性酸は、最大36個の炭素原子、好適には1〜24個の炭素原子を含有する脂肪族(直鎖、分岐または環状)飽和酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンエイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、およびリグノセリン酸とすることができる。一塩基性酸は、芳香族酸およびその誘導体、例えば安息香酸、ナフタレン酸、およびこれらの誘導体とすることもできる。当業者により理解されるように、一塩基性酸は、無水物のような他の誘導体から生成することもできる。特定の例としては、限定なしに、酢酸無水物およびプロピオン酸無水物が挙げられる。一塩基性酸は好適には天然資源から誘導される。例えば、遊離脂肪酸は、植物または動物供給源から誘導される天然脂肪および油の加水分解により得ることができる。この点について、飽和脂肪酸が好ましいが、コスト効率のため遊離脂肪酸またはそれらのエステルの混合物を出発材料として用いることもできる。
【0047】
特定の実施形態では、(i)EVO、(ii)ダイマー酸、トリマー酸および/または重合脂肪酸(またはカルボン酸キャップ二塩基性酸誘導プレポリマーもしくはオリゴマー)、ならびに任意の(iii)一塩基性酸に加えて、反応混合物は、とくに反応が低温(例えば、<120℃)で行われる場合、反応物質の重量に対して約0.05〜10.0重量部、より具体的には0.1〜10.0重量部、好適には約0.1〜2重量部の触媒を含有することもできる。触媒は反応混合物の硬化時間を(例えば、1〜6分の硬化時間まで)低減することができる。いくつかの触媒を用い、(ダイマー酸、トリマー酸および/または重合脂肪酸(またはカルボン酸キャップ二塩基性酸誘導プレポリマーもしくはオリゴマー)からの)カルボン酸基または無水物基と、(EVOからの)エポキシ基との間の反応を効果的に触媒することができる。これらの触媒は:
(1)アミン、とくに第三級アミン、―例えば、これらに限定されないが、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリエイコシルアミン、ドコシルジオクチルアミン、トリアコンチルジブチルアミン、2−エチルヘキシルジ−n−プロピルアミン、イソプロピルジ−n−ドデシルアミン、イソブチルジ−n−エイコシルアミン、2−メチルドコシルジ−(2−エチルヘキシル)アミン、トリアコンチルジ−(2−ブチルデシル)アミン、n−オクタデシルジ−(n−ブチル)アミン、n−エイコシルジ−(n−デシル)アミン、n−トリアコンチルn−ドデシルメチルアミン、n−オクチルジメチルアミン、n−デシルジエチルアミン、n−ドデシルジエチルアミン、n−オクタデシルジメチルアミン、n−エイコシルジメチルアミン、n−オクチルn−ドデシルメチルアミン、n−デシルn−エイコシルエチルアミン、n−オクチルジメチルアミン、n−デシルジメチルアミン、n−ドデシルジメチルアミン、n−テトラデシルジメチルアミン、n−ヘキサデシルジメチルアミン、n−オクタデシルジメチルアミン、n−エイコシルジメチルアミン、ジ−(n−オクチル)メチルアミン、ジ−(n−デシル)メチルアミン、ジ−(n−ドデシル)メチルアミン、ジ−(n−テトラデシル)メチルアミン、ジ−(n−ヘキサデシル)メチルアミン、ジ−(n−オクタデシル)メチルアミン、ジ−(n−エイコシル)メチルアミン、n−オクチルn−ドデシルメチルアミン、n−デシルn−オクタデシルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、N−メチル−N−ドデシルアニリンピリジン、2−メチルピリジン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、1−メチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−5−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]−オクタン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ジアミノナフタレン、2−フェニル−2−イミダゾリン、2−エチルイミダゾール、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、等;
(2)金属塩または錯体、―例えば、これらに限定されないが、クロム(III)トリス(アセチルアセトナート)、2−エチルヘキサン酸クロム(III)、AFC Accelerator AMC−2(Ampac Fine Chemical LLCから購入したクロム(III)錯体の溶液)、ヘキサン酸クロム(III)、オクタン酸クロム(III)、ステアリン酸クロム(III)、ナフテン酸クロム(III)、3,5−ジイソプロピルサリチラトクロム(III)キレート、ビス(3,5−ジイソプロピルサリチラト)−モノヒドロキシクロム(III)キレート、酢酸亜鉛、酢酸亜鉛二水和物、亜鉛アセチルアセトナート、オクタン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、オレオイルサルコシン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキシル酸リン酸亜鉛塩、ブチル酸リン酸亜鉛塩、ジ−2−エチルヘキシルジチオ−リン酸亜鉛、ドデセニルコハク酸ブチルハーフエステルの亜鉛塩、N−ブチルサリチルアルジミオ亜鉛(II)キレート、イソ吉草酸亜鉛、コハク酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、オクタン酸第一スズ、2−エチルヘキシル酸リン酸スズ(II)塩、チタンエチルアセト酢酸キレート、チタンアセト酢酸キレート、チタントリエタノールアミンキレート、オクタン酸ジルコニウム、ジルコニウム6−メチルへキサンジオン、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトン、3,5−ジイソプロピルサリチラトニッケル(II)キレート、ニッケルアセチルアセトナート、N−ブチルサリチルアルジミオニッケル(II)キレート、3,5−ジイソプロピルサリチラトマンガン(II)キレート、ナフテン酸マンガン、マグネシウム2,4−ペンタジオネート、オクタン酸鉄、リノール酸第二鉄、鉄(III)アセチルアセトナート、オクタン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、コバルト(III)アセチルアセトナート、N−ブチルサリチルアルジミオコバルト(II)キレート、N−ブチルサリチルアルジミオコバルト(III)キレート、3,5−ジイソプロピルサリチラトコバルト(II)キレート、N−ブチルサリチルアルジミオ銅(II)キレート、3,5−ジイソプロピルサリチラト銅(II)キレート、3,5−ジイソプロピルサリチラトオキシバナジウム(IV)キレート、アルミニウムアセチルアセトナート、乳酸アルミニウム、ジラウリン酸ジブチルスズ、酸化ジブチルスズ、二水酸化ブチルクロロスズ、ナフテン酸セリウム、オクタン酸カルシウム、オクタン酸ビスマス、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、等;
(3)第四級アンモニウム化合物、―例えば、これらに限定されないが、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、水素硫酸テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ブチルトリエチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、塩化メチルトリカプリルアンモニウム、塩化メチルトリブチルアンモニウム、臭化メチルトリブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチル(またはヘキサデシルトリメチル)アンモニウム、臭化ヘキサデクチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデクチルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンズアルコニウム、臭化セチルジメチルベンジルアンモニウム、臭化セタルコニウム、塩化セチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セタルコニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸セチルトリメチルアンモニウム、トシル酸テトラエチルアンモニウム、トシル酸テトラブチルアンモニウム、トシル酸セチルトリメチルアンモニウム、臭化フェニルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、等;
(4)第四級ホスホニウム化合物、―例えば、これらに限定されないが、臭化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム、臭化エチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム、臭化ブチルトリフェニルホスホニウム、塩化ベンジルトリフェニルホスホニウム、臭化メチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化トリフェニルホスホニウム、塩化メチルトリフェニルホスホニウム、塩化ブチルトリフェニルホスホニウム、塩化(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム、等;
(5)ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、等;
(6)アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、等
とすることができる。
【0048】
触媒は、反応混合物の最初の充填からコーティングまで、プレ重合中のいずれかの時点で添加することができる。特定の実施形態では、触媒は均質に分布することができる場合に添加することが重要である。
【0049】
PSA組成物は添加剤および充填剤を含むこともできる。充填剤は脂肪酸のエステルのような出発材料中にもともと存在していてもよく、または意図的に含めてもよい。添加剤、例えば粘着付与剤、有色顔料、乳白剤、加工油可塑剤、溶剤およびテープ技術分野に知られる他の構成成分をPSAに組み入れてもよい。
【0050】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるポリエステル縮合生成物は感圧接着剤組成物の主成分であり、感圧接着剤組成物は感圧接着剤組成物の総重量に対して少なくとも約50、具体的には少なくとも約70、より具体的には少なくとも約80、もっとも具体的には少なくとも約90重量パーセントのポリエステル縮合生成物を含むことを意味する。
【0051】
EVOとダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、カルボン酸キャッププレポリマーもしくはオリゴマー、またはこれらの混合物とのプレ重合は、EVOとダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、カルボン酸キャッププレポリマーもしくはオリゴマー、またはこれらの混合物、および任意で一塩基性酸またはその無水物誘導体との反応混合物を制御条件(とくに反応温度および時間)下、架橋が明らかに起こらず、中間反応混合物の粘度がブレードコーティングを行うのに適している程度まで加熱することにより達成することができる。エステルは高温で容易に酸化され、暗色生成物をもたらすので、所望に応じて、反応は好適には酸素を含まない不活性雰囲気下、例えば窒素下で行われる。重合組成物は、EVO成分(未変性または一塩基性酸で変性)が第1部(成分(i))を構成し、ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、および/またはカルボン酸キャッププレポリマーもしくはオリゴマー(ならびに任意で少なくとも1つの一塩基性酸)が第2部(成分(ii))を構成する、2部系とみなすことができる。2つの部は3つの方法で混合することができる:(1)加熱前に、2つの部を室温で混合する;(2)ともに加熱前に、溶融または液体状態の成分(i)を固体状態の成分(ii)と室温で混合する;(3)混合および加熱前に、両成分(i)および(ii)を溶融または液体状態にする。
【0052】
いくつかの特定の実施形態では、EVO成分(未変性または任意で一塩基性酸で変性)との重合前、二塩基性酸はジエポキシ(少なくとも2つのエポキシ基を有するグリシジルまたはエポキシ化化合物)、ジオールまたはポリオール、ジアミン、等と、適切に20〜300℃の範囲内の温度で1〜300分間、好適には60℃〜220℃で3〜240分間、より具体的には80〜180℃で5〜120分間まずプレ重合し、両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマー、または分岐および鎖端の少なくとも2つがカルボン酸基でキャップされた分岐もしくは超分岐ポリマーもしくはオリゴマー(前述)を得る。モル比は末端単位の性質、得られるプレポリマーの分子量および粘度を制御するので、プレ重合反応において、二塩基性酸中のカルボン酸基のグリシジル、オキシラン、ヒドロキシル、またはアミン基(それぞれ、ジグリシジルエーテル、エポキシ化化合物、ジオール、またはジアミンの場合)に対するモル比は重要であり得る。モル比は、得られるプレポリマーの両鎖端が確実にカルボン酸基でキャップされるように、1より大きくなければならないが、得られるプレポリマーの分子量および粘度の制御を助けるため、1.0001以上、好適には1.005〜100、より具体的には1.02〜20である。例えば、分子量(数平均分子量)は100,000以下、好適には50,000以下、より具体的には200,000以下であるべきであり;粘度は操作温度および撹拌速度に応じて1,000,000以下、好適には100,000以下、より具体的には50,000以下であるべきである。カルボン酸基または無水物基とエポキシ基との間の反応を効果的に触媒するために用いられる触媒(上述)を用い、プレ重合速度を増加させることもできる。用いられる触媒の量は、反応物質の総重量に対して、約0.05〜10.0重量部、より具体的には0.1〜10.0重量部、好適には約0.2〜5重量部とすることができる。
【0053】
特定の実施形態によると、新規EVOベースのPSA組成物は、反応混合物を適切に30〜300℃の範囲内の温度で1〜120分間、好適には60〜220℃で3〜60分間、より具体的には80〜180℃で4〜30分間加熱することにより調製することができる。反応混合物のいくつかの実施形態(触媒は任意で混合物中に含めることができる)を以下に挙げる:
(i)未変性EVOとダイマー酸またはその無水物;
(ii)EVO(一塩基性酸または無水物で予め変性)とダイマー酸またはその無水物;
(iii)未変性EVOとトリマー酸またはその無水物;
(iv)EVO(一塩基性酸または無水物で予め変性)とトリマー酸またはその無水物;
(v)未変性EVOと重合脂肪酸またはその無水物;
(vi)EVO(一塩基性酸または無水物で予め変性)と重合脂肪酸またはその無水物;
(vii)未変性EVOとモノマー(不飽和脂肪酸)、ダイマー酸、トリマー酸および/または重合脂肪酸の混合物;前記モノマーは上記混合物を調製するのに用いられる不飽和脂肪酸であり、EVOを変性するのに用いられる一塩基性酸とみなすことができる;
(viii)EVO(一塩基性酸または無水物で予め変性)とモノマー(不飽和脂肪酸)、ダイマー酸、トリマー酸および/または重合脂肪酸の混合物;前記モノマーは上記混合物を調製するのに用いられる不飽和脂肪酸であり、EVOを変性するのに用いられる一塩基性酸とみなすことができる;
(ix)未変性EVOとカルボン酸キャップダイマー酸プレポリマーまたはオリゴマー;
(x)EVO(一塩基性酸または無水物で予め変性)とカルボン酸キャップダイマー酸プレポリマーまたはオリゴマー;
(xi)EVO、一塩基性酸または無水物、およびダイマー酸またはその無水物;
(xii)EVO、一塩基性酸または無水物、およびトリマー酸またはその無水物;ならびに
(xiii)EVO、一塩基性酸または無水物、および重合脂肪酸またはその無水物。
【0054】
特定の実施形態では、最終反応混合物のPSA形成反応性成分は(i)EVO(変性または未変性)、および(ii)ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはこれらの混合物のみである。さらなる実施形態では、最終反応混合物のポリマー形成反応性成分は(i)EVO(変性または未変性)、および(ii)カルボン酸キャップ二塩基性酸プレポリマーまたはオリゴマーのみである。
【0055】
組成物は、二塩基性酸の性質、EVOの官能性、混合方法、反応温度、ならびに触媒(上述)の性質および量に応じて、最大約5または120分のオープンタイムを有することができる。本明細書において用いられる場合、「オープンタイム」とは、2つの部の混合から混合組成物をこれ以上用いることができない点まで架橋が起こるまでの時間を表す。一般的には、反応温度が高いほどオープンタイムは短い。低温ではカルボン酸基は主にエポキシ基により消費される。しかし高温ではカルボキシル−エポキシ反応から誘導されるエポキシ基およびヒドロキシル基の両方がカルボン酸基と反応することができる。反応がさらに進むにつれ、反応においてカルボン酸−ヒドロキシルエステル化反応が優勢となり、結果として架橋密度は増加し、混合組成物はコーティングがより困難となり、PSAにより適さなくなる。反応は、PSAに適した低いガラス転移温度、十分な凝集強度、ならびに良好な初期粘着性および接着力を有するコーティングを生成するように制御することができる。
【0056】
本明細書に開示される一般的なEVOベースのPSA組成物中、ダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、および/またはカルボン酸キャッププレポリマーもしくはオリゴマーは、カルボン酸基のEVO(または変性EVO)エポキシ基に対するモル比約3:1〜約1:3、好適には2:1〜1:1.8、より具体的には1.2:1〜1:1.1で用いることができる。
【0057】
特定の実施形態では、初期または第1段階重合は、反応混合物を、架橋が明らかに起こらず、第1段階反応混合物の粘度が反応混合物のPSAバッキング材料または剥離ライナー(例えば、シリコーン処理した剥離ライナー)上へのブレードコーティングが可能なほど十分に低い程度までのみ加熱することにより達成される。例えば、粘度は、操作温度および撹拌速度に応じて、2,000,000mPa・s以下、好適には200,000mPa・s以下、より具体的には100,000mPa・s以下であるべきである。PSAバッキング材料は、紙、セロファン、プラスチックフィルム、布、テープまたは金属箔とすることができる。
【0058】
バッキング上の得られたプレポリマーコーティングは次に、ポリエステルの適切な架橋が起こり、PSA用途に適した十分な凝集強度、良好な初期粘着性および接着力を有する「乾燥」接着剤層を得ることができるように、例えば空気循環オーブン、赤外炉中で加熱する。
【0059】
特定の実施形態によると、均質混合物は、オープンタイム以内に、PSAバッキング基質(例えば紙およびPETフィルム)またはシリコーン処理した剥離ライナー上に、混合組成物の加熱直後にガラス棒でブレードコーティングすることができ、結果として混合組成物の薄く均一な層がバッキングまたはライナー上に約2〜約10mg/cmのコーティング濃度で生成される。なお本明細書では、「モノマー」反応混合物(例えば、EVOとダイマー酸)それ自体は一般的には低粘度であり、実際便利に取り扱うには低過ぎる場合があり得る。それらの粘度をより望ましいレベルまで増加するため、「モノマー」反応混合物はコーティング前に、二塩基性酸のかなり高い変換率に達しているが、架橋は明らかに起こらないような望ましい程度まで部分重合し、こうして適切な粘度を有する透明な「シロップ」を形成する。
【0060】
いくつかの特定の実施形態によると、PSAバッキング上の得られた接着剤コーティングは次に、ポリエステルの適切な架橋が起こり、PSAに適した十分な凝集強度、良好な室温での初期粘着性および接着強度を有する「乾燥」接着剤層を得ることができるように、例えば100〜300℃で維持された空気循環オーブン中で10秒〜100分間、好適には120〜250℃で30秒〜80分間、より具体的には150〜200℃で1〜60分間加熱する。一般的には、反応温度が高いほど理想的な重合度を達成するのに必要な加熱時間は短い。しかしながら、オーブン温度を選択する前に、PSAバッキングまたはシリコーン処理した剥離ライナーの熱安定性が考慮されるべきである。
【0061】
いずれの理論にも縛られないが、熱の作用のため、PSAバッキング上のプレポリマー中にまだ存在する反応性基(カルボン酸基、ならびにエポキシ基および/またはヒドロキシル基)は、さらなる重合および架橋が可能であるような程度まで活性化されると考えられる。PSA用途について、とくに接着剤の凝集強度をその伸展性に過度に影響を与えることなく増加することが望ましい場合、架橋が望ましい。しかしながら、高過ぎる密度架橋はPSA特性にとって有害であり得、剥離試験において反映されるように伸展性をかなり損失させる。従って、この段階での反応温度および時間は、PSA系の適切な架橋について微調整することができる。
【0062】
本明細書ではまた、変性EVOをベースとする新規PSA組成物と、前記PSA製剤ならびにそのPSAテープおよび/または箔の調製方法とが開示される。この実施形態では、PSA組成物は変性EVOと少なくとも1つのダイマー酸、トリマー酸、および/または重合脂肪酸との高温で調製されるポリエステル縮合生成物を含み、変性EVOは少なくとも1つのEVOおよび少なくとも1つの一塩基性酸またはその無水物誘導体を高温で反応させることにより生成された。なお本明細書では、こうした変性は同時にヒドロキシル基の導入のためEVOの親水性を増加させ、これはEVOと二塩基性酸との間の反応を促進し、紙のようなテープバッキングに対する反応混合物のコーティング「ウェットアウト(浸潤)」を向上させる。
【0063】
新規EVOベースのPSAは、変性EVOと少なくとも1つのダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、重合脂肪酸もしくはその無水物、またはカルボン酸キャッププレポリマーもしくはオリゴマー(および任意で一塩基性酸またはその無水物誘導体)とを(上述のいずれかの混合方法により)混合および加熱することにより調製することができる。変性EVOは、EVOを少なくとも1つの一塩基性酸またはその無水物誘導体、および必要に応じて触媒(上述)と適切に80〜300℃の範囲内の温度で10秒〜300分間、好適には100〜220℃で30秒〜200分間、より具体的には120〜180℃で1〜120分間反応させることにより予め調製する。一般的には、EVOの変性のこの段階では、反応温度および反応時間にかかわらず、架橋反応は起こらない。反応温度が高いほど変性を達成するのに必要な加熱時間は短い。低温ではカルボン酸基は主にエポキシ基により消費されるが、高温ではカルボン酸−エポキシ反応から誘導されるヒドロキシル基がカルボン酸基と反応することができる。特定の実施形態によると、EVOと反応するため本PSA組成物に用いられる一塩基性酸の量は、1モルの変性EVO中に好適には約1.5〜約6モル、より好適には約2〜約5モル、より具体的には約2.5〜約4.5モルのエポキシ基を残すようなものである。
【0064】
こうして形成された変性EVOは次に、少なくとも1つのダイマー酸もしくはその無水物、トリマー酸もしくはその無水物、および/または重合脂肪酸もしくはその無水物、またはダイマー酸、トリマー酸、および/もしくは重合脂肪酸の組み合わせ、または両鎖端がカルボン酸基でキャップされたプレポリマーもしくはオリゴマー、または分岐および鎖端の少なくとも2つもしくはすべてがカルボン酸基でキャップされた分岐もしくは超分岐ポリマーもしくはオリゴマー(前述)、ならびに任意で一塩基性酸またはその無水物誘導体、ならびに必要に応じて触媒(上述)と、適切に30〜300℃の範囲内の温度で10秒〜120分間、好適には60〜220℃で30秒〜60分間、より具体的には80〜180℃で1〜30分間さらに(上述のいずれかの混合方法により)混合および反応させる。混合組成物は、二塩基性酸の性質、変性EVOの官能性、混合方法、反応温度、ならびに触媒(上述)の性質および量に応じて、最大約10または120分のオープンタイムを有することができる。
【0065】
特定の実施形態によると、均質混合物は、オープンタイム以内に、PSAバッキング基質(例えば紙およびPETフィルム)またはシリコーン処理した剥離ライナー上に混合組成物の加熱直後にガラス棒でブレードコーティングすることができ、結果として混合組成物の薄く均一な層がバッキングまたはライナー上に約2〜約10mg/cmのコーティング濃度で生成される。PSAバッキング上の得られた接着剤コーティングは次に、ポリエステルの適切な架橋が起こり、PSAに適した十分な凝集強度、良好な初期粘着性および接着力を有する「乾燥」接着剤層を得ることができるように、例えば100〜300℃で維持された空気循環オーブン中で10秒〜100分間、好適には120〜250℃で30秒〜80分間、より具体的には150〜200℃で1〜60分間加熱する。一般的には、反応温度が高いほど理想的な重合度を達成するのに必要な加熱時間は短い。しかしながら、オーブン温度を選択する前に、PSAバッキングまたはシリコーン処理した剥離ライナーの熱安定性が考慮されるべきである。
【0066】
剥離ライナー上のPSA組成物コーティングはまたバッキング材料のシートで覆い、サンドイッチアセンブリをもたらすことができ、これを次に(例えば、ゴムローラーで)押圧し、PSAバッキング上への接着剤の十分な浸潤を達成する。その後、剥離ライナーをサンドイッチアセンブリから取り外し、接着剤をPSAバッキング上に移す。バッキング上の得られた接着剤コーティングは次に、ポリエステルの適切な架橋が起こり、PSAに適した十分な凝集強度、良好な初期粘着性および接着力を有する乾燥接着剤層を得ることができるように、例えば空気循環オーブン中で加熱する。
【0067】
なお、加熱後のバッキング基質上のコーティング組成物層は、おそらく重合および架橋中の接着剤の収縮のため、PSAバッキング上に接着剤をまったくまたはほとんど含まない斑点ができ、良好な外観を有さない場合があり得る。この問題を解決するため、新規技術、すなわち「薄層リアクター」が開発され、PSA系に適用された。すなわち、接着剤組成物はシリコーン処理した剥離ライナーのシリコーン処理した表面上にまずブレードコーティングし;シリコーン処理した剥離ライナー上の得られた接着剤コーティングは次にPSAバッキング材料のシートまたは剥離ライナーの別のシートで覆い、「薄層リアクター」として機能するサンドイッチアセンブリをもたらす。
【0068】
いくつかの特定の実施形態では、剥離ライナーおよびバッキング材料で構成されるサンドイッチアセンブリを全体として加熱し、PSA組成物を硬化した後、剥離ライナーを取り外すことができる。他の特定の実施形態では、PSA組成物、前記組成物を含むPSAテープまたは他のPSA製品の調製は、接着剤組成物に対して異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助により行うことができる。プレ重合直後の反応混合物を部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にまずブレードコーティングし;得られた接着剤コーティングを次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)覆い、サンドイッチアセンブリをもたらし、これを(例えば、ゴムローラーで)押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成する。「部分的に」シリコーン処理した剥離ライナーとは、剥離ライナー表面がシリコーン剤で部分的に覆われることを意味し;「完全に」シリコーン処理した剥離ライナーとは、剥離ライナー表面がシリコーン剤で実質的に覆われ、接着剤組成物に対して「部分的に」シリコーン処理した剥離ライナーより良好な接着反発性をもたらすことを意味する。サンドイッチアセンブリは次に、ポリマーの適切な架橋が起こり、PSA用途に適した十分な凝集強度、良好な初期粘着性および接着力を有する乾燥接着剤層を得ることができるように、例えば空気循環オーブン中で加熱する。その後、完全にシリコーン処理した剥離ライナーは接着剤組成物をまったく除去することなく素早く剥がし、そこへ紙、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム、またはPVCフィルムのようなバッキング材料のシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層上を覆う。新たな「サンドイッチ」は次に、(例えば、ゴムローラーで)押圧し、適切な接着力をもたらすためバッキング材料上への接着剤の十分な浸潤を達成する。サンドイッチアセンブリを冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーは容易に剥がすことができ、接着剤組成物はバッキング材料へ完全に移る。これらの実施形態では、第1剥離ライナー、例えば、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーは、最終接着剤組成物に対して、第2剥離ライナー、例えば、完全にシリコーン処理した剥離ライナーより小さい接着反発性を有する。換言すると、第2剥離ライナーは第1剥離ライナーより容易に取り外すことができ、1つの剥離ライナーをPSA組成物がまだもう1つの剥離ライナーに接着したまま取り外すことができることを意味する。シリコーン処理した剥離ライナーは、バッキング材料上の接着剤層の保護のため、任意で残すことができる。この技術の利点としては、限定なしに、(1)PSA組成物の収縮をかなり回避することができること、(2)PSA組成物を生成するための低分子量出発材料が紙バッキングに浸透し、得られるPSAテープに油っぽいまたは汚い外観をもたらすことが回避されること、ならびに(3)低い熱変形温度および/または低い熱安定性を有する材料(例えばPPおよびPVC)がPSAバッキング材料として用いられる場合、高温(例えば、160℃)でのオーブン加熱を回避することができることが挙げられる。
【0069】
特定の実施形態によると、本PSAを用い、多くの異なるタイプのPSAテープを製造することができる。例えば、フィルム(透明および不透明)、PET、BOPPおよびPVCフィルムのようなプラスチック、またはセロファン、布、紙、不織布繊維構造体、金属箔、金属化プラスチック箔、配向フィラメント、等のような変性天然物質を含む、さまざまなフレキシブルテープバッキングおよびライナーを用いることができる。
【0070】
接着剤層は、PSAバッキング上の接着剤層の保護のため、接着反発層、例えばシリコーンからなる分離層を含む紙またはフィルムで覆うことができる。PSAフィルム、テープまたは箔の裏面には、PSAのロールオフを促進するため、接着反発コーティング(例えばシリコーンコーティング)を施すことができる。
【0071】
また別の実施形態では、本明細書に開示されるPSAおよびそのPSAテープの調製は、図1に示される反応性押出および反応性カレンダーの組み合わせを用いて連続して行うことができる。反応性カレンダー装置は、オーブンチャンバーに配置された一連のローラーを備えるデバイスである。1つの実施形態では、ローラーは加熱されておらず、予め設定された温度のオーブンチャンバー内に配置することができる。別の実施形態では、加熱されたローラーを用いることができ、カレンダー装置全体をオーブンチャンバーに収容する必要はない。
【0072】
図1に示されるように、プレ重合は単軸または二軸押出機における反応性押出を用いて連続して行われる。押出機からの熱いプレポリマーはすぐにバッキング材料(例えばフィルムまたは紙、他)または剥離ライナー上にコーティングし、これは次に接着剤組成物に対して異なる接着性を有する別の剥離ライナーと積層し、サンドイッチアセンブリをもたらす。その後、サンドイッチアセンブリは加熱されたカレンダーローラーまたは予め設定された温度のオーブンチャンバーに配置されたカレンダーローラーに通す。プロセスの持続時間は、ポリエステルの適切な架橋が起こり、PSAに適した十分な凝集強度、良好な初期粘着性および接着力を有する乾燥接着剤層を得ることができるように、ローラーの数およびサイズまたはオーブンチャンバー内でのアセンブリの移動距離を調節することにより微調整することができる。
【0073】
植物油ベースのPSA組成物およびそれらの生成方法は、商業的および環境的観点の両方から魅力的である。これらの新規PSAの利点としては、限定なしに:
(1)出発材料をすべて天然に豊富で再生可能な資源から誘導することができ、石油化学系PSAの代替物を提供すること;
(2)製品が生分解性であり、よって使用済みPSA含有製品による環境汚染を軽減すること
(3)組成が比較的シンプルであり、すべての成分が安価、非毒性で環境にやさしい。粘着付与剤およびワックスのような多くの石油化学系PSAに一般的に用いられる添加剤が必要でない場合があり得ること;ならびに
(4)PSA製造プロセスが短くシンプルであり、よって低いエネルギー消費での大規模な製造を促進する。有機溶剤または有害で高価な触媒をまったく使用せずにPSAを製造することができる。全プロセスが非常に環境にやさしいこと
が挙げられる。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
この実施例は、オキシラン基対カルボン酸基のモル比が1:1.16のESO(エポキシ等量〜229)およびダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)からの、クロム(III)トリス(アセチルアセトナート)(反応混合物の重量に対して0.92wt%)の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープの調製について記載する。
【0075】
クロム(III)トリス(アセチルアセトナート)(0.090g)およびダイマー酸(5.76g、20.2mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により100℃まで加熱し、透明な薄紫の粘性溶液を得た。フラスコに、ESO(3.98g、約17.4mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(500rpm)を20分間同じ温度で継続し、透明な薄紫の粘性「シロップ」である初期段階(第1段階)ポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、初期段階ポリマーシロップを部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに15分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;紙のシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤の紙バッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物を紙バッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーは紙バッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。紙バッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄紫の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であり、紙バッキングに浸透してPSAテープに油っぽい外観を与えてはいなかった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(316型)上で約1.8lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は以下に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0076】
以下の手順は、すべての試料テープについてのステンレス鋼上での90°剥離接着力試験について記載する。接着剤と基質との間の結合強度の程度は接着力と定義され、一般的には、ASTM D3330/D3330M−04(2010)に従い、感圧材料をステンレス鋼から90°の角度で、および12インチ/分の規定速度で剥がすのに必要な力を測定することによる90°剥離接着力試験方法を用いて求められる。試験はInstron5582試験装置上で、23±1℃および50±5%RHで行われる。ステンレス鋼試験パネル(302型ステンレス鋼、2×5インチ)上での試料テープの例となる90°剥離接着力試験は以下のステップからなる:
(1)試験パネルをアセトンおよびKimwipe−Clarkワイパーで3回洗浄し、テープをパネル上に貼る前にパネルを約10〜12分間コンディショニングする;
(2)PSAをコーティングした各試料シートから5片の試験片をランダムに切り出す。試験片のサイズは1×12インチである;
(3)試験片の一端を接着剤側を内側にして約0.5インチ折り、タブを形成する。試験片の他端を、ステンレス鋼試験パネルに対して接着剤側を下にして、試験パネルの端に合わせる。パネルとは接触しないが、その上に緩く位置するように、試験片の折られた端を持つ。試験片を4.5ポンドの硬質ゴムローラーにパネル長さに対して平行方向に2回通すことにより押圧し、適切な接着力をもたらすためパネル表面上への十分な浸潤を達成する;
(4)貼り付けられたテープ試験片を試験前1分間静止させた;
(5)試験装置を製造業者の指示に従って設定および調整する。5ポンドのロードセルを用いた;
(6)テープ試験片の折られた端を90°の角度で折り返し、その1インチをパネルから剥がす。試験片の折られた端を試験装置の上顎部に配置し、試験を開始する。剥離試験で顎部が移動する速度は12インチ/分とした。上顎部が上へ移動すると、パネルは試験片テープが試験全体を通して90°の剥離角度を維持するようにホルダーに沿って水平方向に受動的に移動した;
(7)試験片テープの最初の1インチを剥がした後のデータを回収し、テープの残りの剥離について平均剥離接着強度をポンドで求めた;
(8)上記ステップを繰り返して他の4片の試験片を試験し、結果を平均する。
【0077】
【表1】

a:略語:ESO、エポキシ化大豆油(エポキシ等量〜229);phr、樹脂100重量部当たりの部数;DA:ダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%);Cr−TAA、クロム(III)トリス(アセチルアセトナート)(Aldrich、97%);AMC−2、AFC Accelerator AMC−2(クロム(III)錯体の50wt%溶液、Ampac Fine Chemical,LLCから入手可能);BPAGE、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ等量〜173);SA、セバシン酸(98%純度)。
b:PSAバッキング材料は、実施例3および8において二軸配向ポリプロピレンフィルムがバッキング材料として用いられ、実施例4および9においてPVCフィルムがバッキング材料として用いられる以外、紙である。
c:ESOからのオキシラン基の二塩基性酸からのカルボン酸基に対するモル比。
d:実施例5の反応が170℃のオーブン中で起こる以外、160℃の空気循環オーブン中での硬化反応の時間。
e:90°剥離接着力試験方法、手順および条件は実施例1に記載する;試験では試料接着剤はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。
f:失敗までのせん断時間の試験も、ASTM D3654/D3654M−06(2006)に従って、1000グラムの試験質量および1インチ×1インチ試験領域を用い、ステンレス鋼(302型)基質上で23℃で行われた。失敗までのせん断時間は>25日と記録された。
【0078】
(実施例2)
この実施例は、オキシラン基対カルボン酸基のモル比が1:1.05のESO(エポキシ等量〜229)およびダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)からの、AFC Accelerator AMC−2(反応混合物の重量に対して0.88wt%)の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープの調製について記載する。
【0079】
AMC−2(0.076g)およびダイマー酸(4.86g、17.1mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により80℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。フラスコに、ESO(3.72g、約16.3mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(500rpm)を25分間同じ温度で継続し、透明な薄緑の粘性「シロップ」である初期段階ポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、初期段階ポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに15分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;紙のシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤の紙バッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物を紙バッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーは紙バッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。紙バッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であり、紙バッキングに浸透してPSAテープに油っぽい外観を与えてはいなかった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(316型)上で約1.7lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0080】
(実施例3)
この実施例は、オキシラン基対カルボン酸基のモル比が1:1.05のESO(エポキシ等量〜229)およびダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)からの、AFC Accelerator AMC−2(反応混合物の重量に対して1.00wt%)の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープ(バッキング材料としてBOPPフィルム)の調製について記載する。
【0081】
AMC−2(0.067g)およびダイマー酸(3.78g、13.3mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により80℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。フラスコに、ESO(2.89g、約12.7mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(300rpm)を40分間同じ温度で継続し、透明な薄緑の粘性「シロップ」である初期段階ポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、初期段階ポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに9分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;BOPPフィルムのシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤のBOPPバッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物をBOPPバッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーはBOPPバッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。BOPPバッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(302型)上で約1.0lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0082】
(実施例4)
この実施例は、オキシラン基対カルボン酸基のモル比が1:1.05のESO(エポキシ等量〜229)およびダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)からの、AFC Accelerator AMC−2(反応混合物の重量に対して1.00wt%)の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープ(バッキング材料としてPVCフィルム)の調製について記載する。
【0083】
AMC−2(0.067g)およびダイマー酸(3.78g、13.3mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により80℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。フラスコに、ESO(2.89g、約12.7mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(300rpm)を87分間同じ温度で継続し、透明な薄緑の粘性「シロップ」である初期段階ポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、初期段階ポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに12分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;PVCフィルムのシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤のPVCバッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物をPVCバッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーはPVCバッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。PVCバッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であった。こうして得た最終PSAテープは、良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(302型)上で約0.9lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0084】
(実施例5)
この実施例は、オキシラン基対カルボン酸基のモル比が1:0.99のESO(エポキシ等量〜229)およびダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)からの、AFC Accelerator AMC−2(反応混合物の重量に対して1.90wt%)の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープの調製について記載する。
【0085】
AMC−2(0.117g)およびダイマー酸(3.36g、11.8mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により80℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。フラスコに、ESO(2.71g、約11.9mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(500rpm)を25分間同じ温度で継続し、透明な薄緑の粘性「シロップ」である初期段階ポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、初期段階ポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を170℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに3.5分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;紙のシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤の紙バッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物を紙バッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーは紙バッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。紙バッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であり、紙バッキングに浸透してPSAテープに油っぽい外観を与えてはいなかった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(316型)上で約1.2lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0086】
(実施例6)
この実施例は、オキシラン基対カルボン酸基のモル比が1:0.93のESO(エポキシ等量〜229)およびダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)からの、AFC Accelerator AMC−2(反応混合物の重量に対して1.06wt%)の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープの調製について記載する。
【0087】
AMC−2(0.092g)、ダイマー酸(4.67g、16.4mmolのカルボン酸基を含有)およびESO(4.02g、約17.6mmolのオキシラン基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填した。得られた混合物を窒素で2分間バブリングした後、封止し、撹拌しながら予め加熱された油槽により80℃まで加熱した。加熱および撹拌(500rpm)を50分間同じ温度で継続し、透明な薄緑の粘性溶液である初期段階ポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、初期段階ポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに8分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;紙のシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤の紙バッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物を紙バッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーは紙バッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。紙バッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であり、紙バッキングに浸透してPSAテープに油っぽい外観を与えてはいなかった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(316型)上で約1.3lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0088】
(実施例7)
この実施例は、ESO(エポキシ等量〜229)、ダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)、およびビスフェノールAジグリシジルエーテル(BPAGE、EEW=172−174)(総オキシラン基対カルボン酸基のモル比は約1:1.11である)からの、AMC−2の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープの調製について記載する。
【0089】
AMC−2(0.064g)およびダイマー酸(4.17g、14.6mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により80℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。フラスコに、BPAGE(0.94g、約5.4mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(500rpm)を120分間同じ温度で継続し、(室温で)高粘度を有する透明な薄緑の「シロップ」である第1段階プレポリマーを得た。混合物に、ESO(1.76g、約7.7mmolのオキシラン基を含有)を添加し、加熱および撹拌(500rpm)をさらに15分間同じ温度で継続し、(室温で)高粘度を有する透明な薄緑の「シロップ」である第2段階プレポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、第2段階プレポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに5分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;紙のシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤の紙バッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物を紙バッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーは紙バッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。紙バッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であり、紙バッキングに浸透してPSAテープに油っぽい外観を与えてはいなかった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(316型)上で約3.2lbf/インチの非常に良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0090】
(実施例8)
この実施例は、ESO(エポキシ等量〜229)、ダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)、およびBPAGE(EEW=172−174)(総オキシラン基対カルボン酸基のモル比は約1:1.07である)からの、AMC−2の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープ(バッキング材料としてBOPPフィルム)の調製について記載する。
【0091】
AMC−2(0.065g)およびダイマー酸(4.17g、14.6mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により150℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。フラスコに、BPAGE(0.97g、約5.60mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(300rpm)を80分間同じ温度で継続し、(室温で)高粘度を有する透明な薄緑の「シロップ」である第1段階プレポリマーを得た。混合物を80℃まで冷却した後、ESO(1.84g、約8.06mmolのオキシラン基を含有)を混合物に添加し、加熱および撹拌(300rpm)をさらに43分間同じ温度で継続し、(室温で)高粘度を有する透明な薄緑の「シロップ」である第2段階プレポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、第2段階プレポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに13分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;BOPPフィルムのシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤のBOPPバッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物をBOPPバッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーはBOPPバッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。BOPPバッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(302型)上で約1.8lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0092】
上記試料の失敗までのせん断時間は、PSAテープのせん断接着力の標準試験方法に従って、25日より長いことを割り出した;失敗の態様は接着失敗である、すなわち、試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。接着剤フィルムの内部または凝集強度はせん断として知られる。これは接着剤自体の内部強度の程度である。せん断特性は一般的には静的せん断試験方法を用いて定量化される。以下の手順は、ASTM D3654/D3654M−06(2006)の手順Aに従った感圧テープのせん断接着力の標準試験について記載する。試験は23±1℃および50±5%RHで、ステンレス鋼基質(302型、ブライトアニール仕上げ、2×5インチ)上で、1000グラムの試験質量および1インチ×1インチの試験領域を用いて行われる。試料テープの例となるせん断接着力試験は以下のステップからなる:
(1)試験パネルをアセトンおよびKimwipe−Clarkワイパーで3回洗浄し、テープをパネル上に貼る前にパネルを約10〜12分間コンディショニングする
(2)PSAをコーティングした各試料シートから3片の試験片をランダムに切り出す。試験片のサイズは1インチ幅である。
(3)試験片を試験パネルの一端の中心に置き、圧力をかけずに貼り、正確に1×1インチの領域をテープで覆う。
(4)試験片テープの他端にフックを、フックが標本の幅にわたって延在するようにし、負荷が均一に分布するように位置を合わせて配置する。
(5)試験アセンブリを、試験片に剥離力がかからないように、試験片が垂直になるように試験スタンドに入れる。
(6)各試験片は個別に調製し、1分以内に試験する。試験を開始するため、1000gの質量を試験片テープにせん断衝撃力を与えないように静かにフックにかける。
(7)試験片テープが試験パネルから完全に分離するのに経過した時間、および失敗の態様(凝集失敗または接着失敗)を記録する。
(8)上記ステップを繰り返して他の2片の試験片を試験し、結果を平均する。
【0093】
(実施例9)
この実施例は、ESO(エポキシ等量〜229)、ダイマー酸(水素化;Aldrichから入手可能;平均M〜570、ダイマー酸≧98%、モノマー≦1%、トリマー酸≦1%)、およびBPAGE(EEW=172−174)(総オキシラン基対カルボン酸基のモル比は約1:1.07である)からの、AMC−2の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープ(バッキング材料としてPVCフィルム)の調製について記載する。
【0094】
AMC−2(0.065g)およびダイマー酸(4.17g、14.6mmolのカルボン酸基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により150℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。フラスコに、BPAGE(0.97g、約5.60mmolのオキシラン基を含有)を次に添加し、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(300rpm)を80分間同じ温度で継続し、(室温で)高粘度を有する透明な薄緑の「シロップ」である第1段階プレポリマーを得た。混合物を次に80℃まで冷却した後、ESO(1.84g、約8.06mmolのオキシラン基を含有)を混合物に添加し、加熱および撹拌(300rpm)をさらに15分間同じ温度で継続し、(室温で)高粘度を有する透明な薄緑の「シロップ」である第2段階プレポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、第2段階プレポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに12分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;PVCフィルムのシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤のPVCバッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物をPVCバッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーはPVCバッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。PVCバッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(302型)上で約2.0lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0095】
(実施例10)
この実施例は、ESO(エポキシ等量〜229)、セバシン酸(98%純度)、およびBPAGE(EEW=172−174)(総オキシラン基対カルボン酸基のモル比は約1:1.12である)からの、AMC−2の存在下でのPSA組成物の調製、ならびに接着剤組成物について異なる接着反発性を有する2つのシリコーン処理した剥離ライナーの補助による前記組成物を含むPSAテープの調製について記載する。
【0096】
AMC−2(0.070g)およびBPAGE(1.580g、約9.08mmolのオキシラン基を含有)を、シリコン油槽および磁気撹拌機を備えた50mL丸底フラスコに充填し、撹拌しながら予め加熱された油槽により150℃まで加熱し、透明な薄緑の粘性溶液を得た。セバシン酸(2.518g、24.4mmolのカルボン酸基を含有)をフラスコに添加した後、得られた混合物を窒素で2分間バブリングした。その後、加熱および撹拌(500rpm)を60分間同じ温度(150℃)で継続し、透明な薄緑の(少し濁った)「シロップ」である第1段階プレポリマーを得た。混合物に、ESO(2.912g、約12.7mmolのオキシラン基を含有)を添加し、加熱および撹拌(500rpm)をさらに3分間同じ温度で継続し、高粘度を有する透明な薄緑の「シロップ」である第2段階プレポリマーを得た。フラスコを次に油槽から取り出し、第2段階プレポリマーシロップを、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーのシートのシリコーン処理した面上にガラスロッドで約7mg/cmのコーティング濃度で素早くブレードコーティングし、粘性繊維形成「湿潤」コーティング層の薄く均一な層を得た。接着剤層を次に完全にシリコーン処理した剥離ライナーのシートで(シリコーン処理した面を内側にして)丁寧に覆い、「サンドイッチ」をもたらし、これを次にゴムローラーで押圧し、接着剤組成物と2つのライナーとの間の良好な接触を達成した。その後、「サンドイッチ」を160℃で維持された空気循環オーブンに入れた。熱はコーティング組成物の架橋反応を引き起こした。オーブンに5分入れた後、「サンドイッチ」をオーブンから取り出した。完全にシリコーン処理した剥離ライナーを接着剤組成物をまったく除去することなく剥がし;紙のシートで直ちにかつ丁寧に接着剤層を覆った。新たな「サンドイッチ」を次にゴムローラーで押圧し、適切な接着力をもたらすため接着剤の紙バッキング上への十分な浸潤を達成した。「サンドイッチ」を冷却した後、部分的にシリコーン処理した剥離ライナーを剥がし、接着剤組成物を紙バッキングへ完全に移すことができた。シリコーン処理した剥離ライナーは紙バッキング上の接着剤層の保護のため任意で残すことができ、または再利用のため回収することができる。紙バッキング上の接着剤コーティングは、十分な凝集強度を有する薄く透明な薄黄緑の光沢ある均一な「乾燥」接着剤層であり、紙バッキングに浸透してPSAテープに油っぽい外観を与えてはいなかった。こうして得た最終PSAテープは良好な初期粘着性を有し、それらが用いられる表面(例えば、金属、ラッカー、ガラス、人間の皮膚)から除去する際にはロープ状構造を形成し、ステンレス鋼(316型)上で約2.1lbf/インチの良好な接着力を示した。90°剥離接着力試験方法および条件は実施例1に記載する;試験では試料はきれいに剥がれ、パネル上に接着剤残渣は残らなかった。実験条件および90°剥離接着力試験結果は表1に示す。
【0097】
開示される組成物の原理、製造物、および方法を適用することができる多くの考えられる実施形態を考慮して、例示される実施形態は単なる好適な例であることが認識されるべきである。
図1