(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228978
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】無線ベースのロッキングシステムを利用した位置決め
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20171030BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20171030BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20171030BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20171030BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20171030BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20171030BHJP
【FI】
G01S5/14
H02J50/10
H02J50/80
H02J50/90
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
B60L11/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-525835(P2015-525835)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公表番号】特表2015-531064(P2015-531064A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】EP2013066251
(87)【国際公開番号】WO2014023651
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年12月18日
(31)【優先権主張番号】102012214201.0
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391009671
【氏名又は名称】バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】バルブル アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー イェンス
(72)【発明者】
【氏名】クラマー ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァガタ ヘルムート
【審査官】
三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/090613(WO,A1)
【文献】
特開2007−146415(JP,A)
【文献】
特開2011−075448(JP,A)
【文献】
特開2011−160515(JP,A)
【文献】
特開2007−159359(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0264082(US,A1)
【文献】
特表2011−515598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00− 5/14
H04W 64/00
B60L 1/00−15/42
H02J 7/00
H02J 50/00−50/90
B60R 25/00−25/40
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ベースの自動式車両セキュリティユニットとアクセス制御装置(21)とを具備した車両(1)を含み、さらに、前記車両セキュリティユニットに割り当てられるアクセス要素を含むシステムであって、前記車両セキュリティユニットが複数の低周波送信アンテナを有し、前記アクセス要素(30)が低周波受信器を有し、さらに前記アクセス制御装置によって、前記車両に対する前記アクセス要素の相対的な空間位置を、前記各送信アンテナと前記受信器の間の電磁波測距測角原理により算出可能であるシステムにおいて、
‐該システムに、一次コイル(4)を有する車外の電磁誘導式充電ユニット(3)が含まれていること、
‐前記車両に、前記電磁誘導式充電ユニットのところで前記車両を電磁誘導方式により充電するための二次コイル(2)が含まれていること、
‐前記電磁誘導式充電ユニットが、少なくとも一つの低周波受信アンテナ(7、8)を有していること、
‐前記一次コイル(4)に対し前記二次コイル(2)を位置決めするために、前記アクセス制御装置により、前記電磁誘導式充電ユニットの車両に対する相対的な所在位置の算出を、前記複数の低周波送信アンテナのうちの少なくとも二つの送信アンテナと前記少なくとも一つの受信アンテナの間の電磁波測距測角原理により実行可能であること、
を特徴とする、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
‐電磁誘導方式による充電のために、前記二次コイルが、前記一次コイルを基準とした前記二次コイルの好ましい空間的な位置領域内にある充電位置を取ること、
‐前記充電位置を確立するために、該システムが前記所在位置および前記充電位置に基づいて、前記二次コイルが前記充電位置を取ることができるために辿ればよいとされる走行トラジェクトリを算出すること、
を特徴とする、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
‐前記アクセス制御装置が、少なくとも二つの送信アンテナを駆動すること、
‐前記アクセス制御装置に、第1の高周波通信ユニットが含まれること、
‐前記電磁誘導式充電ユニットが、電磁誘導制御装置を有すること、
‐前記電磁誘導制御装置に、第2の高周波通信ユニットが含まれること、
‐前記電磁誘導制御装置が、前記少なくとも一つの受信アンテナに対して、電磁波測距測角測定ユニットとして割り当てられて、前記少なくとも一つの受信アンテナの電磁誘導信号を測定すること、
‐前記電磁誘導制御装置から、前記各電磁誘導信号を前記アクセス制御装置に向けて伝送可能であること、
‐前記アクセス制御装置が、演算ユニットとして、前記各電磁誘導信号を利用して、三角測量により前記所在位置を算出すること、
を特徴とする、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、
‐前記所在位置に基づいて、前記アクセス制御装置または前記車両のさらに別の制御装置が前記走行トラジェクトリを算出すること、
‐前記車両が、前記走行トラジェクトリに対応した走行操作を自発的に実行するか、または前記車両が、適切なマンマシンインターフェースを介して、前記車両の運転者に向け、前記走行トラジェクトリに対応した走行操作を出力すること、
を特徴とする、システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のシステムのための方法であって、
‐a)第1の高周波通信ユニットが、符号化された探索信号を発信する工程、
‐b)電磁誘導制御装置が前記探索信号を受信し、第2の高周波通信ユニットが符号化された肯定応答信号をアクセス制御装置に向けて発信する工程、
‐c)前記アクセス制御装置および前記電磁誘導制御装置が、少なくとも二つの送信アンテナと少なくとも二つの受信アンテナの間の初期化ルーチンを実行する工程、
‐d)前記少なくとも二つの送信アンテナが、符号化された電磁位置決め信号を放出する工程であって、その際、前記位置決め信号の磁気成分は、車両座標系に関して所定の場の配向性と、所定の場の強さとを併せ持っている、工程、
‐e)少なくとも一つの受信アンテナが、前記少なくとも二つの送信アンテナの少なくとも二つの位置決め信号を受信し、前記電磁誘導制御装置が、それぞれの位置決め信号について、その位置決め信号のコードにより前記少なくとも二つの送信アンテナのうちの一つに対する帰属関係が明確にされている磁場ベクトルを測定する工程、
‐f)前記電磁誘導制御装置が、前記磁場ベクトルを前記アクセス制御装置に向けて伝送する工程、
‐g)前記アクセス制御装置が、三角測量法に基づき、前記各受信アンテナを基準とした、前記各送信アンテナの、前記所在位置を明確に記述している局所的な状況を計算する工程、
‐h)前記アクセス制御装置または前記車両のさらに別の制御装置が、二次コイルが充電位置を取ることができるようにするために辿ればよいとされる走行トラジェクトリを算出する工程、
から成る方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
‐前記車両の走行操作の際に、前記走行トラジェクトリを更新するために、請求項5に記載の方法の工程d)からh)がリアルタイムで繰り返されること、
‐前記充電位置に到達すると、前記更新された走行トラジェクトリが停止操作を記述すること、
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ベースの自動式車両セキュリティユニットとアクセス制御装置とを具備した車両が含まれており、さらに、前記車両セキュリティユニットに対して割り当てられているアクセス要素も含まれているシステムであって、前記車両セキュリティユニットが複数の低周波送信アンテナを有しており、また前記アクセス要素が低周波受信器を有しており、さらに前記アクセス制御装置により、前記アクセス要素の前記車両に対する相対的な空間位置を、前記各送信アンテナと前記受信器間の電磁波測距測角原理により算出可能であるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるような従来技術によれば、アクセス要素の検査ないしは認証のために、無線ベースの様々な自動式車両セキュリティユニットが利用されるようになっている。このアクセス要素は、通常は無線キーであるが、これを使用することにより、特定の車両のユーザは、この車両に対して割り当てられているキーを積極的に利用しなくとも、この車両にアクセスすることができる。このため、これらの車両セキュリティユニットは、無線ベースのロッキングシステムとも呼ばれる。
【0003】
それ以外にも現代の無線ベースのロッキングシステムでは、ロッキングシステムを利用して無線キーの空間位置を測定することにより、無線キーが車両の室内にある場合は、車両をロックすることが不可能となっている。
【0004】
オール電化ドライブトレイン搭載車は、大抵の場合、外部充電源への充電インターフェースを利用できるようになっている。例えば車両の電気化学的エネルギ貯蔵器を充電するために、通常はケーブルを接続することにより、または電磁誘導方式により、電力の伝送が行われる。
【0005】
ケーブルに接続して行われる充電方法では、充電工程を実行するために、充電ケーブルを使用して、例えば充電ステーションなどの外部充電源に車両を接続してやらなければならない。電磁誘導方式による充電方法では、車外の一次コイルの励起電磁場により、車両側の二次コイルへの電力輸送が、この二次コイルにおける電磁誘導を利用して行われる。その際の電力の伝送効率は、一次コイルに対する二次コイルの相対的な空間位置により左右される。二次コイルが一次コイルに対して相対的に好ましい位置領域内にある場合は、充電時に電力損失として発生する励起電力の比率が近似的に最小限となる。
【0006】
二次コイルをこの充電位置に移動させるという課題は、従来技術の目的となっている。例えば特許文献2には、一次コイルを具備した車両のための、フロアに配置されているこの一次コイルのケースの反射特性を利用した電子式位置決め支援システムが説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0984123号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第2011/006884号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、無線ベースの自動式車両セキュリティユニットとアクセス制御装置とを具備した車両が含まれており、さらに、この車両セキュリティユニットに対して割り当てられたアクセス要素も含まれているシステムであって、車両が複数の低周波送信アンテナを有しており、またアクセス要素が低周波受信器を有しており、さらにアクセス制御装置により、アクセス要素の車両に対する相対的な空間位置を、各送信アンテナと受信器間の電磁波測距測角原理により算出可能であるシステムにおいて、改良型のシステムを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1にしたがったシステムにより解決される。本発明の有利な実施形態および展開構成例は、それぞれの従属クレームから明らかにされる。
本発明によれば、このシステムには、一次コイルを有する車外の電磁誘導式充電ユニットが含まれているが、そこでは車両が、この電磁誘導式充電ユニットのところで電磁誘導方式により車両を充電するための二次コイルを有しており、またこの電磁誘導式充電ユニットは、少なくとも一つの低周波受信アンテナを有しており、さらにアクセス制御装置によって、電磁誘導式充電ユニットの車両に対する相対的な所在位置の算出を、複数の低周波送信アンテナの内の少なくとも二つの送信アンテナと少なくとも一つの受信アンテナ間の電磁波測距測角原理により実行できるようになっている。
【0010】
これは、アクセス制御装置により動作される車両の二つの低周波送信アンテナが、アクセス要素の位置確認とならび、電磁誘導式充電ユニットの少なくとも一つの受信アンテナを使用した測距測角にも利用可能であることを意味している。そうすることによって、車両のロッキングシステムの各コンポーネントを利用して、車外の電磁誘導式充電ユニットの空間的位置を測定することができる。それにより、電磁誘導式充電ユニットの車両に対する相対的な所在位置を決定することが可能となる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態の一例によると、電磁誘導方式による充電に用いられる二次コイルは、一次コイルに関して好ましい空間的な位置領域内にある充電位置を取るようになっている。この充電位置を確立するために、システムはほかにも、所在位置と充電位置とに基づいて、二次コイルがこの充電位置を取ることができるようにするためには、この走行トラジェクトリを辿ればよいとされる、少なくとも一つの部分的な走行トラジェクトリを算出する。
【0012】
この好ましい位置領域内にあるときには、充電時に損失電力として生じる励起電力の比率が近似的に最小限となる。
さらにその上に、アクセス制御装置が少なくとも二つの送信アンテナを駆動するようになっているのであれば、アクセス制御装置に第1の高周波通信ユニットが含まれており、電磁誘導式充電ユニットが電磁誘導制御装置を有しており、この電磁誘導制御装置に第2の高周波通信ユニットが含まれており、この電磁誘導制御装置が、少なくとも一つの受信アンテナに対して、電磁波測距測角測定ユニットとして割り当てられて、この少なくとも一つの受信アンテナの電磁誘導信号を測定し、この電磁誘導制御装置から、それぞれの電磁誘導信号をアクセス制御装置に向けて伝送可能であり、さらにアクセス制御装置が、演算ユニットとして、これらの電磁誘導信号を利用して、三角測量により所在位置を算出する。
【0013】
すなわちアクセス制御装置は、それぞれの送信アンテナと少なくとも一つの受信アンテナ間の測距測角を実行するために、無線ベースのロッキングシステムの少なくとも二つの送信アンテナを駆動するようになっている。好ましい構成形態においては、充電ユニットが受信アンテナをちょうど一つだけ、または受信アンテナをちょうど二つだけ有している。測定された電磁誘導信号は、電磁誘導制御装置からアクセス制御装置に向けて発信可能である。アクセス制御装置は、この電磁誘導信号を、三角測量により所在位置を計算するための入力量として利用する。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、アクセス制御装置または車両のさらに別の制御装置が、所在位置に基づいて走行トラジェクトリを算出するようになっているが、そこでは車両が、この走行トラジェクトリに対応した走行操作を自発的に実行する、または車両が、適切なマンマシンインターフェースを介して、この走行トラジェクトリに対応した走行操作を車両の運転者に通知するようになっている。
【0015】
運転者に対するこの通知は、例えば車両のヘッドアップディスプレイに推奨されるステアリング操作をフェードインさせることにより、または車両のナビゲーションシステムの音声指示に匹敵する音声指示により、行われるとよい。
【0016】
すなわち運転者は、何らかの走行操作を実行するために、マンマシンインターフェースを介して、出力される指示 (例えば「ハンドルを左に切ってください」) による支援を受けるようになっている、または、車両を自動的に充電位置に移動させる運転者アシストシステム用の入力量として、トラジェクトリが利用されるようになっている。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態においては、第1の高周波通信ユニットが最初に符号化された探索信号を発信する。この探索信号が電磁誘導制御装置により受信されると、第2の高周波通信ユニットは符号化された肯定応答信号をアクセス制御装置に向けて発信する。この肯定応答信号が受信されると、少なくとも一つの送信アンテナと少なくとも一つの受信アンテナ間の初期化ルーチンがトリガされるが、この初期化ルーチンは、アクセス制御装置によっても、また電磁誘導制御装置によっても実行される。この初期化ルーチンの後、少なくとも二つの送信アンテナは符号化された電磁位置決め信号を放出するが、この位置決め信号の磁気成分は、車両座標系に関して、所定の場の配向性と、所定の場の強さとを併せ持っている。少なくとも一つの受信アンテナは、少なくとも二つの送信アンテナの少なくとも二つの位置決め信号を受信して、電磁誘導制御装置は、それぞれの位置決め信号について、その位置決め信号のコードにより、少なくとも二つの送信アンテナの内の一つに対する帰属関係が明確にされている磁場ベクトルを測定する。この磁場ベクトルが、測定された誘導信号として、電磁誘導制御装置からアクセス制御装置に向けて伝送される。アクセス制御装置は、三角測量法に基づき、それぞれの受信アンテナを基準とした、各送信アンテナの、所在位置を明確に記述している局所的な状況を計算する。さらにその上にアクセス制御装置または車両のさらに別の制御装置は、充電位置の所在位置に接近できるようにするためにはこの走行トラジェクトリを辿ればよいとされる、少なくとも一つの部分的な走行トラジェクトリを算出する。
【0018】
走行トラジェクトリの算出結果に基づいて、何らかの走行操作が行われることになった場合は、走行トラジェクトリを更新するために、所在位置を決定する工程がリアルタイムで繰り返される。充電位置に到達したとき、更新された走行トラジェクトリは、停止操作となる。停止操作が行われると、車両は停止状態となる。
【0019】
本発明は、次に示す考察に依拠したものである。
多くの適用例において、ある物体(例えば車両)の別の物体(例えば車両キー)までの距離を決定するという課題を生じている。ここでは、交番電磁場の場の強さと伝播時間の測定が行われる高周波数帯域および低周波数帯域の無線技術が、この距離の決定を無線方式で行う可能性をもたらしている。車両が送信器として、車両キーが受信器として機能する、キーレスアクセスなどのような、現代の車両の無線ベースのロッキングシステムは、その一例である。
【0020】
現代の車両のロッキングシステムは、利用者に車両への快適なアクセスを提供する。これは、自動車キーを積極的に利用しなくとも、車両のロックを解除できるようにするために利用される、自動システムである。ロックを解除するためには、車両周囲の所定の相対的な局所領域の範囲内に自動車キーが存在すれば十分である。このキーが、局所的な感知領域のところまで車両に接近すると直ちに、車両内に分散して配置されている複数のアンテナを介して、低周波域の周波数を持つ符号化された照会信号が送出される。これを受けてロッキングシステムは、必要に応じて車両キーの肯定応答信号を受信するために、超高周波域の受信モードに移行する。車両キーに、一つのRFIDトランスポンダ、一つの3Dコイル、または三つのコイルを組み合わせたものが備えられている場合は、動作レンジ内であれば、この照会信号がキーにより受信されて復号化される。キーは、新しいコードを付与した肯定応答信号を超高周波域で発信する。肯定応答信号が「マッチング」すると、車両のロックが解除される。
【0021】
これとは逆の適用事例においては、うっかりミスによる車両キーの閉じ込みを防止するために、例えばキャビンやトランクルームなどであるとよい所定の局所領域の範囲内に車両キーがある限り、車両のロックは不可能となっている。
【0022】
車両のこのロッキングシステムを、オール電化ドライブトレイン搭載車のための車外の電磁誘導ユニットの所在位置を決定するために利用することが提案される。そのためには、ロッキングシステムの各アンテナの少なくとも二つの明確に同定可能な電磁送信器信号を利用することによって、測角および測距のために、車外の充電ユニットの受信器のところで、少なくとも二つの異なる送信器位置の信号が受信されるようにしている。この場合は三角測量により、送信器を基準とした受信器の位置を明確に推定することができる。ほかにも同じ無線システムを利用して、同じ周波数で、または、好ましくは高周波数帯域の別の周波数で、少なくとも二つの送信器と受信器間とで、(例えば位置を記述するための)様々な通信信号を交換することができる。
【0023】
各送信器は、車両の内部または車体に組み込まれており、また受信器は、一次コイルのところに格納されている。三角測量により、この受信器を基準とした各送信器の位置を明確に推定することができる。ほかにも同じ無線システムを利用して、同じ周波数で、または別の周波数で、両送信器と受信器間の様々な通信信号(例えば位置データ)も交換することができる。
【0024】
それにより、複数の入力信号と三角測量による、送受信機に関する高精度での明確な位置決定が可能となる。
無線ベースのロッキングシステムは、複数の、車種により数が決まっている送信コイルを有しているが、これらにより低周波電磁場が発生されて、これが、車両アクセスキーの内部の、一つの好ましくは三次元コイル、または、直交する空間3方向をカバーする三つの個別コイルを組み合わせたものにより、測定されるようになっている。この測定結果から、キーの送信コイルまでの距離を決定することができる。車両内の複数の送信コイルを利用することにより、無線キーの車両を基準とした実空間位置を決定することができる。そこから、キーが車外にあるのかそれとも車内にあるのかを導出することができる。車両における幾つかの適用にとり、例えば車両の施解錠を行なったり、エンジン・オートスタート/ストップ機能のスイッチがオンになるのを妨げたりするために、この情報は有益である。充電式車両の電磁誘導式充電システムもまた、この情報を巧妙に利用することができる。
【0025】
電磁誘導方式による充電のために、車両側のコイルである二次コイルが、インフラストラクチャ側のコイルである一次コイルに対して空間的に最適な位置に位置決めされることは、このワイヤレス充電時の電力伝送効率を最大とするためにも不可欠である。この無線ベースのロッキングシステムが、三角測量法による車両用の位置決めシステムとして利用されるようになっている。そのために、無線ベースのロッキングシステムの車両側では、少なくとも二つの送信コイルが使用されることが好ましい。車外の電磁誘導式充電ステーションは、三次元受信器として構成されることが好ましい、少なくとも一つの受信器を有しているが、これは、一次元受信器として構成されたものであってもかまわない。電磁誘導式充電ステーションのこの受信器、または電磁誘導式充電ステーションに複数備えられるそれぞれの受信器は、無線キーの内部の受信器に対応したものであることが好ましい。
【0026】
既存の無線ベースのロッキングシステムの各コンポーネント(送信コイルおよび位置決定のための送信コイルの動作制御部)を位置決めのために使用できるようにすると非常に有利である。ロッキングシステムの既に設置済みの送信コイルが利用され、既存のアクセス制御装置から、データバスを介して起動される。これらの送信アンテナは、所望のパラメータを有する低周波信号を送信する。
【0027】
無線ベースのロッキングシステムの送信コイルを利用することは、この機能を実現するために新たなハードウェアを車両に組み込む必要なく、取付け空間に関して中立に、かつ重量に関しても中立に、車両の機能が拡張されることを意味している。
【0028】
以下では添付図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。そこから、本発明のさらに別の細部、好ましい実施形態および展開構成例が明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】車両に配置される二つの送信器と充電ユニットに配置される二つの受信器を使用した三角測量による、ロッキングシステムを利用した位置決め方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
各図とも、同じ符号は同じ技術特徴を表している。オール電化ドライブトレイン搭載車の充電は、電磁誘導式充電ステーションにおいてはワイヤレス方式で行うことができる。図示の実施例には、オール電化ドライブトレイン搭載車(1)が概略的に示されている。これは、ハイブリッド車両、または電気自動車であるが、ほかにも考えられるものとして、ケーブルを接続して充電を行うためのインターフェースとならび、電磁誘導方式による充電用の充電インターフェースも利用できるようになっている、プラグインハイブリッド車両がある。この車両は、電磁誘導方式によるワイヤレス充電のための車両側充電アーキテクチャを有しているが、そこではこの充電アーキテクチャが、車両側の中央コンポーネントとして、二次コイル(2)を有している。
【0031】
この車両は、それに加え、アクセス制御装置(22)を有する無線ベースのロッキングシステムを利用できるようになっている。この無線ベースのロッキングシステムには、アクセス制御装置により動作可能な少なくとも二つの低周波アンテナ(5、6)を有している。ほかにもこの無線ベースのロッキングシステムには無線キー(30)が付属しているが、これは車内にあっても車外にあってもかまわない。この無線キーは、空間3方向の全てに感度を持つ低周波受信器を有している。このため、これは3D受信器と呼ばれる。この無線ベースのロッキングシステムにより、車両への「キーレス」アクセスが許容され、キーが車内にある場合は、車両のロックを阻止することにより、車両利用者の締め出しを阻止するようになっている。車両へのアクセスならびにロック阻止は、車両の空間的な広がりを基準としたときのキーの位置を確認することにより行われる。この位置決定は、車両の少なくとも二つの低周波アンテナとキーの3D受信器間の距離を決定することにより行われる。
【0032】
オール電化ドライブトレイン搭載車の電磁誘導方式による充電に用いられる充電ユニット(3)は車外にある。この充電ユニットの主要コンポーネントは一次コイル(4)である。この充電ユニットは、多数の車両の充電に適したものであるとよいが、その一次コイルのところで特定の時点に充電できる車両は一台だけに限られている。この一次コイルは、充電ユニットの内部に機械的に固定して組み込まれている。充電ステーションは、路床の内部または表面に定置されている。ほかにも充電ユニットは、電磁誘導制御装置(22)を有している。
【0033】
充電工程として呼ばれる時間は、充電接続の初期化工程と充電接続の終了工程との間の時間である。この充電工程には、特に一次コイルから二次コイルに電力が伝送される、または少なくとも伝送可能である時点が含まれている。
【0034】
充電工程のためには、二次コイルが充電位置にあること、すなわち、一次コイルに対して所定の相対的な空間領域内にあることが前提として必要である。この空間領域は、二次コイルのコンフィギュレーションにより決まる二次コイルの所定の幾何学的基準点の、一次コイルのコンフィギュレーションにより決まる一次コイルの所定の幾何学的基準点からの、当業者には知られている車両関連の座標系により形成される空間3方向に関する偏差が、空間3方向のそれぞれについて、最大でも所定の公差寸法までに限定されるように、特性化されたものである。この充電位置においては、一次コイルと二次コイル間の電力伝送効率に関して、最適状態に達している。
【0035】
二次コイルの基準点の一次コイルの基準点に対する相対的な空間位置が、これら両基準点間の空間3方向のそれぞれに関する距離がそれぞれの座標軸に関する所定の公差寸法を上回らないような位置にある場合、二次コイルは充電位置にあることになる。この二次コイルが、車両に機械的に固定されたものである、もしくは車両内に組み込まれたものであるという事実に鑑みると、二次コイルが充電位置にある限り、車両もまた車両充電位置にあることになる。本文献の枠内においては、この車両充電位置が、技術的な効果に関しては、充電位置と同義であるために、車両充電位置という概念もまた、便宜上充電位置という概念に包摂されると解釈される。
【0036】
すなわち、充電工程を開始するためには、車両を所定の充電位置に持って行くことが不可欠である。これは、説明される実施形態においては、車両の移動により行われる。その際には、充電ユニット、ひいては一次コイルに対する、車両、ひいては二次コイルの相対的な位置決定が必須となる。これは、図示の実施例においては、三角測量法を利用した測距測角により行われる。この場合、測定は、アンテナにより発生される定義済みの電磁場の磁場ベクトルの検出に依拠することになる。このアンテナが、一次元アンテナとして構成されている限り、受信器の場所で受信される磁場ベクトルは、一次元ベクトルとして、すなわちスカラーとして検出されることになる。
【0037】
第1の実施例を
図1および2に基づき説明する。そこでは二つの送信アンテナが車両に、二つの受信アンテナが充電ユニットにはめ込まれている。両送信アンテナはアクセス制御装置により動作され、両受信アンテナは電磁誘導制御装置により動作される。
【0038】
この第1の実施例にしたがって、送信器とも呼ばれる送信アンテナが低周波アンテナであり、受信器とも呼ばれる受信アンテナが低周波受信器であることが好ましい。これらの送受信器は、150kHz未満の周波数域で作動するが、好ましい周波数帯域は、一般性を失うことなく、約125kHzである。
【0039】
第1の実施形態は、
図1を参照すると、車両の所在地の決定方法を表したものであるが、そこでは両送信アンテナとアクセス制御装置が無線ベースのロッキングシステムの部材として車両に組み込まれており、両受信器ならびに電磁誘導制御装置が充電ユニットに組み込まれている。アンテナ(5)は第1の送信アンテナであり、アンテナ(6)は第2の送信アンテナである。受信器(7)は第1の受信器であり、受信器(8)は第2の受信器である。
【0040】
この実施形態においては、アクセス制御装置が第1の通信ユニットを有しており、電磁誘導制御装置が第2の通信ユニットを有している。両通信ユニットは、普及している狭帯域無線の優先的に扱われる周波数帯域の、433MHzまたは868MHzの高周波域で、情報信号を交換できるようになっている。あるいはその代わりに、例えば無線LAN規格またはBLUETOOTH(登録商標)規格にしたがったGHz台の高周波帯域も利用することができる。これらの情報信号には、特殊な符号化が行われているために、一方の通信ユニットから送信される信号を、この通信ユニットに対して明確に割り当てることができるようになっている。通信ユニットは両方とも、情報信号を発信して受信することができる。
【0041】
第1の実施形態にしたがって、または第2の実施形態にしたがって、充電位置を確立するためには、最初に両方の通信ユニット間の基本的な通信状態を確立することにより、車両と充電ユニット間の基本的な通信状態を確立しなければならない。そのために少なくとも一方の通信ユニットは、10秒未満の定期的な時間間隔で、受信側の通信ユニットの感度閾値に関して最大100メートルの探索レンジを有する符号化された高周波探索信号を発信する。この探索信号の発信時間間隔は、その代案では、車両の速度に反比例するように論理結合されている。この探索信号が受信側の通信ユニットにより受信されると直ちに、この探索信号を受信した通信ユニットは、探索レンジと等しいレンジを有する符号化された肯定応答信号を、この探索信号を発信した通信ユニットに向けて発信する。この肯定応答信号が、探索信号を発信した通信ユニットにより受信される限り、両通信ユニット間の基本的な通信状態は確立されており、車両は充電ユニットを基準として少なくともこの探索レンジを超えない距離の範囲内にある。例えば別の車両が充電ステーションを利用していることにより、その充電ステーションが充電工程のための使用に供されない場合、充電ステーションは信号を一切発信しないようになっている。したがって車両は、ひとまずは、充電のために実際に利用することができる充電ユニットに関して、いわゆる大雑把な位置にあることになる。
【0042】
この大雑把な位置においては、両方の通信ユニットにより、車両と充電ユニット間の基本的な通信接続状態が存立している。探索信号と肯定応答信号が符号化されることにより、車両と充電ユニット間の通信が疑問の余地のない一義的なものであることを保証している。これは、例えば同種の充電アーキテクチャを有する複数の車両に対して複数の同種の充電ユニットが存在する場合に、これらの複数の車両の内の特定の車両と、これらの複数の充電ユニットの内の特定の充電ユニットとの間に通信状態が存立しており、この特定の車両が、特定の充電ユニットを基準とした大雑把な位置にあることを意味している。
【0043】
この大雑把な位置において基本的な通信状態が確立されているときには、両方の通信ユニット間でそれ以外の様々な情報を交換することができる。特に三角測量による車両の位置決めを初期化することができる。この初期化のために、アクセス制御装置は、適切なマンマシンインターフェース(MMI)を介して、車両の運転者に向けて、基本的な通信状態を存立させるための、その充電ユニットを基準とした充電位置の確立を行うべきであるかどうかに ついて、照会を発するようになっている。車両の運転者が、本文献の対象ではない適切な方法によりこれを承認する場合は、三角測量による車両の位置決めが初期化される。
【0044】
第1の実施例においては、この初期化が、電磁誘導制御装置による各送信器の動作制御、アクセス制御装置による各受信器の動作制御、ならびに、各送信器の各受信器との低周波域での接続状態の構築を意味している。その際、それぞれの送受信器間、すなわち車両と充電ユニット間の明確な帰属関係を保証するために、各受信器から放出される信号は符号化されている。これは、例えば8ビットコードを使用して実現することができる。
【0045】
ほかにも、当業者にはペアリングとして知られているが、特定の車両と特定の充電ユニットとの相互カップリングが固定式に行われている場合は、この初期化が、車両と充電ユニットの簡素化された相互認識プロセスに基づいて行われるようにしてもよい。
【0046】
この初期化の後に、三角測量による本来の所在地決定が行われる。そのために各送信器は、位置決め信号と呼ばれる、場の強さが定義された電磁信号を一つずつ発信する。この位置決め信号のレンジは、探索レンジよりも大きくなっている。第1の送信器(5)の位置決め信号は、第1位置決め信号と呼ばれる。第2の送信器(6)の位置決め信号は、第2位置決め信号と呼ばれる。
【0047】
それぞれの送信器の車内の取付け位置により、各位置決め信号の磁場ベクトルはいずれも、特定の空間的優先軸に沿って揺れ動いており、また磁場も優先伝播方向を有している。この実施例においては、一般性を失うことなく、一次近似でこの優先軸が、大雑把な位置にある車両の、当業者に知られている車両関連の座標系のx軸に沿って位置しており、またこの伝播方向は、大雑把な位置にある車両のz軸に位置している。
【0048】
充電ユニット内の各受信器は、大雑把な位置にある車両の車両関連の座標系のx−y平面内に、磁場に対する最高の受信感度を、ひいては最高の測定精度を有している。
あるいはその代わりに、ほかにも、無線キーの3D受信器に対応している、三つの空間軸の全てに沿って、比肩し得る測定精度を特徴としている、三次元受信特性を有する三次元受信器、ならびに三次元送信器が導入されてもかまわない。これは、各送信器が三次元放射特性を有することを意味している。以下の一次元に関する考察も、これと同様に、三次元放射特性におけるそれ以外の空間次元にも、一次元受信特性にも、適用することができる。
【0049】
以下では、一般性を失うことなく、一次元送信器および一次元受信器を前提として考察を加えるものとする。第1位置決め信号の場の強さ、ひいては第1磁場ベクトルH
1は、第1送信器電流I
1、第1巻線数N
1、ならびに第1送信器の半径r
1により明確に定められている。第2位置決め信号の場の強さ、ひいては第2磁場ベクトルH
2は、第2送信器電流I
2、第2巻線数N
2、ならびに第2送信器の半径r
2により明確に定められている。
【0050】
両方の受信器は、車両の前後軸(10)に対して垂直に、かつ車両の左右軸の平行線(9)に沿った向きに一定の距離Lをおいて、車両の内部に組み付けられている。
第1受信器は、第1受信器の地点における第1磁場ベクトルH
1を検知する。電磁誘導制御装置は、この受信器を評価して、この第1受信器の地点における、車両座標系のx方向に関する第1磁場の場の強さを表す測定信号H
1,x1を放出する。
【0051】
第2受信器は、第2受信器の地点における第1磁場ベクトルH
1を検知する。電磁誘導制御装置は、この第2受信器を評価して、この第2受信器の地点における、車両座標系のx方向に関する第1磁場の場の強さを表す測定信号H
1,x2を放出する。
【0052】
第1受信器は、第1受信器の地点における第2磁場ベクトルH
2を検知する。電磁誘導制御装置は、この受信器を評価して、この第1受信器の地点における、車両座標系のx方向に関する第2磁場の場の強さを表す測定信号H
2,x1を放出する。
【0053】
第2受信器は、第2受信器の地点における第2磁場ベクトルH
2を検知する。電磁誘導制御装置は、この第2受信器を評価して、この第2受信器の地点における、車両座標系のx方向に関する第2磁場の場の強さを表す測定信号H
2,x2を放出する。
【0054】
時間の関数であるそれぞれの測定信号は、所定の時点t
1に、H
1,x1(t
1)、H
1,x2(t
1)、H
2,x1(t
1)、およびH
2,x2(t
1)として検出され、電磁誘導制御装置により演算処理されるか、またはアクセス制御装置に伝送されて、アクセス制御装置により演算処理されるようになっている。この信号演算処理の際に、三角測量により、車両の時点t
1における位置が算出される。
【0055】
第1送信器と第1受信器間の距離を記述する区間d
1は、次式として求められる。
【数1】
【0056】
第1送信器と第2受信器間の距離を記述する区間e
2は、次式として求められる。
【数2】
【0057】
区間d
1と区間Lとの間の角度α
1は、次式で求められる。
【数3】
【0058】
時点t
1におけるd
1、e
2、およびα
1を決定することにより、充電ユニットに対する車両の相対的な所在位置が明確に決まることになる。
それ以外の量についても、三角測量により算定することができる。第2送信器と第1受信器間の距離を記述する区間d
2は、次式として求められる。
【数4】
【0059】
第2送信器と第1受信器間の距離を記述する区間e
1は、次式として求められる。
【数5】
【0060】
区間d
2と区間Lとの間の角度α
2は、次式で求められる。
【数6】
【0061】
信号演算処理にはさらに、時点t
1における車両の所在位置から出発して車両が充電位置に移動できるようにするためにはこの走行トラジェクトリを辿ればよいとされる走行トラジェクトリの計算も含まれている。走行トラジェクトリの計算方法については、ここでは詳細には説明しないものとする。
【0062】
時点t
1から出発して、それよりも遅い時点t
nまで、最低でも10Hzの繰り返し率で車両の位置が算出され、この車両の所在位置から出発して、時点t
nにおける走行トラジェクトリが更新される。
【0063】
図2に、この第1の実施形態に関する充電位置を示す。そこに描写される車両内の各送信器ならびに充電ユニット内の各受信器の配置方式によって、第1送信器と第1受信器間の区間d
1により記述される距離が、第2送信器と第2受信器間の区間d
2により記述される距離と等しいときには、充電位置が確立されていることになる。この等距離は、充電位置にセットされたことを記述している、アクセス制御装置および/または電磁誘導制御装置の内部に保存されている、所定の目標距離dに当該する。ほかにも両方の角度α
1およびα
2は、同様に充電位置にセットされたことを記述している、所定の目標角度αに当該する。充電位置が確立されているときには、各送受信器が車両の前後軸に関して軸対象に配置されることにより、この充電位置は、d=d
1=d
2およびα=α
1=α
2により記述される。各送受信器の幾何学的配置方式がそれとは異なる場合は、α
1およびα
2に関する目標角度も、またd
1およびd
2に関する目標距離も、それとは相応に異なることになる。充電位置に到達したときには、車両をこの充電位置で停止状態に持って行くために、走行トラジェクトリは、制動操作または停止操作を記述することになる。
【0064】
様々な前記各実施形態の内の一つのバリエーションにおいては、目標距離dおよび目標角度αが、学習アルゴリズムにより、充電工程の実行回数が増えるほど、伝送効率が上昇する方向に最適化されるようになっている。
【0065】
この第2の実施形態の変形例である第3の実施形態によれば、一次コイル自体が受信器コイルとして機能するようになっているために、充電ユニットには、この一次コイル以外に追加されるコイルが何一つとして含まれないようになっている。
【0066】
複数の充電ユニットが隣接している場合は、それぞれの受信器の動作がネットワーク化されて行われるようにしてもよい。これは、レンジを拡大するために、任意の充電ユニットの受信器が、第3の充電ユニットを基準とした車両の所在地を決定するために利用されることを意味している。そのためには、複数の充電ユニットの相互位置が、アクセス制御装置に既知である、またはアクセス制御装置に伝送可能であることが要求される。
【0067】
三角測量による位置決定は、充電位置の遵守をチェックするために、充電工程の間にも導入されるとよい。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
2 二次コイル
3 電磁誘導式充電ユニット
4 一次コイル
5、5’ 送信器/アンテナ
6、6’ 送信器/アンテナ
7、7’ 受信器
8,8’ 受信器
9 車両左右軸の平行線
10 車両前後軸
21,21’ アクセス制御装置
22’ 電磁誘導制御装置
α
1,α
2 角度
d
1,d
2 区間
e
1,e
2 区間
L 区間
x 座標軸
y 座標軸