特許第6229575号(P6229575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229575
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20171106BHJP
   H04N 1/107 20060101ALI20171106BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171106BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20171106BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H04N1/10
   H04N1/00 D
   G06T1/00 420B
   G03G15/00 550
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-73781(P2014-73781)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-198272(P2015-198272A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】穂園 智英
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−227690(JP,A)
【文献】 特開2010−210843(JP,A)
【文献】 特開2013−111842(JP,A)
【文献】 特開2003−051918(JP,A)
【文献】 特開2001−005121(JP,A)
【文献】 特開2008−089687(JP,A)
【文献】 特開平11−289430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/20
G03G 13/00
15/00
21/16 −21/18
G06T 1/00
G06T 1/60
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂部材で構成されており、予め定められた移動方向に直交する長手方向に長い形状に形成されており、画像処理に用いられる電子部品を保持する保持板が表面に取り付けられた移動体と、
一対の側壁を有し、各側壁の間に前記移動体を収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記移動方向へ前記移動体を移動可能に支持する支持部と、
前記ハウジング内において前記一対の前記側壁それぞれの内面に設けられた被接触部と、
前記移動体に設けられ、前記被接触部に接触可能な接触位置に達したときに前記保持板に先立ち前記被接触部に当接可能な第1当接部と、を備え、
前記第1当接部は、前記移動体における前記移動方向側の側面に設けられており、
前記被接触部は、前記側壁の内面から垂直方向へ突出し、前記移動体が前記接触位置に達したときに前記保持板に接触せずに前記第1当接部に接触する突出リブであり、
前記移動体は、前記長手方向の一方端に設けられたガイド穴と、前記長手方向の他方端の下面に設けられた被支持部と、を有し、
前記支持部は、前記一対の側壁間を渡すように設けられ前記ガイド穴に挿通される支軸と、前記被支持部を前記移動方向へ摺動可能に支持する前記移動方向に長い支持レールと、を有し、
前記ハウジングの上部に取り付けられ、画像処理対象のシート部材が載置されるシート載置板と、
前記移動体に設けられ、前記移動体が前記支軸を中心に上方へ回動したときに、前記保持板に先立ち前記シート載置板に当接可能な第2当接部と、を更に備える画像処理装置。
【請求項2】
前記シート載置板の上方に設けられ、搬送方向が反転する折り返し部及び予め定められた読取位置を順に通過する搬送経路に沿って前記シート部材を搬送するシート搬送部を更に備え、
前記移動体は、画像処理時に前記移動方向へ走査されて所定の画像を読み取る読取ユニットのキャリッジであり、
前記読取ユニットは、前記移動体に収容された光源、光学部材、及び撮像素子を有し、予め定められた画像読取位置に前記光源から光を照射することにより前記所定の画像を読み取るものであり、
前記光学部材は、
前記光源から前記画像読取位置に光が照射される状態で、前記移動体の内部において前記画像読取位置よりも前記折り返し部側に配置される第1ミラー、第2ミラー、及び光学レンズと、前記移動体の内部において前記画像読取位置よりも前記折り返し部とは反対側に配置される第3ミラー及び第4ミラーと、を含み、
前記光源は、前記光源から前記画像読取位置に光が照射される状態で、前記移動体の内部において前記画像読取位置よりも前記折り返し部側に配置され、
前記撮像素子は、前記光源から前記画像読取位置に光が照射される状態で、前記移動体の内部において前記画像読取位置よりも前記折り返し部とは反対側に配置され、
前記読取ユニットにおいて、前記光源から照射されて前記シート部材で反射した光は、前記第1ミラー、前記第2ミラー、前記第3ミラー、前記第2ミラー、前記第4ミラーの順に反射して前記光学レンズを経て前記撮像素子に入射する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1当接部は、前記移動体の前記側面から垂直方向へ突出し、前記保持板を越える位置まで延びる突起である請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記保持板は、前記移動体の上面に取り付けられており、
前記第2当接部は、
前記移動体の上縁部において、前記移動体の短手方向の一方側の縁部の中央、前記短手方向の他方側の縁部の中央、前記他方側の縁部において前記長手方向の両端それぞれに設けられ、前記移動体の前記上面から前記保持板を超えて上方へ突出する複数の突起であり、
前記複数の突起の突出端と前記シート載置板との間に所定の間隙が形成されている、請求項1に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理に用いられる電子部品を保持する保持板が表面に取り付けられた移動体を備える画像読取装置等の画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、複数の撮像素子が主走査方向に配列された読取センサーや、撮像対象に光を照射するLED等の発光素子、レンズやミラー等の光学部品などを含む読取ユニットを備えている。読取ユニットは、樹脂部材で構成されたキャリッジ(移動体)を備えている。読取センサー、発光素子、光学部品などは前記キャリッジに搭載されており、更に、読取センサーや発光素子を駆動させるための駆動基板(保持板)も前記キャリッジに搭載されている。前記キャリッジは、画像読取装置のハウジング内に収容されており、ハウジング内に設けられたガイドシャフトに沿うようにして副走査方向(主走査方向に直交する方向)へ移動可能に支持されている。画像読取装置においては、前記副走査方向へ前記キャリッジを移動させつつ、前記読取センサーに読取動作を行わせることにより、原稿台に載置された原稿の画像が読み取られる。
【0003】
ところで、画像読取装置が運搬されるときに、キャリッジが自由に移動すると、ハウジングの内部フレームにキャリッジが衝突して破損する場合がある。このため、従来、固定部材によってキャリッジを非接触位置に固定する構成や、キャリッジと内部フレームとの間に衝撃吸収部材を設けて衝撃をやわらげる構成(特許文献1参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−111842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャリッジを非接触位置に固定する固定部材を設ける場合、追加部品として固定部材が必要になるだけでなく、キャリッジを非接触位置に移動させたり、その位置で固定部材を用いてキャリッジを固定するという煩雑な取り付け作業を伴うという問題が生じる。また、衝撃吸収部材を設ける場合、その衝撃吸収部材の部品コストが製品コストに上乗せされ、更に、組み立てコストの増加を招くことになる。特に、前記駆動基板がキャリッジの表面に取り付けられている場合、固定部材の取り付け作業時に固定部材が駆動基板に直接に接触して、駆動基板を損傷させるおそれがある。一方、固定部材でキャリッジを固定しなければ、キャリッジが移動して前記駆動基板がハウジングの内部フレームに接触し、前記駆動基板を損傷させることになる。また、前記衝撃吸収部材が設けられている場合でも、キャリッジが移動して前記衝撃吸収部材に前記駆動基板が直接に接触すると、前記衝撃吸収部材から衝撃を受ける。この衝撃が繰り返されると、前記駆動基板の損傷や、電子部品の動作不良が生じるおそれがある。このような問題は画像読取装置に限られず、前記キャリッジのような移動体を備える画像処理装置にも生じうる。
【0006】
本発明の目的は、移動体がハウジング内で被接触部に接触した場合でも、移動体に取り付けられた電子部品を保持する保持板の損傷や電子部品の故障を安価で簡単な構成によって防止することが可能な画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る画像処理装置は、移動体と、ハウジングと、支持部と、第1当接部と、を備える。前記移動体は、樹脂部材で構成されており、画像処理に用いられる電子部品を保持する保持板が表面に取り付けられている。前記ハウジングは、一対の側壁を有しており、各側壁の間に前記移動体を収容する。前記支持部は、前記ハウジングに設けられ、予め定められた移動方向へ前記移動体を移動可能に支持する。前記第1当接部は、前記移動体に設けられ、前記移動体が前記ハウジング内の被接触部に接触可能な接触位置に達したときに前記保持板に先立ち前記被接触部に当接可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体がハウジング内で被接触部に接触した場合でも、移動体に取り付けられた電子部品を保持する保持板の損傷や電子部品の故障を安価で簡単な構成によって防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置を示す斜視図である。
図2図2は、画像読取装置の内部構成を示す図である。
図3図3は、画像読取装置を示す斜視図である。
図4図4は、画像読取装置のハウジングの内部構成を示す斜視図である。
図5図5は、ハウジングの部分拡大図である。
図6図6は、画像読取装置が備える読取ユニットを示す斜視図である。
図7図7は、画像読取装置が備える読取ユニットを示す斜視図である。
図8図8は、ハウジングにおける読取ユニットの位置を示す図である。
図9図9は、ハウジングにおける読取ユニットの位置を示す図である。
図10図10は、ハウジングにおける読取ユニットの位置を示す図である。
図11図11は、読取ユニットとコンタクトガラスとの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
まず、図1及び図2を参照して本発明の実施形態に係る画像処理装置の一例である画像読取装置11及びこれを備えた画像形成装置10の概略構成について説明する。画像形成装置10は、画像読取機能、ファクシミリー機能、画像形成機能などを備える複合機である。図1に示されるように、画像形成装置10は、画像読取装置11、自動原稿送り装置(Auto Document Feeder;以下、ADFという)13、画像形成部15、操作表示部16、給紙カセット17、排紙部18を備えている。なお、本実施形態では、本発明に係る画像処理装置の一例である画像読取装置11を備えた画像形成装置10を例示して説明するが、本発明はこれに限られない。例えば、本発明は、画像形成装置10から独立した画像処理装置としての画像読取装置11であってもよく、或いは画像読取装置11を備えるファクシミリー装置又は複写機であってもよい。
【0012】
画像形成部15は、画像読取装置11で読み取られた画像データ又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて電子写真方式にしたがってカラー又はモノクロの画像形成処理(印刷処理)を実行する。画像形成部15は、画像形成ユニット、露光装置、中間転写ベルト、二次転写ローラー、定着装置などを備える。前記画像形成ユニットは、感光体ドラム、帯電装置、現像装置、一次転写ローラー、クリーニング装置(いずれも不図示)などを備える。これらの構成要素が画像形成部15のフレームなどを構成する筐体に設けられている。なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成部15を例にして説明するが、画像形成部15は電子写真方式のものに限られず、インクジェット記録方式のものであっても、或いはそれ以外の記録方式又は印刷方式のものであってもかまわない。
【0013】
ADF13は、画像読取装置11に設けられている。ADF13は、原稿セット部13Aに載置された原稿を一枚ずつ取り出して、画像読取装置11による画像読取位置122へ搬送経路12に沿って連続的に搬送する。これにより、画像読取装置11は、ADF13により搬送される原稿から画像データを読み取ることが可能である。ここで、搬送経路12は、原稿の搬送方向が反転する折り返し部121、及び予め定められた画像読取位置122を順に通過する経路である。画像読取位置122は、画像読取装置11によって原稿の画像が読取可能な位置であって、後述の読取ユニット22によって光が照射される位置である。
【0014】
画像読取装置11は、画像形成装置10の上部に装着されている。画像読取装置11は、原稿から画像データを読み取る。図2(A)に示されるように、画像読取装置11は、読取ユニット22、コンタクトガラス27(本発明のシート載置板の一例)、コンタクトガラス28、原稿押さえ29、ハウジング21などを備える。これらの構成要素が、画像読取装置11の筐体を構成するハウジング21の内部に収容されている。なお、ハウジング21の詳細については後述する。
【0015】
コンタクトガラス27及びコンタクトガラス28は、いずれも、ハウジング21の上部に取り付けられている。コンタクトガラス27は、画像の読取対象となる原稿(シート部材)が載置される領域である。コンタクトガラス28は、ADF13により搬送される原稿に対して読取ユニット22から照射される光を透過する領域である。
【0016】
図2(B)に示されるように、読取ユニット22は、光源221、ミラー222〜225、光学レンズ226、撮像素子227などを備えている。これらの光学部材が、読取ユニット22の筐体を構成するキャリッジ220(本発明の移動体の一例)に収容されている。なお、キャリッジ220の詳細については後述する。
【0017】
光源221は、主走査方向(図1における前後方向)に沿って配列された多数の白色LEDを備える。読取ユニット22のキャリッジ220は、ステッピングモーター等の駆動装置(電動機)を用いた従来周知の移動機構によって副走査方向(図2における左右方向)へ移動可能に構成されている。前記移動機構としては、モーターからの駆動力をキャリッジ220に伝達するベルト伝達機構やギヤ伝達機構などが考えられる。画像読取装置11では、コンタクトガラス27に原稿が載置されて、原稿押さえ29が閉じられた状態で、原稿に対して読取ユニット22がハウジング21内で前記駆動装置によって前記副走査方向へ移動される。そして、読取ユニット22の移動中に光源221からコンタクトガラス27に照射される光が前記副走査方向に走査され、これにより原稿の画像が読み取られる。また、画像読取装置11では、ADF13によって搬送される原稿から画像を読み取る際には、読取ユニット22は光源221の光がコンタクトガラス28へ照射される位置、つまり、コンタクトガラス28の下方に移動される。そして、原稿の搬送中に読取ユニット22の光源221からコンタクトガラス28に光が照射され、これにより、原稿の画像が読み取られる。
【0018】
具体的には、原稿から反射した光を読取ユニット22が受けると、その反射光はミラー222へ向けて反射される。ミラー222〜225は、光源221から照射されて原稿で反射した反射光を光学レンズ226に導く反射ミラーである。反射光は、図2(B)に点線で示すように、ミラー222(本発明の第1ミラーに相当)、ミラー223(本発明の第2ミラーに相当)、ミラー224(本発明の第3ミラーに相当)、ミラー223、ミラー225(本発明の第4ミラーに相当)の順に反射して光学レンズ226に導かれる。光学レンズ226は、ミラー225から入射した光を集光してCCDなどの撮像素子227に入射させる。撮像素子227は、光電変換素子を有するイメージセンサーである。撮像素子227は、反射光に基づく電気信号を前記原稿の画像データとして図示しない制御部に入力する。
【0019】
以下、図3図11を参照して、ハウジング21及び読取ユニット22について詳細に説明する。
【0020】
図3及び図4に示されるように、ハウジング21は、画像読取装置11の筐体である。ハウジング21は、画像形成部15の筐体の上部に連結されている。ハウジング21は、画像形成部15の筐体などに取り付けられることによって、画像形成装置10の筐体の一部を構成する。
【0021】
図3に示されるように、ハウジング21は、下フレーム71及び上フレーム72を有する。下フレーム71及び上フレーム72は、いずれも、合成樹脂で構成された成型品である。図4に示されるように、下フレーム71は、ハウジング21の底面及び側面を構成する部材である。具体的には、下フレーム71は、左右方向に長い矩形状の平坦な底板73を有し、その4つの端辺から4つの側板74〜77が立設している。言い換えると、ハウジング21は、長手方向に隔てられた互いに対向する一対の側板74,75(本発明の側壁の一例)と、短手方向に隔てられた互いに対向する一対の側76,77を有する。下フレーム71の内部空間、つまり、底板73、及び4つの側板74〜77によって囲まれた空間に読取ユニット22が収容されている。
【0022】
図3に示されるように、上フレーム72は、下フレーム71の形状に対応して、左右方向に長い矩形状に形成されている。上フレーム72は、下フレーム71の上部に取り付けられることで、下フレーム71の上部開口を覆う。上フレーム72は、下フレーム71の上部開口の周縁部である側板74〜77の上端部に上方向から嵌合されて取り付けられる。
【0023】
上フレーム72は、左右に隔てられて形成された2つの開口を有する。左側の開口の外周縁にコンタクトガラス28が取り付けられており、右側の開口の外周縁にコンタクトガラス27が取り付けられる。具体的に、コンタクトガラス27,28は、各開口の外周縁の下側の面に両面テープなどの接着部材で接合される。また、上フレーム72が下フレーム71に取り付けられることで、コンタクトガラス27,28の下側面が、側板74〜77の内面に形成された支持リブ79などによって下側から支持される。そのため、コンタクトガラス27,28は、上フレーム72と下フレーム71の支持リブ79とにより上下に挟まれて固定される。
【0024】
図4に示されるように、下フレーム71には、支軸80及び支持レール82が設けられている。支軸80及び支持レール82は、本発明の支持部の一例である。支軸80及び支持レール82は、前記副走査方向へ読取ユニット22のキャリッジ220を移動可能に支持する。支軸80は、一対の側板74,75間を渡すように設けられた丸棒状の部材である。支軸80は、図4において側板76寄りの位置、つまり、下フレーム71の後方側に設けられている。支軸80の一方端は側板74に固定されており、他方端は側板75に固定されている。この支軸80は、キャリッジ220が備える後述するガイド穴92(図参照)に挿通される。ガイド穴92に支軸80が挿通されることにより、キャリッジ220が支軸80に沿って前記副走査方向へ移動可能になる。支持レール82は、前記副走査方向へ長い長尺な部材であり、底板73から上方へ向けて立設している。支持レール82は、一対の側板74,75間を連結するように設けられている。支持レール82は、図4において側板77寄りの位置、つまり、下フレーム71の前方側に設けられている。支持レール82は、キャリッジ220の主走査方向の一方端の下面に設けられたレールガイド93(図参照、本発明の被支持部の一例)を前記副走査方向へ摺動可能に支持する。このように支軸80及び支持レール82が下フレーム71に設けられているため、キャリッジ220は、前記副走査方向へ移動可能に支持される。
【0025】
図4及び図5に示されるように、下フレーム71に突出リブ94(本発明の被接触部の一例)が設けられている。本実施形態では、2つの突出リブ94が下フレーム71に設けられている。2つの突出リブ94は、側板74の内面に設けられている。なお、図4及び図5では、側板74に設けられた一つの突出リブ94だけが示されており、他の突出リブ94は図示されていない。図5に示されるように、一つの突出リブ94は、側板74において前方側に設けられている。また、もう一つの突出リブ94は、側板74において後方側に設けられている(図8参照)。突出リブ94は、側板74の内面から垂直方向に突出している。突出リブ94は、底板73から上方へ延びる板リブ形状に形成されており、下フレーム71と一体に形成されている。突出リブ94は段差を有しており、下方の下段部94Aと、その上方の上端部94Bとを有する。下段部94Aは、前記副走査方向へ延びている。上段部94Bは、キャリッジ220の移動範囲に突出している。上段部94Bは、後述するように、キャリッジ220が下フレーム71の左側へ移動して側板74に接触する位置まで移動したときに、キャリッジ220の一部と当接するように構成されている。
【0026】
図8に示されるように、下フレーム71にストッパー部95(本発明の被接触部の一例)が設けられている。本実施形態では、2つのストッパー部95が下フレーム71に設けられている。2つのストッパー部95は、側板75の内面に設けられている。ストッパー部95は、側板75の内面から側板75の厚み分だけ内側へ張り出しており、内側の面が平坦な矩形状に形成されている。一つのストッパー部95は、側板75において前方側に設けられている。また、もう一つのストッパー部95は、側板75において後方側に設けられている。ストッパー部95は、下フレーム71と一体に形成されている。ストッパー部95は、キャリッジ220の移動範囲に設けられている。ストッパー部95は、後述するように、キャリッジ220が下フレーム71の右側へ移動して側板75に接触する位置まで移動したときに、キャリッジ220の一部と当接するように構成されている。なお、ストッパー部95を設けずに、側板75の内面にキャリッジ220の一部が当接するようにしてもよい。この場合は、側板75が本発明の被接触部に相当する。
【0027】
図6及び図7に示されるように、読取ユニット22は、その筐体を構成するキャリッジ220を有する。キャリッジ220は、合成樹脂で構成された成型品である。キャリッジ220は、本体部101と、蓋体102とを含む。本体部101は、前記主走査方向に一致する方向に長い形状に直方体形状に形成されている。言い換えると、本体部101は、キャリッジ220の移動方向である前記副走査方向の直交する主走査方向に長い形状に形成されている。本体部101に光源221やミラー222〜225などの光学部材が収容されている。
【0028】
本体部101の上面に蓋体102が取り付けられている。本体部101の上面に開口が形成されており、その開口の周縁部には複数のフック96が設けられている。また、蓋体102には、フック96に対応する位置に、フック96と係合可能な溝を有する係合片97が設けられている。蓋体102が本体部101の上面に覆い被せられ、その後、係合片97がフック96に係合されることにより、蓋体102が本体部101に取り付けられる。
【0029】
蓋体102の短手方向の一方には、光源221が実装された実装プレート104(本発明の保持板の一例)が設けられている。実装プレート104は、LEDなどの発光素子を前記主走査方向に並んだ状態で実装している。実装プレート104は、キャリッジ220の上面に露出されている。また、蓋体102には、その長手方向に延びる細幅のスリット103が形成されている。スリット103は、光源221から出射された光を外部へ導くための貫通口であり、光性を有する板部材で内部側から覆われている。また、蓋体102には、その長手方向に延びる細幅のスリット105が形成されている。スリット105は、原稿からの反射光を受け入れて内部のミラー222に導く貫通口であり、光性を有する板部材で内部側から覆われている。
【0030】
本体部101の長手方向の後方側の端部(後端部)の下部には、支軸80が挿通されるガイド穴92を有するガイド部91が設けられている。ガイド穴92は、キャリッジ220の短手方向に貫通しており、このガイド穴92に支軸80が挿通される。また、本体部101の長手方向の前方側の端部(前端部)の下部には、支持レール82の上端に支持されるレールガイド93が設けられている。レールガイド93は、前記前端部の下面に設けられている。ガイド穴92に支軸80が挿通された状態で、レールガイド93が支持レール82の上端に載置され、これにより、レールガイド93が支持レール82によって摺動可能に支持される。このように、キャリッジ220が支軸80及び支持レール82によって支持されるため、キャリッジ220は、他の制約が無ければ、支軸80を中心に前記前端部が上方へ回動することができる。しかしながら、図3に示されるように、キャリッジ220の上方にはコンタクトガラス27,28が設けられている。そのため、仮に、振動や揺れ、衝撃などに起因する外力を受けて前記前端部が上方へ回動しようとしても、コンタクトガラス27,28によって前記前端部の上方への回動が制限される。
【0031】
本体部101の前記後端部の側面には、アルミ板で形成されたアルミ基板110(本発明の保持板の一例)が取り付けられている。アルミ基板110には、光源221としてのLEDの点灯を制御するためのLEDドライバーが実装されている。LEDドライバーは、定電流駆動回路やPWM制御回路などを実現するICなどの電子部品で構成されている。また、本体部101の短手方向の左側の端部(左端部)の側面(左側面)には、プリント基板111(本発明の保持板の一例)が取り付けられている。プリント基板111は、本体部101の左側面の中央に設けられている。プリント基板111には、撮像素子227や、この撮像素子227を駆動制御するためのドライバーが実装されている。また、プリント基板11には、キャリッジ220の位置などを検知するためのセンサーなどの電子部品が実装されている。
【0032】
このように、キャリッジ220の表面に実装プレート104、アルミ基板110、及びプリント基板11などの電子部品を保持する保持板が取り付けられている場合、画像形成装置10の運搬中にキャリッジ220が移動して前記保持板がハウジング21の内部フレームに接触すると、その接触時の衝撃によって前記保持板又は前記電子部品が損傷又は故障するおそれがある。そのため、本実施形態では、画像形成装置10の製品出荷時の運搬中に、そのときの振動や揺れなどによってキャリッジ220が移動しても、前記保持板が直接に前記内部フレームに接触しないように構成されている。
【0033】
具体的には、図6に示されるように、キャリッジ220の本体部101の左側面(キャリッジ220における移動方向側の側面)に、突出リブ94の上段部94Bと当接可能な2つの当接部112(本発明の第1当接部の一例)が設けられている。2つの当接部112は、前記左側面において、本体部101の長手方向に隔てた位置に設けられており、詳細には、プリント基板11の両サイドそれぞれから離れた位置に設けられている。当接部112は、下フレーム71の側板74に設けられた上段部94Bに対応する位置に設けられている。このような当接部112が設けられているため、図9に示されるように、画像形成装置10の出荷時の運搬中にキャリッジ220が移動して、下フレーム71の突出リブ94に接触可能な第1位置(図9に示される位置)に達しても、プリント基板111に先だって当接部112が上段部94Bに当接する。つまり、前記第1位置において当接部112が上段部94Bに当接するため、プリント基板111は直接に上段部94や側板74などに接触しない。これにより、プリント基板111は、直接の接触による衝撃を受けなくなるため、プリント基板111の損傷やその実装部品である撮像素子227やそのドライバーなどの電子部品の故障が防止される。なお、前記第1位置は、本発明の接触位置に相当する。
【0034】
また、図7に示されるように、キャリッジ220の本体部101の右側面(キャリッジ220における移動方向側の側面)に、ストッパー部95と当接可能な2つの突起113(本発明の第1当接部の一例)が設けられている。二つの突起113は、前記右側面において、本体部101の長手方向に隔てた位置に設けられている。突起113は、下フレーム71の側板75に設けられたストッパー部95の位置に対応する位置に設けられている。突起113は、本体部101の側面から垂直方向へ突出しており、その突出端が実装プレート104の右端部よりも右側へ延びており、実装プレート104を越える位置まで突出している。本実施形態では、キャリッジ220の右側面において、突起113が最も突出している。このような突起113が設けられているため、図10に示されるように、画像形成装置10の出荷時の運搬中にキャリッジ220が移動して、下フレーム71のストッパー部95に接触可能な第2位置(図10に示される位置)に達しても、実装プレート104に先だって突起113がストッパー部95に当接する。つまり、前記第2位置において突起113がストッパー部95に当接するため、実装プレート104は直接にストッパー部95や側板75などに接触しない。これにより、実装プレート104は、直接の接触による衝撃を受けなくなるため、実装プレート104の損傷やその実装部品であるLEDなどの電子部品の故障が防止される。なお、前記第2位置は、本発明の接触位置に相当する。
【0035】
また、図6及び図7に示されるように、キャリッジ220の本体部101の上縁部に複数の突起115(本発明の第2当接部の一例)が設けられている。本実施形態では、4つの突起115が設けられている。具体的には、突起115は、本体部101の右側上縁部の中央、本体部101の左側上縁部の中央、そして、前記左側上縁部の長手方向の両端それぞれに設けられている。突起115は、本体部101の上縁部から上方へ突出しており、4つの突起115全てにおいてその突出端が同一面上となるように上方へ延びている。突起115の突出端は、キャリッジ220の上方に位置するコンタクトガラス27,28との間で所定の間隙を隔てた位置に達している。突起115は、実装プレート104やアルミ基板110、プリント基板11よりも上方へ延びており、それらを越える位置まで突出している。本実施形態では、キャリッジ220の上面において、突起115が最も突出している。このような突起115が設けられているため、図11に示されるように、画像形成装置10の出荷時の運搬中にキャリッジ220が支軸80を中心に前端部が上方へ回動してコンタクトガラス27,28の裏面に接触する場合でも、実装プレート104やアルミ基板110、プリント基板111に先だって突起115がコンタクトガラス27,28の裏面に当接する。つまり、前記位置において突起115がコンタクトガラス27,28に当接するため、実装プレート104などは直接にコンタクトガラス27,28に接触しない。これにより、実装プレート104などが、直接の接触による衝撃を受けなくなるため、実装プレート104などの損傷や実装部品である電子部品の故障が防止される。
【0036】
なお、上述の実施形態では、本発明の画像処理装置の一例として画像読取装置11を例示したが、例えば、本発明の移動体が、インクジェット記録方式の記録ヘッドである場合は、本発明を前記記録ヘッドによる画像記録処理を行う画像処理装置として捉えることができる。
【符号の説明】
【0037】
10:画像形成装置
11:画像読取装置
21:ハウジング
22:読取ユニット
27,28:コンタクトガラス
80:支軸
82:支持レール
94:突出リブ
95:ストッパー部
104:実装プレート
110:アルミ器盤
111:プリント基板
112:当接部
113,115:突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11