【実施例】
【0066】
ゼオライト吸着剤の強熱減量
規格NF EN196−2(2006年4月)に記載されるように、950℃±25℃の温度における空気中でのサンプルの焼成による酸化性雰囲気で強熱減量を決定する。測定標準偏差は0.1%未満である。
【0067】
純度測定
略記XRDの当業者に公知であるX線散乱解析によって凝集塊のゼオライト相の純度を評価する。この特定はBruekerのXRD装置で行う。
【0068】
各々のゼオライト構造は回折ピークの位置およびその相対強度で定まる固有の回折スペクトル(またはディフラクトグラム)を有するので、この解析によって、分析した固体に存在する結晶相を特定することが可能になる。
【0069】
凝集塊ゼオライト材料は粉末であり、そして散らばり、単純な機械的圧縮によってサンプルホルダー上で平らになる。
【0070】
Brueker D5000装置で行う回折スペクトル(またはディフラクトグラム)の取得条件は以下の通りである。
・40kV−30mAで使用されるCuチューブ
・スリットサイズ(発散、拡散および分析)=0.6mm
・フィルター:Ni
・サンプル回転装置:15rpm
・測定範囲:3°<2θ<50°
・インクレメント:0.02°
・インクレメント当たりの計数時間:2秒
【0071】
得られた回折スペクトル(またはディフラクトグラム)の解釈は、ベースICCD PDF−2(発売:2011年)を使用して、相を特定してEVAで行う。
【0072】
XRD分析によってゼオライトX画分の量を測定する。この分析をBruekerブランド装置上で行い、次にBrueker社製のTOPASソフトウエアを使用してゼオライトX画分の量を評価する。
【0073】
X線回折による定性分析および定量分析
各々のゼオライト構造は回折ピークの位置およびその相対強度で定まる固有のディフラクトグラム(または回折スペクトル)を有するので、この解析によって、分析した固体に存在する結晶相を特定することが可能になる。
【0074】
凝集塊ゼオライト材料は粉末であり、そして散らばり、単純な機械的圧縮によってサンプルホルダー上で平らになる。Brueker D5000装置で行うディフラクトグラムの取得条件は以下の通りである。
・40kV−30mAで使用されるCuチューブ
・スリットサイズ(発散、散乱および分析)=0.6mm
・フィルター:Ni
・サンプル回転装置:15rpm
・測定範囲:3°<2θ<50°
・インクレメント:0.02°
・インクレメント当たりの計数時間:2秒
【0075】
得られた回折スペクトル(またはディフラクトグラム)の解釈は、ベースICCD PDF−2(発売:2011年)を使用して、相を特定してEVAソフトウエアで行い、これによって完璧に結晶相を実証することが可能になる。
【0076】
XRD分析によってゼオライトX画分の重量を測定する。この方法はまたゼオライトLTA、EMTおよび他のFAU画分の量を測定するのに使用する。この分析をBrueker装置上で行い、次いでBrueker社製のTOPASソフトウエアによりゼオライトX画分、またはLTA、EMTおよび他のFAU画分の量を評価する。
【0077】
ミクロ細孔容積の測定
ミクロ細孔容積の測定はDubinin−Raduskevitch容積の測定(77Kでの液体窒素の吸着または87Kでの液体アルゴンの吸着)などの標準法を介して推定する。
【0078】
Dubinin−Raduskevitch容積を、気体、例えば窒素またはアルゴンなどの液化温度での吸着等温線の測定から決定する。ゼオライト構造の細孔開口に応じて、アルゴンはLTAに対して、および窒素はFAUに対して選択されることになる。その吸着に先立ち、ゼオライト吸着剤を300℃と450℃の間で9時間から16時間の時間、真空下(P<6.7×10
−4Pa)で脱気する。次いで、0.002と1との間のP/P0相対比率圧で少なくとも35個の測定ポイントを採って、MicrometicsからのASAP2020型装置で吸着等温線の測定を行う。規格ISO15901−3(2007)を適用することによって得られた等温線からDubininおよびRaduskevitchに従い、ミクロ細孔容積を決定する。Dubinin−Raduskevitch方程式に従って評価されたミクロ細孔容積を、吸着剤1g当たりの液体吸着質のcm
3で表す。測定不確実性は、±0.003cm
3.g
−1である。
【0079】
t−プロット法によるメソ細孔外部比表面積(m
2/g)の測定
t−プロット計算法は、吸着等温線データQads=f(P/P0)を利用することでミクロ細孔比表面積を計算することが可能になる。全細孔比表面積(m
2/g)を計算するBET比表面積(BET S=ミクロ細孔比表面積+メソ細孔外部比表面積)との差を決めることによって外部比表面積をそれから推測できる。
【0080】
t−プロット法を介してミクロ細孔比表面積を計算するために、曲線Qads(cm
3.g
−1)を分圧P/P0[参照非細孔固体で形成される、log(P/P0)のt関数]に依存する相の厚さ=tの関数としてプロットする。Harkins−Jura方程式:[13.99/(0.034−log(P/P0))
Λ0.5]が適用される。0.35nmと0.5nmとの間の間隔tでは、原点Qadsorbedでy軸を規定する直線をプロットすることができることによって、ミクロ細孔比表面積を計算することが可能になる。固体がミクロ孔でない場合には、その直線はゼロを通過する。
【0081】
透過型電子顕微鏡によるメソ細孔構造の観察
吸着剤を乳鉢で粉砕後、超音波処理で1分間、得られた粉末をエタノール中に分散する。一滴の溶液を顕微鏡格子上に置く。サンプルを周囲条件下で放置乾燥する。
【0082】
透過型電子顕微鏡(FEIからのCM200)で、電圧120kVで観察する。
図1aおよび
図1bは、参照の吸着剤(
図1a)および本発明の吸着剤(
図1b)の×220000の倍率で得られたTEM画像を示す。
図1bの画像によってメソ細孔の存在を視覚化でき、しかもその粒径を推定することが可能となる。
【0083】
結晶の粒径
工程a)で使用されるメソポーラスゼオライト結晶および凝集塊に含まれるゼオライト結晶の数平均径の推定は、走査型電子顕微鏡(SEM)での観察によって前に示したように行う。
【0084】
サンプル上のゼオライト結晶のサイズを推定するために、少なくとも5000倍の倍率で一組の画像を撮影する。次いで、例えばeditor LoGraMiからのSmile View ソフトウエアなどの専用ソフトウエアを使用して少なくとも200個の結晶の粒径を測定する。精度は約3%である。
【0085】
バルク破砕強度
本発明で記述されるゼオライト吸着剤の床の破砕強度は、Vinci Technologies社により販売されている「BCSテスター」装置と組み合せて、Shell法シリーズのSMS1471−74(Shell法シリーズSMS1471−74「触媒のバルク破砕強度の決定、圧縮―篩の方法」)に従い、特性評価される。この方法は、425μmの篩を使用して、3mmと6mmとの間のサイズの触媒を、元々特性評価することを意図しており、それによって特に破砕中に作られる微粉末を分離することが可能になる。425μmの篩の使用は、1.6mmを超える粒径を有する粒子には好適であるものの、特性評価するのに望まれる凝集塊の粒径に従って適応されなければならない。
【0086】
粒子破砕強度
規格ASTM D4179およびD6175に従って、Vinci Technologies社により販売されている粒子破砕強度装置を使用して機械的粒子破砕強度を決定する。
【0087】
本発明の凝集塊ゼオライト材料を、前記凝集塊ゼオライト材料の元素化学分析により、さらに正確には、規格NF EN ISO 12677(2011)で記述したように、蛍光X線化学分析によって、例えばBrueker社製のTigerS8装置である波長分散型分光器(WDXRF)でSi/Al比について評価した。蛍光X線スペクトルは元素の化学的な組み合わせに殆ど依存しないという利点がり、これは定量的にも且つ定性的にも正確な測定を提供することになる。
【0088】
0.4重量%未満の測定不確実性は、各々の酸化物、とりわけSiO
2およびAl
2O
3に対して、通常較正後に得られる。Si/Al原子比の測定不確実性は±5%である。
【0089】
[実施例1]
TPOAC/Al
2O
3比=0.04での、核形成ゲルおよび成長ゲルの添加によるX型のメソポーラスゼオライトの合成
【0090】
a)300rpmのアルキメデスポンプを備えた攪拌反応器中での成長ゲルの調製
加熱ジャケット、温度プローブおよび攪拌機を備えたステンレス製反応器中で、水酸化ナトリウム(NaOH)119g、アルミナ三水和物(65.2重量%のAl
2O
3を含む、Al
2O
3・3H
2O)128gおよび水195.5gを含むアルミン酸塩水溶液を、25℃で25分間、300rpmの攪拌速度で、ケイ酸ナトリウム565.3g、NaOH55.3gおよび25℃の水1997.5gを含むケイ酸塩水溶液中において混合することによって成長ゲルを調製する。
【0091】
成長ゲルの化学量論は以下の通りである。3.48Na
2O/Al
2O
3/3.07SiO
2/180H
2O。成長ゲルの均一化は、25℃で25分間、300rpmで攪拌して行う。
【0092】
b)核形成ゲルの添加
成長ゲルと同じ仕様で調製し、40℃で1時間熟成した、組成が12Na
2O/Al
2O
3/10SiO
2/180H
2Oである核形成ゲル61.2g(即ち、2重量%)を、300rpmで攪拌しながら25℃で成長ゲルに添加する。300rpmで5分間均一化後に攪拌速度を100rpmに減じて、30分間攪拌を続ける。
【0093】
c)反応媒体への構造化剤の導入
メタノール(MeOH)中60%のTPOAC溶液27.3gを、300rpmで攪拌しながら反応媒体に入れる(TPOAC/Al
2O
3比=0.04)。熟成工程を、結晶化が始まる前に25℃において1時間300rpmで行う。
【0094】
d)結晶化
攪拌速度を50rpmに下げ、反応媒体の温度が80分間に渡って75℃に上がるように、反応ジャケットの表示温度を80℃にセットする。75℃で22時間の安定な段階後、冷水をジャケットに循環させることによって反応媒体を冷却し、結晶化を停止する。
【0095】
e)ろ過/洗浄
固体を焼結させて回収し、次いで脱イオン水で洗浄して中性pHにする。
【0096】
f)乾燥/焼成
生成物を特性評価するために、90℃で8時間、オーブンで乾燥を行い、乾燥生成物の強熱減量は23重量%である。
【0097】
構造化剤を除去することによってミクロ細孔性(水)およびメソ細孔性を放出するのに必要な乾燥生成物の焼成を以下の温度プロファイル:200℃への温度上昇30分間、次いで200℃の安定した段階での1時間、それから550℃への温度上昇の3時間、最後に550℃の安定した段階での1.5時間で行う。
【0098】
こうして、ゼオライトXPHの無水等価物固体255gを得る。これは使用したアルミニウムの量に対して99モル%の収率を示す。蛍光X線によって決定したZPHのSi/Al比は1.24に等しい。
【0099】
凝集塊ゼオライト材料の調製の比較目的のため、Si/Al原子比が1.25に等しい市販の非メソポーラスゼオライトを使用する。この参照ゼオライトは、例えば、CECA社で販売されているSiliporite(R)G5 APである。
【0100】
実施例1において調製されたメソポーラスゼオライトXの特性評価および上記した参照ゼオライトの特性評価を下記表1に照合する。
【0101】
【表1】
【0102】
メソ細孔の粒径分布を、円筒状細孔モデルを使った密度関数理論(DFT)法により特性評価する。結晶化度の百分率を、ベースICDD PDF−2(発売:2011年)を使用してTOPASソフトウエアにより計算する。
【0103】
[実施例2]
メソポーラスゼオライトX凝集塊の調製(本発明)
以下の文章において、所与の質量は無水等価物として表す。
【0104】
実施例1で得られたメソポーラスゼオライトX結晶1600g、カオリン350g、コロイド状シリカ(商標名Klebosol(R)30(30重量%のSiO
2および0.5重量%のNa
2Oを含む))130gおよび押し出しを許容する水量からなる均一混合物を調製する。押し出し前のパルプの強熱減量は44%である。
【0105】
直径1.6mmの押し出し物が形成される。押し出し物を喚気オーブンの中80℃で一晩乾燥する。次いで、押し出し物を、窒素流下で550℃、2時間焼成し、それから乾燥した脱炭酸空気流下550℃で、2時間焼成する。
【0106】
メソポーラスゼオライトX押し出し物の機械的粒子破砕強度は2.6daNである。それらの単位体積当たりの見掛け質量は0.64g/cm
3である。
【0107】
[実施例3]
非メソポーラスゼオライトX凝集塊の調製(比較例)
実施例2の操作を、メソポーラスゼオライトXを参照の非メソポーラスゼオライトX押し出し物と置き換えて同じ仕様で繰り返す。参照の非メソポーラスゼオライトX押し出し物の機械的粒子破砕強度は2.5daNである。それらの単位体積当たりの見掛け質量は0.66g/cm
3である。
【0108】
メソポーラスゼオライトXを含む本発明の凝集塊ゼオライト材料は機械的特性を有し、非メソポーラスゼオライトを含む凝集塊ゼオライト材料の機械的特性と全く同等であることが観察される。
【0109】
したがって、本発明はメソポーラスゼオライトの特性、ミクロ細孔性と関連する特性およびこれまで公知であるゼオライト凝集塊の機械的特性を兼ね備える凝集塊ゼオライト材料を提供することは全く注目に値することである。したがって、触媒、分離、吸着などの工業用途のあらゆる分野において、問題なく、本発明の凝集塊ゼオライト材料の使用を想定することが可能になる。
【0110】
[実施例4]
実施例2の凝集塊と先行技術の凝集塊に相当する実施例3の凝集塊との比較
特許出願WO2013/106816(PCT/US2013/021420)中の実施例4、表4の最終行に記述の非メソポーラスゼオライトXの後処理によって得られたメソポーラスゼオライトを比較検討のため使用する。
【0111】
上記実施例2で記述の手順にしたがって、ゼオライトNaXから凝集塊を調製する。
【0112】
その比較分析の結果を下記表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】
結晶化度の百分率を、ベースICDD PDF−2(発売:2011年)を使用してTOPASソフトウエアにより計算する。
【0115】
本発明の凝集塊は先行技術のミクロ孔容積よりも著しく大きいミクロ細孔容積および少なくとも等価のメソ細孔外部比表面積を有する。これらの結果は、後処理によって得られたメソ細孔性のゼオライトを含む凝集塊が本発明で調製した凝集塊よりも著しく不効率な細孔性特性を有することを示している。