【文献】
「新田ゼラチン(株) 再構成用緩衝液(コラーゲン・ゲル培養用)(635-00791)」, 和光純薬工業(株)製品詳細情報, 2014, online, <URL: http://www.siyaku.com/uh/Shs.do?dspCode=W01N1063-0079> , [retrieved on 13 Sep. 2016]
【文献】
J. Oral Tissue Eng. (2006) vol.3, no.3, p.118-124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
周知のように、コラーゲンは構造蛋白質成分であるが、真皮(dermis)、腱/靭帯(tendon/ligament)、血管などの軟組織、そして骨のような硬組織で構成されて、哺乳類の場合、全体蛋白質の1/3位を占めている。
【0003】
コラーゲンの形態は20種以上が知られており、皮膚や腱/靭帯、骨などを構成するコラーゲン1型(type1)がコラーゲンのうちの90%位を占めている。
【0004】
コラーゲンの構造は3本筋で構成された分子量(molecular weight)300,000ダルトン(dalton)(1本筋100,000dalton位)の蛋白質であり、アミノ酸のうち、最も小さい単位(分子量の最も小さい)であるグリシン(Glycine)が反復的に(−GX
Y−;Glycineは継続反復的に、X、Yは変わる構成)連結されている。
【0005】
コラーゲンを現在医療用に使用している分野は、材料分野は止血剤、創傷被覆材、人工血管、皺改善用材料などに使われており、止血剤の場合には1974年、牛皮(calf skin)から抽出したコラーゲン粉末形態であるアビテン(Aviten)という製品が最初に開発
されて現在までも使われている。
【0006】
このようなコラーゲンは、低い抗原性/高い生体適合性、及び生体吸収性/細胞の付着、成長、及び分化誘導/血液凝固/止血効果/他の高分子との適合性などの長所を有している。
【0007】
しかしながら、コラーゲンを純粋に用いて作る製品の場合には、物性(引張強度、弾性、分解性など)が弱くて物性が要求される施術には多少困難性がある。したがって、他の高分子の物性を活用して引張強度や裂かれ強度を生体適合物質(合成高分子、生体蛋白質、炭水化物、及びその他の化合物)を混合して製品化されている。
【0008】
また、製品の物性の補強は化学物質を用いて剤形化しているが、使われる化合物の多くは人体に有害な物質である。
【0009】
従来の先行技術文献には、大韓民国特許登録第0837858号(出願番号第2006−0129466号)(名称:放射線照射による豚皮コラーゲンの水溶性オリゴペプチドの製造方法)が登録されたことがある。
【0010】
即ち、前述した従来の技術は豚皮コラーゲンを50〜300kGy範囲γ−rayの放射線照射を実施し、前記放射線照射を実施した豚皮コラーゲンを豚皮コラーゲンの5〜10倍量(W/V)の0.05〜0.1MのNaCl溶液下で湧出させて水溶化させるステ
ップと、水溶化されたコラーゲンに酵素としてパパインを0.5〜1%添加し、0.5〜4時間の間処理して分子量が各々10,000〜5,000dalton、5,000〜3,000dalton、3,000〜1,000daltonの合わせ型オリゴペプチドに分画させるステップとを含むことを特徴とする、放射線照射による豚皮コラーゲンの水溶性オリゴペプチドの製造方法を提供する。
【0011】
前記の従来技術は、
(第1ステップ;豚皮コラーゲンの水溶化技術)
豚皮コラーゲンの水溶化は豚皮に付いている挟雑物(過度な脂肪及び不純物)を除去した後に水洗する工程と、水洗した豚皮を適当なサイズに細切して超音波を用いて粗粉砕する工程と、粗粉砕された豚皮を50〜300kGyで放射線照射して試料の5〜10倍量(W/V)の0.10MのNaCl溶液、以下、好ましくは0.05〜0.1MのNaCl溶液の塩濃度で湧出する工程で構成される。この際、水溶化の適正条件は100kGy以上で表れた。既存の方法は多量の酸とアルカリの化学物質を使用しなければならないことに反して、酸または塩を使用しなくても非常に高い収率(既存の4倍以上)の水溶性低分子物質を生産することができる。
【0012】
(第2ステップ;酵素を用いた合わせ型オリゴペプチドの製造)
放射線処理した豚皮にパパインのような加水分解酵素を添加して水溶化成分を分離するものである。放射線処理した豚皮に0.5〜1%のパパインを添加して0.5〜4時間の間処理すれば、従来の方法より低分子化が早く起こるようにする工程と、低分子化された成分は限外濾過法を用いて分子量別に分画する工程と、各々の分画されたペプチド成分を凍結乾燥して豚皮コラーゲン由来合わせ型オリゴペプチドを製造する工程とを含む。
【0013】
しかしながら、前記の従来の技術も次のような多い問題点が発生した。即ち、前記従来の技術はコラーゲンを高分子化させたものではなく、低分子化する技術であるので、コラーゲン自体の剤形化及び生体適合した物質と混合して剤形化できないという大きな問題点が発生した。
【0014】
したがって、前記従来の技術はコラーゲンが低分子化されてハイドロゲル化された剤形を作られないので、創傷被覆材、移植材、そして細胞培養などに使用可能な方法を提供できないという大きな問題点も発生した。
【0015】
結果的に、前記従来の技術は産業的に目的に一致し、簡便で、かつ安全な製造方法を提供できないという問題点も発生した。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、このような効果の達成のための本発明の好ましい実施形態を添付した図面に従って詳細に説明すれば、次の通りである。
【0031】
本発明に適用された放射線架橋化されたコラーゲンゲル及びその製造方法と使用方法は、
図1乃至
図19に図示したように構成されるものである。
【0032】
以下、本発明を説明するに当たって、関連した公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0033】
そして、後述する用語は本発明での機能を考慮して設定された用語であって、これは生産者の意図または慣例によって変わることがあるので、その定義は本明細書の全般に亘る内容に基づいて定義されるべきである。
【0034】
まず、本発明の放射線を活用して剤形化する技術は、自由ラジカルの架橋化として説明することができるが、放射線架橋化に使用できる方法は、ガンマ線照射、電子線照射、X−ray照射などがある。
【0035】
ガンマ線はコバルト−60放射線同位元素から出る短波長光であって、高浸透力を有する波長であり、主に医療用製品の滅菌だけでなく、高分子素材の物性改善及び宝石の着色など、多様な分野に使われている。
【0036】
電子線は電気的に高熱で加熱されたタングステンで生成される熱電子に高電圧を加えて加速することによって、高い運動エネルギーを有する光束の電磁波である。電子線はガンマ線やX線のようなイオン化エネルギーであって、活用目的によって線量を調節することができ、多様な産業分野に適用できる。
【0037】
放射線照射は化学的物質が添加されない条件で、温度、湿度、圧力の影響をほとんど受けない状態で照射が可能であり、滅菌方法が簡単であるので処理費用も安いので経済的に有用な方法である。
【0038】
放射線を用いる方法は、他の一般的なホルムアルデヒドなどを使用する化学的架橋反応と比較して有害な残留架橋剤を除去する必要がなく、固体状態や低温にても化学反応を起こすことができる。そして、放射線照射量を調節して組成物を変化させず、物理的特性を自由に活用可能であるので、放射線を用いた高分子加工方法は傷及び火傷治療用ハイドロゲル、生体材料産業など、多様な分野で研究開発されている。
【0039】
水溶性溶媒の内の一般的な放射線化学理論に従ってコラーゲン溶液は放射線照射により生成されたハイドロキシルラジカル(Hydroxylradical(0H)で架橋反応が生じ、放射
線を用いたコラーゲン架橋が可能である。
【0040】
架橋反応はラジカル重合(Radical polymerization)により進行されるが、連鎖反応であるラジカル重合は、一般的に、開始、伝播または成長、停止及び移動などの反応に進行される。この際、ラジカルを用いて物質を高分子化するための開始反応で、開始剤としてラジカル生成をしなければならないが、容易に制御するための過酸化物やアゾ化合物のような化学物質を使用する。一方、開始剤として化学物質を使用せず、熱、光、及び放射線などのエネルギーによってもラジカルが生成されるが、化学物質は使用しないで架橋化が可能である。放射線によるラジカルは液状の水分子にエネルギーが供給されるか、物質にエネルギーが供給されて自由ラジカルが生成されるが、この自由ラジカルが物質の架橋化に影響を及ぼす。放射線照射線量によって架橋化の程度が進行され、生成された自由ラジカルが消耗されれば停止/移動されるステップを経るようになる。このように、放射線照射線量を調節することによって、物質の架橋化程度を調節することができる。
【0041】
放射線処理された物質は架橋化程度によって高分子化された溶液の形態やハイドロゲルの形態を帯びるようになる。
【0042】
コラーゲンは相転移高分子の特性を有する。相転移高分子は、温度、pH、電気場、そして光などのような外部刺激に敏感に感応して物性が変化する高分子をいう。この際、温度により物性が変化される高分子を温度感応性高分子という。特に、コラーゲンは温度感応性高分子の特性を有する。コラーゲンは温度が低ければ液状であったが、低温臨界温度範囲に置かれれば不透明のゲル状に変わる。
【0043】
これは、低温臨界溶液温度(LCST)以下の温度では水と水素結合により溶解されているから、温度が増加するにつれて水素結合が解離されて高分子同士固まりながらゲル化または沈殿が形成されることと解釈されている。この際、ゲルが形成される時の結合は物理的な結合であって、共有結合のような強い結合でない疎水性結合や極性結合などの分子間は力に起因し、一般的に中性化された高分子においては疎水性相互作用により生成され
るものと知られている。
【0044】
放射線により部分的に架橋されたコラーゲン溶液も温度感応性高分子の特性を有する。特に、部分的に架橋されたコラーゲン溶液は高分子化されてゲルを形成した時、透明/半透明な剤形だけでなく、相対的に高い弾性を表している。
【0045】
部分架橋化されたコラーゲン溶液は細胞培養のための道具として利用できる。一般の純粋なコラーゲンを用いた剤形では、ゲル化された時、不透明な剤形と低い弾性を表している。また、ゲル化時間も部分架橋化されたコラーゲン溶液を使用すれば短縮できる長所がある。
【0046】
部分的に架橋化されたコラーゲン溶液は、組織工学分野と化粧品分野などで使用することができる。特に、組織工学分野で細胞培養を通じた支持体として使用可能であり、コラーゲンゲルを生成して培養する方法、コラーゲン膜を生成して培養する方法、そして細胞と混合してゲル化させて培養する方法に活用できる。特に、このように培養された培養物は細胞の特性及び剤形によって各々の意図した用途に使われている。
【0047】
放射線架橋を通じたコラーゲンハイドロゲルは、クリスタル化されたコラーゲン(Crystalizedcollagen)形態を帯びるようになるが、生体適合性、合成物の柔軟な物性、及び
要求される物性への剤形化等により、創傷被覆、化粧品、及び再生医学など、多様な分野でバイオティッシュ(Bio-Tissue)概念として使われている。物理的架橋により形成されたゲルは人体に有害な化学的架橋剤を使用しないので、医療用材料として注目されている。このような方法により製造された製品は、製品化し易く、人間及び環境に安全な物質形態であり、多様な剤形化が可能であるという長所がある。
【0048】
したがって、このような高分子は、薬物伝達体、細胞伝達体、注入型細胞外基質により、組織工学分野に使用できるよい材料である。
【0049】
放射線を用いた技術は物質に基づいて医療機器の開発も期待することができる。コラーゲンを応用した物質と放射線を活用した機器(例として、X−rayやガンマナイフ)が適用される施術が研究開発されれば、組織工学的に大きい発展に導くことができることと判断される。
【0050】
前記放射線架橋化されたコラーゲンゲルは、次の通り構成される。
【0051】
即ち、本発明は、
図1に示すように、液状のコラーゲンに放射線を照射してコラーゲ
ン架橋物質を製造することを特徴とする。
【0052】
この際、前記放射線は、ガンマ線、電子線、またはX−rayのうちから選択されたいずれか1つを使用することができることは勿論である。
【0053】
そして、前記本発明に適用されたコラーゲンの濃度は0.1〜10%(W/V)が含まれ、放射線の線量(線率×時間)は1kGy/hrを基準に0.1〜40キログレー(kGy)が含まれることが好ましい。
【0054】
この際、前記コラーゲンの濃度が0.1%以下の場合には部分架橋されたコラーゲンがゲル化させることに架橋程度が低いため、使用目的から外れる問題点があり、前記コラーゲンの濃度が10%以上の場合には、現在の技術には一定の分布の濃度を混合することに困難性があるため、前記コラーゲンの濃度は0.1〜10%(W/V)が含まれることが好ましい。
【0055】
そして、前記放射線の線量が0.1以下の場合には部分架橋されたコラーゲンがゲル化させることに架橋程度が低いため、使用目的から外れる問題点があり、前記放射線の線量が40以上の場合にはコラーゲンが部分的に架橋でない分解が起こる現象が発生するため、前記放射線の線量は0.1〜40キログレー(kGy)が含まれることが好ましい。
【0056】
一方、前記本発明に適用された放射線架橋化されたコラーゲンゲルの製造方法は、次の通りである。
【0057】
即ち、コラーゲン3%(W/V)と合成高分子であるプルロニック(Pluronic)(F−127)3%(W/V)、PEO(Polyethylen oxide、M.W.=100,000)1%
(W/V)、及びハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)3%(W/V)を各々混合後、ガンマ線を照射して架橋させて製造することができる。
【0058】
また、前記本発明に適用された放射線架橋化されたコラーゲンゲルの他の製造方法は、次の通りである。
【0059】
即ち、コラーゲン3%(W/V)と生体高分子であるヒアルロン酸(hyaluronic acid
)(M.W.=2,000K)3%(W/V)、コンドロイチンサルフェート(Chondroitin sulfate)3%(W/V)を各々混合後、ガンマ線を照射して架橋させて製造できる
ことは勿論である。
【0060】
また、前記本発明に適用された放射線架橋化されたコラーゲンゲルの更に他の製造方法は、次の通りである。
【0061】
即ち、コラーゲン3%(W/V)とシリコン原液(Dow corning、7−9800)、3%
(W/V)グリセリンとコラーゲン、6%(W/V)コラーゲンとPBSを各々混合した後、ガンマ線を照射して架橋させ、かつ前記PBS成分は最終体積の1mL当たり燐酸ナトリウム(2.8mg)と塩化ナトリウム(7.6mg)が含まれて放射線架橋化されたコラーゲンゲルを製造できるようになる。
【0062】
本発明は、前述した方法により
図2乃至
図6のような放射線架橋化されたコラーゲンゲルを得ることができるようになる。
【0063】
一方、本発明は上記の構成部を適用するに当たって、多様に変形されることができ、さまざまな形態を取ることができる。
【0064】
そして、本発明は上記の詳細な説明で言及される特別な形態に限定されるのでないことと理解されるべきであり、むしろ添付した請求範囲により定義される本発明の精神と範囲内にある全ての変形物と均等物及び代替物を含むことと理解されるべきである。
【0065】
上記のように構成された本発明の放射線架橋化されたコラーゲンゲル及びその製造方法と使用方法の作用効果を説明すれば、次の通りである。
【0066】
まず、本発明は化学的架橋による方法でない物理的な架橋方法を用いて剤形化されたコラーゲンゲルを製造することができ、特に生体適合した物質を混合して剤形化する一方、架橋化されてハイドロゲル化されたコラーゲンを創傷被覆剤、移植材、そして細胞培養などに使用可能な方法を提供するようになり、したがって、産業的に簡便で、かつ安全な製造方法を提供するようになる。
【0067】
発明の実施のための形態
(第1実施形態)
A.放射線照射量、5−40kGyに従う3%〜10%コラーゲンの架橋化程度分析
目的:コラーゲン濃度とガンマ線照射線量に従う物性分析
[方法]
1)濃度3%、6%、10%のコラーゲンをコンテナ(container)に用意する。
2)各々のコラーゲンは5、25、40kGyの線量でガンマ線照射する。
3)各条件別の架橋化されたコラーゲンの物性分析を進行する。
A)性状(透明度、ゲル化傾向)を肉眼確認する。
B)ハイドロゲルの収縮率(体積減少率)を確認する。
C)物性測定機を用いてゲル強度(最大応力)を確認する。
−機器:レオメータ(Rheo meter CR-500DX)
−条件:測定項目(ゲル強度)、進入距離(2.5mm)、テーブルスピード(50mm/min)、アダプタ(No.1φ15mm)
D)分解性をコラーゲナーゼ条件で残留日数にて確認する。
−コラーゲナーゼ濃度:0.1mg/mL in PBS
E)架橋されたコラーゲンを凍結乾燥後の重量と水化させた後の重量とを比較して水分含有量(含水可溶比)を分析する。
【0068】
[結果]
1)性状:透明なゲル状(40kGyでは弱い黄色を帯びる)
2)収縮率(体積減少率)(%)=(ガンマ照射された検体の総重量(g)−ゲル塊りの重量(g))/ガンマ照射された検体の総重量(g)×100
【0074】
5)水分含有量(含水可溶比)=(水分含水重量(g)−凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g))/凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g)
【0076】
(第2実施形態)
B.放射線照射量、5〜40kGyに従う3%−10%ゼラチンの架橋化程度分析
目的:ゼラチン濃度とガンマ線照射線量に従う物性を分析しようとする。
[方法]
1)濃度3%、6%、10%のゼラチンをコンテナ(container)に用意する。
2)各々のゼラチンは5、25、40kGyの線量でガンマ線照射する。
3)各条件別の架橋化されたゼラチンの物性分析を進行する。
A)性状(透明度、ゲル化傾向)を肉眼確認する。
B)ハイドロゲルの収縮率(体積減少率)を確認する。
C)物性測定機を用いてゲル強度(最大応力)を確認する。
−機器:レオメータ(Rheo meter CR-500DX)
−条件:測定項目(ゲル強度)、進入距離(2.5mm)、テーブルスピード(50mm/min)、アダプタ(No.1φ15mm)
D)分解性をコラーゲナーゼ条件で残留日数にて確認する。
−コラーゲナーゼ濃度:0.1mg/mL in PBS
E)架橋されたゼラチンを凍結乾燥後の重量と水化させた後の重量とを比較して水分含有量(含水可溶比)を分析する。
【0079】
2)収縮率(体積減少率)(%)=(ガンマ照射された検体の総重量(g)−ゲル塊りの重量(g))/ガンマ照射された検体の総重量(g)×100
【0085】
5)水分含有量(含水可溶比)=(水分含水重量(g)−凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g))/凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g)
【0087】
(第3実施形態)
C.コラーゲンと合成高分子の混合物質の放射線架橋製造物
目的:コラーゲンと合成高分子の混合物質を混合して剤形化可能性を確認しようとする。
[方法]
1)コラーゲン3%と3%(w/v)プルロニック(pluronic)(F−127)、PEO(Polyethylen oxide、M.W.=100,000)1%及び3%ハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)を各々混合後、ガンマ線(5、25kGy)架橋させる。
2)架橋化された混合物の物性分析を進行する。
A)性状(透明度、ゲル化傾向)を肉眼確認する。
B)ハイドロゲルの収縮率(体積減少率)を確認する。
C)物性測定機を用いてゲル強度(最大応力)を確認する。
−機器:レオメータ(Rheo meter CR−500DX)
−条件:測定項目(ゲル強度)、進入距離(2.5mm)、テーブルスピード(50mm/min)、アダプタ(No.1φ15mm)
D)分解性をコラーゲナーゼ条件で残留日数にて確認する。
−コラーゲナーゼ濃度:0.1mg/mL in PBS
E)架橋された混合物を凍結乾燥後の重量と水化させた後の重量とを比較して水分含有量(含水可溶比)を分析する。
【0090】
2)収縮率(体積減少率)(%)=(ガンマ照射された検体の総重量(g)−ゲル塊りの重量(g))/ガンマ照射された検体の総重量(g)×100
【0096】
5)水分含有量(含水可溶比)=(水分含水重量(g)−凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g))/凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g)
【0098】
(第4実施形態)
D.コラーゲンと生体高分子の混合物質の放射線架橋製造物
目的:コラーゲンと生体高分子の混合物質を混合して剤形化可能性を確認しようとする。
[方法]
1)コラーゲン3%と3%ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)(M.W.=2,000K
)と3%コンドロイチンサルフェート(Chondroitin sulfate)を各々混合後、ガンマ線
(5、25kGy)架橋させる。
2)架橋化された混合物の物性分析を進行する。
A)性状(透明度、ゲル化傾向)を肉眼確認する。
B)ハイドロゲルの収縮率(体積減少率)を確認する。
C)物性測定機を用いてゲル強度(最大応力)を確認する。
−機器:レオメータ(Rheo meter CR−500DX)
−条件:測定項目(ゲル強度)、進入距離(2.5mm)、テーブルスピード(50mm/min)、アダプタ(No.1φ15mm)
D)分解性をコラーゲナーゼ条件で残留日数にて確認する。
−コラーゲナーゼ濃度:0.1mg/mL in PBS
E)架橋された混合物を凍結乾燥後の重量と水化させた後の重量とを比較して水分含有量(含水可溶比)を分析する。
【0101】
2)収縮率(体積減少率)(%)=(ガンマ照射された検体の総重量(g)−ゲル塊りの重量(g))/ガンマ照射された検体の総重量(g)×100
【0107】
5)水分含有量(含水可溶比)=(水分含水重量(g)−凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g))/凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g)
【0109】
(第5実施形態)
E.コラーゲンと化学物質の混合物質の放射線架橋製造物
目的:コラーゲンと化学物質の混合物質を混合して剤形化可能性を確認しようとする。[方法]
1)コラーゲン3%と1Xシリコーン原液(Dow corning、7−9800)、3%グリセ
リンとコラーゲン6%とPBSを混合後、ガンマ線(5kGy)架橋させる。PBS成分は最終体積の1mL当たり燐酸ナトリウム(2.8mg)と塩化ナトリウム(7.6mg)が含まれている。
2)架橋化された混合物の物性分析を進行する。
A)性状(透明度、ゲル化傾向)を肉眼確認する。
B)ハイドロゲルの収縮率(体積減少率)を確認する。
C)物性測定機を用いてゲル強度(最大応力)を確認する。
−機器:レオメータ(Rheo meter CR−500DX)
−条件:測定項目(ゲル強度)、進入距離(2.5mm)、テーブルスピード(50mm/min)、アダプタ(No.1φ15mm)
D)分解性をコラーゲナーゼ条件で残留日数にて確認する。
−コラーゲナーゼ濃度:0.1mg/mL in PBS
E)架橋された混合物を凍結乾燥後の重量と水化させた後の重量とを比較して水分含有量(含水可溶比)を分析する。
【0112】
2)収縮率(体積減少率)(%)=(ガンマ照射された検体の総重量(g)−ゲル塊りの重量(g))/ガンマ照射された検体の総重量(g)×100
【0118】
5)水分含有量(含水可溶比)=(水分含水重量(g)−凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g))/凍結乾燥されたコラーゲン架橋化ゲル重量(g)
【0120】
(第6実施形態))
F.電子線を用いたコラーゲン架橋
目的:低線量を用いたコラーゲンの放射線架橋を通じた部分架橋化を誘導しようとする。部分架橋化されたコラーゲンを用いてゲル化溶液を混合して濃度及び線量に従う条件別にゲル化されることを確認する(
図9乃至
図11)。
[方法]
1)0.5、1.0%濃度のコラーゲン溶液(pH3.0)を用意する。
2)1.0%コラーゲンは、0.1、0.5、1.0kGy電子線量を照射する。
3)0.5%コラーゲンは、0.5、1.0、3.0kGy電子線量を照射する。
4)電子線照射された検体の性状を比較する。
5)部分架橋された溶液とゲル化溶液とを混合してゲル化現象を観察する。
(ゲル化溶液:2.2g NaHCO
3 0.05N NaOHを100mLとHEPESを200mM中)
A)ゲル化性状を肉眼及び分光測光器(Spectrophotometer)(410nm)で確認する。
B)物性測定機を用いてゲル強度(最大応力)を確認する。
【0124】
2)ゲル化性状(Spectrophotometer、410nm)
【0128】
(第7実施形態)
G.電子線を用いたコラーゲン部分架橋化傾向確認
目的:電子線を用いてコラーゲンの部分架橋化されて高分子化されることを確認しようとする。
[方法]
1)1.0%濃度のコラーゲンを0.1、0.5kGy電子線量を照射する。
2)次のような条件で各検体をHPLC分析する。
A)機器:waters HPLC system
B)コラム:Ultrahydrogel 250、1000
C)サンプル濃度:0.1%(1mg/mL)
D)注入容量:50uL
E)流れ速度:1mL/min
F)分析時間:15分
【0129】
(第8実施形態)
H.放射線架橋されたコラーゲンのハイドロゲル化及び回復率、創傷被覆剤、化粧品(マスクパック)用途などへの使用可能性
目的:放射線架橋されたコラーゲンがハイドロゲル化に製造されることと、乾燥時、フィルム型に製造可能であることを確認しようとする。また、フィルム型に製造された剤形が水分を含まれて回復されることを確認しようとする。本実験はハイドロゲルの形態に適用するための基礎実験として進行しようとする。
[方法]
1)3%、6%コラーゲンをdishに用意する。
2)各々のコラーゲンは5、25kGyの線量でガンマ線照射する。
3)ハイドロゲル化されたコラーゲンを室温乾燥させる。
4)フィルム形態の弾性確認後、蒸溜水を含めてハイドロゲル化させて回復率を確認する。
[結果]
【0131】
水分回復率(%)=(水分吸収されたハイドロゲルの厚さ(mm)/乾燥前のハイドロゲルの厚さ(mm))×100
【0132】
(第9実施形態)
I.放射線架橋されたコラーゲンの移植材としての使用
目的:放射線架橋されたハイドロゲル剤形をパーティクル化して移植材として剤形化するか否かを確認しようとする。
[方法]
1)放射線架橋されたハイドロゲル剤形をホモゲナイザーを用いて粉砕する。
2)ハイドロゲルを粉砕する条件は、次の通りである。
A)機器:Homogenizer(IKA T25 digaital ultra-turrax)
B)粉砕条件:rpm=4.0−240.0、1/min×100
3)シリンジに充電させた後、注射針を装着して注射する。
【0133】
(第10実施形態)
J.放射線架橋化されたコラーゲンの熱安全性
目的:放射線架橋されたコラーゲンの熱による安全性を確認しようとする。この際、熱
による変性及び熱処理後、ハイドロゲルの特性を維持程度も確認する。
[材料及び実験条件]
1)材料:3%コラーゲン(pH3.0)
2)架橋条件:コラーゲン溶液、5kGy、25kGy、40kGy(ガンマ架橋)
3)熱処理条件:40、60、80℃(熱処理時間:1時間)
[方法]
1)放射線架橋されたコラーゲンを適当サイズに用意して重量測定する。
2)適当サイズに用意した架橋化コラーゲンを容器に入れて水槽で1時間の間各々の温度条件を加える。
3)温度加熱後、コラーゲンゲルの性状及び重量を確認する。
4)熱処理に従う重量変化を確認する。但し、架橋化されないコラーゲンの変性したか否かは冷蔵温度条件でゲル化されることによって確認する。
(残存率(%)−100−{(最初重量−熱処理重量)/最初重量*100})
5)変形されたコラーゲンゲルの水化したか否かを確認する。水化条件は水で1時間及び24時間の間進行する。
(回復含水率(%)=回復含水重量/コラーゲンハイドロゲル最初重量*100)
6)60℃条件では水が含まれた状態でゲル性状が変化したか否かを確認する。
[結果]
【0138】
前述した本発明は放射線を用いてコラーゲンを架橋化させる方法であって、ハイドロゲル化させて、創傷被覆材、移植材等に活用することを目的とする。全ての架橋化は室温条件で進行される。
【0139】
このために本発明は、次のような多様な使用方法により放射線架橋化されたコラーゲンゲルを使用するようになる。
【0140】
第1に、
図17のように低線量を用いたコラーゲンの放射線架橋を通じて部分架橋化を誘導し、かつ部分架橋化されたコラーゲンとゲル化溶液を鋳型に注いでゲル化させた後、前記ゲル化させたゲルに細胞と培養液を注いでゲルの上に細胞を培養し、このように培養された製造物を化粧品成分と混合してハイドロゲルに使用したり、または化粧品成分をハイドロゲルに混合してマスクパックに使用したり、またはハイドロゲル創傷被覆剤に使用したり、または損傷された皮膚に使用したり、または皮膚移植に使用できるようにすることは勿論である。
【0141】
第2に、
図18のように、低線量を用いたコラーゲンの放射線架橋を通じて部分架橋化を誘導し、かつ部分架橋化されたコラーゲンはゲル化溶液と混合してゲルを形成し、前記ゲルを乾燥してフィルムのような薄膜を形成し、以後、前記膜に細胞と培養液を注いで細胞培養をし、このように培養された角膜細胞を膜に培養して眼球に移植して使用できるようにすることは勿論である。
【0142】
第3に、
図19のように、低線量を用いたコラーゲンの放射線架橋を通じて部分架橋
化を誘導し、かつ部分架橋化されたコラーゲンとゲル化溶液、そして細胞を相互混合して培養し、以後、前記培養された製造物を細かく粉砕して注射容器に入れて注入状の皮膚または骨の移植材に使用できるようにすることは勿論である。
【0143】
この際、前記本発明に適用された前記ゲル化溶液は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、及びヘペス(HEPES)が混合されることが好
ましい。