特許第6229224号(P6229224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6229224同期信号検出装置、及び同期信号検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229224
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】同期信号検出装置、及び同期信号検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/04 20060101AFI20171106BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20171106BHJP
   H04L 27/14 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H04L7/04 200
   H04L7/00 970
   H04L27/14 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-52674(P2013-52674)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-179823(P2014-179823A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】安井 慎
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 修司
(72)【発明者】
【氏名】川尻 敏久
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−023969(JP,A)
【文献】 特表2001−520484(JP,A)
【文献】 特開2010−154107(JP,A)
【文献】 特開2010−041138(JP,A)
【文献】 特開2007−150472(JP,A)
【文献】 特開2010−041140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/04
H04L 7/00
H04L 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号から抽出した受信検波信号と既知のフレーム同期ワードとの第1の相関値を算出する第1相関値算出部と、
前記第1相関値算出部が算出した第1の相関値に基づいて、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの誤差の極小値を検出するピーク検出部と、
前記ピーク検出部が検出した極小値の時間軸上の位置において、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの周波数の誤差を周波数偏差として算出する周波数偏差算出部と、
前記周波数偏差算出部が算出した周波数偏差に基づいて前記受信検波信号の周波数を補正する補正部と、
補正後の受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの第2の相関値を算出する第2相関値算出部と、
前記第2相関値算出部が算出した第2の相関値と所定の閾値との比較結果に基づいて同期確立の判定を行う同期確立判定部と、
を備えることを特徴とする同期信号検出装置。
【請求項2】
前記受信検波信号は4値FSK信号であり、
前記第1相関値算出部は、前記4値FSK信号のシンボルデータの時間軸上の位置と前記既知のフレーム同期ワードの時間軸上の位置との相関値を前記第1の相関値として算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の同期信号検出装置。
【請求項3】
前記第1の相関値は、前記4値FSK信号のシンボルデータの時間軸上の位置と前記既知のフレーム同期ワードの時間軸上の位置とのズレを示す誤差レベルであって、
前記ピーク検出部は、前記誤差レベルの極小値を検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の同期信号検出装置。
【請求項4】
前記周波数偏差に基づいて補正された4値FSK信号のシンボルデータの硬判定処理を行う硬判定復調部をさらに備え、
前記同期確立判定部は、前記第2相関値算出部が算出した第2の相関値と所定の閾値との比較結果に加えて、前記硬判定復調部で硬判定処理された前記4値FSK信号のシンボルデータと前記既知のフレーム同期ワードとの比較結果を参照して、同期確立の判定を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の同期信号検出装置。
【請求項5】
受信信号から抽出した受信検波信号と既知のフレーム同期ワードとの第1の相関値を算出する第1のステップと、
前記第1のステップで算出された第1の相関値に基づいて、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの誤差の極小値を検出する第2のステップと、
前記第2のステップで検出された極小値の時間軸上の位置において、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの周波数偏差を算出する第3のステップと、
前記第3のステップで算出された周波数偏差に基づいて前記受信検波信号の周波数を補正する第4のステップと、
前記第4のステップで周波数が補正された補正後の受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの第2の相関値を算出する第5のステップと、
前記第5のステップで算出された第2の相関値と所定の閾値との比較結果に基づいて同期確立の判定を行う第6のステップと、
を含むことを特徴とする同期信号検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期信号検出装置、及び同期信号検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、送信機と受信機との間で伝送されるデジタル無線通信においては、データをフレーム単位で送受信している。このとき、各フレームの所定位置には、特定の信号配列パターンを有する同期信号(同期ワード)が挿入されている。従って、受信機は、受信したデータから同期ワードを検出することによって同期を確立してフレーム内のデータを取得し、例えば音声信号などに復調して出力している。このとき、送信機と受信機との間で周波数オフセット(周波数偏差:Δf)が存在すると正しい同期ワードの位置を検出することができないので、様々な技術によって周波数オフセット(周波数偏差)の補正(Δf補正)が行われている。
【0003】
例えば、送受信機間で常に信号が流れている常送通信システムにおいては、受信器が同期ワードを取得する前に周波数推定に時間をかけることによって(すなわち、周波数を追尾することによって)Δf補正を行い、正しい同期ワードの取得を行っている。言い換えると、受信機は、受信したデータのフレームごとに、逐次、同期位置を推定しながらΔf補正を行い、正確な同期ワードの取得を行っている。また、送受信機間において通信時のみ信号が流れている非常送通信システムにおいては、送信機が同期ワードを送出する前にプリアンブル信号が送出される。従って、受信機側では、このプリアンブル信号を受信してΔf補正を行い、正しい同期ワードの取得を行っている。
【0004】
また、広域フィルタを使用することなく、周波数オフセットに起因するDCオフセット量を適正に補正して、受信すべき最初の同期信号を正確に検出する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、受信機側において、受信検波信号と既知のフレーム同期ワードとを相関処理して得られた相関値のピーク値を、予め定められた第1の閾値と比較している。そして、このピーク値が第1の閾値より大きい場合には、該当する受信検波信号の検波出力を同期ワードの候補とみなして、受信検波信号に含まれるDCオフセット量を算出している。そして、前記検波出力から、算出したDCオフセット量を減算して、同期ワードの補正信号を生成している。さらに、この同期ワードの補正信号と既知のフレーム同期ワードとのベクトル誤差を算出している。そして、このベクトル誤差を第2の閾値と比較し、ベクトル誤差が第2の閾値より小さいときに同期が確立したと判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4461061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、受信信号の同期ワード(シンボルデータ)と既知のフレーム同期ワードとの相関計算によって正確な同期ワードの位置をサーチする際、送信機側と受信機側との間で周波数オフセット(周波数偏差)が存在すると、受信機側で求められた同期ワードの相関値に誤差が発生する。その結果、受信機側では必要とする同期ワードの位置を正確に検出することができない。このため、従来技術では、周波数オフセット量を追尾しながら真の同期ワードの位置を検出してフレーム同期を確立したり、プリアンブル信号を用いてフレーム同期を確立したりしていたので、フレーム同期の確立を短時間かつ高精度に行うことができないなどの問題が生じていた。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、フレーム同期の確立を迅速かつ高精度に行うことができる同期信号検出装置、及び同期信号検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る同期信号検出装置は、受信信号から抽出した受信検波信号と既知のフレーム同期ワードとの第1の相関値を算出する第1相関値算出部と、前記第1相関値算出部が算出した第1の相関値に基づいて、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの誤差の極小値を検出するピーク検出部と、前記ピーク検出部が検出した極小値の時間軸上の位置において、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの周波数の誤差を周波数偏差として算出する周波数偏差算出部と、前記周波数偏差算出部が算出した周波数偏差に基づいて前記受信検波信号の周波数を補正する補正部と、補正後の受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの第2の相関値を算出する第2相関値算出部と、前記第2相関値算出部が算出した第2の相関値と所定の閾値との比較結果に基づいて同期確立の判定を行う同期確立判定部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の一態様に係る同期信号検出装置において、前記受信検波信号は4値FSK信号であり、前記第1相関値算出部は、前記4値FSK信号のシンボルデータの時間軸上の位置と前記既知のフレーム同期ワードの時間軸上の位置との相関値を前記第1の相関値として算出するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係る同期信号検出装置において、前記第1の相関値は、前記4値FSK信号のシンボルデータの時間軸上の位置と前記既知のフレーム同期ワードの時間軸上の位置とのズレを示す誤差レベルであって、前記ピーク検出部は、前記誤差レベルの極小値を検出するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る同期信号検出装置において、前記周波数偏差に基づいて補正された4値FSK信号のシンボルデータの硬判定処理を行う硬判定復調部をさらに備え、前記同期確立判定部は、前記第2相関値算出部が算出した第2の相関値と所定の閾値との比較結果に加えて、前記硬判定復調部で硬判定処理された前記4値FSK信号のシンボルデータと前記既知のフレーム同期ワードとの比較結果を参照して、同期確立の判定を行うようにしてもよい。
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る同期信号検出方法は、受信信号から抽出した受信検波信号と既知のフレーム同期ワードとの第1の相関値を算出する第1のステップと、前記第1のステップで算出された第1の相関値に基づいて、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの誤差の極小値を検出する第2のステップと、前記第2のステップで検出された極小値の時間軸上の位置において、前記受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの周波数偏差を算出する第3のステップと、前記第3のステップで算出された周波数偏差に基づいて前記受信検波信号の周波数を補正する第4のステップと、前記第4のステップで周波数が補正された補正後の受信検波信号と前記フレーム同期ワードとの第2の相関値を算出する第5のステップと、前記第5のステップで算出された第2の相関値と所定の閾値との比較結果に基づいて同期確立の判定を行う第6のステップと、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同期信号検出装置は、フレーム同期の確立を迅速かつ高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態にかかるデジタル無線通信機の受信機の概略構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る復調部の詳細な構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る復調部の内部回路を機能的に示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る復調部が同期検出を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。
図5】受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの1スロット分の相関値を示す実測波形である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態の概要]
本実施形態の同期信号検出装置は、まず、未加工の受信信号の同期ワード(シンボルデータ)と既知のフレーム同期ワードとの相関値(第1の相関値)を求め、この第1の相関値の極小値を検出(ピーク点検出)する。次に、同期信号検出装置は、この極小値(ピーク点)を仮のポイントとして、受信信号と既知のフレーム同期ワードとの周波数偏差(Δf)を推定する。そして、同期信号検出装置は、推定された周波数偏差(Δf)に基づいて求められた周波数偏差補正値(Δf補正値)によって受信信号の周波数を補正する。さらに、同期信号検出装置は、補正後の受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの相関値(第2の相関値)を求め、この第2の相関値が所定の閾値より小さくなったときに真の同期ワードを検出して同期が確立したと判定する。このようにして、同期信号検出装置は、周波数の追尾を行うことなく、受信信号の同期ワード(シンボルデータ)と既知のフレーム同期ワードとの2度の相関計算によって真の同期ワードを求めている。従って、同期信号検出装置は、フレーム同期の確立を短時間かつ高精度に行うことができる。
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明の理解を容易にするための一例であるので、本発明は、以下の実施形態の内容に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施形態にかかるデジタル無線通信機の受信機1の概略構成を示すブロック図である。この受信機1は、一例として、受信信号を音声信号に変換して出力する構成で示されている。図1に示すように、受信機1は、アンテナ2、受信部3、復調部4、出力部5、及びスピーカ6を備えている。
【0018】
アンテナ2は、図示しない送信機から無線電波を受信する。
受信部3は、アンテナ2で受信された無線信号(受信信号)を、周知の濾波・増幅・混合等の処理を行い、処理後の信号を復調部4へ出力する。
復調部4は、受信部3から入力された受信信号を復調信号(音声信号)に復調する。このとき、復調部4では、周波数−電圧変換が行われるため、送信機と受信機との周波数誤差の関係で周波数オフセット(周波数偏差:Δf)に起因するDCオフセットが重畳する。
このような周波数偏差(Δf)に起因するDCオフセットが存在すると、受信信号の各フレームの所定位置に挿入されている同期ワードを検出するときに検出誤差が生じる。言い換えると、復調部4は、DCオフセットが存在すると同期の確立を正確に行うことができない。そこで、復調部4では、受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの2度の相関計算によって真の同期ワードを求めて同期の確立を行っているが、この手法の詳細については後述する。
【0019】
出力部5は、復調部4で同期が確立されて出力された復調信号(音声信号)を入力し、この復調信号(音声信号)をデジタル/アナログ変換して増幅した後にスピーカ6へ出力する。
スピーカ6はアナログ変換された復調信号(音声信号)を音響化して音声として出力する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る復調部4の詳細な構成を示すブロック図である。図2に示すように、復調部4は、V/F変換器11、第1相間計算器12、ピーク検出器13、Δf検出器14、減算器15、第2相関計算器16、閾値判定器17、硬判定復調器18、同期ワード検出器19、同期確立判定器20を備えている。
【0021】
図1の受信部3から復調部4へ入力された受信信号は、図2に示すように、24kサンプル/secでサンプリングされたIQ信号(変調信号)としてV/F変換器11へ入力される。
V/F変換器11は、24kサンプル/secでサンプリングされたIQ信号を、シンボル周波数偏差間隔が狭い24kサンプル/secの4値FSK信号に変換して第1相間計算器12へ入力する。
第1相間計算器12は、24kサンプル/secの4値FSK信号(すなわち、受信信号のシンボルデータ)と既知のフレーム同期ワードとの周波数偏差(Δf)の相関計算を行って第1の相関値を求める。
【0022】
ピーク検出器13は、第1相間計算器12により相関計算によって求められた第1の相関値に基づいて、受信信号のシンボル位置と既知のフレーム同期ワードの位置との誤差レベルの極小値(すなわち、ピーク点)を検出する。
Δf検出器14は、ピーク検出器13からのピーク点情報とV/F変換器11からの24kサンプル/secの4値FSK信号とに基づいて、誤差レベルが極小値となる位置の周波数偏差Δfの情報を減算器15へ出力する。
減算器15は、V/F変換器11が送信した24kサンプル/secの4値FSK信号(すなわち、受信信号のシンボルデータ)から、誤差レベルが極小値となる位置の周波数偏差Δfを減算して、補正後の受信信号(すなわち、周波数偏差補正値(Δf補正値)のデータ)を求める。
【0023】
第2相関計算器16は、演算対象サンプルとして決定されたピーク検出器13からのピーク点情報と、減算器15からの周波数偏差補正値(Δf補正値)のデータとに基づいて、補正後の受信信号のシンボルデータと既知のフレーム同期ワードとの相関計算を行い、補正後の受信信号シンボルデータの周波数と既知のフレーム同期ワードの周波数との相関値(第2の相関値)を求める。
閾値判定器17は、第2相関計算器16で求められた第2の相関値が所定の閾値を下回ったか否かを判定して、その判定結果を同期確立判定器20へ送信する。
【0024】
硬判定復調器18は、演算対象サンプルとして決定されたピーク検出器13からのピーク点情報と、減算器15からの周波数偏差補正値(Δf補正値)のデータとに基づいて、V/F変換器11から送信された4値FSK信号(受信信号のシンボルデータ)の硬判定復調を行う。硬判定復調では、V/F変換器11から送信された4値FSK信号(受信信号のシンボルデータ)に対して、1つのビットごとに対応して所定の閾値で0,1判定を行う。
同期ワード検出器19は、硬判定復調された4値FSK信号(受信信号のシンボルデータ)と既知のフレーム同期ワードパターンのシンボルを比較判定し、その判定結果を同期確立判定器20へ送信する。
【0025】
同期確立判定器20は、閾値判定器17から送信された第2の相関値が閾値を下回ったか否かの判定結果と、同期ワード検出器19から送信された硬判定復調後の4値FSK信号(受信信号のシンボルデータ)と既知のフレーム同期ワードパターンのシンボル比較の判定結果とに基づいて、真の同期ワードを検出して同期の確立を行う。
【0026】
図3は、本実施形態に係る復調部4の内部回路を機能的に示すブロック図である。従って、図2を参照しながら、図3に示す復調部の内部回路の動作を説明する。なお、図3では、図2と同一構成要素については同一番号で示してある。図3において、受信信号である4値FSK復調信号は、V/F変換器11(図2参照)に記憶されている受信ワードパターン21に基づいて受信ワード(受信信号の同期ワード)に変換され、第1相間計算器12へ入力される。一方、同期ワードパターン22に基づいて生成された既知のフレーム同期ワードも第1相間計算器12へ入力される。
【0027】
これによって、第1相間計算器12は、受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの相関計算を行って相関値(第1の相関値)を求め、この相関値(第1の相関値)をピーク検出器13へ送信する。次に、ピーク検出器13は、第1の相関値に基づいて、受信信号の同期ワードの位置と既知のフレーム同期ワードの位置との誤差が極小値となるピーク点を検出すると共に、ピーク点を検出した場合は実行フラグを立てる。
【0028】
次に、Δf検出器14(図2参照)に内蔵された減算器23が、ピーク点における受信信号の同期ワードの周波数から既知のフレーム同期ワードの周波数を減算して、ピーク点における受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの周波数偏差Δfに対応するDCオフセット量を求める。そして、減算器15が、受信信号の同期ワードから周波数偏差Δf(DCオフセット量)を減算して、補正ワードパターン(すなわち、Δf補正値で補正した補正後の受信信号の同期ワード)を求める。
【0029】
さらに、第2相関計算器16が、補正ワードパターン(補正後の受信信号の同期ワード)と既知のフレーム同期ワードとの相関計算を行い、補正後の受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの相関誤差(第2の相関値)を求める。そして、閾値判定器17が、第2相関計算器16で求められた第2の相関値が所定の閾値24を下回ったか否かを判定し、判定結果を同期確立判定器20へ送信する。
【0030】
一方、硬判定復調器18(図2参照)に内蔵されたシンボル硬判定器25は、補正ワードパターン(補正後の受信信号の同期ワード)と既知のフレーム同期ワードとに基づいて、補正後の受信信号の同期ワードにおけるシンボルデータの硬判定を行い、硬判定されたシンボルデータと既知のフレーム同期ワードパターンとのシンボルを比較判定し、その判定結果を同期確立判定器20へ送信する。
【0031】
同期確立判定器20は、閾値判定器17から送信された第2の相関値が閾値24を下回ったか否かの判定結果と、シンボル硬判定器25から送信された硬判定後の受信信号のシンボルデータと既知のフレーム同期ワードパターンとのシンボル比較の判定結果とに基づいて、真の同期ワードを検出して同期の確立を行う。すなわち、同期確立判定器20は、第2の相関値が閾値24を下回っていて、かつ、受信信号のシンボルデータと既知のフレーム同期ワードパターンのシンボルが一致したとき、真の同期ワードを検出して同期を確立する。
【0032】
図4は、本実施形態に係る復調部4が同期検出を行うときの処理の流れを示すフローチャートである。なお、図4の各処理を示すステップ番号は図3にも対応して示されている。さらに理解を容易にするために、図4の各処理を示すステップ番号は図2にも対応して示されている。以下、図3に示すステップ番号を参照しながら(必要に応じて図2に示すステップ番号も参照しながら)、図4のフローチャートの流れに従って復調部が同期検出を行うときの処理の流れを説明する。
【0033】
(ステップS1)第1相間計算器12が、受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの相関計算を行う。
(ステップS2)ピーク検出器13は、相関計算された第1の相関値に基づいて、受信信号の同期ワードの位置と既知のフレーム同期ワードの位置との誤差が極小値となるピーク点を検出したか否かを判定する。この処理(ステップS1、S2の処理)は、受信信号の1つのシンボルが実行されるごとに行われる。ピーク検出器13は、受信信号の同期ワードの位置と既知のフレーム同期ワードの位置との誤差が極小値となるピーク点を検出したと判定した場合(ステップS2;Yes)、ステップS3に進み、受信信号の同期ワードの位置と既知のフレーム同期ワードの位置との誤差が極小値となるピーク点を検出していない判定した場合(ステップS2;No)、ステップS1に戻る。
【0034】
(ステップS3)ステップS2の判定でピーク点が検出された場合、減算器23は、ピーク点における受信信号の同期ワードの周波数から既知のフレーム同期ワードの周波数を減算して、ピーク点における受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの周波数偏差Δf(すなわち、DCオフセット)を求める。
(ステップS4)減算器15が、受信信号の同期ワードから周波数偏差Δfを減算して、Δf補正後の受信信号の同期ワード(補正ワードパターン)を求める。
【0035】
(ステップS5)第2相関計算器16が、補正後の受信信号の同期ワード(補正ワードパターン)と既知のフレーム同期ワードとの相関計算を行い、補正後の受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの相関誤差(第2の相関値)を求める。そして、閾値判定器17は、第2の相関値が所定の閾値24を下回ったか否かを判定する(ステップS6)。閾値判定器17は、第2の相関値が所定の閾値24を下回ったと判定した場合(ステップS6;Yes)、ステップS7に進み、第2の相関値が所定の閾値24を下回っていないと判定した場合(ステップS6;No)、ステップS1に戻る。
【0036】
(ステップS7)硬判定復調器18(図2参照)に内蔵されたシンボル硬判定器25は、補正後の受信信号の同期ワード(補正ワードパターン)のシンボルと既知のフレーム同期ワードのシンボルとを比較(シンボル比較)して、補正後の受信信号の同期ワードにおけるシンボルデータの硬判定を行う。
【0037】
(ステップS8)同期確立判定器20は、第2の相関値が所定の閾値24を下回ったとき、硬判定された受信信号のシンボルデータと既知のフレーム同期ワードパターンとのシンボル比較の判定結果とに基づいて、真の同期ワードを検出したか否かを判定する(ステップS8)。同期確立判定器20は、真の同期ワードを検出したと判定した場合(ステップS8;Yes)、ステップS9に進み、真の同期ワードを検出していないと判定した場合(ステップS8;No)、ステップS1に戻る。
(ステップS9)同期確立判定器20は、受信信号の同期を確立する。
以上で、同期検出の処理を終了する。
【0038】
図5は、受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの1スロット分の相関値を示す実測波形である。図5(a)は周波数偏差が0Hzのときの実測波形であり、図5(b)は周波数偏差が600Hzのときの実測波形である。図5(a)および図5(b)において、横軸は時間、縦軸は受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの周波数偏差との誤差レベルを表す。
【0039】
図5(a)に示すように、受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの周波数偏差がゼロのときは、同期ワード検出位置(SW位置)における受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの誤差レベルはゼロになっている。すなわち、周波数オフセット(周波数偏差)が存在していないために、正しい同期ワードの位置を検出することができる。
【0040】
一方、図5(b)に示すように、受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの周波数偏差が600Hzのときは、同期ワード検出位置(SW位置)における受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの誤差レベルはゼロではない。すなわち、周波数オフセット(周波数偏差)が存在しているために、正しい同期ワードの位置を検出することができない。
【0041】
従って、本実施形態では、前述したように、受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの誤差レベルが極小値となったピーク点を同期ワード検出位置(SW位置)として周波数偏差(Δf)を推定している。そして、推定された周波数偏差(Δf)に基づいて受信信号のシンボル補正を行い、シンボル補正した受信信号と既知のフレーム同期ワードとの相関値が所定の閾値以下になったときに受信信号の真の同期ワードを検出して同期の確立を行っている。これによって、周波数偏差の有無に関わらず、受信信号の同期確立を短時間かつ高精度に行うことができる。
【0042】
なお、周波数偏差がゼロのときは同期ワード検出位置(SW位置)における受信信号のシンボルと既知のフレーム同期ワードとの誤差レベルがゼロであり、周波数偏差が600Hzのときは誤差レベルがゼロとならない理由は次の通りである。
【0043】
周波数偏差がゼロのとき、受信信号の周波数をA、既知のフレーム同期ワードの周波数をB、受信信号のシンボル数を10とすると、誤差レベルδは、δ=Σ(A−B)/10で表わされる。ここで、周波数偏差がゼロのときはA=Bであるので、誤差レベルδ=0となる。
【0044】
一方、周波数偏差が600Hzのときは、受信信号の周波数をA1(=A+600)、既知のフレーム同期ワードの周波数をB、受信信号のシンボル数を10とすると、誤差レベルδ1は、δ1=Σ(A1−B)/10=Σ(A−B+600)/10で表わされる。従って、周波数偏差が600HzのときはA=Bであっても、誤差レベルδ1はゼロより大きくなる。
【0045】
[比較例]
ここで、本実施形態の優位性を示すために、同期ワードを検出して同期の確立を行う比較例における技術の一例について説明する。比較例では、最初に受信信号の周波数と既知のフレーム同期ワードの周波数との周波数偏差(Δf)を算出し、受信信号の周波数から周波数偏差(Δf)を減算して補正後の受信信号を求める。次に、比較例では、補正後の受信信号と既知のフレーム同期ワードとの相関計算を行い、相関計算で求めた相関値が所定の閾値より小さいか否かを判定する。比較例では、相関計算で求めた相関値が所定の閾値より小さい場合、補正後の受信信号と既知のフレーム同期ワードとに基づいて、補正後の受信信号のシンボルデータの硬判定を行っている。そして、比較例では、硬判定された受信信号のシンボルデータと既知のフレーム同期ワードパターンとのシンボル比較の判定結果に基づいて、真の同期ワードを検出する。
【0046】
すなわち、この比較例の場合は、周波数偏差(Δf)の推定を受信信号のフレームごとに逐次行っているため、受信信号の同期ワードが推定できた場合でも、次のフレームで、再度、周波数偏差(Δf)を算出して推定し直さなければならない。一方、本実施形態の場合は、受信信号のシンボル位置と既知のフレーム同期ワードの位置との誤差レベルの極小値(ピーク点)で推定された周波数偏差(Δf)は精度が高いため、図4の処理フローのループ内で算出された最新の周波数偏差(Δf)を、再計算することなくそのまま使用して、真の同期ワードを検出することができる。そのため、受信信号の同期確立を迅速かつ高精度に行うことができると共に、受信信号の同期引き込みが速くなる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る同期信号検出装置(復調部4)は、受信信号から抽出した受信検波信号と既知のフレーム同期ワードとの第1の相関値を算出する第1相関値算出部と、第1相関値算出部(第1相間計算器12)が算出した第1の相関値の極小値を検出するピーク検出部(ピーク検出器13)と、ピーク検出部が検出した極小値の時間軸上の位置において、受信検波信号とフレーム同期ワードとの周波数の誤差を周波数偏差として算出する周波数偏差算出部(Δf検出器14)と、周波数偏差算出部が算出した周波数偏差に基づいて受信検波信号の周波数を補正する補正部(減算器15)と、補正後の受信検波信号とフレーム同期ワードとの第2の相関値を算出する第2相関値算出部(第2相関計算器16)と、第2相関値算出部が算出した第2の相関値と所定の閾値との比較結果に基づいて同期確立の判定を行う同期確立判定部(同期確立判定器20)と、を備える。
【0048】
また、本実施形態に係る同期信号検出装置(復調部4)は、周波数偏差に基づいて補正された4値FSK信号のシンボルデータの硬判定処理を行う硬判定復調部(硬判定復調器18)をさらに備え、同期確立判定部は、第2相関値算出部が算出した第2の相関値と所定の閾値との比較結果に加えて、硬判定復調部で硬判定処理された4値FSK信号のシンボルデータと既知のフレーム同期ワードとの比較結果を参照して、同期確立の判定を行う。
【0049】
このような構成により、本実施形態では、受信機側が、既知のフレーム同期ワードの位置と未加工の受信信号の同期ワード(シンボルデータ)の位置との誤差の極小値を用いて、周波数オフセット(周波数偏差:Δf)を推定している。そして、推定した周波数偏差(Δf)に基づいて求められた周波数偏差の補正値(Δf補正値)で補正された受信信号の同期ワード(シンボルデータ)と既知のフレーム同期ワードとの相関値が所定の閾値を下回ったとき、真の同期ワードを検出して同期の確立を行っている。従って、受信機は、真の同期ワードを取得するときの周波数追尾に時間がかからない。すなわち、受信機は、周波数追尾の追い込みを行う必要がないので、送受信機間において通信時のみ信号が流れる非常送信号の1フレーム目から同期の確立を行うことができる。また、受信機は、受信信号の同期ワードと既知のフレーム同期ワードとの相関計算を2回行っているので、フレーム同期を高精度に確立させることができる。言い換えると、受信機はフレーム同期の確立を短時間かつ高精度に行うことができる。
【0050】
さらに、受信機は、同期ワードを検出の対象としているので、データの冒頭にプリアンブルがない場合でも、周波数オフセット(周波数偏差:Δf)を推定して同期の確立を行うことができる。例えば、通信中の無線通信システムに途中から電源を入れて後から参入した受信機であっても、受信したデータの1フレーム目から、既知のフレーム同期ワードの位置と未加工の受信信号の同期ワード(シンボルデータ)の位置との誤差の極小値に基づいて周波数偏差(Δf)を推定し、周波数偏差補正値(Δf補正値)で補正された受信信号と既知のフレーム同期ワードとの相関値から、高精度に同期の確立を行うことができる。
【0051】
なお、同期信号検出装置(復調部4)の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1…受信機、2…アンテナ、3…受信部、4…復調部、5…出力部、6…スピーカ、11…V/F変換器、12…第1相間計算器、13…ピーク検出器、14…Δf検出器、15…減算器、16…第2相関計算器、17…閾値判定器、18…硬判定復調器、19…同期ワード検出器、20…同期確立判定器、21…受信ワードパターン、22…同期ワードパターン、23…減算器、24…閾値、25…シンボル硬判定器
図1
図2
図3
図4
図5