(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、液体噴射装置及びメンテナンスシステムの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、液体噴射装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって印刷を行うインクジェット式のプリンターである。
【0020】
図1に示すように、メンテナンスシステム10は、ネットワークNWに接続された複数の液体噴射装置100と、ネットワークNWに接続されたサーバー200とを備えている。すなわち、メンテナンスシステム10において、単一のサーバー200には、ネットワークNWを介して複数の液体噴射装置100が接続されている。
【0021】
次に、液体噴射装置100の概略構成について説明する。
図1に示すように、液体噴射装置100は、液体を噴射する液体噴射部110と、液体噴射部110に液体を供給する液体供給部120と、液体噴射部110をメンテナンスするメンテナンス部130とを備えている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、液体噴射部110は、複数のノズル112が形成された液体噴射ヘッド111を有している。液体噴射ヘッド111において、複数のノズル112の開口が形成される面をノズル形成面113ともいう。また、
図2に示すように、液体噴射部110は、液体供給部120から供給された液体を貯留する共通液室114と、共通液室114及びノズル112と連通する液体室115と、液体室115の壁面の一部を構成する振動板116とを備えている。また、液体噴射部110は、振動板116に設置されるアクチュエーター117と、アクチュエーター117を収容する収容室118とを備えている。液体噴射部110においては、複数のノズル112に対して単一の共通液室114が設けられ、単一のノズル112に対して単一の液体室115及びアクチュエーター117が設けられている。また、振動板116は弾性変形可能とされ、アクチュエーター117は、駆動電圧が印可された場合に収縮する圧電素子とされる。
【0023】
こうして、液体供給部120から供給された液体は、共通液室114に一時貯留された後、それぞれの液体室115に供給される。そして、アクチュエーター117に印加する駆動電圧を変化させると、
図2に二点鎖線で示すように振動板116が変形し、液体室115の容積が変化することによって、液体室115内の液体がノズル112から液滴として噴射される。
【0024】
図1に示すように、液体供給部120は、液体を収容する液体供給源121と、液体供給源121と液体噴射部110とを接続する供給流路122とを備えている。そして、液体供給部120は、液体噴射部110で液体が噴射されるなど、同液体が消費された場合に、液体供給源121に収容された液体を液体噴射部110(共通液室114)に供給する。
【0025】
図1に示すように、メンテナンス部130は、液体噴射ヘッド111に形成されたノズル112の開口を含む空間を閉空間とするキャップ131と、同閉空間を減圧する減圧部132と、キャップ131と減圧部132を接続する廃液流路133と、ノズル112の液体の噴射不良を検出する不良ノズル検出部134とを備えている。キャップ131は、液体噴射ヘッド111のノズル形成面113に対して相対移動可能とされ、液体噴射ヘッド111に接触することで閉空間を形成する。そして、メンテナンス部130は、キャップ131がノズル形成面113に接触した状態で減圧部132を駆動することで、液体噴射ヘッド111のノズル112から液体を排出させるメンテナンス(以下「クリーニング」ともいう。)を行う。なお、クリーニングは、例えば、液体噴射ヘッド111内部に気泡などの異物が混入した場合に同異物を液体とともにノズル112から排出したり、液体噴射ヘッド111内部で液体が増粘した場合に同増粘した液体をノズル112から排出したりすることなどを目的に行われる。
【0026】
次に、液体噴射装置100の電気的構成について説明する。
図1に示すように、液体噴射装置100は、液体噴射部110の周囲環境の温度を検出する温度検出部141と、同周囲環境の湿度を検出する湿度検出部142とを備えている。また、液体噴射装置100は、液体噴射装置100の制御を司る制御部150と、液体噴射部110のメンテナンスに係る情報である使用状況UC及び推定モデルM(M11,M12,M21,M22)を記憶する記憶部160と、ネットワークNWを介してサーバー200と通信する際のインターフェースに相当する通信部170とを備えている。
【0027】
制御部150の入力側インターフェースには、不良ノズル検出部134と、温度検出部141と、湿度検出部142とが接続され、制御部150の出力側インターフェースには、液体噴射ヘッド111と、キャップ131と、減圧部132とが接続されている。また、制御部150は、記憶部160及び通信部170に対して、相互に情報を伝達することを可能としている。こうして、制御部150は、記憶部160に記憶された情報に基づいてメンテナンス部130を駆動したり、通信部170を介してサーバー200と情報の送受信を行ったりする。
【0028】
次に、不良ノズル検出部134が不良ノズルを検出する方法の一例について説明する。ここでは、アクチュエーター117に駆動電圧を印可した後の振動板116の減衰振動(残留振動)に基づいて不良ノズルを検出する方法について説明する。
【0029】
液体噴射ヘッド111のノズル112において液体を噴射する場合、振動板116は、アクチュエーター117に対する駆動電圧の印加の後、同アクチュエーター117に対して次の駆動電圧が印加されるまでの間に残留振動する。そして、液体室115などに気泡が混入している場合には、同液体室115に気泡が混入していない場合(正常時の場合)と比較して、振動板116の残留振動の周波数が高くなり、同残留振動の周期は短くなる傾向がある。一方、液体室115などで液体が増粘している場合には、同液体室115で液体が増粘していない場合(正常時の場合)と比較して、振動板116の残留振動の周波数が低くなり、同残留振動の周期は長くなる傾向がある。
【0030】
したがって、振動板116の残留振動の周期が、正常時の振動板116の残留振動の周期よりも短い場合や長い場合には、液体室115などに気泡が混入していたり、同液体室115で液体が増粘していたりすると判定することができる。そして、液体室115などに気泡が混入していたり、同液体室115で液体が増粘していたりする場合に、ノズル112において液体の噴射不良が生じるため、振動板116の残留振動をアクチュエーター117で検出することでノズル112毎の噴射不良を検出することが可能となる。すなわち、この場合、不良ノズル検出部134は、振動板116とアクチュエーター117とで構成されることになる。なお、以降の説明では、不良ノズル検出部134がノズル112に噴射不良が生じているか否かを検出することを「ノズルチェック」をするともいう。
【0031】
次に、サーバー200の電気的構成について説明する。
図1に示すように、サーバー200は、同サーバー200の制御を司る制御部210と、液体噴射部110のメンテナンスに係る情報である使用状況UC及び推定モデルM(M11,M12)を記憶する記憶部220とを備えている。サーバー200は、ネットワークNWを介して、各液体噴射装置100から同液体噴射装置100の記憶部160に記憶された使用状況UCを受信したり、各液体噴射装置100に対して推定モデルM(M11,M12)を送信したりする。また、サーバー200の記憶部220は、液体噴射装置100の記憶部160よりも記憶容量が大きく、複数の液体噴射装置100から送信された使用状況UCを記憶可能とされている。
【0032】
次に、
図3を参照して、液体噴射装置の記憶部160及びサーバー200の記憶部220に記憶される液体噴射装置100を使用するときの情報である使用状況UCと、ノズルチェックの推奨時期を演算するための推定モデルM(M11,M12,M21,M22)の一例について説明する。
【0033】
図3(a)に示す表は、液体噴射装置100を使用するときの使用状況UCの履歴を示し、各列には各種の使用状況UCが記載され、各行には使用状況UCの履歴が記載されている。本実施形態における使用状況UCには、平均温度Tave及び平均湿度Haveを含む環境情報と、最大停止期間toffと、総噴射面積Asumと、ノズルチェック間隔tncと、不良ノズルの有無とが含まれる。なお、使用状況UCは、不良ノズル検出部134がノズルチェックを行う度に履歴として記憶される。
【0034】
平均温度Taveは、温度検出部141の検出信号に基づいて演算される温度を、直近のクリーニングを行ってからノズルチェックを行うまでの期間(ノズルチェック間隔tnc)において平均した温度である。また、平均湿度Haveは、湿度検出部142の検出信号に基づいて演算される湿度を、ノズルチェック間隔tncにおいて平均した湿度である。
【0035】
最大停止期間toffは、ノズルチェック間隔tncにおいて、液体噴射装置100の電源がオフの状態が継続される期間のうち最長の期間である。総噴射面積Asumは、ノズルチェック間隔tncにおいて、液体噴射部110が媒体に対して液体を噴射した領域の合計面積である。このため、総噴射面積Asumは、液体噴射部110が液体を噴射する媒体の数が多かったり、同媒体の面積が広かったりするほど、大きくなりやすい。
【0036】
ノズルチェック間隔tncは、上述したように、直近のクリーニングを行ってから、同クリーニングを行った後で最初となるノズルチェックを行うまでの期間である。また、不良ノズルの有無は、ノズルチェックを行ったときに不良ノズルがあるか否かを示すものであり、実際には、不良ノズルの有無を示すフラグ値とすればよい。
【0037】
こうして、液体噴射装置100の記憶部160には、同液体噴射装置100における使用状況UCが、ノズルチェックが行われる度に履歴として記憶される。一方、サーバー200の記憶部220には、同サーバー200にネットワークNWを介して接続される複数の液体噴射装置100における使用状況UCが、各液体噴射装置100から送信される度に履歴として記憶される。なお、サーバー200における使用状況UCには、何れの液体噴射装置100から送信された使用状況UCであるかを特定するために、液体噴射装置100を識別する情報を追加してもよい。
【0038】
図3(b)に示す表は、使用状況UCに基づいてノズルチェックの推奨時期を推定するための複数の推定モデルM(M11,M12,M21,M22)を示している。液体噴射装置100においては、全ての推定モデルM(M11,M12,M21,M22)が記憶され、サーバー200においては一部の推定モデルM(M11,M12)のみが記憶される。なお、本実施形態でいうノズルチェックの推奨時期とは、不良ノズルが実際に発生する時期を想定している。すなわち、推定モデルMに基づいて演算される推奨時期は、不良ノズルが実際に発生する時期であることが望ましい。
【0039】
また、本実施形態の推定モデルMには、第1良好推定モデルM11、第1不良推定モデルM12、第2良好推定モデルM21及び第2不良推定モデルM22が含まれる。以降の説明では、第1良好推定モデルM11及び第1不良推定モデルM12を含めて「第1推定モデルM1」ともいい、第2良好推定モデルM21及び第2不良推定モデルM22を含めて「第2推定モデルM2」ともいう。そして、本実施形態では、第1推定モデルM1によっても、第2推定モデルM2によっても、ノズルチェックの推奨時期を推定することが可能となっている。
【0040】
第1良好推定モデルM11は、サーバー200の制御部210によって、同サーバー200の記憶部220に履歴として記憶された使用状況UCのうち、不良ノズルがない場合の使用状況UCに基づいて生成される推定モデルMである。また、第1不良推定モデルM12は、サーバー200の制御部210によって、同サーバー200の記憶部220に履歴として記憶された使用状況UCのうち、不良ノズルがある場合の使用状況UCに基づいて生成される推定モデルMである。このため、第1推定モデルM1(M11,12)は、サーバー200に集約された複数の液体噴射装置100の使用状況UCに基づいて生成される。
【0041】
一方、第2良好推定モデルM21は、液体噴射装置100の制御部150によって、同液体噴射装置100の記憶部160に履歴として記憶された使用状況UCのうち、不良ノズルがない場合の使用状況UCに基づいて生成される推定モデルMである。また、第2不良推定モデルM22は、液体噴射装置100の制御部150によって、同液体噴射装置100の記憶部160に履歴として記憶された使用状況UCのうち、不良ノズルがある場合の使用状況UCに基づいて生成される推定モデルMである。このため、第2推定モデルM2(M21,M22)は、各液体噴射装置100の使用状況UCのみに基づいて、各液体噴射装置100において生成される。
【0042】
また、上述したように、第1良好推定モデルM11及び第2良好推定モデルM21は、不良ノズルがない場合の使用状況UCに基づいて更新される点で、不良ノズルが生じていない良好時期を推定するための「良好推定モデル」の一例に相当する。すなわち、第1良好推定モデルM11及び第2良好推定モデルM21は、不良ノズルが実際に発生する時期よりも僅かに早い時期(不良ノズルが生じていない時期)を推定するための推定モデルMである。その一方で、第1不良推定モデルM12及び第2不良推定モデルM22は、不良ノズルがない場合の使用状況UCに基づいて更新される点で、不良ノズルが生じている不良時期を推定するための「不良推定モデル」の一例に相当する。すなわち、第1不良推定モデルM12及び第2不良推定モデルM22は、不良ノズルが実際に発生する時期よりも僅かに遅い時期(不良ノズルが生じている時期)を推定するための推定モデルMである。
【0043】
そして、各推定モデルM11,M12,M21,M22は、液体噴射装置100の使用状況UCのうち、ノズルチェック間隔tncを従属変数(目的変数)とし、平均温度Tave、平均湿度Have、最大停止期間toff、及び総噴射面積Asumを独立変数(説明変数)とし、重回帰分析を行ったときの予測式で表現される。したがって、それぞれの使用状況UCに基づいて重回帰分析を行うことで算出される各推定モデルM11,M12,M21,M22は、以下のように表すことができる。
【0044】
第1良好推定モデルM11(重回帰モデル)は、平均温度Taveの係数を「a11」とし、平均湿度Haveの係数を「b11」とし、最大停止期間toffの係数を「c11」とし、総噴射面積Asumの係数を「d11」とし、定数を「e11」とし、良好時期をt11としたとき、次の関係式(式1)で表すことができる。ここで、良好時期t11は、サーバー200の記憶部220に記憶された使用状況UCのうち不良ノズルがない場合の使用状況UCを対象に重回帰分析を行ったときのノズルチェック間隔tncに相当する。
【0045】
t11=a11・Tave+b11・Have
+c11・toff+d11・Asum+e11 …(式1)
また、第1不良推定モデルM12(重回帰モデル)は、平均温度Taveの係数を「a12」とし、平均湿度Haveの係数を「b12」とし、最大停止期間toffの係数を「c12」とし、総噴射面積Asumの係数を「d12」とし、定数を「e12」とし、不良時期をt12としたとき、次の関係式(式2)で表すことができる。ここで、不良時期t12は、サーバー200の記憶部220に記憶された使用状況UCのうち不良ノズルがある場合の使用状況UCを対象に重回帰分析を行ったときのノズルチェック間隔tncに相当する。
【0046】
t12=a12・Tave+b12・Have
+c12・toff+d12・Asum+e12 …(式2)
また、第2良好推定モデルM21(重回帰モデル)は、平均温度Taveの係数を「a21」とし、平均湿度Haveの係数を「b21」とし、最大停止期間toffの係数を「c21」とし、総噴射面積Asumの係数を「d21」とし、定数を「e21」とし、良好時期をt21としたとき、次の関係式(式3)で表すことができる。ここで、良好時期t21は、液体噴射装置100の記憶部160に記憶された使用状況UCのうち不良ノズルがない場合の使用状況UCを対象に重回帰分析を行ったときのノズルチェック間隔tncに相当する。
【0047】
t21=a21・Tave+b21・Have
+c21・toff+d21・Asum+e21 …(式3)
また、第2不良推定モデルM22(重回帰モデル)は、平均温度Taveの係数を「a22」とし、平均湿度Haveの係数を「b22」とし、最大停止期間toffの係数を「c22」とし、総噴射面積Asumの係数を「d22」とし、定数を「e22」とし、不良時期をt22としたとき、次の関係式(式4)で表すことができる。ここで、不良時期t22は、液体噴射装置100の記憶部160に記憶された使用状況UCのうち不良ノズルがある場合の使用状況UCを対象に重回帰分析を行ったときのノズルチェック間隔tncに相当する。
【0048】
t22=a22・Tave+b22・Have
+c22・toff+d22・Asum+e22 …(式4)
さらに、メンテナンスの推奨時期(以下「推奨時期tr」ともいう。)を不良ノズルの発生する時期とすると、同推奨時期は、上記推定モデルMによって演算される不良ノズルがまだ発生していない良好時期t11,t21と不良ノズルが既に発生している不良時期t12,t22との間の時期とすることが望ましい。詳しくは、第1推定モデルM1によって推奨時期trを演算する場合には、同推奨時期trは、良好時期t11と不良時期t12との中間値とすることが望ましい。また、第2推定モデルM2によって推奨時期trを演算する場合には、同推奨時期trは、良好時期t21と不良時期t22との中間値とすることが望ましい。
【0049】
そして、こうした推定モデルMによれば、平均温度Taveや平均湿度Haveといった環境情報が変化する場合であっても、最大停止期間toffや総噴射面積Asumといった液体噴射装置100の使用条件が変化する場合であっても、その変動に応じた推奨時期trを演算することが可能となる。
【0050】
次に、
図4に示すフローチャートを参照して、液体噴射装置100の制御部150が実行するメンテナンスに係る処理ルーチンについて説明する。
図4に示すように、制御部150は、通信部170を介してサーバー200に第1推定モデルM1を要求し(ステップS11)、通信部170を介してサーバー200から第1推定モデルM1を受信する(ステップS12)。この点で、通信部170は、「受信部」の一例に相当する。続いて、制御部150は、受信した第1推定モデルM1を記憶部160に上書きすることで、同第1推定モデルM1を更新する(ステップS13)。
【0051】
そして、制御部150は、温度検出部141及び湿度検出部142の検出信号に基づいて、環境情報としての平均温度Tave及び平均湿度Haveを取得する(ステップS14)。この点で、温度検出部141及び湿度検出部142は、「取得部」の一例に相当する。続いて、制御部150は、推奨時期trを演算するための推定モデルMとして、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2の一方を選択する(ステップS15)。なお、推定モデルM1、M2の選択については、制御部150がより適切と考えられる推定モデルMを選択してもよいし、液体噴射装置100のユーザーが所望の推定モデルMを選択してもよい。
【0052】
そして、制御部150は、ステップS14で取得した環境情報を含む使用状況UCとステップS15で選択した推定モデルMに基づいて推奨時期trを演算する(ステップS16)。この点で、制御部150は、「演算部」の一例に相当する。続いて、制御部150は、直近のクリーニングを行ってからの経過時間が、推定モデルMに基づいて演算された推奨時期trを経過したか否かを判定する(ステップS17)。推奨時期trを経過していない場合(ステップS17:NO)、制御部150は、一旦その処理を終了させる。その一方、推奨時期trを経過している場合(ステップS17:YES)、制御部150は、不良ノズル検出部134にノズルチェックを行わせ(ステップS18)、液体噴射ヘッド111における不良ノズルの有無を判定する(ステップS19)。
【0053】
不良ノズルがない場合(ステップS19:NO)、制御部150は、液体噴射装置100のユーザーに対して、クリーニングの実行を喚起する(ステップS20)。クリーニングの実行の喚起方法としては、例えば、液体噴射装置100が、液晶ディスプレイを備えている場合には同液晶ディスプレイにその旨を表示することでもよいし、LEDランプを備えている場合には同LEDランプを点灯することでもよい。
【0054】
続いて、制御部150は、使用状況UCを更新する(ステップS21)。すなわち、推奨時期trを演算するために用いた使用状況UC、ノズルチェック間隔tnc及び不良ノズルがないという情報を、液体噴射装置100の記憶部160の使用状況UCに追加する。つまり、記憶部160は、使用状況UCが変化した場合に同使用状況UCを記憶する。
【0055】
そして、制御部150は、ステップS22において、クリーニングの実行喚起を行ってから予備期間内にクリーニングを行ったか否かを判定する(ステップS22)。予備期間内にクリーニングが行われた場合(ステップS22:YES)、制御部150は、その処理を後述するステップS26に移行する。一方、予備期間内にクリーニングが行われなかった場合(ステップS22:NO)、制御部150は、メンテナンス部130にクリーニングを行わせ、その処理を後述するステップS26に移行する。ここで、ノズルチェックは推奨時期trに行われるものであるため、不良ノズルがないと判定された場合であっても(ステップS19:NO)、近い将来において不良ノズルが発生する可能性が高い。したがって、クリーニングの実行喚起を行ったにも関わらず、予備期間を経過した場合(ステップS22:NO)、強制的にクリーニングが行われる。このため、予備期間は、強制的なクリーニングを行うための判定値であって、液体噴射装置100のユーザーが任意に設定すればよい。なお、ステップS23における強制的なクリーニングを行わないようにしてもよい。
【0056】
その一方で、先のステップS19において、不良ノズルがある場合(ステップS19:YES)、制御部150は、メンテナンス部130にクリーニングを行わせ(ステップS24)、使用状況UCを更新する(ステップS25)。すなわち、推奨時期trを演算するために用いた使用状況UC、ノズルチェック間隔tnc及び不良ノズルがあるという情報を、液体噴射装置100の記憶部160の使用状況UCに追加する。つまり、記憶部160は、使用状況UCが変化した場合に同使用状況UCを記憶する。
【0057】
続いて、制御部150は、更新された使用状況UCに基づいて、第2推定モデルM2を更新(生成)する(ステップS26)。ここで、このステップS26において更新される第2推定モデルM2は、不良ノズルがないと判定された場合(ステップS19:NO)には第2良好推定モデルM21とされる一方、不良ノズルがあると判定された場合(ステップS19:YES)には第2不良推定モデルM22とされる。こうした点で、制御部150は、「生成部」の一例に相当する。そして、制御部150は、更新した使用状況UCをサーバー200に送信し(ステップS27)、その処理を一旦終了する。この点で、通信部170は、「送信部」の一例に相当する。
【0058】
なお、上記の処理ルーチンにおいて、ステップS12が「受信ステップ」の一例に相当し、ステップS14が「取得ステップ」の一例に相当し、ステップS16が「演算ステップ」の一例に相当し、ステップS18が「メンテナンスステップ」の一例に相当し、ステップS27が「送信ステップ」の一例に相当する。
【0059】
また、上記の処理ルーチンにおいては、ノズルチェック(ステップS18)の後に、クリーニングの実行(ステップS24)及びクリーニングの実行喚起(ステップS21)の一方を行う点で、ノズルチェックの推奨時期trはクリーニングの推奨時期trであるということもできる。
【0060】
次に、
図5及び
図6に示すフローチャートを参照して、サーバー200の制御部210が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、
図5に示すフローチャートは、サーバー200の制御部210が第1推定モデルM1を更新するために実行する処理ルーチンを示し、
図6に示すフローチャートは、サーバー200の制御部210が第1推定モデルM1を送信するために実行する処理ルーチンを示している。
【0061】
図5に示すように、制御部210は、液体噴射装置100から使用状況UCが送信された使用状況UCを受信する(ステップS31)。続いて、制御部210は、受信した使用状況UCをサーバー200の記憶部220に追加することで、使用状況UCを更新する(ステップS32)。そして、制御部210は、更新された使用状況UCに基づいて、第1推定モデルM1を更新し(ステップS33)、その処理を一旦終了する。なお、第1推定モデルM1の更新は、使用状況UCを受信する度に行わなくてもよい。
【0062】
図6に示すように、制御部210は、液体噴射装置100から第1推定モデルM1の要求があったか否かを判定する(ステップS41)。第1推定モデルM1の要求がない場合(ステップS41:NO)、制御部210はその処理を一旦終了する。一方、第1推定モデルM1の要求がある場合(ステップS41:YES)、制御部210は、その要求があった液体噴射装置100に対して、第1推定モデルM1を送信し(ステップS42)、その処理を一旦終了する。なお、液体噴射装置100から第1推定モデルM1の要求があった場合に、第1推定モデルM1を送信するのではなく、所定期間毎(例えば1月毎)に、サーバー200と接続される全ての液体噴射装置100に、直近に更新した第1推定モデルM1を送信するようにしてもよい。
【0063】
次に、
図7を参照して、液体噴射装置100のメンテナンスに係る作用について説明する。なお、
図7(a),(b)は、第1推定モデルM1の更新前後において、液体噴射装置100を同一の使用条件で使用したときのノズルチェックの推奨時期trと理想時期tiとを示している。なお、理想時期tiは、上述したように、ノズル不良が実際に発生する時期である。
【0064】
液体噴射装置100において、クリーニングの実行時期tcにおいて、クリーニングが行われ次回のノズルチェックの推奨時期trを演算する場合には、第1推定モデルM1に基づいて推奨時期trが演算される(ステップ16)。詳しくは、
図7(a)に示すように、第1良好推定モデルM11に基づいて演算される良好時期t11及び第1不良推定モデルM12に基づいて演算される不良時期t12との中間値が推奨時期trとされる。
【0065】
続いて、同推奨時期trに、ノズルチェックを行った結果、不良ノズルが生じている場合には(ステップS19:YES)、液体噴射ヘッド111のクリーニングが行われる(ステップS24)。また、ノズルチェックをしたときの使用状況UCは、記憶部160に追加(更新)され(ステップS25)、サーバー200に送信される(ステップS27)。
【0066】
ところで、この場合においては、推奨時期trに既に不良ノズルが生じているため、実際には、同推奨時期trよりも早い時期(理想時期ti)に不良ノズルが発生していたことになる。すなわち、液体噴射装置100の記憶部160及びサーバー200の記憶部220には、更新前の第1不良推定モデルM12によって演算される不良時期t12よりも早い時期(推奨時期tr)において、既に不良ノズルが生じていたという使用状況UCが追加されることになる。そして、サーバー200において、そのような使用状況UCを含む使用状況UCの履歴に基づいて、第1不良推定モデルM12が更新される(ステップS33)。その結果、少なくとも使用状況UCが同一である場合には、更新後の第1不良推定モデルM12に基づいて演算される不良時期t12が、更新前の第1不良推定モデルM12に基づいて演算される不良時期t12よりも、更新前の第1推定モデルM1で演算される推奨時期trに近づくことになる。
【0067】
そして、液体噴射装置100は、サーバー200から更新済みの第1不良推定モデルM12を受信して(ステップS12)、同第1不良推定モデルM12を更新する(ステップS13)。すると、
図7(a)に示す場合と使用状況UCが少なくとも同一である場合には、
図7(b)に示すように、更新後の第1不良推定モデルM12に基づいて演算される不良時期t12は、更新前の第1不良推定モデルM12に基づいて演算される不良時期t12よりも、理想時期tiに近くなる。このため、良好時期t11と不良時期t12の中間値である推奨時期trは、更新前の第1推定モデルM1に基づいて演算される推奨時期trよりも、理想時期tiに近くなる。したがって、推奨時期trの使用状況UCに基づいて、第1不良推定モデルM12を更新することで、推奨時期trと理想時期tiの差分Δtは、差分Δt1から差分Δt2に小さくなる。
【0068】
なお、
図7に示す場合とは異なり、推奨時期trに不良ノズルが生じていない場合には、第1良好推定モデルM11が更新される。これにより、少なくとも使用状況UCが同一である場合には、更新後の第1良好推定モデルM11に基づいて演算される良好時期t11は、更新前の第1良好推定モデルM11に基づいて演算される良好時期t11よりも、理想時期tiに近くなる。その結果、推奨時期trと理想時期tiとの差分Δtが小さくなる。
【0069】
そして、サーバー200に接続される複数の液体噴射装置100において、ノズルチェックの回数が増大するに連れて、同サーバー200の記憶部220に記憶される使用状況UCの数及び種類が増大する。すなわち、複数の液体噴射装置100における異なる使用状況UCがサーバー200の記憶部220に蓄積される。その結果、蓄積された使用状況UCに基づいて第1良好推定モデルM11及び第1不良推定モデルM12が更新されることにより、理想的には、良好時期t11が理想時期tiに向かって収束するとともに不良時期t12が理想時期tiに向かって収束すると考えられる。したがって、良好時期t11及び不良時期t12の中間値とされる推奨時期trと理想時期tiとの差分Δtが小さくなり、不良ノズルが発生する時期と乖離しない時期にノズルチェックが行われるようになる。
【0070】
また、上述したメンテナンスに係る作用では、液体噴射装置100は、サーバー200で更新された第1推定モデルM1に基づいて推奨時期trを演算するようにしたが、液体噴射装置100に記憶された使用状況UCにのみ基づいて生成(更新)される第2推定モデルM2に基づいて推奨時期trを演算する場合も略同様である。すなわち、この場合、液体噴射装置100における使用状況UCに基づく第2推定モデルM2の更新方法は、サーバー200における使用状況UCに基づく第1推定モデルM1の更新方法と比較したとき、更新に用いる使用状況UCが液体噴射装置100の記憶部160に記憶された使用状況UCに限っている点を除いて同様である。
【0071】
また、第1推定モデルM1を用いる場合には、液体噴射装置100を使用し始めた当初から、複数の液体噴射装置100の使用状況UCによって最適化された推定モデルMを使用することが可能となる。一方、第2推定モデルM2を用いる場合には、液体噴射装置100がネットワークNWに接続されていなくとも、液体噴射装置100を使用し続けることにより、すなわちメンテナンス回数の増大に連れて、推奨時期trの推定精度を向上させることが可能となる。また、液体噴射装置100が、例えば、通常よりも高温多湿な環境下で使用される場合など、特殊な環境下で使用される場合には、第2推定モデルM2を用いたほうが、より差分Δtが小さい推奨時期trを演算することができる場合がある。
【0072】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)推定モデルMに基づいてノズルチェックの推奨時期trが推定されたときの液体噴射装置100の使用状況UCに基づいて、次回以降のノズルチェックにおける推奨時期trと理想時期tiとの差分Δtが小さくなるように推定モデルMを更新するようにした。これにより、ノズルチェックの回数が増大するに連れて、推定モデルMに基づいて演算される推奨時期trの推定精度が向上し、使用状況UCの変化に応じて変動する不良ノズルの発生時期(理想時期ti)と乖離しない時期をノズルチェックの推奨時期trとすることができる。したがって、液体を噴射するノズル112を有する液体噴射部110において、適切な時期にノズルチェック及びクリーニングを行うことができる。また、適切な時期にメンテナンスを行うことができるようになるため、液体噴射装置100が媒体に対して液体を噴射する時間以外の時間(ダウンタイム)を低減することができる。
【0073】
(2)推奨時期trに不良ノズルが無い場合には、同推奨時期trの使用状況UCに基づいて、第1良好推定モデルM11及び第2良好推定モデルM21が更新される。これにより、少なくとも使用状況UCが同一であれば、更新後の第1良好推定モデルM11及び第2良好推定モデルM21によって推定する良好時期t11,t21が、更新前の第1良好推定モデルM11及び第2良好推定モデルM21によって推定された良好時期t11,t21よりも不良ノズルが発生する時期(理想時期ti)に近くなる。また、推奨時期trに不良ノズルがある場合には、同推奨時期trの使用状況UCに基づいて、第1不良推定モデルM12及び第2不良推定モデルM22が更新される。これにより、少なくとも使用状況UCが同一であれば、更新後の第1不良推定モデルM12及び第2不良推定モデルM22によって推定する不良時期t12,t22が、更新前の第1不良推定モデルM12及び第2不良推定モデルM22によって推定された不良時期t12,t22よりも不良ノズルが発生する時期(理想時期ti)に近くなる。
【0074】
このため、ノズルチェックの回数が増大するに連れて、良好時期t11,t21と不良時期t12,t22との間隔が次第に小さくなることで、ノズルチェックの推奨時期trと理想時期tiとの差分Δtを小さくすることができる。こうして、メンテナンスの回数が増大するに連れて、より適切な時期にノズルチェック及びクリーニングを行うことができるようになる。
【0075】
(3)液体噴射装置100及びサーバー200において、記憶部160,220に記憶された使用状況UCの履歴に基づいて推定モデルMを更新するため、一時的な使用状況UCのみに基づいて推定モデルMを更新する場合に比較して、推定モデルMに基づいて演算される推奨時期trの推定精度を高くすることができる。
【0076】
(4)使用状況UCが変化した場合、すなわち、推奨時期trにノズルチェックをすることで、不良ノズルの有無が判明したときに、そのときの使用状況UCを記憶するため、所定期間毎(例えば毎秒)に使用状況UCを記憶する場合に比較して、記憶部160,220の記憶領域の使用量を低減することができる。また、通信部170は、記憶部160に記憶された使用状況UCをサーバー200に送信するため、その送信量を低減することもできる。
【0077】
(5)サーバー200は、液体噴射装置100から受信した使用状況UCに基づいて第1推定モデルM1が生成する。このため、サーバー200においては、同サーバー200に使用状況UCを送信する液体噴射装置100が多くなるほど、多くの使用状況UCが集まるため、そうした多くの使用状況UCに基づいて、推奨時期trの推定精度の高い第1推定モデルM1を生成できる。そして、液体噴射装置100は、サーバー200から受信した第1推定モデルM1で推奨時期trを推定できるため、ノズルチェックを行った直後にノズルチェックを行うことを抑制したり、ノズルチェックが必要であるにも関わらずノズルチェックを行わないという事態を回避したりすることができる。したがって、液体を噴射するノズル112を有する液体噴射部110において、適切な時期にノズルチェック及びクリーニングを行うことができる。また、液体噴射装置100を新規に出荷する際に、サーバー200に蓄積された使用状況UCに基づいて、環境の異なる地域毎に適切な推定モデルMを第2推定モデルM2として記憶させることができる。すなわち、液体噴射装置100の使用当初から適切な時期にノズルチェックなどのメンテナンスを行うことができる。
【0078】
(6)液体噴射装置100の記憶部160には、第1推定モデルM1と第2推定モデルM2とが記憶されるため、サーバー200と通信不能になった場合には、第2推定モデルM2で推奨時期trを推定することで、適切な時期にメンテナンスを行うことができる。また、液体噴射装置100の使用環境が、例えば極めて高温・高湿であるなど、特殊な環境下である場合、第2推定モデルM2で推奨時期trを演算することで、第1推定モデルM1で推奨時期trを演算する場合よりも、不良ノズルの発生する時期との差分Δtを小さくできることがある。
【0079】
なお、上記実施形態は、以下に示すように変更してもよい。
・第1推定モデルM1のみでメンテナンス(ノズルチェック)の推奨時期trを推定するようにしてもよい。この場合、液体噴射装置100は、第2推定モデルM2及び同第2推定モデルM2の更新に係る構成を備えなくてもよい。
【0080】
・本実施形態では、
図4に示すように、推奨時期trを経過したときに使用状況UCを記憶部160に追加(更新)するようにしたが、推奨時期trを経過しないときの使用状況UC、すなわち、直近のクリーニングが行われてからノズルチェックが行われる期間における使用状況UCを記憶部160に追加(更新)するようにしてもよい。また、液体噴射装置100の制御部150は、通信部170を介して、直近のクリーニングが行われてからノズルチェックが行われる期間における使用状況UCをサーバー200に送信するようにしてもよい。
【0081】
直近のクリーニングを行ってからノズルチェックを行うまでの期間において、例えば、液体噴射装置100内の温度が急変するなど、使用状況UCが大きく変動することでノズル不良が生じる場合がある。そこで、推奨時期trを経過しないときの使用状況UCを記憶部160に追加し、そうした使用状況UCが大きく変動したことを把握することで、第1推定モデルM1及び第2推定モデルM2に基づいて演算される推奨時期trの推定精度を高めることができる。
【0082】
・ステップS21,S26において、使用状況UCを更新する際に、同使用状況UCに含まれる環境情報などが著しく極端な場合には、その場合の使用状況UCを用いずに推定モデルMを更新するようにしてもよい。また、同使用状況UCを記憶部160,220に記憶しないようにしてもよい。
【0083】
・例えば、液体噴射装置100の使用環境が変わる場合などには、過去の使用状況UCを用いずに、新たな環境で取得された使用状況UCに基づいて推定モデルMを更新するようにしてもよい。
【0084】
・本実施形態では、重回帰分析により推定モデルMを更新するようにしたが、推定モデルMは、例えば、ベイジアンネットワークなどの確率モデルを採用してもよいし、その他の統計モデルを採用してもよい。
【0085】
・上記実施形態における重回帰分析に用いる独立変数(説明変数)としては、液体噴射装置100内を浮遊する粒子(ホコリ)の数、媒体種、液体噴射装置が連続して稼働している最大稼働時間、液体噴射装置100の使用位置(緯度・経度・標高)などが挙げられる。
【0086】
・液体噴射装置100の使用環境ごとに特化した推定モデルMを生成し、同推定モデルMに基づいて推奨時期trを演算するようにしてもよい。例えば、サーバー200において、高温多湿の使用環境における推定モデルMと低温低湿の使用状況における推定モデルMを生成し、液体噴射装置100の使用状況に適した推定モデルMを送信するようにしてもよい。
【0087】
・十分な量の使用状況UCが蓄積されることで推定モデルMに基づいて演算される推奨時期trの推定精度が十分に高まった際には、推奨時期trを経過した場合にノズルチェックを行うことなくクリーニングを行うようにしてもよい。
【0088】
・メンテナンスの推奨時期trは、クリーニングを除くその他の液体噴射部110に対するメンテナンスを行うための推奨時期trとしてもよい。ここでいうメンテナンスとしては、例えば、ノズル形成面113をワイパーで払拭するワイピングや、所定期間液体を噴射していないノズル112を含むノズル112から液体を噴射させるフラッシングなどが挙げられる。また、他のメンテナンスとしては、例えば、液体噴射部110と液体供給部120との間で液体を循環する循環機構を備えている場合には、同循環機構による液体の循環が挙げられる。
【0089】
・不良ノズル検出部134は、振動板116の残留振動に基づいて、不良ノズルの判定をしなくてもよい。一例として、媒体に液体を噴射することで不良ノズルの有無をチェックするためのパターンを形成し、液体噴射装置100のユーザーがそれを見て不良ノズルの有無を判定してもよい。
【0090】
・液体噴射装置100がサーバー200に使用状況UCを送信する時期は液体噴射装置100の使用者が任意に設定してもよい。また、サーバー200が液体噴射装置100に第1推定モデルM1を送信する時期は使用者が任意に設定してもよい。
【0091】
・液体噴射装置100の制御部150が、第2推定モデルM2を更新する時期は任意に設定してもよい。すなわち、液体噴射装置100の記憶部220に使用状況UCが追加される度に、第2推定モデルM2を更新しなくともよい。
【0092】
・サーバー200の制御部210が、第1推定モデルM1を更新する時期は任意に設定してもよい。すなわち、サーバー200の記憶部220に使用状況UCが追加される度に、第1推定モデルM1を更新しなくともよい。
【0093】
・液体噴射装置100は、サーマルジェットプリンターに適用してもよいし、ソリッドインクジェットプリンターに適用してもよい。
・液体噴射装置100は、シリアルプリンターに適用してもよいし、ラインプリンターに適用してもよいし、ページプリンターに適用してもよい。
【0094】
・液体噴射部110が噴射する液体は、インク以外の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体を含む)ものであってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する構成にしてもよい。