(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228932
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】ナノリソグラフィのためのポリ乳酸/ケイ素含有ブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 63/695 20060101AFI20171030BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20171030BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20171030BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20171030BHJP
C23C 16/56 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
C08G63/695
H01L21/30 502D
B82Y30/00
B82Y40/00
C23C16/56
【請求項の数】29
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-556675(P2014-556675)
(86)(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公表番号】特表2015-511402(P2015-511402A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】US2013025160
(87)【国際公開番号】WO2013119820
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】61/597,329
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/761,763
(32)【優先日】2013年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】エリソン, クリストファー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン, カールトン グラント
(72)【発明者】
【氏名】クシェン, ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ, クリストファー エム.
【審査官】
藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第98/046655(WO,A1)
【文献】
特開平08−183899(JP,A)
【文献】
特開平03−157422(JP,A)
【文献】
特表2011−523504(JP,A)
【文献】
特許第6132854(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/695
B82Y 30/00
B82Y 40/00
C23C 16/56
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素およびラクチド含有ブロックコポリマーを合成する方法であって、
a.第1および第2のモノマーを準備するステップであって、前記第1のモノマーがケイ素原子を含み、前記第2のモノマーが、ケイ素を欠いた、重合することができるラクチドベースのモノマーであるステップ;
b.前記第1のモノマーの反応性ポリマーが形成されるような条件下で前記第1のモノマーを処理するステップ;
c.前記ケイ素含有ブロックコポリマーが合成されるような条件下で、前記第2のモノマーを、前記第1のモノマーの前記反応性ポリマーと反応させるステップを含み、ならびに
d.両ブロックのガラス転移が室温より上である
方法。
【請求項2】
前記ブロックの少なくとも1つが架橋性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3のモノマーが準備され、前記ブロックコポリマーがトリブロックコポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブロックコポリマーが、リソグラフィックパターニングプロセスにおいてエッチングマスクとして使用することができるナノ構造材料を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブロックコポリマーが、ラクチドの少なくとも1つのブロックと、少なくとも10重量%のケイ素を有する、ケイ素含有ポリマーまたはオリゴマーの少なくとも1つのブロックとで構成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ブロックコポリマーがエンドキャップされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ブロックコポリマーが官能基でエンドキャップされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロックコポリマーが、エチレンオキシドとの反応により、ヒドロキシル官能基でエンドキャップされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ブロックの1つがポリトリメチルシリルスチレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のモノマーがトリメチルシリルスチレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のモノマーがケイ素含有メタクリレートである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のモノマーがメタクリルオキシメチルトリメチルシランである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のモノマーがラクチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のモノマーがDL−ラクチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
f)基材を前記ブロックコポリマーでコーティングして、ブロックコポリマー膜を作るステップ、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基材がケイ素を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基材がシリコンウェハーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記基材が、2つのブロックのエネルギーの間の表面エネルギーを有する基材表面エネルギー中和層でコーティングされる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記基材表面エネルギー中和層が、
(a)高Tgポリマー、(b)架橋ポリマー、(c)蒸気蒸着したポリマー、例えば、パリレン、(d)シリル化剤の小分子誘導体、および(e)ポリマーを基材に末端付加させることによるポリマーブラシ
からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
g)ナノ構造が形成するような条件下で前記膜を処理するステップ、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記処理がアニーリングを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アニーリングが溶媒蒸気への曝露による、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アニーリングが加熱による、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ナノ構造が、ラメラ、シリンダー、垂直に整列しているシリンダー、水平に整列しているシリンダー、球、ジャイロイド、ネットワーク構造、および階層ナノ構造からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記ナノ構造がシリンダー状構造を含み、前記シリンダー状構造が前記基材の表面の面に対して実質的に垂直に整列している、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記処理が、前記コーティングされた表面をアセトン、THF、シクロヘキサン、または他の蒸散剤またはこれらの組合せの飽和雰囲気に曝露することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記基材がシリコンウェハーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記基材が、ステップf)の前に、表面エネルギー中和層で前処理されていない、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
前記基材が、ステップf)の前に、表面エネルギー中和層で前処理されている、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、極低分子量で自己集合することによって、極小フィーチャーを形成するジブロックコポリマー系を含む。一実施形態では、ブロックコポリマーの中の一方のポリマーはケイ素を含有し、他方のポリマーはポリ乳酸である。一実施形態では、ブロックコポリマーは、アニオン重合反応および開環重合反応の組合せにより合成される。一実施形態では、このブロックコポリマーの目的は、リソグラフィックパターニングにおいてエッチングマスクとして使用することができるナノ多孔性材料を形成することである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
従来のマルチグレイン媒体を使用するハードディスクドライブにおける面密度の改善は、現在のところ超常磁性の限界により制約される[1]。ビットパターン媒体は、非磁気材料により分離された孤立磁気島を作ることによってこの限界を回避することができる。ナノインプリントリソグラフィは、25nm以下のフィーチャーを用いてテンプレートを作ることができるとすれば、ビットパターン媒体を生成するための興味深い解決策である[2]。光リソグラフィの解像限界および遅いスループットによる電子ビームリソグラフィの非常に高い価格[3]は、新規のテンプレートパターニングプロセスを必要とする。約5〜100nm程度の十分に定義された構造へのジブロックコポリマーの自己集合[4]により、ビットパターン媒体の生成に必要とされる長さスケールのフィーチャーが生成する。これは、インプリントリソグラフィ用のテンプレートを生成するためのブロックコポリマーを使用することによって最も効率的に遂行される[5]。適切なテンプレートが利用可能であれば、インプリントリソグラフィを採用することによって、ビットパターン媒体を効率的に生成することができる。これまでの研究は、後重合のSiO
2成長[7]、超臨界CO
2を使用するシリカの蒸着[8]、およびケイ素含有フェロセニルモノマー[9]を介して、エッチング耐性のために、1つのブロックの中に選択的にケイ素を組み込んだ六方充填円柱状の形態を生成するブロックコポリマーをターゲットにしてきた[6]。必要とされるのは、ケイ素が提供する良好な酸素エッチングコントラストでエッチングすることができるナノ構造の所望の構造的整列を有する100nm以下のフィーチャーを有するインプリントテンプレートを作る方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の要旨
本発明は、極低分子量で自己集合することによって、極小フィーチャーを形成するジブロックコポリマー系を含む。一実施形態では、ブロックコポリマーの中の一方のポリマーはケイ素を含有し、他方のポリマーはポリ乳酸である。一実施形態では、ブロックコポリマーは、アニオン重合反応および開環重合反応の組合せにより合成される。一実施形態では、このブロックコポリマーの目的は、リソグラフィックパターニングにおいてエッチングマスクとして使用することができるナノ多孔性材料を形成することである。
【0004】
本発明は、ケイ素およびラクチド含有組成物、合成方法、および使用の方法を想定している。さらに具体的には、本発明は、一実施形態において、2種の(またはそれ以上の)モノマー種から誘導されたブロックコポリマーに関し、これらのモノマー種のうちの少なくとも1種は、ケイ素を含み、少なくとも1種はラクチドを組み込んでいる。このような化合物は、ナノインプリントリソグラフィのためのテンプレートを作製することを含めた半導体工業における複数の用途、および生物医学的用途を含めた多くの使用を有する。
【0005】
一実施形態では、本発明は、ケイ素およびラクチド含有ブロックコポリマーを合成する方法であって、a)第1および第2のモノマーを準備するステップであって、前記第1のモノマーがケイ素原子を含み、前記第2のモノマーが、重合することができるケイ素を欠いた、ラクチドベースのモノマーであるステップ;b)前記第2のモノマーの反応性ポリマーが形成されるような条件下で前記第2のモノマーを処理するステップ;c)前記ケイ素含有ブロックコポリマーが合成されるような条件下で、前記第1のモノマーを前記第2のモノマーの前記反応性ポリマーと反応させるステップを含み;ならびにd)両ブロックのガラス転移は室温より上である方法に関する。一実施形態では、前記ブロックの少なくとも1つは架橋性である。一実施形態では、第3のモノマーが準備され、前記ブロックコポリマーはトリブロックコポリマーである。一実施形態では、前記ブロックコポリマーは、リソグラフィックパターニングプロセスにおいてエッチングマスクとして使用することができるナノ構造材料を形成する。一実施形態では、前記ブロックコポリマーは、ラクチドの少なくとも1つのブロックと、少なくとも10重量%のケイ素を有する、ケイ素含有ポリマーまたはオリゴマーの少なくとも1つのブロックとで構成される。一実施形態では、前記ブロックコポリマーはエンドキャップされる。一実施形態では、前記ブロックコポリマーは官能基でエンドキャップされる。一実施形態では、前記ブロックコポリマーは、エチレンオキシドとの反応により、ヒドロキシル官能基でエンドキャップされる。一実施形態では、本方法は、以下のステップをさらに含むe)前記ケイ素含有ブロックコポリマーをメタノール中に沈殿させるステップ。一実施形態では、ブロックの1つはポリトリメチルシリルスチレンである。一実施形態では、前記第1のモノマーはトリメチルシリルスチレンである。一実施形態では、前記第1のモノマーはケイ素含有メタクリレートである。一実施形態では、前記第1のモノマーはメタクリルオキシメチルトリメチルシラン(MTMSMA)である。一実施形態では、本方法は、以下のステップをさらに含むf)基材を前記ブロックコポリマーでコーティングすることによって、ブロックコポリマー膜を作るステップ。一実施形態では、前記基材はケイ素を含む。一実施形態では、前記基材はシリコンウェハーである。一実施形態では、前記基材はクオーツである。一実施形態では、前記基材はガラスである。一実施形態では、前記基材はプラスチックである。一実施形態では、前記プラスチックとして、これらに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレンまたはPTFE)などが挙げられる。一実施形態では、前記基材は透明な基材である。一実施形態では、前記基材を2つのブロックのエネルギーの間の表面エネルギーを有する、基材表面エネルギー中和層でコーティングする。一実施形態では、前記基材表面エネルギー中和層は、以下からなる群から選択される:(a)高Tgポリマー、(b)架橋ポリマー、(c)蒸気蒸着した(vapor deposited)ポリマー、例えば、パリレンなど、(d)シリル化剤の小分子誘導体、および(e)ポリマーを基材に末端付加させることによるポリマーブラシ。一実施形態では、本方法は、以下のステップをさらに含むg)ナノ構造が形成するような条件下で前記膜を処理するステップ。一実施形態では、前記処理はアニーリングを含む。一実施形態では、前記アニーリングは溶媒蒸気への曝露による。一実施形態では、前記アニーリングは加熱による。一実施形態では、前記ナノ構造は、以下からなる群から選択される:ラメラ、シリンダー、垂直に整列しているシリンダー、水平に整列しているシリンダー、球、ジャイロイド、ネットワーク構造、および階層ナノ構造。一実施形態では、前記ナノ構造は球状の構造を含む。一実施形態では、前記ナノ構造はシリンダー状構造を含み、前記シリンダー状構造は表面の面に対して実質的に垂直に整列している。一実施形態では、前記処理は、前記コーティングされた表面をアセトン、THF、シクロヘキサン、または他の蒸散剤またはこれらの組合せの飽和雰囲気に曝露することを含む。一実施形態では、前記表面はシリコンウェハー上にある。一実施形態では、前記表面はガラスである。一実施形態では、前記表面はクオーツである。一実施形態では、前記基材は、ステップf)の前に表面エネルギー中和層で前処理されていない。一実施形態では、前記基材は、ステップf)の前に表面エネルギー中和層で前処理されている。一実施形態では、第3のモノマーが準備され、前記ブロックコポリマーはトリブロックコポリマーである。一実施形態では、本発明は、上記に記載されているプロセスに従い作製された膜に関する。
【0006】
一実施形態では、本発明は、ナノ構造を表面上に形成する方法に関し、以下のステップを含む:a)ケイ素およびラクチド含有ブロックコポリマーブロックコポリマーと、表面とを準備するステップ;b)前記ブロックコポリマーを前記表面上にスピンコーティングすることによって、コーティングされた表面を作るステップ;ならびにc)ナノ構造が前記表面上に形成されるような条件下で、前記コーティングされた表面を処理するステップ。一実施形態では、前記ナノ構造はシリンダー状構造を含み、前記シリンダー状構造は表面の面に対して実質的に垂直に整列している。一実施形態では、前記処理は、前記コーティングされた表面を、アセトンまたはTHFの飽和雰囲気に曝露することを含む。一実施形態では、前記表面はシリコンウェハー上にある。一実施形態では、前記表面はガラスである。一実施形態では、前記表面はクオーツである。一実施形態では、前記表面は、ステップb)の前に基材中和層で前処理されていない。一実施形態では、前記表面は、ステップb)の前に架橋ポリマーで前処理されている。一実施形態では、本発明は、上記に記載されているプロセスに従い作製された膜に関する。一実施形態では、本発明は、以下のステップをさらに含むd)前記ナノ構造を含有する、コーティングされた表面をエッチングするステップ。
【0007】
本発明のフィーチャーおよび利点をさらに完全に理解するため、付随する図と共に発明の詳細な説明についてここで言及する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ケイ素およびラクチド含有ブロックコポリマーを合成する方法であって、
a.第1および第2のモノマーを準備するステップであって、前記第1のモノマーがケイ素原子を含み、前記第2のモノマーが、重合することができるケイ素を欠いた、ラクチドベースのモノマーであるステップ;
b.前記第2のモノマーの反応性ポリマーが形成されるような条件下で前記第2のモノマーを処理するステップ;
c.前記ケイ素含有ブロックコポリマーが合成されるような条件下で、前記第1のモノマーを、前記第2のモノマーの前記反応性ポリマーと反応させるステップを含み、ならびにd.両ブロックのガラス転移が室温より上である方法。
(項目2)
前記ブロックの少なくとも1つが架橋性である、項目1に記載の製品。
(項目3)
第3のモノマーが準備され、前記ブロックコポリマーがトリブロックコポリマーである、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ブロックコポリマーが、リソグラフィックパターニングプロセスにおいてエッチングマスクとして使用することができるナノ構造材料を形成する、項目1に記載の製品。
(項目5)
前記ブロックコポリマーが、ラクチドの少なくとも1つのブロックと、少なくとも10重量%のケイ素を有する、ケイ素含有ポリマーまたはオリゴマーの少なくとも1つのブロックとで構成される、項目4に記載の製品。
(項目6)
前記ブロックコポリマーがエンドキャップされる、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記ブロックコポリマーが官能基でエンドキャップされる、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記ブロックコポリマーが、エチレンオキシドとの反応により、ヒドロキシル官能基でエンドキャップされる、項目7に記載の方法。
(項目9)
e)前記ケイ素含有ブロックコポリマーを沈殿させるステップ、をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記ケイ素含有ブロックコポリマーがメタノール中に沈殿される、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記ブロックの1つがポリトリメチルシリルスチレンである、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記第1のモノマーがトリメチルシリルスチレンである、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記第1のモノマーがケイ素含有メタクリレートである、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記第1のモノマーがメタクリルオキシメチルトリメチルシランである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記第2のモノマーがラクチドである、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記第2のモノマーがDL−ラクチドである、項目1に記載の方法。
(項目17)
f)基材を前記ブロックコポリマーでコーティングして、ブロックコポリマー膜を作るステップ、をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記基材がケイ素を含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記基材がシリコンウェハーである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記基材がクオーツである、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記基材がガラスである、項目17に記載の方法。
(項目22)
前記基材がプラスチックである、項目17に記載の方法。
(項目23)
前記基材が透明な基材である、項目17に記載の方法。
(項目24)
前記基材がロールツーロール基材である、項目17に記載の方法。
(項目25)
前記基材が、2つのブロックのエネルギーの間の表面エネルギーを有する基材表面エネルギー中和層でコーティングされる、項目17に記載の方法。
(項目26)
前記基材表面エネルギー中和層が、
(a)高Tgポリマー、(b)架橋ポリマー、(c)蒸気蒸着したポリマー、例えば、パリレン、(d)シリル化剤の小分子誘導体、および(e)ポリマーを基材に末端付加させることによるポリマーブラシ
からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
g)ナノ構造が形成するような条件下で前記膜を処理するステップ、
をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目28)
前記処理がアニーリングを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記アニーリングが溶媒蒸気への曝露による、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記アニーリングが加熱による、項目27に記載の方法。
(項目31)
前記ナノ構造が、ラメラ、シリンダー、垂直に整列しているシリンダー、水平に整列しているシリンダー、球、ジャイロイド、ネットワーク構造、および階層ナノ構造からなる群から選択される、項目27に記載の方法。
(項目32)
前記ナノ構造が球状の構造を含む、項目27に記載の方法。
(項目33)
前記ナノ構造がシリンダー状構造を含み、前記シリンダー状構造が前記表面の面に対して実質的に垂直に整列している、項目27に記載の方法。
(項目34)
前記処理が、前記コーティングされた表面をアセトン、THF、シクロヘキサン、または他の蒸散剤またはこれらの組合せの飽和雰囲気に曝露することを含む、項目27に記載の方法。
(項目35)
前記表面がシリコンウェハー上にある、項目17に記載の方法。
(項目36)
前記表面がガラスである、項目17に記載の方法。
(項目37)
前記表面がクオーツである、項目17に記載の方法。
(項目38)
前記基材が、ステップe)の前に、表面エネルギー中和層で前処理されていない、項目17に記載の方法。
(項目39)
前記基材が、ステップe)の前に、表面エネルギー中和層で前処理されている、項目17に記載の方法。
(項目40)
第3のモノマーが準備され、前記ブロックコポリマーがトリブロックコポリマーである、項目1に記載の方法。
(項目41)
項目27に記載のプロセスに従い作製された膜。
(項目42)
a.ケイ素およびラクチド含有ブロックコポリマーブロックコポリマーと、表面とを準備するステップ;
b.前記ブロックコポリマーを前記表面上にスピンコーティングして、コーティングされた表面を作るステップ;ならびに
c.ナノ構造が前記表面上に形成されるような条件下で、前記コーティングされた表面を処理するステップ
を含む、表面上にナノ構造を形成する方法。
(項目43)
前記ナノ構造が、シリンダー状構造を含み、前記シリンダー状構造が表面の面に対して実質的に垂直に整列している、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記処理が、前記コーティングされた表面をアセトンまたはTHFの飽和雰囲気へ曝露することを含む、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記表面がシリコンウェハー上にある、項目42に記載の方法。
(項目46)
前記表面がガラスである、項目42に記載の方法。
(項目47)
前記表面がクオーツである、項目42に記載の方法。
(項目48)
前記表面が、ステップb)の前に、基材中和層で前処理されていない、項目42に記載の方法。
(項目49)
前記表面が、ステップb)の前に、架橋ポリマーで前処理される、項目42に記載の方法。
(項目50)
項目42に記載のプロセスに従い作製された膜。
(項目51)
e)前記ナノ構造を含有する、コーティングされた表面をエッチングするステップ、をさらに含む、項目42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、例示的ケイ素含有モノマーおよびポリマーの非限定的な構造を示す。
【
図2】
図2は、アニオン重合反応および開環重合反応の組合せによるPTMSS−b−PLAの合成を示す。
【
図3】
図3は、ポリ乳酸(PLA)ホモポリマーの合成を示す。
【
図4】
図4は、a)PTMSS
6−b−PLA
4.1およびb)PTMSS
6−b−PLA
7.1(ここで、矢印は、第一次およびより高次元の散乱ピークの位置を示す)の統合したSAXS曲線を示す。下付き数字は、ブロック分子量(キログラム/モル)を示す。
【
図5】
図5は、a)鋳放し、およびb)試料を120℃で2時間熱的アニーリングした後のPTMSS
6−b−PLA
4.1膜のAFM相画像を示す。
【
図6】
図6は、シクロヘキサン蒸気下で溶媒アニーリングを、a)2時間、b)4時間、およびc)23時間行った後のPTMSS
6−b−PLA
4.1膜のAFM相画像を示す。
【
図7】
図7は、a)鋳放し、およびb)シクロヘキサン蒸気下で溶媒アニーリングを4時間行った後のPTMSS
6−b−PLA
7.1のAFM相画像を示す。
【
図8】
図8は、a)シクロヘキサン蒸気下で4時間溶媒アニーリング後、およびb)a)の試料を酸素プラズマでエッチング後のPTMSS
6−b−PLA
4.1のAFM高さ画像を示す。
【
図9】
図9は、a)シクロヘキサン蒸気下で4時間溶媒アニーリング後、およびb)a)の試料を酸素プラズマでエッチング後のPTMSS
6−b−PLA
4.1のAFM相画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
表1は、調べたポリマーの特性を示している。
【0010】
定義
本発明の理解を促進するため、いくつかの用語を以下で定義する。本明細書中で定義される用語は、本発明に関連する領域の当業者により一般的に理解されている意味を有する。「a」、「an」および「the」などの用語は、単数の実体のみを指すものではなく、そのクラスの具体例を例示のために使用することができる一般的なクラスを含むことを意図する。本明細書中の専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載するために使用されるが、これらの使用は、特許請求の範囲において概要を示す以外は本発明の範囲を定めるものではない。
【0011】
加えて、本発明の化合物を構成している原子は、このような原子のすべての同位体の形態を含むことを意図する。同位体は、本明細書で使用される場合、同じ原子番号を有するが、質量数が異なるような原子を含む。一般的な例として、制限なしで、水素の同位体は、トリチウムおよび重水素を含み、炭素の同位体は
13Cおよび
14Cを含む。同様に、本発明の化合物の1つまたは複数の炭素原子がケイ素原子(複数可)により置き換えられてもよいことが想定される。さらに、本発明の化合物の1つまたは複数の酸素原子が、硫黄またはセレン原子(複数可)により置き換えられてもよいことが想定される。
【0012】
ブロックコポリマーが自己集合するかどうか判定することにおいて重要な要素は、ブロックのうちの1つの相対体積分率、モノマー単位の相対的不適合性(Flory−Huggins相互作用パラメーター(ギリシャ文字Chi χ)で測定される)、およびブロックコポリマーの重合度である。好ましくは、ブロックのうちの1つの体積分率は30〜70、35〜65、40〜60、より好ましくは50〜50であり、ブロックコポリマーの重合度(N)およびFlory−Huggins相互作用パラメーターは、好ましくは10.5を超え、より好ましくは25を超える。
【0013】
ブロックコポリマーまたはそのブレンドは、任意の便利な方法で架橋することができる。一実施形態では、ブロックコポリマーまたはそのブレンドは膜またはコーティングとして蒸着し、次いで紫外光または電離放射線を使用して架橋される。必要に応じて、遊離ラジカル開始剤またはproradをブロックコポリマーまたはそのブレンドに加えることによって、架橋反応を助けることができる。しかし、特にブロックコポリマーまたはそのブレンドが膜形成組成物またはコーティング組成物に使用される場合には、ブロックコポリマーまたはそのブレンドは架橋剤を含むことが好ましい。架橋反応の速度定数が比較的低く、これによって、膜形成組成物またはコーティング組成物が比較的長いポットライフを得られるよう、架橋剤および架橋剤の濃度を選ぶことが好ましい。膜形成組成物またはコーティング組成物が印刷用インクとして使用される場合、またはインクジェット式印刷技術を使用して蒸着される場合、これは特に重要である。架橋の速度が、ブロックコポリマーまたはそのブレンドの自己集合の速度よりも遅くなるような架橋反応の速度定数が好ましい。
【0014】
ポリ(乳酸)またはポリ乳酸(PLA)は、再生可能な資源、例えば、コーンスターチ、タピオカ製品(根、チップまたはデンプン)またはサトウキビなどから誘導される熱可塑性脂肪族ポリエステルである。ポリ乳酸は、植物から生成することができ、その強度および物理的特性は、他の生分解性樹脂のものより比較的良好である。したがって、ポリ乳酸は、石油から作製される現存するプラスチックまたは繊維の代替の材料として急速に注目を集めるようになった。
【0015】
しかし、ポリ乳酸の生分解性は、他の一般的に公知の生分解性プラスチック、例えば、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、またはポリブチレンスクシネートなどの生分解性より低い。例えば、これらのプラスチック中の生分解性プラスチック分解細菌の量は、以下の順序で表すことができる:ポリヒドロキシ酪酸≧ポリカプロラクトン>ポリブチレンスクシネート>ポリ乳酸。すなわち、一般的に公知の別の生分解性プラスチック、すなわち脂肪族ポリエステルとは異なり、ポリ乳酸は、α−エステル結合により形成された脂肪族ポリエステルである。したがって、ポリ乳酸は特定の特性を有する。例えば、ポリ乳酸は、リパーゼ、エステラーゼ、またはポリヒドロキシ酪酸分解酵素により分解されない。
【0018】
【化2】
により合成され、これは、DL−ラクチドとしても公知の、3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンを使用する。
【0019】
本発明で使用されるポリ乳酸は、好ましくはポリ−L−乳酸であり、ポリ−D−乳酸も使用することができる。代わりに、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸のコポリマーの混合物を使用することもできる。さらに、その中に生分解性を有する単位を組み込んだコポリマー、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−ブチロラクトン、グリコリド、ラクチド、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、エチレンオキシド、またはプロピレンオキシドなどを使用することができる。加えて、一般に市販されている生分解性樹脂、例えば、ポリヒドロキシ酪酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート−アジペートコポリマー、ポリカプロラクトン、またはポリエステルカーボネートなどを、その物理的特性を改善する目的で、ポリ乳酸に適切にブレンドしてもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、ガラス転移温度は、略語T
gで表される。Gillham、J. K. (1986年)[12]において記載されている硬化の等温度にガラス転移温度、T
gが上昇した場合、ガラス化が生じる。
【0021】
本明細書で使用される場合、エンドキャップ官能基とは、ポリマーの末端に加えられる官能基を指す。いくつかの非限定的なエンドキャップ官能基として、ヒドロキシル、アミン、アジド、アルキン、カルボン酸、ハロゲン化物などを挙げることができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、シリル化剤(またシランまたは自己集合した単分子膜としても公知)は、メトキシ、エトキシ、またはハロゲン化物官能基を有するオルガノシリコン化合物を指す。一部の非限定的例として、メチルジクロロシラン、メチルジエトキシシラン、アリル(クロロ)ジメチルシラン、および(3−アミノプロピル)(3−amniopropyl)トリエトキシシランが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される場合、ブラシポリマーは、固体表面に接着するポリマーのクラスである[13]。固体基材に接着するポリマーは、ポリマー間での込み合いを起こし、これによって、重複を回避するためにポリマーを表面から引き伸ばさせるよう、十分に高密度でなければならない。[14]
電子デバイスの分野では、ウェブ法、リールツーリール法またはR2Rとしても公知のロールツーロール法は、柔軟性のあるプラスチックまたは金属ホイルのロール上に電子デバイスを作るプロセスである。この使用よりも前に他の分野では、このロールツーロール法は、コーティングを塗布すること、印刷すること、または柔軟性のある材料のロールを用いて開始し、このプロセス後、再び巻き取ることによって出力ロールを作る他のプロセスを実施するといった、いかなるプロセスも指すことができる。薄膜太陽電池(TFPV)とも呼ばれる、薄膜の太陽電池(TFSC)は、光電性材料の1つまたは複数の薄層(薄膜)を基材または表面上に蒸着させることによって作製される太陽電池である。可能なロールツーロール基材として、これらに限定されないが金属化ポリエチレンテレフタレート(terphthalate)、金属膜(スチール)、ガラス膜(例えばCorning Gorilla Glass)、グラフェンコーティング膜、ポリエチレンナフタレート(Dupont Teonex)、およびkapton膜、ポリマー膜、金属化ポリマー膜、金属化ガラスもしくは金属化ケイ素、炭素化ポリマー膜、炭素化ガラスもしくは炭素化ケイ素が挙げられる。可能なポリマー膜として、ポリエチレンテレフタレート、Kapton、マイラーなどが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される場合、ブロックコポリマーは、2つ以上のポリマー鎖(ブロック)からなり、これらは、化学的に異なり、互いに共有結合で付加している。ブロックコポリマーは、主にナノメートルスケールパターンを形成するこれらの能力に基づき多くの用途に対して提案されてきた。これらの自己集合したパターンは、ナノリソグラフィックマスクおよび無機物構造または有機物構造のさらなる合成のためのテンプレートとして考えられている。このような用途は、異なるエッチング速度をもたらし、または新規材料への可能性につながる化学的特性または物理的特性におけるコントラストを利用して可能となる。例えば、燃料電池、電池、データ保管およびオプトエレクトロニクスデバイスなどにおける新規用途は、ブロックの特有の特性に一般的に依存する。これらの使用のすべては、巨視的な距離にわたるブロックコポリマーの規則的な自己集合に依存する。
【0025】
トリメチル−(2−メチレン−ブタ−3−エニル)シランは、以下の構造:
【0026】
【化3】
で表され、(TMSI)と略され、そのポリマーバージョンは、
【0027】
【化4】
であり、P(TMSI)と略される。
【0028】
トリメチル(4−ビニルフェニル)シランは、スチレン誘導体の別の例であり、以下の構造:
【0029】
【化5】
で表され、TMSSと略され、そのポリマーバージョンは、
【0030】
【化6】
であり、P(TMSS)と略される。
【0031】
tert−ブチルジメチル(4−ビニルフェノキシ)シランはスチレン誘導体の別の例であり、以下の構造:
【0032】
【化7】
で表され、TBDMSO−Stと略され、
そのポリマーバージョンは、
【0033】
【化8】
であり、P(TBDMSO−St)と略される。
【0034】
tert−ブチルジメチル(オキシラン−2−イルメトキシ)シランは、ケイ素含有化合物の例であり、以下の構造:
【0035】
【化9】
で表され、TBDMSO−EOと略され、そのポリマーバージョンは、
【0036】
【化10】
であり、P(TBDMSO−EO)と略される。
【0037】
メタクリルオキシメチルトリメチルシランは、以下の構造:
【0038】
【化11】
で表され、(MTMSMA)と略され、そのポリマーバージョンは、
【0039】
【化12】
であり、P(MTMSMA)と略される。
【0041】
【化13】
は、PLAホモポリマーの例である。
【0043】
【化14】
は、ポリ(トリメチルシリルスチレン−b−ラクチド)(PTMSS−b−PLA)の例である。
【0044】
本発明はまた、例えば、置換基を環に加えることによって、塩基性のスチレン構造が改質されているスチレン「誘導体」も想定している。
図1に示されている化合物のうちのいずれかの誘導体もまた使用することができる。誘導体は、例えば、ヒドロキシ誘導体またはハロ誘導体であってよい。本明細書で使用される場合、「水素」は、−Hを意味し;「ヒドロキシ」は−OHを意味し;「オキソ」は=Oを意味し;「ハロ」は、独立して−F、−Cl、−Brまたは−Iを意味する。
【0045】
ブロックコポリマーを使用することによって、表面上に「ナノ構造」、または制御された配向性を有する「物理的フィーチャー」を作ることが望まれている。これらの物理的なフィーチャーは形状および厚さを有する。様々な構造は、例えば、ブロックコポリマーの構成成分、例えば、垂直のラメラ、面内シリンダー、および垂直のシリンダーなどにより形成することができ、ブロックの膜厚、表面処理、および化学的特性に依存し得る。好ましい実施形態では、前記シリンダー状構造は、第1の膜の面に対して実質的に垂直に整列している。ナノメートルレベルでの領域またはドメイン(すなわち「マイクロドメイン」または「ナノドメイン」)の中の構造の配向性はほぼ均一に制御することができ、これらの構造の空間的な配置も制御することができる。例えば、一実施形態では、ナノ構造のドメインスペーシングはほぼ50nm以下である。本明細書中に記載されている方法は、所望のサイズ、形状、配向性、および周期性を有する構造を生成することができる。その後、一実施形態では、これらの構造は、エッチングしてもよいし、さもなければさらに処置してもよい。
【0046】
発明の詳細な説明
ブロックコポリマー(BC)は、共有結合で一緒に連結している2種以上の化学的に異なるホモポリマーの鎖と定義される[4]。BCの特徴的な特色は、BCは、5〜100nmのドメインサイズを有する周期的構造、例えば、ラメラ、球、両連続ジャイロイド、および六方充填シリンダーなどへと自己集合できることである[11]。形態は、各ブロックの体積分率(φ)、全体の重合度(N)、およびFlory−Huggins相互作用パラメーター(χ)(これらすべては合成により制御できる)により決定される[11]。
【0047】
ナノ製造の用途、例えば、基材表面に垂直に整列しているシリンダー状またはラメラ状ドメインを有するミクロエレクトロニクス、太陽電池、および膜、薄膜などが最も興味深い[12、13]。BC薄膜の挙動は、多くの研究者により試験されてきたが[14〜16]、最近の再調査[12]は、BC配向性の決定における膜厚および界面相互作用の重要性を強調している。基材に垂直に配向するようにシリンダー状またはラメラ状ドメインを誘発する1つの方法は、各ブロックのエネルギーの間に表面が界面エネルギーを有するように、基材を表面改質剤で処理することによる。このタイプの基材表面は、基材との接触を確立するための各ブロックに対するエンタルピックペナルティーがほぼ等しいので「中性」と呼ばれている[14]。この条件が適当に満たされない場合、シリンダーまたはラメラは普通、基材を湿潤させる表面を最も好むブロックを有する基材と平行に並ぶことになる[17]。
【0048】
本発明は、極低分子量で自己集合することによって極小フィーチャーを形成するジブロックコポリマー系を含む。一実施形態では、ブロックコポリマーの中の一方のポリマーは、ケイ素、この場合ポリトリメチルシリルスチレンを含有し、他方のポリマーはポリ乳酸である。一実施形態では、ブロックコポリマーは、アニオン重合反応および開環重合反応の組合せにより合成される。一実施形態では、これらのブロックコポリマーを使用することによって、リソグラフィックパターニングにおいてエッチングマスクとして使用することができるナノ多孔性材料を形成することができる。
【0049】
ナノスケールリソグラフィックパターニングに使用されるブロックコポリマーは通常、合成ポリマーのみで構成される。本発明の中のブロックコポリマー中の両ポリマーは合成ではあるが、ポリ乳酸、ラクチドを作製するために使用されるモノマーは、天然由来の材料、乳酸から誘導される。また、いくつかの例外はあるが、リソグラフィックパターニングのために研究されているポリマーは通常、金属含有ブロックを提供せず、したがってエッチング選択性をほとんど有さない。本発明において記載されているポリマーは、酸素エッチングにおいて、ケイ素含有ブロックの遅いエッチングおよびポリ乳酸ブロックの速いエッチングにより、エッチング耐性を有する。
【0050】
従来のリソグラフィ技術のフィーチャーサイズの制限を克服するための有望な解決策は、自己集合したブロックコポリマーを使用することによって、ナノスケールフィーチャーをパターン化することを含む。ブロックコポリマーリソグラフィは、従来の技術に存在する物理的制限およびコスト制限を回避する。高い相互作用パラメーターを有するポリマーは、フォトリソグラフィで達成可能であるものよりもずっと小さなフィーチャーを形成することができ、電子ビームリソグラフィよりも時間集約的でないプロセスを使用してこれを行うことができる。
【0051】
本発明は、リソグラフィックパターニングに対して現在使用されている現在のブロックコポリマー系を超えた利点を有する。これは、主に本発明が、公知のブロックコポリマー系で達成可能な最も小さなフィーチャーのいくつかの形成を可能にするからである。小さなフィーチャーは、半導体用途において、より大きな保管量のためのより高いフィーチャー密度と相関する。これらの小さなフィーチャーは、ブロック間の高い化学的不和合性により、ポリマーが高い相互作用パラメーターを有することから達成される。この系はまたブロック間のエッチングコントラストが良好なため(この用途のためのポリマーの大部分はこれを有さない)、ナノリソグラフィックパターニングに理想的である。酸素エッチングプロセスを使用する場合、ポリ乳酸ブロックはすばやくエッチングされるのに対して、ケイ素含有ブロックはゆっくりとエッチングされる。良好なエッチングコントラストを実際に示すブロックコポリマー、ポリスチレン−ブロック−ポリジメチルシロキサンと比較して、両ブロックは高いガラス転移温度を有し、これは、両ブロックが室温で固体であることを可能にする。
【0052】
本発明を理解する上で有用となる様々な参考文献がある:Formation of a Device Using Block Copolymer Lithography(米国特許出願第20090305173号/2009年12月10日)[18];「One−dimensional arrays of block copolymer cylinders and applications thereof」(US8,101,261/2012年1月24日)[19];Vayer、M.ら、(2010年)Perpendicular orientation of cylindrical domains upon solvent annealing thin films of polystyrene−b−polylactide、Thin Solid Films、518巻(14号)、3710〜3715頁。[20];Zalusky、A. S.ら、(2002年)Ordered Nanoporous Polymers from Polystyrene−Polylactide Block Copolymers、J. Am. Chem. Soc. 124巻(43号)、12761〜12773頁。[21]; Wang、Y.およびHillmyer、M. A.(2000年)Synthesis of Polybutadiene−Polylactide Diblock Copolymers Using Aluminum Alkoxide Macroinitiators. Kinetics and Mechanism, Macromolecules、33巻(20号)、7395〜7403頁。[22];Jung、Y. S.およびRoss、C. A.(2007年)Orientation−Controlled Self− Assembled Nanolithography Using a Polystyrene−Polydimethylsiloxane Block Copolymer、Nano Lett.7巻(7号)、2046〜2050頁。[23];Ku、S. J.ら(2011年)Nanoporous hard etch masks using silicon−containing block copolymer thin films, Polymer、52巻(1号)、86〜90頁。[24]。
【0053】
ケイ素含有コポリマーを使用して表面上に「ナノ構造」または制御された配向性を有する「物理的フィーチャー」を作ることが望まれる。これらの物理的なフィーチャーは形状および厚さを有する。例えば、ブロックコポリマーの構成成分により、垂直のラメラ、面内シリンダー、および垂直シリンダーなどの様々な構造を形成することができ、これらは膜厚、表面処理、およびブロックの化学的特性に依存し得る。好ましい実施形態では、前記シリンダー状構造は、第1の膜の面に対して実質的に垂直に整列している。ナノメートルレベルでの領域またはドメイン(すなわち「マイクロドメイン」または「ナノドメイン」)の中の構造の配向性はほぼ均一に制御することができ、これらの構造の空間的な配置も制御することができる。例えば、一実施形態では、ナノ構造のドメインスペーシングはほぼ50nm以下である。別の好ましい実施形態では、前記ナノ構造は、球または球状の形状である。本明細書中に記載されている方法は、所望のサイズ、形状、配向性、および周期性を有する構造を生成することができる。その後、一実施形態では、これらの構造は、エッチングしてもよいし、さもなければさらに処置してもよい。
【0054】
利点/特別な特徴
本発明は、現在の技術を超えた利点を提供する。1)小さなブロックコポリマーフィーチャーサイズが達成できる(高い相互作用パラメーター値);2)良好なエッチングコントラスト(酸素エッチングにおいて、ポリ乳酸はすばやくエッチングされるのに対して、ケイ素含有ブロックはゆっくりとエッチングされる);3)簡単な合成プロセス、4)両ブロックが高いガラス転移温度を有する(室温で固体);5)コポリマーのブロック間の良好な溶媒選択性;および6)ポリ乳酸材料は、自然由来のモノマーから生じる。
【0055】
ブロックコポリマーを使用することによって、表面上に「ナノ構造」、または制御された配向性を有する「物理的フィーチャー」を作ることが望まれている。これらの物理的なフィーチャーは形状および厚さを有する。様々な構造は、例えば、ブロックコポリマーの構成成分、例えば、垂直のラメラ、面内シリンダー、および垂直のシリンダーなどにより形成することができ、ブロックの膜厚、表面処理、および化学的特性に依存し得る。好ましい実施形態では、前記シリンダー状構造は、第1の膜の面に対して実質的に垂直に整列している。ナノメートルレベルでの領域またはドメイン(すなわち「マイクロドメイン」または「ナノドメイン」)の中の構造の配向性はほぼ均一に制御することができ、これらの構造の空間的な配置も制御することができる。例えば、一実施形態では、ナノ構造のドメインスペーシングはほぼ50nm以下である。好ましい実施形態では、前記シリンダー状構造は、ポリマートップコートの蒸着により制御され、アニーリングプロセスにより整列する。本明細書中に記載されている方法は、所望のサイズ、形状、配向性、および周期性を有する構造を生成することができる。その後、一実施形態では、これらの構造は、エッチングしてもよいし、さもなければさらに処置してもよい。
【0056】
用途:
ポリ乳酸/ケイ素含有ブロックコポリマーは、ナノスケールリソグラフィックパターニングにおけるフィーチャー−サイズの制限を克服するために有望な用途を有する。ブロックコポリマーパターニングが現在の半導体プロセシングに対して適合性があることから、ブロックコポリマーを用いたナノスケールリソグラフィは、この問題の潜在的に実行可能な解決策となる。
【0057】
PTMSS−b−PLAの合成
PTMSS−b−PLAブロックコポリマーを、アニオン重合および開環重合の組合せを介して合成した。ヒドロキシル官能化ポリスチレンに対して定着した方法でPTMSSOHを合成し、トリエチルアルミニウムと反応させることによって、アルミニウムアルコキシドマクロ開始剤を形成し、続いてラクチドの開環を行った。ポリ(スチレン−b−ラクチド)(PS−b−PLA)はこの方法を使用して事前に合成しておいた。この作業に使用された反応条件は、ラクチドの開環に対して実施した以前の動態実験に基づいて選んだ。このポリマーに対する反応メカニズムが
図2に示されている。この実験で合成したポリマーの特性が表1に報告されている。
【0058】
この作業で合成したポリマーの形態およびフィーチャー寸法を求めるため、X線小角散乱(SAXS)実験を塊状試料に対して実施した。より高次元のピークを第一次のピーク(q
*)に近似させることでポリマーの形態を求めた。ドメインスペーシングをq
*の位置で定義し、d=2π/q
*として計算した。この実験で調べたポリマーに対するSAXSプロファイルは、
図4に示されている。
【0059】
PTMSS−b−PLAの薄膜配向性
PTMSS−b−PLAブロックコポリマーの薄膜の自己集合性挙動を調査するため、ポリマー膜を、天然酸化物層を有するシリコンウェハー上にスピンコーティングした。鋳放しのポリマー膜は、
図5aに示されているAFM相画像で表されている。試料を、ブロックコポリマーの両ブロックのガラス転移温度よりも上の温度である120℃で2時間熱的アニーリングした後、シリンダー状ドメインが、
図5bに示されているように基材に平行して配向した。
【0060】
溶媒アニーリング技術を採用することによって、シリンダードメインの垂直配向性を達成した。試料は、シクロヘキサン蒸気下で数回溶媒アニーリングした。
図6aは、2時間のアニーリング後の平行したブロックコポリマー配向性を示している。
図6bおよび
図6cは、試料をそれぞれ4時間および23時間アニーリングした後の垂直の配向性を示している。
【0061】
溶媒アニーリング技術も採用することによって、ラメラ形成試料の垂直の配向性を達成した。
図7aは、鋳放しとしての薄膜中のラメラ形成試料を示し、
図7bは、シクロヘキサン蒸気下で4時間溶媒アニーリングした後の同じ試料を示す。指紋パターンは、基材に垂直に整列しているラメラ状試料を表すものである。
【0062】
PLA除去およびエッチングコントラスト
ブロックコポリマー膜を溶媒アニーリングによって整列させた後、材料のエッチング特徴を調べた。酸素エッチングを使用することによって、有機物(PLA)ドメインが除去され、一方でケイ素含有ドメインが残った。
図8は、溶媒アニーリング後ではあるが、エッチング前、次いでエッチング後のシリンダー形成試料のAFM高さ画像を示す。エッチング前の画像では、円形のPLAドメインはより明るく、したがって試料からより高く突き出ている。エッチング後、PLAドメインは暗く見え、これはPLAドメインがPTMSSドメインより低いことを意味する。これは、エッチング中のPLAドメインの除去を示している。
【0063】
シリンダーを形成するPTMSS−b−PLAのAFM相画像には、エッチング後、高さ画像と同様の変換が生じている。相画像は、ブロックコポリマードメインの弾性率を表すもので、
図9に示されているように、エッチング後同様の反転が生じている。
【0064】
エッチング前のブロックコポリマーを架橋することで、材料強度を増加させて、自己集合したナノ構造が、エッチング後もこれらの形状を保持することを確実にする。エッチングプロセス中の材料の除去は、ナノ構造が力学的に強力でない場合、ナノ構造を損傷する可能性がある。ブロックコポリマーにおける架橋は、ナノ構造をさらに力学的に強力にすることができる。ポリマー構造内に架橋官能基を組み込むことは、ブロックコポリマーのドメインの1つがドライエッチングに対して高い耐性を有する場合にのみ有用となる。これは、10重量%超の元素ケイ素をブロックの1つに組み込むことによってかなり簡単に達成される。一実施形態では、このようなケイ素含有ブロックコポリマーは、本明細書中に参照により組み込まれている「Silicon−Containing Block Co−Polymers, Methods for Synthesis and Use」という表題の特許出願US61315235/2010年3月18日[25]および2011年3月17日出願のPCT/US11/28867[26]に記載されている。不応性オキシドを形成する他の元素は、同様の方式で機能することができる。本発明が特定のケイ素含有モノマーまたはコポリマーに制限されることは意図されていない。例示的モノマーは
図1に示されている。
【0065】
こうして、ナノリソグラフィのためのポリ乳酸/ケイ素含有ブロックコポリマーの、特定の組成物および方法が開示されている。しかし、当業者には、本明細書中の本発明の概念から逸脱することなく、すでに記載されているものに加えて、さらに多くの変化形が可能であることが明らかなはずである。したがって、開示の趣旨によるものを除いて、本発明の主題は制限されないものとする。さらに、開示の解釈において、すべての用語は、状況に従い、可能な限り幅広い方式で解釈されるべきである。特に、「含む」および「含んでいる」という用語は、非排他的な方式で要素、構成成分、またはステップを言及しているとして解釈されるべきであり、参照された要素、構成成分、またはステップは、明示的に参照されていない他の要素、構成成分、またはステップと共に存在してもよく、利用されてもよく、または組み合わされてもよいことを示唆している。
【0066】
本明細書中に記述されているすべての公報は、本明細書に参照により組み込まれることによって、これらに関連して公報が引用されている方法および/または材料を開示および記載している。本明細書中で考察された公報は、本出願の出願期日前に、これらの開示のためだけに提供されている。本明細書中のいかなるものも、本発明が、以前の発明によってこのような公報に先行する権利を有さないという承認として解釈されるものではない。さらに、提供された公開日は、実際の公開日と異なることもあり、これは、独立して確認する必要があり得る。
【実施例】
【0067】
材料
すべての試薬は、特に明示されていない限り、未処理のまま使用した。シクロヘキサンを活性化したアルミナカラムに通すことにより、および担持された銅触媒を通すことにより精製した。トリメチルシリルスチレン(TMSS)を以前に報告したように合成し、ジブチルマグネシウム上で2回蒸留した。エチレンオキシドを塩化ブチルマグネシウム上で2回蒸留した。D,Lラクチド(Alfa Aesar)を、酢酸エチルからの再結晶化により精製し、真空中で乾燥させ、ドライボックス内に保存した。トルエンおよびイソプロパノールを水素化カルシウム上で1回蒸留し、ドライボックス内に保存した。溶媒アニーリング用シクロヘキサンは、未処理のまま使用した。
【0068】
(実施例1)
ヒドロキシル末端ポリ(トリメチルシリルスチレン)(PTMSSOH)の合成
以前に報告したように、Ar雰囲気下で、標準的なシュレンク技術を介してアニオン重合によりPTMSSOHを合成した。Ar雰囲気下で、適当な量のsec−ブチルリチウムを、精製したシクロヘキサンに滴加し、40℃で10分間撹拌した。数滴のTMSSを加えることによって、重合をシードし、15分間反応させた。この後、残存するTMSSを滴加した。溶液を一晩反応させた。精製したエチレンオキシドを加え、一晩反応させることによって、ポリマーをヒドロキシル官能基でエンドキャップした。この後、脱気したメタノールを加えることによって、リビングアニオンをクエンチした。ポリマーをメタノール中に沈殿させ、真空中で乾燥させた。
【0069】
(実施例2)
ポリ(トリメチルシリルスチレン−b−ラクチド)(PTMSS−b−PLA)の合成
乾燥トルエンを使用してドライボックス内でラクチド重合を実施した。1モルのトリエチルアルミニウム(AlEt3)溶液(1.1M)をトルエン中PTMSSOH(PTMSSOH1モル当たり)に滴加することによって、アルミニウムアルコキシドマクロ開始剤を形成した。この溶液を2時間撹拌後、D,Lラクチドを加え、フラスコに蓋をし、ドライボックスから出し、90℃の油浴に浸し、6時間撹拌した。この後、1mLの1N HCLで反応をクエンチし、50:50メタノール:水混合物中に沈殿させた。ポリマーを濾過し、真空下で乾燥させた。ブロックコポリマーのPDIをGPCで求め、PLAブロックの分子量を
1H NMRで求めた。反応は
図2に概略的に示されている。
【0070】
(実施例3)
ポリ乳酸(PLA)ホモポリマーの合成
PTMSS−b−PLAと同じ手順を使用してPLAホモポリマーを合成したが、ただし、
図3に示されているように、PTMSSOHマクロ開始剤の代わりに、開始剤として乾燥イソプロパノールを使用した。
【0071】
(参考文献)
【0072】
【数1】
【0073】
【数2】
【0074】
【数3】
【0075】
【表1】