特許第6229535号(P6229535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229535
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】直流電圧供給回路および地絡検出回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/16 20060101AFI20171106BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20171106BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H02H3/16 A
   H02M3/155 C
   G01R31/02
【請求項の数】4
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-34757(P2014-34757)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-162908(P2015-162908A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】吉田 通廣
(72)【発明者】
【氏名】竹下 幸一
(72)【発明者】
【氏名】浦川 文男
(72)【発明者】
【氏名】久田 俊哉
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−019312(JP,A)
【文献】 特開2005−312287(JP,A)
【文献】 特開昭51−142656(JP,A)
【文献】 特開2013−148401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08−3/253
G01R 31/02−31/06
H02M 3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの正側線および負側線がそれぞれ接続された複数の直流回路と、
前記正側線および前記負側線間の中間ノードと各前記直流回路の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する地絡検出回路とを備え、
前記地絡検出回路は、
前記正側線に電気的に接続された第1の抵抗と、
前記負側線に電気的に接続された第2の抵抗と、
前記第1の抵抗および前記第2の抵抗と前記基準電位ノードとの間に接続された電流検出回路とを含み、
前記中間ノードの電圧、前記各直流回路の入力電圧または出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように、前記第1の抵抗の抵抗値および前記第2の抵抗の抵抗値が異なる値に設定されている、直流電圧供給回路。
【請求項2】
前記直流電圧供給回路は、さらに、
前記直流回路に対応して設けられ、対応の前記直流回路の電圧を変換する電圧変換回路を備え、
前記地絡検出回路は、前記電圧変換回路の前記直流回路に対して反対側に電気的に接続されている、請求項に記載の直流電圧供給回路。
【請求項3】
前記電圧変換回路において、前記直流回路側の回路と前記地絡検出回路側の回路とは、電気的に絶縁されていない、請求項に記載の直流電圧供給回路。
【請求項4】
複数の直流回路の正側線に電気的に接続された第1の接続ノードと、
各前記直流回路の負側線に電気的に接続された第2の接続ノードと、
前記第1の接続ノードおよび前記第2の接続ノード間の中間ノードと前記各直流回路の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する電流検出回路とを備え、
さらに、
前記第1の接続ノードと前記中間ノードとの間に接続された第1の抵抗と、
前記第2の接続ノードと前記中間ノードとの間に接続された第2の抵抗とを備え、
前記中間ノードの電圧、前記各直流回路の入力電圧または出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように、前記第1の抵抗の抵抗値および前記第2の抵抗の抵抗値が異なる値に設定されている、地絡検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧供給回路および地絡検出回路に関し、特に、地絡により生じる電流を用いて地絡検出を行う直流電圧供給回路および地絡検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
地絡による事故等を回避するために、地絡検出回路を用いた地絡の検出が行われる。地絡とは、たとえば、電気回路およびグランド間の絶縁が破壊され、両者が低いインピーダンスで電気的に接続された状態を言う。地絡は、電気回路に損傷を与えるとともに、感電および火災の原因となる場合がある。
【0003】
地絡検出回路の一例として、たとえば、特許文献1(特開2010−213450号公報)の図5には、以下のような回路が開示されている。すなわち、地絡検出回路は、P極およびN極間に直列に接続された、等しい抵抗値を有する2つの分圧抵抗と、中性点Mおよび接地点G間に直列に接続された地絡検出抵抗および地絡検出リレーとにより構成される。
【0004】
当該地絡検出回路は、直流電源と負荷との間に設けられている。たとえば、直流電源の正側端が地絡した場合、地絡電流が、地絡箇所からグランドへ流れ、さらにグランドから接地点Gを通じて地絡検出リレーを通して流れる。当該地絡検出回路は、地絡検出リレーを通して流れる電流を用いて地絡を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−213450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、直流電源、負荷および地絡検出回路を備える上記の回路において、直流電源と地絡検出回路との間に、新たに非絶縁型の電圧変換回路を設けた構成について考える。当該電圧変換回路は、直流電源の出力を、たとえば昇圧して負荷に供給する。また、当該電圧変換回路の入出力間は絶縁されていないため、直流電源の負側端とN極とは同電位となっている。
【0007】
いま、直流電源の両端の電位差が100Vであり、負荷の両端の電位差、すなわちP極およびN極間の電位差が200Vであるとする。このとき、中性点Mの電圧は、接地点Gの電圧と同じであるため、ゼロボルトである。そして、2つの分圧抵抗の抵抗値は互いに等しいため、N極の電圧はマイナス100ボルトである。
【0008】
また、直流電源の負側端とN極とは同電位であるため、直流電源の負側端の電圧もマイナス100Vである。そして、直流電源の両端の電位差は100Vであるため、直流電源の正側端の電圧はゼロボルトである。このとき、直流電源の正側端とグランドとは同電位となっている。
【0009】
直流電源の正側端とグランドとが同電位の場合、直流電源の正側端が何らかの理由により地絡したとしても、地絡箇所およびグランド間に地絡電流は流れない。したがって、地絡検出リレーにも電流が流れないため、地絡検出回路は地絡を検出することができない。
【0010】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、より確実に地絡を検出することが可能な直流電圧供給回路および地絡検出回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る直流電圧供給回路は、互いの正側線および負側線がそれぞれ接続された複数の直流回路と、前記正側線および前記負側線間の中間ノードと各前記直流回路の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する地絡検出回路とを備え、前記中間ノードの電圧は、前記各直流回路の入力電圧または出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定されている。
【0012】
(5)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る地絡検出回路は、複数の直流回路の正側線に電気的に接続された第1の接続ノードと、各前記直流回路の負側線に電気的に接続された第2の接続ノードと、前記第1の接続ノードおよび前記第2の接続ノード間の中間ノードと前記各直流回路の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する電流検出回路とを備え、前記中間ノードの電圧は、前記各直流回路の入力電圧または出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より確実に地絡を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路の概略構成を示す図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路の構成を示す図である。
図3図3は、図2に示す直流電圧供給回路における地絡の一例を示す図である。
図4図4は、図2に示す直流電圧供給回路における地絡の他の例を示す図である。
図5図5は、図3および図4における直流電圧供給回路の地絡電流の大きさを求めるためのモデル化した回路の構成を示す図である。
図6図6は、図5の直流回路を変形した直流回路の構成を示す図である。
図7図7は、図6に示す直流回路の等価回路への置き換えを示す図である。
図8図8は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路における地絡電流の大きさを説明するための図である。
図9図9は、本発明の第1の実施の形態に係る地絡検出回路が地絡検出に用いる閾値の設定の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の第1の実施の形態に係る地絡検出回路が地絡検出に用いる閾値の設定の他の例を示す図である。
図11図11は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路がノイズフィルタを備える構成を示す図である。
図12図12は、本発明の第2の実施の形態に係る直流電圧供給回路の構成を示す図である。
図13図13は、図12に示す直流電圧供給回路における地絡の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の第3の実施の形態に係る直流電圧供給回路の構成を示す図である。
図15図15は、図14に示す直流電圧供給回路における地絡の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、本発明の実施の形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本発明の実施の形態に係る直流電圧供給回路は、互いの正側線および負側線がそれぞれ接続された複数の直流回路と、前記正側線および前記負側線間の中間ノードと各前記直流回路の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する地絡検出回路とを備え、前記中間ノードの電圧は、前記各直流回路の入力電圧または出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定されている。
【0017】
このような構成により、複数の直流回路における各正側線および各負側線のいずれもが基準電位ノードと異なる電圧となるため、当該各正側線および当該各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、地絡箇所および基準電位ノード間に地絡電流が流れる。したがって、より確実に地絡を検出することができる。
【0018】
(2)好ましくは、前記地絡検出回路は、前記正側線に電気的に接続された第1の抵抗と、前記負側線に電気的に接続された第2の抵抗と、前記第1の抵抗および前記第2の抵抗と前記基準電位ノードとの間に接続された第3の抵抗とを含む。
【0019】
このような構成により、簡易な回路で、より確実に地絡を検出することができる。
【0020】
(3)好ましくは、前記直流電圧供給回路は、さらに、前記直流回路に対応して設けられ、対応の前記直流回路の電圧を変換する電圧変換回路を備え、前記地絡検出回路は、前記電圧変換回路の前記直流回路に対して反対側に電気的に接続されている。
【0021】
このような構成により、入力電圧または出力電圧の異なる複数の直流回路を共通の地絡検出回路に接続することができ、また、各直流回路における正側線および負側線のいずれもが基準電位ノードと異なる電圧となるため、各正側線および各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、より確実に地絡を検出することができる。
【0022】
(4)より好ましくは、前記電圧変換回路において、前記直流回路側の回路と前記地絡検出回路側の回路とは、電気的に絶縁されていない。
【0023】
このような構成により、直流回路側の回路が地絡した場合でも、地絡箇所とグランドとの間で電流が地絡検出回路を通して流れ、また、各直流回路における正側線および負側線のいずれもが基準電位ノードと異なる電圧となるため、各正側線および各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、より確実に地絡を検出することができる。
【0024】
(5)本発明の実施の形態に係る地絡検出回路は、複数の直流回路の正側線が電気的に接続された第1の接続ノードと、各前記直流回路の負側線が電気的に接続された第2の接続ノードと、前記第1の接続ノードおよび前記第2の接続ノード間の中間ノードと各前記直流回路の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する電流検出回路とを備え、前記中間ノードの電圧は、前記各直流回路の入力電圧または出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定されている。
【0025】
このような構成により、複数の直流回路の各正側線および各負側線のいずれもが基準電位ノードと異なる電圧となるため、当該各正側線および当該各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、地絡箇所および基準電位ノード間に地絡電流が流れる。したがって、より確実に地絡を検出することができる。
【0026】
本発明は、このような特徴的な処理部を備える直流電圧供給回路または地絡検出回路として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現したりすることができる。また、直流電圧供給回路または地絡検出回路の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現したり、直流電圧供給回路または地絡検出回路を含むシステムとして実現したりすることができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路の概略構成を示す図である。
【0029】
図1を参照して、直流電圧供給回路10は、負荷部9に電圧を供給する。直流電圧供給回路10は、直流回路1,2と、地絡検出回路4と、電圧変換回路5,6とを備える。負荷部9は、インバータ91と、負荷92とを備える。
【0030】
直流回路1,2は、たとえば、太陽電池モジュールまたは蓄電池を含む直流回路である。電圧変換回路5は、たとえば、直流回路1から直流電圧を受けて、受けた直流電圧のレベルを変換して負荷部9へ供給する。電圧変換回路6は、たとえば、直流回路2から直流電圧を受けて、受けた電圧のレベルを変換して負荷部9へ供給する。電圧変換回路5の出力側と電圧変換回路6の出力側とは互いに接続されている。
【0031】
なお、たとえば、直流回路2が蓄電池を含む回路である場合であって、当該蓄電池が充電されるときには、電圧変換回路6は、電圧変換回路5から受けた直流電圧のレベルを変換して当該蓄電池に供給してもよい。
【0032】
地絡検出回路4は、電圧変換回路5および電圧変換回路6と負荷部9との間に配置され、電圧変換回路5および電圧変換回路6の出力側とグランドとの間に接続されている。地絡検出回路4は、直流電圧供給回路10において地絡が発生した場合に、自己を通して流れる電流に基づいて地絡を検出する。
【0033】
なお、地絡検出回路4を電圧変換回路5および電圧変換回路6と負荷部9との間に配置する構成ではなく、直流回路1と電圧変換回路5との間、および直流回路2と電圧変換回路6との間にそれぞれ配置する構成も考えられる。但し、電圧変換回路5および電圧変換回路6と負荷部9との間に地絡検出回路4を配置する構成の方が、部品数を少なくすることができ、たとえばコストを抑えることができる。
【0034】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路の構成を示す図である。
【0035】
図2を参照して、直流回路1は、直流電源E14を含む。直流回路2は、直流電源E24を含む。直流電源E14および直流電源E24は、たとえば、太陽電池モジュールまたは蓄電池である。
【0036】
電圧変換回路5は、キャパシタC15と、インダクタL16と、スイッチSW17と、ダイオードD18と、キャパシタC29とを含む。スイッチSW17は、トランジスタまたはFET等のスイッチ素子である。
【0037】
電圧変換回路6は、キャパシタC25と、インダクタL26と、スイッチSW27と、ダイオードD28と、キャパシタC29とを含む。スイッチSW27は、トランジスタまたはFET等のスイッチ素子である。
【0038】
地絡検出回路4は、抵抗(第1の抵抗)R31と、抵抗(第2の抵抗)R32と、電流検出回路36とを備える。電流検出回路36は、抵抗(第3の抵抗)R33と、電圧計測部34と、警報部35とを含む。
【0039】
地絡検出回路4は、電圧変換回路5の直流回路1に対して反対側であって、電圧変換回路6の直流回路2に対して反対側に電気的に接続されている。
【0040】
以下、回路または回路要素が「接続されている」とは、これらが直接接続されている状態に限らず、他の回路または回路要素を介して、電気的に接続されている状態も含む。
【0041】
電圧変換回路5において、直流電源E14の正側端と、キャパシタC15の第1端と、インダクタL16の第1端とが接続されている。直流電源E14の負側端と、キャパシタC15の第2端と、スイッチSW17の第2端とが接続されている。インダクタL16の第2端と、スイッチSW17の第1端と、ダイオードD18のアノードとが接続されている。ダイオードD18のカソードと、キャパシタC29の第1端とが接続されている。スイッチSW17の第2端と、キャパシタC29の第2端とが接続されている。キャパシタC29の第1端は、負荷部9の正側端に接続されている。キャパシタC29の第2端は、負荷部9の負側端に接続されている。
【0042】
電圧変換回路6において、直流電源E24の正側端と、キャパシタC25の第1端と、インダクタL26の第1端とが接続されている。直流電源E24の負側端と、キャパシタC25の第2端と、スイッチSW27の第2端とが接続されている。インダクタL26の第2端と、スイッチSW27の第1端と、ダイオードD28のアノードとが接続されている。ダイオードD28のカソードと、キャパシタC29の第1端とが接続されている。スイッチSW27の第2端と、キャパシタC29の第2端とが接続されている。
【0043】
電圧変換回路5は、直流回路1に対応して設けられ、スイッチSW17をスイッチングすることにより、直流回路1の出力電圧を変換する。
【0044】
また、電圧変換回路6は、直流回路2に対応して設けられ、スイッチSW27をスイッチングすることにより、直流回路2の出力電圧を変換する。
【0045】
より詳細には、たとえば、電圧変換回路5において、インダクタL16は、スイッチSW17がオンしたときに、自己を通して流れる電流を増加させてエネルギーを蓄積する。そして、インダクタL16に蓄積されたエネルギーは、スイッチSW17がオフしたときにダイオードD18を通してキャパシタC29へ放出され、キャパシタC29を充電する。これにより、電圧変換回路5は、直流回路1から受けた直流電圧を、所定レベルの直流電圧に変換して出力することができる。電圧変換回路6においても同様である。
【0046】
電圧変換回路5において、直流回路1側の回路と地絡検出回路4側の回路とは、電気的に絶縁されていない。また、電圧変換回路6において、直流回路2側の回路と地絡検出回路4側の回路とは、電気的に絶縁されていない。つまり、電圧変換回路5および電圧変換回路6は、非絶縁型の電圧変換回路である。
【0047】
以下、直流回路1の正側の出力端子と接続され、直流回路1の正側の出力端子と同電位になる配線を直流回路1の正側線とも称する。また、直流回路1の負側の出力端子と接続され、直流回路1の負側の出力端子と同電位になる配線を直流回路1の負側線とも称する。
【0048】
また、直流回路2の正側の出力端子と接続され、直流回路2の正側の出力端子と同電位になる配線を直流回路2の正側線とも称する。また、直流回路2の負側の出力端子と接続され、直流回路2の負側の出力端子と同電位になる配線を、直流回路2の負側線とも称する。
【0049】
直流回路1および直流回路2の正側線は互いに接続されている。具体的には、直流回路1および直流回路2の正側線は、電圧変換回路5および電圧変換回路6を介して互いに接続されている。また、直流回路1および直流回路2の負側線は互いに接続されている。
【0050】
抵抗R31は、正側線に電気的に接続されている。より詳細には、抵抗R31の第1端は、電圧変換回路5を介して、直流回路1の正側線に接続されており、電圧変換回路6を介して、直流回路2の正側線に接続されている。
【0051】
抵抗R31の第1端は、接続ノード(第1の接続ノード)N41において、直流回路1の正側線および直流回路2の正側線と接続されている。つまり、接続ノードN41は、直流回路1および直流回路2の正側線に電気的に接続されている。より詳細には、接続ノードN41は、電圧変換回路5を介して、直流回路1の正側線に接続され、電圧変換回路6を介して、直流回路2の正側線に接続されている。接続ノードN41は、たとえば、ケーブルの接続端子またはプリント基板の配線の接続箇所である。また、接続ノードN41は、地絡検出回路4に含まれる。
【0052】
抵抗R32は、負側線に電気的に接続されている。より詳細には、抵抗R32の第1端は、電圧変換回路5を介して、直流回路1の負側線に接続されており、電圧変換回路6を介して、直流回路2の負側線に接続されている。
【0053】
抵抗R32の第1端は、接続ノード(第2の接続ノード)N42において、直流回路1の負側線および直流回路2の負側線と接続されている。つまり、接続ノードN42は、直流回路1および直流回路2の負側線に電気的に接続されている。より詳細には、接続ノードN42は、電圧変換回路5を介して、直流回路1の負側線に接続され、電圧変換回路6を介して、直流回路2の負側線に接続されている。接続ノードN42は、たとえば、ケーブルの接続端子またはプリント基板の配線の接続箇所である。また、接続ノードN42は、地絡検出回路4に含まれる。
【0054】
抵抗R31の第2端および抵抗R32の第2端は、正側線および負側線間の中間のノードである中間ノードにおいて接続される。正側線および負側線間の電圧は、抵抗R31および抵抗R32により分圧される。したがって、中間ノードの電圧は、正側線の電圧と負側線の電圧との間の電圧である。中間ノードは、たとえば、ケーブルの接続端子またはプリント基板の配線の接続箇所である。
【0055】
抵抗R33は、抵抗R31および抵抗R32と、直流電圧供給回路10の基準電位ノードN44との間に接続されている。より詳細には、抵抗R31の第2端と、抵抗R32の第2端と、抵抗R33の第1端とが、中間ノードN43において接続されている。また、抵抗R33の第2端と、基準電位ノードN44とが接続されている。
【0056】
基準電位ノードN44は、たとえばグランドに接続されており、直流回路1,2、地絡検出回路4、電圧変換回路5,6および負荷部9の基準電位となっている。
【0057】
また、電圧計測部34の第1端は、中間ノードN43に接続され、電圧計測部34の第2端は、基準電位ノードN44に接続されている。
【0058】
電流検出回路36は、中間ノードN43と基準電位ノードN44との間を流れる電流、すなわち抵抗R33を通して流れる電流を検出する。より詳細には、電圧計測部34は、抵抗R33を通して電流が流れることにより生じる抵抗R33の両端の電圧を測定し、測定結果を警報部35へ出力する。警報部35は、電圧計測部34から受けた抵抗R33の両端の電圧の測定結果に基づいて、地絡が発生したか否かを判断する。そして、地絡が発生したと判断した場合には警報を発する。
【0059】
たとえば、電流検出回路36は、所定の閾値を用いて地絡を検出する。具体的には、たとえば警報部35が、電圧計測部34から受けた抵抗R33の両端電圧の測定結果と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて地絡を検出する。
【0060】
図3は、図2に示す直流電圧供給回路における地絡の一例を示す図である。
【0061】
図3を参照して、直流回路2の負側線が地絡している。より詳細には、直流電源E24の負側端が、地絡抵抗R50を介して、基準電位ノードN44に接続されている。
【0062】
このように、直流回路2の負側線が地絡した場合、地絡電流I1が、基準電位ノードN44から地絡抵抗50を通って直流回路2の負側線へ流れる。具体的には、たとえば、地絡電流I1は、直流電源E24から出力され、抵抗R31および抵抗R33を通って基準電位ノードN44へ流れ、基準電位ノードN44から地絡抵抗R50を通って直流電源E24へ戻る。
【0063】
このとき、抵抗R33の両端には、地絡電流I1によって電位差が生じる。電流検出回路36は、抵抗R33の両端に生じた電位差に基づいて、地絡を検出する。
【0064】
図4は、図2に示す直流電圧供給回路における地絡の他の例を示す図である。
【0065】
図4を参照して、直流回路2の正側線が地絡している。具体的には、直流電源E24の正側端が、地絡抵抗R50を介して、基準電位ノードN44に接続されている。
【0066】
このように、直流回路2の正側線が地絡した場合、地絡電流I2が、直流回路2の正側線から地絡抵抗R50を通って基準電位ノードN44へ流れる。具体的には、たとえば、地絡電流I2は、直流電源E24から出力され、地絡抵抗R50を通って基準電位ノードN44へ流れ、基準電位ノードN44から抵抗R33および抵抗R32を通って直流電源E24へ戻る。
【0067】
このとき、抵抗R33の両端には、地絡電流I2によって電位差が生じる。電流検出回路36は、抵抗R33の両端に生じた電位差に基づいて、地絡を検出する。
【0068】
ここで、直流電圧供給回路10のいずれの箇所も地絡していない場合であって、直流電源E14の出力電圧の絶対値、つまり直流電源E14の両端の電位差の絶対値が50Vであり、直流電源E24の出力電圧の絶対値、つまり直流電源E24の両端の電位差の絶対値が100Vであり、負荷部9に印加される電圧の絶対値が200Vであり、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値が40kΩであり、抵抗R33の抵抗値が1kΩである場合について考える。以下、特に文中に示した場合を除き、基準電位ノードN44の電位をゼロボルトとする。
【0069】
直流電圧供給回路10のいずれの箇所も地絡していない場合、中間ノードN43および基準電位ノードN44間には電流が流れない。つまり、抵抗R33には電流が流れないため、中間ノードN43の電圧はゼロボルトである。
【0070】
抵抗R31および抵抗R32の抵抗値は同じであり、負荷部9に印加される電圧の絶対値は200Vであるため、接続ノードN41の電圧は100Vであり、接続ノードN42の電圧はマイナス100Vである。
【0071】
また、直流電源E24の負側端の電圧は、接続ノードN42の電圧と同じであるため、マイナス100Vである。
【0072】
直流電源E24の負側端の電圧はマイナス100Vであり、直流電源E24の出力電圧の絶対値は100Vであるため、直流電源E24の正側端の電圧は、直流電源E24の負側端の電圧より100V高いゼロボルトである。つまり、直流電源E24の正側端は、基準電位ノードN44と同電位である。
【0073】
この場合において、たとえば図4に示すように、直流回路2の正側線が地絡したとしても、直流電源E24の正側端は基準電位ノードN44と同電位であるため、地絡電流I2は流れない。つまり、直流回路2の正側線が地絡したとしても、直流回路2の正側線および中間ノードN43は同電位であるため、地絡電流I2は、抵抗R33を通して流れない。
【0074】
したがって、抵抗R33の両端には電位差が生じないため、電流検出回路36は、地絡を検出することができない。
【0075】
すなわち、電流検出回路36は、地絡箇所の電圧の絶対値と、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値とが同じである場合、地絡を検出できないことがある。
【0076】
そこで、直流電圧供給回路10では、地絡が発生した場合に、電圧計測部34がより確実に地絡を検出することができる様に、地絡検出回路4の回路定数を設定する。具体的には、地絡していない状態において、負側線を基準とした中間ノードN43の電圧、すなわち中間ノードN43および負側線の電位差が、直流回路1および直流回路2の出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定する。
【0077】
より具体的には、たとえば上記のように、直流電源E14の出力電圧の絶対値が50Vであり、直流電源E24の出力電圧の絶対値が100Vである場合であって、直流電圧供給回路10のいずれの箇所も地絡していない状態のときに、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値が50Vより小さくなるように、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値を設定する。
【0078】
ここで、直流電圧供給回路10のいずれの箇所も地絡していない状態において、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値を|Vn|とし、負荷部9に印加される電圧の絶対値を|Vz|とし、R31およびR32の抵抗値をそれぞれRa31およびRa32とすると、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値|Vn|は、以下の式で表される。
|Vn|=|Vz|×Ra32/(Ra31+Ra32)
【0079】
たとえば、負荷部9に印加される電圧の絶対値|Vz|が200Vである場合に、抵抗値Ra31を82kΩに設定し、抵抗値Ra32を12kΩに設定したときには、上記の式より、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値|Vn|は、約25.5Vとなり、直流電源E14の出力電圧の絶対値の50Vより小さくなる。
【0080】
このとき、中間ノードN43の電圧はゼロボルトであって、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値は25.5Vであるため、負側線の電圧は、中間ノードN43の電圧より25.5V低いマイナス25.5Vである。
【0081】
直流電源E24の負側端の電圧は、負側線の電圧と同じであるため、マイナス25.5Vである。
【0082】
直流電源E24の出力電圧の絶対値は100Vであるため、直流電源E24の正側端の電圧は、直流電源E24の負側端の電圧より100V高い74.5Vである。
【0083】
また、直流電源E14の負側端の電圧は、負側線の電圧と同じであるため、マイナス25.5Vである。
【0084】
直流電源E14の出力電圧の絶対値は50Vであるため、直流電源E14の正側端の電圧は、直流電源E14の負側端の電圧より50V高い24.5Vである。
【0085】
このように、たとえば、直流回路1および直流回路2の各出力電圧の絶対値のうちの最小値より、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値が小さくなるように、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値を設定することによって、直流電源E14の正側端および直流電源E24の正側端の電圧を、基準電位ノードN44と同じゼロボルトにならないようにすることができる。
【0086】
そして、これにより、直流回路1または直流回路2の正側線が地絡した場合でも、地絡箇所、基準電位ノードN44および抵抗R33を通して地絡電流が流れ、抵抗R33の両端に電位差が生じるため、電流検出回路36は、より確実に地絡電流を検出することができる。つまり、地絡検出回路4は、直流電圧供給回路10において地絡が生じた場合には、より確実に地絡を検出することができる。
【0087】
なお、直流回路1および直流回路2の出力電圧が変動する場合、すなわち、直流回路1および直流回路2の出力電圧の絶対値が変動する場合には、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値が、直流回路1および直流回路2の出力電圧の絶対値の変動範囲における最小値よりも小さくなるように、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値を設定する。
【0088】
図5は、図3および図4における直流電圧供給回路の地絡電流の大きさを求めるためのモデル化した回路の構成を示す図である。
【0089】
図5を参照して、直流回路290は、抵抗R31と、抵抗R32と、抵抗R33と、地絡抵抗R50と、直流電源E190とを備える。
【0090】
直流電源E190の正側端は、R31の第1端と接続されている。直流電源E190の負側端は、負側線を介して抵抗R32の正側端と接続されている。抵抗R31および抵抗R32の第2端は、中間ノードN43において抵抗R33の第1端と接続されている。抵抗R33の第2端は、基準電位ノードN44を介して地絡抵抗R50の第2端と接続されている。
【0091】
接続点Xは、図3および図4における直流電圧供給回路10と地絡抵抗R50との接続箇所、すなわち直流電圧供給回路10の地絡箇所に対応する。Vxは、負側線に対する接続点Xの電圧である。Vdcは、直流電源E190が出力する電圧であり、図3および図4において負荷部9に印加される電圧に対応する。接続ノードN41および接続ノードN42間には、電圧Vdcが印加されている。また、地絡電流I9は、図3または図4における地絡電流I1またはI2に対応し、抵抗R33の第1端側から第2端側へ抵抗R33を通して流れる。
【0092】
図6は、図5の直流回路を変形した直流回路の構成を示す図である。
【0093】
図6を参照して、直流回路291は、図5に示す直流回路290と比べて、さらに、接続点Xおよび負側線間に直流電源E191を備える。直流電源E191の正側端は、地絡抵抗R50の第1端と接続点Xにおいて接続されている。直流電源E191の負側端は、負側線と接続されている。直流電源E191は、電圧Vxを出力する。直流回路291における直流電源E191以外の各回路要素の接続は、直流回路290における各回路要素の接続と同様である。
【0094】
以下、抵抗R31,R32,R33の抵抗値をそれぞれ抵抗値Ra31,Ra32,Ra33とし、地絡抵抗R50の抵抗値をRa50とする。
【0095】
図7は、図6に示す直流回路の等価回路への置き換えを示す図である。
【0096】
図7(a)は、図6の直流回路291から導いた等価回路の構成を示す。図7(b)は、図7(a)の回路から導いた等価回路の構成を示す。図7(c)は、図7(b)の回路から導いた等価回路の構成を示す。図7(d)は、図7(c)の回路から導いた等価回路を示す。
【0097】
図7(a)を参照して、等価回路292は、抵抗R31と、抵抗R32と、直流電源E190と、直流電源E191と、抵抗R195とを備える。
【0098】
等価回路292において、直流電源E190の正側端と抵抗R31の第1端とが接続されている。抵抗R31の第2端と、抵抗R32の第1端と、抵抗R195の第1端とが接続されている。抵抗R195の第2端と、直流電源E191の正側端とが接続されている。直流電源E190の負側端と、抵抗R32の第2端と、直流電源E191の負側端とが接続されている。地絡電流I9は、抵抗R195の第1端側から第2端側へ抵抗R195を通して流れる。
【0099】
抵抗R195は、図6に示す回路おいて直列接続されている抵抗R33および地絡抵抗R50を1つの抵抗で表したものである。したがって、抵抗R195の抵抗値をRa195とすると、抵抗値Ra195は、以下の式で表される。
Ra195=Ra33+Ra50
【0100】
図7(b)を参照して、等価回路293は、直流電流源g1と、直流電源E191と、抵抗R31と、抵抗R32と、抵抗R195とを備える。
【0101】
等価回路293において、直流電流源g1の正側端と、抵抗R31の第1端と、抵抗R32の第1端と、抵抗R195の第1端とが接続されている。抵抗R195の第2端と、直流電源E191の正側端とが接続されている。直流電流源g1の負側端と、抵抗R31の第2端と、抵抗R32の第2端と、直流電源E191の負側端とが接続されている。地絡電流I9は、抵抗R195の第1端側から第2端側へ抵抗R195を通して流れる。
【0102】
並列接続されている直流電流源g1および抵抗R31は、図7(a)において直列接続されている直流電源E190および抵抗R31を等価変換したものである。したがって、直流電流源g1の出力電流をIgとすると、電流Igは以下の式で表される。
Ig=Vdc/Ra31
【0103】
図7(c)を参照して、等価回路294は、直流電流源g1と、直流電源E191と、抵抗R195と、抵抗R196とを備える。
【0104】
等価回路294において、直流電流源g1の正側端と、抵抗R196の第1端と、抵抗R195の第1端とが接続されている。直流電源E191の正側端と、抵抗R195の第2端とが接続されている。直流電流源g1の負側端と、抵抗R196の第2端と、直流電源E191の負側端とが接続されている。地絡電流I9は、抵抗R195の第1端側から第2端側へ抵抗R195を通して流れる。
【0105】
抵抗R196は、図7(b)において並列接続されている抵抗R31および抵抗R32を1つの抵抗で表したものである。したがって、抵抗R196の抵抗値をRa196とすると、抵抗値Ra196は、以下の式で表される。
Ra196=Ra31×Ra32/(Ra31+Ra32)
【0106】
図7(d)を参照して、等価回路295は、直流電源E191と、直流電源E192と、抵抗R195と、抵抗R196とを備える。
【0107】
等価回路295において、直流電源E192の正側端と、抵抗R196の第1端とが接続されている。抵抗R196の第2端と、抵抗R195の第1端とが接続されている。抵抗R195の第2端と、直流電源E191の正側端とが接続されている。直流電源E192の負側端と、直流電源E191の負側端とが接続されている。地絡電流I9は、抵抗R195の第1端側から第2端側へ抵抗R195を通して流れる。
【0108】
直列接続されている直流電源E192および抵抗R196は、図7(c)において並列接続されている直流電流源g1および抵抗R196を等価変換したものである。したがって、直流電源E192の出力電圧をVwとすると、電圧Vwは以下の式で表される。
Vw=Ig×Ra196
=Vdc×Ra32/(Ra31+Ra32)
【0109】
以上より、地絡電流I9は、以下に示す式(1)で表される。
【数1】
【0110】
抵抗値Ra31,Ra32,Ra33は、それぞれ抵抗R31,R32,R33の抵抗値であるため一定である。さらに、電圧Vdcおよび抵抗値Ra50が一定であるとすると、地絡電流I9は、以下の式で表される。ここで、aおよびbは定数である。
I9=−a×Vx+b
【0111】
すなわち、電圧Vdcおよび抵抗値Ra50が一定の場合、地絡電流I9は、電圧Vxの一次式で表される。
【0112】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路における地絡電流の大きさを説明するための図である。
【0113】
グラフG1およびグラフG2は、式(1)における電圧Vdcおよび抵抗値Ra50の各々を一定値とした場合の地絡電流I9と電圧Vxとの関係を示す。グラフG1およびグラフG2は、電圧Vdcが等しく、抵抗値Ra50が異なる。
【0114】
グラフG1およびグラフG2は、抵抗値Ra50が大きくなるにしたがって、その傾きが小さくなる。グラフG1は、たとえば、抵抗値Ra50が20kΩである場合の地絡電流I9と電圧Vxとの関係を示す。グラフG2は、たとえば、抵抗値Ra50が1MΩである場合の地絡電流I9と電圧Vxとの関係を示す。
【0115】
グラフG1を参照して、地絡電流I9は、Vx=0のとき、レベルh11であり、Vxが大きくなるにしたがって小さくなる。地絡電流I9は、Vx=Vxcにおいてゼロアンペアとなり、Vx=Vxpにおいてレベルh14となる。
【0116】
レベルh11は、負側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。また、レベルh14は、電圧Vxpの正側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。
【0117】
グラフG2を参照して、地絡電流I9は、Vx=0のとき、レベルh12であり、Vxが大きくなるにしたがって小さくなる。地絡電流I9は、Vx=Vxcにおいてゼロアンペアとなり、Vx=Vxpにおいてレベルh13となる。
【0118】
レベルh12は、負側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。また、レベルh13は、回路における電圧Vxpの箇所が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。
【0119】
I9=0となるときの電圧Vx、すなわち電圧Vxcは、式(1)に基づいて以下に示す式(2)で表される。
Vx=Vdc×Ra32/(Ra31+Ra32) ・・・(2)
【0120】
式(2)より、たとえば図6に示す直流回路291において、負側線を基準とした、接続点Xの電圧と抵抗R31および抵抗R32の接続箇所の電圧とが等しい場合に、地絡電流I9が流れないことが分かる。
【0121】
再び図3および図4を参照して、負側線が地絡した場合に抵抗R33を通して流れる地絡電流I1と、正側線が地絡した場合に抵抗R33を通して流れる地絡電流I2とでは、流れる方向が反対である。したがって、図6に示す直流回路291において、地絡電流I9は、負側線が地絡した場合と、正側線が地絡した場合とで流れる方向が反対となる。
【0122】
ここで、図3および図4に示す警報部35が、前述のように閾値を用いて地絡を検出する場合、警報部35は、たとえば、地絡電流I1に対応する第1の閾値と地絡電流I2に対応する第2の閾値とを用いる。
【0123】
より詳細には、警報部35は、中間ノードN43から基準電位ノードN44へ向かって流れる地絡電流I1が第1の閾値より大きい場合、または基準電位ノードN44から中間ノードN43へ向かって流れる地絡電流I2が第2の閾値より大きい場合に、直流電圧供給回路10において地絡が発生したと判定する。たとえば、第1の閾値のレベルの絶対値と第2の閾値のレベルの絶対値とは同じである。
【0124】
図6において、第1の閾値は、地絡電流I9が正の場合に対応し、第2の閾値は、地絡電流I9が負の場合に対応する。図8において、たとえば、第1の閾値をレベルh11に設定し、第2の閾値をレベルh14に設定した場合、地絡電流I9がレベルh11以上またはレベルh14以下となったときに地絡が検出される。
【0125】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る地絡検出回路が地絡検出に用いる閾値の設定の一例を示す図である。
【0126】
グラフG3およびグラフG4は、式(1)における電圧Vdcおよび抵抗値Ra50の各々を一定値とした場合の地絡電流I9と電圧Vxとの関係を示す。グラフG3およびグラフG4は、電圧Vdcが異なり、抵抗値Ra50が等しい。
【0127】
グラフG3およびグラフG4は、電圧Vdcが大きくなるにしたがって地絡電流I9が増加する方向へ平行に移動する。具体的には、たとえば、グラフG3は、パラメータである電圧Vdcをある値大きくするとグラフG4の位置へ移動する。
【0128】
グラフG3を参照して、地絡電流I9は、Vx=0のとき、レベルh22であり、Vxが大きくなるにしたがって小さくなる。地絡電流I9は、Vx=Vx3においてゼロアンペアとなり、Vx=Vxpにおいてレベルh24となる。
【0129】
レベルh22は、負側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。また、レベルh24は、電圧Vxpの正側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。
【0130】
グラフG4を参照して、地絡電流I9は、Vx=0のとき、レベルh21であり、Vxが大きくなるにしたがって小さくなる。地絡電流I9は、Vx=Vx4においてゼロアンペアとなり、Vx=Vxpにおいてレベルh23となる。
【0131】
レベルh21は、負側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。また、レベルh23は、電圧Vxpの正側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。
【0132】
電圧Vdcが変化すると地絡電流I9の値も変化するため、第1の閾値および第2の閾値は、電圧Vdcの変化を考慮して設定してもよい。具体的には、Vdcが変化した場合であっても確実に地絡を検出することができるように各閾値を設定する。たとえば、地絡電流I9がグラフG3およびグラフG4に挟まれた範囲において変化する場合、第1の閾値をh22に設定し、第2の閾値をh23に設定する。
【0133】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る地絡検出回路が地絡検出に用いる閾値の設定の他の例を示す図である。
【0134】
グラフは、式(1)における電圧Vdcおよび抵抗値Ra50の各々を一定値とした場合の地絡電流I9と電圧Vxとの関係を示す。
【0135】
グラフを参照して、地絡電流I9は、Vx=0においてレベルh31であり、Vxが大きくなるにしたがって小さくなる。地絡電流I9は、Vx=Vxp1においてレベルh32となり、Vx=Vxp2においてレベルh33となる。
【0136】
レベルh31は、負側線が地絡した場合の地絡電流I9のレベルである。また、レベルh32は、正側線における地絡箇所の電圧がVxp1の場合の地絡電流I9のレベルである。レベルh33は、正側線における地絡箇所の電圧がVxp2の場合の地絡電流I9のレベルである。
【0137】
地絡箇所の電圧が変化する場合、第2の閾値はVxの変化を考慮して設定されてもよい。たとえば、地絡箇所の電圧がVxp1からVxp2の範囲で変化する場合、第2の閾値は、Vxp1に対応するレベルh32に設定する。
【0138】
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路がノイズフィルタを備える構成を示す図である。
【0139】
図11を参照して、直流電圧供給回路13は、図2に示す直流電圧供給回路10と比べて、さらに、直流回路2および電圧変換回路6の間にノイズフィルタ120を備える。
【0140】
ノイズフィルタ120は、キャパシタC141,C142,C143,C144と、インダクタL145,L146とを含む。
【0141】
ノイズフィルタ120において、キャパシタC141の第1端と、キャパシタC143の第1端と、インダクタL145の第1端と、直流回路2における直流電源E24の正側端とが接続されている。キャパシタC142の第1端と、キャパシタC143の第2端と、インダクタL146の第1端と、直流回路2における直流電源E24の負側端とが接続されている。インダクタL146の第2端と、キャパシタC144の第2端と、電圧変換回路6におけるキャパシタC25の第2端とが接続されている。インダクタL145の第2端と、キャパシタC144の第1端と、電圧変換回路6におけるキャパシタC25の第1端とが接続されている。キャパシタC141の第2端と、キャパシタC142の第2端とが、基準電位ノードN44に接続されている。
【0142】
ここで、たとえば、直流電源E24の出力電圧が急激に上昇した場合、キャパシタC141に充電電流I10が流れる。具体的には、充電電流I10は、直流電源E24から出力され、キャパシタC141を通って基準電位ノードN44へ流れ、基準電位ノードN44から抵抗R33、抵抗R32およびインダクタL146を通って直流電源E24へ戻る。
【0143】
充電電流I10は、抵抗R33を通るため、電流検出回路36が誤って地絡を検出する場合がある。
【0144】
しかしながら、充電電流I10は、短時間しか流れない。そこで、たとえば、電圧計測部34が、抵抗R33の両端電圧の測定結果をローパスフィルタ経由で警報部35へ送る。これにより、電流検出回路36における地絡の誤検出を回避することができる。
【0145】
なお、電圧計測部34は、抵抗R33の両端電圧の測定結果をローパスフィルタ経由で警報部35へ送る構成に限らず、当該測定結果に対して平均化処理を行って警報部35へ送る構成であってもよいし、当該測定結果を実効値換算して警報部35へ送る構成であってもよい。
【0146】
ところで、特許文献1の図5に示される回路の直流電源と地絡検出回路との間に、新たに非絶縁型の電圧変換回路を設けた構成においては、地絡検出回路が地絡を検出することができない場合がある。
【0147】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路では、直流回路1および直流回路2は、互いの正側線および負側線がそれぞれ接続される。地絡検出回路4は、当該正側線および当該負側線間の中間ノードN43と直流回路1および直流回路2の基準電位ノードN44との間を流れる電流を検出する。中間ノードN43の電圧は、直流回路1および直流回路2の出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定される。
【0148】
このような構成により、直流回路1および直流回路2における各正側線および各負側線のいずれもが基準電位ノードN44と異なる電圧となるため、当該各正側線および当該各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、地絡箇所および基準電位ノードN44間に地絡電流が流れる。したがって、より確実に地絡を検出することができる。
【0149】
また、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路では、地絡検出回路4において、抵抗R31は、直流回路1および直流回路2の正側線に電気的に接続される。抵抗R32は、直流回路1および直流回路2の負側線に電気的に接続される。抵抗R33は、抵抗R31および抵抗R32と基準電位ノードN44との間に接続される。
【0150】
このような構成により、簡易な回路で、より確実に地絡を検出することができる。
【0151】
また、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路では、電圧変換回路5および電圧変換回路6は、直流回路1および直流回路2にそれぞれ対応して設けられ、対応の直流回路の電圧を変換する。地絡検出回路4は、電圧変換回路5および電圧変換回路6の直流回路1および直流回路2に対して反対側に電気的に接続される。
【0152】
このような構成により、出力電圧の異なる直流回路1および直流回路2を地絡検出回路4に接続することができる。また、直流回路1および直流回路2における各正側線および各負側線のいずれもが基準電位ノードN44と異なる電圧となるため、当該各正側線および当該各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、より確実に地絡を検出することができる。
【0153】
また、本発明の第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路では、電圧変換回路5および電圧変換回路6において、直流回路1および直流回路2側の回路と地絡検出回路4側の回路とは、電気的に絶縁されていない。
【0154】
このような構成により、直流回路1および直流回路2側の回路が地絡した場合でも、地絡に起因する電流が地絡検出回路4に流れる。また、直流回路1および直流回路2における各正側線および各負側線のいずれもが基準電位ノードN44と異なる電圧となるため、当該各正側線および当該各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、より確実に地絡を検出することができる。
【0155】
また、本発明の第1の実施の形態に係る地絡検出回路では、接続ノードN41は、直流回路1および直流回路2の各正側線と電気的に接続される。接続ノードN42は、直流回路1および直流回路2の各負側線と電気的に接続される。電流検出回路36は、接続ノードN41および接続ノードN42間の中間ノードN43と直流回路1および直流回路2の基準電位ノードN44との間を流れる電流を検出する。中間ノードN43は、直流回路1および直流回路2の入力電圧または出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定される。
【0156】
このような構成により、直流回路1および直流回路2の各正側線および各負側線のいずれもが基準電位ノードN44と異なる電圧となるため、当該各正側線および当該各負側線のいずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、地絡箇所および基準電位ノードN44間に地絡電流が流れる。したがって、より確実に地絡を検出することができる。
【0157】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0158】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路と比べて、電圧変換回路の構成が異なる直流電圧供給回路に関する。以下で説明する内容以外は、第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路と同様である。
【0159】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る直流電圧供給回路の構成を示す図である。
【0160】
図12を参照して、直流電圧供給回路11は、図2に示す直流電圧供給回路10と比べて、電圧変換回路5の代わりに電圧変換回路7を備え、電圧変換回路6の代わりに電圧変換回路8を備える。
【0161】
電圧変換回路7は、キャパシタC75と、インダクタL76と、スイッチSW77と、ダイオードD78と、キャパシタC89とを含む。スイッチSW77は、トランジスタまたはFET等のスイッチ素子である。
【0162】
電圧変換回路8は、キャパシタC85と、インダクタL86と、スイッチSW87と、ダイオードD88と、キャパシタC89とを含む。スイッチSW87は、トランジスタまたはFET等のスイッチ素子である。
【0163】
地絡検出回路4は、電圧変換回路7の直流回路1に対して反対側であって、電圧変換回路8の直流回路2に対して反対側に接続されている。
【0164】
電圧変換回路7において、直流電源E14の正側端と、キャパシタC75の第1端と、スイッチSW77の第1端とが接続されている。直流電源E14の負側端と、キャパシタC75の第2端と、インダクタL76の第1端とが接続されている。インダクタL76の第2端と、スイッチSW77の第2端と、ダイオードD78のカソードとが接続されている。ダイオードD78のアノードと、キャパシタC89の第2端とが接続されている。スイッチSW77の第1端と、キャパシタC89の第1端とが接続されている。キャパシタC89の第1端は、負荷部9の正側端に接続されている。キャパシタC89の第2端は、負荷部9の負側端に接続されている。
【0165】
電圧変換回路8において、直流電源E24の正側端と、キャパシタC85の第1端と、スイッチSW87の第1端とが接続されている。直流電源E24の負側端と、キャパシタC85の第2端と、インダクタL86の第1端とが接続されている。インダクタL86の第2端と、スイッチSW87の第2端と、ダイオードD88のカソードとが接続されている。ダイオードD88のアノードと、キャパシタC89の第2端とが接続されている。スイッチSW87の第1端と、キャパシタC89の第1端とが接続されている。
【0166】
電圧変換回路7は、直流回路1に対応して設けられ、スイッチSW77をスイッチングすることにより、直流回路1の電圧を変換する。
【0167】
また、電圧変換回路8は、直流回路2に対応して設けられ、スイッチSW87をスイッチングすることにより、直流回路2の電圧を変換する。
【0168】
より詳細には、たとえば、電圧変換回路7において、インダクタL76は、スイッチSW77がオンしたときに、自己を通して流れる電流を増加させてエネルギーを蓄積する。そして、インダクタL76に蓄積されたエネルギーは、スイッチSW77がオフしたときにキャパシタC89へ放出され、キャパシタC89を充電する。これにより、電圧変換回路7は、直流回路1から受けた直流電圧を、所定レベルの直流電圧に変換して出力することができる。電圧変換回路8においても同様である。
【0169】
電圧変換回路7において、直流回路1側の回路と地絡検出回路4側の回路とは、電気的に絶縁されていない。また、電圧変換回路8において、直流回路2側の回路と地絡検出回路4側の回路とは、電気的に絶縁されていない。つまり、電圧変換回路7および電圧変換回路8は、非絶縁型の電圧変換回路である。
【0170】
直流回路1および直流回路2の正側線は互いに接続されている。また、直流回路1および直流回路2の負側線は接続されている。具体的には、直流回路1および直流回路2の負側線は、電圧変換回路7および電圧変換回路8を介して接続されている。
【0171】
抵抗R31は、正側線に電気的に接続されている。より詳細には、抵抗R31の第1端は、電圧変換回路7を介して、直流回路1の正側線に接続されており、電圧変換回路8を介して、直流回路2の正側線に接続されている。
【0172】
抵抗R31の第1端は、接続ノードN41において、直流回路1の正側線および直流回路2の正側線と接続されている。つまり、接続ノードN41は、直流回路1および直流回路2の正側線に電気的に接続されている。より詳細には、接続ノードN41は、電圧変換回路7を介して、直流回路1の正側線に接続され、電圧変換回路8を介して、直流回路2の正側線に接続されている。接続ノードN41は、地絡検出回路4に含まれる。
【0173】
抵抗R32は、負側線に電気的に接続されている。より詳細には、抵抗R32の第1端は、電圧変換回路7を介して、直流回路1の負側線に接続されており、電圧変換回路8を介して、直流回路2の負側線に接続されている。
【0174】
抵抗R32の第1端は、接続ノードN42において、直流回路1の負側線および直流回路2の負側線と接続されている。つまり、接続ノードN42は、直流回路1および直流回路2の負側線に電気的に接続されている。より詳細には、接続ノードN42は、電圧変換回路7を介して、直流回路1の負側線に接続され、電圧変換回路8を介して、直流回路2の負側線に接続されている。接続ノードN42は、地絡検出回路4に含まれる。
【0175】
抵抗R33は、抵抗R31および抵抗R32と、直流電圧供給回路10の基準電位ノードN44との間に接続されている。より詳細には、抵抗R31の第2端と、抵抗R32の第2端と、抵抗R33の第1端とが、中間ノードN43において接続されている。また、抵抗R33の第2端と、基準電位ノードN44とが接続されている。
【0176】
基準電位ノードN44は、たとえばグランドに接続されており、直流回路1,2、地絡検出回路4、電圧変換回路7,8および負荷部9の基準電位となっている。
【0177】
図13は、図12に示す直流電圧供給回路における地絡の一例を示す図である。
【0178】
図13を参照して、直流回路2の負側線が地絡している。具体的には、直流電源E24の負側端が、地絡抵抗R50を介して、直流電圧供給回路11の基準電位に接続されている。
【0179】
このように、直流回路2の負側線が地絡した場合、地絡電流I3が、基準電位ノードN44から地絡抵抗R50を通って直流回路2の負側線へ流れる。具体的には、たとえば、地絡電流I3は、直流電源E24から出力され、抵抗R31および抵抗R33を通って基準電位ノードN44へ流れ、基準電位ノードN44から地絡抵抗R50を通って直流電源E24へ戻る。
【0180】
このとき、抵抗R33の両端には、地絡電流I3によって電位差が生じる。電流検出回路36は、抵抗R33の両端に生じた電位差に基づいて地絡を検出する。
【0181】
ここで、直流電圧供給回路11のいずれの箇所も地絡していない場合であって、直流電源E14の出力電圧の絶対値、つまり直流電源E14の両端の電位差の絶対値が50Vであり、直流電源E24の出力電圧の絶対値、つまり直流電源E24の両端の電位差の絶対値が100Vであり、負荷部9に印加される電圧の絶対値が200Vであり、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値が40kΩであり、抵抗R33の抵抗値が1kΩである場合について考える。以下、特に文中に示した場合を除き、基準電位ノードN44の電位をゼロボルトとする。
【0182】
直流電圧供給回路11のいずれの箇所も地絡していない場合、中間ノードN43および基準電位ノードN44間には電流が流れない。つまり、抵抗R33には電流が流れないため、中間ノードN43の電圧はゼロボルトである。
【0183】
抵抗R31および抵抗R32の抵抗値は同じであり、負荷部9に印加される電圧の絶対値は200Vであるため、接続ノードN41の電圧は100Vであり、接続ノードN42の電圧はマイナス100Vである。また、直流電源E24の正側端の電圧は、接続ノードN41の電圧と同じであるため、100Vである。
【0184】
直流電源E24の正側端の電圧は100Vであり、直流電源E24の出力電圧の絶対値は100Vであるため、直流電源E24の負側端の電圧は、直流電源E24の正側端の電圧より100V低いゼロボルトである。つまり、直流電源E24の負側端は、基準電位ノードN44と同電位である。
【0185】
この場合において、たとえば図13に示すように、直流回路2の負側線が地絡したとしても、直流電源E24の負側端は基準電位ノードN44と同電位であるため、地絡電流I3は流れない。つまり、直流回路2の負側線が地絡したとしても、直流回路2の正側線および中間ノードN43は同電位であるため、地絡電流I3は、抵抗R33を通して流れない。
【0186】
したがって、抵抗R33の両端には電位差が生じないため、電流検出回路36は、地絡を検出することができない。
【0187】
すなわち、電圧計測部34は、地絡箇所の電圧の絶対値と、中間ノードN43および正側線の電位差の絶対値とが同じである場合、地絡を検出できないことがある。
【0188】
そこで、直流電圧供給回路11では、地絡が発生した場合に、電圧計測部34がより確実に地絡を検出することができる様に、地絡検出回路4の回路定数を設定する。具体的には、地絡していない状態において、正側線を基準とした中間ノードN43の電圧、すなわち中間ノードN43および正側線の電位差が、直流回路1および直流回路2の出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定する。
【0189】
より具体的には、たとえば、上記のように、直流電源E14の出力電圧の絶対値が50Vであり、直流電源E24の出力電圧電位差の絶対値が100Vである場合であって、直流電圧供給回路11のいずれの箇所も地絡していない状態のときに、中間ノードN43および正側線の電位差の絶対値が50Vより小さくなるように、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値を設定する。
【0190】
ここで、中間ノードN43および正側線の電位差の絶対値を|Vm|とし、負荷部9の両端の電位差の絶対値を|Vz|とし、R31およびR32の抵抗値をそれぞれRb31およびRb32とすると、中間ノードN43および正側線の電位差の絶対値|Vm|は、以下の式で表される。
|Vm|=|Vz|×Rb31/(Rb31+Rb32)
【0191】
たとえば、負荷部9に印加される電圧の絶対値|Vz|が200Vである場合に、抵抗値Rb31を12kΩに設定し、抵抗値Rb32を82kΩに設定したときには、上記の式より、中間ノードN43および正側線の電位差の絶対値|Vm|は、約25.5Vとなり、直流電源E14の出力電圧の絶対値の50Vより小さくなる。
【0192】
このとき、中間ノードN43の電圧はゼロボルトであり、中間ノードN43および正側線の電位差の絶対値は25.5Vであるため、正側線の電圧は、中間ノードN43の電圧より25.5V高い25.5Vである。
【0193】
直流電源E24の正側端の電圧は、正側線の電圧と同じであるため、25.5Vである。直流電源E24の出力電圧の絶対値は100Vであるため、直流電源E24の負側端の電圧は、直流電源E24の正側端の電圧より100V低いマイナス74.5Vである。
【0194】
また、直流電源E14の正側端の電圧は、正側線の電圧と同じであるため、25.5Vである。直流電源E14の出力電圧の絶対値は50Vであるため、直流電源E14の負側端の電圧は、直流電源E14の正側端の電圧より50V低いマイナス24.5Vである。
【0195】
このように、たとえば、直流回路1および直流回路2の各出力電圧の絶対値のうちの最小値より、中間ノードN43および正側線の電位差の絶対値が小さくなるように、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値を設定することによって、直流電源E14の負側端および直流電源E24の負側端の電圧を、基準電位ノードN44と同じゼロボルトにならないようにすることができる。
【0196】
そして、これにより、直流回路1または直流回路2の負側線が地絡した場合でも、地絡箇所、基準電位ノードN44および抵抗R33を通して地絡電流が流れ、抵抗R33の両端に電位差が生じるため、電流検出回路36は、より確実に地絡電流を検出することができる。つまり、地絡検出回路4は、直流電圧供給回路11において地絡が生じた場合には、より確実に地絡を検出することができる。
【0197】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0198】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0199】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路と比べて、1つの直流電源から複数の直流回路へ電圧が供給される直流電圧供給回路に関する。以下で説明する内容以外は、第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路と同様である。
【0200】
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る直流電圧供給回路の構成を示す図である。
【0201】
図14を参照して、直流電圧供給回路12は、直流回路101,102と、電圧変換回路105,106と、地絡検出回路4とを備える。直流回路101は、負荷Z114を含む。直流回路102は、負荷Z124を含む。
【0202】
電圧変換回路105は、キャパシタC115と、インダクタL116と、スイッチSW117と、ダイオードD118と、キャパシタC129とを含む。スイッチSW117は、トランジスタまたはFET等のスイッチ素子である。
【0203】
電圧変換回路106は、キャパシタC125と、インダクタL126と、スイッチSW127と、ダイオードD128と、キャパシタC129とを含む。スイッチSW127は、トランジスタまたはFET等のスイッチ素子である。
【0204】
地絡検出回路4は、抵抗R31と、抵抗R32と、電流検出回路36とを備える。電流検出回路36は、抵抗R33と、電圧計測部34と、警報部35とを含む。地絡検出回路4は、電圧変換回路105の直流回路101に対して反対側であって、電圧変換回路106の直流回路102に対して反対側に接続されている。
【0205】
電圧変換回路105において、負荷Z114の正側端と、キャパシタC115の第1端と、インダクタL116の第1端とが接続されている。負荷Z114の負側端と、キャパシタC115の第2端と、ダイオードD118のアノードとが接続されている。インダクタL116の第2端と、ダイオードD118のカソードと、スイッチSW117の第1端とが接続されている。スイッチSW117の第2端と、キャパシタC129の第1端とが接続されている。ダイオードD118のアノードと、キャパシタC129の第2端とが接続されている。キャパシタC129の第1端と、直流電源E109の正側端とが接続されている。キャパシタC129の第2端と、直流電源E109の負側端とが接続されている。
【0206】
電圧変換回路106において、負荷Z124の正側端と、キャパシタC125の第1端と、インダクタL126の第1端とが接続されている。負荷Z124の負側端と、キャパシタC125の第2端と、ダイオードD128のアノードとが接続されている。インダクタL126の第2端と、ダイオードD128のカソードと、スイッチSW127の第1端とが接続されている。スイッチSW127の第2端と、キャパシタC129の第1端とが接続されている。ダイオードD128のアノードと、キャパシタC129の第2端とが接続されている。
【0207】
電圧変換回路105は、直流回路101に対応して設けられ、スイッチSW117をスイッチングすることにより、直流回路101の入力端間に印加される電圧を変換する。
【0208】
また、電圧変換回路106は、直流回路102に対応して設けられ、スイッチSW127をスイッチングすることにより、直流回路102の入力端間に印加される電圧を変換する。
【0209】
より詳細には、たとえば、電圧変換回路105において、スイッチSW117がオンしたとき、インダクタL116には、直流電源E109の出力電圧と逆方向に自己誘導起電力が生じるため、キャパシタC115は、直流電源E109の出力電圧より低い電圧により充電される。また、インダクタL116は、自己を通して流れる電流を増加させてエネルギーを蓄積する。そして、スイッチSW117がオフしたとき、直流電源E109からキャパシタC115への電圧の供給は遮断される一方、インダクタL116に蓄積されたエネルギーがキャパシタC115を充電する。これにより、電圧変換回路105は、直流電源E109から受けた直流電圧を、所定レベルの直流電圧に変換して直流回路101の入力端間に印加する。電圧変換回路106においても同様である。
【0210】
以下、直流回路101の正側の入力端子と接続され、直流回路101の正側の入力端子と同電位になる配線を直流回路101の正側線とも称する。また、直流回路101の負側の入力端子と接続され、直流回路101の負側の入力端子と同電位になる配線を直流回路101の負側線とも称する。
【0211】
また、直流回路102の正側の入力端子と接続され、直流回路102の正側の入力端子と同電位になる配線を直流回路102の正側線とも称する。また、直流回路102の負側の入力端子と接続され、直流回路102の負側の入力端子と同電位になる配線を、直流回路102の負側線とも称する。
【0212】
電圧変換回路105において、直流回路101側の回路と地絡検出回路4側の回路とは、電気的に絶縁されていない。また、電圧変換回路106において、直流回路102側の回路と地絡検出回路4側の回路とは、電気的に絶縁されていない。つまり、電圧変換回路105および電圧変換回路106は、非絶縁型の電圧変換回路である。
【0213】
直流回路101および直流回路102の正側線は互いに接続されている。具体的には、直流回路101および直流回路102の正側線は、電圧変換回路105および電圧変換回路106を介して接続されている。また、直流回路101および直流回路102の負側線は互いに接続されている。
【0214】
抵抗R31は、正側線に電気的に接続されている。より詳細には、抵抗R31の第1端は、電圧変換回路105を介して、直流回路101の正側線に接続されており、電圧変換回路106を介して、直流回路102の正側線に接続されている。
【0215】
抵抗R31の第1端は、接続ノードN41において、直流回路101の正側線および直流回路102の正側線と接続されている。つまり、接続ノードN41は、直流回路101および直流回路102の正側線に電気的に接続されている。より詳細には、接続ノードN41は、電圧変換回路105を介して、直流回路101の正側線に接続され、電圧変換回路106を介して、直流回路102の正側線に接続されている。接続ノードN41は、地絡検出回路4に含まれる。
【0216】
抵抗R32は、負側線に電気的に接続されている。より詳細には、抵抗R32の第1端は、電圧変換回路105を介して、直流回路101の負側線に接続されており、電圧変換回路106を介して、直流回路102の負側線に接続されている。
【0217】
抵抗R32の第1端は、接続ノードN42において、直流回路101の負側線および直流回路102の負側線と接続されている。つまり、接続ノードN42は、直流回路101および直流回路102の負側線に電気的に接続されている。より詳細には、接続ノードN42は、電圧変換回路105を介して、直流回路101の負側線に接続され、電圧変換回路106を介して、直流回路102の負側線に接続されている。接続ノードN42は、地絡検出回路4に含まれる。
【0218】
抵抗R33は、抵抗R31および抵抗R32と、たとえばグランドに接続された基準電位ノードN44との間に接続されている。より詳細には、抵抗R31の第2端と、抵抗R32の第2端と、抵抗R33の第1端とが、正側線および負側線間の中間のノードである中間ノードN43において接続され、抵抗R33の第2端と、基準電位ノードN44とが接続されている。
【0219】
基準電位ノードN44の電位は、直流電圧供給回路12の基準電位である。すなわち基準電位ノードN44は、直流回路101および直流回路102の基準電位ノードである。
【0220】
図15は、図14に示す直流電圧供給回路における地絡の一例を示す図である。
【0221】
図15を参照して、直流回路102の正側線が地絡している。具体的には、負荷Z124の正側端が、地絡抵抗R50を介して、基準電位ノードN44に接続されている。
【0222】
このように、直流回路102の正側線が地絡した場合、地絡電流I4が、直流回路102の正側線から地絡抵抗R50を通って基準電位ノードN44へ流れる。具体的には、たとえば、地絡電流I4は、直流電源E109から出力され、地絡抵抗50を通って基準電位ノードN44へ流れ、基準電位ノードN44から抵抗R33および抵抗R32を通って直流電源E109へ戻る。
【0223】
このとき、抵抗R33の両端には、地絡電流I4によって電位差が生じる。電流検出回路36は、抵抗R33の両端に生じた電位差に基づいて、地絡を検出する。
【0224】
ここで、直流電圧供給回路12のいずれの箇所も地絡していない場合であって、直流電源E109の出力電圧の絶対値、つまり直流電源E109の両端の電位差の絶対値が200Vであり、負荷Z114に印加される電圧の絶対値が50Vであり、負荷Z124に印加される電圧の絶対値が100Vであり、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値が40kΩであり、抵抗R33の抵抗値が1kΩである場合について考える。以下、特に文中に示した場合を除き、基準電位ノードN44の電位をゼロボルトとする。
【0225】
直流電圧供給回路12のいずれの箇所も地絡していない場合、中間ノードN43および基準電位ノードN44間には電流が流れない。つまり、抵抗R33には電流が流れないため、中間ノードN43の電圧はゼロボルトである。
【0226】
抵抗R31および抵抗R32の抵抗値は同じであり、直流電源E109の出力電圧の絶対値は200Vであるため、接続ノードN41の電圧は100Vであり、接続ノードN42の電圧はマイナス100Vである。
【0227】
また、負荷Z124の負側端の電圧は、接続ノードN42の電圧と同じであるため、マイナス100Vである。
【0228】
負荷Z124の負側端の電圧はマイナス100Vであり、負荷Z124に印加される電圧の絶対値は100Vであるため、負荷Z124の正側端の電圧は、負荷Z124の負側端の電圧より100V高いゼロボルトである。つまり、負荷Z124の正側端は、基準電位ノードN44と同電位である。
【0229】
この場合において、たとえば図15に示すように、直流回路102の正側線が地絡したとしても、負荷Z124の正側端は基準電位ノードN44と同電位であるため、地絡電流I4は流れない。つまり、直流回路102の正側線が地絡したとしても、直流回路102の正側線および中間ノードN43は同電位であるため、地絡電流I4は、抵抗R33を通して流れない。
【0230】
したがって、抵抗R33の両端には電位差が生じないため、電流検出回路36は、地絡を検出することができない。
【0231】
すなわち、電圧計測部34は、地絡箇所の電圧の絶対値と、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値とが同じである場合、地絡を検出できないことがある。
【0232】
そこで、直流電圧供給回路12では、地絡が発生した場合に、電流検出回路36がより確実に地絡を検出することができる様に、地絡検出回路4の回路定数を設定する。具体的には、地絡していない状態において、負側線を基準とした中間ノードN43の電圧、すなわち中間ノードN43および負側線の電位差が、直流回路101および直流回路102の入力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定する。
【0233】
より具体的には、たとえば上記のように、負荷Z114に印加される電圧の絶対値が50Vであり、負荷Z124に印加される電圧の絶対値が100Vである場合であって、直流電圧供給回路12のいずれの箇所も地絡していない状態のときに、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値が50Vより小さくなるように、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値を設定する。
【0234】
ここで、直流電圧供給回路12のいずれの箇所も地絡していない状態において、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値を|Vp|とし、直流電源E109の出力電圧の絶対値を|Ve|とし、R31およびR32の抵抗値をそれぞれRc31およびRc32とすると、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値|Vp|は、以下の式で表される。
|Vp|=|Ve|×Rc32/(Rc31+Rc32)
【0235】
たとえば、直流電源E109の出力電圧の絶対値|Ve|が200Vである場合に、抵抗値Rc31を82kΩに設定し、抵抗値Rc32を12kΩに設定したときには、上記の式より、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値|Vp|は、約25.5Vとなり、負荷Z114に印加される電圧の絶対値の50Vより小さくなる。
【0236】
このとき、中間ノードN43の電圧はゼロボルトであって、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値は25.5Vであるため、負側線の電圧は、中間ノードN43の電圧より25.5V低いマイナス25.5Vである。
【0237】
負荷Z124の負側端の電圧は、負側線の電圧と同じであるため、マイナス25.5Vである。負荷Z124に印加される電圧の絶対値は100Vであるため、負荷Z124の正側端の電圧は、負荷Z124の負側端の電圧より100V高い74.5Vである。
【0238】
また、負荷Z114の負側端の電圧は、負側線の電圧と同じであるため、マイナス25.5Vである。負荷Z114に印加される電圧の絶対値は50Vであるため、負荷Z114の正側端の電圧は、負荷Z114の負側端の電圧より50V高い24.5Vである。
【0239】
このように、たとえば、直流回路101および直流回路102の各入力電圧の絶対値のうちの最小値より、中間ノードN43および負側線の電位差の絶対値が小さくなるように、抵抗R31および抵抗R32の抵抗値を設定することによって、負荷Z114の正側端および負荷Z124の正側端の電圧を、基準電位ノードN44の電位と同じゼロボルトにならないようにすることができる。
【0240】
そして、これにより、直流回路101または直流回路102の正側線が地絡した場合でも、地絡箇所、基準電位ノードN44および抵抗R33を通して地絡電流が流れ、抵抗R33の両端に電位差が生じるため、電流検出回路36は、より確実に地絡電流を検出することができる。つまり、地絡検出回路4は、直流電圧供給回路12において地絡が生じた場合には、より確実に地絡を検出することができる。
【0241】
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係る直流電圧供給回路では、直流回路101および直流回路102は、互いの正側線および負側線がそれぞれ接続されている。地絡検出回路4は、当該正側線および当該負側線間の中間ノードN43と直流回路101および直流回路102の基準電位ノードN44との間を流れる電流を検出する。中間ノードN43の電圧は、直流回路101および直流回路102の入力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定されている。
【0242】
このような構成により、直流回路101および直流回路102における各正側線および各負側線のいずれもが基準電位ノードN44と異なる電圧となるため、当該各正側線および当該各負側線いずれの箇所において地絡が発生した場合であっても、地絡箇所および基準電位ノードN44間に地絡電流が流れる。したがって、より確実に地絡を検出することができる。
【0243】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る直流電圧供給回路と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0244】
なお、本発明の実施の形態において、地絡検出回路4は、中間ノードN43と基準電位ノードN44との間を流れる電流を検出するために、中間ノードN43と基準電位ノードN44との間に抵抗R33を備える構成としたが、このような構成に限らず、たとえば、中間ノードN43と基準電位ノードN44との間にカレントトランスを備える構成であってもよいし、リレーを備える構成であってもよい。
【0245】
具体的には、たとえば、地絡検出回路4が抵抗R33の代わりにカレントを備える場合、中間ノードN43と基準電位ノードN44との間に当該カレントトランスの一次側巻線が接続される。地絡検出回路4は、当該カレントトランスの二次側巻線を通して流れる電流に基づいて地絡を検出する。
【0246】
また、地絡検出回路4が抵抗R33の代わりにリレーを備える場合、中間ノードN43と基準電位ノードN44との間に当該リレーの巻線が接続される。地絡検出回路4は、当該リレーの接点のオンまたはオフの状態に基づいて地絡を検出する。
【0247】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0248】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0249】
[付記1]
互いの正側線および負側線がそれぞれ接続された複数の直流電源と、
前記正側線および前記負側線間の中間ノードと各前記直流電源の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する地絡検出回路とを備え、
前記中間ノードの電圧は、前記各直流電源の出力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定されている、直流電源供給回路。
【0250】
[付記2]
互いの正側線および負側線がそれぞれ接続された複数の負荷と、
前記正側線および前記負側線間の中間ノードと各前記負荷の基準電位ノードとの間を流れる電流を検出する地絡検出回路とを備え、
前記中間ノードの電圧は、前記各負荷の入力電圧の絶対値のうちの最小の絶対値よりも小さい絶対値となるように設定されている、直流電源供給回路。
【符号の説明】
【0251】
1,2,90,91,290,291 直流回路
4 地絡検出回路
5,6,7,8,105,106 電圧変換回路
9 負荷部
10,11,12,13 直流電圧供給回路
34 電圧計測部
35 警報部
36 電流検出回路
50 地絡抵抗
91 インバータ
92 負荷
101 直流回路
102 直流回路
120 ノイズフィルタ
292,293,294,295 等価回路
C15,C25,C29,C75,C85,C89,C115,C125,C129,C141,C142,C143,C144 キャパシタ
D18,D28,D78,D88,D118,D128 ダイオード
E14,E24,E109,E190,E191,E192 直流電源
g1 直流電流源
I1,I2,I3,I4 地絡電流
L16,L26,L76,L86,L116,L145,L146,L126 インダクタ
N41 接続ノード
N42 接続ノード
N43 中間ノード
N44 基準電位ノード
R31,R32,R33,R50,R195,R196 抵抗
SW17,SW27,SW77,SW87,SW117,SW127 スイッチ
Z114,Z124 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
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