特許第6228988号(P6228988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6228988交流電流を直流電流に変換する方法および関連装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6228988
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】交流電流を直流電流に変換する方法および関連装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   H02M7/12 N
   H02M7/12 601A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-543506(P2015-543506)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-500247(P2016-500247A)
(43)【公表日】2016年1月7日
(86)【国際出願番号】FR2013052864
(87)【国際公開番号】WO2014083276
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】1261287
(32)【優先日】2012年11月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】315017373
【氏名又は名称】ラビナル・パワー・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カシミール,ロラン
(72)【発明者】
【氏名】ジオルジ,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ジロー,ポール
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−44810(JP,A)
【文献】 特開2008−61322(JP,A)
【文献】 特開2011−234439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00−7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの交流入力電圧(Va、Vb、Vc)を直流電圧(Vdc)に変換できる三相ブリッジを備えた変換装置によって実行される、交流電流を直流電流に変換する方法であって、
前記三相ブリッジは、直列に取り付けられた第1のスイッチ(Z1)と、第2のスイッチ(Z2)とからなる少なくとも1つのアームを備えており、
各スイッチは、スイッチの開閉を制御できる制御入力部を有し、
前記方法は、直流電圧を調整する調整ステップと、当該調整ステップに先立つ遷移ステップを含み、
当該遷移ステップでは、前記交流入力電圧(Va、Vb、Vc)を用いて前記第1のスイッチの制御入力部に印加される第1の信号と、前記第2のスイッチの制御入力部に印加される第2の信号とを以下方法によって生成し、
a)前記交流入力電圧の負の交流中、前記第1の信号は、連続パルスの幅が時間とともに漸進的に広くなる、前記第1のスイッチ(Z1)を開閉するパルス信号であると共に、前記第2の信号は、前記第2のスイッチ(Z2)を開放状態に保つ連続信号であり、
b)前記交流入力電圧の正の交流中、前記第1の信号は、前記第1のスイッチ(Z1)を開放状態に保つ連続信号であると共に、前記第2の信号は、連続パルスの幅が時間とともに漸進的に広くなる、前記第2のスイッチ(Z2)を開閉するパルス信号であって、
前記交流入力電圧(Va、Vb、Vc)を用いた前記第1の信号および前記第2の信号の生成では、
時間とともにその幅が漸進的に広くなる連続パルスを生成し、
前記交流入力電圧を用いて、前記交流入力電圧の正の交流用のレベル1の論理信号と、前記交流入力電圧の負の交流用のレベル0の論理信号とを生成し、
反転論理信号を形成するために前記論理信号を反転させ、
第1の入力部で前記パルスを受信するとともに、第2の入力部で前記論理信号を受信する第1の論理AND回路(14)を用いて、前記第2の信号を生成し、
第1の入力部で前記パルスを受信するとともに、第2の入力部で前記反転論理信号を受信する第2の論理AND回路(15)を用いて、前記第1の信号を生成する、ことを特徴とする変換方法。
【請求項2】
前記直流電圧(Vdc)が所定の閾値(Vf)に達するとすぐに前記遷移ステップは中断されて前記調整ステップが開始される、請求項1に記載の変換方法。
【請求項3】
前記所定の閾値(Vf)は、調整直流電圧値の90%である、請求項2に記載の変換方法。
【請求項4】
少なくとも1つの交流入力電圧(Va、Vb、Vc)を直流電圧(Vdc)に変換できる三相ブリッジを備えた交流電流を直流電流に変換する装置であって、
前記三相ブリッジは、直列に取り付けられた第1のスイッチ(Z1)と、第2のスイッチ(Z2)からなる少なくとも1つのアームを備えており、
各スイッチは、スイッチの開閉を制御できる制御入力部を有し、
前記装置は、
交流入力電圧 (Va、Vb、Vc)を用いて前記第1のスイッチの制御入力部に印加される第1の信号と、前記第2のスイッチの制御入力部に印加される第2の信号とを以下方法により出力可能な手段(9、10、11、12,13、14、15)を有する制御回路(6)をさらに備え、
a)前記交流入力電圧の負の交流中、前記第1の信号は、連続パルスの幅が時間とともに漸進的に広くなる、前記第1のスイッチ(Z1)を開閉するパルス信号であると共に、前記第2の信号は、前記第2のスイッチ(Z2)を開放状態に保つ連続信号であり、
b)前記交流入力電圧の正の交流中、前記第1の信号は、前記第1のスイッチ(Z1)を開放状態に保つ連続信号であると共に、前記第2の信号は、連続パルスの幅が時間とともに漸進的に広くなる、前記第2のスイッチ(Z2)を開閉するパルス信号であって、
前記交流入力電圧を用いた前記第1の信号と前記第2の信号を出力可能な前記手段(9、10、11、12,13、14、15)は、
時間とともにその幅が漸進的に広くなる連続パルスを出力する出力部を有するパルス発生器(9、10、11)と、
入力部と出力部を有し、当該入力部で前記交流入力電圧を受信すると共に、当該出力部で前記交流入力電圧の正の交流用のレベル1の論理信号と、前記交流入力電圧の負の交流用のレベル0の論理信号を出力する論理回路(12)と、
前記論理回路(12)によって出力された前記論理信号を反転するインバータ(13)と、
前記パルス発生器(9、10、11)から出力された信号を第1の入力部で受信するとともに、前記論理回路(12)から出力された信号を第2の入力部で受信する第1のAND論理回路(14)と、
前記パルス発生器(9、10、11)から出力された信号を第1の入力部で受信するとともに、前記インバータ(13)から出力された信号を第2の入力部で受信する第2のAND理回路(15)と、を備え、
前記第1のAND論理回路(14)の出力部が前記第2のスイッチの制御入力部に接続されており、
前記第2のAND論理回路(15)の出力部が前記第1のスイッチの制御入力部に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項5】
前記パルス発生器(9、10、11)は、鋸歯状信号発生器(9)と、ランプ発生器(10)と比較器(11)とを備えたパルス幅変調器である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
比較回路(7)は、前記直流電圧(Vdc)の測定値を所定の閾値(Vf)と比較して制御信号を出力し、
当該制御信号は、前記直流電圧の測定値が前記所定の閾値に達するとすぐに、前記第1と第2の信号を出力可能な手段(6)の動作を中断する、請求項4又は5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電流を直流電流に変換する方法、より一般的な呼称ではAC/DC変換および関連する変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、例えば航空機の負荷の電源用の電力分配に適用する。そのような電力分配に関与するコンバータは先ず、交流ネットワークを直接ネットワークに変換する。交流ネットワークは、例えば、航空機が地上にあるときに航空機外の発電機によって供給される電圧ネットワークである。そのように作られた直接ネットワークを用いて、例えばインバータ等の他のコンバータは、例えば航空機のテールコーンに配置された補助電源装置を始動するためのスタータ等の航空機の負荷を制御する。
【0003】
現在まで、直接ネットワークを発生するために使用されるエネルギー変換モードは2つの連続するステップ、すなわち:
−AC/DC変換装置が、抵抗器の媒介で三相交流ネットワークに接続される予備負荷ステップ、
−出力電圧を所望の値に引き上げるための、出力電圧調整ステップ、
で作動する。
【0004】
予備負荷抵抗器は、コンバータをネットワークに切り替えたときに交流ネットワークに発生する突入電流を制限する。予備負荷中には調整はない。コンバータの一部である半導体は遮断された状態のままとなり、するとコンバータは三相ダイオードブリッジと同等になる。
【0005】
図1は、先行技術のAC/DC変換装置のグローバルアーキテクチャを示し、図2Aおよび2Bは、図1に示された装置の詳細図である。
【0006】
このAC/DC変換装置のグローバルアーキテクチャは予備負荷抵抗器のブロック1と、AC/DC変換用のブロック2と、デカップリング・コンデンサ3と、直接電圧出力Vdcが印加される終端の負荷4と、制御回路5と、一組の自己誘導型コイルL1、L2、L3およびそれに対応する抵抗器r1、r2、r3、交流入力電圧Va、Vb、Vcを測定するための装置MVと、それぞれの自己誘導型コイルL1、L2、L3を流れる入力電流IL1、IL2、IL3を測定するための装置MCと、直接電圧出力Vdcを測定するための装置MDCとを備えている。装置MV、MCおよびMDCからの測定出力は制御回路5に送信され、制御回路5はAC/DC変換ブロック2に適用される設定CSGを出力する。
【0007】
図2Aは、予備負荷抵抗器のブロック1の詳細図である。ブロック1は、3つのそれぞれのスイッチK11、K21、K31に直列な3つの抵抗器R1、R2、R3を備え、全体は、スイッチKi2に並列に取り付けられた、スイッチKi1(i=1,2,3)に直列な抵抗器Riから構成される。
【0008】
図2Bは、AC/DC変換のためのブロック2の詳細図である。ブロック2は平行な3本のアームから形成される三相ブリッジを備え、各アームは直列な2つのスイッチから形成され、各スイッチがフリーホイールダイオードに並列に取り付けられている。第1のアームは、スイッチZ1、Z2およびダイオードD1、D2から形成されている。第2のアームは、スイッチZ3、Z4およびダイオードD3、D4から形成されている。第3のアームは、スイッチZ5、Z6およびダイオードD5、D6から形成されている。各スイッチZjには制御終端Gj(j=1,2,…,6)が設けられている。各アームは直列の2つのスイッチの間に位置する中間点を有し、そこに異なる交流入力電圧が印加される。電圧VaはそのようにスイッチZ1、Z2の中間点に印加され、電圧VbはスイッチZ3、Z4の中間点に、電圧VcはスイッチZ5、Z6の中間点に印加される。出力電圧Vdcが取り出される終端間にコンデンサKが取り付けられている。
【0009】
予備負荷位相中、スイッチKi1(i=1,2,3)は導通状態であり、スイッチKi2は遮断状態である。すると対応する電流IL1、IL2、IL3は予備負荷抵抗器R1、R2、R3を通って流れる。抵抗器R1、R2およびR3は、AC/DCコンバータブロックを交流ネットワークに切り替えたときに交流ネットワークへの突入電流を制限することを可能にする。予備負荷ステップ全体において、スイッチZjは遮断された状態にある。出力電圧Vdcは、入力電圧の有効値に理論的に比例する予備負荷の終止電圧の値まで上昇する。出力電圧Vdcがその理論値に達すると、抵抗器Ri (i=1,2,3)はスイッチKi2(導通状態)を閉じることにより短絡されて、調整ステップが起動する。調整ステップの永久状態中、スイッチZjは所望の出力電圧を得るために設定CSGに従って制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この動作モードの欠点は、出力電圧調整の開始時における突入電力タイプの過渡現象の出現である。これは、電力構成要素にストレスを与える有害な結果(信頼性の低下とインダクタンスの飽和)を生み、ネットワーク品質に関して遵守されるべき基準と要求へのコンプライアンスを妨げる。
【0011】
図3および4は、これらの過渡現象の出現を示す。図3は、コンバータの出力部における電圧Vdcを示し、図4は、これらの過渡現象に関る入力電流ILi(i=1,2,3)を示す。図4において、交流ネットワーク上の突入電流は、予備負荷ステップと調整ステップの間の過渡期(図3および4における瞬間to)に例えば170Aに達しうると考えられる。並列のN個のコンバータの場合、入力ネットワークへの突入電流はNで乗算される。これは例えば、500Aに達しうる(3個並列のコンバータの場合)突入電流という結果になる。これは真に欠点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の方法にはこの欠点がない。
【0013】
実際、本発明は、少なくとも1つの交流入力電圧を直流電圧に変換できる三相ブリッジを備えた変換装置によって実行される、交流電流を直流電流に変換する方法に関する。三相ブリッジは、直列に取り付けられた第1のスイッチと第2のスイッチからなる少なくとも1つのアームを備えており、各スイッチは、スイッチの開閉を制御可能な制御入力部を有する。当該方法は、直流電圧を調整する調整ステップに先立つ遷移ステップを含むことを特徴とし、当該遷移ステップは、第1のスイッチの制御入力部に印加される第1の信号と、第2のスイッチの制御入力部に印加される第2の信号とを、交流入力電圧を用いて形成することを含み、その形成の態様は以下の如くである:
a)交流入力電圧の負の交流中、第1の信号は、連続パルスの幅が時間とともに漸進的に広くなる、第1のスイッチを開閉するパルス信号であり、第2の信号は第2のスイッチを開放状態に保つ連続信号であり、
b)交流入力電圧の正の交流中、第1の信号は、第1のスイッチを開放状態に保つ連続信号であり、第2の信号は、連続パルスの幅が時間とともに漸進的に広くなる、第2のスイッチを開閉するパルス信号である。
【0014】
本発明の変換方法の付加的な特性によれば、前記交流入力電圧を用いた前記第1の信号および前記第2の信号の生成では、
時間とともにその幅が漸進的に広くなる連続パルスを生成し、
前記交流入力電圧を用いて、前記交流入力電圧の正の交流用のレベル1の論理信号と、前記交流入力電圧の負の交流用のレベル0の論理信号とを生成し、
反転論理信号を形成するために前記論理信号を反転させ、
第1の入力部で前記パルスを受信するとともに、第2の入力部で前記論理信号を受信する第1の論理AND回路を用いて、前記第1の信号を生成し、
第1の入力部で前記パルスを受信するとともに、第2の入力部で前記反転論理信号を受信する第2の論理AND回路を用いて、前記第2の信号を生成する。
【0015】
本発明は、本発明の方法を実施できる手段を備えた、交流電流を直流電流に変換する装置にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】既述の如く、AC/DC変換装置のグローバルアーキテクチャを示す。
図2A】既述の如く、図1に示した装置の詳細図である。
図2B】既述の如く、図1に示した装置の詳細図である。
図3】既述の如く、従来技術のAC/DCコンバータにおいて、予備負荷ステップと電圧調整ステップの間の過渡期に現れる過渡現象を示す。
図4】既述の如く、予備負荷ステップと電圧調整ステップの間の過渡期に従来技術のAC/DCコンバータに現れる過渡現象を示す。
図5】本発明の方法を実施できるAC/DCコンバータを示す。
図6図5のAC/DCコンバータの詳細図である。
図7a】本発明のAC/DCコンバータを制御する信号の形成を示す。
図7b】本発明のAC/DCコンバータを制御する信号の形成を示す。
図7c】本発明のAC/DCコンバータを制御する信号の形成を示す。
図8a】本発明のAC/DCコンバータの回路の動作を示す。
図8b】本発明のAC/DCコンバータの回路の動作を示す。
図9a図7a−7cに示した制御信号の影響下の本発明のAC/DC変換装置の動作を示す。
図9b図7a−7cに示した制御信号の影響下の本発明のAC/DC変換装置の動作を示す。
図9c図7a−7cに示した制御信号の影響下の本発明のAC/DC変換装置の動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図5は、本発明の変換方法を実施できる、交流電流の直流電流へのコンバータを示す。
【0018】
それぞれの抵抗器r1、r2、r3の自己誘導型コイルL1、L2、L3、変換ブロック2およびコンデンサ3に加えて、AC/DCコンバータは制御回路6を備えている。
【0019】
本発明の変換方法は、予備負荷ステップと電圧調整ステップの間の過渡期を含む。過渡期ステップの実施を可能にするのは制御回路6である。制御回路6は、予備負荷ステップが終了するとすぐに起動される。予備負荷ステップは、本来既知の方式で終了するが、それは例えばタイミングにより、または、直接電圧出力が所定閾値に達してすぐに、等である。
【0020】
制御回路6は起動されるとすぐに以下の制御信号
【数1】
を出力する。それら信号はそれぞれスイッチZ1−Z6の終端G1−G6に印加される。信号Saと
【数2】
は、入力電圧Vaを用いて形成される。同様に、信号Sbと
【数3】
は入力電圧Vbを用いて形成され、信号Scと
【数4】
は入力電圧Vcを用いて形成される。図6を複雑にすることを避けるために、入力電圧Vaを用いた信号Saと
【数5】
の形成のみが示されている。しかし、本発明の枠組みにおいて、制御ブロックは同じ原理に従って信号Sb、
【数6】
およびSc、
【数7】
も発生する。
【0021】
図6は、本発明の好ましい実施形態による制御ブロック6を示す。ブロック6は第1の比較器7と制御信号発生ブロック8とを備えている。
【0022】
制御信号発生ブロック8は、
−キャリア信号Vp発生器9、ランプ信号VR発生器10および比較器11からなるパルス幅変調器と、
−論理回路12と、
−インバータ回路13と、
−2つの論理AND回路14および15と、
を備えている。
【0023】
論理回路12はその入力部で交流電圧Vaを受信する。回路12の出力部での論理レベルは、電圧Vaが正である(正の交流である)場合に1に等しく、電圧Vaが負である(負の交流である)場合に0に等しい。この論理レベルはAND回路14の第1の入力部に適用され、インバータ回路13による反転後、AND回路15の第1の入力部に適用され、AND回路14および15は比較器11によって出力された信号をそれぞれ受信しており、比較器11は、第1の入力部において、発生器9によって出力されたキャリア信号Vpを受信するともに、第2の入力部において、発生器10によって出力されたランプ信号Vpを受信する。
【0024】
図7a−7cは、ブロック8によって入力信号Vaを用いて操作される制御信号Sa、
【数8】
の形成を示している。
【0025】
図7aは、交流入力電圧Vaを示す。図7bは同じマークで、キャリア信号Vpとランプ信号VRを示している。キャリア信号Vpは、例えば、例えば15kHzに等しい周波数の、+1と−1の間で変動する鋸歯状電圧である。キャリア信号Vpの記号レベル+1と−1は、実際上、それぞれの電圧レベル+5Vと−5Vに対応する。電圧ランプ信号VRは減少信号であり、その初期振幅は+1に等しい記号値を有する。事実上、ランプ信号の初期振幅は鋸歯状信号の最大振幅、例えば+5Vに相当する。図7cは、同じマークで、ブロック8によって出力された制御信号Saおよび
【数9】
を示す。
【0026】
図7cで以下がわかる:
−電圧Vaの正の交流中、キャリア信号の振幅がランプ電圧の値を超えるとすぐに、信号
【数10】

が方形パルスの連続で形成されてパルスの幅が漸進的に広がり、一方、信号Saはゼロのところにある、
−電圧Vaの負の交流中、キャリア信号の振幅がランプ電圧の値を超えるとすぐに、信号Saが方形パルスの連続で形成されてパルスの幅が漸進的に広がり、一方、信号
【数11】

はゼロのところにある。
【0027】
以下の真理表は、スイッチZ1、Z2を備えたアームの制御論理を要約するものである
【表1】
【0028】
図8aおよび8bは、上述の真理表の回路を参照して示す。
【0029】
図9a−9cは、本発明のAC/DC変換装置の動作に係る動作ステップの全体を示しており、それは即ち予備負荷ステップ(I)、遷移ステップ(II)および調整ステップ(III)である。
【0030】
図9aは、AC/DCコンバータの出力電圧Vdcを示している。図9bは、コンバータの入力部でのコイルL1を流れる電流IL1を示し、図9cは、ランプ信号VRを示す。簡略化のため、それぞれのコイルL2およびL3を流れる電流IL2およびIL3は、これら電流が電流IL1と同様な変動を有しているため図9a―9cに示されていない。
【0031】
突入電流IL1は、AC/DCコンバータが予備負荷ステップ(I)と遷移ステップ(II)の間で切り替える瞬間にはゼロである。遷移ステップの開始時において、方形パルスの幅は低いため、突入電流は結果的に低振幅となる。遷移ステップの残りの部分の間、パルスの幅は経時的に増加し、突入電流は増加した振幅を持つ。同様に、コンバータの出力部で測定される電圧Vdcは増加する(図9a参照)。遷移ステップ中に、コンバータの出力部で測定された電圧Vdcは、比較器7によって、例えば所望の調整直流電圧の90%に等しい所定の閾値Vfと比較される。電圧Vdcが閾値Vfに達するとすぐに、比較器7は比較信号を出力し、それが遷移ステップを中断して調整ステップを起動する。
【0032】
遷移ステップの持続時間ΔTは調整可能であると有利である。持続時間ΔTの調整可能な性質の利点は、電圧Vdcの増加のための持続時間を変えられるということである。図9a―9cにおいて、この持続時間は例えば80msに等しい。
【0033】
有利には、突入電流ILi(i=1,2,3)は、遷移ステップ全体を通して、かつ調整ステップの始動時中に低さを保つ振幅を有する。非限定的な例として、図9bに示すように、電流ILiの値は、遷移ステップの始動時から調整ステップの開始時の間にほぼ0Aからほぼ40Aに変動する。
【符号の説明】
【0034】
1:予備負荷抵抗器ブロック
2:AC/DC変換ブロック
3:コンデンサ
4:負荷
5:制御回路
6:制御回路
7:比較器
8:制御信号発生ブロック
9:キャリア信号Vp発生器
10:ランプ信号VR発生器
11:比較器
12:論理回路
13:インバータ回路
14:論理AND回路
15:論理AND回路
図1
図2A
図2B
図3-4】
図5
図6
図7a-7c】
図8a
図8b
図9a-9c】