(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両(100)の少なくとも1つのヘッドライト(104)のヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界(306)を適合化する制御装置(102)において、前記制御装置(102)は次の各構成要件を有しており、すなわち、
車両(100)のピッチングレート、ピッチングレートに依存する値、車両(100)のローリングレート、およびローリングレートに依存する値のうちの1つの時間的推移を検出するための検出装置(108)と、
前記時間的推移の包絡線、前記時間的推移の振幅、および前記時間的推移の平均値のうちの少なくとも1つを判定するための装置(110)と、
前記時間的推移の包絡線を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界(306)を適合化するための制御信号(702)、前記時間的推移の振幅を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界(306)を前記時間的推移の振幅が大きいほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向へと適合化するための制御信号(702)、および前記時間的推移(700)の平均値を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界(306)を推移の平均値が負であるほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向へと適合化するための制御信号(702)、のうちの少なくとも1つの制御信号を提供するための装置(112)であって、
前記提供するための装置(112)によって、上側のヘッドライトビーム境界(306)の調整にあたって安全値(α;Δh)が考慮されるように上側のヘッドライトビーム境界(306)についての制御信号(702)が提供され、このとき安全値(α;Δh)は垂直方向の安全角度(α)を表しており、該安全角度の分だけ上側のヘッドライトビーム境界(306)が最大の上側のヘッドライトビーム境界に対して引き下げられ、最大の上側のヘッドライトビーム境界は他車両(300)の運転者の幻惑が起こらないヘッドライトビーム境界を表しており、
前記提供するための装置(112)によって、車両(100)と他車両(300)の間の間隔が広がっていくとき、安全値(α;Δh)は小さくなり、および、車両(100)と他車両(300)の間の間隔が狭まっていくとき、安全値(α;Δh)は大きくなるように安全値(α;Δh)が可変される、制御装置。
プログラムが装置または制御装置(102)で実行されたときに請求項1から10のいずれか1項に記載の車両(100)の少なくとも1つのヘッドライト(104)のヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界(306)を適合化する方法(200)を実施するためのプログラムコードを有しているコンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上を背景としたうえで本発明により、車両の少なくとも1つのヘッドライトのヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界を適合化する方法、さらに、車両の少なくとも1つのヘッドライトのヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界を適合化する方法、ならびに最後にこれに対応するコンピュータプログラム製品が、それぞれ主請求項に基づいて提供される。好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項および以下の説明から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車両のヘッドライトについて可能なもっとも高い上側のヘッドライトビーム境界は、慣性センサ装置の信号から、またはたとえばカメラのような周辺区域検出装置の画像から導き出すことができる。周辺区域検出装置によって他車両が検出されているとき、車両から他車両までの相対角度を画像から判定することができる。この相対角度を、ヘッドライトの最大の照射角として利用することができる。
【0007】
この相対角度は、車両の自己運動に基づいて大きな変動を有している。これに加えて相対角度は、車両に対して相対的な他車両の運動によっても変化する。
【0008】
本発明は、自分の車両の運動のそれぞれの運動成分を、ここで提案される取り組みに基づく方法によって分離することができるという知見に基づくものである。このようにして、高周波および高振幅の信号成分は、ヘッドライトビーム境界に対してわずかな影響しか及ぼすことがない。それにより、自分の車両の運動に合わせたヘッドライトビームの直接的な適合化に比べて、制御装置での計算能力を節減する潜在的可能性および計算時間を節減する潜在的可能性がもたらされ、それによって信号処理におけるオーバーシュートを減らすことができ、このことは、ひいては幻惑限界へのヘッドライトビーム境界の大幅な接近を可能にする。さらに、ピッチングレートもしくはピッチングレートに依存する値、たとえばピッチング加速度やピッチング角度の時間的推移を評価することで、または、ローリングレートもしくはローリングレートに依存する値の時間的推移を評価することで、道路品質を判定することもでき、それにより、他車両を見ることができないときや、他車両が初めて認識されたために当該車両の位置についてまだ時間的推移が存在しないときでも、ヘッドライトの照射角を直接的に適合化して出力することができる。ピッチングレートまたはローリングレートに代えて、カメラの画像中の物体位置を評価することもできるであろう。カメラは車両に固定して設置されており、したがって車両と同じピッチング運動またはローリング運動を行い、そのことが画像中の物体の位置として顕現するからである。ピッチング角度またはローリング角度ないしピッチングレートまたはローリングレートの評価が好ましい理由は、その場合、すでに他車両が運動する前から、たとえば安全角度または安全値を相応に計算することができ、そのようにして、ヘッドライト制御システムをいっそう迅速に定常化させることができるからである。それにより、たとえば道路品質およびこれに伴って予想されるピッチング角度変化またはローリング角度変化を、自己の車両のピッチング角度推移またはローリング角度推移(およびピッチングレートとローリングレート)の評価を通じて見積もることも追加的に可能である。
【0009】
照射幅コントロールがいっそう迅速に反応できるという利点があり、運動成分が互いに重ね合わされている間に上側のヘッドライトビーム境界が幻惑限界を超えることがなく、他車両の運転者を脅かすことがない。
【0010】
本発明は、車両の少なくとも1つのヘッドライトのヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界を適合化する方法を提供するものであり、本方法は次の各ステップを含んでいる:
【0011】
車両のピッチングレートまたはピッチングレートに依存する値の時間的推移および/または車両のローリングレートまたはローリングレートに依存する値の時間的推移が検出され、
【0012】
時間的推移および/または時間的推移の平均値の包絡線および/または振幅が判定され、
【0013】
下側の包絡線の変化に対する対応として、包絡線を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号が提供され、および/または振幅を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号が提供され、このとき上側のヘッドライトビーム境界は振幅が大きいほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向で適合化され、および/または推移の平均値を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号が提供され、このとき上側のヘッドライトビーム境界は推移の平均値が負であるほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向で適合化される。
【0014】
さらに本発明は、車両の少なくとも1つのヘッドライトのヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界を適合化する制御装置を提供するものであり、本制御装置は次の各構成要件を含んでいる:
【0015】
車両のピッチングレートまたはピッチングレートに依存する値の時間的推移および/または車両のローリングレートまたはローリングレートに依存する値の時間的推移を検出するための検出装置と、
【0016】
時間的推移および/または時間的推移の平均値の包絡線および/または振幅を判定するための装置と、
【0017】
包絡線の変化に対する対応として、包絡線を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号を提供するため、および/または振幅を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号を提供するための装置であって、このとき上側のヘッドライトビーム境界は振幅が大きいほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向へと適合化され、および/または推移の平均値を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号を提供するための装置であって、このとき上側のヘッドライトビーム境界は推移の平均値が負であるほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向へと適合化される。
【0018】
制御装置の形態の本発明のこのような実施態様によっても、本発明の根底にある課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0019】
ピッチングレートまたはローリングレートは、たとえば慣性センサを利用したうえで行うことができ、および/または車両の周りの周辺区域を検出するカメラの画像を評価したうえで行うことができる。包絡線では、下側または上側の包絡線を判定することができる。
【0020】
本発明の1つの特別な実施形態では、検出のステップで、車両の周辺区域検出装置の検出領域内での他車両の認識に対する対応として、他車両の少なくとも1つの指標の相対位置を評価したうえで、周辺区域検出装置により記録された検出領域の画像から時間的推移を検出することができる。このような種類の本発明の実施形態は、特別に簡素な具体化という利点を提供する。現代の車両では多くの場合にカメラがすでに設けられており、特別に構成された簡単な評価アルゴリズムによって評価が可能になるからである。
【0021】
上側のヘッドライトビーム境界とは、ヘッドライトの指向性の集中される光線と、ヘッドライトの散乱光領域との間の移行部であると理解することができる。ヘッドライトビーム境界は、たとえばヘッドライトの光強度の所定の閾値を表すことができる。他車両とは、自分の車両とは別の車両であってよい。周辺区域検出装置とは、たとえばレーダ装置、レーザスキャナ、またはカメラシステムであると理解することができる。検出領域は、周辺区域検出装置によって検出可能な空間もしくは検出可能な視角であってよい。検出領域は、車両長軸で走行方向に向いていてよい。他車両の指標とは、暗闇のときに認識可能な他車両の構成要素であると理解することができ、たとえば1つまたは複数の照明装置、あるいは1つまたは複数のリフレクタである。相対位置は、画像中の指標の左右方向と上下方向を表すことができる。同様に相対位置は、指標に対する上下方向だけを表すことができる(z座標またはz角)。周辺区域検出装置の画像は、ピクセル画像または情報ラスタであってよく、これを基にして、少なくとも上下方向を判定可能である。たとえば周辺区域検出装置のセンサは、事前設定された解像度を角度単位ごとに有することができる。時間的推移は、ある時間帯にわたっての、または特定の時間インターバルにおける、相対位置の記録であってよい。包絡線とは、信号の連続する(局所的な)最大値(上側の包絡線)および/または最小値(下側の包絡線)をつなぐエンベロープであると理解することができる。包絡線の正の勾配とは、上側および/または下側の包絡線がより大きい値への変化をとることであると理解することができる。このとき信号値は傾向的に、より大きい信号値をとることがある。包絡線の正の勾配とは、上側と下側の包絡線の間隔が狭くなることであるとも理解することができる。これに準じて負の勾配は、これと反対方向への変化を表している。ピッチング角度とは、車両長軸の水平面と、車道に対する車両の垂直面との間の角度であると理解することができる。ピッチング角度に依存して決まるピッチング値とは、たとえばピッチングレート、ピッチング加速度、またはこれらに類似する値であって、ピッチング角度またはピッチング角度の変化に依拠するものと理解することができる。時間的推移の振幅とは、時間的推移のそれぞれ異なる個々の値の間の差異であると理解することができる。
【0022】
制御装置とは本件においては、センサ信号を処理し、これに依存して制御信号を出力する電気機器を意味することができる。制御装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして構成されていてよいインターフェースを有することができる。ハードウェアとしての構成の場合、インターフェースは、たとえば制御装置の多種多様な機能を含むいわゆるシステムASICの一部であってよい。しかしながら、インターフェースが独自の集積回路であり、または、少なくとも部分的に離散したコンポーネントで構成されていることも可能である。ソフトウェアとしての構成の場合、インターフェースは、たとえばマイクロコントローラに他のソフトウェアモジュールと並んで存在しているソフトウェアモジュールであってよい。
【0023】
提供のステップで、上側のヘッドライトビーム境界の調整にあたって安全値が考慮されるように、上側のヘッドライトビーム境界についての制御信号を提供することができ、このとき安全値は特に垂直方向の安全角度を表しており、この安全角度の分だけ、上側のヘッドライトビーム境界が最大の上側のヘッドライトビーム境界に対して引き下げられ、最大の上側のヘッドライトビーム境界は、他車両の運転者の幻惑が起こらないヘッドライトビーム境界を表している。安全値とは、他車両の運転者を幻惑しないために、ヘッドライトビーム境界を物体の視角または幻惑限界よりも低く(すなわち車両前方の車道の方向で)調整することができる距離または角度であると理解することができる。このとき安全値は、ヘッドライトビーム境界が物体の視角よりも低く引き下げられる値であると理解することができる。
【0024】
さらに安全値は可変であってよく、特に、包絡線が正の勾配を有しているとき、および/または振幅が減少しているとき、およびその代替または追加として推移の平均値が正の値を有しているとき、安全値を小さくすることができる。推移の平均値が正の値を有しているのは、車両が(傾向的に)下方に向かってピッチングしているときである。安全値を大きくすることができるのは、包絡線が負の勾配を有しているとき、および/または振幅が増大しているとき、およびその代替または追加として推移の平均値が負の値を有しているときである。推移の平均値が負の値を有しているのは、車両が(傾向的に)上方に向かってピッチングしているときである。さらに安全値を小さくすることができるのは、車両と他車両の間の間隔が広がっていくときである。安全値が高くなることができるのは、車両と他車両の間の間隔が狭まっていくときである。相対角度および/またはピッチング角度および/またはピッチング値の時間的推移が経過した最大値と振動に対する対応をすることで、高い蓋然性をもって、将来的な最大値または振幅に対する十分に大きい安全値を遵守することができる。
【0025】
さらに本発明の1つの実施形態に基づき、提供のステップで、認識された車両型式および/または認識された他車両の走行方向に依存して安全値が決定されると好都合である。このような種類の本発明の実施形態は、車両の周囲で現在生じている環境シナリオに合わせた、安全値の特別に良好な順応可能性という利点をもたらすものであり、それにより、他の交通関与者を幻惑させることなしに自分の車両前方の車道の最善の照明を実行することで、すべての走行関与者の安全性を実現することができる。
【0026】
さらに本発明の1つの実施形態に基づき、提供のステップで、判定された車道起伏の程度に依存して安全値が決定されると好ましい。このような種類の本発明の実施形態は、カメラのデータから、およびその追加または代替としてたとえばピッチング角度もしくはピッチング値を測定することができるピッチングセンサから、認識された別の車両がないときでも道路品質に関する推定を引き出すことができるという利点をもたらすものであり、それによって安全値を最善に調整することができ、それにより、たとえばカーブや上り坂の後で急に現れた交通関与者が幻惑されるリスクが大幅に低減される。
【0027】
包絡線が正の勾配を有しているときには、制御信号を時間的に遅延して提供することができる。さらに、包絡線が負の勾配を有しているときには、制御信号を遅延なしに提供することができる。その代替または追加として、振幅が減少しているときには、上側のヘッドライトビーム境界を時間的に遅延して引き上げることができる。振幅が増大しているときには、上側のヘッドライトビーム境界を遅延なしに引き下げることができる。上側のヘッドライトビーム境界を引き上げるときの時間的遅延により、遅延中には計算の継続が必要ないので、計算能力の大部分を節減することができる。特に時間的遅延により、電気機械コンポーネントにかかる負荷も減らすことができる。これらのコンポーネントによって実行されなくてはならない、光分布に関わる少ない変更しかヘッドライト制御に際して生じないからである。上側のヘッドライトビーム境界の引き下げにあたって、ヘッドライトビーム境界の変更を直接的に対応させることで、地面の起伏に対して迅速に反応することができ、他の交通関与者の幻惑を回避することができる。
【0028】
検出のステップで、検出領域内での少なくとも1つの別の他車両の認識に対応して、車両に対する別の他車両の少なくとも1つの指標の相対位置の少なくとも1つの別の時間的推移を検出することができ、これらの他車両のうち指標の低い相対位置を画像中に有しているほうの他車両に合わせて、上側のヘッドライトビーム境界を適合化することができる。このとき、相対位置が低い指標を有しているほうの他車両のほうが、多くの場合に高い幻惑の危険性を有している。幻惑の危険性とは、たとえば道路にあいた穴を通って走行したときに予見不可能な飛躍が相対角度で生じ、ヘッドライトの円錐光が他車両のほうを直接向いたときに、他車両の運転者が(自分の)車両のヘッドライトの直接的な光によって幻惑される程度または蓋然性であると理解することができる。複数の他車両を比較することで、動作安全性を高めることができる。現在(幻惑の)危険がもっとも高い他車両が、最大限許容される上側のヘッドライトビーム境界についての基準として採用されるからである。
【0029】
さらに幻惑の危険性は、他車両と少なくとも1つの別の他車両との間の速度差の相違を考慮したうえで認識することができる。それにより、対向してくる他車両は、たとえば追い越していく車両や先行車両よりも高い蓋然性で、幻惑領域に入ってくるであろうことを考慮に入れることができる。
【0030】
半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光学メモリのような機械で読取り可能な媒体に保存されていてよく、プログラムがコンピュータまたは装置で実行されたときに、上に説明した各実施形態のうちの1つに基づいて本方法を実施するために利用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も好ましい。
【0031】
次に、添付の図面を参照しながら本発明を一例として詳しく説明する。図面は次のものを示している:
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の好ましい実施例についての以下の説明では、異なる図面に示されていて類似の作用をする部材には、同一または類似の符号が使われており、そのような部材について繰返し説明することはしない。
【0034】
図1は、本発明の一実施例に基づき、車両100の少なくとも1つのヘッドライト104のヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御装置102を備える車両100の図を示している。車両100は、周辺区域検出装置106と、少なくとも1つのヘッドライト104とを有している。周辺区域検出装置102は、周辺区域検出装置102の検出領域に関する情報または画像を制御装置102のために提供するように構成されている。制御装置106は、この情報に対する対応として、少なくとも1つのヘッドライト104に対する制御信号を提供するように構成されている。制御装置106は、検出装置108と、判定をする装置110と、提供をする装置112とを有している。検出装置108は、ピッチング角度および/またはピッチングレート、および/またはその推移を検出するように構成されていてよい。検出装置108は、周辺区域検出装置106の検出領域にある他車両の認識に対する対応として、他車両の少なくとも1つの指標の相対位置の時間的推移を、検出装置により記録された検出領域の画像から検出するように構成されている。判定をする装置110は、時間的推移の下側の包絡線を判定するように構成されている。ここで下側の包絡線とは、時間的推移の連続する局所的な最小値を結んだ線であると理解することができる。その代替または補足として、判定をする装置110は、時間的推移の振幅を判定するように構成されている。提供をする装置112は、下側の包絡線の変化に対する対応として、下側の包絡線を利用したうえで、上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号を提供するように構成されている。その代替または補足として、振幅を利用したうえで、提供をする装置112は、上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号を提供するように構成されており、このとき上側のヘッドライトビーム境界は、振幅が大きいほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向で提供され、および/または上側のヘッドライトビーム境界は、車道の反対方向でのピッチング角度が大きいほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向で提供することができる。
【0035】
図2は、本発明の一実施例に基づき、車両の少なくとも1つのヘッドライトのヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界を適合化する方法200のフローチャートを示している。方法200は、
図1に掲げる制御装置で実施することができる。方法200は、検出のステップ202と、判定のステップ204と、提供のステップ206とを有している。検出のステップ202で、車両のピッチングレートまたはピッチングレートに依存する値の時間的推移、および/または車両のローリングレートまたはローリングレートに依存する値の時間的推移が検出される。判定のステップ204で、時間的推移の包絡線が判定される。その代替または補足として、判定のステップ204で、時間的推移の振幅および/または時間的推移の平均値が判定される。提供のステップ206で、包絡線の変化に対する対応として、包絡線を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号が提供される。その代替または補足として、提供のステップで、振幅を利用したうえで上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号が提供され、このとき上側のヘッドライトビーム境界は、振幅が大きいほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向で提供され、および/または推移の平均値を利用したうえで、上側のヘッドライトビーム境界を適合化するための制御信号の提供のステップで、上側のヘッドライトビーム境界は、推移の平均値が負であるほどいっそう急傾斜に車両前方の車道の方向で適合化される。
【0036】
図3Aと
図3Bは、本発明の一実施例に基づく制御装置102を備える車両100と、これに先行する他車両300の図面をそれぞれ示している。車両100は、制御装置102と接続された少なくとも1つの制御可能なヘッドライト104を有しており、ならびに、同じく制御装置102と接続された周辺区域検出装置106を有している。ここでは周辺区域検出装置106は、車両100と固定的に結合されたカメラである。カメラ106は車両長軸に沿ってアライメントされており、車両100の前方の走行方向で見て車両100の周辺区域を含む検出領域を有している。検出領域の内部に他車両300がある。他車両300は、暗闇のなかで検出可能な指標302を有している。ここでは指標302は、他車両300の少なくとも1つのテールライトである。カメラ106は指標302を検出する。指標302は、カメラ106のセンサに少なくとも1つのピクセルで表される。センサの上の少なくとも1つのピクセルの座標は、カメラ106と少なくとも1つのテールライト302の間でのカメラ106への視線304の入射角を表している。制御装置102では、カメラ106のピクセル画像が評価される。このとき、少なくとも1つのピクセルの座標の時間的推移が記録される。ピクセルの座標は、車両100に対する他車両300の相対位置を表しているので、座標の時間的推移は他車両300の相対位置の時間的推移を表している。カメラ106は、少なくとも1つのヘッドライト104に対して間隔Δhを有している。
【0037】
図3Aでは、ヘッドライト104の円錐光のヘッドライトビーム境界306は、視線304の入射角と同一の射出角を有している。他車両300におけるヘッドライトビーム境界306は、同じく、視線304に対して間隔Δhを有している。他車両300の運転者は幻惑されない。
【0038】
カメラ106とヘッドライト104の間の間隔Δhは、(黙示的に)与えられる高さ方向の安全間隔である。カメラ106により測定される視角αがヘッドライト104の調整角としてそのまま受け継がれるとき、差異Δhは取付高さでそのまま維持される。車両100の走行ダイナミックにより、たとえば「閃光」として目に映る幻惑が生じることがある。ダイナミックな照射幅コントロールを通じて、ヘッドライト104を迅速に適合化することができる。この適合化は高すぎる計算コストで「あまりに遅く」行われる可能性がある。予見的に作業が行われるのではなく、あるいは、ヘッドライトの慣性が大きすぎて長い反応時間がかかるからである。したがって地面の起伏を計測するのが好ましい。走行ダイナミックの補償を得るための追加の固定的なオフセットを通じて、多くの状況下で視界が失われる場合がある。車両300が近くにあるほど、取付高さによる安全間隔の影響が大きくなる。車両300が遠くに離れているほど、安全値としての安全角度αの影響が大きくなる。
【0039】
図3Bでは、射出角としてのヘッドライトビーム境界306が、視線304の入射角に追加して、安全値としての安全角度αを有している。安全角度αによって、視線304と、ヘッドライト円錐光が他車両300に達するまでのヘッドライトビーム境界306の間の間隔Δhが広がる。他車両300の運転者は、いっそう高い安全性で幻惑されることがなくなる。
【0040】
図4は、暗闇で目に見える指標としてのテールライト302が他車両300のドアミラー400よりも上方に配置されている他車両300の図面を示している。後続車両の照射幅の適合化が、ヘッドライトのヘッドライトビーム境界をテールライト302の高さに合わせて調整すると、ヘッドライトの円錐光がドアミラー400に直接当たる可能性がある。ドアミラー400はこの円錐光を、他車両300の運転者の顔領域へ直接反射する可能性がある。そのために運転者が著しい幻惑を受けかねない。したがって、ヘッドライトビーム境界はバックミラー400よりも確実に下方に延びていると好ましい。
【0041】
図5A,5bおよび5cは、先行する他車両300とともに車両100の図面を示しており、車両100には、テールライト302の位置ならびにドアミラー400の位置がマーキングされている。テールライト302に対して相対的なサイドミラー400の位置は、車両の向きによって変化する。たとえば安全角度(黙示的な安全高さを含む)のような固定的な安全値は、幻惑の問題をほぼ解決することができる。
【0042】
図5aでは、他車両300が車両100に対してさまざまに異なる相対位置で図示されている。車両300aは、車両100の前方の平坦な区間にある。このときテールライト302とドアミラー400は、車両100に対して近似的に視線上に配置されている。車両300bは、車両100の前方の若干の上り区間にある。車両100から見ると、テールライト302のほうがドアミラー400よりも低くなっている。したがって、車両300bのドアミラー400を直接照明することなく、車両100のヘッドライトのヘッドライトビーム境界を高くすることが可能である。それにより車両100の運転者の視界を改善することができ、他車両300bの運転者を幻惑させることはない。車両300cは、車両100の前方の著しい上り区間にある。著しい上り区間に基づき、テールライト302は車両100から見てドアミラー400よりも明らかに下方にある。それにより、他車両300cの運転者の幻惑の危険性はいっそう低くなる。車両300dは、車両100の前方の著しい下り区間にある。テールライト302はドアミラー400よりも上方にある。したがって、車両100のヘッドライトのヘッドライトビーム境界は、他車両300dが下り区域で走行していることが認識されるとただちに、安全間隔の分だけ引き下げられる。テールライト302を上回るドアミラー400の高さは、道路の傾斜ないし他の車両300の向きに依存して決まる。
図5aは、車両の向きに依存するサイドミラー400とテールライト302の間の相違を示している。
【0043】
図5aには、平たいところを走行する自分の車両100と、山を登っていく先行する車両300(他車両)を見ることができる。このような情況は、他車両300が山を登っているときに生じるだけでなく、自分の車両100が山を下っていくときにも生じる。これらの車両の互いに相対的な位置が、主要な役割を果たす。図解のために
図5bと
図5cを参照する。
図5bでは、自分の車両100は平たいところを走行しており、他の車両300は山を登って走行している。
図5cでは、自分の車両100は山を下って走行しており、他の車両300は平たいところを走っている。ヘッドライト104の制御については、これらは同一のシナリオである。すべてはカメラ座標系または車両座標系に関わることだからである。それぞれの車両の相対的な関係とその相互の向きだけが役割を演じる。
【0044】
図5bでは、車両100は平たい区間で示されており、他車両300cは著しい上りの区間で示されている。車両100のヘッドライト104のヘッドライトビーム境界306は、他車両300cのテールライト302に直接向いている。ドアミラー400との安全間隔は必要ない。他車両300cは車両100から見て斜めに配置されており、ドアミラー400はヘッドライトビーム境界306よりも上方に位置しているからである。ヘッドライトビーム境界306と車両長軸500の間には、ヘッドライト104の射出角αが示されている。
【0045】
図5cも
図5bに呼応している。ただし、ここでは車両100は著しい下りの面に示されており、一方で他車両300eは車両100の前方の平らな区間を走行している。車両長軸500は車両100に固定的に結合されているので、射出角αは相対角度であり、したがって、他車両300cが車両100よりも上方にあるか、それとも、車両100が他車両300eよりも上方にあるかには左右されない。
【0046】
図6は、ヘッドライト104を備える車両100を起伏のある地面の上で示している。ヘッドライトビーム境界306は、コントロールが行われない限り、車両固定されている。ヘッドライトビーム境界306とまったく同様に、ここには図示しない車両固定された車両100のカメラも、車両100が走る地面の起伏に応じてピッチング運動を行う。安全値としての安全角度を用いて、AHCで間隔と道路品質によりコントロールを行うことができる。
【0047】
図7は、本発明の一実施例に基づく制御装置の検出装置で検出されるような、車両に対して先行する他車両の指標の相対位置700の時間的推移を示している。さらに
図7は、制御装置の出力部における制御信号702の時間的推移も示している。制御信号702は、車両の少なくとも1つのヘッドライトのヘッドライトビーム境界を制御する。テールライト700は相対的に見て動いている。静止状態を起点として、相対位置700は穏やかな勾配で第1の最大値まで上昇していく。制御信号702は、時間的に遅延しながら相対位置700に追従する。第1の最大値の後、相対位置700は第1の最小値まで大きな振幅で大幅に減少する。第1の最小値は、垂直方向の破線で図示されている。制御信号702は遅延することなく、第1の最小値まで相対位置700に追従する。第1の最小値の後、相対位置700は中程度の振幅で休止位置よりも下方で振動する。制御信号702は一緒に振動はしない。もっとも低い値が保たれる。振動の後、相対位置700は第2の最大値まで大幅に上昇していき、次いであらためて大幅に下落して、第2の最小値に到達する。大きな振幅が第2の最大値と第2の最小値を隔てている。第2の最大値はあらためて垂直方向の破線で図示されている。制御信号702はあらためて時間的に遅延しながら若干の追従を行うが、低い最高点に到達するにすぎず、第2の最大値の直後に再び低いレベルまで低下する。第2の最小値に引き続いて、相対位置はあらためて大幅に上昇していき、休止位置よりも上方で中程度の振幅により振動し、次いで再び大幅に降下して、第3の最小値に到達する。制御信号702は低いレベルにとどまっている。先行する振動に基づき、あらたな上昇はいっそう大幅に時間的に遅延される。それにより制御信号702は、相対位置700が第3の最小値まで低下する直前になって初めて、ごくわずかな高さを有する第2の高点まで上昇する。第3の最小値に引き続いて、相対位置は休止位置を中心とする大きい振幅で振動する。この振動の最大値が、あらためて垂直方向の破線で図示されている。制御信号702はいっそう大幅に時間的に遅延されているので、制御信号は低いレベルにとどまっている。ヘッドライトは追従されない。全体として高いダイナミックが確認されているからである。第4の最小値の後、相対位置はあらためて休止位置よりも上方で振動するが、低い振幅だけを有している。制御信号702は、休止位置のすぐ下まで遅れて追いながら、相対位置700にあらためて時間的に遅延して追従する。相対位置700がそれ以後の振動を有さなくなった後で初めて、制御信号702はあらためて休止位置に達する。
【0048】
図8は、車両100をさまざまな走行状況で示している。第1の走行状況では、車両100aは平坦な車道をハイビームで走っている。車両100aの前には他の車両はない。第2の走行状況では、車両100bは平坦な車道を、他車両300bの後方で広い距離をおいて走っている。他車両300bは車両100の周辺区域検出装置によって検出され、本発明の一実施例に基づく車両100の制御装置は、先行する他車両300bの指標に対する視界軸よりも安全間隔の分だけ低くヘッドライトビーム境界を設定する。第3の走行状況では、他車両300cはわずかな間隔をおいて車両100cの前を走っている。車両100cのヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界は、第2の走行状況よりもさらに車道に向かって降下している。第4の走行状況では、車両100dは軽微な傾斜を走っており、他車両300dは軽微な上りを走っている。それにより他車両300dは相対的に見て、車両100dよりも上方にある。したがって、制御装置は上側のヘッドライトビーム境界を引き上げ、それは、ヘッドライトビーム境界があらためて他車両300dの指標に対する視線よりも安全間隔の分だけ低く設定されるようになるまで行われる。第5の走行状況では、車両100eは他車両300eよりも上方にある。他車両300eは車両100eに対向してくる。ヘッドライトビーム境界は、他車両300eの運転者が幻惑されない程度にまで引き下げられる。
【0049】
夜間にはハイビームが使われることが稀である。その理由は特に、他の交通関与者が交通空間にいることにある。ロービームは、80km/hを超える速度については照射幅が狭すぎる。そこでAHC(AHC=Adaptive High Beam Control)が開発されている。AHCはヘッドライトの到達距離をダイナミックに適合化し、それにより、ヘッドライトの最大の到達距離が他の車両の幻惑なしに調整されるようにする。到達距離の調整は、
図8に示すように、さまざまに異なる照射角の調整を通じて行うことができる。車両が交通空間にいなくなったときには、照射角を複数の段階で増大または適合化することができる。それにより、いっそう迅速に長い到達距離を実現することができ、それにもかかわらず、あらたに出現する車両の潜在的な幻惑を少なく抑えることができる。
【0050】
車両型式、車両間隔、カメラの取付高さ、および画像中の位置、ないし道路の勾配もしくは他車両の全般的な向きの各パラメータが、運転者の(見積りによる)高さで垂直方向の安全間隔を高さに関して有するために利用される。その背景にあるのは、運転者の高さにはサイドミラーがあり、これを介して幻惑が生じる可能性があることである。さらには、他車両のピッチングが引き起こされる、他の車両のブレーキプロセスを認識することができる(たとえば作動した第3のブレーキランプを通じて)。ピッチングが生じると、テールライトとミラーの間の高低差が変化する。バックミラーは通常はサイドミラーよりも上にあり、したがってさほどクリティカルではない。バックミラーは防眩することができる。
【0051】
他の車両の特定の領域が照明されると、このことは、その運転者の幻惑につながる。このような領域に含まれるのはサイドミラー、バックミラー、および運転者の頭部の領域である。バックミラーの位置は通常はサイドミラーよりも高く位置しており、さらにバックミラーは防眩することができるので、特別に幻惑の危険性がある領域として、特にサイドミラーと運転者の頭部を特定することができる。先行車両では特にサイドミラーが重要となる。ミラーを介して運転者の間接的な幻惑が起こる可能性があるからである。対向車両では、特に運転者の頭部が幻惑に関連する。運転者の頭部のほか(直接的およびミラーを介して間接的)、同乗者の幻惑も回避されるのがよい。
【0052】
カメラは他の車両をその照明装置、たとえば(フロント)ヘッドライト、テールライト、ブレーキランプ、バックアップランプ、ターンシグナル等を利用して認識する。他の交通関与者の運転者の頭部のような特別に幻惑の危険性がある領域(直接的または間接的)は、通常、照明装置とは一致しない。認識された物体と、幻惑の危険性がある領域との間には相違が生じる。本発明によるとヘッドライトの制御は、このような差異を見積もることで、他の交通関与者を許容されないほど幻惑することなく、運転者の視界を広げることができるように最適化される。
【0053】
対向してくる交通と先行している交通は、カメラにより、たとえば発光色を通じて、あるいは運動方向を通じて区別することができる。トラック(LKW)の車両型式は、ポジションランプを通じて識別することができる。照明装置の個数を通じて、たとえば二輪車を識別することができる。その追加または代替として、車両型式の類別はたとえば車両全体のパターン認識を通じて行うことができる。同様に、通信装置を通じて各車両の間で直接的に(「カー・ツー・カー」)または間接的(「カー・ツー・インフラストラクチャー」)に情報を伝送することも可能であり、これを基にして必要な安全高さを安全値として判定することができる。車両型式のほか、たとえば車両部品(たとえばミラー、運転席)の高さおよび/または取付位置のような車両のジオメトリーデータ、ならびに、その追加または代替としてマークおよび/または車両モデルなども伝送することができ、これらを基にして必要な安全高さを判定することができる。
【0054】
車両型式の一義的な類別を行うことができないとき、個々の種別への帰属性の蓋然性に依存して安全高さを選択することができる。別案として、他の交通関与者を幻惑しないために、安全高さについての標準値を安全値として採用することができる。このことは特に、他の車両が遠く離れているケースで該当し、このことは類別を難しくする。
【0055】
先行する二輪車は、サイドミラーまたはバックミラーのある二輪車と、後方を向いたミラーのない二輪車とに区別することができる。特に自転車は、通常、後方を向いたミラーを有していない。低い速度および多くの場合に低い視認性により、自転車の運転者は道路交通において特別に危険に脅かされている。照射角の引き上げによって、ないしは負の安全間隔によって、自転車の運転者の特別に多くの部分を照明することができ、これを幻惑することがない。それにより運転者は自転車の運転者を、たとえば足の動きを参照して特別に良好に認識し、正しく対応することができる。幻惑の危険性がある運転者の頭部領域は、先行する二輪車の場合にも、運転者が振り返ったときに幻惑の危険があるので、同じく照明されないほうがよい。後方を向いたミラーのある二輪車では、運転者の頭部に加えてミラーも幻惑の危険性のある領域となる。
【0056】
フロントヘッドライトは常に運転者の目よりも下方にある。その帰結として、認識される交通関与者と、幻惑の危険性がある運転者の頭部領域との間にずれが生じる。したがって、基本的にフロントヘッドライトでは、負の安全間隔(高さ)を選択することができる。負の安全間隔(高さ)を選択することで、車両の運転者にとっての視界を広げることができ、他の運転者に幻惑を引き起こすことがない。
【0057】
車両型式が見積もられれば(たとえばトラックのポジションランプ)、安全高さをいっそう正確に算出することができる(トラック運転手は通常の場合、テールライトやフロントヘッドライトよりも明らかに上に座っている)。
【0058】
トラック(LKW)は、坂道でも早期に認識されるように、しばしばポジションランプを有している。カメラで認識することができる点灯しているポジションランプを参照して、車両をトラックとして類別することができる。安全高さは相応に縮小され、ないしは明暗境界が引き上げられ、それによって運転者の視界がいっそう広くなり、それにもかかわらず、類別された車両型式の運転者が幻惑されることがない。
【0059】
横から照明される横切っていく車両では、ミラーによる間接的な幻惑も、運転者や同乗者の直接的な幻惑も生じない程度にのみ、明暗境界を引き上げるのがよい。
【0060】
車両型式とは、本発明においては、走行方向(たとえば先行、対向、横断)として理解することができ、同様に、車両種別(たとえば乗用車PKW、トラックLKW、二輪車)、モデル型式(たとえば小型車、オフロード車)、モデルシリーズ(たとえば、しばしば類似するジオメトリーの特徴をもつメーカーのモデル型式の車両)、および/または具体的な車両モデルとしても理解することができる。
【0061】
物体パラメータから判定することができる安全値としての安全高さに加えて、その追加または代替として、カメラの取付位置、ヘッドライト、物体位置に依存して安全高さを判定することができる。多くの場合にカメラとヘッドライトはオフセットされて取り付けられているため、物体位置によっては、運転者の視界損失や他の交通関与者の幻惑が生じる可能性がある。物体がカメラよりも下方にあると、たとえばカメラ−ヘッドライトの線よりも下方にあると、異なる取付位置によって幻惑が生じる可能性がある。それに対して物体が上方にあると、運転者にとっての視界損失が生じる可能性がある。カメラとヘッドライトの取付位置は製造中から既知である。カメラそのものがある程度の走行区間後にキャリブレーションされ、取付位置を見積もることができる取り組みもなされている。それに応じてヘッドライト制御は、ジオメトリー状況に合わせて適合化することができるのが好ましい。
【0062】
他の交通関与者の幻惑を回避するための安全値としての安全高さは、認識された物体の位置に対して相対的に判定される。安全高さから、物体の距離に依存して、たとえば安全角度である安全値が判定される。安全角度および認識された物体の方向および/または画像中の位置を用いて、少なくとも1つのヘッドライトの照射角を判定することができる。
【0063】
高低差のほかに、照明(テールライト、フロントヘッドライト)と幻惑の危険性がある領域(直接的または反射面を介して間接的に運転者の目)との間の横のずれも同じく影響を及ぼす。ここではジオメトリー状況によって、特に制御されるべきヘッドライトに対する他車両の相対位置が役割を規定される。
【0064】
他の車両の相対位置に応じて、そのジオメトリー特性は変化する。たとえば先行車両のテールライトは、上り勾配を走行する際には、幻惑の危険性があるサイドミラーに比べて、平らなところでの走行や下り勾配の走行をするときよりも低い位置にくる。それに応じて安全値は、特に安全高さまたは安全角度は、他の車両のトポグラフィと相対位置に合わせて適合化できるのが好ましく、それにより、いっそう広い視界が他の車両の幻惑なしに可能となる。
【0065】
「安全高さ」(高さに関する安全間隔)の代替として、他の車両からの明暗境界の間隔を算出することができる。ライトの型式(フロントヘッドライト/テールライト)に応じて、安全間隔をそれぞれ別様に選択することができる。車両が遠く離れているほど、当該車両には少ない光しか到来しない。遠く離れた車両の「幻惑」は、場合により、ほとんど結果として現れない(たとえば数百メートル離れてハイビームで対向してくる車両は、ほとんど幻惑を知覚できない)。車両が遠く離れているほど、いっそうリスクに備えた制御を行うことができる(すなわちヘッドライトの高い照射角、制御のための低い安全値)。
【0066】
安全角度の取り組みは、とりわけ、車道の起伏を補償することによって進められてきた。当初のうち、運手者の視界と他の交通関与者の幻惑回避との妥協としての固定的な安全角度が、安全値として利用されていた。道路品質を測定することができれば、これに合わせて安全角度を最適化することができる。道路品質は車両により自動式に測定することができる。たとえば、車両のピッチング角度を評価することができる。これに加えて、車両のペダル位置および/または加速/減速プロセスが一緒に考慮されれば、道路の起伏によって引き起こされる車両のピッチング運動を見積もることができる。さらに、ピッチングを帰結としてもたらすことがある、多くの場合に平滑な移行部を有していない補修された個所を見るために、道路上のパターンや不均等なアスファルトの色を利用することができる。
【0067】
地面の起伏が直接認識されるとき、これもたとえば安全角度などの安全値に同じく取り入れることができる。地面の起伏が意図的に設置されているときでも(速度が低い領域で交通を減速させるため)、運転者やシステム全体にとっての道路品質は低下する(均一に走行することができないため)。
【0068】
他の車両のヘッドライトの「閃光」を検知することで、同じく道路品質を推定することができる。カメラとヘッドライトの間隔により、高さに関わる安全間隔がすでに黙示的に組み込まれている。この間隔は、たとえば安全角度のようなダイナミックな安全値の算出にあたって、一緒に取り入れることができる。この間隔は、車両と取付位置に応じて変わることがある:カメラが運転者室に取り付けられていてトラックがブレーキをかけたとき、運転者室はヘッドライトよりも強くピッチングする。ピッチングによってカメラとヘッドライトの間隔が変化し、それにより、黙示的に与えられている高さまたは安全角度に関わる安全間隔が、すなわち安全値が変化する。
【0069】
ローリング角度ないし揺動角は、CHC(幻惑のないハイビーム)にとって重要である:側方の影の境界が「照明から外された」車両に当たり、自分の車両がローリングすると、幻惑が生じる可能性がある。検出装置では、揺動角を検出することができる。AHC(スライド式の照射幅)でも、安全間隔の算出のために揺動角を利用することができる。それにより、通常は水平方向に延びる明暗境界が斜めに延びるからである。さらに、ヘッドライト光分布を、正確に直線状に延びるのでない光分布の場合に利用して、各点における安全間隔をいっそう正確に算出することができる。
【0070】
他車両の運動/ダイナミックも同じく安全角度に影響を及ぼす。車両が対向してくるとき、速度に応じていっそう広い安全間隔を選択することができる:走行方向(たとえばライトの色を通じて)、画像位置、画像運動に応じて、異なる間隔/角度が選択される。
【0071】
距離が大きいときには速度を見積もるのが難しく、そのため、自己速度を近似として利用することができる。他車両のダイナミックは画像中の運動を通じても検出することができる。車両が単一の(垂直の)方向に動いていないとき、安全値を、たとえば安全角度を、変化率に合わせて適合化することができる。変動がどれくらい大きいかを見積り可能であれば、安全間隔をこれに合わせて適合化することができる。
【0072】
カメラに代えて、一般に予測式のセンサを利用することができる。センサとの組み合わせも考えられる。たとえば車両と車両の間隔を、レーダシステムによって測定することができるであろう。道路品質およびその追加または代替として実際に必要な安全値は、(製造者によって、または「学習式の地図」として車両システム自身によって)これらが事前に記憶されているナビゲーション地図から読み取ることができるであろう。同様に、空間的な解像度をもつセンサ、たとえば立体カメラシステムなども利用することができる。
【0073】
図9aは、車両の周辺区域検出装置のカメラ画像を示している。このカメラ画像は、テールライト302を備える他車両300を、軽微な右カーブのある道路上で示している。本発明の一実施例に基づく、車両の少なくとも1つのヘッドライトのヘッドライト円錐光の上側のヘッドライトビーム境界306を適合化する方法により、テールライト302の相対位置が記録され、他車両300の運転者が幻惑されない程度までヘッドライトビーム境界306が引き下げられる。
【0074】
図9bは、車両から他車両300のさまざまに異なる距離のときに、車道上での円錐光の複数の結像を示す複数の平面図を示している。第1の平面図では、他車両300は結像されていない。円錐光は左右対称である。第2の平面図では、他車両300が車両から遠く離れて結像されている。円錐光は他車両300によって若干変形され、ヘッドライトビーム境界306は他車両300の手前にある。第3の平面図では、他車両300は第2の平面図よりも接近して示されており、ヘッドライトビーム境界306はさらに引き下げられている。第4および第5の平面図では他車両300がさらに接近しており、ヘッドライトビーム境界306はさらに引き下げられており、第5の図面では、ヘッドライトビーム境界306の最小距離に到達するまでになっている。第6の図面では、他車両300がさらに車両に近づいて示されているが、円錐光がさらに変形してはいない。このときには、たとえばロービームの場合に該当するように、車両の運転者の視界を最低限度で保つために、他車両300の運転者の幻惑の可能性が甘受される。
【0075】
ヘッドライトを照射幅に関してのみコントロールする代わりに(たとえばAHCおよびALC=Adaptive Low Beam Control=ダイナミック照射幅コントロール)、幻惑のないハイビームを通じて、いっそう多くの光を追加の幻惑なしに交通空間へ投じることができる。それにより常にハイビームで走行し、他の交通関与者がいる領域が「照明から外される」ことが意図される。CHC(Continuous High Beam Control)としての幻惑のないハイビームの具体化方法が、
図10に示されている。CHCは一部では「垂直明暗境界」vHDGないし"vertical cut-off-line"vCOLとも呼ばれる。
【0076】
図10aは、
図9aと同じく、車両の周辺区域検出装置のカメラ画像を示している。
図9aとは異なり、他車両300は車両に対向してきている。フロントヘッドライト1000が暗闇で認識可能な指標として結像されている。さらに垂直方向のヘッドライトビーム境界1002が、他車両300の左右に示されている。それにより、他車両300の左右の道路をより良く照明することができる。
【0077】
図10bは、水平方向と垂直方向のヘッドライトビーム境界が他車両300に合わせて適合化される、車両100の複数の走行状況の平面図を示している。そのために、それぞれのフロントヘッドライトを互いに独立して水平方向と垂直方向へ旋回させることができる。各々のヘッドライトは、水平方向のヘッドライトビーム境界の最小距離に達するまで他車両300の左右を通って偏向される棒状光を放射する。その後、水平方向のヘッドライトビーム境界は道路の最小照明を確保するためにとどまっており、他車両300がヘッドライトの円錐光の中に入り、その後には、円錐光は標準の結像光に相当している。
【0078】
AHCとCHCを運転者/カメラの観点から比較して記述すると、幻惑領域を下方に向かって区切る境界については、ヘッドライトの垂直方向の照射特性の最適化された調整のための解決法と同じ解決法、もしくは少なくとも非常に類似した解決法がもたらされる。それに応じて、幻惑領域を下方に向かって区切る境界は、上側のヘッドライトビーム境界として同様に理解することができる。
【0079】
ここで紹介している検出アルゴリズムVDD(VDD=Vehicle Detection in Darkness)は、照明(ヘッドライト/テールライト)を参照して夜間に他の車両を認識する。画像中の左右のヘッドライトの間隔を通じて距離が見積もられる。この間隔は、どのような車両でも類似した広さだからである。
【0080】
技術的には、ヘッドライトをいわば無段階に制御することが可能である。ヘッドライトの無段階の制御により、照明をいっそう他の車両の近くへ寄せることができる。同様に、固定的な角度オフセットによって作業を行うことができる。オフセットは、ピッチング運動が生じたときに、他の交通関与者の幻惑ができる限り回避されるように選択することができる。さらにオフセットは、さまざまな車両のバックミラー/サイドミラーのさまざまに異なる取付高さを考慮すべきである。一部では、ミラーはテールライトよりも下方に位置している。それにより、他の交通関与者の距離に応じて良好な照明が実現され、その一方で視界損失を縮小可能である。
【0081】
複数の交通関与者を考慮に入れるときは、計算精度と計算速度に関して相応の利点と欠点がある、さまざまな計算を行うことができる。
【0082】
一番下に位置している物体は、ピッチング運動によってもっとも高い危険性がある。これはジオメトリーに基づき、多くの場合、自分の車両のもっとも近傍に位置している物体(取付高さに依存してヘッドライト)でもある。車両の迅速な事前選択による、正確な安全値(たとえば安全角度)の迅速な計算が好ましい。
【0083】
画像中の各々の車両について、他の車両の幻惑がどれくらいの蓋然性とどのような影響を有しているかのクリティカル程度を計算することができる。そのために、画像中の間隔と物体位置に加えて、走行方向(画像中での動き、発光色)や車両型式も決定的となり得る。対向車両は先行車両よりも高い危険性がある。対向車両は速度差がより大きくなるため、いっそう高速で車両前を移動するからである。したがって(視覚)角度変化がいっそう迅速に行われる。二輪車は高いダイナミックを有していると同時に、他の車両よりも安定性が低い。二輪車はダイナミックにより高速で幻惑領域に入ってくることがあり、安定性が低いために、他の車両よりも不都合な作用を幻惑が及ぼすことがある。個々の車両が選択されるのが好ましい。それにより、その車両について最適化された制御を、運転者の快適性の観点からも行うことができるからである。ただし個々の車両の選択には、一番下の物体の選択よりも高い計算コストが必要である。
【0084】
安全値(たとえば安全角度)がそれぞれ個々の物体について計算されると、安全角度の「グローバルな」最適化が可能である。このような計算方式により、円錐光を他の車両にもっとも近づけて投入することができる。最善の安全角度がすべての車両について既知となっているからである。それぞれ個々の車両について安全角度を計算することで、計算コストは相応に高くなる。
【0085】
それぞれの計算方式を混合することも可能である。たとえば、もっとも高く幻惑の危険性がある車両を判定し、このグループの範囲内では別の計算方式(各々の車両を個別に考察する)を安全間隔の計算のために選択することができる。それにより、たとえば車両の半分だけが画像中でもっとも下側にあるとき、車両のグループを半分にして一緒に考察することができる。これらの車両については、ピッチング運動による幻惑の危険性が最大だからである。このグループについては、いっそう厳密な考察を行うことができる(たとえば全車両について安全角度を計算する)。
【0086】
図面に示して説明した各実施例は一例として選択されたものにすぎない。それぞれ異なる実施例は全面的に、または個々の構成要件に関して、相互に組み合わせることができる。1つの実施例に、別の実施例の構成要件を補足することもできる。
【0087】
さらに本発明による方法ステップは、反復して、ならびに上述した順序とは別の順序で実施することができる。
【0088】
1つの実施例が第1の構成要件と第2の構成要件との間に「および/または」の結合を含んでいるとき、このことは、その実施例が1つの実施形態では第1の構成要件と第2の構成要件を両方とも有しており、別の実施形態では、第1の構成要件か第2の構成要件のいずれかだけを有しているものと解釈すべきである。