特許第6228926号(P6228926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228926
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】管状構造要素を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 9/08 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   B66B9/08 G
【請求項の数】21
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-548711(P2014-548711)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-508364(P2015-508364A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】NL2012050907
(87)【国際公開番号】WO2013095134
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】2008020
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】517237159
【氏名又は名称】ピージー インヴェンション ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘーツ、ピーター ヨハネス ローデウェイク
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−340526(JP,A)
【文献】 実開昭62−170889(JP,U)
【文献】 実開平02−058038(JP,U)
【文献】 米国特許第03291437(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01449801(EP,A1)
【文献】 特開昭55−165227(JP,A)
【文献】 実開昭64−002932(JP,U)
【文献】 特開2001−137939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/00 − 9/193
F16L 9/00 − 11/26
E04G 9/00 − 19/00
E04G 25/00 − 25/08
B21D 5/00 − 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状構造要素を形成する方法であって、管状構造要素は長手方向に延びる複数のセグメントにより形成され、複数のセグメントは側方で隣接する関係で互いに結合され、前記管状構造要素の長手方向の長さはその直径よりも大きく、互いに結合されたセグメントは管状構造要素において互いに相対的に動くことができ、
管状構造要素が実質的に長手方向に延びている元の形状から、管状構造要素が少なくとも一つの屈曲部を備えるとともに、長手方向に延びるセグメントが互いに相対的に長手方向にシフトしている第2の形状へと曲がるように、管状構造要素に少なくとも一つの曲げモーメントを加えるステップと、
固定された管状構造要素を形成するために、長手方向に延びる複数のセグメントのそれぞれを互いに相対的に動かないようにして第2の形状にある管状構造要素を固定するステップと、を備え、
前記管状構造要素を形成する長手方向に延びる複数のセグメントの数が少なくとも10以上である方法。
【請求項2】
長手方向に延びるセグメントは、接合、又は、少なくとも一つの接続要素により互いに相対的に固定される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
長手方向に延びるセグメントは、セグメントの変形により互いに相対的に固定される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
長手方向に延びるセグメントは、接着接合により互いに相対的に固定される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
長手方向に延びるセグメントは、加圧により互いに相対的に固定される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
屈曲した管状構造要素の内部空間の圧力は少なくとも一つのポンプにより上昇し、圧力上昇はセグメント間の摩擦を増大させ、その結果、長手方向に延びるセグメントが互いに相対的に固定される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
加圧下の内部空間に流体、好ましくは液体が供給される、請求項またはに記載の方法。
【請求項8】
液体は硬化液体であり、硬化時の膨張によりセグメントを押圧し、その結果、長手方向に延びるセグメントが互いに相対的に固定される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも二つの管状構造要素が互いに接続されて一つの管状構造要素を提供する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法により形成される管状構造要素。
【請求項11】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法に用いられる管状構造要素であって、
管状構造要素は、長手方向に延びるセグメントにより形成され、セグメントは側方で隣接する関係で互いに結合され、前記管状構造要素の長手方向の長さはその直径よりも大きく、互いに結合されたセグメントは管状構造要素において互いに相対的に動くことができ、固定された管状構造要素を形成するように長手方向に延びるセグメントが互いに相対的に固定されることができる、管状構造要素。
【請求項12】
セグメントは、係止形状の接続部を用いて、ある程度の遊びを有して互いに接続される、請求項1または1に記載の管状構造要素。
【請求項13】
それぞれのセグメントは、接続突起と、受止空間とを備え、
受止空間は、その構造に関して、接続突起の構造に対応する、請求項1から1のいずれか一項に記載の管状構造要素。
【請求項14】
接続突起は、セグメントが互いに接続するときに弾性力に反して動くことのできるリップを備え、
リップの一端部は、接続状態において、別のセグメントの突起部分に隣接する、請求項1に記載の管状構造要素。
【請求項15】
接続突起は、軸部と、断面が円形の頭部と、を備える、請求項1に記載の管状構造要素。
【請求項16】
断面視において、接続突起は、キノコ形状を備え、キノコ部は、軸部と、丸い部分と、軸部と丸い部分の間に位置する肩部表面とを備える、請求項1に記載の管状構造要素。
【請求項17】
管状構造要素の内部中空空間は、ライナーの使用により流体密閉であり、内部中空空間の圧力は、長手方向に延びるセグメントを互いに相対的に固定することを目的として、ポンプを用いて変えることができる、請求項1から1のいずれか一項に記載の管状構造要素。
【請求項18】
セグメントは、曲げる前にセグメントに形成されていることが好ましい固定孔を備える、請求項1から1のいずれか一項に記載の管状構造要素。
【請求項19】
管状構造要素が、第2の形状において、その上をガイドが移動可能である外面を備える、請求項1から1のいずれか一項に記載の管状構造要素。
【請求項20】
管状構造要素が、階段昇降機のレールである、請求項1から19のいずれか一項に記載の管状構造要素。
【請求項21】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法により形成される請求項1から2のいずれか一項に記載の少なくとも一つの管状構造要素を備える、階段昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る管状構造要素を形成する方法に関する。この管状要素は、長手方向に延びるセグメントにより構成され、このセグメントは、側方で隣接する関係で互いに結合されており、管状構造要素の長手方向の長さは、その直径よりも大きい。
【0002】
本発明は、さらに管状構造要素に関する。
【背景技術】
【0003】
長手方向に延びるセグメントにより構成され、このセグメントが長手方向において側方で隣接する関係で互いに固定的に結合されている管状構造要素は、例えば、独国特許出願第1951445号に知られている。この既知の管状構造要素は、下水管の製造に用いられる。独国特許出願第1951445号に示される管状構造要素の短所は、その形状が柔軟に適応できない点であり、特に、曲げられない点にある。
【0004】
さらに別の管状構造要素は、例えば、米国特許第3291437号、欧州特許出願第0446006号や、米国特許第4730427号に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、現場で所望の形状に容易に曲げることができるのと同時に、いったん所望の形状に曲げると、高い構造的な耐久能力を有する管状構造要素を提供することである。本発明の目的は、具体的には、階段昇降機のガイドレール向けに管状構造要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に関し、この目的は、請求項1に係る方法および請求項11に係る管状構造要素を用いて実現される。管状構造要素を構成し、可動で互いに接続されるセグメントを用いることで、少なくとも構造要素の外側に曲げモーメントを加え、構造要素を所望の形状へ簡単に曲げることを可能とし、その後、それぞれのセグメントを固定し、言いかえれば、互いに相対的なセグメントの動きを制限し、または、実質的に阻止さえすることで、構造要素を所望の形状に固定でき、その結果、強固な管状構造物を得ることができる。
【0007】
チューブをセグメントまたはストリップに長手方向に分割することで、チューブは全方向に曲がりやすくなるであろう。この理由は、チューブの抵抗曲げモーメントが個々の部分全体の合計であり、多数のセグメントを用いるために、非常に小さい抵抗モーメントが多数存在することにある。これは、チューブが一箇所で曲げられる状況と対照的である。この状況下では、長い基本構造に起因したニュートラルラインと比べて大きい伸縮量および歪み量が理由となり、非常に大きい抵抗モーメントとなる。セグメントは、互いに相対的に長手方向にのみ動くことができる。仮に、固定されたストリップによりこのような動きが妨げられると、チューブは、あたかもチューブが一つの部材で構成されているかのような抵抗モーメントを有するであろう。
【0008】
このようにして、構造要素が設置されるべき場所において、構造要素を柔軟に形成できる。工場環境において構造要素が形成されることはもはや不要となり、その結果、時間およびコストが節約される。長手方向に延びるセグメントを用いることにより、管状構造要素は、所望の最終形状を実現するために、全方向に容易に曲げられることができる。さらに、元の形状でのセグメント間の抵抗曲げモーメントが比較的小さいため、管状構造要素を曲げるのに比較的小さな力しか必要としない。比較として、従来型の一部材の管状構造要素では、伸縮および歪みをもたらすチューブの避けられない変形に起因して、比較的高い抵抗曲げモーメントとなる。
【0009】
好ましい方法は、セグメントから管状構造要素を形成する初期ステップを備える。第1ステップにおいて、例えば、チューブ全体が形成され、続いて、このチューブを曲げることができ、その後、セグメントを固定できる。最初にチューブ全体を形成した後にそれを曲げるだけとすることにより、様々なセグメントが互いにうまく調整されることが保証される。セグメントの事前形成が不要であるため、セグメントはいつでも適合するであろう。さらに、チューブ全体を形成することで、前述した固定後において、曲げのような変形に対し高い抵抗力を生じさせることを保証できる。
【0010】
形状を固定するために、それぞれのセグメントは、互いに対して長手方向に実質的に動かせないように作られる。この固定は、異なる固定手段を用いて、多くの方法により実現できる。曲げた後、溶接接合および/または接着接合を用いて、互いにセグメントを接続できる。さらに、セグメントの長手方向の相対的な動きを妨げるために、または、制限するために、ネジ、釘、および/または、鋲のような接続要素を用いることができる。前述した曲げの後、工具を用いてセグメントを変形させることもできる。これを受けて、セグメントは、工具を用いて変形される結果、セグメントを互いに対して実質的に動かせないようにできる特定の形状および/または突起をさらに備えてもよい。管状構造要素が比較的小さい径を有する場合、曲げ時にセグメントが比較的速く塑性変形し、その結果、この管状構造要素は、曲げ時に同時に固定されるであろう。曲げと同時に管状構造を固定するために必要とされる力は、本発明に係る管状構造において抵抗曲げモーメントが小さいため、一部材の(均質な)チューブを曲げるために必要な力よりも小さい。
【0011】
用途に応じて、固定された第2の形状にある曲がった管状構造要素の外面が、一部材の管状要素、言いかえれば、いかなるセグメントを備えない管状要素の外面と実質的に対応することが好ましいかもしれない。これは、例えば、階段昇降機などの物体をガイドするためのレールとして構造要素を用いる場合にそうであり、この場合、階段昇降機のガイドは、レールの外面上を移動する。この場合の適切な解決策は、管状構造要素の外面が滑らかに維持されるように、セグメント間もしくはセグメントの内側に接着剤を注入して接着接合を実現することである。さらに、セグメント間の摩擦が増加し、シフトに対する抵抗力が増加するような態様でセグメントを互いに押圧できるように、管状構造要素の内部圧力を増やすことも可能である。このような滑らかな外面を得るための特定の実施の形態は、曲がった管状構成要素の内部空間の気圧をポンプを用いて上昇させることや、もしくは、硬化可能で硬化により膨張する流体を内部空間に充填することである。流体等を用いて圧力上昇させることは、気圧などの圧力を非常に簡単な方法で低下させることができ、その結果、管状構造要素の形状を再調整または修正することができるという特別な優位性を有する。このようにして、例えば、特定の形状の構造要素をテストするために、気圧および/または流体圧を用いることができる。管状構造要素の内部空間の圧力を上昇させる代わりに、管状構造要素の内部空間に固定機構を設けることも可能である。この固定機構は、ユーザによって管状構造要素を曲げることのできる第1位置から、固定機構が管状構造要素の内側に圧力を働かせる第2位置へ移動可能である。この固定機構は、例えば、バネなどを用いた構造により、電気的または機械的に制御されてもよい。
【0012】
特定の実施の形態において、流体は、管状構造要素の内部に圧力をかけて管状構造要素を固定する目的のために用いられる。流体の使用は比較的安全であり、比較的小さい超過圧力において所望の固定をすぐに実現する。
【0013】
数個の曲がった構造要素を互いに接続することにより、比較的簡単な方法で、比較的細長い管状構造要素を実現することができる。
【0014】
上述したように、本発明に係る管状構造要素は、曲げるのが非常に簡単であり、いったん所望の形状が実現された時点で、強固な管状構造要素を形成するために長手方向に延びるセグメントを互いに固定することができる。第2の形状を固定するため、曲がった管状構造要素に対して上述した技術を用いることができる。
【0015】
セグメントは、ある程度の遊び(緩み)がある状態で、係止形状(form-locked)の接続部により互いに結合されることが好ましい。このようにして、セグメントを互いに結合することによる簡単な方法で管状構造要素を製造することができる一方で、他方では、上述の遊びにより、比較的簡単な方法でセグメントを長手方向に相対的に動かすことができ、その結果、管状構造要素は、比較的容易に曲がるようになる。
【0016】
本発明に係る構造要素には、いくつかの材料を用いることができ、場合によっては表面処理が組み合わされる。比較的低い摩擦係数を有する材料を用いることは、管状構造要素を形成するためにセグメントを相対的に動かすときに有利である。また、比較的高い摩擦係数を有する材料は、管状構造要素に比較的高い強度を与える。使用する材料は、最適化された摩擦係数を備えることが好ましく、このような材料を用いることで、強固で設置が容易な構造要素を提供できる。このような適切な材料の例は、陽極酸化処理がなされたアルミニウムである。アルミニウムは、比較的小さい力で冷間変形が可能であるという付加的な利点を有する。
【0017】
一実施の形態において、セグメントのそれぞれは接続突起および受止空間を備え、この受止空間はその構造に関して接続突起の構造に対応する。特定の実施の形態において、接続突起は、断面視においてキノコ形状を有し、このキノコ部は、軸部と、丸い部分と、軸部および丸い部分の間に位置する肩部表面とを備える。このような形状は、構造要素を用いて物体を支持できるような高い耐久能力を第2の形状において提供する一方で、他方では、元の形状(第1の形状)において比較的容易に曲がる管状構造要素を提供する。
【0018】
最後に、本発明は、上述した少なくとも一つの構造要素を備える階段昇降機に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付の図面に示される限定的ではない実施の形態を参照しながら、以下に示される。
図1】本発明に係る管状構造要素を示す斜視図である。
図2a】本発明に係る管状構造要素を示す断面図である。
図2b図2aに示す管状構造要素のセグメントを示す断面図である。
図3】本発明に係る管状構造要素の別のセグメントを示す断面図である。
図4a】本発明に係る管状構造要素のさらに別のセグメントを示す断面図である。
図4b】本発明に係る管状構造要素のさらに別のセグメントを示す断面図である。
図5】本発明に係る階段昇降機を示す図である。
図6】本発明に係る階段昇降機を示す図である。
図7】本発明に係る階段昇降機を示す図である。
図8】本発明に係る階段昇降機を示す図である。
図9】本発明に係る管状構造要素の他の用途を示す図である。
図10】本発明に係る管状構造要素のさらに別の用途を示す側面図である。
図11】本発明に係る管状構造要素のさらに別のセグメントを示す断面図である。
図12】本発明に係る管状構造要素のさらに別のセグメントを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面において、同様の部分には同じ符号が付される。
【0021】
図1は、本発明に係る管状構造要素1を示す斜視図である。
【0022】
管状構造要素1は、長手方向(図1の矢印P1で示される方向)に延びるセグメント3により構成される。本発明に係る管状構造要素1において、可能な限り多数のセグメント3を用いることが好ましく、最小のセグメント数は少なくとも10である。細長いセグメント3は、その長側面において隣接する関係で互いに結合される。本発明に係る管状構造要素1において、管状構造要素の長手方向の長さlは、直径dよりもさらに大きい。
【0023】
図2a、2bは、本発明に係る管状構造要素1の断面図およびセグメント3の断面図をそれぞれ示す。管状構造要素1において、互いに結合されたセグメント3は、互いに相対的に長手方向に動くことができる。セグメント3が動けることにより、管状構造要素1は図1に示すように実質的に長手方向に延びている元の形状から、管状構造要素1が少なくとも一つの屈曲部を備える第2の形状(図5−10参照)に曲がることができる。この管状構造要素1の第2の形状は、長手方向に延びるセグメント3を固定手段を用いて相対的に固定することにより、固定することができる。曲げた後、本発明に係る管状構造要素1を上述した固定手段を用いて第2の形状で固定する目的で、セグメント3を互いに接続するために溶接および/または接着接合を用いてもよい。さらに、セグメント3が長手方向に互いに動くことを妨げるために、または、制限するために、ネジ、釘、および/または、鋲のような接続要素(不図示)を固定手段として用いてもよい。さらに、曲げた後、工具(不図示)を用いてセグメント3を変形させることができる。これを受けて、セグメント3は、工具を用いて変形され、セグメント3が互いに対して実質的に動かせない状態にできるようにする特定の形状および/または突起(不図示)をさらに備えてもよい。
【0024】
管状構造要素1を第2の形状に固定するために、管状構造要素1の外面の形状に影響を与えない固定手段およびセグメント固定技術を用いることが好ましい。この目的のために種々の技術を用いることができるが、ポンプ(不図示)の使用が望ましい。ポンプを用いることで管状構造要素1の内部空間Sの圧力は変化し、通常において圧力は上昇し、その結果、セグメント3は互いに押圧され、セグメント3の間の摩擦が増加して動きに対する抵抗力が増える。ガスなどの流体は、この目的で用いられるかもしれないが、水のような液体を用いることが好ましい。液圧や気圧などの流体圧を利用することは、セグメントが互いに相対的に動ける状態に再度戻すのが非常に簡単であるという特別な優位性を有する。ポンプを用いる場合、ホースや柔軟なカバーなどのライナーを使用することにより、管状構造要素の内部空間が流体密閉となることが好ましい。
【0025】
図3図4a、4b、図11及び図12は、図2bに詳細を示すセグメント3の別の実施の形態103、203及び603をそれぞれ示す。
【0026】
セグメント3、103、203、603は、遊びがある状態で、係止形状の接続部により互いに結合される。それぞれのセグメント3、103、203、603は、接続突起7、107、207、607と、その構造に関して突起7、107、207、607に対応する受止空間9、109、109、609を定義する受止部8、108、208、608を備える。
【0027】
セグメント3、103、203、603のそれぞれは、管状構造要素1の中心軸から見て外側に向いており、管状構造要素1の外側面を形成する外側面11、111、211、611をさらに備える。したがって、管状構造要素1の外側面は、セグメント3の外側面の全ての合計により構成される。セグメント3、103、203、603は、セグメント3、103、203、603の外側面11、111、211、611の間の継ぎ目が最小となるように寸法が規定され、構成される。その結果、比較的滑らかな管状構造要素1の外側面が得られ、その外側面上において、例えば、リフト(図5−8参照)のガイドが動くことができる。
【0028】
図2a、2bに示すセグメント3において、接続突起7は、軸部15および円形(断面視において)頭部17を備える。円形頭部17は、棒状に長手方向に延びており、軸部15と比べて厚くなっている。図2aに示されるように、セグメント3は、受止空間9の中に配置される円形頭部17により互いに結合される。接続された状態において、頭部17はある程度の遊びをもって受止空間9に収容され、その結果、セグメント3は互いに相対的に動くことができる。
【0029】
図3において、セグメント3に代わる別のセグメント103が示される。セグメント103において、接続突起107は、増厚端部119を有するリップ117を備える。リップ117は、セグメント103と結合する際に弾性力に反して動くことができ、リップの増厚端部119は、接続された状態において、別のセグメント103の突起部分121に隣接し、その結果、セグメント103は互いにしっかりと結合される。
【0030】
図4a、4bは、第3の実施の形態に係るセグメント203を示す断面図である。セグメント203において、セグメント203の接続突起207は、キノコ形状を有し、このキノコ部は、軸部115と、丸い部分117と、軸部115および丸い部分117の間に位置する肩部表面とを備える。
【0031】
図11及び図12は、第4の実施の形態に係るセグメント603を示す断面図である。セグメント603において、シフト移動に対する改善された抵抗力が得られ、改善された最大圧力負荷が得られる。右手側において、セグメントは、軸部715および丸い部分717を有し、図4に示すキノコ形状に類似する接続突起717を備える。肩部表面721は、軸部715と丸い部分717の間に設けられる。図11の左手側において、受止空間609を識別できる。受止空間609の外側には接続アーム610が設けられ、また、接続アーム610は、軸部に近い受止空間724と関連する接続突起610を形成するように設計される。
【0032】
図12に明確に示されるように、全体としての結合領域がこのようにしてさらに拡大され、その結果、長手方向のシフト移動に対して改善された抵抗力となる。種々のセグメント603a−eは、二つの比較的小さいアーム610のそれぞれが関連する比較的小さい受止空間に結合するため、互いに結合される。この小さなアーム610は、受止空間724の肩部表面721に対して、その肩部表面623、723で接する。また、大きな接続突起717は、受止空間609と結合し、接続突起607は、受止空間609の壁面に対して、その肩部表面721で接する。
【0033】
セグメント603は、互いに長手方向に動くことができる。また、完全なチューブを形成することができる。つまり、結合済みの全ての部分603が、完全な管外周を有する完全なチューブを形成する。続いて、チューブ内部には圧力が加わる。その結果、チューブの半径が少しだけ増加する。つまり、セグメント603は、より大きな距離に離れるように力が加えられる。図示されるように、例えば、セグメント603aおよび603bに対して、セグメントが離れるにように力が加えられることにより、全部で三つのくさび部分(言いかえれば、接続突起717および二つの接続アーム610)が機能することとなる。このくさび機能の結果、アーム610および接続突起717は、全部で四つの接触面623、723、721、621が互いに強固に押されるようにして互いに押圧され、その結果、シフトに対する高い抵抗力が得られる。さらに、このような実施の形態は、曲げに対して好ましい抵抗力を提供する。
【0034】
セグメント3、103、203、603は、曲げ工程の前においてセグメント3、103、203,603に形成される固定孔をさらに備えてもよい。管状構造要素を形成する前に、この固定孔を形成することもできる。セグメントの使用により、一定間隔で離れた固定孔を形成することが可能となり、または、曲げ工程の後においても依然として同じ間隔で離れている管状構造要素の外表面上の点において他の工程を実行することが可能となる。これにより、曲げ工程の後において、事前に作られた固定孔にガイド部品27(図2a)を取り付けることができる。
【0035】
セグメント3、103、203、603は、陽極酸化処理されたアルミニウムで構成されることが好ましい。しかしながら、例えば、プラスチック等の他の材料でセグメントを構成することも考えられる。
【0036】
一つの固定孔に置かれるガイド部品27を設ける代わりに、セグメントの外側面においてセグメントと接続される一体の接続要素(不図示)を設けてもよい。この接続要素は、例えば、図4a、4bのセグメントに示されるキノコ部117および軸部115のような、軸部を有するキノコ部として構成される。管状構造要素のチューブ壁上にある接続要素と結合される接続要素は、この場合、上述の接続要素と簡単な方法で接続できる。
【0037】
図5−8は、階段昇降機300を示す。階段昇降機300には、リフト320をガイドするためのレール301として上述した管状構造要素1が用いられ、リフト320には、人330が座ることができる。階段350のそれぞれの段340及び次の高さの階の床360には締結要素が設置される。この締結要素は、レール301を支持するためのガイド部品27が接続される。屈曲部を備えるレール301は、従来型の一部材の(均質な)チューブまたは中実のレール302(図5参照)と接続要素を用いて接続される。いかなる屈曲部をも備えない従来型のレール302は、強く、簡単に作ることができ、したがって、低コストである。図示される例において、二つのレール301は、ガイドされるべきリフト320を支持するために用いられる。レール301は、以下に示すように、図1に示される管状構造要素1から形成される。管状構造要素1において、互いに結合したセグメント3、103、203は互いに相対的に動くことができ、図1に示す実質的に長手方向に延びる元の形状から、管状構造要素が少なくとも一つの屈曲部を備えている第2の形状(図5−8)に管状構造要素1が曲がるように、例えば曲げ治具(不図示)を用いて、少なくとも管状構造要素1に加えられる外力により、長手方向に延びるセグメントが互いに相対的に長手方向に動く。レール301は、上述した方法の一つにより曲げた後に得られる管状構造要素の屈曲形状を固定することにより提供される。図示される例において、好ましいガイド面を有するレール301が得られるように、調整され、通常では上昇した気圧の影響下で、長手方向に延びるセグメントを互いに相対的に固定するためには、ポンプを用いることが好ましい。
【0038】
上述の場合において、レール301の形状となる細長い管状構造を提供するため、必要な長さを考慮して、その端部が互いに接続される様々な構造要素1によりそれぞれのレール301を構築することが可能である。
【0039】
図9では、建物400が示されており、その屋根構造410は、本発明に係る管状構造要素401により支持される。図10では、対照的に、支持柱510により地面520の上に支持される会社ロゴやそれに類似するものを形成するために管状構造要素501が用いられる。この管状構造要素501は、高い耐久能力を有する必要がない。
【0040】
管状構造要素401、501の双方は、長手方向に延びるセグメントが互いに相対的に動かないように固定されている第2の形状で示される。
【0041】
特に、管状構造要素501を用いる場合、ガイドする外表面が必要なければ、曲がった管状構造要素の外表面に向けてセグメントに圧力を加えることもできる。上述した接続技術および変形技術に加えて、この目的のために硬化液体を用いることも可能である。この硬化液体はテンプレートを用いて構造要素の外表面に塗布され、このテンプレートは液体がいったん硬化すると除去できる。このような硬化液体を用いることで、管状構造要素全体の外観をより有利に適合させることができる。
【0042】
細長い構造において、屈曲部を備えない、もしくは、少しだけ又は緩やかに屈曲した特定部分のために、本発明に係る管状構造要素は、接続手段を用いて、従来型の一部材の(均質な)チューブや棒状構造と組み合わされてもよい。
【0043】
当業者であれば、いくつかの好ましい実施の形態を参照しながら、本発明が上述の内容により説明されることが理解されよう。多くの等価な実施の形態は、本発明の範囲内となり得る。保護の対象は、添付の請求項により定められる。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12