【実施例】
【0015】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。
図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
パチンコ遊技機1は、
図1に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠(図示略)と、外枠(図示略)の左側辺に開閉可能に取り付けられた遊技枠(図示略)と、該遊技枠の左側辺上部に開閉可能に取り付けられたガラス扉枠102と、遊技枠の左側辺下部に開閉可能に取り付けられた下扉枠103と、から主に構成されている。
【0017】
下扉枠103の上部前面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下方位置には、打球供給皿3に収容しきれない遊技媒体としての遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。
【0018】
また、ガラス扉枠102の背面側には、遊技盤6が遊技枠101に対して着脱可能に取り付けられている。遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された所定板厚を有するベニヤ板からなり、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9や演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)が一体的に組み付けられている。
【0019】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の演出図柄(飾り図柄)を変動表示する複数の変動表示部を含む演出表示装置(演出図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行う。演出図柄の変動表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
【0020】
また、遊技盤6における演出表示装置9の前面9cに対応する開口周囲には、遊技球が転動可能なステージが設けられた環状のステージ飾り枠11が設けられている。遊技盤6は、前面9cに対し所定の隙間を隔てて前方に配設されており、遊技盤6と前面9cとの間における前面9cの周縁には演出ユニット(図示略)が設けられ、遊技状態や演出の実行に応じて可動するようになっている。
【0021】
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。
【0022】
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
【0023】
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
【0024】
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bまたは第3始動入賞口13cに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0025】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(演出図柄ともいう)の変動表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。同期とは、変動表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、変動表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
【0026】
遊技領域7における演出表示装置9の中央下方位置には、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bを有し、遊技領域7を流下する遊技球を第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとの何れかに向けて振り分けるための振分装置300が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、遊技盤6の背面に設けられた第1始動口スイッチ14aによって検出される。同様に、第2始動入賞口13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、遊技盤6の背面に設けられた第2始動口スイッチ14bによって検出される。これら第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bは、所定の大きさとされた流入口を有することによって常に一定の開放状態に保たれている。
【0027】
また、振分装置300の右側には、遊技球が入賞可能な第3始動入賞口13c(第3始動口)を有する可変入賞球装置15が設けられている。第3始動入賞口13cに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第3始動口スイッチ14cによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第3始動入賞口13cに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bよりも、第3始動入賞口13cに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第3始動入賞口13cに入賞しない。尚、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
【0028】
以下、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b及び第3始動入賞口13cを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
【0029】
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第3始動入賞口13cに極めて入賞しやすい。そして、振分装置300の周辺で釘を密に配置したり、振分装置300の周辺での釘配列を、遊技球を振分装置300の流入口330に導きづらくして、第3始動入賞口13cの入賞率の方を第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
【0030】
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13b及び第3始動入賞口13cに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。尚、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13b及び第3始動入賞口13cへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
【0031】
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。尚、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
【0032】
尚、この実施例では、
図1に示すように、第3始動入賞口13cに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
【0033】
また、
図1に示すように、可変入賞球装置15の下方位置には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
【0034】
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13b、第3始動入賞口13cといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0035】
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行われ、例えば、変動表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第3始動入賞口13cに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
【0036】
尚、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を変動表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
【0037】
遊技領域7の下部には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30a、30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。尚、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第3始動入賞口13cや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
【0038】
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0039】
また、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
【0040】
遊技者の操作により、打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
【0041】
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ14bで検出された場合または遊技球が第3始動入賞口13cに入り第3始動口スイッチ14cで検出された場合は、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
【0042】
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0043】
特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
【0044】
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「確変大当り」または「非確変大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、特定遊技状態としての大当り状態(例えば、15ラウンド大当り状態など)に移行する。大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の遊技盤面6aを落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出球(賞球)が得られる。
【0045】
「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば、100回等)の特図ゲーム(変動表示)が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。このような「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
【0046】
「確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。こうした「確変大当り」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。
【0047】
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第3始動入賞口13cを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第3始動入賞口13cに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第3始動入賞口13cは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
【0048】
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示(変動表示)が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアにおける確定演出図柄の停止表示により変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された演出図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない演出図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の演出図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する演出図柄(例えば「7」の英数字を示す演出図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリアなど)では演出図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける全部又は一部で演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
【0049】
パチンコ遊技機1の背面には、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている(
図2参照)。
【0050】
さらに、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板(図示略)やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板(図示略)には、パチンコ遊技機1における主基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、主基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
【0051】
尚、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
【0052】
尚、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。尚、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。尚、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
【0053】
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。尚、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
【0054】
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、
図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
【0055】
尚、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0056】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0057】
乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0058】
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
【0059】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
【0060】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
【0061】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。尚、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
【0062】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。尚、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
【0063】
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。尚、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。尚、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
【0064】
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。尚、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
【0065】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、第3始動口スイッチ14c、カウントスイッチ23および各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
【0066】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
【0067】
演出制御基板80は、演出制御用CPU120およびRAM(図示略)を含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。尚、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU120は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU120は、演出制御コマンドに基づいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
【0068】
演出制御用CPU120は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU120は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPU120から入力されたデータに基づいて表示制御を実行する。
【0069】
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
【0070】
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
【0071】
さらに、演出制御用CPU120は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対して各種LEDを駆動する信号を出力する。また、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
【0072】
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。尚、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
【0073】
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
【0074】
尚、本実施例では、特別図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用CPU120に通知するために、変動を開始するときに例えば1つの変動パターン指定コマンドを送信しているが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用CPU120に通知するようにしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、CPU56は、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信するようにしてもよい。この場合、演出制御用CPU120は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間に基づいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。
【0075】
尚、CPU56の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用CPU120の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信するようにしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信するようにしてもよい。尚、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターン指定コマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
【0076】
次に、
図4〜
図16に基づいて、振分装置300の詳細な構造に関して説明する。
図7は、
図4のA−A断面図である。
図8は、
図4のB−B断面図である。
図9は、(A)は
図4のC−C断面図、(B)は
図4のD−D断面図である。
図10は、(A)は遊技球がストッパ部材に接触される前の状態を示す
図4のE−E断面図、(B)はそのB―B断面図である。
図11は、(A)(B)は遊技球がストッパ部材に接触された状態を示す断面図である。
図12は、(A)は一の遊技球が第1誘導面に誘導される状態を示す
図4のA−A断面図、及びそのB―B断面図、(B)は一の遊技球が第1押圧面を押圧する状態を示す断面図である。
図13は、(A)は他の遊技球が第2誘導面に誘導される状態を示す断面図、(B)は他の遊技球が第2押圧面を押圧する状態を示す断面図である。
図14は、(A)は一の遊技球が第1誘導面に誘導される状態を示す図、(B)は他の遊技球が一の遊技球と第2外壁部とに流下を阻止された状態を示す図、(C)は各遊技球が流下する状態を示す図である。
図15は、(A)は他の遊技球が第2誘導面に接触した状態を示す図、(B)は一の遊技球が第1通過口を通過する状態を示す図、(C)は他の遊技球が流下される状態を示す図である。
図16は、(A)は変形例としての振分装置において遊技球が第2始動入賞口に誘導されるときの流下態様の一例を示す図、(B)は(A)のF−F断面図、(C)は(B)のG−G断面図である。尚、以下の説明においては、振分装置300について、パチンコ遊技機1を正面から見た場合を基準として、上下、左右、前後方向を示すものとする。
【0077】
図3〜
図6に示すように、振分装置300は、遊技領域7におけるステージ飾り枠11の下方位置に、遊技盤6の前面である遊技盤面6aにネジ(図示略)により取り付けられる略箱状のベース部材301と、該ベース部材301の前面側に対向して配設され、ベース部材301に取り付けられるカバー部材302と、ベース部材301に対しスライド移動可能に取り付けられる誘導部材としてのスライド部材303と、スライド部材303のスライド移動を規制するストッパ部材304と、該ストッパ部材304の軸部306をベース部材301に揺動可能に取り付けるための軸受部材305と、から主に構成される。
【0078】
また、ベース部材301を遊技盤面6aに取り付けた状態において、該ベース部材301の前面及びカバー部材302が遊技盤面6aの前面とガラス扉枠102の透視窓102a(
図10参照)に形成される遊技領域7に配置され、該遊技領域7を流下する遊技球が、カバー部材302の上部に形成される流入口330から流入可能となる。更に、振分装置300の左側面下部位置には、遊技球が流出可能な流出口332Lが形成され、右側面下部位置には、遊技球が流出可能な流出口332Rが形成されている。
【0079】
また、ベース部材301は、合成樹脂材により左右対称に形成され、板状をなすベース板307を有している。尚、このベース部材301の中央上部位置には、正面視で左右方向に延びる溝条308が設けられている。更に、カバー部材302も、合成樹脂材により左右対称に形成され、板状をなすカバー板310を有している。また、ベース部材301の溝条308と同様の溝条309がカバー部材302の背面側にも設けられている。ベース部材301及びカバー部材302の各溝条308,309は、互いに対向して配置されており、これらの溝条308,309にスライド部材303が左右方向にスライド移動可能に配置される。
【0080】
また、ベース部材301のベース板307の左側下部には、1個の遊技球が通過可能な大きさを有する第1始動入賞口13aが形成されているとともに、ベース部材301のベース板307の右側下部には、遊技球が通過可能な大きさを有する第2始動入賞口13bが形成されている(
図3(B)参照)。また、ベース部材301の背面における第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bの開口縁からは、半割の略筒状をなす接続部316L,316Rが突設されている。
【0081】
尚、ベース部材301には、正面上部に突設される左右の上壁311L,311Rと、正面左右上部に突設される左右の側壁321L,321Rと、これら左右の側壁321L,321Rの中間でありスライド部材303の下方位置に突設される分岐部322と、この分岐部322の左右下方位置に突設され、流下される遊技球を受ける球受底部323L,323Rと、から主に構成されている。また、球受底部323L,323Rは、接続部316L,316Rと連続するように半割の略筒状に形成されており、球受底部323L,323Rに流下した遊技球は、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに導かれる。
【0082】
また、カバー部材302には、ベース部材301に向かって延びて先端に取付爪313を有する左右2つの略板状をなす突出板312L,312Rが背面側に突設されている。また、ベース部材301には、カバー部材302の突出板312L,312Rの先端の取付爪313が係止される取付孔314が形成されている。このカバー部材302の突出板312L,312Rの取付爪313がベース部材301の取付孔314に係止されることで、カバー部材302がベース部材301の正面側に取り付けられる。
【0083】
尚、この取付孔314は、前述した上壁311L,311Rと側壁321L,321Rとの間の略スリット状をなす切欠部317に配置されており、カバー部材302の突出板312L,312Rは、ベース部材301の切欠部317に嵌合する形状となっている。そして、ベース部材301の上壁311L,311Rと側壁321L,321Rと、カバー部材302の突出板312L,312Rとで、後述する第1外壁部318L(第1経路壁部)及び第2外壁部318R(第2経路壁部)を形成する。
【0084】
また、ベース部材301における上壁311L,311R、側壁321L,321R、分岐部322、球受底部323L,323Rの前後幅は、遊技球の直径よりも若干大寸に形成され、ベース板307とカバー部材302の背面との間に遊技球が流下(通過)可能な隙間が形成されるようになっている。また、ベース部材301及びカバー部材302は、透光性を有する合成樹脂材にて形成され、流下する遊技球を側壁321L,321Rや球受底部323L,323Rを介して外部から透視可能に形成されている。
【0085】
図5〜
図9に示すように、ベース部材301における上壁311L,311Rの上端辺間は遊技球が通過可能な隙間を隔てて配置されており、カバー部材302、ベース板307、上壁311L,311Rの上端辺により平面視四角形状の流入口330が形成される。尚、流入口330の前後及び左右の開口寸法は、1個の遊技球が通過可能なように、遊技球の直径よりも大きく形成されているが、2個の遊技球が同時に通過不能な大きさに形成されている。
【0086】
また、
図7に示すように、ベース部材301の左右の上壁311L,311R及び側壁321L,321Rと、カバー部材302の左右の突出板312L,312Rとにより、前述した左側に配置される第1外壁部318Lと右側に配置される第2外壁部318Rとが構成されている。これらの第1外壁部318L及び第2外壁部318Rは、その上部側が正面視で略ハの字形に形成されるとともに、第1外壁部318L及び第2外壁部318Rの下方部位が、後述するように、スライド部材303を配置できるように正面視で略コ字形に屈曲され、この略コ字形の部位が互いに対向して配置されている。
【0087】
尚、分岐部322の中央部には、カバー部材302の背面側に突設された円柱部319が嵌合される嵌合穴部320が形成されている。更に、カバー部材302の円柱部319には、雌ネジ孔319aが形成されており、分岐部322の嵌合穴部320に形成された挿通孔320aを介して挿通されたネジ(図示略)が、円柱部319の雌ネジ孔319aに螺合されることで、カバー部材302はベース部材301から脱落不能に取り付けられる。
【0088】
また、分岐部322には、その左右側部に、流入口330から流入した遊技球を左右に振り分ける誘導面として機能する第1内壁部324L(第1分岐壁部)及び第2内壁部324R(第2分岐壁部)が形成されている。これらの第1内壁部324L及び第2内壁部324Rは、分岐部322における山型形状をなす頂点部位から左右に分かれた傾斜面となっており、上部側では傾斜角度が緩く、下方に行くにしたがって傾斜角度が急になっている。また、分岐部322の下部には、左右方向にハの字形に分かれて、第1内壁部324L及び第2内壁部324Rを下方に延設した第1延設部325L及び第2延設部325Rが形成されている。これら各第1延設部325L,第2延設部325Rにより流下する遊技球が、前述した左右の球受底部323L,323Rに誘導される。
【0089】
更に、球受底部323L,323Rは、第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bに対応して配置されている。また、半割の略筒状をなす球受底部323L,323Rの上辺と、側壁321L,321Rの下辺との間に、それぞれ遊技球の直径よりもやや大寸の隙間が形成されている。また、球受底部323L,323Rの間にも遊技球の直径よりもやや大寸の隙間が形成されている。
【0090】
このように、球受底部323Lの上辺と、側壁321Lの下辺との間の隙間により流出口332Lが形成され、球受底部323Rの上辺と、側壁321Rの下辺との間の隙間により流出口332Rが形成される。また、球受底部323L,323Rの間に形成される隙間により下流出口333が形成される。
【0091】
また、球受底部323L,323Rの上面には、上方から流下してきた遊技球を背面側にある第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bに向けて案内する案内レール336がそれぞれ立設されている。案内レール336は、背面側に向けて下方に傾斜する傾斜案内部336aが設けられて直線状に立設された板状の部位からなり、ベース板307の背面に対して直交する方向に向けて延設されている。尚、案内レール336の上端面に、遊技球の周面の底部が1点で接するとともに、球受底部323L,323Rの側壁に遊技球の周面の左右側部が2点で接することでいう遊技球が転動案内される。
【0092】
図8に示すように、スライド部材303は、平面視で略正方形状をなす左右2つの第1通過口326L及び第2通過口326Rを有しており、このスライド部材303は、横長の長方形状をなす枠状の部材となっている。また、第1通過口326L及び第2通過口326Rは、それぞれ1個の遊技球が通過可能な大きさに開口されており、第1通過口326L及び第2通過口326Rの左右、前後寸法は、遊技球の直径よりも若干大寸に形成されている。
【0093】
図7に示すように、スライド部材303における第1通過口326Lと第2通過口326Rとの間には、後述するように、流入口330から流入した遊技球を左右に振り分ける振分部327が設けられている。この振分部327は、縦断正面視で略山型形状をなし、その左右に第1誘導面327L及び第2誘導面327Rが形成されている。尚、各第1誘導面327L,第2誘導面327Rの傾斜角度は、その下方位置に配置されるベース部材301の分岐部322における頂点部位の左右の傾斜面と略同一角度になっており、後述するように、各第1誘導面327L,第2誘導面327R及び分岐部322の頂点部位の各第1内壁部324L,第2内壁部324R(傾斜面)により遊技球が左右いずれかの方向にスムーズに振り分けられるようになっている。
【0094】
更に、振分部327において、左右の第1誘導面327L及び第2誘導面327Rは、その上辺で互いに接するとともに、第1誘導面327L及び第2誘導面327Rの上辺、つまり振分部327の頂点部は、左右の第1通過口326L及び第2通過口326Rの開口位置よりも上方位置になるように突出されている。
【0095】
図5及び
図6に示すように、スライド部材303の左右部位には、遊技球により押圧される第1押圧板部328L,第2押圧板部328Rが設けられている。この第1押圧板部328L,第2押圧板部328Rは、側面視で四角形状をなす板状の部位となっており、それぞれの内面側が遊技球に押圧される第1押圧面329L及び第2押圧面329Rとなっている。尚、スライド部材303の前後部位に設けられた枠状をなす枠部334,334が形成されている。
【0096】
図7に示すように、この枠部334,334の上下寸法は、前述したベース部材301及びカバー部材302の溝条308,309の上下幅と略同一寸法をなしており、この枠部334,334がベース部材301及びカバー部材302の溝条308,309に嵌合されることで、スライド部材303が左右方向にスライド移動可能に配置される。尚、このスライド部材303は、ベース部材301の左右の側壁321L,321Rにおける略コ字形に屈曲された部位同士の間に配置され、かつスライド部材303の左右幅は、左右の側壁321L,321Rの離間寸法よりも小寸に形成されており、このスライド部材303の左右幅と側壁321L,321Rの離間寸法との差がスライド部材303の移動幅となっている。
【0097】
図6及び
図8に示すように、ベース部材301のベース板307におけるスライド部材303の配置部位に対応する部位には、スライド部材303を案内する案内孔338が貫通されている。この案内孔338は、左右方向に延びる横長の孔部となっている。また、この案内孔338に配置される被係止部としての被案内凸部339がスライド部材303の背面側の中央部に形成されている。尚、このスライド部材303の被案内凸部339は後方に突設されており、この被案内凸部339がベース板307の案内孔338に対して正面側から挿入される。
【0098】
尚、被案内凸部339の上下幅寸法は、案内孔338の上下幅寸法と略同一寸法となっており、案内孔338の左右幅は、スライド部材303の移動幅と略同一寸法となっている。スライド部材303の被案内凸部339が、ベース板307の案内孔338の左側端縁または右側端縁に当接されることで、スライド部材303の左右方向への移動が規制される。
【0099】
図5及び
図6に示すように、ベース部材301のベース板307の背面側には、ストッパ部材304が配置される。このストッパ部材304は、その上部に左右方向に延びる軸部306を有するとともに、この軸部306から垂下する垂下部340を有している。また、ストッパ部材304の下部には、前方に突出される2本の突出棒部341,341が設けられている。この突出棒部341,341は、その先端が上方に屈曲されたフック状をなす係脱手段としてのフック部342,342となっている。また、この突出棒部341,341が先端から挿入される2つの貫通孔343,343がベース部材301におけるベース板307に形成されている。そして、2本の突出棒部341,341は、それぞれの貫通孔343,343に挿通された状態で配置されるとともに、これらの突出棒部341,341が前方に延設され、その先端の各フック部342,342は、スライド部材303の左右の第1通過口326L及び第2通過口326R内の中央近傍にそれぞれ配置される。
【0100】
また、ストッパ部材304は、その軸部306が軸受部材305に保持され、この軸受部材305がベース板307の背面側に取り付けられる。尚、ベース板307の背面側には、2つの凸部344,344が形成されるとともに、軸受部材305には、ベース板307の凸部344,344に対応する部位に2つの凹部345,345が形成されている。この軸受部材305の凹部345,345がベース板307の凸部344,344にそれぞれ嵌合されることで、軸受部材305がベース板307に取り付けられる。更に、ベース板307の凸部344,344には、雌ネジ孔346,346が形成されており、軸受部材305の凹部345,345に形成された挿通孔347,347を介して挿通されたネジ(図示略)が、ベース板307の凸部344,344の雌ネジ孔346,346に螺合されることで、軸受部材305はベース部材301から脱落不能に取り付けられる。
【0101】
また、ストッパ部材304の垂下部340の正面側には、ブロック状をなす係止部としてのブロック部348が形成されている。
図8に示すように、このブロック部348は、前述したベース板307の案内孔338に配置される。尚、ストッパ部材304のブロック部348は、ベース板307の案内孔338に対して背面側から挿入される。また、ブロック部348の上下幅寸法は、案内孔338の上下幅寸法と略同一寸法となっている。そして、このストッパ部材304のブロック部348が、案内孔338に挿入されることで、スライド部材303の被案内凸部339が、ベース板307の案内孔338内で左右方向に移動されることを阻止するようになる。
【0102】
図10(A)(B)に示すように、ストッパ部材304は、軸部306を中心として揺動可能に垂下されている。そして、ストッパ部材304のフック部342が、スライド部材303の左右の第1通過口326L,第2通過口326Rに配置されるとともに、ストッパ部材304のブロック部348が、ベース部材301の案内孔338内に挿設されている。この状態では、スライド部材303の被案内凸部339の左右方向の移動が、ストッパ部材304のブロック部348により規制されるため、被案内凸部339は、ベース部材301の案内孔338の左端縁または右端縁に配置された状態で固定されるようになり、スライド部材303は、右位置に配置される後述する第1態様(
図12(A))、または左位置に配置される後述する第2態様(
図13(A))で停止される。
【0103】
図11(A)(B)に示すように、遊技球は、スライド部材303の左右いずれかの第1通過口326L,第2通過口326Rを通過して流下されるようになっており、この遊技球がスライド部材303の第1通過口326L,第2通過口326Rを通過する際に、遊技球がストッパ部材304のフック部342に接触するようになる。そして、遊技球の自重によりストッパ部材304は、後方側に向かって揺動され、遊技球が流下されるとともに、ストッパ部材304のブロック部348が、ベース部材301の案内孔338から脱出される。そしてこの遊技球がスライド部材303を通過する瞬間は、スライド部材303が左右方向に移動自在になる(
図12(B)及び
図13(B)参照)。
【0104】
尚、遊技球がスライド部材303を通過した後は、ストッパ部材304は、自重により前方側に揺動されて元の位置に復帰するようになり、フック部342が、スライド部材303の左右の第1通過口326L,第2通過口326Rに配置されるとともに、ストッパ部材304のブロック部348が、ベース部材301の案内孔338内に挿設される。
【0105】
図10及び
図11に示すように、ベース部材301の接続部316L,316Rには、遊技盤6の背面に設けられる誘導経路Y等が接続されるようになっている。また、誘導経路Yには第1始動口スイッチ14aや第2始動口スイッチ14bが設けられている。
【0106】
このように構成された振分装置300は、ベース部材301を遊技盤面6aに取り付けた状態において、遊技盤面6aの前面側に形成される遊技領域7に配置され(
図1参照)、該遊技領域7を流下する遊技球が振分装置300の上部に形成され上向きに開口する流入口330から流入可能となる。そして、
図10に示すように、流入口330から振分装置300の内部に流入した遊技球は、後述するように、スライド部材303により、第1始動入賞口13aに誘導する第1誘導経路331Lまたは第2始動入賞口13bに誘導する第2誘導経路331Rのいずれかに振り分けられるようになっている(
図12(B)及び
図13(B)参照)。
【0107】
すなわち、遊技球の誘導経路は、流入口330から下方に向けて形成され、スライド部材303の振分部327、及びベース部材301の分岐部322において、左右の第1誘導経路331L(第1経路)及び第2誘導経路331R(第2経路)に分岐されることで、正面視略逆Y字形に形成されている(
図7参照)。このように、第1誘導経路331Lは流入口330から流入した遊技球を第1始動入賞口13aに誘導する経路であり、第2誘導経路331Rは流入口330から流入した遊技球を第2始動入賞口13bに誘導する経路であって、それぞれベース部材301、カバー部材302、左右の側壁321L,321R、球受底部323L,323Rにより囲まれており、例えば、
図7において、スライド部材303が設けられる分岐部から下方の第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bまでそれぞれ延設され、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bの前方位置において背面側に屈曲されている。
【0108】
尚、第1誘導経路331L及び第2誘導経路331Rは、流出口332L,332R、下流出口333以外の領域が全て壁面により囲まれた筒状の経路に限定されるものでなく、遊技球を誘導可能に形成されていれば壁面により囲まれた筒状の経路でなくてもよい。
【0109】
次に、
図12〜
図13を参照して、振分装置300におけるスライド部材303の動作、及び遊技球の流下態様の一例について説明する。
【0110】
図12及び
図13に示すように、左右方向にスライド移動可能なスライド部材303は、流入口330から流下された遊技球を左側の第1誘導経路331L(第1経路)へ誘導する右位置(第1位置)に配置された第1態様(
図12(A)参照)と、流入口330から流下された遊技球を右側の第2誘導経路331R(第2経路)へ誘導する左位置(第2位置)に配置された第2態様(
図13(A)参照)と、の間で切換可能に設けられている。
【0111】
図12(A)に示すように、スライド部材303が右位置に配置された第1態様であるときには、スライド部材303の振分部327は、流入口330の中心位置よりも右側に配置されるとともに、スライド部材303の被案内凸部339が、ベース部材301の案内孔338の右端縁に配置される。かつストッパ部材304のブロック部348が、ベース部材301の案内孔338の中央部に挿入され、スライド部材303の被案内凸部339の左方向への移動を規制している。
【0112】
この状態で、遊技球が流入口330から流下されると、遊技球がスライド部材303の振分部327の左側の第1誘導面327Lに接触される。そして、遊技球は、左側の第1誘導経路331L(第1経路)へ誘導されるとともに、左側の第1通過口326Lに入り込む。ここで、遊技球は、ストッパ部材304のフック部342を押し下げて、つまりストッパ部材304を後方に揺動させて、ブロック部348をベース部材301の案内孔338から脱出させる。
【0113】
図12(B)に示すように、ストッパ部材304のブロック部348がベース部材301の案内孔338から脱出された状態では、スライド部材303の左方向への移動が可能になるとともに、遊技球がスライド部材303の左側の第1押圧面329Lを押圧する。このとき、遊技球は、分岐部322の左側の第1内壁部324Lに接触し、その傾斜角度により遊技球は左方向へ向かって流下される。そして、遊技球の重量及び落下による運動エネルギーがスライド部材303の第1押圧面329Lに加わることによって、スライド部材303が左方向へスライド移動される。
【0114】
また、スライド部材303が左位置に配置される第2態様に切り換るとともに、スライド部材303の被案内凸部339が、ベース部材301の案内孔338の左端縁に配置される。そして、遊技球がスライド部材303の第1通過口326Lを通過し終わると、ストッパ部材304が自重により前方側に揺動されて、フック部342が元の位置に復帰するとともに、ブロック部348がベース部材301の案内孔338内に挿設され、このブロック部348がスライド部材303の被案内凸部339の右方向への移動を規制するようになる。
【0115】
図13(A)に示すように、スライド部材303が左位置に配置された第2態様にあるときには、スライド部材303の振分部327は、流入口330の中心位置よりも左側に配置されるとともに、スライド部材303の被案内凸部339が、ベース部材301の案内孔338の左端縁に配置される。かつストッパ部材304のブロック部348が、ベース部材301の案内孔338の中央部に挿入され、スライド部材303の被案内凸部339の右方向への移動を規制している。
【0116】
この状態で、遊技球が流入口330から流下されると、遊技球がスライド部材303の振分部327の右側の第2誘導面327Rに接触される。そして、遊技球は、右側の第2誘導経路331R(第2経路)へ誘導されるとともに、右側の第2通過口326Rに入り込む。ここで、遊技球は、ストッパ部材304のフック部342を押し下げて、つまりストッパ部材304を後方に揺動させて、ブロック部348をベース部材301の案内孔338から脱出させる。
【0117】
図13(B)に示すように、ストッパ部材304のブロック部348がベース部材301の案内孔338から脱出された状態では、スライド部材303の右方向への移動が可能になるとともに、遊技球がスライド部材303の右側の第2押圧面329Rを押圧する。このとき、遊技球は、分岐部322の右側の第2内壁部324Rに接触し、その傾斜角度により遊技球は右方向へ向かって流下される。そして、遊技球の重量及び落下による運動エネルギーがスライド部材303の第2押圧面329Rに加わることによって、スライド部材303が右方向へスライド移動される。
【0118】
また、スライド部材303が右位置に配置される第1態様に切り換るとともに、スライド部材303の被案内凸部339が、ベース部材301の案内孔338の右端縁に配置される。そして、遊技球がスライド部材303の第2通過口326Rを通過し終わると、ストッパ部材304が自重により前方側に揺動されて、フック部342が元の位置に復帰するとともに、ブロック部348がベース部材301の案内孔338内に挿設され、このブロック部348がスライド部材303の被案内凸部339の右方向への移動を規制するようになる。
【0119】
次に、
図14及び
図15を参照して、振分装置300におけるスライド部材303の動作、及び2個の連続して流下される遊技球の流下態様の一例について説明する。
【0120】
図14(A)に示すように、流入口330の上部位置には、障害釘Kが配置されており、各遊技球イ,ロは、この障害釘Kに導かれて流入口330に流入される。そして、スライド部材303が右位置に配置された第1態様にあるときに、一の遊技球イと他の遊技球ロとが互いに接触した状態で流入口330から連続して流下された場合には、先に流下される一の遊技球イが、スライド部材303の振分部327の左側の第1誘導面327Lに接触される。
【0121】
図14(B)に示すように、一の遊技球イは、左側の第1誘導経路331L(第1経路)へ誘導されるとともに、左側の第1通過口326Lに入り込むとともに、分岐部322の左側の第1内壁部324Lに接触し、その傾斜角度により遊技球は左方向へ向かって流下される。このとき、他の遊技球ロは、一の遊技球イと第2外壁部318Rとに接触した状態となる。尚、遊技球の重量及び落下による運動エネルギーがスライド部材303の第1押圧面329Lに加わることによって、スライド部材303が左方向へスライド移動される。
【0122】
図14(C)に示すように、他の遊技球ロは、一の遊技球イの右側の周面に沿って右方向へ向かって流下されるようになるが、他の遊技球ロと一の遊技球イとの接触点αから他の遊技球ロと第2外壁部318Rとの接触点βまでの距離が遊技球ロの直径よりも小さいため、他の遊技球ロの右方向への移動が阻止され、一の遊技球イと他の遊技球ロが水平方向に並ばないようになっている。尚、スライド部材303は、さらに左方向へスライド移動される。
【0123】
図15(A)に示すように、他の遊技球ロは一の遊技球イとともに流下され、他の遊技球ロが振分部327の第2誘導面327Rに接触される。このとき、他の遊技球ロは、第2誘導面327Rと第2外壁部318Rとに接触した状態となる。また、他の遊技球ロと第2誘導面327Rとの接触点γから他の遊技球ロと第2外壁部318Rとの接触点βまでの距離が遊技球ロの直径よりも小さいため、他の遊技球ロの右方向への移動が阻止され、他の遊技球ロの流下が阻止される。尚、スライド部材303は、さらに左方向へスライド移動される。
【0124】
図15(B)に示すように、一の遊技球イが流下され、該一の遊技球イの中心が第1通過口326Lよりも下方位置になり、該一の遊技球イが他の遊技球ロから離間した状態でも、他の遊技球ロは、第2誘導面327Rと第2外壁部318Rとに接触した状態となっているので、他の遊技球ロの右方向への移動が阻止され、他の遊技球ロの流下が阻止される。尚、スライド部材303は、さらに左方向へスライド移動される。
【0125】
図15(C)に示すように、一の遊技球イの中心が、第1押圧板部328Lの下端縁よりも下方位置になったときに、他の遊技球ロが第2外壁部318Rから離間されるとともに、この遊技球ロが、スライド部材303の振分部327の右側の第2誘導面327Rに接触された状態で、他の遊技球ロは、右側の第2誘導経路331R(第2経路)へ誘導される。そして、他の遊技球ロは、右側の第2通過口326Rに入り込むとともに、分岐部322の右側の第2内壁部324Rに接触し、その傾斜角度により遊技球ロは右方向へ向かって流下される。
【0126】
尚、本実施例において、一の遊技球イと他の遊技球ロとが連続して流下された際に、一の遊技球イが左側の第1誘導経路331Lに誘導され、他の遊技球ロが右側の第2誘導経路331Rに誘導されるようになっているが、振分装置300の構成は左右対称となっているため、一の遊技球イが右側の第2誘導経路331Rに誘導された場合には、他の遊技球ロが左側の第1誘導経路331Lに誘導されるようになる。更に、3個やそれ以上の個数の遊技球が連続して流下された場合であっても、遊技球は、左側の第1誘導経路331Lと右側の第2誘導経路331Rとに交互に振り分けられるようになる。
【0127】
尚、本実施例において、一の遊技球イの中心が、第1押圧板部328Lの下端縁よりも下方位置になったときに、他の遊技球ロが第2外壁部318Rから離間され、他の遊技球ロが、右側の第2通過口326Rに入り込むようになっているが、一の遊技球イの中心が、第1押圧板部328Lの下端縁よりも下方位置になる前であっても、他の遊技球ロが、右側の第2通過口326Rに入り込むようにしてもよく、少なくとも一の遊技球イの中心が、第1押圧板部328Lの下端縁よりも下方位置になるまでに、他の遊技球ロが右側の第2押圧板部328Rに接触しないようになっていればよい。
【0128】
以上説明してきたように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、流入口330から流入した一の遊技球イは、例えば、スライド部材303(誘導部材)の第1誘導面327Lにより第1通過口326L側に誘導され、第1内壁部324Lにより第1誘導経路331L側に誘導されるときにスライド部材303の第1押圧面329Lを押圧するので、スライド部材303が第1誘導経路331L側に変位する。このとき、一の遊技球イと第2外壁部318Rとにより、次に流入口330から流入される他の遊技球が第2誘導経路331R側に流下することが一時的に規制されることにより、一の遊技球がスライド部材303の第1押圧面329Lを押圧しているとき、つまり、スライド部材303が第1誘導経路331L側に変位しているときに他の遊技球ロが他方の第2押圧面329Rに到達して該第2押圧面329Rを押圧することがない。
【0129】
これにより、一の遊技球イが第1通過口326Lを通過しないうちにスライド部材303に対し反対側の第2誘導経路331R側に向けて変位させる力が作用して、第1押圧面329Lと第1内壁部324Lとの間及び第2押圧面329Rと第2内壁部324Rとの間に遊技球イ,ロが詰まることが防止される。また、このように第1押圧面329Lと第1内壁部324Lとの間及び第2押圧面329Rと第2内壁部324Rとの間双方に遊技球イ,ロが詰まると、スライド部材303が右位置と左位置との間の中間位置に留まって左右にスライドできなくなるため、遊技球を第1誘導経路331L及び第2誘導経路331Rのいずれにも振り分けられなくなる。
【0130】
尚、本実施例では、スライド部材303に、平面視で略正方形状をなす左右2つの第1通過口326L及び第2通過口326Rが形成されているが、第1通過口326L及び第2通過口326Rの形状は、平面視で略正方形状でなくてもよく、例えば、スライド部材303の前後の枠部334,334のいずれか一方を省略し、各第1通過口326L,第2通過口326Rが平面視で略コ字形状をなす形状であってもよい。
【0131】
また、本実施例では、スライド部材303(誘導部材)の第1誘導面327L及び第2誘導面327Rは一の辺(上辺)で接するとともに、この一辺から対応する各第1通過口326L,第2通過口326R側に向けて下方に傾斜し、一辺は第1通過口326L及び第2通過口326Rよりも上部に位置することで、遊技球がスライド部材303に詰まり難くなる。
【0132】
また、本実施例では、スライド部材303(誘導部材)に形成される被案内凸部339(被係止部)に係止することにより、このスライド部材303を第1誘導経路331L(第1経路)に対応する右位置(第1位置)及び第2誘導経路331R(第2経路)に対応する左位置(第2位置)にて維持するブロック部348(係止部)と、遊技球が第1誘導経路331L及び第2誘導経路331Rを通過していないときにブロック部348を被案内凸部339に係止させるとともに、遊技球が第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rを通過しているときにブロック部348を被案内凸部339から離脱させるフック部342(係脱手段)と、を備えることで、例えば、パチンコ遊技機1に外力が加えられることや、遊技領域7を流下する遊技球が振分装置300の側壁321L,321R等に衝突するといったことにより生じる振動、つまり、遊技球が第1押圧面329Lや第2押圧面329Rを押圧する力以外の外力によってスライド部材303が右位置または左位置から移動して、右位置と左位置との間の中間位置にて留まることがない。これにより、遊技球が第1誘導経路331L及び第2誘導経路331Rのいずれにも誘導できない状態となって球詰まりが発生してしまうことが防止される。
【0133】
次に、
図16を参照して、変形例としての振分装置300について説明する。この変形例の振分装置300では、ベース部としてのベース部材301は、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rにおける方向変更部である球受底部323L,323Rの傾斜案内部336aよりも上方位置に遊技球をカバー部としてのカバー部材302側に誘導する突出部としての突出板315を有し、カバー部材302は、突出板315に対応する位置に該突出板315により誘導された遊技球を受け入れて流下案内する凹部としての案内溝337を有することで、第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rに誘導された遊技球は、傾斜案内部336aよりも上方位置において突出部としての突出板315によりカバー部材302側に誘導されることで流下速度が減速されるとともに、案内溝337により流下案内される(整流効果を有する)ことで、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに誘導されやすくすることができる。
【0134】
さらに、前側に誘導された遊技球は、案内溝337内に入り込むとともに、突出板315を通過するときに、左右方向に湾曲する案内溝337と前端面315aとにより前後側が案内されることにより左右方向の振れが規制され、案内レール336の中間位置に落下しやすくなることで(
図16(C)参照)、方向変更部である傾斜案内部336aで遊技球が左右いずれかの流出口332L,332Rや下流出口333から流出しにくくなるため、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに誘導されやすくすることができる。
【0135】
本実施例では、このような突出板315と案内溝337とにより遊技球が流下案内されることで、遊技球の中心が案内レール336に落下しやすくなるので、スライド部材303により第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rに振り分けられた遊技球は、ほぼ第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに誘導されるようになっている(例えば、約90%以上の確率で第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに誘導される)。
【0136】
また、方向変更部としての傾斜案内部336aは、案内溝337の下部に連設され、受け入れて流下案内した遊技球を第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに向けて方向変換する傾斜案内部336aを含むので、案内溝337により流下案内された遊技球をそのまま第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに向けてスムーズに誘導できるため、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに誘導されやすくすることができる。
【0137】
特に、傾斜案内部336aがあることで、第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rに振り分けられた遊技球が案内レール336に落下したときの衝撃が小さくなることで遊技球が飛び跳ねにくくなるので、飛び跳ねることにより左右の流出口332L,332Rや下流出口333から流出しにくくなる。
【0138】
また、傾斜案内部336aは、案内溝337から連続して形成されていることで、案内溝337に沿って流下してきた遊技球を案内溝337からスムーズに離脱させて背面側に方向変更させることができる。
【0139】
また、本実施例では、これら突出板315、案内溝337、案内レール336、傾斜案内部336aは、第1誘導経路331L及び第2誘導経路331R双方に設けられていたが、第1誘導経路331L及び第2誘導経路331Rのうち少なくとも一方に設けられていればよい。
【0140】
また、遊技球を振り分ける誘導部材としてのスライド部材303は、横長に広がる部材から構成され左右方向に往復移動可能に設けられていることで、振分装置300(カバー部材302)の上下幅寸法を極力短くできるため、例えば、演出表示装置9を大型化することに伴ってステージ飾り枠11の下部を下方に広げることによりステージ飾り枠11の下方に広がる遊技領域7の上下幅が狭くなることがあっても、振分装置300を配設することができるので、遊技領域7の設計自由度が向上する。
【0141】
また、本実施例では、遊技球が通過可能な第1領域及び第2領域の一例として、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bを記載したが、これら始動入賞口以外の入賞口(例えば、大入賞口や一般入賞口など)やゲート等を適用してもよい。
【0142】
また、本実施例では、スライド部材303によって流入口330から流入した遊技球を、第1始動入賞口13aに誘導する第1誘導経路331L及び第2始動入賞口13bに誘導する第2誘導経路331Rのいずれかに振り分け可能に構成されていたが、3以上の複数の領域(入賞口など)及びこれら領域それぞれに遊技球を誘導する複数の誘導経路を設け、これら複数の誘導経路のいずれかに誘導可能に構成されていてもよい。
【0143】
また、振分装置300は、遊技領域7を流下する遊技球が流入口330に流入し、該流入口330から流入した遊技球がスライド部材303により第1誘導経路331Lまたは第2誘導経路331Rに誘導されたときに、必ず第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに導かれるわけでなく、流下方向が方向変更部にて変更される際に流出口332L,332Rや下流出口333から流出することもあるので、遊技の興趣が向上する。
【0144】
また、本実施例では、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bは、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rの背面側にある遊技盤面6a側であるベース部材301に形成されている。つまり、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rに対し直交する方向に形成されていることで、例えば、遊技領域7における左右の流出口332L,332Rや下流出口333の下方位置に、遊技球が入賞可能な上向きに開口する入賞口を形成しなくて済む。
【0145】
よって、振分装置300(カバー部材302)の上下幅寸法を極力短くできるため、例えば、演出表示装置9を大型化することに伴ってステージ飾り枠11の下部を下方に広げることによりステージ飾り枠11の下方に広がる遊技領域7の上下幅が狭くなることがあっても、振分装置300を配設することができるので、遊技領域7の設計自由度が向上する。
【0146】
尚、本実施例では、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bを遊技盤面6a側であるベース部材301に形成し、前方に開口する領域としていたが、例えば、左右外側の流出口332L,332Rを第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bとし、下流出口333に連通する左右内側の連通口を流出口としてもよいし、この左右内側の連通口を第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bとし、左右外側の流出口332L,332Rを流出口としてもよい。これらの場合、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rは、振り分けられた遊技球を左右側の第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bに誘導するための方向変更部を有していればよく、流出口332L,332Rや下流出口333の下方位置に入賞口を形成しなくて済むため、上記と同様の作用・効果を奏する。尚、これらのように流出口を左右外側の流出口332L,332Rまたは左右内側の連通口とする場合、方向変更部よりもやや上方位置に設けることが好ましい。
【0147】
また、上記のように第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bを第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rの左右側面に形成する場合において、流出口を左右側面における第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bの対向面に形成するものに限定されるものではなく、第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rの前面(例えば、カバー部材302)及び/または後面(例えば、ベース部材301)に形成してもよい。
【0148】
さらに、第1始動入賞口13a,第2始動入賞口13bを第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rの左右側面に形成する場合、前述した突出部としての突出板や凹部としての案内溝を左右側面における方向変更部の上方位置に形成すれば、上記と同様の作用・効果を奏する。
【0149】
また、本実施例のように、左右内側の連通口を流出口とする場合、流入口330から連続して流入して第1誘導経路331L,第2誘導経路331Rに振り分けられ、左右内側の連通口それぞれから流出する遊技球同士が衝突して下流出口333からの流出が妨げられないように、本実施例のように連通口の間に少なくとも遊技球の直径の2倍以上の隙間を設けたり、あるいは連通口の間に遊技球同士の衝突を防止する衝突防止壁等を設けることが好ましい。
【0150】
また、本実施例では、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bのうちいずれか一方に連続して所定数の遊技球が通過したことに基づいて異常判定を行うCPU56(入賞順異常判定手段)を備えることで、スライド部材303(誘導部材)による誘導異常が判定されるので、正常な遊技を行うことができなくなることが防止される。
【0151】
本実施例では、遊技球を振り分けるための振分装置300が遊技領域7に設けられている。振分装置300は、流入口330から遊技球が流入したことに基づいて、スライド部材303は第1態様と第2態様とに所定の順序に従って切り替わる(本例では、遊技球の重量及び落下の運動エネルギーによって交互に切り替わる)。また、第1始動入賞口13aは、第1誘導経路331Lに振り分けられた遊技球が通過しやすい態様で設けられているとともに、第2始動入賞口13bは、第2誘導経路331Rに振り分けられた遊技球が通過しやすい態様で設けられている。そして、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aおよび第2始動口スイッチ14bによって遊技球が検出された順序が所定の順序と異なる場合(例えば、一方の始動口スイッチで所定球数(例えば、4球)以上連続して遊技球が検出された場合)に異常(本例では、入賞順異常)と判定するようにすることで、振分装置300の異常判定を行うことができるので、振分装置300の異常により遊技を正常に行えなくなることを防止することができる。
【0152】
具体的には、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとのうちのいずれか一方に遊技球が連続して4以上入賞したときに入賞順異常と判定するように構成することが考えられるが、そのように構成しただけでは、例えば、第2始動入賞口13bに遊技球を3つ入賞させた後に第1始動入賞口13aに遊技球を1つ入賞させる作業を繰り返すような不正行為が可能となってしまう。そこで、例えば、始動入賞が10個発生するごとに、その10個の始動入賞のうちの第1始動入賞口13aへの始動入賞の数と第2始動入賞口13bへの入賞の数とを判定するようにし、一方の始動入賞口への入賞が所定割合(例えば、70%)以上偏っている場合に入賞順異常と判定するようにしてもよい。具体的には、10個の始動入賞が発生したときに、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとのうちいずれか一方に7個以上入賞していれば、入賞順異常と判定するようにしてもよい。
【0153】
また、スライド部材303により振分けられたものの、流出口332L,332Rや下流出口333から流出して、第1始動口スイッチ14aや第2始動口スイッチ14bにより検出されないことがあり、このような場合、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bが2球連続して遊技球を検出することは考えられるが、4以上連続して遊技球を検出する、つまり、4以上連続して流出することは考えられないので、遊技球が連続して4以上検出されたときに異常と判定するようにしている。
【0154】
また、上記のような一方の始動入賞口への入賞割合の偏りを検出して入賞順異常と判定する判定方法は、一方の始動入賞口に所定数(本例では4)以上の連続入賞を検出したことに基づいて入賞順異常と判定する処理に代えて実行するようにしてもよいし、一方の始動入賞口への入賞割合の偏りを検出して入賞順異常と判定する処理と、一方の始動入賞口に所定数以上の連続入賞を検出して入賞順異常と判定する処理とを両方あわせて実行するように構成してもよい。
【0155】
また、スライド部材303は、第1態様と第2態様とに略交互に切り替わるように構成され、また、第2始動入賞口13bを遊技球が通過した場合に、第1始動入賞口13aを遊技球が通過した場合と比較して有利な遊技状態(例えば、ラウンド数が多い15R確変大当り)に制御される割合が高い場合、第1始動入賞口13aを遊技球が通過することなく、第2始動入賞口13bを遊技球が連続して通過(本例では、第2始動入賞口13bに4以上連続して入賞)したことに基づいて異常と判定することで、有利な方の第2始動入賞口13bに故意に遊技球を通過させる不正行為が行われることを防止することができる。
【0156】
例えば、第2始動入賞口13bへの入賞が有利に構成された遊技機では、第2始動入賞口13bに連続して遊技球を入賞させるような不正行為が行われる虞があるが、第2始動入賞口13bに4以上連続して入賞したことに基づいて入賞順異常と判定して入賞順異常報知を行うようにすれば、そのような不正行為が行われることを防止することができる。
【0157】
また、振分装置300のスライド部材303が第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとに交互に入賞可能に遊技球を振り分けるのであるが、例えば、スライド部材303が左右いずれかに張り付いてしまうなど振分装置300に何らかの故障が発生した場合には、第1始動入賞口13aに遊技球が連続して入賞したり第2始動入賞口13bに遊技球が連続して入賞したりする状態が発生する可能性がある。特に第2始動入賞口13bに遊技球が連続して入賞する状態となってしまった場合には有利な状態が必要以上に継続するのであるから、遊技店にとって必要以上に不利益な状態が生じてしまう虞がある。そこで、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bに4以上連続して入賞したことに基づいて入賞順異常と判定して入賞順異常報知を行うので、振分装置300の故障を早期に発見できるとともに、遊技店にとって必要以上に不利益な事態が生じることを防止することができる。
【0158】
また、この実施例では、振分装置300の状態が交互に切り替わる場合を示したが、所定の順序に従って切り替わるものであればよく必ずしも交互に切り替わるものでなくてもよい。例えば、第1始動入賞口13a→第1始動入賞口13a→第2始動入賞口13b→第1始動入賞口13a→第1始動入賞口13a→第2始動入賞口13b・・・のサイクルで順に切り替わるものでもよく、振分装置300は何らかの決められた順序に従って切り替わるものであればよい。このような場合であっても、決められた順序に従った始動入賞を検出できなかった場合には入賞順異常が発生したと判定して入賞順異常報知を実行するようにすればよい。また、このような場合であっても、決められた順序に従った始動入賞を検出できなかった場合に直ちに入賞順異常と判定するのではなく、決められた順序に従った始動入賞を所定回数の始動入賞にわたって連続して検出できなかったことを条件に入賞順異常と判定して入賞順異常報知を実行するようにしてもよい(すなわち、入賞順異常となるまでに多少のマージンをもたせてもよい)。
【0159】
また、1段階の処理で入賞順異常の判定および入賞順異常報知を行う場合を示したが、複数段階の処理で行うように構成してもよい。例えば、1段階目の処理として第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとのいずれか一方に4個連続して入賞したことに基づいて、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、演出制御コマンドとして、遊技球の入賞順異常を検出したことを示す入賞順異常報知指定コマンドを演出制御用CPU120に送信し、演出制御用CPU120は、入賞順異常報知指定コマンドを受信したことに基づいて、入賞順異常報知としてランプ・LEDの点灯制御を行い、2段階目の処理として同じ始動入賞口にさらに入賞が連続し8個連続して入賞したことに基づいてランプ・LEDの点灯制御と異常報知音の出力制御とを行い、3段階目の処理として同じ始動入賞口にさらに入賞が連続し16個連続して入賞したことに基づいてランプ・LEDの点灯制御と異常報知音の出力制御とに加えて賞球払出を停止するようにしてもよい。
【0160】
また、賞順異常報知指定コマンドを受信したことに基づいて、遊技場のホールコンピュータ等(図示略)に入賞順異常信号を出力するようにしてもよい。このように、第2始動入賞口13bや第1始動入賞口13aにおいて入賞順異常が発生した場合、入賞順異常が発生したことを報知するようにすることで、上記のような不正行為が行われたことを遊技場の店員等が早期に発見して対処することが可能となる。
【0161】
また、このような入賞順異常が発生したときに、入賞順異常報知を行うだけでなく、遊技の進行を不能化、例えば、打球操作ハンドル5の操作による遊技球の発射ができなくなるようにしたり、始動入賞に基づく変動表示が開始されないようにしてもよい。
【0162】
また、本実施例では、第2特別図柄の変動表示は、遊技球が第2始動入賞口13bまたは第3始動入賞口13cに入賞した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始されるようになっているとともに、第3始動入賞口13cを遊技球が通過しやすい状態(本例では、開放状態)に変化可能な可変入賞装置(本例では、可変入賞球装置15)を備えている。
【0163】
そして、入賞順異常報知の対象は、第1始動入賞口13a及び第2始動入賞口13bへの連続入賞としており、第3始動入賞口13cへの連続入賞は対象としていないため、高ベース状態に制御されているときでも、第2始動入賞口13bにて連続入賞が発生することはないが、例えば、第2誘導経路331Rを流下する遊技球を振分装置300の下面から流出するようにし、第2始動入賞口13bを振分装置300の下方位置等に設けるとともに、第2始動入賞口13bに可変入賞装置を設けた場合においては、可変入賞装置の動作期間中(本例では、確変状態(すなわち、高ベース状態)中、可変入賞球装置15の開放動作中)は異常と判定しないようにすればよい。このようにすることで、不要な異常判定が行われてしまう無駄を防止することができる。具体的には、確変状態(すなわち、高ベース状態)中や可変入賞球装置15の開放動作中である場合には、第2始動入賞口13bに連続して遊技球が入賞することがあり得るのであるから、第2始動入賞口13bへの入賞順異常の判定は行わないようにして、不要な入賞順異常の判定を行う無駄を防止している。
【0164】
このように第3始動口スイッチ14cの検出結果にかかわらず、第1始動口スイッチ14aおよび第2始動口スイッチ14bによって遊技球が検出された順序が所定の順序と異なる場合に異常と判定する。そのため、遊技球の入賞順に制約がない第3始動口スイッチ14cに関係なく異常判定を行うので、必要な異常判定が行われるようにすることができる。
【0165】
尚、本実施例では、大当り種別として、大当り遊技終了後に確変状態に制御される確変大当り以外に、高ベース状態(時短状態)のみに制御される通常大当りが設けられていたが、大当り遊技が終了した後に必ず確変状態(高確率状態)に制御され、大当り遊技終了後に所定回数(本例では、70回)の変動表示を終了したことに基づいて、確変状態(高確率状態)を終了する遊技機に、上記入賞順異常の検出および報知を実行する構成を適用してもよい。
【0166】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0167】
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
【0168】
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。