【文献】
Xinzhi Chen et al.,Comparing electrochemical performance of trasition metal silicate cathodes and chevrel phase Mo6S8 in the analogous rechargeble Mg−ion battery system,Journal of Power Sources,2016年 5月 5日,Vol.321,p.76−86
【文献】
Takuya Mori et al.,Anti−site mixing governs the electrochemical performances of olivine−type MgMnSiO4 cathodes for rechargeable magnesium batteries,Physical Chemistry Chemical Physics,2016年 4月22日,Vol.1.18,p.13524−13529
【文献】
Chen Ling et al.,First−principles study of the magnesiation of olivines:redox reaction mechanism,electrochemical and thermodynamic properties,Journal of Materials Chemistry,2012年 5月12日,Vol.22,p.13517−13523
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のマグネシウムイオン電池用正極活物質は、下記式(A):
Mg
aM
1bM
2cSiO
4・・・(A)
(式(A)中、M
1はMn、Fe、Ni又はCoである金属元素を示し、M
2はCo、Al、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Fe、Mn、Niから選ばれる1種以上のドープ金属元素を示す。但し、M
1とM
2は、同時に異なる金属元素である。a、b及びcは、1.0≦a≦1.5、0<b≦1.0、0≦c<0.5、及び2a+2b+n×c=4を満たす数であり、nはM
2の平均価数を示す。)
で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物を含有する。
【0012】
上記式(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物は、少なくともマグネシウムを含むとともに、Mn、Fe、Ni又はCoである金属元素(M
1)を含み、かつこれらマグネシウム及び金属元素(M
1)とは異なる金属元素として、Co、Al、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Fe、Mn、Niから選ばれる1種以上のドープ金属元素(M
2)を含む。このように、マグネシウム及び金属元素(M
1)とともに特定のドープ金属(M
2)を含む上記式(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物を正極活物質として用いれば、得られるマグネシウムイオン電池において、ドープ金属(M
2)の介在による効果的な放電容量の向上を図ることができる。
【0013】
式(A)中、M
1はMn、Fe、Ni又はCoである金属元素を示し、好ましくはMn、Feであり、さらに好ましくはMnである。M
2はCo、Al、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Fe、Mn、Niから選ばれる1種以上のドープ金属元素を示し、好ましくはCo、Al、Zr、Laから選ばれる1種以上であり、より好ましくはCo、Al、Zrから選ばれる1種以上である。
【0014】
a、b及びcは、1.0≦a≦1.5、0<b≦1.0、0≦c<0.5、及び2a+2b+n×c=4を満たす数であり、nはM
2の平均価数を示す。好ましくはaは1.0≦a≦1.2であり、bは0.9≦b≦1.0であり、cは0≦c≦0.1であり、nは通常2〜6である。
【0015】
但し、上記M
1とM
2は、同時に異なる金属元素である。すなわち、例えば、M
1がCoである場合、M
2は上記ドープ金属元素から選ばれるCo以外の金属元素であって、Al、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Fe、Mn、Niから選ばれる1種以上の金属であればよく、例えばMnであってもよい。より具体的には、例えば、式(A)中のM
1がMnである場合、M
2がCo、Al、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Fe、Niから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのが好ましく、Co、Al、Zr、Laから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがより好ましく、Co、Al、Zrから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがさらに好ましい。かかるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物としては、例えば、MgMn
0.95Co
0.05SiO
4、MgMn
0.950Al
0.033SiO
4、MgMn
0.950Zr
0.025SiO
4、MgMn
0.950La
0.033SiO
4、MgMn
0.950Nb
0.02SiO
4、MgMn
0.950Mo
0.0167SiO
4、MgMn
0.950Cr
0.033SiO
4、MgMn
0.95Fe
0.05SiO
4、MgMn
0.95Ni
0.05SiO
4等が挙げられる。
【0016】
また例えば、式(A)中のM
1がFeである場合、M
2がCo、Al、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Mn、Niから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのが好ましく、Co、Al、Zr、Laから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがより好ましく、Co、Al、Zrから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがさらに好ましい。かかるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物としては、例えば、MgFe
0.95Co
0.05SiO
4、MgFe
0.950Al
0.033SiO
4、MgFe
0.950Zr
0.025SiO
4、MgFe
0.950La
0.033SiO
4、MgFe
0.950Nb
0.02SiO
4、MgFe
0.950Mo
0.0167SiO
4、MgFe
0.950Cr
0.033SiO
4、MgFe
0.95Mn
0.05SiO
4、MgFe
0.95Ni
0.05SiO
4等が挙げられる。
【0017】
さらに例えば、式(A)中のM
1がNiである場合、M
2がCo、Al、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Mn、Feから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのが好ましく、Co、Al、Zr、Laから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがより好ましく、Co、Al、Zrから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがさらに好ましい。かかるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物としては、例えば、MgNi
0.95Co
0.05SiO
4、MgNi
0.950Al
0.033SiO
4、MgNi
0.950Zr
0.025SiO
4、MgNi
0.950La
0.033SiO
4、MgNi
0.950Nb
0.02SiO
4、MgNi
0.950Mo
0.0167SiO
4、MgNi
0.950Cr
0.033SiO
4、MgNi
0.95Mn
0.05SiO
4、MgNi
0.95Fe
0.05SiO
4等が挙げられる。
【0018】
また例えば、式(A)中のM
1がCoである場合、M
2がAl、Zr、La、Nb、Mo、Cr、Mn、Fe、Niから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのが好ましく、Al、Zr、Laから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがより好ましく、Al、Zrから選ばれる1種以上のドープ金属元素であるのがさらに好ましい。かかるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物としては、例えば、MgCo
0.950Al
0.033SiO
4、MgCo
0.950Zr
0.025SiO
4、MgCo
0.950La
0.033SiO
4、MgCo
0.950Nb
0.02SiO
4、MgCo
0.950Mo
0.0167SiO
4、MgCo
0.950Cr
0.033SiO
4、MgCo
0.95Mn
0.05SiO
4、MgCo
0.95Fe
0.05SiO
4、MgCo
0.95Ni
0.05SiO
4等が挙げられる。
【0019】
本発明のマグネシウムイオン電池用正極活物質は、導電性を高め、得られるマグネシウムイオン電池における放電容量の向上を有効に図る観点から、カーボンが担持されてなるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物を含有するのが好ましい。かかるカーボンとしては、例えば、グルコース、スクロース、キシロース、フルクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン、デキストリン、クエン酸、ポリビニルピロリドン等の炭素源;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックの炭素源が挙げられる。なかでも、グルコース、ケッチェンブラックが好ましい。
かかるカーボンの担持量は、マグネシウムイオン電池用正極活物質100質量%中、炭素原子換算量で、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%である。
【0020】
式(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物は、M
2のドープを均一に行うことにより、得られる電池の放電容量を有効に高める観点から、水熱合成法又はゾルゲル法により得られた一次粒子を焼成することにより得られたものであるのが好ましく、水熱合成法により得られた一次粒子を焼成することにより得られたものであるのがより好ましく、本発明のマグネシウムイオン電池用正極活物質は、このようにして得られたオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物を含有するのが好ましい。
【0021】
したがって、本発明のマグネシウムイオン電池用正極活物質の製造方法として、水熱合成法を用いる場合、具体的には、ケイ酸化合物、マグネシウム化合物、金属(M
1)化合物、及び金属(M
2)化合物を混合して混合液を得る工程(I)、
得られた混合液を水熱反応に付して一次粒子を得る工程(II)、並びに
得られた一次粒子を焼成して上記式(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物を得る工程(III)
を備えるのがよい。
【0022】
工程(I)は、ケイ酸化合物、マグネシウム化合物、金属(M
1)化合物、及び金属(M
2)化合物を混合して混合液を得る工程である。
ケイ酸化合物としては、乾式シリカやコロイダルシリカ等の非晶質シリカ、Na
2SiO
3、Na
4SiO
4(例えば、Na
4SiO
4・nH
2O)等が挙げられ、Na
2SiO
3を用いるのが好ましい。
マグネシウム化合物としては、2価のマグネシウム化合物及びこれらの水和物等であればよく、例えば、ハロゲン化マグネシウム等のハロゲン化物;硫酸マグネシウム等の硫酸塩;シュウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等の有機酸塩;並びにこれらの水和物等が挙げられる。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マグネシウム又はその水和物を用いるのが好ましい。
金属(M
1)化合物としては、金属(M)を含む塩化物やヨウ化物等のハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、及びこれらの水和物等が挙げられる。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸塩又はその水和物を用いるのが好ましい。金属(M
2)化合物としても、同様に金属(M
2)を含む塩化物やヨウ化物等のハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、及びこれらの水和物等が挙げられ、硫酸塩又はその水和物を用いるのが好ましい。
【0023】
なお、工程(I)で得られる混合液は、続く工程(II)における水熱反応を良好に進行させる観点から、水を含む。水の使用量は、混合液中におけるマグネシウムイオン1モルに対し、好ましくは10〜200モルであり、より好ましくは30〜150モルである。
【0024】
これらケイ酸化合物、マグネシウム化合物、金属(M
1)化合物、及び金属(M
2)化合物は、これらの溶解性を高め、金属(M
2)を良好にドープさせる観点から、ケイ酸化合物と水を混合した予備混合液X
1と、マグネシウム化合物、金属(M
1)化合物、及び金属(M
2)化合物と水を混合した予備混合液X
2とを混合し、得られた混合液Yを工程(II)に付するのがよい。予備混合液X
1中におけるケイ酸化合物の含有量は、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは7〜25質量%である。また予備混合液X
2中におけるマグネシウム化合物、金属(M
1)化合物、及び金属(M
2)化合物の合計含有量は、好ましくは10〜40質量%であり、より好ましくは15〜35質量%である。
【0025】
混合液Yを得る際における予備混合液X
1と予備混合液X
2との混合時間は、好ましくは1〜60分であり、より好ましくは5〜40分であり、混合時の温度は、好ましくは5〜50℃である。また混合時の雰囲気は、マグネシウム化合物や金属(M
1)化合物、及び金属(M
2)化合物の不要な酸化を防止する観点から、窒素雰囲気とするのが好ましい。
【0026】
混合液Y中におけるケイ酸化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは2〜15質量部であり、より好ましくは3〜13質量部である。また混合液Y中におけるマグネシウム化合物、金属(M
1)化合物、及び金属(M
2)化合物の合計量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜20質量部であり、より好ましくは7〜18質量部である。さらに混合液Y中におけるM
1及びM
2の金属原子合計1モルに対し、マグネシウムは0.7〜1.0モルであるのが好ましく、0.8〜1.0モルであるのがより好ましい。また混合液Y中における金属原子(M
1)と金属原子(M
2)のモル比(金属M
1:M
2)は、好ましくは80:20〜99:1であり、より好ましくは85:15〜98:2である。
【0027】
なお混合液Yは、工程(II)に移行する前、好ましくは最終的にpH7〜13.5に調整し、より好ましくはpH7〜13に調整するのがよい。これにより、副生成物ならびに粒子の成長を有効に抑制することができる。この際、必要に応じて、公知のpH調整剤を用いてもよい。
【0028】
工程(II)は、工程(I)で得られた混合液Yを水熱反応に付して一次粒子を得る工程である。かかる工程を経ることにより、M
2を有効にドープさせた化合物の前駆体として、かかる一次粒子を効率的に得ることができる。工程(II)における水熱反応には、蒸気加圧式オートクレーブを用いるのが好ましく、水熱反応の温度は、好ましくは130〜200℃であり、より好ましくは140〜170℃である。また、水熱反応時間は、好ましくは1〜12時間であり、より好ましくは3〜9時間である。水熱反応時の圧力は、好ましくは0.2〜1.5MPaであり、より好ましくは0.3〜0.7MPaである。
【0029】
水熱反応終了後、生成した一次粒子をろ過により採取し、次いで、効果的に不純物を除去する観点から、洗浄するのが好ましい。洗浄は、ケーキ洗浄機能を有したろ過装置を用いて水で行うのが好ましい。得られた結晶は、必要により乾燥した後、工程(III)に移行するのがよい。乾燥手段は、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
【0030】
工程(III)は、工程(II)で得られた一次粒子を焼成して、M
2を有効にドープしてなる上記式(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物を得る工程である。ここで、上記式(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物にカーボンを担持させて導電性を高める観点から、焼成する前に、一次粒子をカーボンと混合して複合体(二次粒子)とし、次いでこれを焼成に付してもよい。かかるカーボンとしては、具体的には、上記炭素源を用いることができ、その添加量は、マグネシウムイオン電池用正極活物質100質量%中におけるカーボンの担持量として、炭素源の炭素原子換算量で、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜15質量%であり、さらに好ましくは1.0〜12質量%である。
【0031】
一次粒子にカーボンを添加した後、これらを混合するのが好ましい。カーボンとして、グルコース、スクロース、キシロース、フルクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン、デキストリン、クエン酸、ポリビニルピロリドン等の炭素源を用いる場合、かかる混合としては、通常のボールミルによる混合であるのが好ましく、自公転可能な遊星ボールミルによる混合にて複合体(二次粒子)を得るのがより好ましい。さらに、カーボンとして、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック等の炭素源を用いる場合、上記(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物の表面上でカーボンを緻密かつ均一に分散させ、これを有効に担持させる観点から、圧縮力及びせん断力を付加しながら混合して複合体(二次粒子)とするのが好ましい。圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理は、インペラを備える密閉容器で行うのが好ましい。かかるインペラの周速度は、得られる正極活物質の導電性を有効に高めて電池の放電容量の向上を図る観点から、好ましくは25〜40m/sであり、より好ましくは27〜40m/sである。また、混合時間は、好ましくは5〜90分であり、より好ましくは10〜80分である。
【0032】
なお、インペラの周速度とは、回転式攪拌翼(インペラ)の最外端部の速度を意味し、下記式(X)により表すことができ、また圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を行う時間は、インペラの周速度が遅いほど長くなるように、インペラの周速度によっても変動し得る。
インペラの周速度(m/s)=
インペラの半径(m)×2×π×回転数(rpm)÷60・・・(X)
【0033】
工程(III)において、上記圧縮力及びせん断力を付加しながら、上記一次粒子とカーボンとを混合する処理を行う際の、処理時間及び/又はインペラの周速度は、容器に投入する複合体(二次粒子)の量に応じて適宜調整する必要がある。そして、容器を稼動させることにより、インペラと容器内壁との間でこれら混合物に圧縮力及びせん断力が付加されつつ、これを混合する処理を行うことが可能となり、上記(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物表面上でカーボンを緻密かつ均一に分散させることができる。
例えば、上記混合する処理を、周速度25〜40m/sで回転するインペラを備える密閉容器内で6〜90分間行う場合、容器に投入する複合体(二次粒子)の量は、有効容器(インペラを備える密閉容器のうち、複合体を収容可能な部位に相当する容器)1cm
3当たり、好ましくは0.1〜0.7gであり、より好ましくは0.15〜0.4gである。
【0034】
このような圧縮力及びせん断力を付加しながら混合する処理を容易に行うことができる密閉容器を備える装置としては、高速せん断ミル、ブレード型混練機等が挙げられ、具体的には、例えば、微粒子複合化装置 ノビルタ(ホソカワミクロン社製)を好適に用いることができる。
【0035】
工程(III)における焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行うのが好ましい。焼成温度は、M
2を効果的にドープさせる観点、及びカーボンを添加した場合には、これを炭化させて上記(A)で表されるオリビン型ケイ酸マグネシウム化合物に有効に担持させる観点から、好ましくは500〜800℃であり、より好ましくは600〜770℃であり、さらに好ましくは650〜750℃である。また、焼成時間は、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは30分〜1.5時間とするのがよい。
【0036】
本発明のマグネシウムイオン電池用正極活物質の製造方法として、ゾルゲル法を用いる場合、ケイ酸化合物としては、粉末状のシリカを用いるのが好ましく、マグネシウム化合物、金属(M
1)化合物及び金属(M
2)化合物としては、酢酸塩又はその水和物を用いるのが好ましい。
【0037】
本発明の二次電池用正極活物質を含む二次電池用正極を適用できる二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
【0038】
ここで、負極については、マグネシウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、マグネシウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてマグネシウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
【0039】
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常マグネシウムイオン二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
【0040】
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、MgPF
6、MgBF
4、MgClO
4、MgAsF
6、から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、MgSO
3CF
3、MgC(SO
3CF
3)
2、MgN(SO
3CF
3)
2、MgN(SO
2C
2F
5)
2及びMgN(SO
2CF
3)(SO
2C
4F
9)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
【0041】
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
【実施例】
【0042】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例1]
予め、二酸化ケイ素粉末(ポーラスSiO
2ナノパウダー(637246−50G)、アルドリッチ社製、粒子径5〜15nm) 3.00g(50mmol)と水100gとを混合して、スラリー水を調製した。次にMg(CH
3COO)
2・4H
2O 10.72g(50mmol)、Mn(CH
3COO)
2・4H
2O 11.64g(47.5mmol)、Co(CH
3COO)
2・4H
2O 0.62g(2.5mmol)、及び水100gを混合して溶液を作製し、予め調製した上記スラリー水と混合してゾルとし、その後60℃で撹拌してゲル化させ、一次粒子としてMgMn
0.95Co
0.05SiO
4の前駆体を含むゲルを得た。
得られたゲル 10.0gと、グルコース 2.7g(炭素原子換算量で、MgMn
0.95Co
0.05SiO
4100質量%中に10質量%に相当)を混合して遊星ボールミル(P−5、フリッチュ社製)に備えられた容器に投入し、これにエタノール 90gと水 10gを混合して調製した溶媒を添加した。次いで、球径1mmのボールを100g用い、回転速度400rpmにて1時間混合した。得られた混合物をろ過し、エバポレーターを用いて溶媒を留去した後、還元雰囲気下、500℃で3時間仮焼し、900℃で12時間焼成して、正極活物質(MgMn
0.95Co
0.05SiO
4)を得た。
【0044】
[実施例2]
Co(CH
3COO)
2・4H
2Oの代わりに、Al
2O(CH
3COO) 0.25g(0.83mmol)を用いた以外、実施例1と同様にして、正極活物質(MgMn
0.950Al
0.033SiO
4)を得た。
【0045】
[実施例3]
Co(CH
3COO)
2・4H
2Oの代わりに、ZrO(CH
3COO)
2 0.28g(1.25mmol)を用いた以外、実施例1と同様にして、正極活物質(MgMn
0.950Zr
0.025SiO
4)を得た。
【0046】
[実施例4]
Na
2SiO
3 6.10g(50mmol)に、水50cm
3を加えて混合し、予備混合液X
1を得た。この予備混合液X
1にMgSO
4・7H
2O 12.32g(50mmol)、MnSO
4・5H
2O 11.45g(47.5mmol)及びCoSO
4・7H
2O 0.70g(2.5mmol)を添加し、混合した。得られた混合液をオートクレーブに投入し、150℃で6hr水熱反応を行った。反応液をろ過後、凍結乾燥した。凍結乾燥(12時間)して得られた粉末8.4gにグルコース(炭素濃度として10%)及び超純水10cm
3を加えて乾燥した後、還元雰囲気下、650℃で1時間焼成して、正極活物質(MgMn
0.95Co
0.05SiO
4)を得た。
【0047】
[実施例5]
CoSO
4・7H
2Oの代わりに、Al
2(SO
4)
3 0.29g(0.83mmol)を用いた以外、実施例4と同様にして、正極活物質(MgMn
0.950Al
0.033SiO
4)を得た。
【0048】
[実施例6]
CoSO
4・7H
2Oの代わりに、Zr(SO
4)
2・4H
2O 0.44g(1.25mmol)を用いた以外、実施例4と同様にして、正極活物質(MgMn
0.950Zr
0.025SiO
4)を得た。
【0049】
[比較例1]
Co(CH
3COO)
2・4H
2Oを用いず、Mn(CH
3COO)
2・4H
2Oの量を12.25g(50mmol)とした以外、実施例1と同様にして、正極活物質(MgMnSiO
4)を得た。
【0050】
[比較例2]
CoSO
4・7H
2Oを用いず、MnSO
4・5H
2Oの量を12.05g(50mmol)とした以外、実施例4と同様にして、正極活物質(MgMnSiO
4)を得た。
【0051】
《充放電特性の評価》
実施例1〜6及び比較例1〜2で得られた正極活物質を用い、マグネシウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、得られた正極活物質、ケッチェンブラック(導電剤)、ポリフッ化ビニリデン(粘結剤)を重量比75:20:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
【0052】
次いで、上記の正極を用いてコイン型マグネシウムイオン二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたMg箔を用いた。電解液には、テトラヒドロフランに、Mg(AlCl
2EtBu)
2を0.25mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型マグネシウム二次電池(CR−2032)を製造した。
製造したマグネシウム二次電池を用いて充放電試験を行い、放電容量を求めた。このときの充電条件は電流0.1CA(3.1mAh/g)、電圧2.1Vの定電流定電圧充電とし、放電条件は電流0.01CA(3.1mAh/g)、終止電圧0.5Vの定電流放電とした。温度は全て30℃とした。
結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
上記結果より、実施例の正極活物質は、比較例の正極活物質に比して、得られるマグネシウムイオン電池において優れた放電容量を確保できることがわかる。