(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エレメント(3)の前記上面(3a)は、下方へ傾斜する傾斜面(3a1,3a3)を有し、前記転写部(31d,31d1,31d2)は前記傾斜面(3a1,3a3)に形成される
請求項1に記載のスライドファスナーチェーン。
前記転写部(31d)は、スライドファスナーチェーンの左右方向において、前記非転写部(31e)を挟んで配置された第1転写部(31d1)と第2転写部(31d2)を有する
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のスライドファスナーチェーン。
一対のファスナーテープ(2)のそれぞれの縁部(21)に所定の間隔をおいてそれぞれ固定された複数の樹脂製のエレメント(3)を有するスライドファスナーチェーン(1)の製造方法であって、
前記エレメント(3)を前記ファスナーテープ(2)に固着する固着工程と、
前記固着工程の後に、前記エレメント(3)の上面(3a)に転写箔(33)を転写し、転写部(31d)を形成する転写工程と、
前記転写部(31d)の前記転写箔の一部を削ることにより非転写部(31e)が形成されることで、前記エレメント(3)の前記上面(3a)において、前記エレメント(3)の上下方向の寸法が減少した部分に前記転写部が形成される非転写部形成工程と、
を有する
ことを特徴とするスライドファスナーチェーンの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、スライドファスナーチェーン1を例に、図面に基づき具体的に説明する。
【0018】
図1は、第1実施形態にかかるスライドファスナーチェーン1の斜視図である。
図2は、第1実施形態にかかるスライドファスナーチェーン1の側面図である。
【0019】
本発明にかかる実施形態のスライドファスナーチェーン1において、ファスナーテープ2の長さ方向を前後方向(F−B方向)とし、矢印F,Bで示す。また、ファスナーテープ2の幅方向を左右方向(L−R方向)とし、矢印L,Rで示す。さらに、ファスナーテープ2の表裏方向を上下方向(U−D方向)とし、矢印U,Dで示す。
【0020】
スライドファスナーチェーン1は、左右一対のファスナーテープ2と、ファスナーテープ2の長さ方向に所定の間隔をおいて、各ファスナーテープ2の対向する縁部21に固定された合成樹脂製の複数のエレメント3と、を有する。なお、後述するスライダーは、エレメント3に沿って、スライドファスナーチェーン1の前後方向に移動することにより、エレメント3を噛合又は分離させることができる。
【0021】
ファスナーテープ2は、ファスナーテープ2の上下面から隆起するとともに、ファスナーテープ2の前後方向に延びた縁部21を有する。エレメント3は、熱可塑性合成樹脂を射出成形することにより、ファスナーテープ2の縁部21に一体に形成される。ファスナーテープ2は、衣服又はバッグ等にスライドファスナーとして取り付けられた際に人目に付く側を、上面2a側とし、その反対側を下面2b側とする。
【0022】
エレメント3は、スライドファスナーチェーンの左右方向において、ファスナーテープ2の縁部21よりも外側に位置する第1端と、ファスナーテープ2の縁部21よりも内側に位置する第2端とを有する。また、エレメント3は、ファスナーテープ2の上面2a側に配置された上側半部31と、ファスナーテープ2の下面2b側に配置された下側半部32と、を有する。上側半部31と下側半部32とは、一体に形成されている。
【0023】
上側半部31は、ファスナーテープ2の上面2aに接する上側基部31aと、上側基部31aから突出し、縁部21を越えて、ファスナーテープ2の外側へ向けて延びる上側頭部31bと、を有する。下側半部32は、ファスナーテープ2の下面2bに接する下側基部32aと、下側基部32aから突出し、縁部21を越えて、ファスナーテープ2の外側へ向けて延びる下側首部32cと、下側首部32cの先端に形成された下側頭部32bと、を有する。上側基部31aと下側基部32aは、縁部21を上下方向から挟持している。エレメント3の第1端は、上側頭部31bの先端及び下側頭部32bの先端である。
【0024】
また、エレメント3の上側半部31には、上側基部31a及び上側頭部31bにわたって連続した上面3aが形成されている。上面3aのうち、上側頭部31bの上面に該当する部分は、上側頭部31bの先端に向けて下り傾斜した傾斜面3a1である。一方、上面3aのうち、上側基部31aの上面に該当する部分は、ファスナーテープ2の上面2aと実質的に平行な平坦面3a2である。ただし、エレメント3の第2端寄りの上面3a、すなわち上側基部31aにおける上側頭部31bが突出する側とは反対側の端部の上面3aは、下り傾斜する傾斜面3a3である。なお、傾斜面3a3は、湾曲面であることが好ましい。
【0025】
上側基部31aは、前後方向に所定の幅寸法を有する。上側頭部31bは、上側基部31aから離れるにしたがって前後方向の寸法が小さくなるように形成される。すなわち、上側頭部31bは、先細形状に形成される。また、上側頭部31bの先端は、下側頭部32bよりも前後方向の寸法が小さく形成されている。
【0026】
下側基部32aは、前後方向に所定の幅寸法を有する。下側頭部32bは、前後方向に膨大している。そして、下側首部32cは、下側基部32a及び下側頭部32bよりも前後方向の寸法が小さく形成される。したがって、下側半部32は、下側基部32aから下側頭部32bにかけて、下側首部32cで前後方向の寸法が小さくなり、くびれた形状に形成される。
【0027】
このような下側半部32の形状によって、スライドファスナーチェーン1は、スライダーを移動すると、左右に対向して設置されたエレメント3の下側頭部32bと下側首部32cがそれぞれ当接して、的確に噛み合うことが可能となる。
【0028】
また、エレメント3の上面3aは、転写箔33が付着した転写部31dと、転写箔33が付着していない非転写部31eと、を有する。
図2に示すように、転写部31dは、非転写部31eよりもエレメント3の上下方向の寸法が減少した部分に形成される。すなわち、転写箔33は、上側頭部31bの上面3aの傾斜面3a1に該当する第1転写部31d1と、上側基部31aの端部の上面3aの傾斜面3a3に該当する第2転写部31d2と、に転写されている。一方、非転写部31eは、エレメント3の上下方向の寸法が一定となるように形成された上面3aの平坦面3a2に形成される。これにより、第1転写部31d1と第2転写部31d2は、スライドファスナーチェーンの左右方向において、非転写部31eを挟んで形成されることとなる。
【0029】
次に、エレメント3の転写部31dの作製方法について説明する。
【0030】
図3は、転写前のスライドファスナーチェーン1’を示す斜視図である。
図4は、転写後のスライドファスナーチェーン1”を示す斜視図である。
図5は、転写装置7の概略図である。
図6は、転写装置7の一部の断面部である。
【0031】
転写装置7は、
図5に示すように、上下方向に対向して配置された搬送ローラ72と押圧ローラ76を有する。そして、ファスナーチェーン送出ロール71と転写フィルム送出ロール74が、搬送ローラ72よりもファスナーチェーン1’及び転写フィルム34の搬送方向上流側に配置されている。転写フィルム送出ロール74は、ファスナーチェーン送出ロール71の上方に配置されている。また、ファスナーチェーン巻取ボビン73と転写フィルム巻取ボビン78が、搬送ローラ72よりもファスナーチェーン1’及び転写フィルム34の搬送方向下流側に配置されている。転写フィルム巻取ボビン78は、ファスナーチェーン巻取ボビン73の上方に配置されている。さらに、第1ガイドローラ75が搬送ローラ72と転写フィルム送出ロール74の間に配置されている。また、第2ガイドローラ77が、搬送ローラ72とフィルム巻取ボビン78の間に配置されている。
【0032】
まず、転写前のスライドファスナーチェーン1’は、ファスナーチェーン送出ロール71に巻かれている。転写前のスライドファスナーチェーン1’は、搬送ローラ72が駆動されることによって、ファスナーチェーン送出ロール71から引き出される。その後、転写前のスライドファスナーチェーン1’は、搬送ローラ72と押圧ローラ76の間に向けて搬送される。
【0033】
転写箔33は、図示しない離型剤層又は保護層等と重合して、
図5に示した転写フィルム34を形成している。転写箔33を含む転写フィルム34は、転写フィルム送出ロール74に巻かれている。転写前の転写フィルム34は、搬送ローラ72が駆動することによって、転写フィルム送出ロール74から引き出される。その後、転写前の転写フィルム34は、第1ガイドローラ75を経て、搬送ローラ72と押圧ローラ76の間に向けて搬送される。押圧ローラ76は、転写前の転写フィルム34を転写前のスライドファスナーチェーン1’に押し付ける。なお、押圧ローラ76には、図示せぬヒータが内蔵されている。
【0034】
転写フィルム34のうち、転写箔33は、
図6に示すように、搬送ローラ72と押圧ローラ76に挟持された位置で、転写前のスライドファスナーチェーン1’のエレメント3の上面3aに熱転写される。転写後のスライドファスナーチェーン1”は、ファスナーチェーン巻取ボビン73に巻き取られる。また、転写箔33が転写された残りのフィルム35は、第2ガイドローラ77を経て、フィルム巻取ボビン78に巻き取られる。
【0035】
転写フィルム34は、特許文献1に記載された熱転写フィルムと同様の材料でも、異なる材料でもよい。また、転写箔33は、金属調である必要はなく、エレメント3の材料と異なる色を有する。エレメント3の色が黒色の場合、転写箔33の色として、金色、銀色、茶褐色等が採用される。
【0036】
ファスナーテープ2にエレメント3を固着した後、転写前のスライドファスナーチェーン1’では、
図3に示すように、エレメント3の上面3aは、射出成形した後の状態のままである。すなわち、エレメント3の上面3aの全面には、
図1に示した転写箔33がまだ付着していない。
【0037】
図5に示した転写装置7によって、転写後のスライドファスナーチェーン1”は、
図4に示すように、エレメント3の上面3aの全面に転写箔33が付着した転写部31dが形成される。
【0038】
次に、エレメント3の非転写部31eの形成方法について説明する。
【0039】
図7は、研磨装置8の概略図である。
図8は、研磨装置8の一部の斜視図である。
図9は、研磨装置8の一部の断面図である。
【0040】
研磨装置8は、研磨部80と、搬送部90と、を有する。
【0041】
研磨部80は、モータ81と、モータ81に接続された回転軸82と、回転軸82の先端に固定されたプレート83と、プレート83から突出する突起84と、突起84の先端に固定された研磨部材85と、を有する。
【0042】
モータ81は、回転軸82を回転させる。回転軸82は、一端がモータ82の出力軸に連結され、他端がプレート83に固定されている。なお、回転軸82は、モータ82の出力軸自体であってもよい。
図8に示すように、プレート83は、円形の板であって、中心に回転軸82が固定され、回転軸82を中心に回転可能である。突起84は、プレート83の外周縁部に取り付けられ、プレート83の回転軸82が連結された面とは反対側の面から、回転軸82とは反対方向に突出した部材である。突起84は、少なくとも1つ設ければよいが、本実施形態では、回転軸82に対して対称に2つ設けている。なお、複数の突起84を設ける際には、プレート83の周方向に等間隔で設置するとよい。研磨部材85は、ダイヤモンド製であり、突起84の先端に接着されている。
【0043】
このような構造の研磨部80は、モータ81が駆動すると、回転軸82を中心にプレート83、及び突起84がそれぞれ回転する。また、突起84の先端に設置される研磨部材85は、回転軸82を中心に所定の平面内で回転することが好ましい。なお、モータ81の回転数は、5000rpm〜10000rpmの範囲で制御可能であることが好ましい。また、突起84は、プレート83から取り外し可能であることが好ましい。
【0044】
搬送部90は、研磨部材85と上下方向に対向して配置された支持ローラ93を有する。そして、受けローラ91が、支持ローラ93よりもスライドファスナーチェーン1の搬送方向上流側に配置されている。第1押さえローラ92は、受けローラ91に対向して配置されている。また、研磨チェーン搬送ローラ94が、支持ローラ93よりもスライドファスナーチェーン1の搬送方向下流側に配置されている。第2押さえローラ95は、研磨チェーン搬送ローラ94に対向して配置されている。
【0045】
転写後のスライドファスナーチェーン1”は、受けローラ91から支持ローラ93に向けて搬送される。このとき、スライドファスナーチェーン1”は、受けローラ91と第1押さえローラ92に挟持されている。第1押さえローラ92がスライドファスナーチェーン1”を受けローラ91へ押し付けることで、搬送方向とは逆方向に働く張力が付与される。これにより、搬送中のスライドファスナーチェーン1”にたるみが生じない。
【0046】
支持ローラ93は、
図9に示すように、外周面に周方向へ連続する凹状の収容溝93aが形成されている。収容溝93aには、転写後のスライドファスナーチェーン1”のエレメント3が噛み合った状態で収容されている。ファスナーテープ2は、裏面2bが支持ローラ93の外周面に対向して配置される。また、エレメント3は、収容溝93aの底面に接触することが好ましい。
【0047】
このように、エレメント3が収容溝93aの底面に接触していると、エレメント3は、研磨部材85に研磨される際に、研磨部材85からの垂直方向の力を収容溝93aの底面に受け止められることとなる。したがって、研磨時に、エレメント3の姿勢が変位してしまうおそれが少なくなり、研磨部材85がエレメント3を精度良く研磨することが可能となる。
【0048】
このため、
図9に示すように、エレメント3の上面3aに形成された転写部31dのうち、上側基部31aの上面に該当する平坦面3a2に形成された転写部31dのみが研磨部材85に接触して研磨される。これにより、非転写部31eは、転写箔33及びエレメント3の一部が取り除かれた研磨面となる。一方、エレメント3の上面3aのうち、上側頭部31bの傾斜面3a1に形成された第1転写部31d1と、上側基部31aの端部の傾斜面3a3に形成された第2転写部31d2は、研磨部材85に接触せず、研磨されない。
【0049】
また、エレメント3は、収容溝93aに収容される際に、収容溝93aから上面3aが露出するように配置される。そして、上面3aは、支持ローラ93の半径方向において、ファスナーテープ2の上面2aよりも支持ローラ93の外周面から隆起する姿勢に配置される。このため、エレメント3が研磨部材85に接触し研磨されていても、ファスナーテープ2の表面2aは、
図9に示すように、研磨部材85に接触することがない。したがって、ファスナーテープ2には、研磨部材85との接触による傷が生じることがない。
【0050】
このように、
図1に示した研磨されたスライドファスナーチェーン1の非転写部31eは、
図9に示すように、転写部31dを研削、研磨、または切削等によって削ることにより形成される。好ましくは、非転写部31eは、転写部31dとともに母材の少なくとも一部を研削、研磨、または切削等によって削ることにより形成される。
【0051】
研磨されたスライドファスナーチェーン1は、研磨チェーン搬送ローラ94と第2押さえローラ95に挟持されて搬送される。研磨チェーン搬送ローラ94の搬送速度は制御可能であることが好ましい。なお、駆動するローラは、他のローラであってもよい。
【0052】
図10は、エレメント3の母材の一部が研磨された面を示す。なお、エレメント3の母材の表面31fは、転写箔33を転写していない状態を示す。
【0053】
非転写部31eは、エレメント3の母材の一部が研磨された面によって形成されてもよい。なぜなら、エレメント3の母材の表面には、射出成形時に発生する多少のしわや凹凸が見られる。一方、母材の一部を研磨した非転写部31eは、
図10に示すように、エレメント3の第2端側から第1端側へ向けてスジ状の研磨痕が形成されるものの、しわや凹凸が消える。これにより、研磨後の非転写面31eは、研磨前に比べて滑らかに形成される。したがって、より光沢のある装飾性の高いものとすることが可能となる。さらに、
図3に示した研磨前において、転写部31dをクリア塗装してもよい。転写部31dをクリア塗装することで、さらに転写箔33の剥離が少ないエレメント3を形成することができるとともに、さらに光沢のある装飾性の高いものとすることが可能となる。なお、クリア塗装として、例えば、紫外線を照射することで硬化する塗料を用いる。
【0054】
図11は、本実施形態のスライドファスナー10を示す。
図12は、第1実施形態のエレメント3をスライダー6内に配置した状態の断面を示す。
【0055】
スライドファスナー10は、一対のファスナーテープ2,2と、各ファスナーテープ2の対向する縁部21に沿って、所定の間隔を空けて形成された複数のエレメント3と、複数のエレメント3で形成されるエレメント列3’の終端で、ファスナーテープ2の縁部21に固定された止具4,5と、エレメント3に沿って移動することにより、エレメント3を噛合又は分離させるスライダー6とからなる。エレメント列3’は、スライドファスナーチェーン1の前後方向に終端を有する。止具は、エレメント列3’の前端に配置された前止具4と、エレメント列3’の後端に配置された後止具5を有する。
【0056】
前止具4は、一対のファスナーテープ2の各エレメント列3’の前端にそれぞれ配置されている。後止具5は、一対のファスナーテープ2の各エレメント列3’の後端に一つだけ配置されている。後止具5は、エレメント3の分離とともに、各ファスナーテープ2が分離しないように、各ファスナーテープ2を連結している。なお、後止具5は、図示例に限定されない。例えば、後止具5は、一方のファスナーテープのエレメント列の後端に固定された差込棒と、他方のファスナーテープのエレメント列の後端に固定され、差込棒が差込可能な穴を備えた箱とを有していてもよい。この場合、各ファスナーテープは、エレメントの分離とともに分離することができる。スライダー6は、前止具4と後止具5の間において、スライドファスナーチェーン1の前後方向に移動することができる。
【0057】
図11及び
図12に示すように、スライダー6は、上下方向に対向して配置された上翼板61と下翼板62と、上翼板61の上面61aから突出する柱部64と、柱部64に連結された引き手63を有する。また、上翼板61と下翼板62の間には、エレメント3を通過させることが可能なエレメント通路65を有する。そして、上翼板61の下面61b、すなわち下翼板62と対向する面は、エレメント3がエレメント通路65に配置されたとき、エレメント3の上面3aと対向する。
【0058】
本実施形態のエレメント3がスライダー6のエレメント通路65に配置されると、
図12に示すように、エレメント3の上面3aに形成された転写部31dは、スライダー6の上翼板61の下面61bから離れている。一方、非転写部31eは、スライダー6の上翼板61の下面61bに接近している。したがって、スライダー6の移動時に、エレメント3の転写部31dとスライダー6の上翼板61は接触しないが、非転写部31eとスライダー6の上翼板61は接触する可能性がある。しかしながら、非転写部31eには、
図1に示すように、転写泊33が付着していないので、スライダー6の移動時に、エレメント3の非転写部31eとスライダー6の上翼板61が接触したとしても、転写箔33が剥がれることはない。
【0059】
図13は、第2実施形態のスライドファスナーチェーン1の斜視図を示す。
図14は、第2実施形態のスライドファスナーチェーン1の側面図を示す
【0060】
第2実施形態のエレメント3は、左右一対のファスナーテープ2と、ファスナーテープ2の長さ方向に所定の間隔をおいて、各ファスナーテープ2の縁部21に固定された合成樹脂製の複数のエレメント3を有する。エレメント3は、ファスナーテープ2の上面2a側に配置された上側半部31と、ファスナーテープ2の下面2b側に配置された下側半部32と、上側半部31と下側半部32の間の中間部33と、を有する。上側半部31、下側半部32、及び中間部33は、一体に形成されている。
【0061】
上側半部31は、ファスナーテープ2の上面2a側に配置された上側基部31aと、上側基部31aから突出し、縁部21を越えて、ファスナーテープ2の外側へ向けて延びる上側首部31cと、上側首部31cの先端に形成された上側頭部31bと、を有する。下側半部32は、ファスナーテープ2の下面2b側に配置された下側基部32aと、下側基部32aから突出し、縁部21を越えて、ファスナーテープ2の外側へ向けて延びる下側首部32cと、下側首部32cの先端に形成された下側頭部32bと、を有する。中間部33は、ファスナーテープ2の上面2a及び下面2bに接する中間基部33aと、中間基部33aから突出し、縁部21を越えて、ファスナーテープ2の外側へ向けて延びる中間首部33cと、中間首部33cの先端に形成された中間頭部33bと、中間頭部33bの先端に形成された凹部33dと、中間首部33cの前後に形成された突部33eと、を有する。
【0062】
中間基部33aは、ファスナーテープ2の縁部21を上下方向から挟持している。また、上側半部31の上方には、上側基部31a及び上側頭部31bにわたって連続した上面3aが形成されている。
【0063】
上側基部31aは、前後方向に所定の幅寸法を有する。上側頭部31bは、前後方向に膨大している。そして、上側首部31cは、上側基部31a及び上側頭部31bよりも前後方向の寸法が小さく形成される。したがって、上側半部31は、上側基部31aから上側頭部31bにかけて、上側首部31cで前後方向の寸法が小さくなり、くびれた形状に形成される。ただし、上方に向かうほど上側頭部31bの幅寸法が絞られるので、くびれは小さくなる。
【0064】
上側半部31の上面3aのうち、上側頭部31bの上面に該当する部分は、上側頭部31bの先端に向けて下り傾斜した傾斜面3a1である。一方、上面3aのうち、上側基部31aの上面に該当する部分は、ファスナーテープ2の上面と実質的に平行な平坦面3a2である。
【0065】
また、エレメント3の上面3aは、転写箔33が付着した転写部31dと、転写箔33が付着していない非転写部31eと、を有する。
図12に示すように、転写部31dは、非転写部31eよりもエレメント3の上下方向の寸法が減少した部分に形成される。すなわち、転写部31dは、上側頭部31bの上面に該当する傾斜面3a1に形成されている。一方、非転写部31eは、エレメントの上下方向の寸法が一定となるように形成された平坦面3a2に形成される。すなわち、非転写部31eは、上側基部31aの上面に該当する部分に配置されている。なお、本実施例において、上側基部31aにおける上側頭部31bが突出する側とは反対側の端部の傾斜面3a3には、転写部が形成されていない。
【0066】
下側基部32aは、前後方向に所定の幅寸法を有する。下側頭部32bは、前後方向に膨大している。そして、下側首部32cは、下側基部32a及び下側頭部32bよりも前後方向の寸法が小さく形成される。したがって、下側半部32は、下側基部32aから下側頭部32bにかけて、下側首部32cで前後方向の寸法が小さくなり、くびれた形状に形成される。
【0067】
中間基部33aは、前後方向に所定の幅寸法を有し、ファスナーテープ2の上方と下方から縁部21に当接する。中間頭部33bは、前後方向に膨大している。そして、中間首部33cは、中間基部33a及び中間頭部33bよりも前後方向の寸法が小さく形成される。したがって、中間部33は、中間基部33aから中間頭部33bにかけて、中間首部33cで前後方向の寸法が小さくなり、くびれた形状に形成される。
【0068】
凹部33dは、中間頭部33bの先端面に前後方向に沿って形成される。突部33eは、中間首部33cの前後面から前後方向にそれぞれ突出して形成される。
【0069】
そして、対向するエレメント3の中間頭部33bと中間首部33cが、スライダー6によってそれぞれ噛み合わされる際に、各突部33eは、対向する各凹部33d内にそれぞれ収容される。このように、各突部33eが対向する各凹部33d内に収容されることで、噛み合ったエレメント3を上下方向に押す力が加わった場合でも、噛合状態を強固に維持することが可能となる。
【0070】
図15は、本発明にかかる実施形態のフライドファスナーチェーン1の他の例を示す。
【0071】
図15に示した例のスライドファスナーチェーン1の一部は、上面3aに転写部31dと非転写部31eが形成された複数のエレメント3を並べた第1エレメント列3’を有し、スライドファスナーチェーン1の他の部分は、上面3aが転写部31dのみの複数のエレメント3を並べた第2エレメント列3”を有する。なお、第2エレメント列3”は、第1エレメント列3’に比べて、非転写部31eの大きさが小さいエレメント3を並べることで形成されてもよい。また、第2エレメント列3”は、非転写部31eのみで形成されたエレメント3を並べることで形成されてもよい。すなわち、スライドファスナーチェーン1は、その前後方向において、所定範囲毎に、転写部31dと非転写部31eの割合を変えたエレメント列を配置しても良い。
【0072】
このように、スライドファスナーチェーン1は、転写部31dと非転写部31eが形成されたエレメント3を並べた第1エレメント列3’と、転写部31dと非転写部31eの割合を変えたエレメント3を並べた第2エレメント列3”と、を適用することで、簡単に美観を変化させて装飾性を高くすることが可能となる。
【0073】
このように、本実施形態のスライドファスナーチェーン1は、一対のファスナーテープ2と、各ファスナーテープ2の縁部21に所定の間隔をおいてそれぞれ固定された複数のエレメント3とからなるスライドファスナーチェーン1であって、エレメント3は、樹脂からなり、上面3aの少なくとも一部に転写部31d及び非転写部31eがそれぞれ形成されるので、簡単に美観を変化させて装飾性を高くすることが可能となる。
【0074】
また、本実施形態のスライドファスナーチェーン1では、非転写部31eは、エレメント3の母材の一部からなるので、光沢のある装飾性の高いものとすることが可能となる。
【0075】
また、本実施形態のスライドファスナーチェーン1では、転写部31dは、スライドファスナーチェーン1の左右方向において、非転写部31eを挟んで配置された第1転写部31d1と第2転写部31d2を有するので、より装飾性の高いものとすることが可能となる。
【0076】
また、本実施形態のスライドファスナーチェーン1では、転写部31d,31d1,31d2は、エレメント3の上面3aにおいて、エレメント3の上下方向の寸法が減少した部分に形成されるので、スライダーの移動による転写箔の剥がれを低減することができる。
【0077】
また、本実施形態のスライドファスナーチェーン1では、エレメント3の上面3aは、下方へ傾斜する傾斜面3a1,3a3を有し、転写部31d,31d1,31d2は、傾斜面3a1,3a3に形成されるので、エレメントの装飾性を高めつつ、転写箔の剥がれを効果的に低減することができる。
【0078】
さらに、本実施形態のスライドファスナーは、スライドファスナーチェーン1と、複数のエレメント3で形成されるエレメント列3’ の終端で前記ファスナーテープ2の縁部21に固定された止具4,5と、エレメント列3’を噛合又は分離させるために移動自在なスライダーと、を備えるので、簡単に美観を変化させた装飾性の高いものとすることが可能となる。
【0079】
さらに、本実施形態のスライドファスナーチェーンの製造方法は、一対のファスナーテープ2のそれぞれの縁部21に所定の間隔をおいてそれぞれ固定された複数の樹脂製のエレメント3を有するスライドファスナーチェーン1の製造方法であって、エレメント3をファスナーテープ2に固着する固着工程と、固着工程の後に、エレメント3の上面3aに転写箔33を転写し、転写部31dを形成する転写工程と、転写部31dの転写箔の一部を削ることにより非転写部31eを形成する非転写部形成工程と、を有するので、簡単に美観を変化させて装飾性の高いスライドファスナーチェーン1を製造することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態のスライドファスナーチェーンの製造方法では、非転写部形成工程は、エレメント3の母材の一部を転写箔33ごと削ることにより非転写部31eを形成するので、光沢のある装飾性の高いものとすることが可能となる。
【0081】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。