(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記刃物台に対して前記可動ブロックを外方へ付勢する付勢部材と、前記刃物台に対して前記第1支持軸による前記可動ブロックの外方への回動量を規制する規制部材とが設けられることを特徴とする請求項1に記載のスロッタヘッド。
前記第2支持軸を有するリンク部材が前記第1支持軸により前記刃物台に回動自在に支持され、前記可動ブロックは、前記第2支持軸により前記リンク部材に回動自在に支持されることを特徴とする請求項2に記載のスロッタヘッド。
前記刃物台と前記可動ブロックとの間に前記付勢部材が配置され、前記第2支持軸は、前記可動ブロックの支持孔に嵌合すると共に先端部が突出し、前記規制部材により外方への移動が規制されることを特徴とする請求項3に記載のスロッタヘッド。
前記第2支持軸は、先端部が前記刃物台の外周部に前記刃物台の径方向に沿って設けられた切欠ガイドに移動自在に支持されることを特徴とする請求項4に記載のスロッタヘッド。
リンク部材が前記第2支持軸により前記刃物台に回動自在に支持され、前記可動ブロックは、前記第1支持軸により前記リンク部材に回動自在に支持されることを特徴とする請求項2に記載のスロッタヘッド。
前記刃物台と前記可動ブロックとの間に前記付勢部材が配置され、前記可動ブロックに前記刃物台の周方向に向けて突出する第3支持軸が固定され、前記第3支持軸が前記規制部材に前記刃物台の径方向に沿って設けられた長孔ガイドに移動自在に嵌合支持されることで、前記可動ブロックの外方への移動が規制されることを特徴とする請求項6に記載のスロッタヘッド。
前記第1軸心は、前記第1切刃に平行をなす方向に位置し、前記第2軸心は、前記第1切刃に直交する方向に位置することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
前記刃物台に前記可動ブロックに対して前記刃物台の回転軸心方向に隣接して前記刃物台の周方向に沿う第2切刃が固定され、前記第2切刃は、一方の平面部に凹部が設けられ、前記第1切刃は、一端部が前記凹部に配置されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のスロッタヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スロッタヘッドが段ボールシートの一部を切断して溝や糊代片を形成するとき、段ボールシートの種類(厚さや素材など)に応じてスロッタヘッドと下刃との距離が適正距離となるように調整する必要がある。そのため、特許文献1のフラット部の切落し装置のように、ジョイントカッターを一方向に回動自在に支持しても、スロッタヘッドと下刃との距離が変更されると、ジョイントカッターの切断部と下刃の外周面との位置がずれてしまう。また、特許文献2の段ボール加工用切断刃の保持装置のように、切断刃を弾性支持すると、切断刃はいかなる方向へも揺動することとなり、切断刃の押圧力が強くなると、この切断刃が下刃の外周面に対して斜めに接触してしまうおそれがあり、糊代片を高精度に加工することが困難となる。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、接合片を高精度に加工することができるスロッタヘッド、スロッタ装置、製函機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のスロッタヘッドは、円板形状をなして回転自在に支持される刃物台と、前記刃物台の外周部に装着される可動ブロックと、前記可動ブロックに前記刃物台の回転軸心方向に沿うと共に周方向に所定角度だけ傾斜した方向に沿って固定される第1切刃と、前記可動ブロックを前記刃物台に前記刃物台の回転軸心方向に沿う第1軸心を中心として回動自在に支持する第1支持軸と、前記可動ブロックを前記刃物台に前記刃物台の周方向に沿う第2軸心を中心として回動自在に支持する第2支持軸と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
従って、刃物台の回転軸心方向に沿うと共に周方向に傾斜した方向に沿って第1切刃が固定された可動ブロックは、第1支持軸により刃物台の回転軸心方向に沿う第1軸心を中心として回動自在であり、第2支持軸により刃物台の周方向に沿う第2軸心を中心として回動自在である。そのため、第1切刃と対向する受側のスロッタヘッドの外周面との間にシートが搬送されると、第1切刃が交差する2方向に回動しながらシートを切断することとなり、第1切刃が受側のスロッタヘッドの外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して接合片を高精度に切断して加工することができる。また、シートの種類に応じて一対のスロッタヘッドの軸間距離を調整しても、第1切刃が交差する2方向に回動自在であることから、第1切刃を受側のスロッタヘッドの外周面に一様に接触させることができる。
【0010】
本発明のスロッタヘッドでは、前記刃物台に対して前記可動ブロックを外方へ付勢する付勢部材と、前記刃物台に対して前記第1支持軸による前記可動ブロックの外方への回動量を規制する規制部材とが設けられることを特徴としている。
【0011】
従って、可動ブロックが付勢部材により外方へ付勢され、且つ、規制部材により外方への回動量が規制されることで、第1切刃が規制部材により所定の突出位置に支持されることとなる。そのため、第1切刃は、シートを切断するとき、受側のスロッタヘッドの外周面に応じて付勢部材の付勢力に抗して後退しながら交差する2方向に回動することとなり、接合片を高精度に切断することができる。
【0012】
本発明のスロッタヘッドでは、前記第2支持軸を有するリンク部材が前記第1支持軸により前記刃物台に回動自在に支持され、前記可動ブロックは、前記第2支持軸により前記リンク部材に回動自在に支持されることを特徴としている。
【0013】
従って、リンク部材が第1支持軸により刃物台に支持され、可動ブロックが第2支持軸によりリンク部材に支持されることで、第1支持軸と第2支持軸と第1切刃を近接配置することができ、全体をコンパクトに構成することができる。
【0014】
本発明のスロッタヘッドでは、前記刃物台と前記可動ブロックとの間に前記付勢部材が配置され、前記第2支持軸は、前記可動ブロックの支持孔に嵌合すると共に先端部が突出し、前記規制部材により外方への移動が規制されることを特徴としている。
【0015】
従って、可動ブロックを貫通した第2支持軸の先端部を規制部材により支持することで、簡単な構成で可動ブロックの回動量を容易に規制することができる。
【0016】
本発明のスロッタヘッドでは、前記第2支持軸は、先端部が前記刃物台の外周部に前記刃物台の径方向に沿って設けられた切欠ガイドに移動自在に支持されることを特徴としている。
【0017】
従って、第2支持軸の先端部を切欠ガイドに支持させることで、可動ブロックの第1支持軸の軸心方向への移動が規制され、可動ブロックを高精度に回動させることができる。
【0018】
本発明のスロッタヘッドでは、リンク部材が前記第2支持軸により前記刃物台に回動自在に支持され、前記可動ブロックは、前記第1支持軸により前記リンク部材に回動自在に支持されることを特徴としている。
【0019】
従って、リンク部材が第2支持軸により刃物台に支持され、可動ブロックが第1支持軸によりリンク部材に支持されることで、構成を簡略化することができる。
【0020】
本発明のスロッタヘッドでは、前記刃物台と前記可動ブロックとの間に前記付勢部材が配置され、前記可動ブロックに前記刃物台の周方向に向けて突出する第3支持軸が固定され、前記第3支持軸が前記規制部材に前記刃物台の径方向に沿って設けられた長孔ガイドに移動自在に嵌合支持されることで、前記可動ブロックの外方への移動が規制されることを特徴としている。
【0021】
従って、可動ブロックから突出した第3支持軸を規制部材の長孔ガイドにより支持することで、簡単な構成で可動ブロックの回動量を容易に規制することができると共に、可動ブロックの第1支持軸の軸心方向への移動が規制され、可動ブロックを高精度に回動量させることができる。
【0022】
本発明のスロッタヘッドでは、前記第1軸心は、前記第1切刃に平行をなす方向に位置し、前記第2軸心は、前記第1切刃に直交する方向に位置することを特徴としている。
【0023】
従って、第1切刃は、その長手方向及び長手方向に直交する方向に回動することとなり、シートを高精度に切断することができる。
【0024】
本発明のスロッタヘッドでは、前記刃物台に前記可動ブロックに対して前記刃物台の回転軸心方向に隣接して前記刃物台の周方向に沿う第2切刃が固定され、前記第2切刃は、一方の平面部に凹部が設けられ、前記第1切刃は、一端部が前記凹部に配置されることを特徴としている。
【0025】
従って、第1切刃の端部が第2切刃の凹部に配置されることで、接合片の角部を高精度に切断することができる。
【0026】
また、本発明のスロッタ装置は、回転自在に支持される上回転軸及び下回転軸と、前記上回転軸及び前記下回転軸にそれぞれ固定されてシートの端部を切断する上スリッタヘッド及び下スリッタヘッドと、前記上回転軸及び前記下回転軸にそれぞれ固定されてシートの溝切り加工を行う溝切り加工用の上スロッタヘッド及び第1下スロッタヘッドと、前記上回転軸及び前記下回転軸にそれぞれ固定されてシートの接合片を加工する接合片加工用の上スロッタヘッド及び第2下スロッタヘッドと、を有し、前記接合片加工用の上スロッタヘッドとして前記スロッタヘッドが適用される、ことを特徴とするものである。
【0027】
従って、上スリッタヘッドがシートの端部を切断し、溝切り加工の上スロッタヘッドがシートの溝切り加工を行い、接合片加工用の第2上スロッタヘッドがシートの接合片を加工する。このとき、第1切刃が交差する2方向に回動しながらシートを切断することとなり、第1切刃が受側のスロッタヘッドの外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して接合片を高精度に切断して加工することができる。
【0028】
また、本発明の製函機は、シートを供給する給紙部と、前記シートに対して印刷を行う印刷部と、前記シートに対して表面に罫線加工を行うと共に溝切り加工を行う前記スロッタ装置を有する排紙部と、前記シートを折り畳んで端部を接合することで箱体を形成するフォルディング部と、前記箱体を計数しながら積み上げた後に所定数ごとに排出するカウンタエゼクタ部と、を有することを特徴とするものである。
【0029】
従って、給紙部からのシートに対して印刷部で印刷が行われ、排紙部で罫線加工と溝切り加工が行われ、フォルディング部で折り畳んで端部が接合されて箱体が形成され、カウンタエゼクタ部で箱体が計数されながら積み上げる。このとき、スロッタ装置は、シートの端部を切断し、シートの溝切り加工を行い、シートの接合片を加工し、スロッタヘッドは、第1切刃が交差する2方向に回動しながらシートを切断することとなり、第1切刃が受側のスロッタヘッドの外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して接合片を高精度に切断して加工することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のスロッタヘッド、スロッタ装置、製函機によれば、第1切刃が固定された可動ブロックを第1支持軸により刃物台の回転軸心方向に沿う第1軸心を中心として回動自在とすると共に、第2支持軸により刃物台の周方向に沿う第2軸心を中心として回動自在とするので、一対のスロッタヘッドの軸間距離を調整しても、第1切刃が受側のスロッタヘッドの外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して接合片を高精度に切断して加工することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るスロッタヘッド、スロッタ装置、製函機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の製函機を表す概略構成図である。
【0034】
第1実施形態において、
図1に示すように、製函機10は、段ボールシートSを加工することで段ボール箱(箱体)Bを製造するものである。この製函機10は、段ボールシートS及び段ボール箱Bを搬送する方向Dに直線状をなして配置された給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41、フォルディング部51、カウンタエゼクタ部61とから構成されている。
【0035】
給紙部11は、段ボールシートSを一枚ずつ送り出して一定の速度で印刷部21に送るものである。この給紙部11は、テーブル12と、前当て13と、供給ローラ14と、吸引装置15と、フィードロール16とを有している。テーブル12は、多数枚の段ボールシートSを積み重ねて載置可能であると共に、昇降可能に支持されている。前当て13は、テーブル12上に積み重ねられた段ボールシートSの前端位置を位置決めすることができ、下端部とテーブル12との間に1枚の段ボールシートSが通過可能な隙間が確保されている。供給ローラ14は、テーブル12に対応して段ボールシートSの搬送方向Dに複数配置されてなり、テーブル12が下降したときに、積み重ねられた多数枚の段ボールシートSのうちの最下位置にあるテーブル12を前方に送り出すことができる。吸引装置15は、積み重ねられた段ボールシートSを下方、つまり、テーブル12や供給ローラ14側に吸引するものである。フィードロール16は、供給ローラ14により送り出された段ボールシートSを印刷部21に供給することができる。
【0036】
印刷部21は、段ボールシートSの表面に多色刷り(本実施形態では、4色刷り)を行うものである。この印刷部21は、4つの印刷ユニット21A,21B,21C,21Dが直列をなして配置され、段ボールシートSの表面に4つのインキ色を使用して印刷を行うことができる。各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、ほぼ同様に構成され、印刷シリンダ22、インキ供給ロール(アニロックスロール)23、インキチャンバ24、受ロール25を有している。印刷シリンダ22は、その外周部に印版26が取付けられ、回転可能に設けられている。インキ供給ロール23は、印刷シリンダ22の近傍にて印版26に対接するように配置され、回転可能に設けられている。インキチャンバ24は、インキを蓄えるものであり、インキ供給ロール23の近傍に設けられている。受ロール25は、印刷シリンダ22との間で段ボールシートSを挟持することで、所定の印圧を付与しながら搬送するものであり、印刷シリンダ22の下方に対向して回転可能に設けられている。なお、図示しないが、各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dは、その前後に上下一対の送りロールが設けられている。
【0037】
排紙部31は、スロッタ装置を有し、段ボールシートSに対して、罫線加工を施すと共に溝切り加工を施すものである。この排紙部31は、第1罫線ロール32と、第2罫線ロール33と、スリッタヘッド34と、第1スロッタヘッド35と、第2スロッタヘッド36を有している。
【0038】
第1罫線ロール32は、円形状に形成され、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施形態では、4個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能となっている。第2罫線ロール33は、円形状に形成され、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施形態では、4個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能となっている。この場合、下側に配置された第1罫線ロール32は、段ボールシートSの裏面(下面)に罫線加工を施すものであり、下側に配置された第2罫線ロール33は、第1罫線ロール32と同様に、段ボールシートSの裏面(下面)に罫線加工を施すものであり、各罫線ロール32,33に対向する上方位置に、受ロール37,38が同期して回転可能に設けられている。
【0039】
スリッタヘッド34及び第1スロッタヘッド35は、円形状に形成され、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔で複数(本実施形態では、5個)配置され、図示しない駆動装置により回転可能となっている。スリッタヘッド34は、1個で構成され、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の端部に対応して設けられており、この段ボールシートSにおける幅方向の端部を切断することができる。第1スロッタヘッド35は、4個で構成され、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の所定の位置に対応して設けられており、この段ボールシートSにおける所定の位置で溝切り加工を行うと共に、糊代片加工を行うことができる。第2スロッタヘッド36は、4個で構成され、搬送される段ボールシートSにおける幅方向の所定の位置に対応して設けられており、この段ボールシートSにおける所定の位置に溝切り加工を行うと共に、糊代片加工を行うことができる。この場合、スリッタヘッド34及び第1スロッタヘッド35は、対向する下方位置に下刃39が同期して回転可能に設けられ、第2スロッタヘッド36は、対向する下方位置に下刃40が同期して回転可能に設けられている。
【0040】
ダイカット部41は、段ボールシートSに対して、手穴用の穴開け加工を施すものである。このダイカット部41は、上下一対の送り駒42と、アンビルシリンダ43及びヘッドシリンダ44を有している。送り駒42は、段ボールシートSを上下から挟持して搬送するものであり、回転可能に設けられている。アンビルシリンダ43及びヘッドシリンダ44は、それぞれ円形状に形成され、図示しない駆動装置により同期して回転可能となっている。この場合、アンビルシリンダ43は、外周部にアンビルが形成される一方、ヘッドシリンダ44は、外周部における所定の位置にヘッド及びダイが形成されている。
【0041】
フォルディング部51は、段ボールシートSを搬送方向Dに移動させながら折り畳み、幅方向の両端部を接合して扁平状の段ボール箱Bを形成するものである。このフォルディング部51は、上搬送ベルト52と、下搬送ベルト53,54と、成形装置55とを有している。上搬送ベルト52及び下搬送ベルト53,54は、段ボールシートS及び段ボール箱Bを上下から挟持して搬送するものである。成形装置55は、左右一対の成形ベルトを有し、この成形ベルトにより段ボールシートSにおける幅方向の各端部を下方に折り曲げながら折り畳むものである。また、フォルディング部51は、糊付装置56が設けられている。この糊付装置56は、グルーガンを有し、所定のタイミングで糊を吐出することで、段ボールシートSにおける所定の位置に糊付けを行うことができる。
【0042】
カウンタエゼクタ部61は、段ボール箱Bを計数しながら積み重ねた後、所定数のバッチに仕分けした後、排出するものである。このカウンタエゼクタ部61は、ホッパ装置62を有している。このホッパ装置62は、段ボール箱Bが積み重ねられる昇降自在なエレベータ63を有し、このエレベータ63には、整形手段としての図示しない前当板と整角板とが設けられている。なお、ホッパ装置62の下方に、搬出コンベア64が設けられている。
【0043】
ここで、上述した第1実施形態の製函機にて、段ボールシートSから段ボール箱Bを製造する動作を説明する。
図10は、加工前の段ボールシートの斜視図、
図11は、罫線加工及び溝切加工後の段ボールシートの斜視図、
図12は、折り畳み途中の状態を表す段ボールシートの斜視図、
図13は、折り畳み接合された段ボール箱の斜視図である。
【0044】
図10に示すように、段ボールシートSは、表ライナ301と裏ライナ302との間に波形を成す中芯303が糊付けされて形成されたものである。この段ボールシートSは、製函機10の前工程にて、2つの折り線311,312が形成されている。この折り線311,312は、製函機10にて製造された段ボール箱Bを、後に組み立てる際にフラップを折るためのものである。このような段ボールシートSは、
図1に示すように、給紙部11のテーブル12上に積み重ねられる。
【0045】
給紙部11にて、テーブル12上に積み重ねられている多数枚の段ボールシートSは、まず、前当て13により位置決めされ、次に、テーブル12が下降することで、複数の供給ローラ14により最下位置にある段ボールシートSが送り出される。すると、この段ボールシートSは、一対のフィードロール16により所定の一定側で、印刷部21に供給される。
【0046】
印刷部21にて、各印刷ユニット21A,21B,21C,21Dでは、インキ供給ロール23の表面にインキチャンバ24からインキが供給されており、印刷シリンダ22及びインキ供給ロール23が回転すると、インキ供給ロール23の表面のインキが印版26に転移される。そして、印刷シリンダ22と受ロール25との間に段ボールシートSが搬送されると、この段ボールシートSが印版26と受ロール25とにより挟持され、この段ボールシートSに印圧が付与されることでその表面に印刷が施される。印刷された段ボールシートSは、送りロールにより排紙部31に搬送される。
【0047】
排紙部31にて、まず、段ボールシートSが第1罫線ロール32を通過するとき、
図11に示すように、段ボールシートSの裏面側、つまり、裏ライナ302側に罫線322,323,324,325が形成される。また、段ボールシートSが第2罫線ロール33を通過するとき、第1罫線ロール32と同様に、段ボールシートSの裏面側、つまり、裏ライナ302側に罫線322,323,324,325が再形成される。
【0048】
次に、この罫線322,323,324,325が形成された段ボールシートSがスリッタヘッド34を通過するとき、切断位置321の位置で端部330が切断される。また、段ボールシートSが第1スロッタヘッド35を通過するとき、罫線322,323,324の位置に溝331a,332a,333aが形成される。このとき、罫線325の位置で端部326aが切断される。また、段ボールシートSが第2スロッタヘッド36を通過するとき、罫線322,323,324の位置に溝331b,332b,333bが形成される。このとき、罫線325の位置で端部326bが切断され、糊代片(接合片)334が形成される。その後、罫線322,323,324,325の位置に溝331a,332a,333a,331b,332b,333bと糊代片334が形成された段ボールシートSは、ダイカット部41に搬送される。
【0049】
ダイカット部41にて、
図1に示すように、段ボールシートSがアンビルシリンダ43とヘッドシリンダ44との間を通過するとき、手穴341,342が形成される。そして、手穴341,342が形成された段ボールシートSは、フォルディング部51に搬送される。
【0050】
フォルディング部51にて、段ボールシートSは、上搬送ベルト52及び下搬送ベルト53,54により搬送方向Dに移動されながら、糊付装置56により糊代片334により糊が塗布されてから、成形装置55により、
図12に示すように、罫線322,324を基点として下方に折り畳まれる。この折り畳みが180度近くまで進むと折り畳み力が強くなり、糊代片334とこの糊代片334に重なる段ボールシートSの端部とが押えられて互いに密着され、段ボールシートSの両端部が接合され、
図13に示すように、段ボール箱Bとなる。このとき、段ボール箱Bは、接合箇所において2つの隙間351が形成される。そして、この段ボール箱Bは、
図1に示すように、カウンタエゼクタ部61に搬送される。
【0051】
カウンタエゼクタ部61にて、良品と検出された段ボール箱Bは、ホッパ装置62に送られる。このホッパ装置62に送られた段ボール箱Bは、搬送方向Dの先端部が前当板に当たり、整角板により整形された状態でエレベータ63上に積み重ねられる。そして、所定数の段ボール箱Bがエレベータ63上に積み重ねられると、このエレベータ63が下降し、所定数の段ボール箱Bが1バッチとなって搬出コンベア64により排出され、製函機10の後行程に送られる。
【0052】
ここで、第1実施形態のスロッタ装置を有する排紙部31について詳細に説明する。
図2は、第1実施形態のスロッタ装置を表す概略構成図、
図3は、スロッタ装置を表す斜視図である。
【0053】
排紙部31にて、スロッタ装置70は、
図2及び
図3に示すように、段ボールシートSに対して、罫線加工を施すと共に溝切り加工を施すものである。このスロッタ装置70は、第1罫線ロール32と受ロール37と、第2罫線ロール33と受ロール38と、スリッタヘッド(上スリッタヘッド)34及び第1スロッタヘッド(上スロッタヘッド)35と下刃(下スリッタヘッド、下スロッタヘッド)39、第2スロッタヘッド(上スロッタヘッド)36と下刃(下スロッタヘッド)40から構成されている。
【0054】
上下のロール軸71,72は、各端部が図示しないフレームに回転自在に支持されており、下ロール軸71に4個の第1罫線ロール32が軸方向に所定間隔をあけて固定され、上ロール軸72に4個の受ロール37が軸方向に所定間隔をあけて固定されている。また、上下のロール軸73,74は、各端部が図示しないフレームに回転自在に支持されており、下ロール軸73に4個の第2罫線ロール33が軸方向に所定間隔をあけて固定され、上ロール軸74に4個の受ロール38がその軸方向に所定間隔をあけて固定されている。
【0055】
この場合、各第1罫線ロール32と各受ロール37、各第2罫線ロール33と各受ロール38は、上下に対向して配置されている。また、各第1罫線ロール32は、その下流側に各第2罫線ロール33が水平方向に所定隙間をあけて配置されている。そして、第1罫線ロール32と第2罫線ロール33は、ロール軸71,73の軸方向における同位置に配置されており、第1罫線ロール32の径に対して第2罫線ロール33の径が小さく設定されている。
【0056】
従って、第1罫線ロール32と受ロール37とは上下に対向して配置され、段ボールシートSがこの第1罫線ロール32と受ロール37の間に侵入すると、第1罫線ロール32の外周部と受ロール37の外周部とが段ボールシートSを挟持し、この段ボールシートSが両者の間を通過するときに下面に罫線が形成される。また、第2罫線ロール33と受ロール38とは上下に対向して配置され、段ボールシートSがこの第2罫線ロール33と受ロール38の間に侵入すると、第2罫線ロール33の外周部と受ロール38の外周部とが段ボールシートSを挟持し、この段ボールシートSが両者の間を通過するときに下面に罫線が再形成される。この場合、段ボールシートSは、同位置に第1罫線ロール32と第2罫線ロール33が転動することで、一つの罫線が形成される。
【0057】
また、上下のスロッタ軸(回転軸)75,76は、各端部が図示しないフレームに回転自在に支持されており、上スロッタ軸75に1個のスリッタヘッド34と4個の第1スロッタヘッド35(35A,35B)が軸方向に所定間隔をあけて固定され、下スロッタ軸76に5個の下刃39が軸方向に所定間隔をあけて固定されている。この場合、1個のスリッタヘッド34に対応して1個の下刃(スリッタヘッド用下刃)39が配置され、4個の第1スロッタヘッド35に対応して4個の下刃(スロッタヘッド用下刃)39が配置される。また、上下のスロッタ軸77,78は、各端部が図示しないフレームに回転自在に支持されており、上スロッタ軸77に4個の第2スロッタヘッド36(36A,36B)が軸方向に所定間隔をあけて固定され、下スロッタ軸78に4個の下刃40がその軸方向に所定間隔をあけて固定されている。
【0058】
そして、1個のスリッタヘッド34は、外周部にスリッタナイフ(切刃)79が固定され、3個の第1スロッタヘッド35Aは、それぞれ外周部にスロッタナイフ(切刃)80が固定され、1個の第1スロッタヘッド35Bは、外周部にスロッタナイフ(切刃)81が固定されている。また、3個の第2スロッタヘッド36Aは、それぞれ外周部にスロッタナイフ(切刃)82が固定され、1個の第2スロッタヘッド36Bは、外周部にスロッタナイフ(切刃)83が固定されている。
【0059】
スリッタヘッド34は、端部切断用として使用されるものであり、
図11にて、切断位置321で端部330を切断することができる。このスリッタヘッド34は、全周にスリッタナイフ79が設けられている。また、3個の第1スロッタヘッド35Aと3個の第2スロッタヘッド36Aは、溝切り加工用として使用されるものであり、
図11にて、溝331a,332a,333a,331b,332b,333bを形成することができる。第1スロッタヘッド35Aと第2スロッタヘッド36Aは、周方向の一部にスロッタナイフ80,82が設けられている。更に、1個の第1スロッタヘッド35Bと1個の第2スロッタヘッド36Bは、スロッタ軸75,77の端部に配置されており、糊代片加工用として使用されるものであり、
図11にて、端部326a,326bを切断して糊代片334を形成することができる。第1スロッタヘッド35Bと第2スロッタヘッド36Bは、周方向の一部にスロッタナイフ81,83が設けられている。
【0060】
この場合、スリッタヘッド34及び各第1スロッタヘッド35と各下刃39は、それぞれ上下に対向して配置され、各第2スロッタヘッド36と各下刃40は、それぞれ上下に対向して配置されている。また、スリッタヘッド34及び各第1スロッタヘッド35は、各第2罫線ロール33の下流側に水平方向に所定隙間をあけて配置され、各第1スロッタヘッド35は、その下流側に各第2スロッタヘッド36が水平方向に所定隙間をあけて配置されている。そして、各第2罫線ロール33とスリッタヘッド34及び各第1スロッタヘッド35は、スロッタ軸73,76の軸方向における同位置に配置されており、各第1スロッタヘッド35と各第2スロッタヘッド36は、スロッタ軸75,77の軸方向における同位置に配置されている。
【0061】
従って、段ボールシートSがスリッタヘッド34及び第1スロッタヘッド35A,35Bと下刃39の間に侵入し、両者の間を通過するとき、段ボールシートSは、スリッタヘッド34のスリッタナイフ79により端部が切断され、第1スロッタヘッド35Aのスロッタナイフ80により溝切り加工され、第1スロッタヘッド35Bのスロッタナイフ81により糊代片が加工される。なお、段ボールシートSは、第1スロッタヘッド35A,35Bと下刃39の間を通過するとき、外周部にスロッタナイフ80,81が設けられていない領域では、第1スロッタヘッド35A,35Bの外周部と下刃39の外周部とに挟持されて搬送される。また、段ボールシートSが第2スロッタヘッド36A,36Bと下刃40の間に侵入し、両者の間を通過するとき、段ボールシートSは、第2スロッタヘッド36Aのスロッタナイフ82により溝切り加工され、第1スロッタヘッド36Bのスロッタナイフ83により糊代片が加工される。なお、段ボールシートSは、第2スロッタヘッド36A,36Bと下刃40の間を通過するとき、外周部にスロッタナイフ82,83が設けられていない領域では、第2スロッタヘッド36A,36Bの外周部と下刃40の外周部とに挟持されて搬送される。
【0062】
ところで、スロッタヘッド35A,36Aは、段ボールシートSの搬送方向Dに沿った溝331a,332a,333a,331b,332b,333bを形成するものであることから、外周部の周方向に沿ってスロッタナイフ80,82が固定されている。一方、スロッタヘッド35B,36Bは、段ボールシートSの搬送方向Dに直交する方向の端部326a,326bを切断して糊代片334を形成するものであることから、外周部の周方向に沿うと共に回転軸心方向に沿うスロッタナイフ81,83が固定されている。
【0063】
以下、各スロッタヘッド35B,36Bについて詳細に説明するが、両者はほぼ同様の構成をなすことから、第1スロッタヘッド35Bについて説明する。
図4は、第1実施形態のスロッタヘッドを表す平面図、
図5は、スロッタヘッドを表す正面図、
図6は、スロッタヘッドを表す側面図、
図7は、
図4のVII−VII断面図、
図8は、スロッタヘッドを表す分解斜視図である。なお、以下の説明にて、単に周方向と称する場合、この周方向とは、第1スロッタヘッド35Bの周方向であり、単に軸方向と称する場合、この軸方向とは、第1スロッタヘッド35Bの回転軸心方向であり、単に径方向と称する場合、この径方向とは、第1スロッタヘッド35Bの半径方向である。
【0064】
第1スロッタヘッド(以下、スロッタヘッド)35Bは、
図4から
図8に示すように、刃物台101と、リンク部材102と、可動ブロック103と、スロッタナイフ81を構成する第1切刃104及び第2切刃105と、第1支持軸106と、第2支持軸107と、ラバー(付勢部材)108と、規制プレート(規制部材)109とを有している。
【0065】
刃物台101は、円板形状をなし、スロッタ軸75に固定されて回転自在に支持されている。刃物台101は、外周部に周方向に沿うと共に、軸方向の一方側に開口する収容凹部111が設けられている。第2切刃105は、扇形状をなし、外周部に刃部105aが形成されている。この第2切刃105は、収容凹部111における縦壁部112に密着して配置され、複数のボルト113により固定されている。この場合、第2切刃105は、刃部105aが縦壁部112の外周部より外方に位置している。
【0066】
刃物台101は、収容凹部111に周方向に沿ってガイドレール114を有するガイド部材115が固定されている。ガイド部材115は、一方の側面部が第2切刃105の平面部に密着し、他方の側面部が刃物台101の側面部と略同一面をなしている。刃物取付台116は、正面視(
図5)が扇形状をなし、下部のガイド部117がガイド部材115のガイドレール114に嵌合している。刃物取付台116は、ガイド部材115に対して周方向に移動自在であるが、図示しないボルトにより所定の位置に固定されている。
【0067】
刃物取付台116は、外周部に外方に開口すると共に軸方向に貫通するブロック取付凹部118が形成されると共に、ブロック取付凹部118における周方向の一方側に連通してリンク取付凹部119が形成されている。そして、刃物取付台116は、リンク取付凹部119を軸方向に貫通する支持孔120が形成されている。この支持孔120は、円形孔である。また、刃物取付台116は、ブロック取付凹部118における周方向の他方側に支持壁121が立設されており、この支持壁121の上端部における軸方向の中間位置に切欠ガイド122が形成されている。切欠ガイド122は、支持壁121の上端部を周方向に貫通する略半円形状であって、径方向に長い切欠である。更に、支持壁121は、上端面に切欠ガイド122の両側に位置してねじ孔123が径方向に沿って形成されている。
【0068】
リンク部材102は、立方体のブロック形状をなす取付部124を有し、この取付部124の一面に直線状をなす第2支持軸107の基端部が固定されて構成されている。また、リンク部材102は、取付部124に第2支持軸107に対して直交する軸方向に沿って支持孔125が形成されている。そして、リンク部材102は、取付部124が刃物取付台116のリンク取付凹部119に嵌合し、各支持孔120,125が一致した状態で、第1支持軸106が嵌合し、第1支持軸106が固定ボルト126により抜け止め固定されている。そのため、リンク部材102は、第1支持軸106により刃物取付台116に回動自在に支持されることとなる。
【0069】
可動ブロック103は、直方体のブロック形状をなし、刃物取付台116のブロック取付凹部118に嵌合する大きさであり、両端面が刃物取付台116の平面と略同一面をなしている。可動ブロック103は、周方向に沿って直線状をなす支持孔127が形成されており、リンク部材102に固定された第2支持軸107が嵌合可能となっている。ラバー108は、ゴム材料からなり、弾性力(付勢力)を有しており、刃物取付台116に対して可動ブロック103を外方へ付勢している。
【0070】
そのため、可動ブロック103は、支持孔127にリンク部材102の第2支持軸107が嵌合し、ラバー108を介して刃物取付台116のブロック取付凹部118に装着される。このとき、ラバー108は、刃物取付台116に図示しないピンにより固定される。そのため、可動ブロック103は、第2支持軸107によりリンク部材102に回動自在に支持されることとなる。なお、可動ブロック103は、図示しない拘束部材によりリンク部材102に対して第2支持軸107軸方向に移動不能に拘束される。
【0071】
また、可動ブロック103は、上面部に切刃取付溝128が形成されている。第1切刃104は、切刃取付溝128に装着され、固定ボルト129により固定されている。第1切刃104は、軸心方向に沿うと共に周方向に所定角度だけ傾斜した方向に沿って可動ブロック103に固定される。即ち、第1切刃104は、軸心方向に対して所定角度θだけ傾斜している。
【0072】
そして、リンク部材102は、第2支持軸107が可動ブロック103の支持孔127に嵌合すると共に先端部が突出し、ブロック取付凹部118における支持壁121の切欠ガイド122に嵌合している。規制プレート109は、刃物取付台116に対して第1支持軸106による可動ブロック103の外方への回動量を規制するものである。規制プレート109は、第2支持軸107が切欠ガイド122に嵌合した状態で、第2支持軸107を押えるように、ラバー(弾性部材)130を介して支持壁121の上面に密着している。締結ボルト131は、規制プレート109の貫通孔132とラバー130の貫通孔133を貫通し、支持壁121のねじ孔123に螺合している。そのため、可動ブロック103は、第2支持軸107の先端部が規制プレート109により規制されることで、第1支持軸106による外方への回動量が切欠ガイド122によりストロークLに規制される。
【0073】
その結果、第1切刃104が固定された可動ブロック103は、ラバー108により弾性支持され、第1支持軸106により刃物台101に対して、この刃物台101の回転軸心方向に沿う第1軸心O1を中心として回動自在に支持されると共に、第2支持軸107により刃物台101の周方向に沿う第2軸心O2を中心として回動自在に支持される。
【0074】
また、第2切刃105は、一方の平面部に凹部141が設けられ、第1切刃104は、一端部がこの凹部141に配置されている。凹部141の径方向長さは、第1切刃104の高さより大きい寸法に設定されている。また、第1切刃104が支持された刃物取付台116は、刃物台101の周方向に沿って位置調整自在であることから、凹部141の周方向長さは、第1切刃104の移動量より大きい寸法に設定されている。
【0075】
なお、上述の実施形態では、第1切刃104が軸心方向に対して所定角度θだけ傾斜して可動ブロック103に固定され、この可動ブロック103を刃物台101の回転軸心方向に沿う第1軸心O1を中心として回動自在に支持し、第2支持軸107により刃物台101の周方向に沿う第2軸心O2を中心として回動自在に支持したが、この構成に限定されるものではない。
図9は、第1実施形態のスロッタヘッドの変形例を表す平面図である。
【0076】
図9に示すように、第1切刃104は、軸心方向に対して所定角度θだけ傾斜して可動ブロック103に固定され、この可動ブロック103は、刃物台101の回転軸心方向に沿う第1軸心O11を中心として回動自在に支持され、第2支持軸107により刃物台101の周方向に沿う第2軸心O12を中心として回動自在に支持されている。ここで、第1軸心O11は、第1切刃104に平行をなす方向に位置し、第2軸心O12は、第1切刃104に直交する方向に位置している。
【0077】
このように構成されたスロッタヘッド35Bは、
図2及び
図11に示すように、下刃39との間に段ボールシートSが通過するとき、スロッタナイフ81を構成する第1切刃104と第2切刃105により端部326aを切断する。即ち、第1スロッタヘッド35Bのスロッタナイフ81が段ボールシートSを介して下刃39の外周面に押し付けられるとき、第2切刃105(
図5参照)が搬送方向Dに沿った切断線327aを切断し、第1切刃104が搬送方向Dに交差する方向に沿った切断線327bを切断することで端部326aを切落す。また、第2スロッタヘッド36Bのスロッタナイフ83が段ボールシートSを介して下刃40の外周面に押し付けられるとき、第2切刃105が搬送方向Dに沿った切断線327cを切断し、第1切刃104が搬送方向Dに交差する方向に沿った切断線327dを切断することで端部326bを切落す。そのため、段ボールシートSの端部に糊代片334が形成される。
【0078】
このとき、
図5及び
図7に示すように、第1切刃104は、可動ブロック103に軸心方向に対して所定角度θだけ傾斜して固定されていることから、スロッタヘッド35Bと下刃39の回転時に、刃先が下刃39の外周面に対して順次接触することで、切断線327bを切断する。即ち、第1切刃104は、第1支持軸106(第1軸心O1)を中心として回動方向R1に沿って回動しながら、第2支持軸107(第2軸心O2)を中心として回動方向R2に沿って回動する。この第1切刃104の回動は、ラバー108に弾性支持されていることで可能となり、切断後に元の位置に戻る。従って、第1切刃104は、下刃39の外周面に片当たりすることなく、切断線327bを適正に切断することができる。
【0079】
このように第1実施形態のスロッタヘッドにあっては、刃物台101と、刃物台101の外周部に装着される可動ブロック103と、可動ブロック103に軸方向に沿うと共に周方向に所定角度θだけ傾斜した方向に沿って固定される第1切刃104と、可動ブロック103を刃物台101に軸方向に沿う第1軸心O1を中心として回動自在に支持する第1支持軸106と、可動ブロック103を刃物台101に周方向に沿う第2軸心O2を中心として回動自在に支持する第2支持軸107とを設けている。
【0080】
従って、第1切刃104と対向する下刃39の外周面との間に段ボールシートSが搬送されると、第1切刃104が交差する2方向に回動しながら段ボールシートSを切断することとなり、第1切刃104が下刃39の外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して糊代片334を高精度に切断して加工することができる。また、段ボールシートSの種類に応じてスロッタ軸75,76の軸間距離を調整しても、第1切刃104が交差する2方向に回動自在であることから、第1切刃104を下刃39の外周面に一様に接触させることができる。
【0081】
第1実施形態のスロッタヘッドでは、刃物台101に対して可動ブロック103を外方へ付勢するラバー108と、刃物台101に対して第1支持軸106による可動ブロック103の外方への回動量を規制する規制プレート109とを設けている。従って、第1切刃104が規制プレート109により所定の突出位置に支持されることとなるため、第1切刃104は、段ボールシートSを切断するとき、下刃39の外周面に応じてラバー108の付勢力に抗して後退しながら交差する2方向に回動することとなり、糊代片334を高精度に切断することができる。また、ラバー108により第1切刃104が段ボールシートSを切断するときの衝撃を緩和することができる。
【0082】
第1実施形態のスロッタヘッドでは、第2支持軸107を有するリンク部材102を第1支持軸106により刃物台101に回動自在に支持し、可動ブロック103を第2支持軸107によりリンク部材102に回動自在に支持している。従って、第1支持軸106と第2支持軸107と第1切刃104を近接配置することができ、全体をコンパクトに構成することができる。また、第1支持軸106が刃物取付台116の支持孔120及びリンク部材102の支持孔125に隙間なく嵌合し、第2支持軸107が可動ブロック103の支持孔127に隙間なく嵌合しており、可動ブロック103は、揺動したり、がたついたりすることがなく、交差する2方向だけに高精度に回動することとなり、第1切刃104が下刃39の外周面に斜めに接触することを防止することができる。
【0083】
第1実施形態のスロッタヘッドでは、刃物台101と可動ブロック103との間にラバー108を配置し、第2支持軸107を可動ブロック103の支持孔127に嵌合すると共に先端部が突出し、規制プレート109により外方への移動を規制している。従って、簡単な構成で可動ブロック103の回動量を容易に規制することができる。
【0084】
第1実施形態のスロッタヘッドでは、第2支持軸107の先端部を刃物取付台116の外周部に径方向に沿った切欠ガイド122に移動自在に支持している。従って、可動ブロック103の第1支持軸106の軸方向への移動が規制され、可動ブロック103を高精度に回動させることができる。
【0085】
第1実施形態のスロッタヘッドでは、第1軸心O11を第1切刃104に平行をなす方向に位置させ、第2軸心O12を第1切刃104に直交する方向に位置させている。従って、第1切刃104は、その長手方向及び長手方向に直交する方向に回動することとなり、段ボールシートSを高精度に切断することができる。
【0086】
第1実施形態のスロッタヘッドでは、刃物台101に周方向に沿う第2切刃105を固定し、第2切刃105の一方の平面部に凹部141を設け、第1切刃104の一端部をこの凹部141に配置している。従って、糊代片334の角部を高精度に切断することができる。
【0087】
第1実施形態のスロッタヘッドでは、規制プレート109と支持壁121との間にラバー(弾性部材)130を設けている。従って、締結ボルト131の締結トルクに応じて規制プレート109の上下位置を変更し、第2支持軸107、つまり、可動ブロック103を介して第1切刃104の高さを調整することができる。
【0088】
また、第1実施形態のスロッタ装置にあっては、上スロッタ軸75に段ボールシートSの端部を切断するスリッタヘッド34と溝切り加工を行うスロッタヘッド35Aと接合片を加工するスロッタヘッド35Bを設け、また、上スロッタ軸77に段ボールシートSに溝切り加工を行うスロッタヘッド36Aと接合片を加工するスロッタヘッド36Bを設け、接合片加工用のスロッタヘッド35B,36Bに交差する2方向に回動する第1切刃104を設けている。
【0089】
従って、第1切刃104が下刃39の外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して糊代片334を高精度に切断して加工することができ、段ボールシートSの品質を向上させることができる。
【0090】
また、第1実施形態の製函機にあっては、給紙部11と印刷部21と排紙部31とダイカット部41とフォルディング部51とカウンタエゼクタ部61とを設け、排紙部31にスロッタ装置70を設けている。
【0091】
従って、第1切刃104が下刃39の外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して糊代片334を高精度に切断して加工することができ、段ボールシートSの品質を向上させることができる。
【0092】
[第2実施形態]
図14は、第2実施形態のスロッタヘッドを表す平面図、
図15は、スロッタヘッドを表す正面図、
図16は、スロッタヘッドを表す側面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0093】
第2実施形態において、
図14から
図16に示すように、第1スロッタヘッド(以下、スロッタヘッド)35Cは、刃物台101と、リンク部材201と、可動ブロック202と、スロッタナイフ81を構成する第1切刃104及び第2切刃105と、第1支持軸203と、第2支持軸204と、ラバー108と、規制ブロック(規制部材)205とを有している。
【0094】
刃物取付台116は、外周部に外方に開口すると共に軸方向に貫通するブロック取付凹部118が形成されると共に、周方向に貫通する支持孔211が形成されている。リンク部材201は、基端部に直線状をなす第2支持軸204が固定されており、第2支持軸204は、支持孔211に嵌合し、止め部材212により抜け止め支持されている。また、リンク部材201は、先端部に軸方向に貫通する支持孔213が形成されている。一方、可動ブロック202は、直方体のブロック形状をなし、刃物取付台116のブロック取付凹部118に嵌合する大きさであり、基端部214に軸方向に貫通する支持孔215が形成されている。そして、リンク部材201と可動ブロック202は、各支持孔213,215が一致した状態で、第1支持軸203が嵌合し、第1支持軸203が固定ボルト216により抜け止め固定されている。
【0095】
ラバー108は、刃物取付台116のブロック取付凹部118と可動ブロック202との間に配置され、刃物取付台116に対して可動ブロック202を外方へ付勢している。可動ブロック202は、上面部に第1切刃104が装着され、固定ボルト217により固定されている。第1切刃104は、軸心方向に沿うと共に周方向に所定角度だけ傾斜した方向に沿って可動ブロック202に固定される。
【0096】
可動ブロック202は、先端部に周方向に向けて突出する第3支持軸218が固定されている。一方、規制ブロック205は、長孔ガイド219が形成されている。長孔ガイド219は、規制ブロック205を周方向に貫通する長孔形状であって、径方向に沿って長いものとなっている。可動ブロック202は、第3支持軸218が規制ブロック205の長穴ガイド219に嵌合している。
【0097】
規制ブロック205は、刃物取付台116に対して第1支持軸203による可動ブロック202の外方への回動量を規制するものである。規制ブロック205は、第3支持軸218が長孔ガイド219に嵌合した状態で、第3支持軸218を押えるように、締結ボルト131により刃物取付台116に固定されている。そのため、可動ブロック202は、第3支持軸218の先端部が規制ブロック205により規制されることで、第1支持軸203による外方への回動量が長孔ガイド219により規制される。
【0098】
その結果、第1切刃104が固定された可動ブロック202は、ラバー108により弾性支持され、第1支持軸203により刃物台101に対して、この刃物台101の回転軸心方向に沿う第1軸心O1を中心として回動自在に支持されると共に、第2支持軸204により刃物台101の周方向に沿う第2軸心O2を中心として回動自在に支持される。
【0099】
なお、第2実施形態のスロッタヘッド35Cによる段ボールシートSとの切断加工は、上述した第1実施形態とほぼ同様であることから、説明は省略する。
【0100】
このように第2実施形態のスロッタヘッドにあっては、刃物台101と、刃物台101の外周部に装着される可動ブロック202と、可動ブロック202に軸方向に沿うと共に周方向に所定角度θだけ傾斜した方向に沿って固定される第1切刃104と、可動ブロック202を刃物台101に軸方向に沿う第1軸心O1を中心として回動自在に支持する第1支持軸203と、可動ブロック202を刃物台101に周方向に沿う第2軸心O2を中心として回動自在に支持する第2支持軸204とを設けている。
【0101】
従って、第1切刃104と対向する下刃39の外周面との間に段ボールシートSが搬送されると、第1切刃104が交差する2方向に回動しながら段ボールシートSを切断することとなり、第1切刃104が下刃39の外周面に対して片当たりすることなく一様に接触して糊代片334を高精度に切断して加工することができる。また、段ボールシートSの種類に応じてスロッタ軸75,76の軸間距離を調整しても、第1切刃104が交差する2方向に回動自在であることから、第1切刃104を下刃39の外周面に一様に接触させることができる。
【0102】
第2実施形態のスロッタヘッドでは、リンク部材201が第2支持軸204により刃物台101に回動自在に支持され、可動ブロック202は、第1支持軸203によりリンク部材201に回動自在に支持されている。従って、構成を簡略化することができる。
【0103】
第2実施形態のスロッタヘッドでは、刃物取付台116と可動ブロック202との間にラバー108を配置し、可動ブロック202に刃物取付台116の周方向に向けて突出する第3支持軸218を固定し、第3支持軸218が規制ブロック205に径方向に沿って設けられた長孔ガイド219に移動自在に嵌合支持されることで、可動ブロック202の外方への移動を規制している。従って、簡単な構成で可動ブロック202の回動量を容易に規制することができると共に、可動ブロック202の第1支持軸203の軸心方向への移動が規制され、可動ブロック202を高精度に回動させることができる。
【0104】
なお、上述した実施形態では、付勢部材としてラバー108を適用したが、この構成に限るものではない。例えば、ラバー108の形状を変更したり、また、付勢部材として、例えば、金属製または合成樹脂製の板バネやコイルばねなどを適用したりしてもよい。
【0105】
また、上述した実施形態では、製函機を、給紙部11、印刷部21、排紙部31、ダイカット部41、フォルディング部51と、カウンタエゼクタ部61により構成したが、段ボールシートSに手穴341,342が不要な場合には、ダイカット部41をなくして構成してもよい。