特許第6229230号(P6229230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229230
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】通信システム及び移動局装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/30 20090101AFI20171106BHJP
   H04W 4/00 20090101ALI20171106BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20171106BHJP
【FI】
   H04W52/30
   H04W4/00 111
   H04W72/04 111
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-195853(P2013-195853)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61290(P2015-61290A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】石倉 勝利
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 洋行
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文代
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 重人
(72)【発明者】
【氏名】高木 佑介
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 Pantech,Challenge on UL transmission of dual connectivity,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #83 R2-132504,3GPP,2013年 8月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の基地局装置と、移動局装置と、を具備する通信システムにおいて、
前記移動局装置は、
前記少なくとも2つ以上の基地局装置各々との通信を、それぞれ異なる周波数帯域を用いて同時に行うことができる通信部と、
複数の前記通信における実際の送信電力又はその推定値に基づいて、前記通信各々で通信する送信電力を配分する制御部と、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記移動局装置から前記基地局装置各々への上りリンクの通信について、全通信における送信電力の合計が閾値以下になるように、前記通信各々で通信する送信電力を配分する請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
少なくとも2つ以上の基地局装置と、移動局装置と、を具備する通信システムにおいて、
前記移動局装置は、
前記少なくとも2つ以上の基地局装置各々との通信を、それぞれ異なる周波数帯域を用
いて同時に行うことができる通信部と、
複数の前記通信における送信電力に基づいて、前記移動局装置から前記基地局装置各々への上りリンクの通信について、全通信における送信電力の合計が閾値以下になるように、前記通信各々で通信する送信電力を配分する制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記基地局装置各々から、当該基地局装置との通信についてのリソース割当情報を取得し、
前記リソース割当情報に基づいて通信各々で通信する送信電力を推定し、
推定した送信電力各々から一定値又は一定割合を減らした修正値であって、全通信での前記修正値の合計が前記閾値以下となる修正値を算出し、
算出した修正値各々を、前記通信各々で通信する送信電力として配分する通信システム。
【請求項4】
少なくとも2つ以上の基地局装置と、移動局装置と、を具備する通信システムにおいて、
前記移動局装置は、
前記少なくとも2つ以上の基地局装置各々との通信を、それぞれ異なる周波数帯域を用
いて同時に行うことができる通信部と、
複数の前記通信における送信電力に基づいて、前記移動局装置から前記基地局装置各々への上りリンクの通信について、全通信における送信電力の合計が閾値以下になるように、前記通信各々で通信する送信電力を配分する制御部と、
を備え
全通信における送信電力の合計が閾値を超える場合には、少なくとも1つ以上の基地局装置との通信を止める通信システム。
【請求項5】
少なくとも2つ以上の基地局装置と、移動局装置と、管理装置と、を具備する通信システムにおいて、
前記移動局装置は、
前記少なくとも2つ以上の基地局装置各々との通信を、それぞれ異なる周波数帯域を用
いて同時に行うことができる通信部と、
複数の前記通信における送信電力に基づいて、前記通信各々で通信する送信電力を配分
する制御部と、
を備え
前記基地局装置又は管理装置は、
前記基地局装置各々と前記移動局装置の通信について、前記移動局装置の通信各々における最大送信電力の配分を決定する基地局制御部を備え、
前記制御部は、前記基地局装置の通信各々の送信電力と前記基地局制御部が決定した配分とに基づいて、前記基地局装置の通信各々の送信電力状況を示す送信電力状況情報を生成し、生成した前記送信電力状況情報を前記基地局装置の通信各々へ報告する通信システム。
【請求項6】
少なくとも2つ以上の基地局装置各々との通信を、それぞれ異なる周波数帯域を用いて同時に行うことができる通信部と、
複数の前記通信における実際の送信電力又はその推定値に基づいて、前記通信各々で通信する送信電力を配分する制御部と、
を備える移動局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び移動局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)では、3GPP Release10/11において、高速・大容量通信を実現する技術であるCA(Carrier Aggregation)が仕様化されている。CAは、周波数的に連続あるいは不連続の複数のキャリア(CC:コンポーネントキャリア)を利用して、同時に信号を送受信する技術である。このCAの仕様では、端末(移動局)は、1つの基地局に対して、上りリンク(端末から基地局への通信)でCAを行う(intra site CA)。このため、1つのスケジューラにおいて、上りリンクのリソース配置や電力監視が行われる(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、3GPP Release12以降において、上りリンクでは、端末が、マクロ基地局とスモール基地局の両方に通信接続するdual接続が検討されている。また、端末が、マクロ基地局とスモール基地局に対して上りリンクでCAを行う(inter site CA)ことも検討されている。ここで、マクロ基地局とスモール基地局間のネットワーク(バックホール)での遅延を考慮した場合には、マクロ基地局及びスモール基地局が、それぞれ独立した上りリンクスケジュール制御を行うことが提案されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−102551号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #81bis “Discussion on UL transmission of dual connectivity”、[online]、3GPP、[2013年8月21日検索]、インターネット〈URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81bis/Docs/R2-131175.zip〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の基地局(例えば、マクロ基地局及びスモール基地局)がそれぞれ独立した上りリンクスケジューリング制御を行った場合には、それぞれの基地局がほぼ同時に上りリンクリソース配置を行うことが考えられる。この場合には、端末の上り送信パワーが最大値を超えてしまうような上りリソース配置を行ってしまうという問題が生じる。すなわち、通信システムでは、端末の送信電力管理が非常に困難となる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、端末の送信電力を管理できる通信システム及び移動局装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、少なくとも2つ以上の基地局装置と、移動局装置と、を具備する通信システムにおいて、前記移動局装置は、前記少なくとも2つ以上の基地局装置各々との通信を、それぞれ異なる周波数帯域を用いて同時に行うことができる通信部と、複数の前記通信における送信電力に基づいて、前記通信各々で通信する送信電力を配分する制御部と、を備える通信システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端末の送信電力を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る通信システムを示す概念図である。
図2】本発明の実施形態に係る通信システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の第3の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の第4の実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図7】本発明の第5の実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムを示す概念図である。通信システムは、マクロ基地局a1−0、スモール基地局(ピコ基地局とも称する)a1−i(iは自然数、図1ではi=1、2、・・・、5)、及び端末b1を具備する。端末b1は、例えば、携帯電話装置やタブレット端末装置等の移動局装置である。
この図は、LTE通信システムにおける基地局a1−n(nは0以上の整数、図1ではn=0、1、・・・5)と端末b1を示している。図1中の楕円C1n(n=0、1、・・・5)は、それぞれの基地局a1−nのセル範囲(通信範囲)を示し、セルC10はマクロセル(micro cell)であり、セルC11〜C15はスモールセル(small cell)である。スモールセルはマクロセルより小さく、スモールセルの範囲の一部又は全部はマクロセルの範囲と重複しても良い。
【0012】
図1において、端末b1は、マクロ基地局a1−0及びスモール基地局a1−iと、それぞれ1つずつのコンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)を使用して、キャリアアグリケーション(CA:Carrier Aggregation)を行っている。このように、上りリンク及び下りリンクともにCA接続し、複数の基地局と接続するものを、Inter site CAともいう。なお、上りリンクとは端末b1から基地局a1−nへの通信をいい、下りリンクとは基地局a1−nから端末b1への通信をいう。
【0013】
図1において、端末b1は、マクロ基地局a1−0と、周波数帯域(バンド;Band)Aの帯域幅20MHzのCCを使用して通信を行っている。ここで、端末b1とマクロ基地局a1−0は、上りリンク及び下りリンクともに、制御信号及びデータ信号を通信している。例えば、上り制御信号は物理上り制御チャネル(PUCCH;Physical Uplink Control Channel)に配置され、上りデータ信号は物理上り共有チャネル(PUSCH;Physical Uplink Shared Channel)に配置される。一方、下り制御信号は物理下り制御チャネル(PDCCH;Physical Downlink control Channel)に配置され、下りデータ信号は物理下り共有チャネル(PUCCH;Physical Downlink Shared Channel)に配置される。
基地局a1−n同士は、バックホールを介して、例えばXインターフェースにて接続されている。基地局a1−n同士は、直接通信可能であり、例えばマクロ基地局a1−0とスモール基地局a1−1は、直接通信は可能である。また、通信システムはコアネットワークの管理装置(図示せず)を具備し、管理装置と基地局a1−nは通信可能である。
【0014】
以上のように、通信システムは、少なくとも2つ以上の基地局a1−nと端末b1とを具備する。端末b1は、少なくとも2つ以上の基地局a1−n各々の通信を、それぞれ異なるCCを用いて同時に行うことができる。端末b1は、複数の通信における送信電力に基づいて、通信各々で通信する送信電力を配分する。例えば、端末b1は、周波数バンドAのCCを用いてマクロ基地局a1−0との通信C1と、周波数バンドAとは異なる周波数バンドBのCCを用いてマクロ基地局a1−1との通信C2と、を同時に行うことができる。端末b1は、通信C1と通信C2で通信する送信電力の合計に基づいて、通信C1で通信する送信電力及び通信C2で通信する送信電力を配分する。これにより、通信システムでは、端末b1の送信電力を管理できる。なお、周波数バンドとは、システムで規定されている利用可能な周波数バンドであり、例えば周波数バンドAが2GH帯、周波数バンドBが3.5GHz帯である。周波数バンドは、1又は複数のCCを含む。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係る通信システムの概略構成を示すブロック図である。この図は、各基地局a1−nの構成と端末b1の構成を示す。
【0016】
(基地局a1−nについて)
基地局a1−nは、通信部a11、記憶部a12、制御部a13、下り送信部a14、及び上り受信部a15を含んで構成される。
通信部a11は、バックホールを介して、コアネットワークの管理装置や、他の基地局a1−m(m≠n)と通信を行う。
記憶部a12は、制御部a13が取得した情報、及び制御部a13が生成した情報を記憶する。
【0017】
制御部a13は、基地局a1−nの各部を制御する。例えば、制御部a13は、受信データや送信データの処理、各送受信部のキャリア周波数制御など、基地局a1−nの通信に関わる様々な制御を行う。
制御部a13は、情報取得部a131、割当部a132、及び情報提供部a133を含んで構成される。
情報取得部a131は、情報を取得する。例えば、情報取得部a131は、通信部a11を介して、管理装置又は他の基地局a1−mから情報を取得する。情報取得部a131は、上り受信部a15を介して端末b1から情報を取得する。この情報には、例えば、端末b1から受信した通信品質情報(例えば、チャネル品質インジケータ(CQI)やパワーヘッドルーム(PHR)報告等が含まれても良い。
割当部a132は、情報取得部a131が取得した情報に基づいて、端末b1との無線通信に用いるリソース(周波数帯域や時間帯域;例えばリソースブロック)を割り当てる。割当部a132は、割り当てたリソースを示すリソース割当情報を生成する。
情報提供部a133は、情報を提供する。例えば、情報提供部a133は、制御部a13が生成した情報や情報取得部a131が取得した情報、記憶部a12が記憶する情報等を、下り送信部a14を介して、端末a1へ提供する。この情報には、例えば、割当部a132が生成したリソース割当情報や、基地局a1−mから取得した情報等が含まれる。
【0018】
下り送信部a14は、制御部a13から入力された情報を、アンテナを介して端末b1へ送信する。下り送信部a14は、例えば、第k下り送信部a14k(k=1、2、・・・)を含んで構成される。例えば、第k下り送信部a14kは、周波数バンド毎に設けられ、識別番号がkの周波数バンドを用いて信号を送信する場合に用いられても良い。
上り受信部a15は、アンテナを介して端末b1から受信した情報を、制御部a13へ出力する。上り受信部a15は、第l上り受信部a15l(l=1、2、・・・)を含んで構成される。例えば、第l上り受信部a15lは、周波数バンド毎に設けられ、識別番号がlの周波数バンドを用いて信号を受信する場合に用いられても良い。
【0019】
(端末b1について)
端末b1は、入力部b11、出力部b12、記憶部b13、制御部b14、下り受信部b15、及び上り送信部b16を含んで構成される。
入力部b11は、ボタンやマイク等であり、ユーザ操作や音声の入力を受け付ける。
出力部b12は、ディスプレイやスピーカー等であり、制御部b14の生成した情報を、表示や音により、出力する。
記憶部b13は、制御部b14が取得した情報、及び制御部b14が生成した情報を記憶する。
【0020】
制御部b14は、端末b1の各部を制御する。例えば、制御部b14は、受信データや送信データの処理、各送受信部のキャリア周波数制御など、端末の通信に関わる様々な制御を行う。
制御部b14は、電力情報取得部b141、情報処理部b142、調整部b143、及び配置制御部b144を含んで構成される。電力情報取得部b141は、上り送信部b16で通信する送信電力を示す情報を取得する。ここで、電力情報取得部b141は、基地局a1−n各々との通信について、各通信における送信電力を示す情報を取得する。ただし、電力情報取得部b141は、第l上り送信部b16l毎に、つまり、例えば周波数バンド又はアンテナ毎に、これらの各部が通信をしている基地局a1−nを示す情報と、各部の通信における送信電力を示す情報と、を取得しても良い。また、電力情報取得部b141は、CC毎に、そのCCを通信に用いる基地局a1−nを示す情報と、各CCの通信における送信電力を示す情報と、を取得しても良い。
【0021】
情報処理部b142は、情報を取得する。例えば、情報処理部b142は、入力部b11から、ユーザ操作や音声の入力を示す情報を取得する。情報処理部b142は、下り受信部b15を介して基地局a1−nから情報を取得する。この情報には、例えば、基地局a1−nから受信したリソース割当情報等が含まれる。
情報処理部b142は、情報を提供する。例えば、情報処理部b142は、情報処理部b142が生成した情報や取得した情報、記憶部b13が記憶する情報等を、上り送信部b16を介して、基地局a1−nへ提供する。この情報には、例えば、情報処理部b142が生成した通信品質情報(例えばCQI)等が含まれる。
【0022】
調整部b143は、電力情報取得部b141が取得した情報、情報処理部b142から入力された情報に基づいて、上り送信部b16で通信する送信電力を調整する。ここで、調整部b143は、基地局a1−n各々の通信について、各通信における送信電力を調整する。ただし、調整部b143は、第l上り送信部b16l毎に、つまり、例えば周波数バンド又はアンテナ毎に、これらの各部の通信における送信電力を調整しても良い。また、調整部b143は、CC毎に、各CCの通信における送信電力を調整しても良い。
調整部b143は、配置制御部b144による信号の振幅の調整(デジタル値や変調方式の変更)や配置の調整により、各通信の送信電力を調整しても良い。また、調整部b143は、上り送信部b16のアンプ(増幅回路)を調整することで、各通信の送信電力を調整しても良い。
配置制御部b144は、情報処理部b142が生成した情報や取得した情報(例えば、リソース割当情報)に基づいて、基地局a1−nとの通信における信号の配置を制御する。
【0023】
下り受信部b15は、アンテナを介して基地局a1−nから受信した情報を、制御部b14へ出力する。下り受信部b15は、第k下り受信部b15kを含んで構成される。例えば、第k下り受信部b15kは、周波数バンド毎に設けられ、識別番号がkの周波数バンドを用いて信号を受信する場合に用いられても良い。
上り送信部b16は、制御部b14から入力された情報を、アンテナを介して基地局a1−nへ送信する。上り送信部b16は、例えば、第l上り送信部b16lを含んで構成される。例えば、第l上り送信部b16lは、周波数バンド毎に設けられ、識別番号がlの周波数バンドを用いて信号を送信する場合に用いられても良い。
【0024】
以下、各実施形態について、詳細を説明する。各実施形態において、送信電力とは、上りリンクの通信における送信電力をいい、端末b1は、上りリンクの送信で通信する送信電力を制御する。また、送信電力とは、送信電力の平均値であっても良いし、最大値であっても良い。また、送信電力とは、信号やアンプについて、送信電力の基準となる基準電力であっても良い。
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。通信システムを示す概念図及び通信システムの概略構成を示すブロック図は、上述(図1図2)のとおりである。
本実施形態は、端末b1から基地局a1−nへの上りリンクにおいて、端末b1の送信電力の最大を越えるリソース割り当てが指示される場合の例である。一例として、最大を越えるリソース割り当ての指示がされた場合に、端末b1はそれぞれの上りリンクの電力を均等に下げてからリソース配置を行う。なお、本実施形態では、各基地局a1−nは、端末b1に対するリソースを、独立に割り当てる。
【0026】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る端末b1の動作を示すフローチャートである。
(ステップS101)情報処理部b142は、マクロ基地局a1−0から第0のリソース割当情報を取得し、各スモール基地局a1−iから第iのリソース割当情報を取得する。例えば、第1のリソース割当情報では周波数バンドA(識別番号「1」)のリソースが端末b1に割り当てられ、第2のリソース割当情報では周波数バンドB(識別番号「2」)のリソースが端末b1に割り当てられる。これにより、端末b1は、リソース割り当てを指示される。その後、ステップS102へ進む。
【0027】
(ステップS102)電力情報取得部b141は、マクロ基地局a1−0との通信における送信電力を示す情報と、各スモール基地局a1−iとの通信における送信電力を示す情報と、を取得する。これらの送信電力は、実際に通信している送信電力であっても良いし、リソース割当情報から算出された送信電力であっても良い。情報処理部b142は、電力情報取得部b141が取得した情報に基づいて、全通信における送信電力の合計Piを算出する。例えば、情報処理部b142は、マクロ基地局a1−0との通信における送信電力と、各スモール基地局a1−iとの通信における送信電力と、を加算し、加算後の合計Piを算出する。その後、ステップS103へ進む。
(ステップS103)情報処理部b142は、ステップS102で算出された合計Piが、記憶部b13が記憶する閾値より大きいか否かを判定する。この閾値は、端末b1が送信可能な送信電力の最大値である最大送信電力である。これにより、情報処理部b142は、マクロ基地局a1−0及び各スモール基地局a1−iから、端末b1の送信電力の最大を越えるリソース割り当てが指示されたか否かを判定する。端末b1の送信電力の最大を越えるリソース割り当てが指示されたと判定された場合(Yes)、ステップS104へ進む。一方、端末b1の送信電力以内のリソース割り当てが指示されたと判定された場合(No)、ステップS105へ進む。なお、最大送信電力は、例えば、3GPP仕様書に記載されている端末b1毎に決められた最大送信電力であって、端末b1が送信することのできる最大送信電力である。例えば、端末b1では、ある区間(例えば時間)の送信電力の平均値が最大送信電力を超えてはならない。
【0028】
(ステップS104)調整部b143は、ステップS101で取得された第0のリソース割当情報及び第iのリソース割当情報のうち、複数のリソース割当情報に基づいて、割り当てられたリソースに信号を配置した場合の送信電力の合計を計算する。調整部b143は、計算の結果、最大送信電力を超える分の送信電力だけ、送信電力を下げる。ここで、調整部b143は、上り制御信号の送信電力は変更せずに、上りデータ信号の送信電力をそれぞれ、各基地局a1−nで均等に下げる。例えば、調整部b143は、同じ電力だけ、各基地局a1−nとの送信電力を下げる。具体的には、調整部b143は、N個の基地局a1−nと同時に通信できる(CAを行う)場合には、ΔP={(送信電力の合計)−(端末最大送信電力}÷Nずつ、各基地局a1−nとの通信の送信電力を下げる。あるいは、調整部b143は、合計電力が最大送信電力を越えない電力まで、同じ割合の電力だけ、各基地局a1−nとの送信電力を下げても良い。また、調整部b143は、周波数バンド又はCCの帯域幅や周波数に応じた電力だけ、各基地局a1−nとの送信電力を下げても良い。あるいは、ハンドオーバー制御などの無線管理制御信号の通信を行っているCC以外のCCの送信電力を下げてもよい。
(ステップS105)配置制御部b144は、ステップS101で取得された第0のリソース割当情報及び第iのリソース割当情報に基づいて、リソースに信号を配置する。ここで、配置制御部b144は、ステップS104で送信電力が調整された場合には、調整後の送信電力になるように、リソースに信号を配置する。
【0029】
このように、本実施形態では、制御部b14は、端末b1から基地局a1−n各々への上りリンクの通信について、全通信における送信電力の合計が閾値(最大送信電力)以下になるように、通信各々で通信する送信電力を配分する。これにより、通信システムでは、端末b1は、送信電力の最大値を超えるようなリソース配置を防止でき、送信電力を適切に管理できる。
また、制御部b14は、基地局a1−n各々から、当該基地局a1−nとの通信についてのリソース割当情報を取得する。制御部b14は、リソース割当情報に基づいて通信各々で通信する送信電力を推定し、推定した送信電力各々から一定値ΔPを減らした修正値であって、全通信での修正値の合計が閾値以下となる修正値を算出する。制御部b14は、算出した修正値各々を、通信各々で通信する送信電力として配分する。これにより、通信システムでは、端末b1は、全通信で均一に送信電力を下げることができる。
【0030】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。通信システムを示す概念図及び通信システムの概略構成を示すブロック図は、上述(図1図2)のとおりである。
本実施形態は、端末b1から基地局a1−nへの上りリンクにおいて、端末b1の送信電力の最大を越えるリソース割り当てが指示される場合の例である。一例として、最大を越えるリソース割り当ての指示がされた場合に、端末b1は、基地局a1−nを選択し、選択した基地局a1−nと通信を行い、選択しなかった基地局a1−nとは通信を止める。なお、本実施形態では、各基地局a1−nは、端末b1に対する無線通信に用いるリソースを、独立に割り当てる。
【0031】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る端末b1の動作を示すフローチャートである。本実施形態係るフローチャート(図4)は、第1の実施形態に係るフローチャート(図3)を比較すると、ステップS204、S205が異なる。その他のステップの処理は、第1の実施形態に係るフローチャートと同じであるので、説明は省略する。
【0032】
(ステップS204)調整部b143は、通信を行う予定の基地局a1−nの中から、次の(1)〜(3)のように、1又は複数の基地局a1−nを選択する。ここで、調整部b143は、選択した1又は複数の基地局a1−nとの通信の送信電力の合計が閾値以下になるように、1又は複数の基地局a1−nを選択する。この閾値は、例えば端末b1の送信電力の最大値である最大送信電力である。
(1)送信電力のより低い基地局a1−nを、優先して選択する
(2)通信品質のより良い(例えば経路損失(パスロス)の少ない)基地局a1−nを、優先して選択する
(3)スモール基地局a1−iを、マクロ基地局a1−0より優先して選択する
【0033】
(1)の場合、例えば、調整部b143は、ステップS101で取得された第0のリソース割当情報及び第iのリソース割当情報に基づいて、送信電力が低い基地局a1−nを、優先して選択する。(2)の場合、例えば、調整部b143は、情報処理部b142が生成した通信品質情報に基づいて、通信品質の良い基地局a1−nを、優先して選択する。(3)の場合、例えば、調整部b143は、情報処理部b142が取得した情報であって、各基地局装置a1−nの種別(スモール基地局であるかマクロ基地局であるか)を示す情報に基づいて、スモール基地局a1−iを選択する。これにより、スモール基地局a1−iは通常マクロ基地局a1−0より送信電力が低いため、調整部b143は、より低い基地局a1−nが選択することとなる。
【0034】
(ステップS205)配置制御部b144は、ステップS101で取得された第0のリソース割当情報及び第iのリソース割当情報に基づいて、リソースに信号を配置する。ここで、配置制御部b144は、ステップS304で基地局a1−nが選択された場合には、選択された基地局a1−nのリソース割当情報に基づいて、リソースに信号を配置する。
【0035】
このように、本実施形態では、制御部b14は、全通信における送信電力の合計が閾値を超える場合には、少なくとも1つ以上の基地局a1−nとの通信を止める。通信システムでは、端末b1は、ある基地局a1−nとの通信にリソースを配置しないことで、送信電力の最大値を超えるようなリソース配置を防止でき、送信電力を適切に管理できる。
【0036】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。通信システムを示す概念図及び通信システムの概略構成を示すブロック図は、上述(図1図2)のとおりである。
本実施形態は、端末b1から基地局a1−nへの上りリンクにおいて、端末b1の送信電力の最大を越えるリソース割り当てが指示される場合の例である。一例として、最大を越えるリソース割り当ての指示がされた場合に、端末b1は、基地局a1−nを選択し、選択した基地局a1−nと通信を行い、選択しなかった基地局a1−nとは通信を止める。ここで、端末b1は、記憶する情報が示す優先順位に従って、基地局a1−nを選択する。この優先順位は、端末b1は基地局a1−nから通知される優先順位を示す情報、又は、予め定められた優先順位を示す情報に従って、基地局a1−nを選択する。なお、本実施形態では、各基地局a1−nは、端末b1に対する無線通信に用いるリソースを、独立に割り当てる。
【0037】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る端末b1の動作を示すフローチャートである。本実施形態係るフローチャート(図5)は、第1の実施形態に係るフローチャート(図3)を比較すると、ステップS300、S304〜S306が異なる。その他のステップの処理は、第1の実施形態に係るフローチャートと同じであるので、説明は省略する。
【0038】
(ステップS300)情報処理部b142は、基地局a1−n(例えばマクロ基地局a1−0)から、各基地局a1−nとの通信に関する優先順位を示す情報を取得する。情報処理部b142は、取得した情報を、記憶部b13に記憶させる。その後、ステップSS101へ進む。
(ステップS304)調整部b143は、通信を行う予定の基地局a1−nの中から、ステップS300で記憶された情報が示す優先順位に従って、1又は複数の基地局a1−nを選択する。ここで、調整部b143は、選択した1又は複数の基地局a1−nとの通信の送信電力の合計が閾値以下になるように、1又は複数の基地局a1−nを選択する。この閾値は、例えば端末b1の送信電力の最大値である最大送信電力である。その後、ステップS305へ進む。
【0039】
(ステップS305)情報処理部b142は、通信を行う予定の基地局a1−nの中から、ステップS304で選択されなかった基地局a1−nに対して、上りリンクのリソースに信号を配置できない旨、つまり、通信を行わない旨を、通知する。その後、ステップS306へ進む。
(ステップS306)配置制御部b144は、ステップS101で取得された第0のリソース割当情報及び第iのリソース割当情報に基づいて、リソースに信号を配置する。ここで、配置制御部b144は、ステップS305で基地局a1−nが選択された場合には、選択された基地局a1−nのリソース割当情報に基づいて、リソースに信号を配置する。
【0040】
このように、本実施形態では、制御部b14は、全通信における送信電力の合計が閾値を超える場合には、優先順位に従って、少なくとも1つ以上の基地局a1−nとの通信を止める。通信システムでは、端末b1は、優先順位の低い基地局a1−nとの通信にリソースを配置しないことで、送信電力の最大値を超えるようなリソース配置を防止でき、送信電力を適切に管理できる。
なお、第2の実施形態において、情報処理部b142は、通信を行う予定の基地局a1−nの中から、ステップS204で選択されなかった基地局a1−nに対して、上りリンクのリソースに信号を配置できない旨、つまり、通信を行わない旨を、通知しても良い。
【0041】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について詳しく説明する。通信システムを示す概念図及び通信システムの概略構成を示すブロック図は、上述(図1図2)のとおりである。
本実施形態は、端末b1から基地局a1−nへの上りリンクにおいて、基地局a1−n又は管理装置は、端末b1の送信電力の最大を越えないように、リソース割り当ての指示をする。一例として、ネットワーク側の装置(基地局a1−n又は管理装置)は、端末b1と通信を始める前に、端末b1と各基地局a1−nの通信について、最大送信電力の分配を決めておく。端末b1は、それぞれの基地局a1−nに対して、分配された最大送信電力に対するPHRを各基地局a1−nに独立に報告する。基地局a1−nは、この報告に基づいてリソースを割り当てることで、端末b1での送信電力が制御される。
【0042】
図6は、本発明の第4の実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。この図のシーケンス図は、端末b1が、マクロ基地局a1−0と、1又は複数のスモール基地局a1−iとCAを行う場合の図である。
(ステップS401)端末b1は、待ち受け状態にある。ユーザ操作やアプリケーション機能等によってデータ通信が必要になった場合、情報処理部b142は、データ通信の接続を要求するデータ接続要求を生成する。その後、ステップS402へ進む。
(ステップS402)情報処理部b142は、ステップS401で生成したデータ接続要求を、マクロ基地局a1−0へ宛てて送信させる。その後、ステップS403へ進む。
【0043】
(ステップS403)情報取得部a131は、ステップS402のデータ接続要求を取得する。この場合、割当部a132は、上りリンクにおいて、例えば、マクロ基地局a1−0と、1又は複数のスモール基地局a1−iと、CAを行うことを決定する。以下、端末b1に対して、マクロ基地局a1−0とCAを行う1又は複数のスモール基地局a1−i各々を、CAスモール基地局と称する。その後、ステップS404へ進む。
(ステップS404)情報提供部a133は、ステップS403で決定したCAスモール基地局へ、端末b1に対してマクロ基地局a1−0とCAを行うことを示すCA接続通知を送信させる。その後、ステップS405へ進む。
(ステップS405)情報提供部a133は、端末b1へ、マクロ基地局a1−0とステップS403で決定したCAスモール基地局と、上りリンクにおいてCAでの接続設定を要求するCA接続設定要求を送信させる。その後、ステップS406へ進む。
(ステップS406)割当部a132は、端末b1について、マクロ基地局a1−0及びCAスモール基地局の通信各々で通信する送信電力を決定する。例えば、割当部a132は、マクロ基地局a1−0及びCAスモール基地局との通信各々において、端末b1での最大送信電力を決定する。割当部a132は、例えば、次の(1)〜(3)のように、送信電力を分配することで、各通信における最大送信電力を決定する。その後、ステップS407へ進む。
【0044】
(1)割当部a132は、端末b1が在圏するマクロ基地局a1−0とCAスモール基地局の位置関係により決定する。例えば、マクロ基地局a1−0は、CAスモール基地局との位置関係を把握しており、端末b1とマクロ基地局a1−0間と、端末b1とCAスモール基地局間と、の距離比を算出する。割当部a132は、これらの距離比に応じて、最大電力の分配を決定する。例えば、割当部a132は、マクロ基地局a1−0とCAスモール基地局の距離と、CAスモール基地局のスモールセル半径とを、記憶部a12が記憶する情報から把握し、これらの比率を、上述の距離比としても良い。
(2)スモール基地局a1−iの最大送信電力が予め設定(max_Psmall)され、記憶部a12に記憶される。例えば、割当部a132は、CAスモール基地局の最大送信電力を、記憶部a12に設定されている最大送信電力とする。割当部a132は、マクロ基地局a1−0の最大送信電力を、端末b1の最大送信電力から、CAスモール基地局の最大送信電力(max_Psmall)の合計を差し引いた値とする。
(3)割当部a132は、マクロ基地局a1−0及びCAスモール基地局に対して、等分配する。例えば、割当部a132は、端末b1がN個の基地局a1−nと同時に通信できる(CAを行う)場合には、基地局a1−n各々の端末b1に対する最大送信電力を、P=端末最大送信電力÷Nとする。
【0045】
(ステップS407)情報提供部a133は、ステップS406で決定された最大送信電力を示す基地局最大送信電力通知を、CAスモール基地局へ宛てて送信させる。ここで、基地局最大送信電力通知には、端末b1の識別情報、及びその端末b1に対する通知先のCAスモール基地局での最大送信電力が含まれている。その後、ステップS408へ進む。
(ステップS408)情報提供部a133は、ステップS406で決定された最大送信電力を示す最大送信電力通知を、端末b1へ宛てて送信させる。ここで、最大送信電力通知には、マクロ基地局a1−0及びCAスモール基地局の識別情報、及びこれらの基地局との通信各々の最大送信電力を示す情報が含まれている。その後、ステップS409へ進む。
(ステップS409)情報処理部b142は、ステップS408の最大送信電力通知を取得し、記憶部b13に記憶させる。情報処理部b142は、CAを行う設定が完了すると、CA接続設定応答を、マクロ基地局a1−0へ宛てて送信させる。その後、ステップS410へ進む。
【0046】
(ステップS410)調整部b143は、サブフレーム内での物理UL共用チャネル(PUSCH)送信のための送信電力(PUS送信電力と称する)を推定する。調整部b143は、各基地局a1−n毎に、ステップS408の最大送信電力通知が示す最大送信電力と、推定したPUS送信電力と、の差を、PHRとして算出する。つまり、調整部b143は、各基地局a1−nに配分された最大送信電力通知に対するPHRを算出する。調整部b143は、算出した差示すPHR報告を生成する。
調整部b143は、マクロ基地局a1−0との通信について、PHR報告を生成する。調整部b143は、生成したPHR報告を、マクロ基地局a1−0へ宛てて送信させる。その後、ステップS411へ進む。
(ステップS411)調整部b143は、CAスモール基地局との通信各々について、PHR報告を生成する。調整部b143は、生成したパワーヘッドルーム報告を、各CAスモール基地局へ宛てて送信させる。その後、ステップS412へ進む。
【0047】
(ステップS412)マクロ基地局a1−0の割当部a132は、端末b1との通信についてリソースを割り当て、割り当てたリソースを示すリソース割当情報を生成する。ここで、この割当部a132は、ステップS410のPHR報告に基づいて、リソースを割り当てる。配置制御部b144は、マクロ基地局a1−0の割当部a132が生成したリソース割当情報に基づいて、マクロ基地局a1−0との通信における信号の配置を制御する。これにより、配置制御部b144が通信各々で通信する送信を配分しつつ、端末b1は、マクロ基地局a1−0と通信を行うこととなる。その後、ステップS413へ進む。なお、割当部a132は、PHR報告だけでなく、伝搬品質や端末の残データ量(端末データバッファ状況)等に基づいて、リソースを割当てても良い。
(ステップS413)CAスモール基地局の割当部a132は、端末b1との通信についてリソースを割り当て、割り当てたリソースを示すリソース割当情報を生成する。ここで、この割当部a132は、ステップS411のPHR報告に基づいて、リソースを割り当てる。配置制御部b144は、CAスモール基地局の割当部a132が生成したリソース割当情報に基づいて、CAスモール基地局との通信における信号の配置を制御する。これにより、配置制御部b144が通信各々で通信する電力を配分しつつ、端末b1は、CAスモール基地局と通信を行うこととなる。その後、ステップS412及びステップS413を繰り返すが、ステップS410やステップS411に戻っても良い。各基地局の最大送信電力については、通信データ量やPHRの報告等により、変更することは可能であり、変更する場合には再度報告しても良い。PHR報告は、パスロスの変化があった場合等に随時報告しても良い。この報告は、基地局a1−n毎に独立しており、端末b1は、報告が必要になった基地局a1−nのみへ報告しても良い。
【0048】
このように、本実施形態では、マクロ基地局a1−0の制御部a13は、基地局a1−n各々と端末b1の通信について、端末b1の通信各々における最大送信電力の配分を決定する。制御部b14は、基地局a1−n各々に割り当てられたリソースに対する送信電力と制御部a13が決定した最大送信電力の配分とに基づいて基地局a1−n各々に対するPHR報告を生成し、生成したPHR報告を基地局a1−n各々へ報告する。制御部b14は、基地局a1−n各々で通信する送信電力を配分する。これにより、通信システムでは、ネットワーク側の装置は、最大送信電力を越えるリソース割り当てを指示することを防ぐことが可能になる。さらに、端末b1が基地局a1−n各々へPHRを報告することで、基地局a1−nは効率良くスケジューリングができる。
【0049】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について詳しく説明する。通信システムを示す概念図及び通信システムの概略構成を示すブロック図は、上述(図1図2)のとおりである。
本実施形態は、端末b1の端末能力として、周波数バンド毎の最大送信電力の少なくとも1つが異なる場合の一例である。
【0050】
図7は、本発明の第5の実施形態に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。本実施形態係るシーケンス図(図7)は、第6の実施形態に係るシーケンス図(図6)を比較すると、ステップS501〜S506が異なる。その他のステップの処理は、第1の実施形態に係るフローチャートと同じであるので、説明は省略する。
【0051】
(ステップS501)端末b1の電源が入れられる(電源オン)。その後、ステップS502へ進む。
(ステップS502)情報処理部b142は、記憶部b13が予め記憶する端末能力情報を読み出し、端末能力情報を含む端末能力情報通知(例えば、UE Capabilityメッセージ)を、マクロ基地局a1−0へ宛てて送信させる。この端末能力情報は、端末b1の能力を示す情報であり、例えば、各周波数バンドについて端末b1の最大送信電力を示す情報を含む。その後、ステップS502へ進む。なお、スモール基地局a1−iとの通信に使用する周波数バンドでの最大送信電力は、マクロ基地局a1−0との通信に使用する周波数バンドでの最大送信電力より、低く設定されても良い。この設定により、通信システムでは、端末bのスモール基地局a1−i送信用の最大送信電力を低く設定できるため、その分端末bの簡単化を図ることが可能となる。特に、スモール基地局a1−i専用の周波数バンドが決められた場合に、その周波数バンドの最大送信電力を、マクロ基地局a1−0が使用する周波数バンドのものより、一律に低く設定できるため、有効となる。
【0052】
(ステップS503)情報取得部a131は、ステップS502の端末能力情報通知を取得し、その端末能力情報通知に含まれる端末能力情報を、端末b1の識別情報とともに記憶部a12に記憶させる。すなわち、記憶部a12は、各端末b1の各周波数バンドについて、最大送信電力を示す情報を記憶する。その後、ステップS504へ進む。
(ステップS504)情報提供部a133は、ステップS503の応答である端末能力情報通知応答を、端末b1へ宛てて送信させる。その後、ステップS505へ進む。
(ステップS505)端末b1は、待ち受け状態となる。その後、ステップS401へ進む。
【0053】
(ステップS506)割当部a132は、端末b1について、マクロ基地局a1−0及びCAスモール基地局の通信各々で通信する送信電力を決定する。例えば、割当部a132は、マクロ基地局a1−0及びCAスモール基地局との通信各々において、端末b1での最大送信電力を決定する。ここで、割当部a132は、ステップS503で記憶された情報が示す各周波数バンドについての最大送信電力に基づいて、送信電力を分配することで、各通信における最大送信電力を決定する。例えば、割当部a132は、マクロ基地局a1−0が決定した基地局毎の端末b1の最大送信電力が、予め決められたバンド毎の最大送信電力の端末能力値の範囲内に入るように、最大送信電力を決定する。また、端末b1がN1個の基地局a1−nと周波数バンドAを用いて同時に通信でき、N2個の基地局a1−nと周波数バンドBを用いて同時に通信できる(CAを行う)ときに、周波数バンドAとBでの最大送信電力の比がM対1の場合は、次のようにしてもよい。この場合、割当部a132は、周波数バンドAを用いる基地局a1−n各々の端末b1に対する最大送信電力を、P1={端末最大送信電力×M÷(M×N1+N2)}とする。割当部a132は、周波数バンドBを用いる基地局a1−n各々の端末b1に対する最大送信電力を、P2={端末最大送信電力÷(M×N1+N2)}とする。
【0054】
このように、本実施形態では、マクロ基地局a1−0の制御部a13は、各周波数バンドについて端末b1の最大送信電力を示す情報に基づいて、端末b1の通信各々における最大送信電力の配分を決定する。これにより、通信システムでは、端末b1の構成や端末b1での設定を、簡易化することができる。
【0055】
なお、上記各実施形態において、CCは、2個以上であっても良く、例えば、3個以上であっても良い。この場合、CC各々について、各CCを用いる基地局a1−nが異なっても良い。また、選択する基地局装置の優先順位や、各基地局装置への端末の最大送信電力の決定については、上記記載の通り、マクロ基地局が行ってもいいが、スモール基地局、あるいはコアネットワークが決定してもよい。また、上記各実施形態において、最大送信電力を決定するとは、最大送信電力の修正値を決定することであってもよい。ここで、修正値とは、予められた基準値からの修正値である。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
a1−n(n=0、1、2…)・・・基地局、a1−0・・・マクロ基地局、a1−i(i=1、2、…)・・・スモール基地局、C1n(n=0、1、2…)・・・セル、b1・・・端末、a11・・・通信部、a12・・・記憶部、a13・・・制御部、a14・・・下り送信部、a15・・・上り受信部、a131・・・情報取得部、a132・・・割当部、a133・・・情報提供部、b11・・・入力部、b12・・・出力部、b13・・・記憶部、b14・・・制御部、b15・・・下り受信部、b16・・・上り送信部、b141・・・電力情報取得部、b142・・・情報処理部、b143・・・調整部、b144・・・配置制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7