特許第6229035号(P6229035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6229035
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】樹木葬方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 17/00 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   A61G17/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-209268(P2016-209268)
(22)【出願日】2016年10月26日
【審査請求日】2016年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】516322681
【氏名又は名称】村松機工運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100095120
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 亘彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092495
【弁理士】
【氏名又は名称】蛭川 昌信
(74)【代理人】
【識別番号】100088041
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 龍吉
(72)【発明者】
【氏名】塚原 良一
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−178787(JP,A)
【文献】 特開2004−209183(JP,A)
【文献】 特開2001−276154(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3193921(JP,U)
【文献】 特開2012−121014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 17/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨粉と水とを混合した骨粉混合水を凍結させた骨粉混合氷が含まれる樹木葬用氷塊を準備する工程と、
前記樹木葬用氷塊を山林に投棄する工程と、
を有することを特徴とする樹木葬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山林などで故人の遺骨を散骨する際に用いる樹木葬用氷塊、及びこのような樹木葬用氷塊の作製方法、及び樹木葬用氷塊を用いた樹木葬方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、核家族化や少子化の進展により家族の形態が多様化し、墓地による埋葬を必ずしも希望しない人が増えている。遺骨を墓地に埋葬しない葬送方法の一つとして、火葬した遺骨を、例えば、特許文献1(特開2012−121014号公報)記載の装置などで粉末(骨粉)として、これを山林などに投棄する樹木葬が知られている。
【特許文献1】特開2012−121014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の樹木葬にあっては、山林における大木の下などに、粉末化した遺骨(骨粉)を撒くことで、これが執り行われるが、風が強いと、撒かれた骨粉は一瞬にして視界から消えてしまい、セレモニーとしての風情や情緒といったものを感じにくい、といった問題があった。
【0004】
また、従来の樹木葬にあっては、撒かれた骨粉が風に運ばれて、広範囲に広がることを想定して、樹木葬を執り行うための広大な土地を準備しておく必要があり、コストがかかりやすい、という問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するものであって、本発明に係る樹木葬方法は、骨粉と水とを混合した骨粉混合水を凍結させた骨粉混合氷が含まれる樹木葬用氷塊を準備する工程と、前記樹木葬用氷塊を山林に投棄する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る樹木葬用氷塊は、骨粉と水とを混合した骨粉混合水を凍結させた骨粉混合氷が用いられており、このような本発明に係る樹木葬用氷塊によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる樹木葬を行うことができる。
【0015】
また、本発明に係る樹木葬用氷塊の作製方法によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる樹木葬用氷塊を作製することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る樹木葬方法によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100に用いる基材氷10を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100の作製工程を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100による樹木葬方法の様子を示す図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100に用いる基材氷10を示す図である。
【0019】
本発明は、火葬した遺骨を、粉砕装置(不図示)などにより2mm以下のパウダー状の粉末(以下、「骨粉」という)として、骨粉と水とを混合した骨粉混合水5を得て、さらにこの骨粉混合水5を凍結させた骨粉混合氷90が含まれる樹木葬用氷塊100を作製し、作製した樹木葬用氷塊100を山林における大木の下などに投棄することによって、散骨を行うものである。
【0020】
本発明に係る樹木葬用氷塊100としては、骨粉と水とを混合した骨粉混合水5を凍結させた骨粉混合氷90が含まれるものであれば、どのような形態のものであってもよい。
【0021】
樹木葬用氷塊100に骨粉混合氷90が含まれる形態は任意であるが、本実施形態では基材氷10を用いて、樹木葬用氷塊100の作製を行うことで、樹木葬用氷塊100作製の効率化を図る。
【0022】
基材氷10は、骨粉混合氷90を配して、樹木葬用氷塊100となすための型枠のようなものである。このような基材氷10は、樹木葬の依頼が来たときのために、予め複数準備しておくようにすることもできる。
【0023】
基材氷10は水を凍らせることで得られる板状の氷である。基材氷10は、第1面11と、この第1面11と対向する第2面12とを有している。また、基材氷10においては、第1面11から第2面12に貫通する貫通穴15が設けられている。
【0024】
この貫通穴15によって構成される空間には、骨粉と水とを混合した骨粉混合水5を凍結させた骨粉混合氷90が配されることが想定されている。本実施形態では、貫通穴15の開口形状は円形であるが、本発明においては貫通穴15の開口の形をどのようにするかは任意である。
【0025】
基材氷10の作製においては、不図示の型などを用いて、図1に示す基材氷10の形状に水を凍結させることができる。また、板状の氷に、ドリル(不図示)などで貫通穴15を形成することで、基材氷10を作製することもできる。
【0026】
なお、本実施形態では、基材氷10の中央部に貫通する貫通穴15を形成することで、骨粉混合氷90が配される空間を設けるようにしているが、骨粉混合氷90を収容する空間が基材氷10に設けられるような形態であれば貫通穴15に限定されるものではない。例えば、基材氷10の中央部に貫通しない、凹部による、骨粉混合氷90のための収容空間を設けるようにしてもよい。
【0027】
次に、上記のような基材氷10を用いて本発明に係る樹木葬用氷塊100を作製する工程について説明する。図2は本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100の作製工程を示す図である。
【0028】
まず、本発明に係る樹木葬用氷塊100の作製においては、骨粉と水とを混合した骨粉混合水5をピッチャーPなどの容器に準備しておく。
【0029】
次に、基材氷10は不図示の型枠などに載置しておき、貫通穴15にピッチャーPから、骨粉混合水5を注いで、骨粉混合水5によって貫通穴15を満たす。ここで、前記型枠により、貫通穴15の下部側から液体が漏れ出ないようにしておく。
【0030】
続いて、貫通穴15に骨粉混合水5が満たされた基材氷10は、不図示の冷凍庫などに収容し、骨粉混合水5を骨粉混合氷90へと凍結させることで、図3に示す樹木葬用氷塊100を得る。図3は本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
【0031】
図3に示すような樹木葬用氷塊100を作製する上では、用いる材料としては基本的には水だけであるので材料費が安く、コストがかからない、というメリットがある。また、樹木葬用氷塊100は、板状体の氷であるので、取り扱い性が優れる、というメリットがある。また、骨粉混合水5を準備する際、骨粉は水と混ぜられるので、骨粉の乾燥工程なども不要となる、というメリットもある。
【0032】
次に、本発明に係る樹木葬用氷塊100を用いた樹木葬について説明する。作製された樹木葬用氷塊100は、可搬型の保冷庫などに入れられて、山林まで運ばれる。ここで、保冷庫としては、電源を用いたものの外に、クーラーボックスなどを用いてもよい。
【0033】
続いて、樹木葬用氷塊100を、山林における樹木葬用の大木などに到着したら、必要に応じてセレモニーを行い、人Mによって樹木葬用氷塊100が当該大木の下に置かれ、樹木葬が完了する。図4は本発明の実施形態に係る樹木葬用氷塊100による樹木葬方法の様子を示す図である。
【0034】
ここで、前記のように大木の下に置かれた樹木葬用氷塊100においては、樹木葬用氷塊100を構成する基材氷10と、中央部に配されている骨粉混合氷90とが、時間をかけて徐々に溶解して、大木の下の土になじんでいき、飛散しないことがポイントとなる。
【0035】
また、樹木葬用氷塊100においては、骨粉が風に運ばれて、広範囲に広がるようなこともないため、樹木葬のための広大な土地を準備しておく必要はなく、コストがかかり難い。
【0036】
以上のような本発明に係る樹木葬用氷塊100は、骨粉と水とを混合した骨粉混合水5を凍結させた骨粉混合氷90が用いられており、このような本発明に係る樹木葬用氷塊100によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる樹木葬を行うことができる。
【0037】
また、本発明に係る樹木葬用氷塊100の作製方法によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる樹木葬用氷塊100を作製することが可能となる。
【0038】
また、本発明に係る樹木葬方法によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。いくつかの実施形態について説明するが、異なる実施形態同士を組み合わせてなした実施形態についても、本発明の範疇に含まれるものである。
【0040】
図5は本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。本実施形態は、基材氷10の中に、生花20が凍結されて配されていることを特徴としている。このような樹木葬用氷塊100によれば、最初の実施形態で説明した効果を享受することが可能となると共に、樹木葬用氷塊100の美観や儀式性、荘厳性を高めることができる。
【0041】
なお、図5に示す生花20は、1輪ずつのものが複数箇所に配されているものであるが、これに代えて、花びらを用いるようにしてもよい。また、基材氷10の中に凍結させる生花20は花輪などであってもよい。また、水溶性で環境に対して配慮がなされたようなものであれば、造花などであっても構わない。
【0042】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。本実施形態は、基材氷10の表面に打刻部30が設けられていることを特徴としている。打刻部30としては、故人のアイデンティティーを表す文字列(名前、戒名、故人が好きだった言葉など)や、図形などとすることができる。このような樹木葬用氷塊100によれば、最初の実施形態で説明した効果を享受することが可能となると共に、樹木葬用氷塊100が複数存在するような場合、樹木葬用氷塊100を取り違えるようなことがない。
【0043】
なお、樹木葬用氷塊100の取り違え防止のためには、上記のような文字列や図形などが記された紙などを基材氷10の中に凍結させるようにすることもできる。ただし、基材氷10中に入れる紙などの材料としては、分解性が高く、環境に優しいものを用いることに留意しなければならない。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図7は本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。本実施形態は、基材氷10の第1面11及び第2面12のそれぞれの両端に、凹状部が設けられている。このような凹状部は、樹木葬用氷塊100を取り扱う際の取っ手部40(取り扱い者の手が引っかかる引っかかり部)として機能する。取っ手部40として設ける凹状部は、図7に示すような直方体状のものに限らず、任意のものとすることができる。また、取っ手部40は凹状部に限らず、基材氷10の表面から突出するような凸状部としてもよい。さらに、取っ手部40は凹凸状部として引っかかり性を高めるようにすることもできる。
【0045】
このような樹木葬用氷塊100によれば、最初の実施形態で説明した効果を享受することが可能となると共に、樹木葬用氷塊100の取り扱い性がより向上する。
【0046】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。本実施形態においては、基材氷10の四隅に曲率を有するラウンド部50が設けられていることを特徴としている。
【0047】
これまで説明した基材氷10においては、計8つの角部があり、樹木葬用氷塊100の凍結状態によっては角部で怪我をするようなことも考えられる。そこで、本実施形態においては、基材氷10の四隅に曲率を有するラウンド部50を形成しておき、樹木葬用氷塊100を取り扱う上での怪我などを防止するものである。
【0048】
ここで、ラウンド部50としては、図8に示すようなものに限らず、任意の曲面を有する形状のものとすることができる。このような樹木葬用氷塊100によれば、最初の実施形態で説明した効果を享受することが可能となると共に、樹木葬用氷塊100の取り扱い上の怪我などを防止することができる。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図9は本発明の他の実施形態に係る樹木葬用氷塊100を示す図である。
【0050】
本実施形態においては、基材氷10の代わりに、着色された水からなる有色基材氷60が用いられることを特徴としている。有色基材氷60を作製する上では、着色のために食紅などを用いると、環境に対する影響を軽減することができる。食紅で着色した水を、凍結させることで有色基材氷60を作製することができる。有色基材氷60の色として、青色などを用いることで大木などの下に投棄された樹木葬用氷塊100の視認性を高めることができる。また、樹木葬用氷塊100が複数存在するような場合、異なる色の有色基材氷60からなる複数の樹木葬用氷塊100を準備することで、取り違えの発生を防止することができる。
【0051】
このような樹木葬用氷塊100によれば、最初の実施形態で説明した効果を享受することが可能となると共に、樹木葬用氷塊100の山林などでの視認性向上、取り違え防止などの効果を期待することができる。
【0052】
なお、これまで説明した実施形態においては、樹木葬用氷塊100は上面からみると、略矩形状をなすものであったが、例えばペット用の樹木葬用氷塊100を作製するような場合には、上面視で動物の形状をなすように作製することなどもできる。また、ペット用の樹木葬用氷塊100の場合は、動物の形状そのものとすることもできる。
【0053】
以上、本発明に係る樹木葬用氷塊は、骨粉と水とを混合した骨粉混合水を凍結させた骨粉混合氷が用いられており、このような本発明に係る樹木葬用氷塊によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる樹木葬を行うことができる。
【0054】
また、本発明に係る樹木葬用氷塊の作製方法によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる樹木葬用氷塊を作製することが可能となる。
【0055】
また、本発明に係る樹木葬方法によれば、セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる。
【符号の説明】
【0056】
5・・・骨粉混合水
10・・・基材氷
11・・・第1面
12・・・第2面
15・・・貫通穴
20・・・生花
30・・・打刻部
40・・・取っ手部
50・・・ラウンド部
60・・・有色基材氷
90・・・骨粉混合氷
100・・・樹木葬用氷塊
M・・・人
P・・・ピッチャー
【要約】
【課題】セレモニーとしての風情や情緒を堅持しつつ、コストを低減できる樹木葬用氷塊を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹木葬用氷塊100は、骨粉と水とを混合した骨粉混合水を凍結させた骨粉混合氷90が、含まれることを特徴とする。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9