特許第6229063号(P6229063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229063
(24)【登録日】2017年10月20日
(45)【発行日】2017年11月8日
(54)【発明の名称】エレクトロウェッティング素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/17 20060101AFI20171030BHJP
【FI】
   G02F1/17
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-539592(P2016-539592)
(86)(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公表番号】特表2016-529564(P2016-529564A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014070539
(87)【国際公開番号】WO2015044294
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】14/036,837
(32)【優先日】2013年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506329306
【氏名又は名称】アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
(72)【発明者】
【氏名】マヌキャン ゴー
(72)【発明者】
【氏名】フィンストラ ボック ヨハネス
【審査官】 里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−151667(JP,A)
【文献】 特開2008−185610(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0027317(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15−1/19
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と、
前記第1流体と不混和性の第2流体と、
電圧が印加されていないときに前記第1流体が全面に接触する表面と、
前記表面上から1つの画素を画定する境界と、
前記境界の幅よりも狭い幅で前記表面上に配置された少なくとも1つの再構成レデューサと、を備え、
前記第1,第2流体は電圧を印加することにより、前記第1流体が前記表面の第1領域に隣接および前記第2流体が前記表面の第2領域に隣接する第1形態に切換え可能であると共に、前記印加された電圧を維持するときに、前記第1形態から、前記第1流体が前記第2領域に隣接および前記第2流体が前記表面の第1領域に隣接する第2形態へ再構成しようとする傾向が存在
前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記第1,第2流体が前記第1形態から第2形態に再構成しようとする際に、前記第1流体の流れを妨げる位置に配置されている、エレクトロウェッティング素子。
【請求項2】
前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記第1流体が前記表面上の1つの位置から前記表面上の他の位置に流れるのを抑制するように配置された障壁である、請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項3】
前記境界は、前記第1流体を少なくとも部分的に制限する1つまたは複数の壁を有し、前記障壁は、前記第1流体が前記壁に沿って前記壁上の1の位置から前記壁上の他の位置に流れるのを抑制するように配置される、請求項2に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項4】
前記障壁は、1つまたは複数の前記壁からの突起、前記表面からの突起、前記壁からの凹部、または、前記表面からの凹部である、請求項3に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項5】
前記境界は、前記表面のディスプレイ領域を、第1側及び第1側に対向する第2側で画定する1つまたは複数の壁を有し、前記障壁は、前記第1側から、前記ディスプレイ領域を横断することなく、前記第2側に向けて延びる、請求項2に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項6】
前記表面は、前記少なくとも1つの再構成レデューサの少なくとも一部の前記第2流体に対する濡れ性よりも小さい、前記第2流体に対する濡れ性を有する、請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項7】
前記境界は、前記第1流体を少なくとも部分的に制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に沿う位置に配置され、これにより、電圧が印加されていないときの形態から、前記第1,第2流体の形態を変更する電圧を印加したときに、前記第1流体がエレクトロウェッティング素子内の異なる位置への移動開始する前に、前記第1流体の移動を開始する位置を画定する、請求項6に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項8】
前記境界は、前記第流体を少なくとも部分的に制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは、第1再構成レデューサ及び前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に配置された第2再構成レデューサを有し、前記第1,第2再構成レデューサは実質的に互いに対向する、請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項9】
前記1つまたは複数の壁は、第1壁及び前記第1壁に対向する第2壁を有し、前記第1再構成レデューサは、前記表面と前記第1壁との間の接合部に沿う実質的に中間に配置され、前記第2再構成レデューサは、前記表面と前記第2壁との間の接合部に沿う実質的に中間に配置される、請求項に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項10】
前記第1流体は、前記第1,第2形態で前記表面の部分から収縮され、前記第1形態では、前記第1流体は複数の収縮部を形成し、前記第2形態では、前記第1流体は第1形態に比して同数または少数の収縮部を形成する、請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項11】
前記第1形態では、それぞれが前記第1流体の容積の少なくとも35%、40%、45%または48%を有する前記第1流体の2つの収縮部が設けられ、前記第2形態では、前記第1流体の容積の少なくとも70%、80%、90%または96%を有する前記第1流体の1つの収縮部が設けられる、請求項10に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項12】
前記第1形態では、前記2つの前記第1流体の収縮部は、互いに対向するように前記エレクトロウェッティング素子内に位置する、請求項11に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項13】
前記境界は、前記第1流体を少なくとも部分的に制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に沿う位置で前記エレクトロウェッティング素子内に配置され、前記第1形態で、前記第1,第2流体の位置を実質的に保持する、請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項14】
前記境界は、前記第1流体を少なくとも部分的に制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に沿う位置で前記エレクトロウェッティング素子内に配置され、前記第1,第2流体を、前記第1形態から、電圧が印加されてないときの前記第1,第2流体の形態への切換え時間を確定する、請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
【請求項15】
前記第1,第2流体が前記表面に隣接する範囲にしたがって、前記エレクトロウェッティング素子の表示効果を提供する前記表面のディスプレイ領域を有し、前記第1形態で、前記第1流体が前記ディスプレイ領域に隣接する部位を第1部位および前記第2流体が前記ディスプレイ領域に隣接する部位を第2部位としたとき、前記第1部位は前記第1領域を有し、前記第2部位は前記第2領域を有する、請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロウェッティング素子に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロウェッティングディスプレイは既知である。このような装置の画素がオフの状態では、オイルがディスプレイ領域を覆う。オン状態では、オイルが収縮されディスプレイの領域のより少ない部分を覆う。画素をオン状態に切換えるため、オイルと不混和性で導電性の流体を介して電圧が印加される。画素をオフ状態に切換えるため、電圧がオフに切換えられる。オイルが着色されている例では、オフ状態の画素を透過した放射線ビームが、オイルを通過し、色彩が付与される。しかし、画素がオン状態のときに、ビームはオイルを透過せず、その色彩は実質的に変化してないことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2010/220380号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
改善されたエレクトロウェッティング素子を提供することが望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、既知のエレクトロウェッティング素子の概略を示す。
図2図2は、既知のエレクトロウェッティング素子の平面図を示す。
図3図3Aは、既知のエレクトロウェッティング素子の問題を概略的に示す。図3Bは、既知のエレクトロウェッティング素子の問題を概略的に示す。
図4図4は、エレクトロウェッティング素子の実施例の平面図を示す。
図5図5は、エレクトロウェッティング素子の実施例の他の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、既知のエレクトロウェッティングデバイスの一部の断面図を示す。この実施例では、装置は、複数のエレクトロウェッティング素子を有するエレクトロウェッティング表示装置1であり、これらのエレクトロウェッティング素子は画素2であり、その1つを図に示してある。画素の横方向範囲は、図中、2つの鎖線3,4で示してある。画素は、第1支持プレート5及び第2支持プレート6を備える。支持プレートは、各画素の別箇の部材とすることができるが、しかし、支持プレートは複数の画素によって共通して共用することができる。支持プレートは、ガラスまたはポリマー基板6,7を有することができ、剛性または可撓性とすることができる。
【0007】
表示装置は、表示装置で形成される画像または表示を見ることができる表示側8と、裏側9とを有する。図中、第1支持プレート5は裏側9を画定し、第2支持プレート6は表示側を画定し、これに代え、第1支持プレートを表示側に向けることもできる。表示装置は、反射型、透過型、または、半透過型(transflective)とすることができる。表示装置は、それぞれが複数の画素を有する複数のセグメントから画像を構築するセグメント化されたディスプレイとすることができる。表示装置は、アクティブマトリクス駆動型表示装置、直接駆動型表示装置またはパッシブ駆動型表示装置とすることができる。複数の画素は、モノクロとすることができる。カラー表示装置のために、それぞれが異なるカラーを有する複数のグループに分割することができ、または、個々の画素が異なるカラーを表示可能とすることができてもよい。
【0008】
支持プレート間のスペース10に、2つの流体、つまり、少なくとも一方が液体である第1流体11と第2流体12とが充填されている。第2流体は、第1流体とは不混和性である。第2流体は、導電性または有極性であり、水または水と塩化カリウムの溶液等の塩溶液とすることができる。第2流体は、透明とすることができるが、着色、白色、吸収しまたは反射させるものとすることができる。第1流体は、非導電性であり、例えばヘキサデカン等のアルカンとすることができ、または、シリコーンオイルなどのオイルとすることができる。
【0009】
第1流体は、光学スペクトルの少なくとも一部を吸収する。第1流体は、光学スペクトルの一部を透過することができ、カラーフィルタを形成する。このため、第1流体は、色素粒子または染料を添加することにより、着色することができる。これに代え、第1流体は、黒色、すなわち光学スペクトルのほぼ全ての部分を吸収し、または、反射するものとすることができる。反射層は、可視スペクトルの全体を反射し、この層を白色に見えるようにし、または、その一部を反射して、色彩を有するものとすることができる。
【0010】
支持プレート5は絶縁層13を有する。絶縁層は、透明または反射性とすることができる。絶縁層13は、画素の壁間に延設することができる。第2流体と絶縁層の下に配置した電極との間の短絡を防止するため、図示のように、絶縁層の層を複数の画素2にわたって途切れないように延設することができる。絶縁層は、画素2のスペース10に面する表面14を有する。この実施例では、表面14は疎水性である。絶縁層の厚さは、2マイクロメートルよりも薄く、更に、1マイクロメートルよりも薄くすることができる。
【0011】
絶縁層は疎水性とすることができ、または、疎水性層15及び所定の絶縁特性を有する障壁層16を有することができ、この疎水性層15は、図示のように、スペース10に向いている。疎水性層は、図1に概略的に示してあり、Teflon(登録商標)AF1600で形成することができる。障壁層16は、基板の平面に垂直な方向における厚さが、100ナノメートルと150ナノメートルの間で、酸化ケイ素または窒化ケイ素またはこれらの積重ね(例えば酸化ケイ素−窒化ケイ素−酸化ケイ素)等の無機材料、または、ポリイミドまたはパリレン等の有機材料で形成することができる。障壁層は、異なる誘電率を有する多数の層を備えることができる。
【0012】
表面14の疎水性は、第1流体11を絶縁層13に優先的に付着させ、これは、第1流体が絶縁層13の表面に対して第2流体12よりも高い濡れ性を有するためである。濡れ性は、固体の表面に対する流体の相対的親和性に関係する。濡れ性は、流体と固体の表面との間の接触角によって測定することができる。接触角は、流体−固体の境界における流体と固体との間の表面張力の差によって決定される。例えば、表面張力の大きな差が、疎水性を示唆可能である。
【0013】
各素子2は、支持プレート5の一部として電極17を有する。図示の実施例では、素子ごとに、1つのこのような電極17が設けられている。電極17は絶縁層13で流体から分離されており、隣接する画素の電極は非導電層で分離されている。いくつかの実施例では、他の層を絶縁層13と電極17との間に配置することができる。電極17は、任意の所要の形状または形態とすることが可能である。画素の電極17は、図に概略的に示す信号線18により電圧信号を供給される。第2信号線19は、導電性の第2流体12に接触する電極に接続される。この電極は、流動的に相互接続されかつ第2流体を共有したときに、壁で遮断されずに、全ての素子に共通とすることができる。画素2は、信号線18,19間に印加される電圧Vで制御することが可能である。基板7上の電極17は、ディスプレイ駆動システムに連結される。マトリックス状に配列された画素を有する表示装置においては、電極は、基板7上の制御線のマトリックスに連結することが可能である。各画素に対するここに記載の電極は、一緒に、少なくとも1つの画素に電圧を印加する電極の構成を形成する。ディスプレイ駆動システムは、電極の構成に対する電圧の印加を制御するように構成された電圧コントローラを有することができる。
【0014】
この実施例の第1流体11は、1つまたは複数の壁、この実施例では画素の断面から理解される4つの壁20で、1つの画素に境界を設ける。画素の断面は任意の形状を有することができ、画素がマトリックス形状に配置されたときに、断面は通常は方形または矩形である。壁は絶縁層13から突出する構造体として示してあるが、代わりに、疎水性または低疎水性の層等、第1流体をはじく、支持プレートの表面層とすることができる。壁は、第1支持プレートから第2支持プレートに延びることができるが、代わりに、図1に示すように、第1支持プレートから第2支持プレートに向けて部分的に延びることができる。画素の範囲は、鎖線3,4で示してあり、壁20の中央で画定される。点線21,22で示す画素の壁間の領域は、ディスプレイ領域23と呼ばれ、これに表示効果が生じる。
【0015】
図2は、矩形の画素のマトリックスを、第1支持プレートの疎水層の平面図で示す。図2における中央画素の範囲は、図1の点線3,4に対応し、点線25で示す。線26は、壁の内側境界を示し、この線は更にディスプレイ領域23の縁部である。
【0016】
電極間に電圧が印加されてないときに、第1流体11は、図1に示すように、壁20間の層を形成する。電圧を印加すると、第1流体を、例えば図1に点線の形状24で示すように、壁に対して収縮する。第1流体の制御可能な形状は、印加する電圧にしたがい、画素を電球として作動するように使用され、ディスプレイ領域23に表示効果を提供する。
【0017】
新たな問題が認識される。電圧を第1,第2流体の少なくとも一方に印加したときに、上述のように、第1,第2流体が第1形態を取り、第1形態のときでかつ第1,第2流体を第1形態に切り換えるために印加された電圧を維持しているときに、第1,第2流体が第1形態とは異なる第2形態を採り入れるように再構成する傾向があることが判明した。第1形態では、第1流体は表面の第1領域に隣接し、第2流体は表面の第2領域に隣接する。第2形態では、第2流体は第1領域に隣接し、第1流体は第2領域に隣接する。新たな問題を識別したことで、例えば再構成レデューサを設けることにより、第1形態から第2形態への第1,第2流体の再構成を抑制するようにエレクトロウェッティング素子を配置できることが認識された。
【0018】
これについて、図3から図5を参照してより詳細に説明する。図3A,3Bに記載された特徴は、ここで参照した先の図1,2使用した特徴と同様であり、同じ参照番号に100を付加して参照し、対応する説明も適用する。
【0019】
図3A,3Bは、実施例による矩形の画素のマトリックスの疎水性層の概略的な平面図を示す。図3Aは、第1,第2流体の第1形態の例を示し、図3Bは、第1,第2流体の第2形態を示す。
【0020】
第1形態は、例えば電圧が印加されてないとき、すなわちオフ状態からスタートするときに採用され、第1流体は壁120間に層を形成し、第1流体は、図1に示すように全表面に接触する。好適な大きさの電圧を印加すると、第1,第2流体は第1形態に切り換え、このとき、第1流体が分裂する。第1流体がこのように分裂する可能性は、エレクトロウェッティング素子(後述する)のアスペクト比、オフ状態の第1流体の厚さ、電圧が印加されてないときの第1,第2流体間のインターフェースの曲率、及び、エレクトロウェッティング素子内の塵または製造欠陥を含むファクタに依存する。図3Aに示すように、第1流体は表面の部分から収縮し、複数の収縮部を形成する。この実施例では、第1形態は第1流体の2つの収縮部30を含み、それぞれ第1流体の少なくとも35容量%で、例えば40容量%、45容量%または48容量%を備え、この実施例では互いに対向配置され、この実施例では収縮部の1つがディスプレイ領域123の一側に近接して位置し、他の収縮部は、ディスプレイ領域の反対側に隣接した位置に配置される。各収縮部は、図1に示す点線の形状24に類似する収縮形状を採用する。
【0021】
図3Bを参照すると、第2形態の実施例が示されている。この実施例では、第1流体は表面の部分から収縮し、第1形態よりもより少ない収縮部を形成する。他の実施例では、収縮部の数は第1形態と同じにすることができる。本実施例では、第1流体は、少なくとも第1流体の70容量%で、例えば80容量%、90容量%または96容量%を備える1つの収縮部32を形成する。本実施例における収縮部は、ディスプレイ123領域の一側に近接配置される。収縮部は、図1に示す点線形状24に類似する形態を採用する。
【0022】
図3A,3Bを参照すると、画素の表示効果が、表面114、特にディスプレイ領域123の表面に隣接する第1,第2流体の範囲にしたがってディスプレイ領域123上に提供される。第1形態では、第1流体に隣接するディスプレイ領域123の範囲は、ここでは、ディスプレイ領域の第1部位として画定され、第2流体に隣接するディスプレイ領域123の範囲は、ここでは、ディスプレイ領域の第2部位として画定される。第1,第2部位は、共にディスプレイ領域を形成する。第1,第2部位間の境界は、図3A,3B中、線28,29でそれぞれ示されている。
【0023】
流体が1つの形態にある状態では、第1,第2部位は重複しない。しかし、第1形態及び第2形態等の異なる流体形態を比較すると、第1形態における第1部位及び/または第2部位は、それぞれ第2形態における第1部位及び/または第2部位と部分的に重なることができる。第1部位及び第2部位は、第1形態及び第2形態に対する範囲、すなわちサイズ及び/または位置が相違する。本実施例では、第2部位は、第1形態に関するよりも第2形態に関する方が大きい。
【0024】
第1形態では、第1部位は、第1領域FAを含み、第2部位は、第2領域SAを含む。第1領域FA及び第2領域SAは点線で示してある。第1領域FAの範囲は第2領域SAの範囲と相違させることができ、図3A,3Bでは、第1領域FAは第2領域SAよりも大きい。しかし、第1領域の範囲は、第1,第2形態の双方に関して同じであり、第1,第2形態の双方に関する第2領域の範囲も同じである。第1領域FA及び第2領域SAは、第1形態で第1流体が第1領域に隣接し、第2流体が第2領域に隣接し、一方、第2形態で第1流体が第2領域に隣接し、第2流体が第1領域に隣接することをもたらすディスプレイ領域の任意の範囲をそれぞれ画定する。
【0025】
したがって、流体が第1形態から第2形態に再構成されたときに、第1領域FAに隣接する第1流体は第2流体と置き換わり、第2領域SAに隣接する第2流体は第1流体と置き換わる。これは、オイルを収縮した形態に維持するために電圧を印加するにも関わらず、例えばオイルが逆流してディスプレイ領域を覆う傾向があるエレクトロウェッティング素子における逆流の既知の問題とは異なり、逆流中に、導電性または極性流体がディスプレイ領域に隣接するオイルに置き換わるものではない。
【0026】
第1流体及び第2流体が第1形態から第2形態に再構成する傾向は問題がある。第1に、再構成は、画素によって提供される表示効果を変更させる可能性がある。これは、第1部位の範囲が、符号28,29で境界を示すように、第2部位の範囲と異なる可能性があるためである。したがって、表示効果は、第1形態と第2形態との間で輝度及び与えられたグレースケールレベルが相違することがある。本実施例では、より大きな第2部位により、第1形態に比較して第2形態のときに、画素で伝達される光がより大きいためである。更に、形態の変化は、フリッカー効果を生じことがあり、画像の質を低下する可能性がある。更に、一定の表示効果を提供することを探索している間に、再構成が生じることは、代りに変化する表示効果が与えられることを意味する。更に、複数の画素を備える表示装置に関して、第1,第2形態が、異なる画素間で相違することがあり、再構成はより長く、または、短い時間で継続することがあり、この結果、任意のフリッカー効果及び輝度の相違及びグレースケールレベルが、画素ごとに相違し、これは表示画像の質を更に低下させる。更に、第1,第2流体が、電圧が印加されない形態に切り換えられるとき、すなわち、上述のように第1流体が表面を横断する層を形成するオフ状態のときに、第1,第2流体が、第1流体の閉時間と称することができる、オフ状態の形態に適合するまでの時間が、第1形態と第2形態とで相違することがある。これは、第2形態では、第1流体の1つの収縮位置が、ディスプレイ領域の中央で閉鎖合流するときの第1形態における第1流体の2つの引き込み位置に比較して、表面を覆うために表面を横断して流れる距離より大きいからである。更に、2つの収縮位置がディスプレイ領域の中央で合流を開始し、閉じるときに、それぞれ閉鎖する第1流体部分の前部が合流し、結合を開始し、この結合は素子の閉鎖を促進し、したがって閉鎖時間が、第2形態からの閉鎖に比較して減少する。例えば、第1形態からの閉鎖時間は、第2形態からの約90ミリ秒に比較して、約20ミリ秒とすることができる。
【0027】
流体の形態の問題を識別することで、問題の原因を理解することができる。どのような理論にも拘束されることなく、第1,第2流体の第1形態から第2形態への再構成は、印加電圧を維持しつつ、壁120と表面114との間の接合部に沿って第1流体が少なくとも部分的に流れることに起因すると、信じられる。第1形態は、第2形態に比較してエネルギ的に不安定であるため、第1流体が流れて第2形態を採用することがエネルギ的に有利となる。特に、接合部に沿う流れは毛管作用によるものと信じられ、次の少なくとも1つに起因するものと考えられる。つまり、壁120の表面及び/または表面114の第1,第2流体に対する濡れ特性、第1,第2流体の表面張力、壁120の側部が表面114に接触する角度を含む結合部の形状、印加される電圧の大きさ、及び、この電圧がいかに迅速に印加されるか、である。
【0028】
図3A,3Bに示すように、収縮部30,32内の第1流体の量に対して、第1流体の小容量部34は、収縮部30,32が配置されていない表面上に位置で、壁に隣接する。これは、毛管作用によると信じられる。第1流体の壁に沿う流れにより、第1,第2流体は、例えば1秒で第1形態から第2形態に再構成されることができる。
【0029】
流体の再構成の問題は、第1,第2流体の第1形態から第2形態への再構成を緩和するエレクトロウェッティング素子を配置することにより、減少または排除することができることが理解される。記載すべきいくつかの実施例では、エレクトロウェッティング素子は、第1,第2流体が第1形態から第2形態に再構成するのを緩和する少なくとも1つの再構成レデューサが設けられている。
【0030】
流体の再構成を抑制することは、普通には考えられないことになり得るが、これは第1,第2流体が低エネルギ的に有利な第1形態を維持しようとするためである。更に、低エネルギ的な第1流体が少なくとも、2つの収縮部に分けられ、少なくとも、当該分野では、一般的には、第1流体が図1に点線形状24で示すようにディスプレイ領域の一側に1の部分として収縮されることが好ましい。
【0031】
実施例では、再構成レデューサは、例えば図3Aに示す第1流体の1の収縮部30から対向する収縮部30に向けて、表面114上の1の位置から表面114上の他の位置に第1流体が流れるのを抑制するように構成される障壁とすることができる。
【0032】
他の実施例では、再構成レデューサは、1の収縮部30に隣接する等の壁の1の位置から、対向する収縮部30に隣接する等の壁の他の位置に、壁120に沿って第1流体が流れるのを抑制するように構成される障壁を備えることができる。障壁は、したがって壁と表面との間の接合部に設けられ、第1流体が壁に沿って第1流体が流れるのを接合部で阻止または抑制し、例えば壁及び表面114に沿う第1流体の毛管流を中断する。このようにすることで、第2形態よりも低エネルギ安定であるにもかかわらず、第1形態を実質的に維持し、したがって、第1,第2流体が第2形態に再構成するのを抑制または阻止する。実質的に、維持することとは、再構成が十分に抑制されて、画素の表示条件に適合する時間にわたって第1形態を維持することを意味する。接合部に沿う再構成レデューサは、第1形態を実質的に維持するように好適に選定することができる。
【0033】
再構成レデューサは、壁と表面との接合部に配置されて第1流体の毛管流を阻止または抑制する別個の部材とすることができ、このような部材は、例えばTeflon(登録商標)AF1600とすることができる。これに代え、再構成レデューサは、壁の突出部、すなわち壁の一部として形成することができる。このような実施例は、図3A,3Bと同様な平面図を表示する図4に概略的に示してある。
【0034】
上述の説明と同様な図4に記載の特徴は、同じ参照番号に200台を付して用いてあり、対応する説明も適用される。
【0035】
図4は、2つの再構成レデューサ36の実施例を示してあり、それぞれ壁220の突起である。各突起は、壁の一部として形成してあり、したがって、SU8等の壁と同じ材料である。このような壁は、当該分野で周知のようにフォトリソグラフィ技術を使用して形成することができる。
【0036】
図4に示すように、第1流体は、収縮部230が占有していない壁に隣接することができる。これは、ある程度延びる突起に隣接する第1流体を含み、表示38で示すように、突起が壁に沿う第1流体の毛管流をフロックするため、突起における第1流体の一部を収集することを含んでもよい。ディスプレイ領域の第1,第2部位間の境界は、40で表示してある。
【0037】
再構成レデューサは、例えば第1流体の毛管流を中断、規制またはブロックする機能により、第1形態から第2形態への再構成を抑制または防止する寸法及び/または形状を有することができる。図5は、図4の画素の実施例を点線A− −Aに沿う横断面で示す。この実施例における各突起36は、凹状の側面形状を有し、突起が画素の中心に突出するにつれて高さHが減少する。しかし、突起は、点線38で示すように三角形または凸状の側面形状を有してもよい。更に、各突起は、図4に示すように矩形の設置面を有する。しかし、他の実施例では、突起すなわち再構成レデューサは、異なる形状の設置面に形成することができる。側面形状、及び、設置面の範囲及び形状は、第1形態から第2形態への流体の再構成を抑制または阻止する機能を提供するように選定される。なお、画素を横断する障壁に合流することなく、第1流体が1の収縮部から表面を横断して、反対側の収縮部から流れる第1流体に合流するまで流れることが可能なように、1つまたは複数の再構成レデューサが、ディスプレイ領域の一側からディスプレイ領域の他側まで画素を横断して延びる必要はないことが留意される。
【0038】
今まで説明した再構成レデューサの実施例は、第1流体に対する障壁、すなわち機械的な障害物を提供する。再構成レデューサは、流体再構成の抑制を支援する濡れ特性を利用することもできる。例えば、再構成レデューサは、第1流体に対する濡れ性が低い材料、すなわち壁の材料よりも第2流体に対する濡れ性が大きい材料から形成することができる。したがって、第2流体は第1流体よりも再構成レデューサに隣接し易く、第1流体は第2流体よりも壁に隣接し易く、したがって壁に沿う毛管流の中断を支援する。この実施例では、レデューサが上述のように突起であり、濡れ特性は流体の再構成を抑制する作用をなすため、突起は壁高さよりも低くてもよい。従って、いくつかの実施例では、壁を、表面214よりも第1流体に対する濡れ性が低い材料、例えば疎水性材料の薄い層とすることができる。いくつかの実施例では、壁は、上述のように、第1流体をはじく表面層であり、レデューサはこのような壁及び壁材料製の突起とすることができる。
【0039】
再構成レデューサの濡れ特性は、更に、画素内の流体の動きの開始を支援するために使用することができる。例えば、再構成レデューサは、第2流体に対する表面214の濡れ性よりも第2流体に対する濡れ性が大きい表面等の一部を有することができ、例えばSU8で形成することができる。更に、このような実施例では、上述の障壁等の再構成レデューサは、電圧が印加されてないオフ状態の形態から第1,第2流体の形態を変化するために電圧を印加したときに、第1流体の動きが画素内の異なる位置で開始する前に第1流体の動きが開始する位置を画定するように画素内に配置することができる。再構成レデューサの位置は、表面と少なくとも1つの壁との間の接合部に沿う位置とすることができ、この位置は、最初の発生開始が望ましい場所にしたがって選定される。開始は、再構成レデューサにおける第1流体の厚さが表面214上における厚さよりも薄いために発生することもあり、電圧を印加するときに、第1流体が最も薄い場所の電界がより強く、したがって流動開始はその場所で発生し得る。開始は、更に、レデューサを濡らすための第2流体の優先権がより大きいために生じることがあり、電圧が印加されるときに、再構成レデューサは、エレクトロウェッティング素子内の第2流体が第1流体に置き換わる最初の場所となるであろう。したがって、第1形態から第2形態への流体再構成の抑制に加え、再構成レデューサは、電圧が印加されるオン状態にオフ状態から画素の連続的な切換と同じ流体運動の開始位置を画定することが可能である。突起及び/または設置面の形状は、開始位置機能と共に役に立つように選択されることができる。
【0040】
再構成レデューサは、画素内に位置し、第1形態における第1,第2流体の位置を画定することができる。例えば、図4,5を使用して説明した実施例では、2つの突起が、ディスプレイ領域の互いに対向する2つの長辺側に沿って設けられている。これらの突起は、それぞれ表面と少なくとも1つの壁との間の接合部上に、この実施例ではディスプレイ領域の対応する側部に沿う中間に位置し、したがって、表面と対応する壁との間の接合部に沿う中間に位置する。したがって、これらは、電圧をオフ状態の素子に印加するときに、第1流体の50:50の分割を画定する開始位置を画定するために位置し、したがって、第1流体の2つの対向する収縮位置を有する上述の第1形態を生じさせる。
【0041】
いくつかの実施例では、再構成レデューサは、電圧が印加されてないオフ状態の流体の形態に、第1形態から第1,第2流体を切り換える継続時間を確定するために、画素内に配置することができる。再構成レデューサは、したがって、表面と少なくとも1つの壁との間の接合部に沿う位置に配置することができ、この位置は所要の切り換え継続時間にしたがって選定される。例えば、図4,5の実施例では、各対向する収縮部の第1流体は、第2形態に比較して、他の収縮部の第1流体に合流するまで、ディスプレイ領域の半分を横切って流れることだけが必要である。したがって、閉時間は、レデューサが異なる位置にある他の実施例よりも、短くすることができる。この閉時間の抑制は、壁で規定されるより大きなディスプレイ領域を有するエレクトロウェッティング素子で有益なこととなり、これにより、適切な迅速閉時間を得ることができる。
【0042】
エレクトロウェッティング表示装置は、ここに記載のような複数の画素を備え、少なくとも1つの再構成レデューサは、複数の画素の他の1つの少なくとも1つの再構成レデューサの位置に対して実質的に同じ位置にある、1つの画素内に配置することができる。用語「実質的」は、ここでは、画素のマトリックスの製造における誤差の公差内を意味する。例えば、各画素に対して、各再構成レデューサを実質的に同じ位置に配置することにより、その結果、第1形態における流体の形態に対応する表示効果は、各画素に対して同じとすることができる。更に、閉時間は各画素に対して同じにすることができる。更に、各画素は、再度、同じ位置で流動運動を開始することができ、表示装置を横断する一定の表示効果に寄与する。
【0043】
上記の実施例は、説明のためであることを理解すべきである。他の実施例が予見される。
【0044】
例えば、再構成レデューサは、上記のいくつかの実施例では単数として参照してきたが、更なる実施例では、エレクトロウェッティング素子は1つの再構成レデューサよりも多くを備えることができる。図4,5を使用して説明する1つの実施例は、この実施例では突起である2つの再構成レデューサを備える。他の実施例は、2またはそれ以上の再構成レデューサを想定しており、上述の実施例にしたがって、適切に配置され、流体の第1形態から第2形態への再構成を抑制または阻止する。なお、図4,5の実施例では、2つの再構成レデューサが互いに対向し、ディスプレイ領域の長辺側に沿う中間、したがって表面と適切な壁との間の接合部の中間の位置に配置されることが注目される。他の実施例では、2つの再構成レデューサは、適切な接合部の実質的に中間、例えば接合部の長さに沿う40%から60%の間の位置に配置され、このような実施例では、2つの再構成レデューサは、互いに実質的に対向することができる。
【0045】
流体の第1形態について、図3Aを参照して説明してきた。他の実施例では、第1,第2流体は、第1形態で異なる配置とすることができ、例えば、第1流体の収縮部を異なる比率とし、第1,第2部位を異なる範囲及び位置とすることができる。このような実施例では、第1流体は、ディスプレイ領域の2つの位置よりも優勢に収集することができ、表面を横断して不均等に分散することが可能である。
【0046】
更に、図3Bでは第2形態が、図の下部に収縮部32が記載され、第1流体は、第1形態から反対方向に流れることができ、図の上部の第1流体の収縮位置32を有する第2形態を形成することが注目され、したがって、ここに記載の実施例における障壁は、例えば接合部に沿って、表面及び/または壁に沿う両方向の第1流体の毛管流を阻止する。しかし、他の実施例では、再構成レデューサは、第1流体の一方向の流れを抑制または阻止することができる。
【0047】
上述のように、壁の突起のような再構成レデューサを設けることは、エレクトロウェッティング素子の閉時間を低減することができる。この閉時間を低減する効果は、エレクトロウェッティング素子のアスペクト比にしたがって有効とすることができる。アスペクト比は、第1流体を制限する壁の高さに対するディスプレイ領域の寸法比として限定することができる。例えば、エレクトロウェッティング素子は、160マイクロメートル平方の方形ディスプレイ領域と4マイクロメートルの壁高さとを有することができ、これは40:1のアスペクト比を与える。同じディスプレイ領域であるが、壁高さが2マイクロメートルの高さを有する場合は、アスペクト比が80:1である。320マイクロメートル平方の方形のディスプレイ領域に対して、4マイクロメートルの壁高さは、アスペクト比が80:1である。例えば40:1と比較して80:1のより大きなアスペクト比では、エレクトロウェッティング素子はより遅い閉時間となる傾向があることが見いだされた。矩形のディスプレイ領域に対して、アスペクト比は、壁の高さに対して(L+S)/2の比として画定することができ、ここに、Lはディスプレイ領域の長辺側の寸法、Sはディスプレイ領域の短辺側の寸法である。例えば、ディスプレイ領域が160x80マイクロメートル、壁の高さが4マイクロメートル場合は、アスペクト比が30:1である。ここに記載の実施例にしたがって流体の再構成を抑制することにより、閉時間を短縮することができる。
【0048】
ここに記載の実施例にしたがって流体形態を減少することは、厚い第1流体層を有する場合に比較して、オフ状態のときに第1流体の薄い層を有するエレクトロウェッティング素子に有益であることが更に判明した。このような薄い第1流体層は、アスペクト比を変更することなく、高解像度のエレクトロウェッティング表示装置に使用することができる。しかし、薄い第1流体層では、電圧を印加したときに、第1流体がディスプレイ領域の異なる位置で分裂及び集合する傾向が大きく、第1形態がより発生し易く、したがって、第1,第2流体は第2形態に再構成される傾向が大きい。
【0049】
更なる実施例が想定される。例えば、第1及び/または第2流体の表面張力、壁表面の濡れ性およびディスプレイ領域面の濡れ性、壁の表面とディスプレイ領域面との間の接合部の角度のいずれかを選択し、例えば第1流体の壁に沿う毛管流を中断、抑制、規制または阻止することにより、第1から第2形態への再構成を抑制することができる。更に、第1,第2流体の一方または双方が、例えば流体の表面張力を確定し、流体の再構成の発生を抑制する特性を有する化合物を包含することができる。更に、ディスプレイ領域の表面は、平坦形状に代えて、第1形態から第2形態への流体の再構成を抑制するために第1流体または第2流体の流れを抑制する形状とすることができ、例えば、他の実施例では、壁突起にとして形成する障壁に代えて、障壁を第1支持プレートの一部、例えば疎水層の突起として、または、壁または第1支持プレート内の窪みとして、形成することができる。
【0050】
なお、いずれか1の実施例との関係で記載された適宜の特徴は、単独で、または、他の記載の特徴と組み合わせて用いることができ、更に、他の適宜の実施例の1つまたは複数の特徴を組み合わせ、または、適宜の他の実施例を適宜に組み合わせて使用することができることを理解すべきである。更に、上記されていない同等のもの及び変更も、請求の範囲に記載の範囲から逸脱することなく、採用することができる。
【0051】
(条項)
項1. 第1流体及び前記第1流体と不混和性の第2流体、及び、
表面を備え、
前記第1,第2流体は、電圧を印加することにより、第1形態に切換え可能で、前記第1形態で、第1流体は前記表面の第1領域に隣接し、第2流体は前記表面の第2領域に隣接し、
更に、前記第1,第2流体の前記第1形態から第2形態への再構成を抑制する少なくとも1つの再構成レデューサを備え、前記第2形態は第1流体が第2領域に隣接し、第2流体が第1領域に隣接し、前記印加された電圧が保持されているときに、前記再構成が生じる傾向が存在する、
エレクトロウェッティング素子。
項2. 少なくとも1つの再構成レデューサは、第1流体が前記表面上の1つの位置から前記表面上の他の位置に流れるのを抑制するように配置された障壁である、項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
項3. 前記第1流体を少なくとも部分的に制限する壁を備え、前記障壁は、第1流体が前記壁に沿って前記壁の1つの位置から前記壁の他の位置に流れるのを抑制するように配置される、項2に記載のエレクトロウェッティング素子。
項4. 前記障壁は、1つまたは複数の前記壁の突起、前記表面の突起、前記壁の凹部または前記表面の凹部である、項3に記載のエレクトロウェッティング素子。
項5. 前記表面のディスプレイ領域を確定し、第1側部及び前記第1側部に対向する第2側部を有する1つまたは複数の壁を備え、前記障壁は前記第1側部から、ディスプレイ領域を横断することなく、前記第2側部に延びる、項2に記載のエレクトロウェッティング素子。
項6. 前記表面は、前記第2流体に対する濡れ性を有し、この濡れ性は、少なくとも1つの再構成レデューサの少なくとも一部の前記第2流体に対する濡れ性以下である、項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
項7. 前記第1流体を限定する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に沿う位置に配置され、これにより、電圧が印加されてない形態から前記第1,第2流体の形態を変化する電圧を印加したときに、前記第1流体がエレクトロウェッティング素子内の異なる位置への移動を開始する前に、前記第1流体の動きが開始する場所を画定する、項6に記載のエレクトロウェッティング素子。
項8. 前記第1流体を制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサが第1再構成レデューサ及び前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に位置する第2再構成レデューサを有し、前記第1,第2再構成レデューサは、実質的に互いに対向する、項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
項9. 前記1つまたは複数の壁が第1壁及び前記第1壁に対向する第2壁を有し、前記第1再構成レデューサが、前記表面と前記第1壁との間の接合部に沿う実質的に中間位置に配置され、前記第2再構成レデューサが前記表面と前記第2壁との間の接合部に沿う実質的に中間位置に配置される、項8によるエレクトロウェッティング素子。
項10. 前記第1流体は、前記第1,第2形態で前記表面の部分から収縮され、前記第1形態で、前記第1流体が複数の収縮部を形成し、前記第2形態で、前記第1流体が前記第1形態に比して同数またはより少数の収縮部を形成する、項1のエレクトロウェッティング素子。
項11. 前記第1形態で、それぞれ少なくとも前記第1流体の容積で35%、40%、45%または48%を有する前記第1流体の2つの収縮部が形成され、前記第2形態で、前記第1流体の容積で少なくとも70%、80%、90%または96%の前記第1流体の1つの収縮部を形成する、項10に記載のエレクトロウェッティング素子。
項12. 前記第1形態で、前記第1流体の前記2つの収縮部は、互いに対向するようにエレクトロウェッティング素子内に位置する、項11に記載のエレクトロウェッティング素子。
項13. 前記第1流体を制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは前記エレクトロウェッティング素子内で、前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に沿う位置に配置され、前記第1形態で前記第1,第2流体の位置を実質的に保持する、項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
項14. 前記第1流体を制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは前記エレクトロウェッティング素子内で、前記表面と前記1つまたは複数の壁との接合部に沿う位置に配置され、前記第1,第2流体を前記第1形態から、電圧が印加されていないときの前記第1,第2流体の形態への切り換え時間を確定する、項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
項15. 前記第1,第2流体が前記表面に隣接する範囲に応じて、前記エレクトロウェッティング素子の表示効果を提供する前記表面のディスプレイ領域を有し、前記第1形態で、前記第1流体が前記ディスプレイ領域の第1部位に隣接し、前記第2流体が前記ディスプレイ領域の第2部位に隣接し、前記第1部位は前記第1領域を有し、前記第2部位は前記第2領域を有し、前記第1部位及び第2部位が共に前記ディスプレイ領域を形成する、項1に記載のエレクトロウェッティング素子。
項16. 前記第1形態に対する前記第2部位の範囲は、前記第2形態に対する前記第2部位の範囲と相違する、項15に記載のエレクトロウェッティング素子。
項17. 第1流体及び前記第1流体に不混和性の第2流体を有する少なくとも1つのエレクトロウェッティング素子、及び、
表面を備え、
前記第1,第2流体は電圧を印加することにより第1形態に切換可能であり、前記第1形態で、前記第1流体は前記表面の第1領域に隣接し、前記第2流体は前記表面の第2領域に隣接し、前記少なくとも1つのエレクトロウェッティング素子が、前記第1,第2流体が前記第1形態から前記第2形態に再構成するのを抑制する少なくとも1つの再構成レデューサを有し、前記第2形態は、前記第2領域に隣接する前記第1流体及び前記第1領域に隣接する前記第2流体を有し、前記印加した電圧を保持するときに前記再構成が発生する傾向が存在し、
更に、
前記電圧を印加する電極構造、及び、
前記電極構造に対する前記電圧の印加を制御するように構成された電圧コントローラ、
を備える、
エレクトロウェッティング表示装置。
項18. 複数の前記エレクトロウェッティング素子を備え、前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記複数のエレクトロウェッティング素子の1つに、前記複数のエレクトロウェッティング素子の他の少なくとも1つの再構成レデューサの位置に対して実質的に同じ位置に配置される、請求項17に記載のエレクトロウェッティング表示装置。
項19. 前記少なくとも1つの再構成レデューサは、前記第1流体が前記表面上の1つの位置から前記表面上の他の位置に流れるのを抑制するように配置された障壁である、請求項17に記載のエレクトロウェッティング素子。
項20. 少なくとも部分的に前記第1流体を制限する壁を有し、前記障壁は、前記第1流体が前記壁に沿って、前記壁上の1つの位置から前記壁上の他の位置に流れるのを抑制するように配置される、項19に記載のエレクトロウェッティング素子。
項21. 前記障壁は、1つまたは複数の前記壁の突起、前記表面の突起、前記壁の凹部または前記表面の凹部である、項20に記載のエレクトロウェッティング素子。
項22. 前記第1流体を制限する1つまたは複数の壁を有し、前記少なくとも1つの再構成レデューサは、第1再構成レデューサ及び前記表面と前記1つまたは複数の壁との間の接合部に配置された第2再構成レデューサを有し、前記第1,第2再構成レデューサは、互いに実質的に対向する、項17に記載のエレクトロウェッティング素子。
項23. 前記1つまたは複数の壁は、第1壁及び電極第1壁に対向する第2壁を有し、前記第1再構成レデューサは、前記表面と前記第1壁との間の接合部に沿う実質的に中間に位置し、前記第2再構成レデューサは、前記表面と前記第2壁との間の接合部の実質的に中間に位置する、項22に記載のエレクトロウェッティング素子。
図1
図2
図3
図4
図5