特許第6229375号(P6229375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229375
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171106BHJP
【FI】
   B41J2/01 129
   B41J2/01 401
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-180203(P2013-180203)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-47750(P2015-47750A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福士 英一
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−010069(JP,A)
【文献】 特開2005−218922(JP,A)
【文献】 特開2012−020482(JP,A)
【文献】 特開2006−040974(JP,A)
【文献】 特開2004−188966(JP,A)
【文献】 特開2009−22831(JP,A)
【文献】 特開2006−165437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 − 2/215
B01J 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して光硬化型の液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記媒体に噴射された前記液体に対して光を照射して前記液体を硬化させる複数の光源と、
前記光源に電流を供給して前記光源を駆動する複数の駆動部と、
通信信号と照射切換信号とを制御する第1制御部と、
前記第1制御部から伝送される前記通信信号に基づいて前記駆動部から前記光源への電流の供給態様を制御する第2制御部と、
前記第1制御部から前記第2制御部に向けて前記通信信号が伝送される通信信号伝送路と、
前記第1制御部と各々の前記駆動部との間に前記第2制御部を介さずに接続され、各々の前記駆動部から前記光源への電流の供給の有無を制御する前記照射切換信号を伝送する照射切換信号伝送路と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、PWM信号を用いたパルス幅変調による制御、及び、アナログ信号を用いた定電流制御による制御のうち少なくとも一方に基づき、前記駆動部から前記光源への電流の供給態様を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、複数の前記駆動部の前記光源への電流の供給態様を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記通信信号伝送路を介して前記第2制御部に向けて前記通信信号として差動信号を伝送することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記第1制御部には、複数の前記第2制御部が該第2制御部同士を前記通信信号伝送路を介して電気的に接続することにより並列的に接続されており、
複数の前記第2制御部のうち前記第1制御部からの伝送路が最も長い前記第2制御部に接続された前記通信信号伝送路には終端抵抗が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記液体噴射装置の動作を制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記第2制御部は、前記液体噴射装置の動作の異常を示す異常検出信号が入力された場合には、前記駆動部から前記光源への電流の供給を停止することを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記照射切換信号は、前記第1制御部によって生成されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記通信信号伝送路は、シリアルバスであることを特徴とする請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に光硬化型の液体を噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、走査方向に往復移動されるキャリッジに支持された液体噴射ヘッドのノズルからUV硬化型(光硬化型)のインク(液体)を媒体に向けて噴射するインクジェット式のプリンターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
こうしたプリンターは、複数の光源からなる照射部がキャリッジにおける液体噴射ヘッドの両側に支持されており、媒体に噴射されたインクに対して照射部からUV光を照射することにより、媒体上においてインクを硬化させて定着させていた。
【0004】
また、こうしたプリンターは、キャリッジの往復移動に合わせて照射部のON/OFFを制御することにより、液体噴射ヘッドからメンテナンス装置に噴射されたインクがUV光によって硬化されることが抑制されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−240337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プリンターが照射部における複数の光源群のON/OFFを個別に制御する複数の制御基板を備える場合、光源群のON/OFFを切り替えるためのコマンド信号がメインコントローラーのCPUから複数の制御基板のCPUに対して伝送される。この場合、これらの制御基板の間では、クロックの周期と、割り込みによる処理遅延等に起因して、コマンド受信処理、解析処理、出力処理に要するCPUの処理時間にばらつきがある。そのため、メインコントローラーのCPUから複数の制御基板のCPUに対してコマンド信号が同時に入力されたとしても、各々の制御基板のCPUから光源群に対してON/OFF信号が出力されるタイミングにばらつきが生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の光源から媒体への光の照射のタイミングがばらつくことを抑制できる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する液体噴射装置は、媒体に対して光硬化型の液体を噴射する液体噴射装置であって、前記媒体に噴射された前記液体に対して光を照射して前記液体を硬化させる複数の光源と、前記光源に電流を供給して前記光源を駆動する複数の駆動部と、前記液体噴射装置の動作を制御する第1制御部と、前記第1制御部から伝送される通信信号に基づいて前記駆動部から前記光源への電流の供給態様を制御する第2制御部と、前記第1制御部から前記第2制御部に向けて通信信号が伝送される通信信号伝送路と、前記第1制御部と各々の前記駆動部との間に接続され、各々の前記駆動部から前記光源への電流の供給の有無を制御する照射切換信号を伝送する照射切換信号伝送路とを備えた。
上記課題を解決する液体噴射装置は、媒体に対して光硬化型の液体を噴射する液体噴射装置であって、前記媒体に噴射された前記液体に対して光を照射して前記液体を硬化させる複数の光源と、前記光源に電流を供給して前記光源を駆動する複数の駆動部と、通信信号と照射切換信号とを制御する第1制御部と、前記第1制御部から伝送される前記通信信号に基づいて前記駆動部から前記光源への電流の供給態様を制御する第2制御部と、前記第1制御部から前記第2制御部に向けて前記通信信号が伝送される通信信号伝送路と、前記第1制御部と各々の前記駆動部との間に前記第2制御部を介さずに接続され、各々の前記駆動部から前記光源への電流の供給の有無を制御する前記照射切換信号を伝送する照射切換信号伝送路とを備えた。
【0009】
上記構成によれば、第1制御部から通信信号伝送路とは異なる伝送路である照射切換信号伝送路を介して各々の駆動部に対して照射切換信号が伝送されるため、各光源から媒体への光の照射のタイミングがばらつくことを抑制できる。
【0010】
また、上記液体噴射装置において、前記第2制御部は、PWM信号を用いたパルス幅変調による制御、及び、アナログ信号を用いた定電流制御による制御のうち少なくとも一方に基づき、前記駆動部から前記光源への電流の供給態様を制御することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、第2制御部が第1制御部から伝送される通信信号に基づいて駆動部から光源への電流の供給態様を制御する構成を容易に実現することができる。
また、上記液体噴射装置において、前記第2制御部は、複数の前記駆動部の前記光源への電流の供給態様を制御することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第2制御部からの制御に基づいて複数の駆動部が複数の光源への電流の供給を分散して行う。そのため、第2制御部からの制御に基づいて単一の駆動部が複数の光源への電流の供給を行う場合と比較して、第2制御部からの制御に基づいて駆動部に印加される電圧の大きさが抑えられる。したがって、第2制御部の制御対象となる駆動部において発熱が生じることを低減できる。
【0013】
また、上記液体噴射装置において、前記第1制御部は、前記通信信号伝送路を介して前記第2制御部に向けて前記通信信号として差動信号を伝送することが好ましい。
上記構成によれば、第1制御部から第2制御部に伝送される通信信号が外乱の影響によって乱れることを抑制できる。
【0014】
また、上記液体噴射装置において、前記第1制御部には、複数の前記第2制御部が該第2制御部同士を前記通信信号伝送路を介して電気的に接続することにより並列的に接続されており、複数の前記第2制御部のうち前記第1制御部からの伝送路が最も長い前記第2制御部に接続された前記通信信号伝送路には終端抵抗が設けられていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、通信信号伝送路において通信信号が第1制御部側に反射することが終端抵抗によって抑えられる。したがって、第1制御部側に通信信号が反射することに起因して、第1制御部から第2制御部に伝送される通信信号が乱れることを低減できる。
【0016】
また、上記液体噴射装置において、前記第2制御部は、前記液体噴射装置の動作の異常を示す異常検出信号が入力された場合には、前記駆動部から前記光源への電流の供給を停止することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、液体噴射装置の動作に異常を生じた場合に、光源から媒体への光の照射を停止する構成を容易に実現することができる。
また、上記液体噴射装置において、前記通信信号伝送路は、シリアルバスであることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、第1制御部と第2制御部との間では、通信信号としてのシリアル信号が1ビットごとにデータを転送する。そのため、データの転送に多くの時間を要し、データの転送に要する時間の誤差を生じやすい。その結果、第1制御部に対して複数の第2制御部が接続される構成を採用した場合には、各々の第2制御部から駆動部に対して照射切換信号が出力されるタイミングにばらつきを生じやすい。この点、上記構成では、第1制御部に対して複数の第2制御部が接続される構成を採用した場合であっても、第1制御部から第2制御部を介することなく各々の駆動部に対して照射切換信号が直接伝送される。そのため、各光源から媒体への光の照射のタイミングがばらつくことを抑制できる。
【0019】
また、上記液体噴射装置において、前記照射切換信号は、前記第1制御部によって生成されることが好ましい。
上記構成によれば、第1制御部によって生成された照射切換信号が、第1制御部から通信信号伝送路とは異なる伝送路である照射切換信号伝送路を介して各々の駆動部に対して伝送されるため、各光源から媒体への光の照射のタイミングがばらつくことを抑制できる。
【0020】
また、上記液体噴射装置において、前記第1制御部は、前記駆動部から前記光源への電流の供給態様を制御する前記第2制御部としても機能することが好ましい。
上記構成によれば、第1制御部及び第2制御部を一体に構成することができるため、部品点数の削減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態のプリンターの斜視図。
図2】同実施形態の光照射制御装置の配線構造を示す模式図。
図3】同実施形態の光照射制御装置における終端抵抗部の近傍の配線構造を示す模式図。
図4】同実施形態のLEDドライバーの電気回路図。
図5】第2の実施形態の光照射制御装置の配線構造を示す模式図
図6】別の実施形態のLEDドライバーの電気回路図。
図7】別の実施形態の光照射制御装置の配線構造を示す模式図。
図8】別の実施形態の光照射制御装置の配線構造を示す模式図。
図9】別の実施形態の光照射制御装置の配線構造を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、液体噴射装置をインクジェット式のプリンター11に具体化した第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、プリンター11において略矩形箱状をなすフレーム12内の下部には、その長手方向に延びる矩形板状の支持部材13が配置されている。そして、この支持部材13上には、フレーム12の背面下部に配置された紙送りローラー14によって媒体の一例としての用紙Pが搬送される。
【0024】
フレーム12内における支持部材13の上方には、支持部材13の長手方向に沿ってガイド軸15が架設されている。ガイド軸15には、その長手方向に沿って摺動可能にキャリッジ16が支持されている。
【0025】
フレーム12の背面側の壁部の内面におけるガイド軸15の両端部と対応する位置には、駆動プーリー17及び従動プーリー18が回転自在に支持されている。駆動プーリー17にはキャリッジ16を往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモーター19の出力軸が連結されるとともに、これら一対のプーリー17,18の間には一部がキャリッジ16に連結された無端状のタイミングベルト20が掛装されている。したがって、キャリッジ16は、ガイド軸15にガイドされながら、キャリッジモーター19の駆動力によって無端状のタイミングベルト20を介してガイド軸15の長手方向に沿って移動する。
【0026】
キャリッジ16の下面側には、液体噴射ヘッド(図示略)が支持されている。また、キャリッジ16には液体噴射ヘッドに対して光硬化型の液体の一例としてのUV硬化型のインク(以下、「UVインク」という)を供給するためのインクカートリッジ24が着脱可能に装着されている。インクカートリッジ24内のUVインクは、液体噴射ヘッドに備えられた圧電素子の駆動に伴ってインクカートリッジ24から液体噴射ヘッドへ供給可能とされている。そして、供給されたUVインクが液体噴射ヘッドから支持部材13上に搬送された用紙Pに噴射されることにより印刷が行われる。
【0027】
また、キャリッジ16の側面側には、一対の照射器30,31が支持されている。これらの照射器30,31は、キャリッジ16の移動方向において液体噴射ヘッドを挟んだ両側に支持されている。そして、各照射器30,31は、用紙Pに噴射されたUVインクにUV光を照射することによりUVインクを硬化させる。
【0028】
また、フレーム12内における支持部材13の側方は、非印刷時にキャリッジ16が待機するホームポジションHPとなっている。そして、ホームポジションHPには、液体噴射ヘッドのクリーニング等のメンテナンスを行うためのメンテナンス装置25が配置されている。
【0029】
また、図2に示すように、プリンター11は、照射器30,31から用紙P上のUVインクへのUV光の照射を制御する光照射制御装置40を備えている。光照射制御装置40は、第1制御部の一例としてのメインコントローラー41と、該メインコントローラー41に対して電気的に接続された第2制御部の一例としての複数の制御基板42とを有している。
【0030】
メインコントローラー41は、CPU43と、コネクター44とを有している。CPU43は、プリンター11の動作を統括的に制御しており、液体噴射ヘッドから用紙PへのUVインクの噴射動作、用紙Pの搬送動作、キャリッジ16の移動動作、照射器30,31の移動動作等を制御している。
【0031】
各制御基板42は、CPU46と、二つのLEDドライバー47a,47bから構成される駆動部48と、二つのコネクター49,50とを有している。メインコントローラー41のコネクター44と、一つの制御基板42のコネクター49との間には、ワイヤーハーネス51が接続されている。また、制御基板42のコネクター50と、該制御基板42に隣り合う制御基板42のコネクター49との間にもワイヤーハーネス52が接続されている。そのため、メインコントローラー41のCPU43には、複数の制御基板42のCPU46がワイヤーハーネス51及びワイヤーハーネス52を介して接続されている。なお、複数の制御基板42は、見かけ上は直列的に接続されているが、電気回路上は並列的に接続されている。
【0032】
メインコントローラー41におけるCPU43とコネクター44との間には、コマンド信号送信路TX1と、リプライ信号送信路RX1と、照射切換信号伝送路S1とが形成されている。コマンド信号送信路TX1は、CPU43から制御基板42側に通信信号の一例としてのコマンド信号を伝送する通信信号伝送路として機能する。また、リプライ信号送信路RX1は、制御基板42側からCPU43に通信信号の一例としてのリプライ信号を伝送する通信信号伝送路として機能する。また、照射切換信号伝送路S1は、CPU43が照射切換信号として生成した照射ON信号をCPU43から駆動部48に伝送する。
【0033】
なお、本実施形態では、メインコントローラー41のCPU43と制御基板42のCPU46との間ではシリアル通信方式でデータ通信が行われる。そして、このデータ通信においてコマンド信号として用いられるシリアル信号は、1ビットごとにデータの転送を行う。また、コマンド信号は、コマンドの内容を示すコマンド情報の他に、コマンド信号の伝送対象を指定するためのアドレス情報を含んで構成されている。この場合、アドレス情報は、複数の制御基板42のCPU46の中から特定の制御基板42のCPU46のみをコマンド信号の伝送対象として指定することが可能である。また、アドレス情報は、全ての制御基板42のCPU46をコマンド信号の伝送対象として指定することも可能である。また、本実施形態では、照射切換信号の一例として、所定の閾値以上の電位を有する直流電圧信号が用いられる。
【0034】
制御基板42におけるコネクター49とコネクター50との間には、コマンド信号送信路TX2とリプライ信号送信路RX2とが形成されている。コマンド信号送信路TX2は、メインコントローラー41側からCPU46側に通信信号の一例としてのコマンド信号を伝送する通信信号伝送路として機能する。また、リプライ信号送信路RX2は、CPU46側からメインコントローラー41側に通信信号の一例としてのリプライ信号を伝送する通信信号伝送路として機能する。また、制御基板42におけるコネクター49とコネクター50との間には、メインコントローラー41側から駆動部48側に照射切換信号として照射ON信号を伝送する照射切換信号伝送路S2が形成されている。
【0035】
制御基板42におけるCPU46とコネクター50との間には、コマンド信号送信路TX3とリプライ信号送信路RX3とが形成されている。そして、コマンド信号送信路TX3は、メインコントローラー41側からCPU46側に通信信号の一例としてのコマンド信号を伝送する通信信号伝送路として機能する。また、リプライ信号送信路RX3は、CPU46側からメインコントローラー41側に通信信号の一例としてのリプライ信号を伝送する通信信号伝送路として機能する。また、制御基板42におけるコネクター50と駆動部48との間には、メインコントローラー41側から駆動部48側に照射切換信号として照射ON信号を伝送する照射切換信号伝送路S3が形成されている。
【0036】
そして、メインコントローラー41のコマンド信号送信路TX1と制御基板42のコマンド信号送信路TX2とは、ワイヤーハーネス51において通信信号伝送路として機能するコマンド信号伝送路TX4を介して電気的に接続されている。また、メインコントローラー41のリプライ信号送信路RX1と制御基板42のリプライ信号送信路RX2とは、ワイヤーハーネス51において通信信号伝送路として機能するリプライ信号送信路RX4を介して電気的に接続されている。また、メインコントローラー41の照射切換信号伝送路S1と制御基板42の照射切換信号伝送路S2とは、ワイヤーハーネス51における照射切換信号伝送路S4を介して電気的に接続されている。また、隣り合う制御基板42同士のコマンド信号送信路TX2、リプライ信号送信路RX2及び照射切換信号伝送路S2は、ワイヤーハーネス52において通信信号伝送路として機能するコマンド信号送信路TX5、リプライ信号送信路RX5及び照射切換信号伝送路S5を介してそれぞれ電気的に接続されている。なお、コマンド信号送信路TX3には、終端抵抗部60が設けられている。
【0037】
具体的には、図3に示すように、コマンド信号送信路TX1,TX2,TX3,TX4,TX5及びリプライ信号送信路RX1,RX2,RX3,RX4,RX5の各々は、一対の信号線SG(+),SG(−)によって構成されている。そして、メインコントローラー41のCPU43と制御基板42のCPU46との間では、一対の信号線SG(+),SG(−)で構成する差動信号が伝送される。なお、本実施形態では、メインコントローラー41のCPU43と制御基板42のCPU46との間で伝送される通信信号として差動信号が用いられているが、メインコントローラー41のCPU43から制御基板42の駆動部48に伝送される照射切換信号として差動信号を用いてもよい。
【0038】
また、コマンド信号送信路TX3を構成する一対の信号線SG(+),SG(−)の間には終端抵抗部60が設けられている。終端抵抗部60は、スイッチSW1及び終端抵抗61が直列に接続されている。なお、本実施形態では、スイッチSW1の一例としてDIPスイッチ(Dual In-line Package スイッチ)が用いられているが、スイッチSW1としてジャンパスイッチ等の他のスイッチを用いてもよい。そして、本実施形態では、メインコントローラー41に並列に接続された制御基板42のうち、メインコントローラー41からの伝送路が最も長い制御基板42のスイッチSW1がオンとされる一方で、他の制御基板42のスイッチSW1がオフとされる。すなわち、メインコントローラー41に並列に接続された制御基板42のうち、メインコントローラー41からの伝送路が最も長い制御基板42の終端抵抗61が有効に機能する一方で、他の制御基板42の終端抵抗61が有効に機能しない。そのため、メインコントローラー41からの伝送路が最も長い制御基板42のコマンド信号送信路TX2の開放端において、コマンド信号が同一の信号線SG(+),SG(−)を通じてメインコントローラー41側に反射することがなく、信号線SG(+),SG(−)を通じて伝送されるコマンド信号の波形が乱れることが抑制される。なお、信号線SG(+),SG(−)のインピーダンスと終端抵抗61のインピーダンスは同程度に設定されているため、終端抵抗61においてコマンド信号が反射することが抑えられ、信号線SG(+),SG(−)を通じて伝送されるコマンド信号の波形が乱れることが抑制される。
【0039】
そして、制御基板42のCPU46は、メインコントローラー41側から伝送されたコマンド信号に基づいて、制御基板42の駆動部48に対してPWM(Pulse Width Modulation)信号を伝送する。また、制御基板42のCPU46は、D/Aコンバーター(図示略)を内蔵しており、デジタル信号をD/Aコンバーターを通じてアナログ信号に変換した上で制御基板42の駆動部48に対して伝送する。
【0040】
制御基板42の駆動部48を構成する各LEDドライバー47a,47bは、制御基板42のCPU46から伝送されるPWM信号やアナログ信号に基づいて、照射器30,31が備えるLED基板70に光源の一例として実装されたLED71への電流の供給態様を制御する。すなわち、制御基板42のCPU46は、複数のLEDドライバー47a,47bからLED71への電流の供給態様を制御している。その結果、LED71の点灯態様が制御されることにより、LED71から用紙P上のUVインクに照射されるUV光の光量が調整される。したがって、制御基板42の駆動部48は、複数のLED71から用紙P上のUVインクに照射されるUV光の光量を調整可能となっている。なお、各LEDドライバー47a,47bは、単一のLED71に電流を供給してもよいし、直列に接続された複数のLED71に電流を供給してもよい。
【0041】
また、本実施形態では、全てのLED71は、一つのLED基板70に共通で実装されている。また、LEDドライバー47a,47bからLED71への電流の供給経路の途中位置には、一端が接地されたコンデンサー(図示略)の他端が接続されている。そのため、高周波成分となるトランジスタ82(図4参照)のスイッチングノイズ等に起因したノイズ電流がコンデンサーに選択的に流れ込むため、LEDドライバー47a,47bからLED71に供給される電流がノイズ電流と重畳して乱れを生じることが抑制される。
【0042】
また、制御基板42は、CPU46に対して電気的に接続されたDIPスイッチSW2を備えている。そして、DIPスイッチSW2が操作された場合には、DIPスイッチSW2の操作に応じた操作信号がDIPスイッチSW2からCPU46に伝送される。なお、本実施形態では、DIPスイッチSW2から伝送される操作信号に基づいて制御基板42のCPU46のアドレス情報が設定される。そして、制御基板42のCPU46は、メインコントローラー41のCPU43から伝送されるコマンド信号のうち、アドレス情報が一致したコマンド信号を選択的に受信する。
【0043】
なお、本実施形態では、CPU46からLEDドライバー47a,47bに対してPWM信号をそれぞれ出力しているが、LEDドライバー47a,47bに共通のPWM信号を一本だけ出力するように構成してもよい。この場合、LEDドライバー47a,47bは、同タイミングで制御することになるが、LEDドライバー47a及びLEDドライバー47bをそれぞれ無効化できるDIPスイッチを別途設けて、LEDドライバー47a及びLEDドライバー47bのいずれかの制御の対象となるLED71が用紙PへのUV光の照射に用いられない場合には、制御基板42のDIPスイッチを操作することによって予め無効化できるように構成してもよい。
【0044】
また、制御基板42のCPU46は、LED基板70の温度を検出するためのサーミスター72に対して電気的に接続されている。そして、サーミスター72が検出したLED基板70の温度信号は制御基板42のCPU46に伝送される。すると、温度信号は、制御基板42のCPU46に内蔵されたA/Dコンバーター(図示略)によってデジタル信号に変換された上でメインコントローラー41のCPU43に伝送される。そして、メインコントローラー41のCPU43は、デジタル信号として伝送された温度信号の値を閾値と比較し、温度信号の値が閾値よりも大きい場合には、制御基板42のCPU46からLEDドライバー47a,47bへのPWM信号の伝送を停止させるコマンド信号を制御基板42のCPU46に対して伝送する。そのため、サーミスター72がプリンター11の動作の異常を示す異常検出信号の一例としてLED基板70の温度の異常を示す温度信号を検出した場合には、メインコントローラー41のCPU43は、温度信号の値が閾値よりも大きいと判定する。そして、メインコントローラー41のCPU43は、制御基板42のCPU46からLEDドライバー47a,47bへのPWM信号の伝送を停止させる。なお、本実施形態では、LED基板70に実装された全てのLED71に共通してサーミスター72を一つだけ設けているが、各々のLED71に個別に対応するように複数のサーミスター72を設けてもよい。
【0045】
また、制御基板42のCPU46は、プリンター11の動作の異常を示す異常検出信号の一例としてCPU46の動作の異常を示す動作異常検出信号を検出した場合にも、LEDドライバー47a,47bへのPWM信号の伝送を停止する。
【0046】
次に、LEDドライバー47a,47bの回路構成について説明する。
図4に示すように、LEDドライバー47a,47bは、コイル80、ダイオード81、トランジスタ82及び抵抗83が直流電源に対して直列に接続されることにより直列回路が構成されるとともに、この直列回路の途中位置にLED71が介設されている。また、直列回路におけるコイル80よりも直流電源側(図4では左側)には、接地されたコンデンサー84が接続されている。また、直列回路におけるコイル80とダイオード81との間には、直列に接続されたトランジスタ85及び抵抗86が接続されている。また、直列回路におけるダイオード81とLED71との間には、接地されたコンデンサー87が接続されている。
【0047】
また、LEDドライバー47a,47bは、LEDドライバーIC90を備えている。LEDドライバーIC90は、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が伝送された場合には、制御基板42のCPU46から伝送されるPWM信号の電位がHighである間にトランジスタ82に対して出力端子P2からゲート電圧を断続的に印加する。すると、トランジスタ82のドレイン端子とソース端子との間が断続的に導通状態となる。その結果、コンデンサー87に蓄積された電荷がLED71に流れることによりLED71が点灯する。
【0048】
この場合、制御基板42のレジスター(図示略)には、メインコントローラー41のCPU46から伝送されたPWM信号の設定情報が予め複数格納されている。この設定情報は、PWM信号の周期及びDuty比等をパラメーターとして含んでいる。そして、制御基板42のCPU46は、レジスターに格納された設定情報の中から特定の設定情報を選択して読み出すことにより、LEDドライバーIC90に伝送するPWM信号の周期やDuty比を変更する。その結果、LED71の点灯態様が変化することにより、LED71の光量が調整される。そのため、制御基板42のCPU46は、LEDドライバーIC90に伝送するPWM信号の周期やDuty比を制御することにより、LED71の光量を制御している。なお、制御基板42のレジスターとしては、SRAM等の揮発性メモリを採用してもよいし、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを採用してもよい。
【0049】
また、LEDドライバーIC90の入力端子P3には、トランジスタ82のソース端子の電位が入力される。そして、LEDドライバーIC90は、制御基板42のCPU46から伝送されるアナログ信号に基づいて、出力端子P1からトランジスタ85に印加されるゲート電圧の大きさを変化させる。その結果、入力端子P3を通じて入力された電位に対するLED71のアノード側(コンデンサー87側)の電圧が昇圧されることにより、LED71に流れる電流の大きさが調整される。
【0050】
なお、本実施形態では、制御基板42のCPU46は、PWM信号を用いたパルス幅変調による制御、及び、アナログ信号を用いた定電流制御による制御の双方の制御に基づき、駆動部48からLED71への電流の供給態様を制御しているが、PWM信号を用いたパルス幅変調による制御、及び、アナログ信号を用いた定電流制御による制御の一方の制御に基づき、駆動部48からLED71への電流の供給態様を制御してもよい。
【0051】
一方、LEDドライバーIC90は、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が伝送されていない場合には、トランジスタ82に対してゲート電圧を印加しない。すると、トランジスタ82のドレイン端子とソース端子との間が非導通状態となる。その結果、コンデンサー87に蓄積された電荷がLED71に流れることはなく、LED71は点灯しない。
【0052】
そして、本実施形態では、コンデンサー84、コイル80、トランジスタ85、ダイオード81及びコンデンサー87によって、昇圧型のDC/DCコンバーターが構成されており、直流電源から印加される入力電圧よりもLED71に印加される出力電圧の方が大きい。
【0053】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、光照射制御装置40が照射器30,31から用紙PへのUV光の照射を制御する際の作用に着目して以下説明する。
【0054】
さて、メインコントローラー41のCPU43と制御基板42のCPU46との間でシリアル通信方式でデータ通信を行う場合には、コマンド信号として用いられるシリアル信号が1ビットごとにデータの転送を行うため、コマンド信号の伝送に多くの時間を要する。そのため、コマンド信号を通じてLEDドライバーIC90からトランジスタ82,85へのゲート電圧の印加を同時に開始しようとしても、コマンド信号の伝送に要する時間の誤差や、制御基板42のCPU46がコマンド受信処理、解析処理、出力処理に要する処理時間のばらつきに起因して、ゲート電圧の印加の開始タイミングがばらつきを生じやすい。
【0055】
この点、本実施形態では、LEDドライバーIC90からトランジスタ82,85へのゲート電圧の印加を開始する場合には、メインコントローラー41のCPU43が照射切換信号伝送路S1,S2,S3,S4,S5を介して制御基板42の駆動部48を構成するLEDドライバー47a,47bに対して照射ON信号を伝送する。すると、LEDドライバー47a,47bのLEDドライバーIC90は、制御基板42のCPU46から伝送されるPWM信号に基づいてLED71の光量を制御しつつLED71の点灯を開始させる。
【0056】
この場合、照射ON信号は、制御基板42のCPU46を介することなく、LEDドライバーIC90からトランジスタ82,85へのゲート電圧の印加を開始させるトリガーとなる照射切換信号として直接伝送される。そのため、メインコントローラー41のCPU43から複数の制御基板42の駆動部48に対して照射ON信号が同時に伝送された場合には、コマンド信号の伝送に要する時間の誤差や、各々の制御基板42のCPU46におけるコマンド受信処理、解析処理、出力処理に要する処理時間のばらつきに影響を受けることなく、LEDドライバーIC90からトランジスタ82,85へのゲート電圧の印加が同時に開始される。その結果、複数のLED71から用紙PへのUV光の照射タイミングにばらつきが生じることが抑えられ、これらのLED71から用紙PへのUV光の照射が一斉に開始される。
【0057】
すなわち、キャリッジ16の往復移動に合わせて照射器30,31のON/OFFを制御する場合に、CPU46の処理時間のばらつきを考慮することなく、各照射器30,31からのUV光の照射開始のタイミングが設定される。そのため、各照射器30,31からのUV光の照射開始のタイミングを早めに設定することが不要となる。その結果、照射器30,31から用紙P上のUVインクに照射されるUV光が用紙から反射して液体噴射ヘッドのノズル内のUVインクを硬化させて目詰まりを生じさせることが抑えられる。
【0058】
したがって、上記第1の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)メインコントローラー41のCPU43からコマンド信号送信路TX1,TX2,TX3,TX4,TX5とは異なる伝送路である照射切換信号伝送路S1,S2,S3,S4,S5を介して各々の駆動部48に対して照射ON信号が伝送されるため、各LED71から用紙PへのUV光の照射のタイミングがばらつくことを抑制できる。
【0059】
(2)制御基板42のCPU46は、PWM信号を用いたパルス幅変調による制御、及び、アナログ信号を用いた定電流制御による制御に基づき、駆動部48からLED71への電流の供給態様を制御する。そのため、制御基板42のCPU46がメインコントローラー41のCPU43から伝送される通信信号に基づいて駆動部48からLED71への電流の供給態様を制御する構成を容易に実現することができる。
【0060】
(3)制御基板42のCPU46からの制御に基づいて複数のLEDドライバー47a,47bが複数のLED71への電流の供給を分散して行う。そのため、制御基板42のCPU46からの制御に基づいて単一のLEDドライバー47a,47bが複数のLED71への電流の供給を行う場合と比較して、制御基板42のCPU46からの制御に基づいてLEDドライバー47a,47bに印加される電圧の大きさが抑えられる。したがって、制御基板42のCPU46の制御対象となるLEDドライバー47a,47bにおいて発熱が生じることを低減できる。
【0061】
(4)メインコントローラー41のCPU43は、コマンド信号送信路TX1,TX2,TX3,TX4,TX5を介して各々の制御基板42のCPU46に向けてコマンド信号として差動信号を伝送する。そのため、メインコントローラー41のCPU43から各々の制御基板42のCPU46に伝送されるコマンド信号が外乱の影響によって乱れることを抑制できる。
【0062】
(5)コマンド信号送信路TX3においてコマンド信号がメインコントローラー41のCPU43側に反射することが終端抵抗61によって抑えられる。したがって、メインコントローラー41のCPU43側にコマンド信号が反射することに起因して、メインコントローラー41のCPU43から制御基板42のCPU46に伝送されるコマンド信号が乱れることを低減することができる。
【0063】
(6)制御基板42のCPU46は、LED基板70の温度の異常を示す温度信号が入力された場合やCPU46の動作に異常を生じた場合には、LEDドライバー47a,47bからLED71への電流の供給を停止する。そのため、プリンター11の動作に異常を生じた場合に、LED71から用紙PへのUV光の照射を停止する構成を容易に実現することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、制御基板42がドライバー47a,47bへの照射ON信号の伝送の有無を判定する論理回路を有する点が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明し、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、制御基板42は、論理回路として4つのAND回路100,101,102,103を有している。これらのAND回路100,101,102,103のうち、第1AND回路100、第2AND回路101及び第3AND回路102は、互いに直列に接続されている。また、第4AND回路103は、第2AND回路101の出力側に対して第3AND回路102と並列に接続されている。
【0066】
第1AND回路100には、メインコントローラー41のCPU43が伝送する照射ON信号と、制御基板42のCPU46が動作異常を生じた場合に伝送する動作異常検出信号とが入力される。この場合、第1AND回路100には、照射ON信号が正論理となるの高電位として入力されるとともに、動作異常検出信号が負論理となる低電位として入力される。
【0067】
そして、第1AND回路100は、制御基板42のCPU46から動作異常検出信号が負論理となる低電位として入力されていないことを前提として、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が正論理となる高電位として入力された場合に、正論理となる高電位を出力する。一方、第1AND回路100は、制御基板42のCPU46から動作異常検出信号が負論理となる低電位として入力されている場合には、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が正論理となる高電位として入力されたとしても負論理となる低電位を出力する。
【0068】
第2AND回路101には、第1AND回路100が出力する電圧信号と、制御基板42のCPU46が伝送する異常温度検出信号とが入力される。この場合、異常温度検出信号は、以下のようにして生成される。まず、サーミスター72が検出したLED基板70の温度信号が制御基板42のCPU46に伝送される。すると、温度信号は、制御基板42のCPU46に内蔵されたA/Dコンバーター(図示略)によってデジタル信号に変換された上でメインコントローラー41のCPU43に伝送される。そして、メインコントローラー41のCPU43は、デジタル信号として伝送された温度信号の値を閾値と比較し、温度信号の値が閾値よりも大きい場合には、制御基板42のCPU46から異常温度検出信号として負論理となる低電位を出力させるコマンド信号を制御基板42のCPU46に対して伝送する。そのため、サーミスター72がLED基板70の温度の異常を示す温度信号を検出した場合には、メインコントローラー41のCPU43は、温度信号の値が閾値よりも大きいと判定し、制御基板42のCPU46から第2AND回路101に負論理となる低電位を入力させる。
【0069】
そして、第2AND回路101は、制御基板42のCPU46から異常温度検出信号が負論理となる低電位として入力されていないことを前提として、第1AND回路100から正論理となる高電位が入力された場合に、正論理となる高電位を出力する。一方、第2AND回路101は、制御基板42のCPU46から異常温度検出信号が負論理となる低電位として入力されている場合には、第1AND回路100から正論理となる高電位が入力されたとしても負論理となる低電位を出力する。
【0070】
第3AND回路102には、第2AND回路101が出力する電圧信号と、制御基板42のCPU46が伝送する第1PWM信号(図5には、「PWM1」と表記)とが入力される。そして、第3AND回路102は、第2AND回路101から正論理となる高電位が出力された場合には、制御基板42のCPU46から伝送される第1PWM信号が正論理となる高電位である間に、高電位を断続的に出力する。また、第3AND回路102から断続的に出力される高電位は、制御基板42を構成する第1LEDドライバー47aのLEDドライバーIC90に入力される。
【0071】
第4AND回路103には、第2AND回路101が出力する電圧信号と、制御基板42のCPU46が伝送する第2PWM信号(図5には、「PWM2」と表記)とが入力される。そして、第4AND回路103は、第2AND回路101から正論理となる高電位が出力された場合には、制御基板42のCPU46から伝送される第2PWM信号の電位が正論理となる高電位である間に、高電位を断続的に出力する。また、第4AND回路103から断続的に出力される高電位は、制御基板42を構成する第2LEDドライバー47bのLEDドライバーIC90に入力される。
【0072】
すなわち、本実施形態では、制御基板42のCPU46から動作異常検出信号及び異常温度検出信号の双方が負論理となる低電位として入力されていないことを前提として、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が正論理となる高電位として入力された場合に、各LEDドライバー47a,47bのLEDドライバーIC90に高電位が入力される。そのため、制御基板42のCPU46から動作異常検出信号及び異常温度検出信号の少なくとも一方が負論理となる低電位として入力されている場合には、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が正論理となる高電位が入力されたとしても、各LEDドライバー47a,47bのLEDドライバーIC90に高電位が入力されることはない。
【0073】
この場合、制御基板42のCPU46から伝送されるPWM信号の電位が正論理となる高電位である間に、各LEDドライバー47a,47bのLEDドライバーIC90に高電位が断続的に入力される。そして、LEDドライバーIC90は、高電位が断続的に入力されると、トランジスタ82に対してゲート電圧を断続的に印加する。すると、トランジスタ82のドレイン端子とソース端子との間が断続的に導通状態となる。その結果、コンデンサー87に蓄積された電荷がLED71に流れることによりLED71が点灯する。
【0074】
なお、第2LEDドライバー47bのLEDドライバーIC90に入力される第2PWM信号は、第1LEDドライバー47aのLEDドライバーIC90に入力される第1PWM信号と比較して、周期やDuty比が異なっている。そのため、各LEDドライバー47a,47bから電流が供給されるLED71の点灯態様が互いに異なることにより、各LEDドライバー47a,47bに対応するLED71の光量が互いに異なるように調整される。
【0075】
したがって、上記第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(6)と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
【0076】
・上記各実施形態において、LEDドライバー147a,147bは、降圧型のDC/DCコンバーターを含んで構成されてもよい。
例えば、図6に示すように、LEDドライバー147a,147bは、トランジスタ150、コイル151、トランジスタ152及び抵抗153が直流電源に対して直列に接続されることにより直列回路が構成されるとともに、この直列回路の途中位置にLED71が介設されている。また、直列回路におけるトランジスタ150よりも直流電源側(図6では左側)には、接地されたコンデンサー154が接続されている。また、直列回路におけるコイル151とLED71との間にはダイオード155が接続されるとともに、ダイオード155よりもLED71側には接地されたコンデンサー156が接続されている。
【0077】
この構成では、LEDドライバーIC90は、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が伝送された場合には、制御基板42のCPU46から伝送されるPWM信号の電位が高電位である間に、トランジスタ152に対して出力端子P2からゲート電圧を断続的に印加する。すると、トランジスタ152のドレイン端子とソース端子との間が断続的に導通状態となる。その結果、コンデンサー156に蓄積された電荷がLED71に流れることによりLED71が点灯する。
【0078】
一方、LEDドライバーIC90は、メインコントローラー41のCPU43から照射ON信号が伝送されていない場合には、トランジスタ152に対して出力端子P2からゲート電圧を印加しない。すると、トランジスタ152のドレイン端子とソース端子との間が非導通状態となる。その結果、コンデンサー156に蓄積された電荷がLED71に流れることはなく、LED71は点灯しない。
【0079】
また、LEDドライバーIC90の入力端子P3には、トランジスタ152のソース端子の電位が入力される。そして、LEDドライバーIC90は、制御基板42のCPU46から伝送されるアナログ信号に基づいて、出力端子P1からトランジスタ150に印加されるゲート電圧の大きさを変化させる。その結果、入力端子P3を通じて入力された電位に対するLED71のアノード側(コンデンサー156側)の電圧が降圧されることにより、LED71に流れる電流の大きさが調整される。
【0080】
この場合、コンデンサー154、トランジスタ150、コイル151、ダイオード155及びコンデンサー156によって、降圧型のDC/DCコンバーターが構成されており、直流電源から印加される入力電圧よりもLED71に印加される出力電圧の方が小さい。
【0081】
・上記各実施形態において、LEDドライバー47a,47bは、A/Dコンバーターを含んで構成されることにより、交流電源からLED71に電力を供給してもよい。
・上記第1の実施形態において、図7に示すように、LED基板70は、LED基板70の温度が所定の閾値を上回った場合に断線する温度ヒューズ160を、サーミスター72に代えて備えてもよい。この場合、制御基板42のCPU46は、温度ヒューズ160を通じて供給される電圧を用いて駆動部48に伝送するためのPWM信号を生成してもよい。
【0082】
この構成では、温度ヒューズ160が断線した場合には、温度ヒューズ160を通じた制御基板42のCPU46への電圧の供給が停止される。その結果、制御基板42のCPU46から駆動部48にPWM信号が伝送されなくなる。そのため、メインコントローラー41のCPU43から制御基板42のCPU46に照射ON信号が伝送されたとしても、トランジスタ82に対してゲート電圧が印加されないため、LED71は点灯しない。
【0083】
・上記第2の実施形態において、図8に示すように、LED基板70は、LED基板70の温度が所定の閾値を上回った場合に断線する温度ヒューズ160を、サーミスター72に代えて備えてもよい。この場合、制御基板42のCPU46は、温度ヒューズ160が断線したことを検出した場合に、温度ヒューズ断線信号を異常温度検出信号に代えて第2AND回路101に対して入力してもよい。
【0084】
・上記各実施形態において、図9に示すように、メインコントローラー41のコネクター44と各々の制御基板42のコネクター49との間を、照射切換信号伝送路S3を有する複数の信号線251を介して個別に接続してもよい。
【0085】
・上記各実施形態において、制御基板42のCPU46は、メインコントローラー41のCPU43から伝送された閾値のデータを予め設定する構成としてもよい。この場合、制御基板42のCPU46は、サーミスター72が検出したLED基板70の温度信号の値と予め設定した閾値とを比較することにより、LEDドライバー47a,47bへのPWM信号の伝送を必要に応じて停止させてもよい。
【0086】
・上記各実施形態において、制御基板42のCPU46に対して外付けのD/Aコンバーターを接続してもよい。
・上記各実施形態において、光照射制御装置40は、複数のLED基板70に実装されたLED71を制御対象としてもよい。この場合、各制御基板42が各々が対応する単一のLED基板70に実装されたLED71を制御対象としてもよいし、複数の制御基板42が共通のLED基板70に実装されたLED71を制御対象としてもよい。
【0087】
・上記各実施形態において、制御基板42の駆動部48は、単一のLEDドライバーによって構成されてもよい。
・上記各実施形態において、メインコントローラー41のCPU43は、制御基板42のCPU46を介さずにLEDドライバー47a,47bに対してPWM信号やアナログ信号を直接伝送してもよい。この場合、メインコントローラー41のCPU43は、LEDドライバー47a,47bからLED71への電流の供給の有無を制御するだけでなく、LEDドライバー47a,47bからLED71への電流の供給態様も制御する。
【0088】
・上記各実施形態において、液体噴射装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。なお、液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
11…液体噴射装置の一例としてのプリンター、40…光照射制御装置、43…第1制御部の一例としてのCPU、46…第2制御部の一例としてのCPU、48…駆動部、61…終端抵抗、71…光源の一例としてのLED、P…媒体の一例としての用紙、TX1,TX2,TX3,TX4,TX5…通信信号伝送路の一例としてのコマンド信号送信路、RX1,RX2,RX3,RX4,RX5…通信信号伝送路の一例としてのリプライ信号送信路、S1,S2,S3,S4,S5…照射切換信号伝送路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9