特許第6228935号(P6228935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228935前側挿入式構造を有する薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228935
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】前側挿入式構造を有する薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20171030BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
   A61M5/24 500
   A61M5/315 550N
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-558047(P2014-558047)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-507982(P2015-507982A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013051452
(87)【国際公開番号】WO2013124118
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】12156902.4
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/604,883
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12164439.7
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/636,768
(32)【優先日】2012年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ソーレンセン, モーデン
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−536300(JP,A)
【文献】 特表2009−529395(JP,A)
【文献】 米国特許第04990142(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ(180)を受容し、それを取り付け位置に保持するべく適合された薬物送達デバイス(100)であって、
前記カートリッジは、円筒形本体部分、遠位出口部分、及び軸線方向変位可能ピストンを備え、
前記薬物送達デバイスは、
ハウジング(121)と、
放出アセンブリであって、
取り付けられたカートリッジのピストンに係合し、それを遠位方向に軸線方向変位させることによって、前記カートリッジから1回分の投与量の薬物を放出させるべく適合されたピストンロッド(128)と、
設定された投与量に対応して前記遠位方向に前記ピストンロッドを動かすべく適合された駆動アセンブリとを備える、放出アセンブリと、
中心軸を有し、かつカートリッジを受容してそれを取り付け状態に保持するべく適合された前側挿入式カートリッジホルダアセンブリ(110)であって、
(i)カートリッジが近位方向に受容され得る受容状態と、
(ii)受容されたカートリッジが動作可能な取り付け位置に保持される保持状態との間を作動可能なカートリッジ保持手段(140)と、
装填状態と動作可能状態との間で前記ハウジングに対して回転方向に作動可能なユーザ操作式作動スリーブ(170)とを備える、前側挿入式カートリッジホルダアセンブリとを備え、
前記作動スリーブが前記装填状態から前記動作可能状態に作動されたとき、前記カートリッジ保持手段は、前記受容状態から前記保持状態に作動され、
前記作動スリーブは、取り付けられたカートリッジの少なくとも一部分を外囲し、前記作動スリーブは、外囲されたカートリッジの部分の少なくとも一部分を視覚により検査可能にする検査手段を備える、薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記カートリッジ保持手段は1つ又は複数の遠位把持部分(145)を備え、前記遠位把持部分(145)は、カートリッジを受容し得る前記受容状態からカートリッジを保持する前記保持状態に前記カートリッジ保持手段が作動されたときには、前記中心軸に向かって動き、カートリッジを保持する前記保持状態からカートリッジを受容し得る前記受容状態に前記カートリッジ保持手段が作動されたときには、前記中心軸から離れる向きに動く、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記カートリッジ保持手段が、それぞれ前記遠位把持部分(145)の1つを有する1つ又は複数のロッキングアーム(144)を備え、
各ロッキングアームは、前記カートリッジ保持手段が前記受容状態から前記保持状態に作動されたとき近位側に動き、
各ロッキングアームは、前記カートリッジ保持手段が前記保持状態から前記受容状態に作動されたとき遠位側に動く、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記作動スリーブ(170)及び前記ロッキングアーム(144)は、
各ロッキングアームが、そのロッキングアームが前記受容状態に対応する遠位側に動かされたときに横方向に動かされ、横方向受容位置に保持され、かつ
各ロッキングアームが、そのロッキングアームが前記動作可能状態に対応する近位側に動かされたときに中心方向に動かされ、中心保持位置に保持されるように、
相互に動作可能に結合される、請求項3に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つのロッキングアーム(144)が、1つ又は複数の開口(141)を有するか、又は少なくとも部分的に透明である、請求項3若しくは4に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記作動スリーブ(170)が、1つ又は複数の開口(171)を有するか、又は少なくとも部分的に透明であり、それによって前記検査手段を提供している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記カートリッジ保持手段(140)は、前記作動スリーブ(170)とともに回転可能なように前記作動スリーブ(170)に結合される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記作動スリーブ(170)が、前記動作可能状態にある前記カートリッジ保持手段の前記遠位部分(145)を外囲する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記放出アセンブリが、(i)前記ピストンロッドが近位側に動かされ得るリセット状態と、(ii)前記駆動アセンブリが前記ピストンロッドを遠位側に駆動し得るが、前記ピストンロッドが近位側には動かされ得ない動作可能状態との間で作動可能な結合機構(129)を更に備え、
前記作動スリーブが前記装填状態から前記動作可能状態に作動されたとき、前記結合が、前記リセット状態から前記動作可能状態に作動される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記作動スリーブが、装填状態から中間状態を介して動作可能状態に作動可能であり、
(i)前記作動スリーブが前記装填状態から前記中間状態に作動されるとき、前記カートリッジ保持手段が前記受容状態から前記保持状態に作動され、
(ii)前記作動スリーブが前記中間状態から前記動作可能状態に作動されるとき、前記結合が前記リセット状態から前記動作可能状態に作動される、請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
円筒形本体部分、遠位出口部分、及び軸線方向変位可能ピストンを備えるカートリッジ(180)と組み合わせてなる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の薬物送達デバイスであって、
前記カートリッジが、前記カートリッジホルダアセンブリ(110)の取り付け位置に受容され、保持されるように適合されている、薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記作動スリーブが、取り付けられたカートリッジの長さの少なくとも50%を軸線方向に外囲する、請求項10に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
薬物送達システムの操作方法であって、
(i)対向する遠位部分と近位部分とを有する円筒形本体部分、遠位出口部分、及び軸線方向変位可能ピストンを備えるカートリッジを準備するステップと、
(ii)薬物送達デバイスであって、
前記カートリッジを近位側に軸線方向に受容して、前記カートリッジを装填位置に保持するべく適合され、受容状態と保持状態との間で作動可能な前側挿入式カートリッジ保持手段と、
検査手段を備える作動スリーブと、
装填されたカートリッジの前記ピストンに係合し、軸線方向変位させるべく適合された放出アセンブリとを備える、薬物送達デバイスを準備するステップと、
(iii)前記作動スリーブが、前記カートリッジの長さの少なくとも50%を軸線向に外囲するように、前記カートリッジ保持手段にカートリッジを挿入するステップと、
(iv)前記カートリッジ保持手段を前記受容状態から前記保持状態に作動させるべく前記作動スリーブを回転させるステップとを含む、薬物送達システムの操作方法。
【請求項14】
(v)前記作動スリーブの検査手段によって、挿入された前記カートリッジを検査するステップを更に含む、請求項13に記載の薬物送達システムの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、薬物を充填されたカートリッジを受容して一回分の投与量をそこから放出させるべく適合された薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、大半は糖尿病の処置について述べられているが、これは本発明の例示的な用途に過ぎない。
【0003】
薬物充填カートリッジを受容して一回分の投与量をそこから放出させるべく適合された注射器デバイスの最も一般的なタイプは、全体にペン形状であり、デバイスにカートリッジを受容して取り付けるべく適合されたいわゆるカートリッジホルダを利用している。それに対応して、大半のペン形状の薬物送達デバイスは、近位側に向いた軸線方向変位可能ピストンを備えた概ね円筒形の薬物充填カートリッジを受容して取り付け位置に保持するための概ね円筒形のカートリッジホルダと、取り付けられたカートリッジのピストンに係合し、それによってカートリッジから1回分の投与量の薬物を放出させるべく適合された軸線方向変位可能ピストンロッドを備える薬物放出機構が内部に配置されたハウジングを有する主本体部とを備える。カートリッジホルダと主本体部との間には結合手段が設けられ、これによりユーザが主本体部からカートリッジホルダを取り外して、使用されたカートリッジが新しいカートリッジに交換されたときにそれを再取り付けすることが可能となる。カートリッジは、殆どの場合、近位側開口を通しての軸線方向移動によってカートリッジホルダに挿入される。例えば、WO2011/124631、EP0 937 474及びWO2011/092326を参照されたい。結合手段は、ネジ山が設けられた結合部、又はバヨネット式の連結部の形態であり得る。薬物送達デバイスの設計に応じて、ピストンロッドは、空のカートリッジが充填カートリッジに交換されるときに、回転することによって近位側に動かされ(即ち「リセット」され)なければならないか、又はピストンロッドは、カートリッジホルダが主本体部から取り外されるときに、軸線方向に押されることによって、例えばピストンロッドをロック解除することによってリセットされ得る。これは、例えばUS2009/0275914及びWO2011/051366に開示されている。
【0004】
或いは、薬物送達デバイスは、遠位開口を通してカートリッジを軸線方向に受容するべく適合された一体型の(即ちユーザ取り外し不可能型の)カートリッジホルダを備え得る。そのようなデバイスは、「前側挿入式」と呼ばれることが多く、例えばWO2004/020026を参照されたい。カートリッジホルダは、軸線方向に挿入されたカートリッジを保持及び解除するべく適合された把持手段を備え得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の点に鑑みて、本発明の目的は、単純で効率的な方式で薬物充填カートリッジを受容するべく適合された薬物送達デバイスであって、費用効率が良好であるとともに、高いレベルの使いやすさと信頼性とを有する構成のものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の開示では、上述の目的の1つ又は複数に取り組むか、又は以下の開示内容及び例示的な実施形態の説明から明らかとなる目的に取り組む、実施形態及び態様について述べる。
【0007】
したがって、本発明の第1の態様によれば、円筒形本体部分、遠位出口部分、及び軸線方向変位可能ピストンを備えるカートリッジを受容し、それを取り付け位置に保持するべく適合された薬物送達が提供される。前記薬物送達デバイスは、ハウジングと、放出アセンブリであって、取り付けられたカートリッジのピストンに係合し、それを遠位方向に軸線方向変位させることによって、前記カートリッジから1回分の投与量の薬物を放出させるべく適合されたピストンロッドと、設定された投与量に対応して前記遠位方向に前記ピストンロッドを動かすべく適合された駆動アセンブリとを備える放出アセンブリとを備える。前記薬物送達デバイスは、中心軸を有し、かつカートリッジを受容してそれを取り付け状態に保持するべく適合された前側挿入式カートリッジホルダアセンブリを更に備え、前記アセンブリは、カートリッジが近位方向に受容され得る受容状態と、受容されたカートリッジが動作可能な取り付け位置に保持される保持状態との間を作動可能なカートリッジ保持手段と、装填状態と動作可能状態との間で前記ハウジングに対して回転方向に作動可能なユーザ操作式作動スリーブとを備え、前記作動スリーブが前記装填状態から前記動作可能状態に作動されたとき、前記カートリッジホルダは、前記受容状態から前記保持状態に作動される。前記作動スリーブは、取り付けられたカートリッジの少なくとも一部分を外囲する(又は、別の表現では、カートリッジを受容し、保持するべく適合された空間の少なくとも一部分を外囲する)べく構成され、前記作動スリーブは、外囲されたカートリッジの部分の少なくとも一部分を視覚により検査可能にする検査手段を備える。このようにして、使いやすい前側挿入式薬物送達デバイスを提供することができる。その前側挿入式薬物送達デバイスは、従来の後側挿入式デバイスのような外観を有し得、カートリッジの取り付け及び取り外しのため、回転する動きによって作動されることもできる。外観が類似しているために、従来型の後側挿入式薬物送達デバイスに慣れたユーザが受け入れ、適応することが容易となる。例示的な実施形態では、作動スリーブが、動作可能状態においてカートリッジ保持手段の遠位部分を外囲する。
【0008】
前記カートリッジ保持手段は、前記カートリッジ保持手段が前記受容状態から前記保持状態に作動されたとき前記中心軸に向かって動き、前記カートリッジ保持手段が前記保持状態から前記受容状態に作動されたとき前記中心軸から離れる向きに動く、1つ又は複数の遠位把持部分、例えば2つの対向する部分を備え得る。
【0009】
例示的な実施形態では、前記カートリッジ保持手段が、それぞれ前記遠位把持部分の1つを有する1つ又は複数のロッキングアーム、例えば2つの対向するロッキングアームを備え、これにより、各ロッキングアームは、前記カートリッジホルダが前記受容状態から前記保持状態に作動されたとき近位側に動き、各ロッキングアームは、前記カートリッジホルダが前記保持状態から前記受容状態に作動されたとき遠位側に動くように構成することができる。前記作動スリーブ及び前記ロッキングアームは、各ロッキングアームが、そのロッキングアームが前記受容状態に対応する遠位側に動かされたときに横方向に動かされ、横方向受容位置に保持され、かつ各ロッキングアームが、そのロッキングアームが前記動作可能状態に対応する近位側に動かされたときに中心方向に動かされ、中心保持位置に保持されるように、相互に動作可能に結合され得る。
【0010】
カートリッジ保持手段の所与の設計に応じて、ある特定のロッキングアームは、1つ又は複数の開口を有するか、又は少なくとも部分的に透明であり得る。それに対応して、前記作動スリーブは、1つ又は複数の開口を有するか、又は少なくとも部分的に透明であり、それによって前記検査手段を提供し得る。
【0011】
例示的な実施形態では、前記カートリッジ保持手段は、前記作動手段に回転可能に結合され、回転可能にロックされるか又は伝動機構を提供する。前記カートリッジ保持手段及び前記作動スリーブが相互に回転可能にロックされる場合には、前記カートリッジ保持手段及び前記作動スリーブが、前記作動スリーブが回転されるとき相互に位置を合わせて動く検査開口を備え得る。
【0012】
前記放出アセンブリは、前記ピストンロッドが近位側に動かされ得るリセット状態と、前記駆動アセンブリが前記ピストンロッドを遠位側に駆動し得るが、前記ピストンロッドが近位側には動かされ得ない動作可能状態との間で作動可能な結合機構を更に備えてよく、前記作動スリーブが前記装填状態から前記動作可能状態に作動されたとき、前記結合が、前記リセット状態から前記動作可能状態に作動される。そのような構成では、前記作動スリーブが、装填状態から中間状態を介して動作可能状態に作動可能であってよく、この場合、前記作動スリーブが前記装填状態から前記中間状態に作動されるとき、前記カートリッジホルダが前記受容状態から前記保持状態に作動され、前記作動スリーブが前記中間状態から前記動作可能状態に作動されるとき、前記結合が前記リセット状態から前記動作可能状態に作動される。
【0013】
いずれの上述の薬物送達デバイスも、円筒形本体部分、遠位出口部分、及び軸線方向変位可能ピストンを備え、前記カートリッジホルダアセンブリの取り付け位置に受容され、保持されるように適合されたカートリッジと組み合わせて提供され得る。前記作動スリーブが、取り付けられたカートリッジの長さの少なくとも50%、例えば75%又は90%を軸線方向に外囲(又は、別の表現では、カートリッジを受容し、保持するべく適合された空間の長さの少なくとも50%を外囲)し得る。カートリッジの最も近位側の部分はハウジングの遠位部分、即ち作動スリーブの近位側に受容され得、かつカートリッジの最も遠位側の部分は、通常はカートリッジ保持アセンブリから突出する遠位出口部分の形態であるので、作動スリーブは、通常はカートリッジの全長さを外囲することはない。
【0014】
それに対応して、本発明の第2の態様では、円筒形本体部分、遠位出口部分、及び軸線方向変位可能ピストンを備えるカートリッジを受容し、取り付け位置に保持するべく適合された薬物送達デバイスが提供される。前記薬物送達デバイスには、放出アセンブリと、カートリッジを受容し、取り付け状態に保持するべく適合された前側挿入式カートリッジホルダアセンブリとを備える主要部分が含まれる。前記カートリッジホルダアセンブリは、カートリッジが近位方向に受容され得る受容状態と、受容されたカートリッジが動作可能な取り付け位置に保持される保持状態との間を作動可能なカートリッジ保持手段とともに、装填状態と動作可能状態との間で前記主要部分に対して回転方向に作動可能なユーザ操作式作動部材を備え、前記作動部材が前記装填状態から前記動作可能状態に作動されたとき、前記カートリッジ保持手段は、前記受容状態から前記保持状態に作動され、かつ前記作動部材は、取り付けられたカートリッジの円筒形本体部分を実質的に外囲する。取り付けられたカートリッジの視覚による検査を可能にするために、前記作動スリーブは、外囲されたカートリッジの部分の少なくとも一部分を視覚により検査可能にする検査手段を備え得る。加えて、第2の態様による薬物送達は、上述した更なる特徴を含み得る。
【0015】
更なる態様では、薬物送達システムの操作方法であって、(i)対向する遠位部分と近位部分とを有する円筒形本体部分、遠位出口部分、及び軸線方向変位可能ピストンを備えるカートリッジを準備するステップと、(ii)薬物送達デバイスであって、前記カートリッジを近位側に軸線方向に受容して、前記カートリッジを装填位置に保持するべく適合され、受容状態と保持状態との間で作動可能な前側挿入式カートリッジホルダと、検査手段を備える作動スリーブと、装填されたカートリッジの前記ピストンに係合し、軸線方向変位させるべく適合された放出アセンブリとを備える、薬物送達デバイスを準備するステップと、(iii)前記作動スリーブが、前記カートリッジの長さの少なくとも50%を軸線方向に外囲するように、前記カートリッジホルダにカートリッジを挿入するステップと、(iv)前記カートリッジホルダを前記受容状態から前記保持状態に作動させるべく前記作動スリーブを回転させるステップとを含む方法が提供される。前記方法は、前記作動スリーブの検査手段によって、挿入された前記カートリッジを検査する更なるステップを含み得る。別法では、前記方法に従って提供される薬物送達は、上述した更なる特徴も含み得る。
【0016】
本明細書において用いられるとき、用語「薬物」は、液体、溶液、ゲル、又は微粒子懸濁液等のようにカニューレ又は中空ニードル等の送達手段を通して制御された形で流通可能で、かつ1つ又は複数の種類の薬剤を含む、あらゆる流動性の医薬製剤を包含する意味である。前記薬物は、1種類の薬物化合物、又は1つのリザーバからの予め混合済みの即ち同時調剤された複数の薬物化合物の薬剤であり得る。代表的な薬物としては、ペプチド(例えば、インスリン、インスリン含有薬、GLP−1含有薬並びにその誘導体)、タンパク質、及びホルモン、生物学的に誘導された又は活性の薬剤、ホルモン及び遺伝子をベースにした薬剤、栄養調合物、及び固体状(調剤されたもの)又は液体状の両方の他の物質等である調剤が挙げられる。例示的な実施形態の説明では、インスリン及びGLP−1含有薬の使用について述べる。この薬物は、その類似体、並びに1つ又は複数の他の薬物との組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1A及び図1Bは、それぞれ取り付けられる薬物カートリッジのない状態の前側挿入式薬物送達デバイスを示す図である。
図2図2A及び図2Bは、それぞれ開かれた状態及び閉じられた状態にある図1Aのカートリッジホルダの詳細図である。
図3図3は、図2Aのカートリッジホルダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を更に説明する。図面において、類似の構造は、類似の参照番号によって概ね特定されている。
【0019】
「上」及び「下」、「右」及び「左」、「水平」及び「垂直」等の用語や、類似の相対的な表現が用いられるときには、これらは、添付の図面について述べているに過ぎず、実際の使用状況について述べたものではない。添付の図面は概略的な表現であって、そのため、異なる構造の構成とそれらの相対的な寸法が説明の目的のみに供されるものである。
【0020】
図1を参照すると、ペン形状の薬物送達デバイス100が記載されている。より具体的には、ペン型デバイスは、キャップ部(図示せず)と主要部とを備え、主要部は、ハウジング121を備えた近位側本体部又は駆動アセンブリ部分120と、遠位側カートリッジホルダ部分とを有する。ハウジング121内には、薬物放出機構が配置されるか、又は一体的に設けられ、遠位カートリッジホルダ部分内では、遠位側にニードルが貫通可能な隔膜181を備え、薬物が充填された透明なカートリッジ180が配置され、近位部分に取り付けられたカートリッジホルダアセンブリ110により所定位置に保持される。カートリッジは、例えば、インスリン、GLP−1、又は成長ホルモン製剤を含み得る。そのデバイスは、新たなカートリッジがユーザにより、カートリッジホルダアセンブリの遠位側の受容開口を通して装填されるように設計されている。カートリッジはピストンロッド128によって駆動されるピストンを備えており、これは放出機構の一部を形成する。最も近位側の回転可能な投与量リング部材125は、表示ウィンドウ126に示された、後で解除ボタン127が作動されたときに放出され得る薬物の所望の一回の投与量を手で設定するために用いられるものである。薬物送達デバイスに具現化された放出機構のタイプによっては、放出機構は、投与量設定時に蓄勢され、解除ボタンが作動されたときピストンロッドを駆動するべく放勢されるバネを備え得る。或いは、放出機構は完全に手動式のものであり得、この場合には、投与量設定時には、投与量リング部材及び解除ボタンは、設定された投与量サイズに対応して近位側に動き、次に、設定された投与量を放出させるべくユーザによって遠位側に動かされる。カートリッジは、ニードルハブマウント182の形態である遠位側結合手段を備えており、このニードルハブマウント182は、図示された実施例では、対応するニードルアセンブリのハブの内部のネジ山に係合するべく適合された外部ネジ山185を有する。代替的実施形態では、ネジ山は、他の結合手段、例えばバヨネット式連結部と組み合わせるか、それに置き換えることができる。図示された例示的なハブマウントは、多数の遠位側に向いた点状の突起を備えた周方向フランジを更に備えており、この突起は、後により詳細に説明するように、カートリッジホルダアセンブリの結合手段としての役目を果たす。図示したタイプのハブマウントは、米国特許5,693,027号に記載されている。
【0021】
図に示すように、カートリッジホルダアセンブリ110は、例えばネジ山付き結合部又はバヨネット式連結部によってハウジングに着脱自在に結合され、新たなカートリッジを受容可能であるとともに近位開口を通して取り外し可能な従来型のカートリッジホルダと、全体として同じ外観を有しており、即ち追加のユーザ操作式の解除又はロック手段は備えていない。代わりに、カートリッジホルダ自体にしか見えない部分は、実際には、外部の回転可能な管部材170の形態のユーザ操作式結合手段であって、これは、内部把持部材140(図2A)の形態のカートリッジ保持手段の動きを制御することによって、カートリッジを把持及び保持するべく構成された把持肩部145を開閉するために、ユーザによって操作される。より具体的には、把持肩部145は、複数のギャップを提供するべく周方向に間隔をおいて配置された複数の把持歯149を備えており、各歯は、近位側に向いた点状の端部を有する三角形の形態を有し、それによって遠位側に向いた点状の形状を有する複数のギャップを形成する。これによって、上述したカートリッジ上の遠位側に向いた点状の突起が、歯149の間に受容され、カートリッジ保持手段が動かされてカートリッジに係合したとき、把持手段としての役目を果たすことが可能となる。このようにして、従来型の後側挿入式デバイスのような外観を有し、カートリッジの取り付け及び取り外しのため、回転する動きによって作動されることもできる、使いやすい前側挿入式薬物送達デバイスを提供することができる。外観が類似しているために、従来型の後側挿入式薬物送達デバイスに慣れたユーザが受け入れ、適応することが容易となる。
【0022】
所与の薬物送達デバイスの実際の設計に応じて、作動スリーブは、取り付けられたカートリッジの円筒形本体部分を完全に又は部分的に外囲し得る。又は、別の表現では、カートリッジを受容し、保持するべく適合された空間であって、最も近位側の位置にあるピストンロッドとカートリッジホルダアセンブリの遠位端の間の空間として画定され得る空間を完全に又は部分的に外囲し得る。それに対応して、作動スリーブは、外囲されたカートリッジの部分の少なくとも一部分を視覚により検査可能にする検査手段を備える。図に示す実施形態では、作動スリーブは、一対の対向した長さ方向に延びる開口171を備える。代替的に又は追加的に、作動スリーブが、少なくとも部分的に透明な材料から形成されていてもよい。作動されるカートリッジ保持手段の設計に応じて、開口及び/又は透明部分の形態の検査手段が設けられてもよい。以下の記載を参照されたい。
【0023】
新たなカートリッジを取り付ける時期になったときには、外側管部材を例えば15度回転させると、その作用によって把持肩部145が遠位側かつわずかに外向きに動き、これにより取り付けられたカートリッジが取り外し可能となる。操作を容易にするため、肩部が動かされるとき、カートリッジは、例えば把持肩部を形成するアームとの係合によって及び/又は遠位側向きの力による付勢を提供する追加のバネ手段によって、遠位側にある一定の距離だけ動かされてもよい。図1Bは、カートリッジが取り除かれたデバイスと、カートリッジを取り外しが可能となり新たなものを挿入可能となるロック解除された「開かれた」位置にある把持肩部とを示す。ロック及び作動機構の設計に応じて、把持肩部は、開かれた位置のままに維持されることが可能なものでも、又は外側管部材が戻りバネ手段によって逆に回転されたとき自動的に引っ込められるものでもよい。バネが設けられても設けられなくても、カートリッジホルダは、外側管部材を開かれた位置又は閉じられた位置に例えば回転可能なスナップロックによってしっかりと固定可能にするロック手段を備えていてもよい。
【0024】
上述のユーザインタフェースを提供する機械的構成、即ち外側管状スリーブ部材の回転により把持肩部を内外に動かす構成は、様々な方式で提供することができる。図に示す実施形態では、カートリッジ把持部材140は、近位リング部分142から延出する2つの対向する柔軟なアーム144を有し、これらのアームは外側管状スリーブ部材に対して軸線方向に案内されて摺動するように、したがって非回転可能に係合するように配置される。各アームは把持肩部145を備えている。この構成により、把持肩部は、外側管状スリーブ部材とともに回転することになり、従ってそれらが軸線方向に移動するときハウジング121に対して回転することになる。図に示す実施形態では、2つの互いに対向するウィンドウ141が、把持部材において各アームに1つ形成され、各ウィンドウは外側管状スリーブ部材に形成された対応するウィンドウ171と位置合わせされ、2対のウィンドウは回転方向に位置を合わせた状態で一緒に動く。別形態として、把持部材及び/又は外側管状スリーブ部材が、完全に又は部分的に透明な材料から形成されてもよい。各アームは、外側湾曲面147と一対の傾斜縁部分146とを有し、外側湾曲面147は、外側管状スリーブ部材170における対応して湾曲した遠位作動縁部177に係合するべく適合され、一対の傾斜縁部分146は、一対の、それに対応して傾斜した作動面176に係合するべく適合されている。この構成により、傾斜した作動面176が、傾斜縁部分146が遠位側に動かされて摺動して作動面に接触したときに、把持肩部を外向きに、それらの開かれた位置に強制することになる。それに対応して、アームが近位側に動かされたとき、外側湾曲面147は、作動縁部177に係合し、それによって内向きにそれらのロック位置に強制されることになる。
【0025】
図3は、図1及び図2に示す、カートリッジホルダアセンブリ及び駆動アセンブリ部分120の遠位部分の断面図である。上述のように、遠位側に把持肩部145を有する対向するアーム144を備えた内側の把持部材140は、外側管状スリーブ部材170の内部に収容される。外側スリーブ部材は、ハウジング121の遠位部分に部分的に配置され、近位側に周方向フランジ172を備えており、この周方向フランジはハウジングに形成された対応する周方向内側溝122に案内され、これによって外側部材がハウジングに対して回転可能となる。外側スリーブ部材は、2つの対向する近位側開口173を更に備えており、これによって把持部材に設けられた制御突出部143がハウジング部分に形成されたらせん溝123に係合可能となり、この係合によって、外側管状スリーブ部材が回転されたとき内側把持部材の軸線方向移動が制御される。ハウジング内に配置されたばね部材125は、取り付けられたカートリッジに対し遠位側方向の付勢力を与える。ハウジング部分は結合機構129を更に備えており、結合機構は、カートリッジホルダの回転作動によって制御されて、ピストンロッドと放出機構の駆動手段との間に係合をロック及びロック解除する。カートリッジホルダの回転により制御される結合機構を設けることにより、結合機構を、カートリッジが所定位置にロックされ、かつピストンロッド128がカートリッジのピストンと適切に接触した状態になった後に駆動されるように設計することが可能となり、このことによって、ピストンとピストンロッドとの間に空隙が形成されないこと、及びピストンが取り付け手順の間に弾性的に変形されないことが確実となる。
【0026】
図1の薬物送達デバイスは、1回又は複数回の放出された量の薬物に関する情報を検出、格納、及び表示するべく適合された電子的手段を備えていてもよく、その電子的手段は、例えば、Novo Nordisk製のNovoPen Echo(登録商標)におけるもののようなデバイスの近位端に一体化された、解除ボタンに配置されたディスプレイを備える電子的モジュールの形態のものであり得る。WO2010/052275を参照されたい。
【0027】
本発明の例示的な実施形態の説明では、全体形状がペン型の薬物送達デバイスが示されたが、薬物送達デバイスは、他の形状要素を有していてもよく、例えばNovo Nordisk製のInnovo(登録商標)デバイスのような箱状に形成されたものでもよく、また、モータ付きの放出機構を備えていてもよい。
【0028】
上記の例示的な実施形態の説明では、異なる構成部品のために上述の機能性を与える異なる構造及び手段について、本発明の概念が当業者の読者に明らかになる程度に説明してきた。異なる構成部品の構造及び仕様の詳細は、本明細書の記載内容に沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象の事項と考えられる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3