(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、駐車場や交差点等において自車両に対して接近するように移動する交差方向移動体が隣接障害物によって死角になる場合であっても安全、且つスムーズに進行することができる車両の運転支援装置、及び車両の運転支援方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による車両の運転支援装置は、自車両に対して進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体の確認を支援する車両の運転支援装置であって、対象物を検出する対象物検出手段を備え、前記対象物検出手段は、自車両に対して側方で隣接する前記対象物としての隣接障害物を検出可能に自車両の側部に位置する側部配置箇所に配置され、前記対象物としての前記交差方向移動体を検出可能に前記側部配置箇所から前記進行方向前方へ前記対象物検出手段を移動させる移動手段を備え
、前記対象物検出手段は、自車両に対して側方で隣接する隣接障害物の進行方向の前端位置に関する障害物前端位置情報を検出可能な障害物前端位置検出手段であり、前記移動手段は、隣接障害物の検出時に自車両の進行によって、自車両の進行方向の前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並んだ時に、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所から該側部配置箇所よりも進行方向前方に位置する前部配置箇所まで移動させたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、自車両に対して進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体が接近するおそれがあるような交差点や駐車場などの場所で自車両を進行させる状況、すなわち、交差点にさしかかる前の状況や駐車場などで出庫または駐車するような状況において、前記対象物検出手段により隣接障害物を検出した時に、前記移動手段により、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所から前記進行方向前方へ移動させることで、自車両が隣接障害物に対して進行方向前方に突き出さずとも前記対象物検出手段による前記交差方向移動体の探査エリアを拡大させることができる。
【0009】
従って、ドライバにとって前記隣接障害物により死角になっていた前記交差方向移動体の存在をドライバに認識させることができ、安全、且つスムーズに自車両を進行方向に前進させることができる。
【0010】
また、前記移動手段により前記交差方向移動体を検出可能に前記側部配置箇所から前記進行方向前方へ前記対象物検出手段を移動させる構成としたため、前記対象物検出手段を様々な状況に応じた配置箇所に配置可能に構成することができる。これにより、隣接障害物を検出するという特定の状況においてのみ活用されていた対象物検出手段を、前記交差方向移動体を検出するという別の状況においても好適な態様で活用することができ、対象物検出手段によって様々な状況に柔軟に対応することができる。
【0011】
ここで、前記隣接障害物は、車両に限定せず、壁など対象物動向検出手段により移動対象物の検出を遮る物体であれば特に限定しない。
【0012】
また、前記対象物検出手段は、車両から探査波を照射して対象物を検出する探査センサに限らず、例えば、GPS(全地球測位システム)や地図情報を基に、交差点等を検出する手段であってもよい。
【0013】
これにより、自車両が進行している路の先に、前記交差方向移動体を遮るような隣接障害物がある交差点がある場合であっても、この交差点を検出することで、前記側部配置箇所から前記進行方向前方へ前記対象物検出手段を移動手段により移動させて、自車両が交差点を通過する際に、交差方向移動体の確認支援に備えることができる。
【0014】
この発明の態様として、前記対象物検出手段は、自車両に対して側方で隣接する隣接障害物の進行方向の前端位置に関する障害物前端位置情報を検出可能な障害物前端位置検出手段であり、前記移動手段は、自車両の進行によって、自車両の進行方向の前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並んだ時に、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所から該側部配置箇所よりも進行方向前方に位置する前部配置箇所まで移動させることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、自車両の進行によって、自車両の前記前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並んだ時に、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所から前記前部配置箇所まで移動させることにより、進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体が近づくような場所を自車両が進行する際において、対象物検出手段を前記前部配置箇所まで確実に移動させることができる。
【0016】
このため、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所に配置していた際には、前記交差方向移動体が前記隣接障害物によって死角になる場合であっても、上述したように、対象物検出手段を前記前部配置箇所まで移動させることにより、前記側部配置箇所に配置した前記対象物検出手段により前記交差方向移動体を検出する場合と比較して探査エリアを拡大させることができ、安全、且つスムーズに自車両を進行方向に前進させることができる。
【0017】
一方、進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体が近づくような場所を自車両が進行するような場合以外には、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所に配置しておくことができ、これにより、前記側部配置箇所に配置した前記対象物検出手段によって、例えば、交差点を曲がる際に、横断歩道を横断しようとする歩行者等などを自車両によって巻き込まないように歩行者等の有無を検出するなど、自車両に対して側方に有する対象物を確実に検出することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記障害物前端位置情報に基づいて、自車両の前記前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並ぶまで自車両を誘導する誘導手段を備えることができる。
【0019】
上記構成によれば、例えば、自車両の前記前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並ぶ位置まで自車両が到達せずに、対象物検出手段が前記前部配置箇所まで移動しない事態や、自車両の前端部が前記隣接障害物の前記前端位置に対して進行方向へ突き出してしまう事態が生じることがなく、広い探査エリアの下で対象物検出手段による交差方向移動体の検出が可能な状態へと安全、且つスムーズに誘導することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記誘導手段は、自車両の進行によって、自車両の前記前端位置が前記障害物前端位置に進行方向において並ぶように、自車両のドライバに対して自車両の進行をガイドするガイド手段であることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、前記ガイド手段により自車両のドライバに対して、自車両の前記前端位置が前記障害物前端位置に進行方向において並ぶように、自車両の進行をガイドできるため、前記自車両を広い探査エリアの下で対象物検出手段による交差方向移動体の検出が可能な状態へとドライバは、自らの操作により安心感を持って自車両を進行させることができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記誘導手段は、自車両の前記前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並んだ時に、自車両に対してブレーキを作動させるブレーキ手段であることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、自車両の前記前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並んだ時に、自車両に対して前記ブレーキ手段によりブレーキを作動させることができるため、前記自車両を広い探査エリアの下で対象物検出手段による交差方向移動体の検出が可能な位置に、前記自車両の停車の遅れや停車位置の誤差が生じることがなく正確、且つドライバが操作せずとも容易に自車両を停車させることができる。
【0024】
またこの発明は、自車両に対して進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体の確認を支援する車両の運転支援方法であって、自車両の側部に位置する側部配置箇所に配置した状態の対象物検出手段により自車両に対して側方で隣接する隣接障害物を検出する障害物検出処理と、前記障害物検出
処理による前記隣接障害物の検出に基づいて、前記交差方向移動体を検出可能に自車両の側部に位置する側部配置箇所から前記進行方向前方へ前記対象物検出手段を移動させる移動処理とを行
い、前記障害物検出処理は、自車両に対して側方で隣接する隣接障害物の進行方向の前端位置に関する障害物前端位置情報を検出可能な障害物前端位置検出処理であり、前記移動処理では、隣接障害物の検出時に自車両の進行によって、自車両の進行方向の前端位置が前記隣接障害物の前記前端位置に並んだ時に、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所から該側部配置箇所よりも進行方向前方に位置する前部配置箇所まで移動させることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、前記障害物検出処理において行う前記対象物検出手段による障害物の検出に基づいて、前記移動処理において、前記対象物検出手段を前記側部配置箇所から前記進行方向前方へ移動させることで、自車両に対して接近するように移動する前記交差方向移動体が前記隣接障害物によって死角になる場合であっても、前記対象物検出手段による交差方向移動体の探査エリアを拡大することができるため、自車両は安全、且つスムーズに進行することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、駐車場や交差点等において自車両に対して接近するように移動する交差方向移動体が隣接障害物によって死角になる場合であっても、安全、且つスムーズに進行することができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
なお、図中、矢印Yは自車両60の車両前後方向、すなわち、自車両60の前方で車両前後方向に直交する方向に延びる前方交差道路90の幅方向を示し、矢印Yfは自車両60の車両前方を示し、矢印Yrは自車両60の車両後方を示す。矢印Wは自車両60の車幅方向、すなわち前方交差道路90の延びる方向を示し、矢印Wrは自車両60の車幅方向右方を示し、矢印Wlは自車両60の車幅方向左方を示す。
【0029】
また、以下の説明において、便宜上、自車両60は本実施形態の車両の運転支援装置1を搭載している車両とし、さらに、自車両60に対して左側方と右側方とのうち、例えば、右側方の隣接位置で停車している隣接障害物としての車両を隣接車両70とする。
【0030】
本実施形態の車両の運転支援装置1は、
図1に示すように、運転支援意図検出センサ11、運転支援スイッチ12、シフトセンサ13、シフトレバー14、対象物探査部15、音声出力部16、モニタ部17、ブレーキECU18、ブレーキアクチュエータ19、エンジンECU20、エンジン21、運転支援ECU30、及び記憶部40を構成要素としている。
運転支援意図検出センサ11は、運転支援を受けようとする自車両60のドライバの意図を検出するためのセンサであり、図示しないインストルメント・パネルやセンターコンソールに適宜、設けられた運転支援スイッチ12のスイッチ操作による入力を検出すると、運転支援意図検出信号を運転支援ECU30へ送信する。
【0031】
なお、運転支援スイッチ12は、例えば、メカニカルなスイッチに限らず、モニタ部17と一体になったタッチスイッチ等であってもよい。
【0032】
シフトセンサ13は、図示しないトランスミッションを介してシフトレバー14の位置を検出し、例えば、シフトレバー14がパーキングモードからドライブモードへ切り替わった際に、この切り替わりを検出し、検出信号を運転支援ECU30に送信する。
【0033】
対象物探査部15は、自車両60の前側において車幅方向の左右各側に備え、
図1に示すように、探査センサ151と、該探査センサ151を移動させるセンサ移動部152とを構成要素としている。
【0034】
探査センサ151は、探査波を発信し、前方交差道路90を移動する例えば、歩行者、自転車、車両、自動二輪車などの交差方向移動体Aや、該交差方向移動体Aを対象物探査部15により探査するうえで障害物となる例えば、自車両60に対して、側方で隣接する隣接車両70などの隣接障害物から反射される探査波の反射波を受信することにより対象物を探査するセンサである。
【0035】
なお、探査センサ151は、遠距離の障害物に対しても精度よく検出できる点でミリ波レーダセンサなどのレーダセンサで構成しているが、これに限らず、例えば、超音波センサ、レーザセンサ、CCDカメラ等、障害物を探査可能なセンサであれば他のセンサを用いてもよい。
【0036】
センサ移動部152は、
図1に示すように、探査センサ151を後述する側部配置箇所Pmxと前部配置箇所Pmyとの2つの配置箇所の間を往復で直進移動可能な駆動手段としてのモータ152aと、該モータ152aの駆動を探査センサ151に伝達する駆動伝達手段としてのリニアガイド152bとを構成要素に有している。
【0037】
具体的に、リニアガイド152bは、車両前方の側部配置箇所Pmxと前部配置箇所Pmyとの近傍に配置された車体フレームに、ブラケットを介して装着された固定レール152baと、該固定レースに沿って側部配置箇所Pmxと前部配置箇所Pmyとの間のストロークをスライド可能なスライダ152bbとで構成している(
図2、
図6〜
図8中の一部拡大図参照)。
探査センサ151は、スライダ152bbに取り付けられ、モータ152aの駆動によりスライダ152bbをスライドさせて側部配置箇所Pmxと前部配置箇所Pmyとの間を移動する。
【0038】
なお、
図2、
図6〜
図8中の一部拡大図は、車体フレーム、ブラケット、及びモータ152a等の図示を省略して模式的に示したセンサ移動部152の平面図であり、便宜上、
図2、
図6〜
図8中、前部配置箇所Pmy、及び側部配置箇所Pmxのうち、探査センサ151が配置されている配置箇所を黒塗り状態で示し、探査センサ151が配置されていない配置箇所を白抜き状態で示すものとする。
【0039】
側部配置箇所Pmxは、自車両60の前方における右側面部、及び左側面部に位置し、自車両60の前端から距離D(例えば、30cm程度)だけ後方に位置する探査センサ151の配置箇所である(
図4参照)。
【0040】
側部配置箇所Pmxに配置された探査センサ151は、
図2中に示すように、それぞれ自車両60に対して左右側方(車幅方向外側)に向けて約120°程度の検出角度(探査波発信角度)を有する探査エリアを有している(
図2中の実線で示したZx参照)。
【0041】
前部配置箇所Pmyは、自車両60の前端における車幅方向の右側、及び左側に位置し、側部配置箇所Pmxよりも車両前方、且つ車幅方向の内側に位置する探査センサ151の配置箇所である。
【0042】
前部配置箇所Pmyに配置された探査センサ151は、
図2に示すように、主に、広角の中心が車体に対して車幅方向外側の斜め前方に向けて約120°程度の検出角度を有する探査エリアを有する(
図2中の仮想線で示したZy参照)。
【0043】
なお、前部配置箇所Pmy、及び側部配置箇所Pmxは、いずれもヘッドランプよりも下側に位置するが、探査センサ151の配置高さについてはヘッドランプ等の車両部品に干渉せずに、且つ探査センサ151による対象物の検出に不具合のない範囲であれば特に限定しない。
【0044】
ここで、対象物探査部15は、自車両60の右側と左側とで対称の構成であるため、以下の説明において、自車両60の右側に備えた対象物探査部15について説明するものとする。
【0045】
仮に、
図3に示すように、自車両60に対して右側方に隣接車両70が停車しており、自車両60の前端位置Pmtと隣接車両70の前端位置Pr0とが車幅方向に沿って並んでいる場合、すなわち車両前後方向において一致している場合において、探査センサ151が少なくとも前部配置箇所Pmyに配置されている場合には、探査センサ151の探査エリアZxには、隣接車両70によって前方交差道路90を移動する交差方向移動体の検出が不可能となる死角エリアが生じる。このことから探査エリアZxから死角エリアを除いたエリアが、前方交差道路90を移動する交差方向移動体Aを探査センサ151により探査可能な探査エリアとなる。
【0046】
これに対して、前部配置箇所Pmyに配置された探査センサ151は、自車両60の右斜め前方へ向けた探査エリアであるため(
図2、及び
図3参照)、前方交差道路90を主に、車幅方向の右側から左側へ自車両60に近接しながら移動する交差方向移動体Aを探査することができる。
【0047】
このため、
図3に示すように、前部配置箇所Pmyに配置されている探査センサ151の探査エリアZyは、側部配置箇所Pmxに配置されている探査センサ151の探査エリアZxよりも広くなり、前部配置箇所Pmyに配置されている探査センサ151は、側部配置箇所Pmxに配置されている場合よりも隣接車両70による影響を受け難くなる。
【0048】
すなわち、
図3に示すように、交差方向移動体Aの探査エリアの境界部に相当するとともに、探査センサ151による交差方向移動体Aの検出の限界となる仮想ラインを、センサ検出限界ラインLに設定し、自車両60と隣接車両70との前端部Pmt,Pr0同士を結ぶ仮想ラインを前端ラインLeに設定すると、探査センサ151が前部配置箇所Pmyに配置されている状態においては、側部配置箇所Pmxに配置されている状態と比較して、センサ検出限界ラインLは、前端ラインLeに対してより傾いた状態となり、自車両60に近接してくるように前方交差道路90を右側から左側に移動する例えば、歩行者などの交差方向移動体Aをより早期に検出することが可能となる。
【0049】
音声出力部16は、スピーカ等により構成され、後述するガイド指示部35の指示に従ってドライバに報知する運転支援に関する情報を音声により出力する。なお、音声出力部16は、運転支援ECU30専用に自車両60に搭載された構成に限らず、例えば、ナビゲーションなど他の車載装置に設けられた音声出力部を利用する構成としてもよい。
【0050】
モニタ部17(表示部)は、後述するガイド指示部35の指示に従って、ドライバに報知する運転支援に関する情報を画像、波形、テキストにより表示し、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いて構成できる。なお、モニタ部17についても音声出力部16と同様に、例えば、ナビゲーションなど他の車載装置に設けられたモニタ部を利用する構成としてもよい。
【0051】
ブレーキECU18はブレーキの状態を検出し、ブレーキアクチュエータ19を制御し、ブレーキの操作を自動的に行うコントローラで構成している。
【0052】
エンジンECU20はエンジン21の状態やアクセルペダルの状態を検出し、エンジン21を制御するコントローラで構成している。
【0053】
運転支援ECU30は、
図1に示すように、隣接障害物有無判定部31、障害物前端位置検出部32、前進距離算出部33、移動対象物有無判定部34、ガイド指示部35、ブレーキ指示部36、及びモータ指示部37を構成要素としている。なお、運転支援ECU30には、
図1中仮想線で示したアクセル指示部38についても適宜、構成要素としてもよい。
【0054】
隣接障害物有無判定部31は、探査センサ151が受信した隣接障害物からの反射波に基づく受信結果に基づいて、隣接障害物の有無を判定する。
【0055】
具体的には、探査センサ151は、側部配置箇所Pmxに配置されている状態における探査エリアZxは、自車両60に対して車幅方向外側へ向けたエリアとなるため、運転支援ECU30の指令に基づいて、探査センサ151が主に、自車両60に対して側方に位置する隣接車両70などの隣接障害物からの反射波に基づく受信信号を受信した場合、隣接障害物が「有り」と判定するとともに、受信しなかった場合、隣接障害物が「無し」と判定する。
【0056】
障害物前端位置検出部32は、例えば、探査センサ151が受信した右側方の隣接車両70の車幅方向左側の前端位置Pb0からの反射波に基づく受信結果に基づいて、隣接車両70の前端位置Pr0に関する障害物前端位置情報を検出する。
【0057】
ここで、
図4に示すように、探査センサ151の位置と隣接車両70の前端位置Pr0との間の距離Tのうち、少なくとも自車両60の前後方向成分の距離Tvを、障害物前端位置情報としている。
【0058】
すなわち、
図4に示すように、隣接車両70の前端位置情報は、探査センサ151が側部配置箇所Pmxに配置されている状態においては、少なくとも側部配置箇所Pmxと隣接車両70の前端位置Pr0との間の距離Txとなり、探査センサ151が前部配置箇所Pmyに配置されている状態においては、少なくとも前部配置箇所Pmyと隣接車両70の前端位置Pr0との間の距離Tyとなる。
【0059】
前進距離算出部33は、障害物前端位置検出部32により検出した隣接車両70などの隣接障害物の前端位置情報に基づいて、自車両60が前進すべき前進距離Sを算出する。
【0060】
この前進距離Sとは、例えば、自車両60の現状の位置に対して、自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並ぶまでの自車両60の前進距離である。
【0061】
なぜなら自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並ぶ状態においては、探査センサ151が前部配置箇所Pmyに配置されている際には、隣接車両70により探査の障害の影響を受け難い状態で探査センサ151によって交差方向移動体Aを探査することができ(
図3参照)、しかも、自車両60の交差方向移動体Aへの衝突に対する安全性を確保できるためである。
【0062】
そして、この前進距離Sは、隣接車両70の前端位置Pr0と自車両60の前端位置Pmtとの差に相当する。
具体的には、
図4に示すように、前進距離算出部33は、側部配置箇所Pmxと隣接車両70の前端位置Pr0との間の距離Txにおける、自車両60の前後方向成分の距離Tvと、自車両60の前端位置Pmtから側部配置箇所Pmxとの自車両60の前後方向成分の距離D(=30cm)との差(Tv−D)に基づいて自車両60が前進すべき前進距離Sを算出することができる。
【0063】
移動対象物有無判定部34は、対象物探査部15が受信した前方交差道路90を移動する交差方向移動体Aからの反射波に基づく受信結果に基づいて、交差方向移動体Aの有無を判定する。
【0064】
具体的には、移動対象物有無判定部34は、運転支援ECU30の指令に基づいて、探査センサ151が移動対象物Aからの反射波に基づく受信信号を受信した場合、すなわち移動対象物Aが探査可能な探査エリアZy(又はZx)を移動する場合に、移動対象物Aが「有り」と判定するとともに、受信しなかった場合、すなわち、探査エリアZy(又はZx)に含まれない移動対象物Aを探査不可能なエリアを移動する場合に、移動対象物Aが「無し」と判定する。
【0065】
モータ指示部37は、運転支援ECU30の指令に基づいて、側部配置箇所Pmxと前部配置箇所Pmyとのうち、一方の配置箇所に配置された状態の探査センサ151を他方の配置箇所まで移動させることをモータ152aに対して指示する信号を出力する。
【0066】
ガイド指示部35は、運転支援ECU30の指令に基づいて、例えば、「ブレーキペダルから足を外してブレーキを解除してください」、「ブレーキペダルを踏んでください」、「*m進行します」或いは「前方に注意してください」等の運転支援に関するガイド情報を音声出力部16、或いはモニタ部17に出力指示する。
【0067】
ブレーキ指示部36は、運転支援ECU30の指令に基づいて、ブレーキECU18に対してブレーキの作動操作、或いは解除操作の指示を行う。
【0068】
アクセル指示部38は、運転支援ECU30の指令に基づいて、エンジンECU20に対してクリープ走行などエンジン21を制御する指示を行う。
【0069】
記憶部40は、ROMやRAMで構成され、例えば、障害物前端位置検出部32により検出した隣接車両70などの隣接障害物の前端位置情報、自車両60の前端位置Pmtから側部配置箇所Pmxとの自車両60の前後方向成分の距離D(例えば、30cm)等の位置情報、前進距離算出部33により算出した自車両60が前進すべき前進距離等の情報を記憶する。
【0070】
上述した車両の運転支援装置1を用いて、例えば、
図6に示すように、自車両60が走行する道路と前方交差道路90との交差点に対して、隣接車両70の前端位置Pr0よりも車両後方位置で自車両60が停車している状態から前方交差道路90を移動する移動対象物Aに対して前進する際に実行する車両の運転支援装処理について
図5に示すフローチャート、及び
図6〜
図8を用いて説明を行う。
【0071】
なお、車両の運転支援装処理を実行前において、自車両60は、隣接車両70の前端位置Pr0よりも車両後方の初期停車ラインLsに自車両60の前端位置Pmtが位置する初期停車位置に停車しているものとする。また、探査センサ151は、自車両60が初期停車位置に停車している状態を含めて車両の運転支援装処理を行う以外の状態においては、例えば、横断歩道を横断しようとする歩行者等の有無を検出するなど、自車両60に対して側方に有する対象物の検出に備えるため、側部配置箇所Pmxに配置されているものとする。
【0072】
図5は車両の運転支援処理を示すフローチャートである。
図6は、初期停車ラインLsに自車両60の前端位置Pmtが位置するように停車する自車両60の様子を模式的に示した自車両周辺の平面図である。
【0073】
図7は、隣接車両70の前端位置Pr0を通過する車幅方向に平行な隣接車両前端ラインLeに自車両60の前端位置Pmtが位置するまで自車両60を前進させた様子を模式的に示した自車両周辺の平面図である。
図8は、
図7に示す状態に対して探査センサ151を側部配置箇所Pmxから前部配置箇所Pmyに移動後の様子を模式的に示した自車両周辺の平面図である。
【0074】
図5に示すように、運転支援ECU30は、運転支援スイッチ12のスイッチ操作により入力されたドライバの発進意図信号を運転支援意図検出センサ11が検出するまで待機する(S111:No)。ドライバ等により運転支援スイッチ12をオンにする操作がされると、ドライバの発進意図信号が入力され、該発進意図信号を運転支援意図検出センサ11が検出することで運転支援ECU30により運転支援処理が実行可能な状態となる(ステップS111:Yes)。
【0075】
この状態で、運転支援ECU30は、シフトレバー144の操作ポジションをパーキングモード「P」からドライブモード「D」へ入れたことをシフトセンサ134Sにより検出するまで待機する。(ステップS112:No)。
シフトセンサ134Sによりシフトレバー144の操作ポジションがドライブモードにあることが検出された場合(ステップS112:Yes)、このステップS112におけるシフトセンサ134Sによる検出と、上述したステップS111における運転支援意図検出センサ11による検出との双方の検出がされたことにより、運転支援ECU30による車両の運転支援処理が実行可能な状態となる。
【0076】
上記双方の検出を運転支援処理の開始トリガーとして、隣接障害物有無判定部31は、側部配置箇所Pmxに配置されている探査センサ151が受信した隣接車両70からの反射波に基づく受信結果に基づいて、隣接車両70の有無を判定する(ステップS113)。
【0077】
具体的には、
図6に示すように、自車両60に対して右側方の隣接位置には、隣接障害物として隣接車両70が停車しているため、隣接障害物有無判定部31は、探査センサ151が隣接障害物からの反射波に基づく受信信号に基づいて隣接障害物が「有り」と判定する(ステップS113:Yes)。
【0078】
仮に、自車両60に対して右側方の隣接位置には、隣接車両70が停車していない等、隣接障害物が存在しない場合は、探査センサ151からの受信信号に基づいて隣接障害物が「無し」と判定する(ステップS113:No)。この場合、ドライバによる目視による交差方向移動体Aの確認が隣接障害物によって阻害されることがないため、自車両60は、安全に前方交差道路90を横切ることが可能であることから車両の運転支援処理を終了する。
【0079】
また、隣接障害物有無判定部31が隣接障害物が「有り」と判定した場合(ステップS113:Yes)、運転支援ECU30の指令により、障害物前端位置検出部32は、側部配置箇所Pmxに配置されている探査センサ151が受信した隣接車両70の前端位置Pr0からの反射波に基づく受信結果に基づいて、障害物前端位置情報を検出する(ステップS114)。
【0080】
なお、ステップS114において、障害物前端位置検出部32は、障害物前端位置情報として、側部配置箇所Pmxに配置されている探査センサ151の位置と、隣接車両70の前端位置Pr0との車両前後方向の距離Tvについて検出する(
図4参照)。
【0081】
障害物前端位置検出部32により前端位置情報が検出されたことを運転支援ECU30が検知すると、前進距離算出部33は、運転支援ECU30の指令により、障害物前端位置検出部32により検出した隣接車両70の前端位置情報に基づいて、自車両60が前進すべき所定の前進距離S(=Tv−D)を算出する(ステップS115)。
【0082】
前進距離算出部33により前進距離Sが算出されたことを運転支援ECU30が検知すると、ガイド指示部35は、運転支援ECU30の指令に基づいて、例えば、「*m(前進距離S)前進するのでブレーキペダルから足を外してブレーキを解除してください」等の運転支援に関するガイド情報をドライバに報知するために音声出力部16、或いはモニタ部17に出力指示する(ステップS116)。
【0083】
ドライバがステップS115における運転支援に関するガイド情報を認識してブレーキペダルから足を外すことにより、自車両60はクリープ走行し、自車両60が初期停車位置に対して所定の前進距離Sだけ前進すると、運転支援ECU30の指令により、ブレーキ指示部37は、ブレーキECU18に対してブレーキが作動するように指示を与え(ステップS117)、自車両60は、
図7に示すように、前端部Pmtが隣接車両前端ラインLeに位置した状態で停車する。
【0084】
ブレーキ指示部37によりブレーキが作動するように指示されたことを運転支援ECU30が検知すると、モータ指示部37は、運転支援ECU30の指令に基づいて、側部配置箇所Pmxに配置されている探査センサ151を前部配置箇所Pmyへ移動することをセンサ移動部152に対して指示する信号を出力する(ステップS118)。これにより、探査センサ151は側部配置箇所Pmxから前部配置箇所Pmyへ直進移動し、
図8に示すように、前部配置箇所Pmyに配置された状態となる。
【0085】
移動対象物有無判定部34は、前部配置箇所Pmyに配置されている対象物探査部15が受信した前方交差道路90を移動する交差方向移動体Aからの反射波に基づく受信結果に基づいて、交差方向移動体Aの有無を判定する(ステップS119)。
【0086】
例えば、
図8に示すような場合においては、前部配置箇所Pmyに配置されている探査センサ151における移動対象物Aの探査エリアZyにおいて、交差方向移動体Aとしての歩行者が前方交差道路90を移動しているため、探査センサ151が自車両60に近接してくる歩行者からの反射波に基づく受信信号に基づいて隣接障害物が「有り」と判定する(ステップS119:Yes)。
【0087】
この移動対象物有無判定部34による隣接障害物が「有り」の判定結果を運転支援ECU30が検知すると、ガイド指示部35は、運転支援ECU30の指令に基づいて、交差方向移動体Aが近づいていることをドライバに報知するための情報、或いは注意を促すための情報として、例えば、「前方に注意してください」等の運転支援に関するガイド情報を音声出力部16、或いはモニタ部17に出力指示する(ステップS120)。
【0088】
また、この移動対象物有無判定部34による隣接障害物が「有り」の判定結果を運転支援ECU30が検知すると、ブレーキ指示部37は、ブレーキECU18に対してブレーキが作動するように指示を与え(ステップS121)、自車両60は、前端部Pmtが隣接車両前端ラインLeに位置した状態で停車した状態を維持する。
【0089】
そして、ステップS119の処理に戻り、ステップS119において、交差方向移動体Aが自車両60の前方を通過するなどして、移動対象物有無判定部34により、隣接障害物が「無し」と判定されるまで移動対象物有無判定部34による交差方向移動体Aの有無の判定を行い、その間、ガイド指示部35により、ドライバに対して注意を促す情報を報知するとともに(ステップS120)、自車両60は、前端部Pmtが隣接車両前端ラインLeに位置した状態で停車した状態を維持する(ステップS117)。
【0090】
一方、ステップS119において、前部配置箇所Pmyに配置されている探査センサ151における移動対象物Aを探査可能な探査エリアZAに交差方向移動体Aが存在しない場合には、移動対象物有無判定部34は、探査センサ151の受信信号に基づいて隣接障害物が「無し」と判定する(ステップS119:No)。
【0091】
この移動対象物有無判定部34による隣接障害物が「無し」の判定結果を運転支援ECU30が検知すると、ガイド指示部35は、運転支援ECU30の指令に基づいて、例えば、「前進しても安全です。前方に注意しながらアクセルペンダルを踏んでください」等のドライバに対して前進を促す運転支援に関するガイド情報を音声出力部16、或いはモニタ部17に出力指示する(ステップS122)。
【0092】
また、この移動対象物有無判定部34による隣接障害物が「無し」の判定結果を運転支援ECU30が検知すると、モータ指示部37は、前部配置箇所Pmyに配置されている探査センサ151を側部配置箇所Pmxに移動(復帰)させる指示信号をセンサ移動部152に対して出力する(ステップS123)。
【0093】
これにより、探査センサ151は、前部配置箇所Pmyから側部配置箇所Pmxに移動し、自車両に対して側方に有する対象物の検出に備えることができる側部配置箇所Pmxに配置された状態となり、運転支援処理を終了する。
【0094】
このように、上記実施例の車両の運転支援装置1は、自車両60に対して進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体Aの確認を支援する車両の運転支援装置であって、対象物を検出する対象物検出手段としての探査センサ151を備え、探査センサ151は、自車両60に対して側方で隣接する対象物としての隣接車両70を検出可能に自車両60の側部に位置する側部配置箇所Pmxに配置され、対象物としての交差方向移動体Aを検出可能に側部配置箇所Pmxから進行方向前方へ探査センサ151を移動させる移動手段としてのセンサ移動部152を備えたものである。
【0095】
上記構成によれば、自車両60に対して進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体Aが接近するおそれがあるような交差点や駐車場などの場所で自車両60を進行させる状況、すなわち、交差点にさしかかる前の状況や駐車場などで出庫または駐車するような状況において、探査センサ151により隣接車両70を検出した時に、センサ移動部152により、探査センサ151を側部配置箇所Pmxから進行方向前方へ移動させることで、自車両60が前方交差道路90に突き出さずとも探査センサ151による交差方向移動体Aの探査エリアZxを拡大させることができ、ドライバにとって隣接車両70により死角になっていた交差方向移動体Aの存在をドライバに認識させることができる。
【0096】
従って、自車両60に対して接近するように移動する交差方向移動体Aが隣接車両70によって死角になる場合であっても、安全、且つスムーズに自車両60を進行方向に前進させることができる。
【0097】
また、センサ移動部152により交差方向移動体Aを検出可能に側部配置箇所Pmxから進行方向前方へ探査センサ151を移動させる構成としたため、探査センサ151を様々な状況に応じた配置箇所に配置可能に構成することで、隣接車両70を検出するという特定の状況においてのみ活用されていた探査センサ151を、交差方向移動体Aを検出するという別の状況においても好適な態様で活用することができ、探査センサ151によって様々な状況に柔軟に対応することができる。
【0098】
この発明の一実施形態においては、探査センサ151は、自車両60に対して側方で隣接する隣接車両70の進行方向の前端位置に関する障害物前端位置情報を検出可能な障害物前端位置検出手段としてのセンサでもあり、センサ移動部152は、自車両60の進行によって、自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並んだ時に、探査センサ151を側部配置箇所Pmxから該側部配置箇所Pmxよりも進行方向前方に位置する前部配置箇所Pmyまで移動させることを特徴とする。
【0099】
上記構成によれば、自車両60の進行によって、自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並んだ時に、探査センサ151を側部配置箇所Pmxから前部配置箇所Pmyまで移動させることにより、進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体Aが近づくような場所を自車両60が進行する際において、探査センサ151を前部配置箇所Pmyまで確実に移動させることができる。
【0100】
このため、探査センサ151を側部配置箇所Pmxに配置していた際には、交差方向移動体Aが隣接車両70によって死角になる場合であっても、上述したように、探査センサ151を前部配置箇所Pmyまで移動させることにより、側部配置箇所Pmxに配置した探査センサ151により交差方向移動体Aを検出する場合と比較して探査エリアZxを拡大させることができ、安全、且つスムーズに自車両60を進行方向に前進させることができる。
【0101】
一方、進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体Aが近づくような場所を自車両60が進行するような場合以外には、探査センサ151を側部配置箇所Pmxに配置しておくことができ、これにより、側部配置箇所Pmxに配置した探査センサ151によって、例えば、交差点を曲がる際に、横断歩道を横断しようとする歩行者等などを自車両60によって巻き込まないように歩行者等の有無を検出するなど、自車両60に対して側方に有する対象物を確実に検出することができる。
【0102】
またこの発明の一実施形態においては、障害物前端位置情報に基づいて、自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並ぶまで自車両60を誘導する誘導手段としてのガイド指示部35やブレーキ指示部36等を備えたものである。
【0103】
上記構成によれば、例えば、自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並ぶ位置まで自車両60が到達せずに、探査センサ151が前部配置箇所Pmyまで移動しない事態や、自車両60の前端部が隣接車両70の前端位置Pr0に対して進行方向へ突き出してしまう事態が生じることがなく、広い探査エリアの下で探査センサ151による交差方向移動体Aの検出が可能な状態へと安全、且つスムーズに誘導することができる。
【0104】
またこの発明の一実施形態においては、誘導手段は、自車両60の進行によって、自車両60の前端位置Pmtが障害物前端位置に進行方向において並ぶように、自車両60のドライバに対して自車両60の進行をガイドするガイド手段としてのガイド指示部35、及び、音声出力部16とモニタ部17であることを特徴とする。
【0105】
上記構成によれば、ガイド手段により自車両60のドライバに対して、自車両60の前端位置Pmtが障害物前端位置に進行方向において並ぶように、自車両60の進行をガイドできるため、自車両60を広い探査エリアの下で探査センサ151による交差方向移動体Aの検出が可能な状態へとドライバは、自らの操作により安心感を持って自車両60を進行させることができる。
【0106】
またこの発明の一実施形態においては、誘導手段は、自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並んだ時に、自車両60に対してブレーキを作動させるブレーキ手段としてのブレーキECU18、ブレーキアクチュエータ19、及び、ブレーキ指示部36であることを特徴とする。
【0107】
上記構成によれば、自車両60の前端位置Pmtが隣接車両70の前端位置Pr0に並んだ時に、自車両60に対してブレーキ手段によりブレーキを作動させることができるため、自車両60を広い探査エリアの下で探査センサ151による交差方向移動体Aの検出が可能な位置に、自車両60の停車の遅れや停車位置の誤差が生じることがなく正確、且つドライバが操作せずとも容易に自車両60を停車させることができる。
【0108】
また上記実施例の車両の運転支援方法は、自車両60に対して進行方向前方で進行方向に交差する方向に移動する交差方向移動体Aの確認を支援する車両の運転支援方法であって、自車両60の側部に位置する側部配置箇所Pmxに配置した状態の探査センサ151により自車両60に対して側方で隣接する隣接車両70を検出する障害物検出処理としてのステップS113の処理と、障害物検出手段による隣接車両70の検出に基づいて、交差方向移動体Aを検出可能に自車両60の側部に位置する側部配置箇所Pmxから進行方向前方へ探査センサ151を移動させる移動処理としてのステップS118とを行うものである。
【0109】
上記構成によれば、障害物検出処理において行う探査センサ151による障害物の検出に基づいて、移動処理としてのステップS118において、探査センサ151を側部配置箇所Pmxから進行方向前方へ移動させることで、自車両60に対して接近するように移動する交差方向移動体Aが隣接車両70によって死角になる場合であっても、探査センサ151による交差方向移動体Aの探査エリアZxを拡大することができるため、安全、且つスムーズに進行することができる。
【0110】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
進行方向前方は、車両前方に対応し、以下、同様に、
進行方向に交差する方向は、車幅方向に対応し、
対象物は、交差方向移動体A、及び隣接車両70に対応し、
隣接障害物は、隣接車両70に対応し、
対象物検出手段、又は障害物前端位置検出手段は、探査センサ151に対応し、
移動手段は、センサ移動部152に対応し、
誘導手段は、音声出力部16とモニタ部17とのうち少なくとも一方と、ガイド指示部35を構成要素とする手段、アクセル指示部38、エンジンECU20、及びエンジン21を構成要素とする手段、並びに、ブレーキECU18、ブレーキアクチュエータ19、及び、ブレーキ指示部36を構成要素とする手段に対応し、
ガイド手段は、ガイド指示部35、及び、音声出力部16とモニタ部17とのうち少なくとも一方に対応し、
ブレーキ手段は、ブレーキECU18、ブレーキアクチュエータ19、及び、ブレーキ指示部36に対応し、
障害物検出処理は、ステップS113の処理に対応し、
移動処理は、ステップS118の処理に対応するもこの発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0111】
例えば、上記実施例では、駆動手段としてモータ152aとしたがこれに限らず、エアシリンダや油圧など他の手段を採用してもよく、また、駆動伝達手段としてリニアガイド152bとしたがこれに限らず、ギアやベルト、ラック・アンド・ピニオン等、或いはこれらを組み合わせた他の手段を採用してもよい。
【0112】
また、センサ移動部152は、探査センサ151を側部配置箇所Pmxと前部配置箇所Pmyとのうち、いずれか一方の配置箇所に停止した状態で配置する構成に限らず、これら2点の配置箇所の間におけるいずれかの間の箇所において停止した状態で配置する構成としてもよく、この任意の間の箇所において、探査センサ151は、探査波を逐次発信し、障害物からの反射波を受信する構成であってもよい。センサ移動部152は、探査センサ151を、直進移動させるに限らず、例えば、曲線状に移動させたり、回転可能に構成してもよい。
【0113】
また、障害物前端位置検出部32が検出する障害物前端位置情報は、上記実施例では、探査センサ151の位置と隣接車両70の前端位置Pr0との間の距離T(Tx,Ty)のうち、少なくとも自車両60の前後方向成分の距離Tvとしてが、自車両60の車幅方向成分の距離Twも適宜、含めてもよく、障害物前端位置に関する情報であれば特に限定しない。
【0114】
また、モータ指示部37がモータ152aに対して指示する指示信号としては、例えば、モータ152aが駆動すべき回転数、パルス数、電圧、又は電流等の信号を挙げることができるが、これに限らず、探査センサ151の移動方向を変更するギア等の切り替え信号等も含むものとする。また、探査センサ151が側部配置箇所Pmxと前部配置箇所Pmyとの間のいずれの配置箇所にあるかを検出するエンコーダ等の位置や速度の検出センサをセンサ移動部152に備えてもよく、この場合、検出センサによる検出結果をモータ指示部37にフィードバックさせて、フィードバック信号に基づいて、モータ指示部37は、モータ152aに対して指示信号を出力してもよい。
【0115】
また、例えば、上記実施例では、停車状態の自車両60が前進する際における車両の運転支援について説明したが、本発明の車両の運転支援装置は、停車状態の自車両60が前進する際の運転支援に限らず、例えば、後進する場合においても運転支援することができる。
【0116】
具体的には、自車両60の車体後部側方に、探査センサ151を備えることができる。さらに、シフトレバー144の操作ポジションをパーキングモード「P」からリバースモード「R」へ入ったことをシフトセンサ134Sにより検出することにより、自車両60が後進する場合の車両の運転支援処理を開始することができる。
【0117】
また、本発明の車両の運転支援装置による運転支援を開始するか否かは、上記実施例の車両の運転支援装置1のように、上記実施例の車両の運転支援装置1によるドライバが発進支援スイッチ12のスイッチ操作と、シフトレバー144の操作ポジションをパーキングモード「P」からドライブモード「D」へ入れる操作との双方の操作により、開始することに限らず、これらのうち、いずれか一方の操作により開始してもよく、或いは、異なる手法により検出してもよい。
【0118】
また、自車両60が停車状態から車両の運転支援処理の開始を検出する手法としては、例えば、記憶部40に記憶された自車両60の駐車パターンを基に検出してもよい。
具体的には、運転者が駐車を行う時の、シフトレバー14およびステアリングホイールの操作履歴と各操作間における走行距離とに基づいて、上記のいずれの駐車パターンに該当するか特定し、特定された駐車パターンを記憶部40に記憶させておき、この特定された駐車パターンを駐車状態からの発進時に読み出して、自車両60の発進が車両の運転支援が必要となる駐車状態からの発進か、或いは、車両の運転支援が不要となる単なる一時停車による発進かを特定してもよい。
【0119】
また、本発明の車両の運転支援装置は、上述した実施例のように、自車両60が停車した状態から発進する際に、運転支援を行うに限らず、例えば、側方障害物により見通しの悪い交差点などを自車両60が通過する際に、その交差点にさしかかった際に自車両60が一旦、停車せずに走行を続けながら運転支援を開始してもよい。
【0120】
この場合、例えば、ドライバが交差点にさしかかる手前で、運転支援スイッチ12等をスイッチ操作することで、運転支援が開始するシステムとしてもよい。或いは、例えば、GPS(全地球測位システム)を利用して自車両60が走行している現在位置を基に、自車両60の進行方向に交差点があることを特定したり、カーナビゲーションにおいて現在位置から目的地までの案内経路を基に見通しの悪い交差点があることを特定することができる。そして、特定した交差点の位置情報を基に、自車両60が走行中に、特定した交差点にさしかかる直前において、運転支援が開始するシステムとしてもよく、また、特定した交差点の位置情報を基に、側部配置箇所Pmxに配置している探査センサ151を前部配置箇所Pmyに移動させて、探査センサ151を自車両60に対して側方の対象物の探査から交差点を横切ろうとする交差方向移動体Aの探査に自動で切り替え可能な構成としてもよい。
【0121】
また、自車両60の発進はクリープ走行を利用するに限らず、アクセル指示部38の指示に基づいてクリープ走行よりも回転数が高くなるようにエンジンECU20を制御してもよい。
【0122】
また、ガイド手段としては、音声出力部16とモニタ部17との双方を備えずに、いずれか一方のみでもよい。また、音声出力部16やモニタ部17は、上述したステップS115において説明しように、ドライバに対して前進距離Sをドライバに報知する構成に限らず、例えば、前進する時間、速度等を運転支援情報として報知してもよい。
【0123】
さらにまた、誘導手段としては、音声出力部16、及びモニタ部17を備えずに、ブレーキ指示部36、及びアクセル指示部38のみを備え、実際の自車両60の発進、或いは停止等の動作に基づいてドライバに対して運転支援情報として運転支援の状況を報知してもよい。
【0124】
また、上述した実施例の車両の運転支援方法におけるステップS116のガイド指示の処理とステップS117のブレーキ指示の処理、ステップS120のガイド指示の処理とステップS121のブレーキ指示の処理、或いは、ステップS122のガイド指示の処理とステップS123のブレーキ指示の処理とは、それぞれ逆の順序であってもよい。
【0125】
また、上述した実施例の車両の運転支援方法では、ブレーキ指示部37によりブレーキが作動するように指示されたことを運転支援ECU30が検知することにより、ステップS118の処理として、探査センサ151を側部配置箇所Pmxから前部配置箇所Pmyへ移動する処理を行ったが、これに限らず、例えば、ブレーキ指示に関するステップS117の処理と、ステップS118の処理との間に、再度、ステップS114で行ったような隣接障害物70の前端位置検出処理を行い、
図7に示すように、自車両60の前端位置Pmtと隣接車両70の前端位置Pr0とが車幅方向に沿って並んでいることを検出した場合(Tv=D)に、ステップS118の処理を行ってもよい。
【0126】
また、上述した自車両60が停車した状態とは、交差点での停車状態に限らず、例えば、車両の駐車状態も含み、上述した交差点には、2本の路が交差する場合に限らず、三叉路等も含む。