特許第6229421号(P6229421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229421
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20171106BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
   B60K35/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-210332(P2013-210332)
(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公開番号】特開2015-74284(P2015-74284A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 誉規
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−312314(JP,A)
【文献】 特開2004−061325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過光源部(12)と、前記透過光源部により後方から透過照明されて車両状態値を発光表示する透過表示部(16)とを有する透過表示ユニット(10)と、
画像光源部(42)と、前記画像光源部により照明されて車両情報画像を発光表示する画像表示部(46)とを有する画像表示ユニット(40)と、
前記透過表示ユニット及び前記画像表示ユニットを制御する制御手段(54)と、を備え、
前記透過表示ユニットは、前記透過光源部を外周側から取り囲む遮光部材(14b)を、さらに有し、
前記画像表示ユニットは、前記透過表示部の後方に重なって配置され、前記画像表示部と繋がるケーブル(48)を、さらに有し、
前記遮光部材が前記ケーブルを配置するために一部分を欠いていることにより、前記画像光源部で発光する光の一部が前記透過表示部へと漏光し、
前記制御手段は、前記画像表示部による前記車両情報画像の表示を継続させつつ、前記透過表示部による前記車両状態値の表示を停止させる非アクティブ状態において、前記透過光源部及び前記画像光源部を発光させることにより、前記透過表示部の発光輝度を前記画像表示部の発光輝度よりも小さく制御することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記画像表示ユニットは、前記透過表示部の後方に一部分が重なるユニットであることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記透過表示部の後方に位置する端子(52)を備え
記ケーブルは、前記画像表示部から前記端子に繋がることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記非アクティブ状態とは、エンジンスイッチのオフ時から設定時間経過時までの状態であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記非アクティブ状態が開始される時、当該開始前よりも前記透過表示部の発光輝度を低下させることを特徴とする請求項4に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透過表示ユニットにより車両状態値を発光表示させると同時に、画像表示ユニットにより車両情報画像を発光表示させる車両用表示装置が、知られている。
【0003】
このような車両用表示装置の一種として特許文献1の開示装置の透過表示ユニットでは、透過光源部としての発光ダイオードにより、透過表示部としての文字盤が後方から透過照明されることで、車両状態値としての燃料残量が発光表示されている。また、特許文献1の開示装置の画像表示ユニットでは、画像光源部としての発光ダイオードにより、画像表示部としての液晶パネルが照明されることで、車両情報画像としての走行距離が発光表示されている。
【0004】
さて、こうした特許文献1の開示装置では、エンジンスイッチがオフされると、表示を停止させる非アクティブ状態となる。かかる非アクティブ状態では、透過表示部としての文字盤も、画像表示部としての液晶パネルも消灯させた状態で、車両情報画像としての走行距離が表示されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−81866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者は、非アクティブ状態では、透過表示部による車両状態値の表示は停止させるが、画像表示部による車両情報画像の表示は発光させた状態で継続させる技術についても、検討してきた。そして、これら構成では、透過表示部と画像表示部との間に遮光部材を配置できないことがあるため、非アクティブ状態にて画像表示ユニットからの光が透過表示部へ漏光し、見栄えが悪化するとの知見が得られた。
【0007】
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、漏光を目立たなくすることにより、見栄え向上を実現した車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、透過光源部と、透過光源部により後方から透過照明されて車両状態値を発光表示する透過表示部とを有する透過表示ユニットと、画像光源部と、画像光源部により照明されて車両情報画像を発光表示する画像表示部とを有する画像表示ユニットと、透過表示ユニット及び画像表示ユニットを制御する制御手段と、を備え、透過表示ユニットは、透過光源部を外周側から取り囲む遮光部材を、さらに有し、画像表示ユニットは、透過表示部の後方に重なって配置され、画像表示部と繋がるケーブルを、さらに有し、遮光部材がケーブルを配置するために一部分を欠いていることにより、画像光源部で発光する光の一部が透過表示部へと漏光し、制御手段は、画像表示部による車両情報画像の表示を継続させつつ、透過表示部による車両状態値の表示を停止させる非アクティブ状態において、透過光源部及び画像光源部を発光させることにより、透過表示部の発光輝度を画像表示部の発光輝度よりも小さく制御することを特徴とする。
【0009】
このような本発明によると、透過表示ユニットのうち透過光源部により後方から透過照明されて車両状態値を発光表示する透過表示部では、当該車両状態値の表示自体は、非アクティブ状態にて停止させられる。また、かかる非アクティブ状態における画像表示ユニットでは、画像光源部の発光により画像表示部が照明されることで、車両情報画像の発光表示が継続される。ここで、非アクティブ状態にて発光中の画像表示ユニットからは、透過表示部に漏光する事態が想定される。しかし、本発明では、非アクティブ状態での透過光源部及び画像光源部の発光により、画像表示部の発光輝度よりも透過表示部の発光輝度を小さく制御する。これにより車両乗員は、車両状態値の表示自体は停止した非アクティブ状態を認識しながらも、透過表示部のうち画像表示ユニットからの漏光箇所と非漏光箇所との輝度差、すなわちコントラストを感じ難くなる。その結果、画像表示ユニットから透過表示部への漏光が目立たなくなるので、良い見映えを与えることができる。また、画像表示部よりも小さい輝度で透過表示部を光らせることで、斬新な見栄えも与えることができる。以上によれば、見栄え向上を実現した車両用表示装置を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態における車両用表示装置を示す正面図である。
図2図1の一部の部品を外した状態を示す正面図である。
図3図1のIII−III線における断面斜視図である。
図4】一実施形態における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の車両用表示装置100は、車両に備えられ、前方に向けて車両状態値や車両情報を表示する。本実施形態の車両用表示装置100が備えられる車両は、ハイブリッド車両であり、原動機として内燃機関及び電動モータを搭載している。なお、本実施形態における前方とは、車両用表示装置100に対して、車両乗員への方向、すなわち車両乗員が車両の車室内において着座する方向を示す。また、本実施形態における後方とは、前方に対する反対方向を示す。さらに、右又は左とは、車両乗員が車両用表示装置100をみたときを基準とする。
【0013】
このような車両用表示装置100は、3つの透過表示ユニット10,20,30、画像表示ユニット40、各ユニット10,20,30,40の後方に配置される回路基板50等を備えている。
【0014】
透過表示ユニット10は、車両用表示装置100において左側に配置され、透過光源部12、遮光部材14、及び透過表示部16を有している。
【0015】
透過光源部12は、図2、3に示すように、例えば発光ダイオードからなる発光素子であり、透過表示部16の指標の配置を考慮して複数設けられている。透過光源部12の各発光素子12a〜12cは、回路基板50上の制御回路54を通して電源と接続されて、発光することにより擬似白色光(以下、透過光源光とする)を透過表示部16に向けて照射する。
【0016】
遮光部材14は、透過光源光の干渉を抑制するため、透過光源部12と透過表示部16との間において設置される遮光板である。遮光部材14は、円形輪郭に沿って配置されている発光素子12a及び12bを内周側から取り囲む遮光部材14a、及び外周側から取り囲む遮光部材14b等によって構成されている。透過表示ユニット10において右側に配置された2つの発光素子12bの右隣に、後述するケーブル48が透過表示部16の後方に重なって配置されるため、遮光部材14のうち外周側の遮光部材14bは、一部分を欠いている。
【0017】
透過表示部16は、図1から3に示すように、透過光源部12により後方から透過照明されて、車両状態値を発光表示する。具体的に透過表示部16は、透過光源部12の前方に設けられ、拡散板16a、表示板16b、2本の指針16e,16f、及び意匠リング16gを有している。拡散板16aは、合成樹脂からなる半透明の平板であって、透過表示部16において最も後方に設けられ、後方からの透過光源光を拡散しつつ、前方の表示板16bへ向けて透過させる。表示板16bは、透光性の合成樹脂に透光性の白色印刷層又は遮光性の印刷層が施された平板であって、後方からの透過光源光を部分的に透過させることにより、車両状態値としての指標16cを表示可能となっている。指針16e,16fは、表示板16bの前方に突出して設置される、回動駆動可能な針状部材である。指針16eは、表示板16bの中央を軸として回動し、前述の指標16cのひとつであり表示板16bの外周部に設けられる複数の目盛16dを指示することで、車両状態値として車両の電動モータの電流値を表示する。指針16fは、指針16eの下側に設置され、前述の指標16cのひとつであり表示板16bの中央部に設けられる目盛16dを指示することで、車両状態値として車両の水温を表示する。意匠リング16gは、表示板16bの外周部を囲むように配置される、合成樹脂からなるリング状の部材であり、透過表示部16の装飾性を高める。なお、本実施形態では、拡散板16a及び表示板16bでは、特定色のみを透過させるわけではなく、透過光源光は、透過光源部12での発光色のまま、透過表示部16の発光色として発光表示されるようになっている。
【0018】
なお、図2では、図1に対して透過表示部16のうち指針16e,16f以外の部品が外された状態が示されている。
【0019】
透過表示ユニット20は、図1,3に示すように、車両用表示装置100において右側に配置され、透過表示ユニット10と同様に、透過光源部22、遮光部材24、及び透過表示部26を有している。透過光源部22も、透過光源部12と共通の回路基板となっている。また、遮光部材24は、透過表示ユニット10とは異なり、一部分を欠くことなく、透過光源部22の全ての発光素子を取り囲むように配置されている。なお、透過表示部26では、2本の指針26e,26fの指示により、車速及び燃料残量等を車両状態値として表示可能となっている。
【0020】
透過表示ユニット30は、車両用表示装置100において上側に配置され、透過表示ユニット10,20と同様に、透過光源部32(図示しない)、遮光部材34(図示しない)、及び透過表示部36を有している。また、遮光部材34は、透過光源部32の全ての発光素子のひとつひとつを個別に取り囲むように配置されている。なお、透過表示部36は、図3に示すように、指針を有しておらず、複数の指標36cが透過光源部32の点消灯により、方向指示器等の状態を車両状態値として表示可能となっている。
【0021】
画像表示ユニット40は、図1から3に示すように、透過表示ユニット10と20との間である車両用表示装置100の中央に配置され、透過表示ユニット10の後方に一部分が重なっている。画像表示ユニット40は、画像光源部42、導光部44、画像表示部46、及びケーブル48を有している。
【0022】
画像光源部42は、透過光源部12,22,32と同様に、例えば発光ダイオードからなる発光素子であり、上下方向に並んで複数設けられている。画像光源部42も、他の光源部12,22,32と共通の回路基板50上に配置されている。画像光源部42の各発光素子は、発光することにより擬似白色光(以下、画像光源光とする)を導光部44に向けて照射する。なお、本実施形態において、透過光源部12,22,32と画像光源部42とに用いられる発光素子は、実質同じ発光ダイオードであり、透過光源光と画像光源光とは、同一色となっている。
【0023】
導光部44は、画像光源部42の前方、及び画像表示部46の後方に近接して設けられる、透光性の合成樹脂からなる板状の部材である。導光部44は、かかる形状により、画像光源光を、画像表示部46へと導光する。
【0024】
画像表示部46は、例えば、導光部44の前方に設けられ、後方からの画像光源光を透過させて画像表示するTFT液晶パネルである。画像表示部46には、2次元方向に複数の液晶画素が配列されており、各液晶画素をコントロールすることにより、車両情報画像を形成する。そして、画像表示部46は、画像光源部42により照明されて車両情報画像を発光表示する。ここで、車両情報画像とは、走行距離等の車両乗車中の情報が画像として形成されるものである。
【0025】
ケーブル48は、画像表示部46から回路基板50上の端子52に繋がっている、幅広のフレキシブルフラットケーブルである。ケーブル48は、制御回路54から画像表示部46に電気信号を送るためのケーブルである。かかるケーブル48は、透過表示部16の後方に重なって配置されている。仮にケーブルを画像表示部46の後方に折り曲げて配置すると、ケーブルが導光部44に接近し画像光源光と干渉することで画像表示部46に輝度ムラが発生する恐れや、製造工程において組み付けの作業性が悪化する可能性があるからである。
【0026】
ここで、前述のように、ケーブル48の配置箇所では、遮光部材14bが欠けているため、導光部44に導光された画像光源光の一部が、ケーブル48と遮光部材14bとの隙間を通じて、透過表示ユニット10の透過表示部16へと漏光する。そして、拡散板16a及び表示板16bを透過することで、車両乗員は、仮に透過光源部12が発光していない状態であっても、表示板16bの指標16cのうち、目盛16dの右側の一部分が発光していると視認する(以下、これを漏光箇所とする)。なお本実施形態では、前述の拡散板16a及び表示板16bの特性により、画像表示ユニット40から前方の透過表示部16に漏光する光の漏光色と、透過表示部16の発光色とは、同一色となっている。
【0027】
回路基板50は、各透過光源部12,22,32、画像光源部42、端子52、及び制御部(図示しない)を有する制御回路54等が表面上に固定される板状部材である。制御回路54は、例えば制御部であるマイクロコンピュータを主体として形成される電子回路である。制御回路54は、各光源部12,22,32,42、指針16e,16f,26e,26fの制御部(図示しない)、及び画像表示部46等に電気的に接続されている。また、制御回路54は、図示しないが、車両状態値及び車両情報を取得する各種センサに電気的に接続されている。そして、制御回路54は、当該各種センサから入力される電気信号に基づいて、各光源部12,22,32,42、指針16e,16f,26e,26fの制御部、及び画像表示部46等を制御する。
【0028】
以下、本実施形態における車両用表示装置100の特徴である、制御回路54がコンピュータプログラムの実行により実施するフローチャートを、図4に基づいて詳細に説明する。
【0029】
本実施形態における車両用表示装置100において、透過表示部16,26,36の表示状態には、主としてアクティブ状態及び非アクティブ状態が存在する。アクティブ状態とは、透過表示部16,26,36による車両状態値の表示を行なう状態であり、非アクティブ状態とは、透過表示部16,26,36による車両状態値の表示を停止させる状態である。また、車両状態値の表示を行なう状態とは、刻々変動する車両状態値に応じて指針16e,16f,26e,26fが回動することにより目盛を指示し、車両乗員が車両状態値を認識可能となっている状態である。車両状態値の表示を停止させる状態とは、指針16e,16f,26e,26fの回動が特定位置に停止されることにより、車両乗員が車両状態値を認識不能となっている状態である。
【0030】
まず、図4のステップS10では、エンジンスイッチがオンされたか否かを判定する。具体的には、エンジンスイッチがオンされると、制御回路54に電気信号が入力され、この信号の取得により判定を行なう。ステップS10において肯定判定を下すと、ステップS20に移る。
【0031】
ステップS20では、表示状態の変更を行なう。具体的には、透過表示ユニット10について、透過光源部12を発光させることにより、透過表示部16の複数の指標を発光させる。加えて、車両状態値が入力されることにより、車両状態値に応じて透過表示部16の指針16e,16fを回動する制御を開始する。また、透過表示ユニット20についても同様に、透過光源部22を発光させることにより、透過表示部26の複数の指標26cを発光させる。加えて、車両状態値が入力されることにより、車両状態値に応じて透過表示部26の指針26e,26fを回動する制御を開始する。また、透過表示ユニット30については、車両状態値が入力されることにより、車両状態値に応じて透過表示部36上の各指標36cを点消灯させる制御を開始する。以上により、透過表示部16,26,36の表示状態は、アクティブ状態となる。さらに、画像表示ユニット40については、画像光源部42を発光させることにより、画像表示部46の全体を発光させる。そして、回路基板50上の端子52から画像表示部46に電気信号を入力して、画像表示部46は車両情報画像の表示を開始する。なお、透過表示部16,26,36の発光輝度が、画像表示部46の発光輝度と実質等しくなるように制御される。すなわち、拡散板16aや表示板16bでの透過光源光の透過率、及びTFT液晶パネルでの画像光源光の透過率等が考慮され、透過光源部12,22,32及び画像光源部42の発光ダイオードの電流値が設定される。本実施形態において透過表示部16,26,36及び画像表示部46の発光輝度は、例えば150cd/mに設定されており、画像表示ユニット40では導光部44から画像表示部46へ向かう光の輝度が、画像表示部46の発光輝度の5〜7倍となっている。ステップS20の処理後、ステップS30に移る。
【0032】
ステップS30では、エンジンスイッチがオフされたか否かを判定する。具体的には、エンジンスイッチがオフされると、制御回路54に電気信号が入力され、この信号の取得により判定を行なう。ステップS30において肯定判定を下すと、ステップS40に移る。ステップS30において否定判定を下すと、所定時間後に再度ステップS30の判定を行なう。
【0033】
ステップS40では、表示状態の変更を行なう。具体的には、透過表示ユニット10について、指針16e,16fを特定位置に停止させ、回動不可とする。また、透過表示ユニット20についても、指針26e,26fを特定位置に停止させ、回動不可とする。また、透過表示ユニット30については、透過光源部32の発光を停止する。以上により、透過表示部16,26,36の表示状態は、非アクティブ状態となる。ステップS40の開始時から、透過表示部16,26の発光輝度は、画像表示部46の発光輝度よりも小さく制御される。本実施形態のステップS40では、画像表示部46の発光輝度が例えば150cd/mを維持するのに対し、透過表示部16,26の発光輝度は例えば1.5cd/mに低下する。画像光源光が漏光するのは、透過表示部16の漏光箇所であるが、車両乗員の違和感を低減させるため、左右に配置された透過表示部16及び26を同輝度で発光させる。ステップS40の処理後、ステップS50に移る。
【0034】
ステップS50では、タイマーの時刻を初期化して、タイマー動作を開始する。タイマーの時刻が予め設定された設定時間(例えば30秒)に到達すると、ステップS60に移る。この間、ステップS40の発光輝度が維持され、非アクティブ状態は維持される。
【0035】
ステップS60では、表示状態の変更を行なう。具体的には、透過表示ユニット10,20において、透過光源部12,22を消灯させることにより、透過表示部16,26の発光を停止する。また、画像表示ユニット40において、画像光源部42を消灯させることにより、画像表示部46の車両情報画像の発光表示を停止する。ステップS60を以って制御回路54の一連の動作説明を終了する。
【0036】
さて、本実施形態のステップS40からステップS50における、画像表示部46の表示状態は、レンタカーモードと呼ばれている。車両がレンタカーである場合、車両乗員であるレンタカーユーザが車両をレンタカー店に返却する際、レンタカー社員が走行距離等を確認することがある。レンタカーモードが搭載された本実施形態の車両用表示装置100では、エンジンスイッチがオフされた後でも、レンタカー社員が画像表示部46に発光表示される車両情報画像としての走行距離を確認することができる。また、設定時間経過時に、ステップS60として各表示部16,26,46が消灯されるので、車両のバッテーリーを浪費することがない。
【0037】
(作用効果)
本実施形態によると、透過表示ユニット10のうち透過光源部12により後方から透過照明されて車両状態値を発光表示する透過表示部16では、当該車両状態値の表示自体は、非アクティブ状態にて停止させられる。また、かかる非アクティブ状態にて画像表示ユニット40では、画像光源部42の発光により画像表示部46が照明されることで、車両情報画像の発光表示が継続される。ここで、非アクティブ状態にて発光中の画像表示ユニット40からは、上述の如く透過表示部16に漏光する。しかし、本実施形態では、非アクティブ状態での透過光源部12及び画像光源部42の発光により、画像表示部46の発光輝度よりも透過表示部16の発光輝度を小さく制御する。これにより車両乗員は、車両状態値の表示自体は停止した非アクティブ状態を認識しながらも、透過表示部16のうち画像表示ユニット40からの漏光箇所と非漏光箇所との輝度差、すなわちコントラストを感じ難くなる。その結果、画像表示ユニット40から透過表示部16への漏光が目立たなくなるので、良い見映えを与えることができる。また、画像表示部46よりも小さい輝度で透過表示部16を光らせることで、斬新な見栄えも与えることができる。以上によれば、見栄え向上を実現した車両用表示装置100を、提供することができる。
【0038】
また、本実施形態によると、車両用表示装置100を小型化するために画像表示ユニット40の一部分を透過表示部16後方に重ねた構成では、非アクティブ状態にて発光中の画像表示ユニット40からは、透過表示部16に漏光し易くなる。しかし、本実施形態では、非アクティブ状態での透過光源部12及び画像光源部42の発光により、画像表示部46の発光輝度よりも透過表示部16の発光輝度を小さく制御する。したがって、小型化と見栄えの向上を両立することができる。
【0039】
また、本実施形態によると、画像表示ユニット40のうち画像表示部46から透過表示部16後方の端子52に繋がるケーブル48は、透過表示部16の後方に重なって配置されるので、当該ケーブル48を透過表示部16後方に隠して小型化できる。以上より、さらなる小型化を実現した車両用表示装置を、提供することができる。
【0040】
また、本実施形態によると、エンジンスイッチオフ時から設定時間経過時までの非アクティブ状態により、エンジンを停止した後でも車両情報画像の発光表示を画像表示部46にて継続しながら、見栄えの向上効果を透過表示部16にて保つことができる。
【0041】
また、本実施形態によると、非アクティブ状態の開始時に透過表示部16の発光輝度を低下させることで、車両乗員は、透過表示部16が低輝度で発光していても、透過表示ユニット10車両状態値の表示が停止したことを認識することができる。
【0042】
また、本実施形態によると、画像表示ユニット40から前方の透過表示部16への漏光色は、透過表示部16の発光色と同一色であるので、車両乗員は、透過表示部16のうち画像表示ユニット40からの漏光箇所と非漏光箇所とで、色のコントラストを感じ難くなる。したがって、見栄えの向上効果を高めることができる。
【0043】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
【0044】
具体的に変形例1では、画像表示ユニット40は、透過表示部16の後方に外れて配置されていてもよい。例えば、ケーブル48は、透過表示部16の後方に外れて配置されていてもよい。
【0045】
変形例2では、画像表示ユニット40のうち、ケーブル48以外が透過表示部16の後方に重なって配置されていてもよい。
【0046】
変形例3では、レンタカーモードの用途に限定されない。画像表示部46のみを表示したい場合、例えば、駐車中に、画像表示部46に映像を表示させて鑑賞する等の用途にも適用できる。
【0047】
変形例4では、非アクティブ状態が開始される時、開始前よりも透過表示部16の発光輝度を低下させなくてもよい。この場合、車両乗員は、指針16e,16fの制御だけでも透過表示ユニット10車両状態値の表示が停止したことを認識することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 透過表示ユニット、12 透過光源部、16 透過表示部、40 画像表示ユニット、42 画像光源部、46 画像表示部、48 ケーブル、52 端子、54 制御回路
図1
図2
図3
図4