(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したラインプリンターの実施の形態を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は本発明の実施形態に係るラインプリンターの外観斜視図である。
図2はその内部機構を示す概略縦断面図である。
図1に示すように、ラインプリンター1は、全体として前後方向に長い直方体形状のプリンター筐体2を備えている。プリンター筐体2の前面2aの上側部分には、その幅方向一方側に操作パネル3が設けられ、他方側に排紙口4が形成されている。排紙口4の下側には、メンテナンス用の開閉蓋5が設けられている。以下の説明では、互いに直交する3方向をプリンター幅方向X、プリンター前後方向Yおよびプリンター上下方向Zとする。
【0023】
図2に示すように、プリンター筐体2の内部には後側の下側部分にロール紙6を装填するためのロール紙収納部7が形成されている。また、プリンター筐体2の内部には、ロール紙収納部7から印刷ヘッド8による印刷位置Aを経由して排紙口4に至る紙搬送路9が形成されている。紙搬送路9は、ロール紙収納部7からプリンター後方Y2(プリンター前後方向の後方)に向かって斜め上方に延びる第1紙搬送路部分9aと、第1紙搬送路部分9aの上端からプリンター前方Y1(プリンター前後方向の前方)に湾曲する第2紙搬送路部分9bと、第2紙搬送路部分9bの前端からプリンター前方Y1に向かって緩やかに下降する第3紙搬送路部分9cと、第3紙搬送路部分9cの前端からプリンター前方Y1に水平に延びる第4紙搬送路部分9dを備えている。
【0024】
印刷ヘッド8は、プリンター筐体2の前端側の上側部分に配置されている。印刷ヘッド8は、インクジェットヘッドであり、そのインクノズル面8aを下方に向けた状態でキャリッジ11に搭載されている。キャリッジ11は印刷ヘッド8を保持するヘッドユニット12と、ヘッドユニット12をプリンター上下方向Zに移動な状態で支持するキャリッジフレーム(フレーム)13を備えている。印刷ヘッド8およびキャリッジ11は第4紙搬送路部分9dの上方に配置されている。印刷位置Aは第4紙搬送路部分9dの途中に設けられており、印刷ヘッド8の下方に配置されたプラテンユニット(プラテン)17によって規定されている。
【0025】
プリンター前後方向Yでキャリッジ11を挟んだ両側にはプリンター幅方向Xに延びる一対のキャリッジガイド軸14が平行に配置されている。キャリッジ11はこれら一対のキャリッジガイド軸14によってプリンター幅方向Xに移動可能な状態で支持されている。印刷ヘッド8のプリンター後方Y2にはキャリッジ移動機構15が配置されており、キャリッジ11はキャリッジ移動機構15により一対のキャリッジガイド軸14に沿って移動させられる。
【0026】
ここで、キャリッジ11は、
図1において点線で示す対向位置11Aと、
図1において2点鎖線で示す待機位置11Bとの間を移動する。対向位置11Aではキャリッジ11に搭載された印刷ヘッド8とプラテンユニット17が対向する。すなわち、キャリッジ11が対向位置11Aに配置された状態では、
図2に示すように、印刷ヘッド8はプラテンユニット17と対向するヘッド対向位置8Aに位置している。一方、待機位置11Bでは、キャリッジ11に搭載された印刷ヘッド8とプラテンユニット17とは対向しない。すなわち、キャリッジ11が待機位置11Bに配置された状態では、印刷ヘッド8は、ヘッド対向位置8Aから第1方向X1(プリンター幅方向の一方側に向かう方向)に離間したヘッド待機位置8Bに位置している。ヘッド待機位置8Bの下方にはヘッドメンテナンスユニット18が配置されており、印刷ヘッド8がヘッド待機位置8Bに配置された状態では、印刷ヘッド8はヘッドメンテナンスユニット18と対向する。ヘッドメンテナンスユニット18は、ヘッド待機位置8Bに配置された印刷ヘッド8のインクノズル面8aを被うことが可能なヘッドキャップなどを搭載している。キャリッジ11の上方には、キャリッジ11が対向位置11Aに配置されたときにヘッドユニット12を下降させるヘッドユニット移動機構19が配置されている。
【0027】
プラテンユニット17は印刷ヘッド8のインクノズル面8aに対向する水平なプラテン面17aを備えている。プラテン面17aは、第4紙搬送路部分9dを規定している。プラテン面17aは後述する搬送ベルト21の水平ベルト部分21aによって構成されている。
【0028】
ヘッドユニット12とプラテンユニット17の間には、ギャップ形成ユニット22が配置されている。ギャップ形成ユニット22は、ヘッドユニット12およびプラテンユニット17の両方に当接して印刷ヘッド8とプラテンユニット17との間のプラテンギャップGを予め設定した設定距離で一定とする3個の球体(ギャップ形成部材)23〜25を備えている(
図12参照)。
【0029】
ロール紙収納部7の底部には、紙供給ローラー31が配置されている。紙供給ローラー31は、ロール紙収納部7に装着されたロール紙6に常に下側から当接した状態に保持されている。紙供給ローラー31は供給モーター(図示せず)によって駆動される。紙供給ローラー31が駆動されると、ロール紙6から第1紙搬送路部分9aに向かって長尺状の記録紙6aが繰り出される。
【0030】
第2紙搬送路部分9bには、紙搬送路9に沿って搬送される記録紙6aにバックテンションを与えるテンションレバー32が配置されている。テンションレバー32は、第2紙搬送路部分9bを規定するものであり、プリンター後方Y2に向かって突出する円弧状外周面を備えている。また、テンションレバー32は、その下端部分をプリンター幅方向Xに延びる回動中心軸32a回りに回動可能に取り付けられており、バネ部材(図示せず)によってプリンター後方Y2に付勢されている。
【0031】
テンションレバー32のプリンター前方Y1には用紙ガイド33が配置されている。用紙ガイド33は、第3紙搬送路部分9cを規定するものであり、プリンター前方Y1に向けて緩やかに下降する形状をしている。
【0032】
ここで、プラテンユニット17にはベルト式の紙搬送機構35が搭載されている。
図3は紙搬送機構35を模式的に示す説明図である。紙搬送機構35は、第4紙搬送路部分9dの下側に配置された無端ベルトである搬送ベルト21と、搬送ベルト21が架け渡されている複数のガイドローラー36a〜36eと、搬送ベルト21を駆動するベルト駆動ローラー36fと、ベルト駆動ローラー36fを回転させる搬送モーター38を備えている。ベルト駆動ローラー36fには、ガイドローラー36aによって搬送ベルト21が押し付けられている。ベルト駆動ローラー36fを回転させることで、ガイドローラー36a〜36eを経由する経路にそって搬送ベルト21が移動する。
【0033】
搬送ベルト21は、ガイドローラー36c、36dの間に掛け渡された部分が、第4紙搬送路部分9dに沿って水平に延びる水平ベルト部分21aとなっている。水平ベルト部分21aにおける搬送方向(プリンター前後方向Y)の上流端および下流端には、プラテンユニット17の上方からピンチローラー37a、37bが押し付けられている。紙搬送機構35は、ピンチローラー37a、37bと水平ベルト部分21aとの間に記録紙6aを挟んで搬送する。
【0034】
記録紙6aは、
図2に示すように、ロール紙収納部7に装填されたロール紙6から、紙搬送路9の第1紙搬送路部分9aに沿って引き出される。そして、記録紙6aは、テンションレバー32に架け渡されることにより第2紙搬送路部分9bに沿って湾曲させられ、その先端側部分を第3紙搬送路部分9cおよび第4紙搬送路部分9dに沿って延ばした状態にセットされる。その後、紙供給ローラー31による供給動作を行い、更に、紙搬送機構35による搬送動作を行って、記録紙6aの先頭を印刷ヘッド8による印刷位置Aに配置する頭出し動作を行う。しかる後に、紙搬送機構35によって、印刷位置Aから排紙口4に向かう正送り方向に一定速度で連続搬送する搬送動作を行う。また、この搬送動作に同期して印刷ヘッド8を駆動制御して印刷位置Aを搬送される記録紙6aの表面に印刷を施す。
【0035】
(印刷ヘッドよびキャリッジ)
図4は印刷ヘッド8を搭載したキャリッジ11の斜視図である。
図5は印刷ヘッド8およびキャリッジ11をプラテンユニット17の側から見た底面図である。
図6(a)および
図6(b)は印刷ヘッド8を保持するヘッドユニット12をプリンター幅方向Xの一方側および他方側から見た場合の斜視図である。
図7はヘッドユニット12を支持するキャリッジフレーム13をプリンター幅方向Xの一方側から見た場合の斜視図である。
【0036】
印刷ヘッド8は、
図5、
図6に示すように、4組のライン型インクジェットヘッド41〜44を備えている。各ライン型インクジェットヘッド41〜44は紙搬送路9を搬送可能な記録紙6aの幅を超える幅寸法を備えており、全体としてプリンター幅方向Xに長い直方体形状をしている。4組のライン型インクジェットヘッド41〜44は、それぞれ、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクを吐出するものである。
【0037】
ヘッドユニット12は、
図6に示すように、矩形輪郭の底板部45と、底板部45の外周縁から上方に起立する角筒部46と、底板部45の中央部分から角筒部46の上端を越えて上方に突出している操作部50を備えている。
【0038】
底板部45には、
図5に示すように、プリンター幅方向Xに長い4つの長方形の開口部45a〜45dが形成されている。各開口部45a〜45dはプリンター前後方向Yに一定間隔で設けられている。各ライン型インクジェットヘッド41〜44は上方から角筒部46に挿入され、その下側部分を各開口部45a〜45dから下方に突出させた状態でヘッドユニット12に保持されている。これにより、4組のライン型インクジェットヘッド41〜44はプリンター前後方向Yに沿って一定間隔で配列された状態とされている。
【0039】
また、
図5に示すように、底板部45にはギャップ形成ユニット22の3個の球体23〜25とそれぞれ当接可能な第1〜第3キャリッジ側当接部47〜49が設けられている。第1のキャリッジ側当接部47は底板部45の第2方向X2(プリンター幅方向の他方側に向かう方向)の端部分の前端縁から前方に突出する突出部分45eに設けられている。第2のキャリッジ側当接部48は底板部45の第2方向X2の端部分の後端縁から後方に突出する突出部分45fに設けられている。第3のキャリッジ側当接部47〜49は底板部45のプリンター前後方向Yの中央部分における第1方向X1の端縁部分45gに設けられている。第1のキャリッジ側当接部47と第2のキャリッジ側当接部48が設けられている位置は、印刷ヘッド8よりも第2方向X2の外側に外れた位置であり、第3のキャリッジ側当接部47〜49が設けられている位置は、印刷ヘッド8よりも第1方向X1の外側に外れた位置である。
【0040】
各キャリッジ側当接部47〜49は、
図6に示すように、下方に突出する円柱形状の突起である。各キャリッジ側当接部47〜49の下端面は平坦面であり、
図6に示すように、印刷ヘッド8のインクノズル面8aよりもプリンター上下方向Zの上方に位置している。ここで、3つのキャリッジ側当接部47〜49の下端面47a、48a、49aによって規定される仮想の平面は、印刷ヘッド8のインクノズル面8aと平行な面であり、ヘッドユニット12に設定された基準面12aである(
図15および
図16参照)。
【0041】
角筒部46は、
図6に示すように、印刷ヘッド8の第2方向X2の外側でプリンター前後方向Yに延びる第1側壁部分51と、プリンター幅方向Xで印刷ヘッド8を間に挟んで第1側壁部分51と対向する第2側壁部分52と、プリンター幅方向Xに延びて第1側壁部分51と第2側壁部分52の前端部分を連続させている第3側壁部分53と、プリンター幅方向Xに延びて第1側壁部分51と第2側壁部分52の後端部分を連続させている第4側壁部分54を備えている。角筒部46内においてプリンター前後方向Yに配列された各ライン型インクジェットヘッド41〜44の間には、第1側壁部分51と第2側壁部分52を連結する3枚の補強板55a〜55cが設けられている。3枚の補強板55a〜55cのうちプリンター前後方向Yの中央に位置する補強板55bには、操作部50が一体に形成されている。操作部50の上端部分には、ヘッドユニット移動機構19の操作レバー77(
図8参照)が当接する当接部50aが設けられている。
【0042】
第1側壁部分51には、
図6(a)に示すように、プリンター前後方向Yの中央部分に、第1下側ガイドローラー(第1ガイドローラー)60および第1上側ガイドローラー(第2ガイドローラー)61が取り付けられている。第1下側ガイドローラー60および第1上側ガイドローラー61は、それぞれの回転軸をプリンター幅方向Xに向けた状態でプリンター上下方向Zに離間して配列されている。第1下側ガイドローラー60は第1上側ガイドローラー61の下方に位置している。
【0043】
第2側壁部分52には、
図6(b)に示すように、プリンター前後方向Yの中央部分に第2ガイドローラー62が取り付けられている。第2ガイドローラー62は回転軸をプリンター幅方向Xに向けた状態で、第1下側ガイドローラー60と同軸に配置されている。
【0044】
第3側壁部分53には、プリンター幅方向Xの中央部分に第3下側ガイドローラー(第1ガイドローラー)63および第3上側ガイドローラー(第2ガイドローラー)64が取り付けられている。第3下側ガイドローラー63および第3上側ガイドローラー64は、それぞれの回転軸をプリンター前後方向Yに向けた状態でプリンター上下方向Zに離間して配列されている。第3下側ガイドローラー63は第3上側ガイドローラー64の下方に位置している。また、第3下側ガイドローラー63は、プリンター上下方向Zにおいて第1下側ガイドローラー60と第1上側ガイドローラー61の間に配置されている。第3上側ガイドローラー64は、プリンター上下方向Zにおいて第1上側ガイドローラー61よりも上方に配置されている。各ガイドローラー61〜65は、それぞれ同一の径を備える同一のものである。
【0045】
キャリッジフレーム13は、
図7に示すように、枠状であり、ヘッドユニット12をその内周側に支持する。キャリッジフレーム13はヘッドユニット12の第1側壁部分51の第2方向X2の外側に位置する第1キャリッジフレーム部分65、第2側壁部分52の第1方向X1の外側に位置する第2キャリッジフレーム部分66、第3側壁部分53のプリンター前方Y1に位置する第3キャリッジフレーム部分67、および、第4側壁部分54のプリンター後方Y2に位置する第4キャリッジフレーム部分68を備えている。
【0046】
第1キャリッジフレーム部分65には、
図7(a)に示すように、プリンター上下方向Zに延びる第1ガイド溝69が形成されている。第1ガイド溝69は下方から上方に向かって順番に第2ガイドローラー62の幅寸法と実質的に同一の第1溝幅寸法を備える第1溝部分69aと、第1溝幅寸法よりも長い第2溝幅寸法を有する第2溝部分69bを備えている。第2キャリッジフレーム部分66にはプリンター上下方向Zに延びる第2ガイド溝70が形成されている。第2ガイド溝70は、
図7(b)に示すように、第1ガイド溝69と同一の溝形状を備えている。すなわち、第2ガイド溝70は、下側から順番に第2ガイドローラー62の幅寸法と実質的に同一の第1溝幅寸法を備える第1溝部分70aと、第1溝幅寸法よりも長い第2溝幅寸法を有する第2溝部分70bを備えている。
【0047】
第3キャリッジフレーム部分67には、一対のキャリッジガイド軸14のうちプリンター前方Y1に位置するキャリッジガイド軸14に支持される前側支持部71が設けられている。また、第3キャリッジフレーム部分67には、前側支持部71から上方に突出する突出部72が設けられている。突出部72には、その後端面にプリンター上下方向Zに延びる第3ガイド溝73が形成されている。第3ガイド溝73は、下方から上方に向かって順番に第2ガイドローラー62の幅寸法と実質的に同一の第1溝幅寸法を備える第1溝部分73aと、第1溝幅寸法よりも長い第2溝幅寸法を有する第2溝部分73bを備えている(
図14、
図15参照)。
【0048】
第4キャリッジフレーム部分68には、一対のキャリッジガイド軸14のうちプリンター後方Y2に位置するキャリッジガイド軸14に支持される後側支持部74が設けられている。
【0049】
ヘッドユニット12がキャリッジフレーム13の内側に配置される際には、
図4に示すように、第1下側ガイドローラー60および第1上側ガイドローラー61が第1ガイド溝69内に挿入され、第2ガイドローラー62が第2ガイド溝70内に挿入される。また、第3下側ガイドローラー63および第3上側ガイドローラー64が第3ガイド溝73内に挿入される。これにより、ヘッドユニット12は、第1上側ガイドローラー61が第1ガイド溝69の上端部分に位置するユニット上昇位置(第1位置)12Aと、第1下側ガイドローラー60が第1ガイド溝69の下端部分に位置するユニット下降位置(第2位置)12Bとの間を移動可能な状態でキャリッジフレーム13に支持される。また、ヘッドユニット12とキャリッジフレーム13の間には、4本のコイルバネ(付勢部材)75が架け渡されている。ヘッドユニット12は、これら4本のコイルバネ75の付勢力によってユニット上昇位置12Aに付勢されている。
【0050】
ここで、キャリッジ11を対向位置11Aと待機位置11Bとの間でプリンター幅方向Xに移動させるキャリッジ移動機構15はシリアルプリンターにおいて印刷ヘッドを移動させるための機構と同様のものである。キャリッジ移動機構15は、例えば、一対のタイミングプーリー、タイミングベルト、キャリッジモーターを備えている。一対のタイミングプーリーは、後側のキャリッジガイド軸14の両端の近傍に配置されている。タイミングベルトはこれら一対のタイミングプーリーに架け渡されており、その一部分がキャリッジ11に固定されている。キャリッジモーターの駆動力は一方のタイミングプーリーに伝達されるようになっている。キャリッジモーターが駆動されると、一方のタイミングプーリーが回転してタイミングベルトが移動する。これにより、キャリッジ11は一対のキャリッジガイド軸14に沿って移動する。
【0051】
(ヘッドユニット移動機構)
図8はヘッドユニット移動機構19の斜視図である。
図9はヘッドユニット移動機構19によるヘッドユニット12の昇降動作の説明図である。
図8に示すように、ヘッドユニット移動機構19は、プリンター後方Y2に向かって延びる支持軸76aを備えるフレーム76、プリンター幅方向に延びている操作レバー77、支持軸および操作レバーの上方に配置された偏芯カム78、偏芯カムの駆動源となるカム用駆動モーター19a、および、コイルバネ79を備えている。
【0052】
操作レバー77は、第1方向X1の端部分にヘッドユニット12の操作部50に当接可能な操作部分77aを備え、第2方向X2の端部分に長孔77bを備えている。長孔77bには支持軸76aが挿入されている。操作レバー77における操作部分77aと長孔77bの間には、偏芯カム78のカム面(外周面)に当接するカムフォロワー部77cが設けられている。カムフォロワー部77cと長孔77bの間であって長孔77bに近い部分には、コイルバネ79の係止部77dが設けられている。コイルバネ79はこの係止部77dとフレーム76の上端縁に設けられた係止部76bの間に架け渡されている。コイルバネ79は、操作レバー77を上方に付勢して、そのカムフォロワー部77cを偏芯カム78に当接させている。
【0053】
カム用駆動モーター19aが駆動されると偏芯カム78が回転する。偏芯カムの回転に伴ってカム面を摺動するカムフォロワー部77cが上下方向に移動する。これにより操作レバー77は、
図9(a)に示すように、操作部分77aが偏芯カム78の回転中心軸78aよりも上方に位置するレバー上昇位置77Aと、
図9(b)に示すように、操作部分77aが偏芯カム78の回転中心軸78aよりも下方に位置するレバー下降位置77Bの間で移動する。ヘッドユニット移動機構は初期状態において、操作レバー77をレバー上昇位置77Aに位置させている。
【0054】
図9(a)に示すように、キャリッジ11が対向位置11Aに配置されているときに、カム用駆動モーター19aが駆動されてレバー上昇位置77Aに配置されている操作レバー77が下降すると、その操作部分77aがヘッドユニット12の操作部50に当接して、ヘッドユニット12を下方に押し下げる。これにより、ユニット上昇位置12Aに配置されていたヘッドユニット12はコイルバネ75の付勢力に抗して下方に移動する。そして、操作レバー77がレバー下降位置77Bに配置されるまでの間に、ヘッドユニット12は、
図9(b)に示すように、ユニット下降位置12Bに配置される。
【0055】
ヘッドユニット12がユニット下降位置12Bに配置されると、ギャップ形成ユニット22に保持されている3個の球体23〜25がヘッドユニット12とプラテンユニット17の両方に当接して、印刷ヘッド8とプラテン面17aとの間に設定距離(第2距離)L2のプラテンギャップGが形成される。ここで、プラテンギャップGが形成される際に、操作レバー77を介したヘッドユニット12のプラテンユニット17の側への押し込み力が過大となっている場合には、操作レバー77が支持軸76aに対して相対的に移動して、その過大な力を逃す。すなわち、操作レバー77がレバー下降位置77Bに配置される際には、長孔77bが上方方向に延びた状態となり、操作レバー77における長孔77bの近傍の部分が、上下方向に変位可能な状態でコイルバネ79に支持された状態となる。従って、操作レバー77によるヘッドユニット12のプラテンユニット17の側への押し込み力が過大となっている場合には、長孔77bが形成されている操作レバー77の第2方向X2の端部分が支持軸76aに対して下方に移動して、ヘッドユニット12にかかる過大な力を逃がす。
【0056】
ここで、
図9(b)に示されている状態からカム用駆動モーター19aが駆動されると、操作レバー77はユニット下降位置12Bから
図9(a)に示すレバー上昇位置77Aに戻る。ヘッドユニット12は、操作レバー77がレバー上昇位置77Aに向かって上昇する間にコイルバネ75の付勢力により上昇する。従って、操作レバー77がレバー上昇位置77Aに戻ると、ヘッドユニット12はユニット下降位置12Bに戻る。
【0057】
(プラテンユニット)
図10はプラテンユニット17の斜視図である。プラテンユニット17はガイドローラー36a〜36e、搬送ベルト21を駆動するベルト駆動ローラー36f、および、搬送モーター38(
図3参照)を搭載するユニット本体部81と、4本の搬送ベルト21を備えている。ユニット本体部81において、ヘッドユニット12と対向する上面には、4本の搬送ベルト21の水平ベルト部分21aがプリンター前後方向Yに掛け渡されている。水平ベルト部分21aは、ユニット本体部81の前端部分に配置されたガイドローラー36cと、プラテンユニット17の後側部分に配置されたガイドローラー36dの間に掛け渡された搬送ベルト21の部分である。
【0058】
ユニット本体部81には、ギャップ形成ユニット22の球体23〜25と当接可能な第1〜第3のプラテン側当接部82〜84が3箇所に設けられている。第1のプラテン側当接部82はユニット本体部81の第2方向X2の端縁の前側部分に設けられている。第2のプラテン側当接部83はユニット本体部81の第2方向X2の端縁の後側部分に設けられている。ここで、ユニット本体部81の第2方向X2の側面にはプリンター前後方向Yに長い金属製の第1板部材85が取り付けられており、第1のプラテン側当接部82および第2のプラテン側当接部83は、この第1板部材85の前端部分の上端縁および後端部分の上端縁から水平ベルト部分21aが位置する内側に向かって略直角に屈曲して水平に延びる金属板部分85a、85bである。第3のプラテン側当接部84はユニット本体部81の第1方向X1の端縁のプリンター前後方向Yの中央部分に設けられている。ここで、ユニット本体部81の第1方向X1の側面にはプリンター前後方向Yに長い金属製の第2板部材86が取り付けられており、第3のプラテン側当接部84は、この第2板部材86のプリンター前後方向Yの中央部分から水平ベルト部分21aが位置する側とは反対の外側に向かって略直角に屈曲して水平に延びる金属板部分86aである。
【0059】
第1のプラテン側当接部82、第2のプラテン側当接部83および第3のプラテン側当接部84は、キャリッジ11が対向位置11Aに配置されたときに、それぞれ、第1のキャリッジ側当接部47、第2のキャリッジ側当接部48、および、第3のキャリッジ側当接部49と対向する位置に設けられている。第1のプラテン側当接部82、第2のプラテン側当接部83および第3のプラテン側当接部84によって規定される仮想の平面は、水平ベルト部分21aによって規定されるプラテン面17aと同一の面である。
【0060】
(ギャップ形成ユニット)
図11はプラテンユニット17の上にギャップ形成ユニット22を配置した状態を示す斜視図である。
図12(a)はプラテンユニット17の上にギャップ形成ユニット22を配置した状態の平面図、
図12(b)は
図12(a)におけるZ−Z断面図(球体保持部の断面図)である。支持フレーム26は、全体として略矩形の平面形状をしており、プラテンユニット17のプラテン面17aに重なるように配置されている。支持フレーム26は、プラテンユニット17の上面に重なっている薄型の支持フレーム本体部91と、支持フレーム本体部91のプリンター後方Y2側の端部に取り付けられた支持フレーム固定部92を備えている。支持フレーム26は、支持フレーム固定部92を介して、ラインプリンター1の装置本体フレーム20(
図2参照)に固定されている。
【0061】
支持フレーム本体部91は、プラテンユニット17の左右の側面に沿ってプリンター前後方向Yに平行に延びる一対の縦枠部91a、91bと、プリンター前後方向Yに一定間隔で形成された5本の横枠部91c〜91gを備えている。横枠部91c〜91gは、プリンター幅方向Xに平行に延びており、その両端は縦枠部91a、91bに連結されている。
図11に示すように、縦枠部91a、91bのプリンター後方Y2側の端部は、最もプリンター後方Y2に位置する横枠部91gよりも更にプリンター後方Y2側に突出しており、ここに支持フレーム固定部92が取り付けられている。
【0062】
支持フレーム本体部91には、3つの球体23〜25を保持する3箇所の球体保持部93〜95が形成されている。球体保持部93〜95は、プラテン側当接部82〜84と重なる位置に形成されている。すなわち、第1のプラテン側当接部82に当接する球体23を保持する球体保持部93は、横枠部91cと縦枠部91aとが接続される支持フレーム本体部91の前端の第2方向X2の角部に形成されている。第2のプラテン側当接部83に当接する球体24を保持する球体保持部94は、横枠部91gと縦枠部91aとが接続される支持フレーム本体部91の後端の第2方向X2の角部に形成されている。第3のプラテン側当接部84に当接する球体25を保持する球体保持部95は、縦枠部91bのプリンター前後方向Yの中央部分において、横枠部91eが接続された位置に形成されている。
【0063】
図12(b)に示すように、球体保持部93は、縦枠部91aをプリンター上下方向Zに貫通する貫通部96と、貫通部96に挿入された球体23を支持するワイヤー製の支持部材97を備えている。球体保持部93は、球体23を、貫通部96内においてプリンター前後方向Yおよびプリンター幅方向Xに僅かに移動可能な状態で、かつ、転動可能な状態で支持に支持している。また、支持フレーム26は、球体23は、第1のプラテン側当接部82に当接させた状態で支持している。なお、球体保持部94、95の構造も、これと同様になっている。3個の球体23〜25は同一径を備える同一形状のベアリングボールである。
【0064】
ここで、支持フレーム26は、球体23〜25に加えて、スターホイール27を保持している。スターホイール27はプラテン面17aを搬送される記録紙6aに上方から当接して、記録紙6aの浮き上がりを防止する。スターホイール27は、キャリッジ11が対向位置11Aに配置された状態をプラテン面17aと直交する方向から見た場合に、印刷ヘッド8の各ライン型インクジェットヘッド41〜44と重ならない位置に取り付けられている。
【0065】
(印刷ヘッドの印刷位置への配置動作およびプラテンギャップ形成動作)
図13は印刷ヘッド8の印刷位置Aへの配置動作の説明図である。
図14および
図15はプラテンギャップ形成動作の説明図である。ラインプリンター1が待機状態となっているときには、
図13(a)に示すように、キャリッジ11は待機位置11Bに配置されている。従って、印刷ヘッド8はヘッド待機位置8Bに位置しており、ヘッドメンテナンスユニット18に対向している。印刷ヘッド8を保持するヘッドユニット12はコイルバネ75によってユニット上昇位置12Aに付勢されている。ラインプリンター1の待機状態が長時間に及ぶ場合には、ヘッドメンテナンスユニット18のヘッドキャップが上昇して、印刷ヘッド8のインクノズル面8aをキャッピングする。
【0066】
ラインプリンター1に印刷データが供給されると、キャリッジモーターが駆動される。これにより、キャリッジ11はキャリッジガイド軸14に沿って第2方向X2に移動して、
図13(b)に示す対向位置11Aに配置される。ここで、ヘッドユニット12はユニット上昇位置12Aに付勢されているので、印刷ヘッド8はプラテンユニット17との間のギャップを第1距離L1に維持した状態で第2方向X2に移動して、プラテンユニット17と対向するヘッド対向位置8Aに配置される。
【0067】
ここで、ギャップ形成ユニット22のプリンター前後方向Yにける高さ寸法は、第1距離L1よりも短いものとなっている。従って、キャリッジ11が待機位置11Bからプリンター幅方向Xに移動して対向位置11Aに配置される際に、印刷ヘッド8がギャップ形成ユニット22と衝突することはない。
【0068】
キャリッジ11が待機位置11Bに配置されると、
図13(b)に示すように、ヘッドユニット12の操作部50がレバー上昇位置77Aにあるヘッドユニット移動機構19の操作レバー77の操作部分77aの下方に位置する。この状態でカム用駆動モーター19aが駆動されると、操作レバー77が下方に回動してレバー下降位置77Bに配置される。これにより、ヘッドユニット12はプラテンユニット17に接近する方向に移動して、
図13(c)に示すように、ユニット下降位置12Bに配置される。
【0069】
ヘッドユニット12がユニット下降位置12Bに配置されると、
図13(c)に示すように、ギャップ形成ユニット22の球体23〜25がキャリッジ側当接部47〜49およびプラテン側当接部82〜84の両方に当接する。この際に、ヘッドユニット移動機構19によるヘッドユニット12のプラテンユニット17の側への押し込み力が過大となっている場合には、長孔77bが形成されている操作レバーの第2方向の端部分が支持軸76aに対して下方に移動して、ヘッドユニット12にかかる過大な力を逃がす。これにより、ヘッドユニット移動機構19によるプラテンユニット17の付勢力が適切なものに維持される。
【0070】
ここで、
図14および
図15に示すように、ヘッドユニット12がユニット上昇位置12Aからユニット下降位置12Bに移動する間は、第1下側ガイドローラー60は当該第1下側ガイドローラー60の径寸法と実質的に同一の幅寸法を備える第1ガイド溝69の第1溝部分69aを移動する。第2ガイドローラー62は当該第2ガイドローラー62の径寸法と実質的に同一の幅寸法を備える第2ガイド溝70の第1溝部分70aを移動し、第3下側ガイドローラー63は当該第3下側ガイドローラー63の径寸法と実質的に同一の幅寸法を備える第3ガイド溝73の第1溝部分73aを移動する。従って、ヘッドユニット12は、ユニット上昇位置12Aからユニット下降位置12Bに移動する間にキャリッジフレーム13上においてプリンター幅方向Xおよびプリンター前後方向Yに移動することはない。
【0071】
一方、ヘッドユニット12がユニット上昇位置12Aからユニット下降位置12Bに移動する間に、第1上側ガイドローラー61は当該第1上側ガイドローラー61の径寸法よりも幅広な第1ガイド溝69の第2溝部分69bを移動する。従って、
図15(a)に示すように、第1上側ガイドローラー61は第2溝部分69b内においてプリンター前後方向Yに移動可能となっており、ヘッドユニット12は、キャリッジフレーム13上において第1下側ガイドローラー60の回転軸を中心としてプリンター前後方向Yに傾斜可能となっている。また、ヘッドユニット12がユニット上昇位置12Aからユニット下降位置12Bに移動する間に、第3上側ガイドローラー64は当該第3上側ガイドローラー64の径寸法よりも幅広な第3ガイド溝73の第2溝部分73bを移動する。従って、
図15(b)に示すように、第3上側ガイドローラー64は第2溝部分73bにおいてプリンター幅方向Xに移動可能となっており、ヘッドユニット12はキャリッジフレーム13上において第3下側ガイドローラー63の回転軸を中心としてプリンター幅方向Xに傾斜可能となっている。従って、ギャップ形成ユニット22の球体23〜25がキャリッジ側当接部47〜49およびプラテン側当接部82〜84の両方に当接する際にヘッドユニット12の基準面12aとプラテン面17aが平行になっていない場合には、ヘッドユニット12と3つの球体23〜25との当接によってヘッドユニット12の姿勢が矯正されて、ヘッドユニット12の基準面12aとプラテン面17aが平行となる。
【0072】
これにより、ヘッドユニット12の基準面12aとプラテンユニット17との間のギャップは、球体23〜25の直径に相等する距離となり、印刷ヘッド8とプラテンユニット17との間のプラテンギャップGは、球体23〜25の直径よりも短い第2距離L2で一定となる。
【0073】
プラテンギャップGが第2距離となると印刷ヘッド8による印刷が可能となる。従って、ラインプリンター1は、紙搬送機構35によって記録紙6aを一定速度で搬送する搬送動作と、印刷ヘッド8を駆動して印刷を行う印刷動作を並行して行い、印刷位置Aを搬送される記録紙6aの表面に印刷を施す。
【0074】
印刷データの印刷が終了すると、印刷ヘッド8は、ヘッド待機位置8Bに戻される。すなわち、印刷データの印刷が終了すると、カム用駆動モーター19aが駆動され、操作レバー77がレバー上昇位置77Aに戻される。これにより、ヘッドユニット12はコイルバネ75の付勢力によって上昇し、
図13(b)に示すように、ユニット上昇位置12Aに配置される。その後、キャリッジモーターが逆方向に駆動され、
図13(a)に示すように、キャリッジ11が対向位置11Aから待機位置11Bに戻る。これにより、印刷ヘッド8はヘッドメンテナンスユニット18と対向するヘッド待機位置8Bに配置される。
【0075】
(作用効果)
本例では、ヘッドユニット12をユニット上昇位置12Aに配置した状態でキャリッジ11を待機位置11Bから対向位置11Aに移動させている。そして、待機位置11Bにおいてヘッドユニット12をユニット上昇位置12Aからユニット下降位置12Bに下降させている。従って、ヘッド待機位置8Bにある印刷ヘッド8をプラテンユニット17に対向するヘッド対向位置8Aに移動させる際には、印刷ヘッド8とプラテンユニット17の間のギャップを距離の長い第1距離L1とすることができる。よって、プラテンユニット17上にギャップ形成ユニット22やスターホイール27などの紙浮き上がり防止部材などが配置されていた場合でも、これらと印刷ヘッド8が衝突することを防止できる。また、印刷ヘッド8がプラテンユニット17に対向する位置に移動した後には、印刷ヘッド8とプラテンユニット17の間のギャップを短縮できる。従って、このギャップを、印刷に適した距離に設定できる。
【0076】
また、本例では、コイルバネ75によってヘッドユニット12をユニット上昇位置12Aに付勢しており、ヘッドユニット移動機構19は、コイルバネ75の付勢力に抗してヘッドユニット12をユニット上昇位置12Aからユニット下降位置12Bに移動させている。従って、ヘッドユニット12をユニット上昇位置12Aに配置した状態でキャリッジ11を待機位置11Bから対向位置11Aに移動させることが容易である。換言すれば、ヘッド待機位置8Bにある印刷ヘッド8をプラテンユニット17に対向するヘッド対向位置8Aに移動させる際に、印刷ヘッド8とプラテンユニット17の間のギャップを距離の長い第1距離L1に維持することが容易である。また、ユニット下降位置12Bに移動させたヘッドユニット12にはコイルバネ75の付勢力が働く状態となるので、ユニット下降位置12Bに移動させたヘッドユニット12をユニット上昇位置12Aに戻すことが容易となる。
【0077】
さらに、本例では、球体23〜25は、転動可能な状態で支持フレーム26に支持されており、かつ、プリンター幅方向およびプリンター前後方向に移動可能な状態で支持フレーム26に支持されている。従って、ヘッドユニット12およびプラテンユニット17を球体23〜25に当接させたときに、ヘッドユニット12の姿勢が変化してヘッドユニット12の基準面12aとプラテン面17aとが平行にされる場合に、球体23〜25をヘッドユニット12に対して移動させることが容易であり、かつ、球体23〜25をプラテンユニット17に対して移動させることが容易となる。この結果、球体23〜25とヘッドユニット12の摩擦、および、球体23〜25とプラテンユニット17の摩擦が低減されるので、プラテンギャップGを形成する際にヘッドユニット12とプラテンユニット17に磨耗が発生することを防止或いは抑制することが容易となる。
【0078】
また、本例では、ヘッドユニット12がユニット下降位置12Bに配置されたときに、ヘッドユニット移動機構19がヘッドユニット12をプラテンユニット17へ接近する方向に押し込んでいる。従って、ヘッドユニット移動機構19による押し込み力によってヘッドユニット12の姿勢を変化させて、ヘッドユニット12の基準面12aとプラテン面17aを平行にすることができる。また、ヘッドユニット移動機構19の押し込み力によってプラテンギャップGを形成した状態を維持することができる。
【0079】
(変形例)
なお、上記の例では、球体23〜25をヘッドユニット12とプラテンユニット17の間に配置し、これらの球体23〜25にヘッドユニット12とプラテンユニット17を当接させることによりプラテンギャップGを形成しているが、球体に替えて、ヘッドユニット12およびプラテンユニット17の少なくとも一方に、ヘッドユニット12がユニット下降位置12Bに配置されたときに他方に当接して印刷ヘッド8とプラテンユニット17との間のギャップを一定とするギャップ形成用突部を設けてもよい。この場合、ギャップ形成用突部は球体23〜25を配置した3箇所に設けておくことが望ましい。
【0080】
また、上記の例では、球体23〜25にヘッドユニット12およびプラテンユニット17が当接する際に、ヘッドユニット12の姿勢が変化するものとなっているが、プラテンユニット17の側の姿勢を変化させてヘッドユニット12の基準面12aとプラテン面17aを平行としてもよい。この場合には、プラテンユニット17を、その姿勢を変化させることが可能な状態で支持するプラテンユニット用フレームを備え、このプラテンユニット用フレームを装置本体フレーム20などに固定しておく構成を採用できる。