特許第6229119号(P6229119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 多摩川精機株式会社の特許一覧

特許6229119揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイス付き装置
<>
  • 特許6229119-揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイス付き装置 図000002
  • 特許6229119-揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイス付き装置 図000003
  • 特許6229119-揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイス付き装置 図000004
  • 特許6229119-揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイス付き装置 図000005
  • 特許6229119-揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイス付き装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229119
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイス付き装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0354 20130101AFI20171106BHJP
   G06F 3/0338 20130101ALI20171106BHJP
【FI】
   G06F3/0354 431
   G06F3/0338
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-233442(P2013-233442)
(22)【出願日】2013年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-95047(P2015-95047A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】東山 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】浜 信治
(72)【発明者】
【氏名】横浜 智明
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−302580(JP,A)
【文献】 特開2007−199971(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/069068(WO,A1)
【文献】 特開2015−095046(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/136046(WO,A1)
【文献】 特開2002−157077(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0204430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01−3/027
3/033−3/039
3/048−3/0489
H01H 13/00−13/98
35/00
H03M 11/04
11/08−11/14
11/20−11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョイスティックのように操作部の揺動により入力操作を行う弾性支持された円環板状の操作部を有する揺動型入力デバイスと、該揺動型入力デバイスの中央空隙部にボールが位置するように組み合わされたトラックボールとからなる揺動型入力デバイス付きトラックボールであって、
該揺動型入力デバイスはその操作部の裏面に対向して基準面が設けられ、該基準面には光学式距離センサが設けられ、該裏面には該光学式距離センサからの投光を反射できる反射部材が設けられており、
該光学式距離センサおよび反射部材はいずれも複数設けられていることを特徴とする、揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【請求項2】
前記操作部は前記ボールを包囲するホイール状にされていることを特徴とする、請求項に記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【請求項3】
前記揺動型入力デバイスは押圧による揺動以外に前記操作部の面上の回転による入力操作も可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【請求項4】
前記揺動型入力デバイスは位置入力デバイスとして機能可能であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【請求項5】
前記揺動型入力デバイスは位置入力デバイス以外の指示入力デバイスとして機能可能であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【請求項6】
前記トラックボールは位置入力デバイスとして機能し、前記揺動型入力デバイスと該トラックボールとの協働による指示入力が可能であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボールを搭載した、入力デバイス付き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイスに係り、特に、複合型の入力デバイスであることにより、操作者が簡単な操作によって複数の情報を入力することのできる、揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マウスのように操作に広い場所を必要としない入力デバイスには、トラックボールや、ジョイスティックのような揺動型のデバイスがある。従来、ジョイスティックの位置検出構造としては、メカ式スイッチやPSD(光位置センサ)等を使用したものがある。またジョイスティック型デバイスの構造に関しては、特許文献1および2に開示されたようなものもある。
【0003】
また、特許文献3には、出力する信号の周波数を任意に変化させることを可能にしたジョイスティック型の入力装置が開示されている。これは、操作ロッドの傾倒操作と共に傾動される反射面に発光部からの光を投射し、その反射光を受光部で受光し、受光量に応じて発生される電圧によりVCOで電圧に応じた周波数の信号を発生し、操作ロッドの傾倒方向は複数の方向検出スイッチで検出し、反射面は操作ロッドの傾倒角度の変化に応じて発光部および受光部に対向される部位の反射率が変化されるように構成した装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−221129号公報「ジョイスティック型コントローラ」(みなし取下)
【特許文献2】実開平05−30260号公報「ジョイスティック操作装置におけるレバーロック構造」
【特許文献3】特開平6−187093号公報「入力装置」(取下げ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて従来、一つの装置において、キーボード以外の入力デバイスは一つあれば充分であり、たとえばジョイスティックまたはトラックボールのいずれかを入力デバイスとして備えていれば、敢えて他方を備える必要はなかった。しかしながらその双方を備えることにより、操作者は複数の情報を入力することができ、便利である。
【0006】
もっともこのような場合、たとえばマウスとジョイスティック、マウスとトラックボールのように、それぞれが別の場所を占めて入力デバイスとして機能するよう構成されるのが通常であり、たとえば、操作者がデバイスを持ち替えたりすることなく、片手の指先のみを動かすだけで複数種類の入力操作を行えるようなデバイスは、上記各文献開示技術を含め、従来なかった。このようなデバイスが実現できれば、さらに便利である。
【0007】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の状況を踏まえ、複数の入力デバイスそれぞれが別の場所を占めるのではなく一カ所に集中させて配置され、操作者がデバイスを持ち替えたりすることなく、たとえば片手の指先のみを動かすだけで複数種類の入力操作を行えるような、便利な複合型の入力デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は上記課題について検討した結果、ジョイスティック的機能を持つ所定形状の操作部を、トラックボールのボールを包むように配置する構成とすることで操作部分を一か所に集中して配置でき、これにより指先を動かすだけで多くの情報を入力し得ることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0009】
〔1〕 ジョイスティックのように操作部の揺動により入力操作を行う弾性支持された円環板状の操作部を有する揺動型入力デバイスと、該揺動型入力デバイスの中央空隙部にボールが位置するように組み合わされたトラックボールとからなる揺動型入力デバイス付きトラックボールであって、
該揺動型入力デバイスはその操作部の裏面に対向して基準面が設けられ、該基準面には光学式距離センサが設けられ、該裏面には該光学式距離センサからの投光を反射できる反射部材が設けられており、
該光学式距離センサおよび反射部材はいずれも複数設けられていることを特徴とする、揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【0010】
〕 前記操作部は前記ボールを包囲するホイール状にされていることを特徴とする、〔1〕に記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
〕 前記揺動型入力デバイスは押圧による揺動以外に前記操作部の面上の回転による入力操作も可能であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
〕 前記揺動型入力デバイスは位置入力デバイスとして機能可能であることを特徴とする、〔1〕ないし〔〕のいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
【0011】
〕 前記揺動型入力デバイスは位置入力デバイス以外の指示入力デバイスとして機能可能であることを特徴とする、〔1〕ないし〔〕のいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
〕 前記トラックボールは位置入力デバイスとして機能し、前記揺動型入力デバイスと該トラックボールとの協働による指示入力が可能であることを特徴とする、〔1〕ないし〔〕のいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボール。
〕 〔1〕ないし〔〕のいずれかに記載の揺動型入力デバイス付きトラックボールを搭載した、入力デバイス付き装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイスは上述のように構成されるため、これによれば、複数の入力デバイスそれぞれを別の場所に散在させるのではなく一カ所に集中させて配置させた複合型の入力デバイスおよびそれを備えた装置とすることができ、操作者がデバイスを持ち替えたりすることなく、たとえば片手の指先のみを動かすだけで複数種類の入力操作を行えるようにすることができ、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の揺動型入力デバイス付きトラックボールの構成例を示す斜視の説明図である。
図2図1の揺動型入力デバイス付きトラックボールの内部構造説明図である。
図3】本発明揺動型入力デバイス付きトラックボールの揺動型入力デバイスにおける位置検出構造を示す説明図である。
図4】本発明揺動型入力デバイス付きトラックボールの動作例について示す説明図である。
図5】揺動型入力デバイス付きトラックボールの形態構成例を示す正六面図および斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の揺動型入力デバイス付きトラックボールの構成例を示す斜視の説明図である。また、
図2図1の揺動型入力デバイス付きトラックボールの内部構造説明図である。これらに図示するように本揺動型入力デバイス付きトラックボール20は、ジョイスティックのように操作部11の揺動により入力操作を行う弾性支持された円環板状の操作部11を有する揺動型入力デバイス17と、揺動型入力デバイス17の中央空隙部にボール18が位置するように組み合わされたトラックボール19とからなることを、主たる構成とする。すなわちこれは、ジョイスティック(揺動型入力デバイス)一体型トラックボールともいえる。なお操作部11は、図示するようにボール18を包囲するホイール状とすることができる。
【0015】
かかる構成により本揺動型入力デバイス付きトラックボール20では、円環板状の操作部11を操作者が指で揺動させることによって揺動型入力デバイス17での入力操作を行え、揺動型入力デバイス17の中央空隙部に位置するボール18を操作者が指で回転させることによってトラックボール19での入力操作を行える。揺動型入力デバイス17とトラックボール19の各操作部たる円環板状の操作部11とボール18は、前者が後者を囲繞する配置で極近接した位置にあるため、操作者が各デバイスを持ち替えたり、別の場所に手を移動させたりすることなく、片手の指先のみをわずかに動かすという操作だけでも、複数種類の入力操作を行えるようにすることができる。
【0016】
図3は、本発明揺動型入力デバイス付きトラックボールの揺動型入力デバイスにおける位置検出構造を示す説明図であり、図中(a)は未操作状態を、(b)は入力操作されている状態を示す。ここに示すように揺動型入力デバイス(17)は、その操作部11の裏面11Bに対向して基準面13Aが設けられ、基準面13Aには光学式距離センサ14が設けられ、裏面11Bには光学式距離センサ14からの投光を反射できる反射部材15が設けられた構成とすることができる。なお、光学式距離センサ14および反射部材15は、いずれも複数設けられた構成とすることができ、またそれが、入力デバイスとして望ましい構成である。
【0017】
本発明に係る揺動型入力デバイス(17)においては、かかる構成をとることにより、操作部11に対して(図中(a))ジョイスティックのように揺動による入力操作が行われると(図中(b))、揺動によって、操作部11裏面11B上の反射部材15と対向する基準面13A上の光学式距離センサ14との間の距離に変化が生じる。すなわち、入力操作における揺動の方向・程度(角度)によって、特定の光学式距離センサ14−反射部材15間の距離が変化する。そして、それに伴い光学式距離センサ14の出力が変化することを利用して、操作部11の位置が検出され、最終的に位置指示やその他の指示がなされる。また、光学式距離センサ14−反射部材15の組が適宜の複数組設けられることにより、入力デバイスとしての機能をより高度化することができる。
【0018】
かかる光学式距離センサ14−反射部材15の組による位置検出構造は、従来の揺動型デバイスにおけるそれと比較して構造が簡単であり、したがって低コストで製造することができる。
【0019】
なお本発明に係る揺動型入力デバイス17は、位置入力デバイスとして機能できることを想定しているが、位置入力デバイス以外の指示入力デバイスとして構成してもよい。また、位置入力デバイスと、それ以外の指示入力デバイスのいずれの機能も有する入力デバイスとしてもよい。
【0020】
また、本発明はトラックボールと揺動型入力デバイスによる複合型の入力デバイスであるため、この両者によって、入力信号の重畳効果を得る構成(同一機能を複数の入力方法で実現可能)、入力信号の機能を分担させる構成(各デバイスが別機能を分担)、あるいは入力信号の協働機能を得る構成(2以上のデバイスを同時に操作することにより特定の機能を実現)のいずれの構成とすることもできる。
【0021】
図4は、本発明揺動型入力デバイス付きトラックボールの動作例について示す説明図である。図示するように本揺動型入力デバイス付きトラックボール20は、その揺動型入力デバイス17を、押圧P、Q等による揺動以外に、操作部11の面上の回転Tによる入力操作も可能なものとして構成してもよい。回転Tは、操作部11の側面16を操作することにより行える。
【0022】
かかる構成により、たとえば押圧Pの操作をマウスの右クリック相当の入力操作、操作部側面16を時計方向に回転Tさせる操作をマウスのスクロール相当の入力とするなど、入力操作の多様化を実現することができる。このような機能分担型の作用のみならず、揺動型入力デバイス17とトラックボール19との協働による指示入力体系とすることも、上述のとおり可能である。
【0023】
図5は、以上説明した揺動型入力デバイス付きトラックボールの形態構成例を示す正六面図(正面・背面・左側面・右側面・平面・底面)および斜視図である。なお、以上説明した揺動型入力デバイス付きトラックボールを搭載した、力デバイス付き装置もまた、本発明の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の揺動型入力デバイス付きトラックボールおよび入力デバイスによれば、操作者がデバイスを持ち替えたりすることなく、たとえば片手の指先のみを動かすだけで複数種類の入力操作を行えるようにすることができる。もちろん本発明の構成は従来にない新規性なものであり、民生機器分野、産業機器分野を問わず、入力デバイスを用いる全産業分野および関連する分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0025】
11…操作部
11B…操作部の裏面
13A…基準面
14…光学式距離センサ
15…反射部材
16…操作部の側面
17…揺動型入力デバイス
18…ボール
19…トラックボール
20…揺動型入力デバイス付きトラックボール
P、Q、R、S…押圧
T…回転

図1
図2
図3
図4
図5