(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した一実施形態である水面埋立処分場の埋立装置の構成について、この埋立装置を用いた埋立方法と併せて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0030】
先ず、本発明を適用した一実施形態である水面埋立処分場の埋立装置(以下、単に「埋立装置」と記載する)1について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である埋立装置1の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態の埋立装置1は、スラリー状の石炭灰等(埋立対象物)をスラリー供給源2から埋立地点まで移送する輸送部(水平搬送経路)3と、連結部4と、排出部(鉛直搬送経路)5とを備えて、概略構成されている。
この埋立装置1は、水面埋立処分場6の任意の埋立地点にスラリー状の石炭灰等を埋立てるための装置である。
【0031】
本実施形態の埋立装置1の埋立対象物は、スラリー状にできるものであれば、特に石炭灰等に限定されるものではない。その他の埋立対象物としては、具体的には、例えば、廃土や汚泥等が挙げられる。
【0032】
スラリー供給源2は、水面埋立処分場6の陸部64に設置する。図中に記載はないが、スラリー供給源2は、石炭灰等貯留サイロと貯水タンクと混練機とスラリー圧送装置とを有する。スラリー供給源2のスラリー供給能力は、石炭灰等の埋立量に応じて決定する。
【0033】
スラリーを製造するには、上述した混練機により石炭灰等と水とが混練され、スラリーが製造される。混練機は石炭灰等と水の混合比率を適正な範囲に調整する機能を有している。
【0034】
スラリーの含水率は40%程度が一般的であるが、これに限定されない。スラリーの含水率を低減すると埋立密度を更に高めることが可能となるが、詰まりを生じない程度の範囲に調整する必要がある。
【0035】
スラリー圧送装置は、当該装置出口から排出部5までスラリーを押し出すために必要な吐出圧を有している。スラリー圧送用ポンプとしては、一般的なダイアフラムポンプやチューブポンプ等を用いることができる。
【0036】
輸送部3は、スラリー供給源2から供給されたスラリーを連結部4まで移送するための装置で、輸送管30、浮子31、アンカー32、ワイヤー33、及び洗浄水配管34を有する。
【0037】
輸送管30は、スラリー供給源2から圧送されるスラリーを連結部4の接続部40まで移送する。水面埋立処分場6には800m×800m程度の面積を有するものがあり、その場合の輸送管30の長さは400mを超える場合がある。輸送管30の断面サイズはスラリー供給量と輸送管30の長さ等から決まる配管の圧損を考慮して決定されるが、150A(管外形150mm)程度が一般的である。鋼管や柔軟な樹脂製の配管や、例えばコルゲート管等のように柔軟な構造を有した配管を使用できる。柔軟な材質又は構造を採用することにより、輸送管30が波浪などにより搖動しても輸送管30が破断しないようにすることができる。
【0038】
浮子31は、輸送管30に接続して輸送管30を水底62から浮かせるためのものである。ところで、水面埋立処分場の中に固定式の排出部を設けた場合は、所定の場所の埋立完了後に固定式排出部を撤去するのに手間とコストを要するという問題がある。これに対して、浮子31を輸送管30に接続して輸送管30を水底62から浮かせることにより、輸送管30の移動の際の抵抗を減少し、輸送部3の先端に接続された連結部4及び排出部5を水面埋立処分場6の任意の位置に容易に移動させることが可能となる。
【0039】
アンカー32とワイヤー33は、水底62と浮子31又は輸送管30との間を接続し、これにより輸送管30を水面61の一定の位置に係留することができる。埋立地点を移動する際、例えば、鋼鉄製のアンカーを用いる場合には、アンカー32を水底62から持ち上げることにより、輸送管30を容易に移動することができる。一方、廃掃法等の制約によって石炭灰等をフレキシブルコンテナバックに入れたアンカー32を用いる場合には、アンカー32につなげたワイヤー33を取り外し、アンカー32を残置したまま、輸送管30とワイヤー33のみを移動してもよい。
【0040】
連結部4は、輸送部3で略水平方向に移送してきたスラリーを略鉛直方向に移送方向を転換するための装置で、接続部40、浮子41、吊上装置(昇降手段)42、アンカー43及びワイヤー44を有する。
【0041】
接続部40は、輸送管30と排出管50との間を連結しており、輸送部3で略水平方向に移送してきたスラリーを略鉛直方向に移送方向を転換し、排出管50にスラリーを移送する。
図1に示された接続部40は単純な円弧で示しているが、連結部4のスラリー入口に水平方向で入ってきたスラリーの移送方向を、連結部4のスラリー出口では鉛直方向に転換していれば、接続部40の途中の形態は問わない。例えば、接続部40で、スラリーの移送方向を水平方向から鉛直方向に転換した後、再度水平方向に転換してから鉛直方向に転換する等の形態であっても、連結部4のスラリー出口でのスラリーの移送方向が鉛直方向に転換されていればよい。
【0042】
接続部40には、エルボー配管、L字管やT字管等により輸送管30と排出管50とを直接接続する方式(以下、「直接接続方式」と記載する)と、
図2に示すようにスラリー受ホッパー401等で輸送管30と排出管50とを空間を介して接続し、輸送管30と排出管50とが、直接接続されていない方式(以下、「間接接続方式」と記載する)とがある。
【0043】
間接接続方式を採用する場合には、連結部4の少なくとも一部が水面上に露出している方が、連結部4への水の浸入を防止し、スラリーへの水の混入を防止できることから、浮子41を有する構成とするのが一般的である。間接接続方式として上述のスラリー受ホッパー401を採用した場合は、スラリー面を目視で確認できるという効果がある。また、直接接続方式においても、連結部4の少なくとも一部を水面上に露出している構成をとることができる。
【0044】
間接接続方式でスラリー受ホッパー401を用いる方式の場合、
図2に示すように、スラリー受ホッパー401は排出管50の上部に配置され、スラリー受ホッパー401の縮径部に排出管50の基端52が接続される。スラリー受ホッパー401の拡径部側には、輸送管30及び接続部40を経て移送されるスラリーを供給可能である。スラリー受ホッパー401の拡径部の大きさとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、内寸500mm×500mm等とすることができる。また、スラリー受ホッパー401の材質としては、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、鋼板(t=4.5mm)等を用いることができる。
【0045】
間接接続方式を採用する場合には、輸送管30と排出管50を直接連結しないことにより、排出管50に詰
まりが生じたときにも、上流の連結部4、輸送部3、及びスラリー供給源2への影響を少なくすることができる。また、この実施形態の場合は、スラリーが埋立てられて排出口51からスラリーの排出が困難になるタイミングを、スラリー受ホッパー401のスラリーの上面レベルが上昇することで確認することができる。
【0046】
浮子41は、
図2に示すように、連結部4及び巻取装置421を取り付けるための台座としての機能を有することが好ましい。
【0047】
図1に示すように、浮子41が、連結部4及び排出部5を水底62から浮上させる浮力を有することにより、連結部4及び排出部5は水底62を離れるので、ボート等で曳航することにより連結部4は水面埋立処分場6の水面61上を移動することが可能となる。また、水底62においたアンカー43と浮子41とをワイヤー44により結束し、連結部4が波浪などにより搖動することを防止することができる。埋立地点を移動する際、例えば、鋼鉄製のアンカーを用いる場合には、アンカー43を水底62から持ち上げることにより、連結部4及び排出部5を容易に移動することができる。一方、廃掃法等の制約によって石炭灰等をフレキシブルコンテナバックに入れたアンカー43を用いる場合には、アンカー43につなげたワイヤー44を取り外し、アンカー32を残置したまま、連結部4、排出部5及びワイヤー44のみを移動してもよい。
【0048】
排出部5は、連結部4で移送方向を略鉛直方向に転換されたスラリーを略鉛直方向に移送して水底62から埋立てるための構成部材で、排出管50と排出口 (開口部) 51とを有する。
【0049】
排出管50の基端52は接続部40に接続されており、排出管50の先端53には排出口51が設けられている。また、排出口51は、鉛直下方に開口している。
【0050】
排出口51は、
図8(A)に示すように、埋立開始初期は埋立地点の水底62に対向配置されている。埋立てが進んだときは、
図8(B)に示すように、排出口51が水底62に堆積する石炭灰等の中に埋設されている。排出口51を水底62に対向して配置するか又は既に埋立てられた石炭灰等の中に埋設して保持することにより、石炭灰等が放出される際に水中に拡散することを抑制し、石炭灰等の埋立密度を向上することができる。
【0051】
図1において、排出口51を所定の深さに保持するためには、排出管50の長さを一定として連結部4を上下させる方法と、連結部4の位置を保持して排出管50の長さを伸縮させる方法とがある。後者の方法において、連結部4の一部を水面に浮上させたまま排出管50を伸縮させる場合には、連結部4でスラリーの流れの状況を人が目視により確認することが可能となるという効果が得られる。
【0052】
連結部4の一部を水面に浮上させたまま保持する方法の場合には、水面の搖動を吸収して排出口51の位置を保持し、かつ、スラリーの埋立深さによって排出口51を上下に移動させる必要があるため、排出管50には、コルゲート管等の伸縮自在な構造を有する配管や、可
撓性を有する樹脂製のチューブを用いるのが一般的である。
【0053】
鉛直方向に伸縮自在な構造を有する排出管50としては、
図4に示すような二重管を用いることができる。二重管の外管502と内管501が摺動可能とすることで、波浪時などに生じる水面の搖動を吸収し、排出口51の標高位置を安定させることができる。また、排出口51を埋立てられたスラリー中に埋設した状態で埋立を実施するが、排出口51の埋設深さが深くなり排出口51からのスラリー排出量が所定の排出量以下になった場合には、外管502を吊上装置42により徐々に上方向へ持ち上げ、スラリー中の所定の深さに排出口51を保持しつつスラリーの排出を回復させる。内管501と外管502の間には15mm程度の隙間ができても、スラリー埋立の際の水のまきこみやスラリーの漏れ等が実用上問題になることはないが、外管502と内管501がスライドするのに支障がない範囲で当該隙間は極力小さくするのがよい。また外管502と内管501との間にパッキンを設けて摺動させることにより遮水性を向上することもできる。排出口51を水底62に接触させて設置しておく場合、波浪等が生じても二重管が伸縮して排出口51の位置変動が少なくなることから、排出口51の位置管理が容易となる。
【0054】
排出口51には切欠き等を設けることができる。スラリー埋立初期には、排出口51は水底62に接触させても水底部の凹凸によってスラリーは支障なく排出されるが、単に配管を切断しただけの状態より、排出口51にクサビ状等の切欠きを設けることで、より円滑にスラリーを排出することができるようになる。
【0055】
吊上装置42は、排出口51を上下に移動させるもので、
図3に示すように、ワイヤー422と巻取装置421とを有する。
【0056】
ワイヤー422は排出口51に接続され、浮子41で形成される台座に設置される巻取装置421で当該ワイヤー422を巻上げ又は巻き下げることで排出口51を上下に移動する。
【0057】
二重管の場合は、
図4に示すように、ワイヤー422は外管502に接続され、浮子41で形成される台座に設置される巻取装置421で当該ワイヤー422を巻上げ又は巻き下げることで外管502に接続された排出口51を上下に移動する。
埋立実施中の排出口51の位置は、水面から排出口51の高低差、排出口51より上に堆積したスラリーの厚さ、スラリーの濃度等に応じて吊上装置42により変更することができ、これによりスラリーの排出量を調整するとともに、詰まりも防止する。
【0058】
図3、
図4に示す吊上装置42は一例であり、これに限定されない。例えば、油圧装置やラック・アンド・ピニオンを用いて外管502を鉛直方向上下に移動させることもできる。なお、巻取装置421においてワイヤー422を巻取る駆動機構は連結部4に設ける必要はなく、例えば陸上に当該駆動機構を設置し、連結部4に設置した巻取装置421を介してワイヤー422を巻上げ又は巻き下げることも可能である。
【0059】
また、
図4に示す実施形態では、外管502に排出口51を設け、内管501が連結部4に接続されているが、これに限定されない。内管501に排出口51を設け、外管502を連結部4に接続し、内管501を吊上装置42に接続する構成とすることもできる。
【0060】
また、ここでは二重管構造について説明したが、三重管等のように径が異なる3以上の筒状部材からなり、軸方向に伸縮可能な多重管構造であってもよい。
【0061】
さらに、2以上の連結部4を有し、各連結部の間を連結するバイパス管を備える構成とすることができる。間接接続方式の場合の具体例を
図5に示すが、直接接続方式においても同様の構成をとることができる。
【0062】
図5に示すように複数のスラリー受ホッパー401の間をバイパス管402により連結することで、詰
まりが生じた排出管50の上部のスラリー受ホッパー401から他のスラリー受ホッパー401及び排出管50にスラリーが流れるようにする。この構成により、一箇所の排出管50に詰
まりが生じた場合にもスラリー供給源2を停止する必要がなく、他のスラリー受ホッパー401及び排出管50で所定の埋立を継続することができる。
【0063】
ところで、1日のスラリー埋立作業が終了した時には、石炭灰等の固着を防止するため、輸送管30の洗浄を実施することが一般的である。このため、
図1に示すように、輸送部3の基端側から洗浄水や洗浄用ピグを供給するための洗浄水配管(洗浄水供給経路)34を設ける。また、スラリー供給源2から洗浄水を供給するという構成をとることもできる。
【0064】
上記の浮子31及び41は、当該浮子31又は41に接続される装置を水面に浮上させる浮力を有するものであって、プラスチック製、金属製、木製等のものを使用できるが、プラスチック製が一般的で、形状は俵型が一般的である。
【0065】
上記のアンカー32及び43の材質は一般に鋼鉄もしくはコンクリートを用いるが、水面埋立処分場の廃掃法の規制により鋼鉄もしくはコンクリートが使用できない場合は、水面埋立処分場の埋立材と同じ材料を生分解性フレキシブルコンテナバックに詰めたものや、当該材料のみで作成したブロック等を使用する。これによりアンカー32及び又は43が万が一埋立処分場内に残留しても廃掃法の規制違反とならないようにすることができる。
【0066】
上記のワイヤー33及び44は、可
撓性を有する樹脂製や金属製等のものを使用することができる。
【0067】
<水面埋立処分場の埋立方法>
次に本実施形態の埋立装置1の運転方法について、
図8を用いて説明する。
【0068】
本発明の埋立方法における排出部5では、埋立て開始初期には、
図8(A)に示すように、排出口51を水底62に対向して配置する。スラリーが埋立てられて、排出口51が埋立てられた石炭灰等の中に埋没し、スラリーの排出量が所定の排出量を下回った場合は、排出口51を所定の位置に引き上げる。排出口の引上げ方法には、排出管50の長さは一定として連結部4を引き上げる方法と、連結部4の少なくとも一部を水面に浮上させたまま、排出管50の長さを変更する方法とがある。後者の方法としては、
図8(B)に示すように、連結部4に設置された吊上装置42を用いて排出口51を既に埋立てられた石炭灰等の中に埋没している範囲で引上げ、スラリーの埋立てを継続する。このように排出口51の位置を管理することにより、埋立てる石炭灰等が水中に拡散することを抑制することができ、石炭灰等の埋立密度を大きく向上することができる。
【0069】
連結部4に、
図2に示すスラリー受ホッパー401による間接接続方式を採用した場合は、当該ホッパー401のスラリーの上面レベルの状態を観察することにより、スラリーの詰まりを検出することができる。スラリー供給量を所定の量で一定としているときに、当該ホッパー401のスラリーの上面レベルが上昇してきたときには、吊上装置42により排出口51を吊上げてスラリーの上面レベルが一定以下となるように調整する。
【0070】
スラリー中の排出口51の埋設深さの検出は、例えば以下の方法により行う。まず、吊上装置42のワイヤー422が巻き出されている長さから連結部4と排出口51との距離を測定する。サウンジング式レベル系等により、連結部4から排出口51が埋没している石炭灰等の表面までの距離を測定し、連結部4と排出口51との距離と連結部4から排出口51が埋没している石炭灰等の表面までの距離との差から、排出口51の石炭灰等の中への埋設深さを算出する。また、スラリー受ホッパー方式を採用した場合は、当該ホッパー内のスラリーの上面レベルを監視することにより石炭灰等の中の排出口51からの埋立対象物の排出状況を推定し、埋立対象物の堆積量を推定することができる。
【0071】
上記の埋立て作業により、一つの埋立地点の埋立が完了したときは、排出部5及び連結部4をボート等で曳航して次の埋立地点に移動する。その際、スラリー供給源2から連結部4までの距離が変動するので、その距離に合わせて輸送部3の長さを調整する。
【0072】
直接接続方式において輸送管30、接続部40又は排出管50に詰
まりが生じた場合には、配管パージを実施する。
【0073】
間接接続方式において排出管50に詰まりが生じた場合は、スラリー受ホッパー401に投入されたスラリーが当該スラリー受ホッパー401の容量を超えてしまう。このような場合に備え、連結部4にスラリー受ホッパー401を2つ以上設けることで対処ができる。即ち、
図5に示すように複数のスラリー受ホッパー401の間をバイパス管402により連結することで、詰
まりが生じた排出管50の上部のスラリー受ホッパー401から他のスラリー受ホッパー401及び排出管50にスラリーが流れるようにする。この構成により、排出管50に詰
まりが生じた場合にもスラリー供給源2を停止する必要がなく、他のスラリー受ホッパー401及び排出管50で所定の埋立が継続できることとなる。
【0074】
1日のスラリー埋立作業が終了した時には輸送管30の洗浄を実施する。
図2に示す間接接続方式の場合は、洗浄水はスラリー供給源2から輸送管30を経てスラリー受ホッパー401に排出される。輸送管30に洗浄水を直接供給する洗浄水配管34を別に設けてもよい。この時当該スラリー受ホッパー401の下部の排出管50にスラリーを流すための開口部は蓋や閉塞用ボール等でふさぐか、若しくは排出口51を吊上装置42で吊上げ、排出口51を既に埋立てられたスラリー面より上部に配置することにより、
該排出部に水が流入しないようにする。これにより洗浄水が埋立てたスラリー中に流入・拡散して、埋立密度が低下することを防止できる。蓋や閉塞用ボール等でふさぐ場合には洗浄水を水中に放出するための別系統の排水管を設ける。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の埋立装置1によれば、スラリー状の埋立対象物をスラリー供給源から水面埋立処分場の任意の埋立地点まで移送する水平搬送経路という構成と、水平搬送経路によって移送された埋立対象物を鉛直方向に移送する鉛直搬送経路という構成とを備えており、スラリー状の埋立対象物が放出される上記鉛直搬送経路の先端側の開口部が上記埋立地点の水底に対向配置又は上記水底に堆積する上記埋立対象物中に埋設可能であることから、上記開口部から放出される際に埋立対象物が水中に拡散することを抑制することができるので、埋立密度を高めることができる。
従って、水面埋立処分場を有効に利用できるので、処分場の延命化を図ることが可能となる。
【0076】
また、本実施形態の埋立装置1によれば、間接接続方式とすることにより、スラリー状態を確認することができる。さらに、間接接続方式としてスラリー受ホッパー401を採用した場合は、スラリー面を目視で確認できるという効果がある。スラリーが埋立てられて排出口51からスラリーの排出が困難になるタイミングを、スラリー受ホッパー401のスラリーの上面レベルが上昇することで確認することができる。
【0077】
また、本実施形態の埋立装置1によれば、排出管50に二重管構造を採用した場合は、二重管の外管502と内管501が摺動可能とすることで、波浪時などに生じる水面の搖動を吸収し、排出口51の標高位置を安定させることができる。
【0078】
また、本実施形態の埋立装置1によれば、浮子31を輸送管30に接続して輸送管30を水底62から浮かせることにより、輸送管30の移動の際の抵抗を減少し、輸送部3の先端に接続された連結部4及び排出部5を水面埋立処分場6の任意の位置に容易に移動させることが可能となる。
【0079】
また、本実施形態の埋立装置1によれば、2以上の連結部4を有し、各連結部の間を連結するバイパス管を備える構成とすることにより、排出管50に詰まりが生じた時に、詰
まりが生じた排出管50の上部のスラリー受ホッパー401から他のスラリー受ホッパー401及び排出管50にスラリーが流れるようにすることができる。この構成により、一箇所の排出管50に詰
まりが生じた場合にもスラリー供給源2を停止する必要がなく、他のスラリー受ホッパー401及び排出管50で所定の埋立を継続することができる。
【0080】
<他の実施形態>
次に、本発明を適用した他の実施形態である埋立装置について説明する。
【0081】
図6は、本実施形態に用いる水面埋立処分場の水面に浮揚可能なユニット型水上フロート(ユニット型の水上フロート)300の構成を示す系統図で、
図7は当該ユニット型水上フロート300を3台接続して構成した輸送部の説明図である。
本実施形態のスラリー供給源2、連結部4及び排出部5は、上述した実施形態と同様であるので説明を省略し、異なる輸送部3について説明する。
【0082】
本実施形態の埋立装置における輸送部は、
図7に示すように、複数のユニット型水上フロート300が可撓性を有するユニット連結管303により連結され、水面埋立処分場の任意の埋立地点とスラリー供給源との間に亘って設けられることにより構成される。
【0083】
ユニット型水上フロート300は、
図6に示すように、浮子301と台座304を連結部材305により結合して基礎とし、その基礎の上にユニット型輸送管302を設置する。そして、隣接するユニット型水上フロート300のユニット型輸送管302との連結は、ユニット連結管(配管ユニット)303で連結するが、ユニット連結管303は、ユニット型水上フロート300の上下左右の搖動を吸収するために可撓性を有する管を用いる。ユニット型水上フロート300はワイヤー307をアンカー306に接続することにより水上の所定の位置に保持することができる。ユニット型水上フロート300の大きさは、例えば12.65m×3.30mのものを基本ユニットとして、陸上での輸送および水上での移動が容易な寸法で調整し製作する。スラリー供給源2と排出部4との距離が、前記の12.65mを超える場合は、基本ユニットを複数連結させて水面埋立処分場6内の埋立地点まで輸送距離を伸ばしてスラリーの埋立を行う。台座304にはエキスパンドメタルやパンチングメタル等を用いることができる。連結部材305には、一般的にはL型鋼やH型鋼が用いられるが、これに限定されない。
【0084】
上記の浮子301は、当該浮子に接続される装置を水面に浮上させる浮力を有するものであって、プラスチック製、金属製、木製等のものを使用できるが、プラスチック製が一般的で、形状は俵型が一般的である。
【0085】
上記のアンカー306の材質は一般に鋼鉄もしくはコンクリートを用いるが、埋立処分場の規制により鋼鉄もしくはコンクリートが使用できない場合は、埋立処分場の埋立材と同じ材料を生分解性フレキシブルコンテナバックに詰めたものや、当該材料のみで作成したブロック等を使用する。これによりアンカー306が万が一埋立処分場内に残留しても廃掃法の規制違反となることがない。
【0086】
上記のワイヤー307は、可
撓性を有する樹脂製や金属製等のものを使用することができる。
【0087】
以上説明したように、他の実施形態の埋立装置によれば、輸送部3を同一形状の基本ユニットを連結して製作することができるので、埋立地点がスラリー供給源2から遠く離れていても、基本ユニットを複数連結することで、任意の埋立地点まで延長していくことができる。すなわち、広大な水面処分場の任意の位置への埋立を可能にすることができる。また、同一形状のユニットとすることで、設計費や材料調達費用等の製作コストを節減でき、コスト低減効果が得られる。
【0088】
なお、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。