(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229179
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】釣り用練り餌の製造方法及びこれに使われる包装パック
(51)【国際特許分類】
A23K 40/00 20160101AFI20171106BHJP
A01K 97/04 20060101ALI20171106BHJP
A01K 97/00 20060101ALI20171106BHJP
A23K 50/80 20160101ALI20171106BHJP
【FI】
A23K40/00
A01K97/04 A
A01K97/00 Z
A23K50/80
A01K97/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-179187(P2016-179187)
(22)【出願日】2016年9月14日
(65)【公開番号】特開2017-79720(P2017-79720A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年9月14日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0148525
(32)【優先日】2015年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516277484
【氏名又は名称】チュン,チン ヒョク
【氏名又は名称原語表記】JUNG, JIN HYUK
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】チュン,チン ヒョク
【審査官】
瀬川 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−248584(JP,A)
【文献】
特開平2−182138(JP,A)
【文献】
特開昭59−162830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 40/00
A01K 97/00
A01K 97/04
A23K 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水は透過するが餌用粉末は透過することができない素材からなった包装パックを用意し、前記包装パックに前記餌用粉末を入れて前記包装パックを密封させる包装パック用意段階(S10)と;
前記餌用粉末を密封するように包装された包装パックを水が入れられた容器に投入して水に浸す包装パック含浸段階(S20)と;
水に浸かった前記包装パックを揉むことで、前記包装パックの内部に水が染みこむにつれて、前記包装パックの内部に収容された前記餌用粉末に水が染みこんで餌用粉末が凝り固まり、前記粉末が水と混合してスラリー状に形成されるようにするスラリー形成段階(S30)と;
前記粉末に水が混合されたスラリー状態で前記包装パックを前記水が入れられた容器から取り出し、前記包装パックを圧搾して前記包装パック内の水を絞り出して除去し、前記スラリー状の粉末をねり状に凝らし固めるねり形成段階(S40)と;
前記包装パックを開封し、凝り固まったねりから一回使用分を分離し、この分離されたねりを練り餌状に成形する練り餌成形段階(S50)とを;
含むことを特徴とする、釣り用練り餌の製造方法。
【請求項2】
前記包装パック用意段階(S10)において、前記包装パックは、水は透過するが餌用粉末は透過することができないように不織布素材の包装紙を多数枚積層して製造することを特徴とする、請求項1に記載の釣り用練り餌の製造方法。
【請求項3】
請求項1の製造方法に使われるものであって、
水は透過するが餌用粉末は透過することができないように不織布素材の包装紙が多数枚積層されてなるもので、内部に収容空間が形成されるように四辺が密封され、前記収容空間に餌用粉末が収容されることを特徴とする、釣り用練り餌の製造方法に使われる包装パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は釣り用練り餌の製造方法及びこれに使われる包装パックに係り、より詳しくは相対的に少量に分離包装することができるようにして粉末の浪費を最少化するとともに、過剰の水を容易に除去するか付け加えることができるようにしてねりの粘性を容易に調節することができる釣り用練り餌の製造方法及びこれに使われる包装パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣りの際に使う餌の種類には、魚が食べることができる餌と、えさの形態を有するが食べることができない擬似餌(ルアー)とがあり、食べることができる餌としては、ゴカイ、ミミズ、海老、うじなどの生餌と、パン粉、小麦粉、油粕粉、魚粉などの穀物と、他のえさ粉を水で捏ねて使う練り餌型餌とがある。
【0003】
魚はえさを食べるとき、視覚、嗅覚、聴覚などの感覚を全て使うが、その中でも嗅覚を一番多く使うと知られている。特に、ミミズなどの生えさよりは練り餌などのねり型餌が昼夜に関係なく淡水釣り及び海釣りの代表的な餌として使われる。夜間には香ばしいにおいで魚を誘引する効果が高く、当りがないときは魚を誘引するこませの役目もする。
【0004】
このような練り餌で釣りをする場合には、単に釣針にかけて使うミミズとは異なり、ビニル袋で包装された粉末状の餌用粉末を水に溶いて練った後、適当な大きさに切って釣針にかけて使う。
【0005】
練り餌を粉末に作った理由は、まず餌を乾燥して水分を減らすことにより、長く保管しても易しくいたまないようにしたものであり、さらに乾燥した餌を粉末状のままで使うことは非常に不便なので、いつでも水を加えて使うことが便利な状態にするために粉末に作っておいたものである。
【0006】
餌用粉末は生餌に比べて非常に便利な餌であることができるが、一方で餌用粉末は粉状であるため、直ちに使うことはできなく、容器に入れて水に溶いて捏ねなければ使うことができない。
【0007】
ところが、前記のような従来技術には次のような問題点があった。
【0008】
このような従来の餌用粉末は、練り餌を作るために粉末を溶くときに混合される水量によってねりの粘性が変わって使用が非常に不便であり、特に水を余りにも多く投入した場合には、過剰の水を易しく除去することができなくて無駄に粉末をもっと添加して再び捏ねて使うなどの使用上の不便さが依然として存在する問題点があった。
【0009】
また、一般的に餌用粉末はビニル容器で包装されているが、数十回使用分の量に包装されるため、使用後に残る場合が大部分であり、残った餌用粉末を密封状態で保管するか取扱い乃至管理することが非常に不便な問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10−2004−0007093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は前記のような従来の諸般問題点を解消するためになされたものである。
【0012】
本発明の目的は、相対的に少量に分離包装することができるようにして粉末の浪費を最少化するとともに、過剰の水を容易に除去するか付け加えることができるようにしてねりの粘性を容易に調節することができる釣り用練り餌の製造方法及びこれに使われる包装パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明による釣り用練り餌の製造方法は、水は透過するが餌用粉末は透過することができない素材からなった包装パックを用意し、前記包装パックに前記餌用粉末を入れて前記包装パックを密封させる包装パック用意段階と;前記餌用粉末を密封するように包装された包装パックを水が入れられた容器に投入して水に浸す包装パック含浸段階と;水に浸かった前記包装パックを揉むことで、前記包装パックの内部に水が染みこむにつれて、前記包装パックの内部に収容された前記餌用粉末に水が染みこんで餌用粉末が凝り固まり、前記粉末が水と混合してスラリー状に形成されるようにするスラリー形成段階と;前記粉末に水が混合されたスラリー状態で前記包装パックを前記水が入れられた容器から取り出し、前記包装パックを圧搾して前記包装パック内の水を絞り出して除去し、前記スラリー状の粉末をねり状に凝らし固めるねり形成段階と;前記包装パックを開封し、凝り固まったねりから一回使用分を分離し、この分離されたねりを練り餌状に成形する練り餌成形段階とを;含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による釣り用練り餌の製造方法の前記包装パック用意段階において、 前記包装パックは水は透過するが餌用粉末は透過することができないように不織布素材の包装紙を多数枚積層して製造することを特徴とする。
【0015】
一方、前記のような目的を達成するために、本発明による釣り用練り餌の製造方法に使われる包装パックは、前記製造方法に使われるものであって、水は透過するが餌用粉末は透過することができないように不織布素材の包装紙が多数枚積層されてなるもので、内部に収容空間が形成されるように四辺が密封され、前記収容空間に餌用粉末が収容されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前述したような本発明は、相対的に少量に分離包装することができるようにして粉末の浪費を最少化するとともに、過剰の水を容易に除去するか付け加えることができるようにしてねりの粘性を容易に調節するので、使用上の便宜性が著しく向上し、それによって練り餌の成形をより迅速で容易になし得る効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による釣り用練り餌の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明による釣り用練り餌の製造方法に使われる包装パックを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施例を示す添付図面に基づいてより詳細に説明する。しかし、本発明は様々な形態に具現することができ、ここで開示する実施例に限定されないことを理解しなければならない。
【0019】
図1は本発明による釣り用練り餌の製造方法を示すフローチャートである。同図に示したように、本発明による釣り用練り餌の製造方法は、餌用粉末を収容する包装パックを用意する包装パック用意段階(S10)と、前記包装パックを水に含浸する包装パック含浸段階(S20)と、前記包装パックの粉末と水を混合してスラリーを作るスラリー形成段階(S30)と、前記スラリーを搾って水を除去してねりを作るねり形成段階(S40)と、前記ねりを一回使用分に分離し、練り餌を成形する練り餌成形段階(S50)とを含む。
【0020】
前記包装パック用意段階(S10)は、水は透過するが餌用粉末は透過することができない素材からなった包装パックを用意し、前記包装パックに前記餌用粉末を入れて前記包装パックを密封させる段階である。この段階は、一回使用分乃至数回使用分の相対的に少量の餌用粉末を包装パックに入れて密封することで、餌用粉末が収容された包装パックを用意する過程である。
【0021】
ここで、前記包装パックは、水は透過するが餌用粉末は透過することができないように不織布素材の包装紙を多数枚積層して製造することが好ましい。前記不織布は微細な纎維糸やパルプが互いに凝り固まるようにして微細な通孔を形成したもので、このような不織布を多数枚積層することにより、水は透過させるが相対的に粒子の大きい餌用粉末は濾して通過することができないように製作したものである。
【0022】
前記包装パック含浸段階(S20)は、前記餌用粉末が密封包装された包装パックを水が入れられた容器に投入することで、前記包装パックが水に浸かるようにする段階である。この段階は、前記包装パックを水に入れることで、前記包装パックに水が染みこむようにして、水が包装パックをうまく透過するようにするものである。
【0023】
前記スラリー形成段階(S30)は、水に浸かった前記包装パックを揉むことで、前記包装パックの内部に水が染みこむにつれて、前記包装パックの内部に収容された前記餌用粉末に水が染みこむことにより、前記粉末が水と混合してスラリー状になるようにする段階である。この段階は、水と粉末を充分に混合して高粘性のスラリーを作るようにする役目をする。
【0024】
前記ねり形成段階(S40)は、前記粉末に水が混合されたスラリー状態で前記包装パックを前記水が入れられた容器から取り出し、前記包装パックを圧搾することで前記包装パック内の水を絞り出して除去して前記スラリー状の粉末をねり状に凝らし固める段階である。この段階はスラリー状の水及び粉末の混合物を絞り出して過剰の水を除去することにより、最終のねり状に固める役目をする。
【0025】
この際、使用者は過剰の水を除去する量を調節してねりの粘性を調節することができ、水をあまり多く除去した場合には水に包装パックを再び含浸させて水を添加することもできる。
【0026】
前記練り餌成形段階(S50)は、前記包装パックを開封し、固まったねりから一回使用分を分離し、この分離したねりを練り餌状に成形する段階である。この段階は、固まったねりから一回使用分を取り離して成形することにより、直ちに使うことが可能な練り餌に完成する段階である。
【0027】
このように、本発明は、包装パックを用いて粉末の損失なしに所望の粘性を有するねりから練り餌を製造することができる画期的な発明である。
【0028】
図2は本発明による釣り用練り餌の製造方法に使われる包装パックを示す概略斜視図である。同図に示したように、本発明による釣り用練り餌の製造方法に使われる包装パック10は、水は透過するが餌用粉末は透過することができないように不織布素材の包装紙が多数枚積層されてなるもので、内部に収容空間が形成されるように四辺が密封され、前記収容空間に餌用粉末20が収容される。
【0029】
前記包装パック10の素材である不織布は微細な纎維糸やパルプなどが互いに練れるようにして微細な通孔が形成されるようにしたものである。このような不織布を多数枚積層することで、水は透過させるが相対的に粒子の大きな餌用粉末20は濾して通過できないように製作したものである。
【0030】
以上、本発明の好適な実施例を説明したが、本発明は多様な変化と変更及び均等物を有することができる。本発明は前記実施例を適宜変形して同様に応用することができるのは明らかである。したがって、前記開示内容は下記の特許請求範囲によって決められる本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
一方、本発明の詳細な説明では具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範疇内で様々な変形が可能であることが当該分野の通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0032】
10 包装パック
20 餌用粉末