(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229212
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】地下柱設置方法
(51)【国際特許分類】
E02D 29/045 20060101AFI20171106BHJP
E21D 13/00 20060101ALI20171106BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20171106BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
E02D29/04 Z
E04G21/18 Z
E04G21/02 103Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-134178(P2013-134178)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-10328(P2015-10328A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宰
(72)【発明者】
【氏名】徳野 亨
(72)【発明者】
【氏名】豊田 康明
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−287172(JP,A)
【文献】
特開2007−308951(JP,A)
【文献】
特開2001−303794(JP,A)
【文献】
特開2002−129583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/045
E04G 21/02
E04G 21/18
E21D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆打ち工法において支持杭と偏芯する位置に地下柱を設置する地下柱設置方法であって、
前記地下柱から偏芯して下方に突出する位置決め部材を、予め、前記地下柱の下端部に一体に設けておき、
前記地下柱を、支持杭掘削範囲内の所定の偏芯位置に吊り下げると共に、前記位置決め部材を前記支持杭の打設コンクリート内に埋設させた状態で当該打設コンクリートと一体化させ、
前記位置決め部材は、曲げ剛性を前記地下柱よりも低く設定しておく地下柱設置方法。
【請求項2】
逆打ち工法において支持杭と偏芯する位置に地下柱を設置する地下柱設置方法であって、
前記地下柱から偏芯して下方に突出する位置決め部材を、予め、前記地下柱の下端部に一体に設けておき、
前記地下柱を、支持杭掘削範囲内の所定の偏芯位置に吊り下げると共に、前記位置決め部材を前記支持杭の打設コンクリート内に埋設させた状態で当該打設コンクリートと一体化させ、
前記位置決め部材は、前記地下柱の下端から柱径方向に沿って延伸する延伸部と、前記延伸部の先端から柱長手方向に沿って延伸する定着部とを備えた形状に形成しておく地下柱設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆打ち工法において支持杭と偏芯する位置に地下柱を設置する地下柱設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の逆打ち工法では、地下空間の上部を区画する床部分を構築した後、その床部分の下側を掘削することが行われている。
特許文献1,2には、逆打ち工法において支持杭と同芯の構真柱を設置する工法が開示されている。
ところで、逆打ち工法において支持杭と偏芯する位置に地下柱(非構真柱)を設置する場合、従来、構築済みの床部分の下側を掘削した後、その床部分の下側に地下柱を入り込ませて当該床部分の下面側に接続することにより設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−300869号公報
【特許文献2】特開平09−158224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の地下柱設置方法では、構築済みの床部分の下側を掘削した後、その床部分の下側に地下柱を入り込ませて設置するので、床部分の下側を掘削するまでは地下柱を設置することができない。したがって、地下柱を設置する工程上の制約が大きく、工期の短縮を図り難い。
また、地下空間が複数階に区画される場合は、各階の床部分を構築してその下側を階高さ分掘削する都度、階高さ毎に対応する長さが短い地下柱を床部分の下側に入り込ませて当該床部分に接続する必要があり、地下柱の設置作業が煩雑化するおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、地下柱を設置するための工期の短縮や設置精度の向上を図り易い地下柱設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴構成は、逆打ち工法において支持杭と偏芯する位置に地下柱を設置する地下柱設置方法であって、前記地下柱から偏芯して下方に突出する位置決め部材を、予め、前記地下柱の下端部に一体に設けておき、前記地下柱を、支持杭掘削範囲内の所定の偏芯位置に吊り下げると共に、前記位置決め部材を前記支持杭の打設コンクリート内に埋設させた状態で当該打設コンクリートと一体化させ
、前記位置決め部材は、曲げ剛性を前記地下柱よりも低く設定しておく点にある。
【0006】
本構成の地下柱設置方法は、支持杭掘削範囲内の所定の偏芯位置に地下柱を吊り下げるので、支持杭を設置するために掘削した地中掘削部分を利用して地下柱を簡便に配置することができる。
また、地下柱の下端部に一体に設けてある位置決め部材を、支持杭の打設コンクリート内に埋設させた状態で当該打設コンクリートと一体化させるので、支持杭と偏芯する地下柱を所定の位置又は姿勢に精度よく設置できる。
したがって、地下柱を設置する工程上の制約が少なく、地下柱を設置するための工期の短縮を図り易いと共に、設置精度の向上も図り易い。
また、地下空間が複数階に区画される場合でも、各階の階高さ毎に対応する長さが短い地下柱を設置することなく、複数階に亘って一連の地下柱を設置することができるので、設置作業の簡略化を図ることができる。
【0007】
また、本発明によれば、前記位置決め部材は、曲げ剛性を前記地下柱よりも低く設定してお
く。
【0008】
本構成であれば、地下柱と支持杭との間の応力伝達を位置決め部材の曲げ変形で緩和することができる。このため、地下柱に大きな曲げ応力が作用することを防止できる。
【0009】
本発明の他の特徴構成は、
逆打ち工法において支持杭と偏芯する位置に地下柱を設置する地下柱設置方法であって、前記地下柱から偏芯して下方に突出する位置決め部材を、予め、前記地下柱の下端部に一体に設けておき、前記地下柱を、支持杭掘削範囲内の所定の偏芯位置に吊り下げると共に、前記位置決め部材を前記支持杭の打設コンクリート内に埋設させた状態で当該打設コンクリートと一体化させ、前記位置決め部材は、前記地下柱の下端から柱径方向に沿って延伸する延伸部と、前記延伸部の先端から柱長手方向に沿って延伸する定着部とを備えた形状に形成しておく点にある。
【0010】
本構成であれば、柱径方向に沿って延伸する延伸部により、延伸部の先端から柱長手方向に沿って延伸する定着部を支持杭掘削範囲の中心側に配置することができる。
このため、支持杭を構築するための支持杭掘削範囲に設置した鉄筋カゴの内側に定着部を入り込ませ易く、位置決め部材が鉄筋カゴと干渉し難いので、地下柱の設置作業の円滑化を図り易い。
【0011】
【0012】
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の地下柱設置方法を示す断面図である。
【
図2】第1実施形態の地下柱設置方法を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態の地下躯体を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態の地下柱の下端部に設けた位置決め部材を示す側面図である。
【
図5】第2実施形態の地下柱の下端部に設けた位置決め部材を示す側面図である。
【
図6】第3実施形態の地下柱の下端部に設けた位置決め部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に
地下柱設置方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,
図2は
、地下柱設置方法を示す断面図である。
図3は、土留め壁1の内側に逆打ち工法で構築した鉄筋コンクリート製建物の地下躯体2を示す断面図である。地下躯体2は、地盤Gに埋設した鉄筋コンクリート製の複数の支持杭3a,3bの上部に鉄筋コンクリートで一体に構築されている。
【0015】
地下躯体2は、地下空間の最上部を区画する地上階床部分4aと、地下空間の高さ方向中間部を区画する地下階床部分4bと、地下空間の最下部に支持杭3a,3bと一体に構築された基礎梁5と、各床部分4a,4bおよび基礎梁5に亘って一体に構築された構真柱6および地下柱7とを有する。
【0016】
構真柱6は地下空間の内側領域に配設され、支持杭3bの上部に同芯状に一体に構築してある。地下柱7は地下空間の外周領域に配設され、支持杭3aの上部であって、支持杭3aの軸芯と偏芯する位置に設置してある。地下柱7および構真柱6からの荷重は基礎梁5を介して支持杭3a,3bに伝達される。
【0017】
図1,
図2は、逆打ち工法において、支持杭3aの構築時に、その支持杭3aと偏芯する位置に地下柱7を設置する地下柱設置方法を示す。
各支持杭3a,3bは、
図1に示すように、地盤Gを地表面GLから円形に掘削した掘削孔9に円筒状の鉄筋カゴ10を挿入した後、その掘削孔9に打設したコンクリート11により、
図2に示すように、鉄筋カゴ10と一体に構築される。
円形掘削孔9の掘削範囲が支持杭掘削範囲12に相当している。
【0018】
図1に示すように、鉄筋カゴ10はその上端部が地表面GLから所定深さに達するまで掘削孔9に挿入され、コンクリート11は基礎梁5の下面に対応する深さまで掘削孔9に打設される。したがって、各支持杭3a,3bは、その上端が基礎梁5の下面に対応する深さに位置するように構築される。
【0019】
地下柱7は例えばH形鋼などの形鋼などで構成されている。地下柱7の下端部には、地下柱7から偏芯して下方に突出する鋼製の位置決め部材8を、予め、溶接で一体に接続して設けてある。
位置決め部材8は、
図4にも示すように、地下柱7の下端から柱径方向に沿って延伸する延伸部8aと、延伸部8aの先端から柱長手方向に沿って下方に延伸する定着部8bとを一体に備えたクランク形状に形成してある。
【0020】
地下柱7は、
図1に示すようにコンクリート11を打設した後の掘削孔9に、そのコンクリート11が硬化する前に位置決め部材8と共に挿入される。地下柱7は、支持杭掘削範囲(円形掘削孔9)12内の所定の偏芯位置に、定着部8bの先端部分が鉄筋カゴ10の内側において未硬化のコンクリート11に入り込むように吊り下げ保持される。
【0021】
地下柱7は、
図2に示すように、位置決め部材8における定着部8bの先端部分を打設コンクリート11に埋設させた状態で、支持杭3aと一体に構築される。
延伸部8aと定着部8bは、地下柱7を構成する形鋼よりも曲げ剛性が小さい例えば形鋼などで構成してあり、互いに直交する姿勢で一体に溶接固定してある。
【0022】
なお、構真柱6は、例えばH形鋼などの形鋼などで構成され、鉄筋カゴ10を挿入してコンクリート11が打設された後の掘削孔9に挿入して、その下端部分が支持杭3bと同芯で一体に構築される。
【0023】
すなわち、構真柱6は、
図1に示すようにコンクリート11を打設した後の掘削孔9に、そのコンクリート11が硬化する前に挿入され、その下端部分が鉄筋カゴ10の内側において未硬化のコンクリート11に入り込むように掘削孔9の内部に同芯状に吊り下げ保持される。
したがって、構真柱6は、
図2に示すように、下端部分を打設コンクリート11内に埋設した状態で、支持杭3bと一体に構築される。
【0024】
〔第2実施形態〕
図5は、
地下柱設置方法の別実施形態における位置決め部材8を示す。
本実施形態では、位置決め部材8を、地下柱7の下端から柱径方向での外方側で下方に傾斜した延伸部8aを備えた形状に形成してある。
すなわち、位置決め部材8は、地下柱7の下端から地下柱7の軸芯に対して傾斜する方向に沿って延伸する延伸部8aと、延伸部8aの先端から柱長手方向に沿って下方に延伸する定着部8bとを備えた形状に形成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0025】
〔第3実施形態〕
図6は、
地下柱設置方法の別実施形態における位置決め部材8を示す。
本実施形態では、位置決め部材8を、地下柱7の下端から柱径方向での外方側で下方に傾斜した延伸部8aを全長に亘って一連に備えた形状に形成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0026】
3a 支持杭
7 地下柱
8 位置決め部材
8a 延伸部
8b 定着部
11 打設コンクリート
12 支持杭掘削範囲