特許第6229620号(P6229620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229620
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】充電設備
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20171106BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20171106BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20171106BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20171106BHJP
【FI】
   H01M10/44 Z
   H01M10/613
   H01M10/627
   H01M10/6568
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-166833(P2014-166833)
(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-45981(P2016-45981A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2016年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英樹
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−190312(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/017086(WO,A1)
【文献】 特開2013−237355(JP,A)
【文献】 特開平9−74603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
B60K 6/20−6/547
B60L 1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
B60W 10/00
10/02
10/06
10/08
10/10
10/18
10/26
10/28
10/30−20/50
H01M 2/10
10/42−10/667
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電対象物の充電を行う充電設備であって、
前記充電対象物が配置される充電室と、
前記充電室に設置された散布装置と、
水を貯留する第1のタンクと、
導電性溶液を貯留する第2のタンクと、
前記散布装置と前記第1のタンクとを接続する第1の配管と、
前記散布装置と前記第2のタンクとを接続する第2の配管と、
を備え、
前記散布装置は、前記水と前記導電性溶液とが互いに混合された混合液を前記充電対象物に散布する、
充電設備。
【請求項2】
前記散布装置から前記充電対象物に散布された前記混合液を前記散布装置に循環させるための第3の配管をさらに備える、
請求項1に記載の充電設備。
【請求項3】
前記第3の配管には、前記混合液を冷却するための冷却部が設けられている、
請求項2に記載の充電設備。
【請求項4】
前記第1のタンクに貯留された前記水を循環させる第4の配管をさらに備え、
前記第4の配管には、フィルタが設けられている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の充電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された駆動用電池のエネルギ放出装置が記載されている。この装置においては、駆動用電池を収容する電池パックの半分の高さに電解質物質が設置されている。この装置においては、車両に非常事態が生じた場合に、次のようにして駆動用電池の電気エネルギが放出される。すなわち、この装置においては、非常事態が生じると、電池パックに水道水が注入される。次いで、電池パックの水面が電池パックの半分の高さより上方になると、電解質物質が水道水に溶解して電解質水溶液が生成される。その後、電解質水溶液が徐々に増加し、駆動用電池の端子電極が水没すると、駆動用電池の放電が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−237355号公法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池パックの製造工程において、製造または検査のために、電池パックを充電する場合がある。その場合には、充電前の電池パックを所定の充電設備に配置し、その充電設備内において電池パックの充電を行う。万が一、製造時に誤配線等の不具合があったとしても、このタイミングで不具合が発見される。しかし、このとき、電池パックに発熱や発火等の異常が生じる場合がある。そのような場合のために、消火設備により安全性が確保されているが、より短時間で収束させるには、充電設備内において電池パックを速やかに冷却すると共に電池パックの放電を行うことが好ましい。
【0005】
上述したように、特許文献1に記載の装置は、車両に非常事態が生じた場合に、駆動用電池の電気エネルギが放出するためのものである。したがって、特許文献1には、充電設備内における電池パックの充電中に電池パックに異常が生じた場合の対策について、何ら言及されていない。
【0006】
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、充電対象物の充電中における安全性を確保可能な充電設備を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る充電設備は、充電対象物の充電を行う充電設備であって、充電対象物が配置される充電室と、充電室に設置された散布装置と、水を貯留する第1のタンクと、導電性溶液を貯留する第2のタンクと、散布装置と第1のタンクとを接続する第1の配管と、散布装置と第2のタンクとを接続する第2の配管と、を備え、散布装置は、水と導電性溶液とが互いに混合された混合液を充電対象物に散布する。
【0008】
この充電設備においては、充電対象物が配置される充電室に散布装置が設置されている。また、水を貯留する第1のタンク、及び、導電性溶液を貯留する第2のタンクのそれぞれが、第1の配管及び第2の配管によって散布装置に接続されている。このため、第1の配管を介して第1のタンクから散布装置に水を導入すると共に、第2の配管を介して第2のタンクから導電性溶液を散布装置に導入することができる。これにより、充電室において充電中の充電対象物に異常が生じた場合には、水と導電性溶液とが混合された混合液を散布装置から充電対象物に散布することによって、充電対象物を速やかに冷却すると共に充電対象物の放電を行うことができる。よって、充電対象物の充電中における安全性を確保可し、短時間での収束が可能である。ここで、この充電設備にあっては、水と導電性溶液とを別々のタンクに貯留している。このため、比較的取り扱いが困難な混合液を予め大量に貯留して保存しておく場合と比較して、設備の維持が容易である。
【0009】
本発明における充電設備においては、散布装置から充電対象物に散布された混合液を散布装置に循環させるための第3の配管をさらに備えてもよい。この場合、第3の配管を介して混合液を循環させるので、比較的少ない量の混合液(水及び導電性溶液)により安全性を確保可能である。
【0010】
本発明における充電設備においては、第3の配管には、混合液を冷却するための冷却部が設けられていてもよい。この場合、混合液を循環させている間に混合液の温度が上昇することが抑制される。このため、充電対象物を確実に冷却することができる。
【0011】
本発明における充電設備においては、第1のタンクに貯留された水を循環させる第4の配管をさらに備え、第4の配管には、フィルタが設けられていてもよい。この場合、第1のタンクに貯留されている水の水質を、良好な状態に維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、充電対象物の充電中における安全性を確保可能な充電設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る充電設備の構成を示す模式図である。
図2図2は、図1に示された充電設備の動作を説明するための模式図である。
図3図3は、図1に示された充電設備の動作を説明するための模式図である。
図4図4は、図1に示された充電設備の変形例の構成を示す模式図である。
図5図5は、図1に示された充電設備の変形例の構成を示す模式図である。
図6図6は、図5に示された充電設備の動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る充電設備の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図の説明において、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る充電設備の構成を示す模式図である。図1に示されるように、充電設備1は、本体部2を備えている。本体部2は、上壁部3、下壁部4、側壁部5、及び隔壁部6から構成されている。上壁部3、側壁部5、及び隔壁部6は、本体部2内において上側室7を形成している。下壁部4、側壁部5、及び隔壁部6は、本体部2内において下側室8を形成している。上壁部3には、排気孔3hが形成されている。隔壁部6には、上側室7と下側室8との間で液体等を通過させる複数の孔(不図示)が形成されている。本体部2は、下壁部4の下に設けられた接地部2cを介して地面に載置されている。
【0016】
上側室7には、充電対象物9が配置されている。充電対象物9は、一例として、電池パックである。電池パックは、例えば、複数の電池セルを接続して構成される電池モジュールをさらに複数接続することにより構成される。電池セルは、例えばリチウムイオン二次電池である。充電対象物9は、パレット9pを介して隔壁部6上に載置されている。充電設備1においては、上側室7において充電対象物9の充電が行われる。つまり、充電設備1は、充電対象物9が配置される充電室(上側室7)を備えている。上側室7には、充電対象物9の充電ための電源装置等(不図示)が設けられている。
【0017】
充電設備1は、タンク(第1のタンク)10及びタンク(第2のタンク)20を備えている。タンク10は、下側室8に配置されている。タンク10は、水S1を貯留している。水S1は、例えば、水道水や工業用水である。タンク10は、水S1を貯留可能な任意の材料から構成され得る。タンク10には、水位計11及び温度計12が設けられている。水位計11は、タンク10に貯留された水S1の水位を計測する。温度計12は、タンク10に貯留された水S1の温度を計測する。
【0018】
タンク20は、本体部2の外部に配置されている。より具体的には、タンク20は、上壁部3上に配置されている。タンク20は、導電性溶液S2を貯留している。導電性溶液S2は、導電性を有する液体であって、例えば塩水(塩化ナトリウム水溶液)である。ただし、導電性溶液S2は、塩水に限らず、水と水に溶けることにより導電性を示す任意の物質(例えば、塩化カリウムや塩化マグネシウム等)とからなる水溶液とすることができる。タンク20は、例えば塩水である導電性溶液S2を貯留することによる錆を防止可能な材料からなる(或いは、内面に防錆加工が施されている)。
【0019】
充電設備1は、散布装置30を備えている。散布装置30は、上側室7内に設置されている。散布装置30は、充電対象物9の上方に配置される。換言すれば、充電対象物9は、上側室7内において散布装置30の直下に位置するように配置される。散布装置30は、例えばシャワーノズルであって、上部31から供給された液体を底部32から下方に向けて所定の範囲に散布する。
【0020】
充電設備1は、漏斗状部材40を備えている。漏斗状部材40は、隔壁部6とタンク10との間に配置されている。より具体的には、漏斗状部材40は、円錐(或いは角錐)の底面に相当する上側開口端41が隔壁部6を下方から覆うように、且つ、円錐(或いは角錐)の頂点に相当する下側開口端42がタンク10に向かうように配置されている。漏斗状部材40は、隔壁部6の複数の孔を通過した液体をタンク10に向けて集約する。漏斗状部材40の上側開口端41と下側開口端42との間には、フィルタF1が設けられている。フィルタF1は、液体から異物を除去する。
【0021】
充電設備1は、配管51〜55を備えている。配管51は、タンク10における側部13の底部14側の部分から側壁部5を貫通して散布装置30の上部31に至るように延在している。配管51には、タンク10から散布装置30に向かって(上流から下流に向かって)、ポンプP、バルブV1、ラジエータ(冷却部)R、及びバルブV2が順に設けられている。このように、配管51は、タンク10と散布装置30とを互いに接続する第1の配管として機能する。
【0022】
配管52は、タンク20の底部21から上壁部3を貫通して散布装置30の上部31に至るように延在している。ここでは、配管51と配管52とは、散布装置30において合流する。配管52には、バルブV3が設けられている。このように、配管52は、タンク20と散布装置30とを互いに接続する第2の配管として機能する。
【0023】
配管53は、両端がタンク10に接続されている。配管53は、タンク10における側部13の底部14側の部分から側壁部5を貫通してタンク10の上部15に至るように延在している。配管53には、タンク10の側部13から上部15に向かって(上流から下流に向かって)、ポンプP、バルブV4、フィルタF2、及びバルブV5が順に設けられている。また、配管53には、流量計(不図示)が設けられている。配管51と配管53とは、タンク10からポンプPを介してバルブV1に向かう地点まで共通している。配管53は、タンク10に貯留された水S1を循環させる第4の配管として機能する。
【0024】
配管54は、外部の水源(水道水源や工業用水源)から延在して2つに分岐している。配管54の一方の分岐路54aは配管51に接続されており、他方の分岐路54bは配管53に接続されている。分岐路54aにおける配管51との接続点の近傍(上流側)には、バルブV6が設けられている。分岐路54bにおける配管53との接続点の近傍(上流側)には、バルブV7が設けられている。
【0025】
配管55は、漏斗状部材40とタンク10とを互いに接続している。配管55は、漏斗状部材40の下側開口端42からタンク10の上部15に至るように延在している。配管55には、バルブV8が設けられている。
【0026】
引き続いて、以上のように構成される充電設備1の動作について説明する。図2,3は、図1に示された充電設備の動作を説明するための模式図である。以下では、充電設備1の上側室7において、充電対象物9の充電が行われているものとする。
【0027】
まず、充電対象物9に異常が生じていない正常時における充電設備1の動作について説明する。ここでは、初期状態として、バルブV1〜V8の全てが閉状態とされると共に、ポンプPが停止状態とされている。その初期状態において、所定時間が経過したときに(定期的に)、バルブV4,V5を開状態とすると共に、ポンプPを作動状態とする。
【0028】
これにより、図2に示されるように、配管53を介して、タンク10の底部14から上部15に向かって水S1が流れる。その結果、タンク10に貯留された水S1が循環させられる。水S1は、配管53を介した循環の際に、フィルタF2を通過する。これにより、水S1に含まれる異物(例えばバクテリアや藻等)が除去される。つまり、ここでは、フィルタF2が設けられた配管53を介してタンク10に貯留された水S1を定期的に循環させることにより、水S1の水質を良好に維持する。
【0029】
なお、タンク10には、その内部を、一部を除いて上下に2分割する分割壁16が設けられている。分割壁16は、配管53への水S1の吐出部が形成されるタンク10の側部13と反対側の側部17側において開口しており、該開口から水S1を流通させる。この分割壁16によって、水S1がタンク10内を蛇行して流れるようになる。このため、タンク10に貯留された水S1の全体を循環させることが可能である。
【0030】
また、ここでは、配管53に設けられた流量計の計測結果に応じて、ポンプPの異常を検出することができる。つまり、ここでは、定期的にポンプPを作動状態として配管53の流量を計測することにより、ポンプPの異常の有無を検査する。なお、例えば、フィルタF2の上流側と下流側との差圧を確認することにより、フィルタF2の交換時期を察知することも可能である。
【0031】
タンク10に貯留された水S1が十分に循環させられた場合(例えば循環を開始していから一定時間が経過した場合)には、バルブV4,V5を閉状態とすると共にポンプPを停止状態とし、正常時の動作を終了する。
【0032】
このように充電設備1が正常時の動作を行う中で(或いは正常時の動作の合間に)、タンク10の水位計11によりタンク10の水位が所定の基準レベル以下であることが検出された場合には、バルブV7を開状態とすることにより、配管54(分岐路54b)及び配管53を介してタンク10に新たに水を補給する。
【0033】
次に、充電対象物9に発熱や発火等の異常が生じた緊急時における充電設備1の動作について説明する。ここでは、初期状態として、バルブV1〜V8の全てが閉状態とされると共に、ポンプPが停止状態とされている。その初期状態において、充電対象物9に異常が生じたとき、バルブV1〜V3,V8を開状態とすると共に、ポンプPを作動状態とする。
【0034】
これにより、図3に示されるように、配管51を介してタンク10から散布装置30に水S1が流れると共に、配管52を介してタンク20から散布装置30に導電性溶液S2が流れる。水S1及び導電性溶液S2は、散布装置30の上部31から散布装置30に導入される。散布装置30に導入された水S1と導電性溶液S2とは、散布装置30内において互いに混合され導電性を有する混合液S3となり、散布装置30の底部32から充電対象物9に散布される。つまり、ここでは、散布装置30が、水S1と導電性溶液S2とが互いに混合された混合液S3を充電対象物9に散布する。
【0035】
これにより、混合液S3によって充電対象物9が速やかに冷却されると共に充電対象物9の放電が行われる(促進される)。充電対象物9に散布された混合液S3は、隔壁部6の孔を通じて漏斗状部材40に流れ込む。漏斗状部材40に流れ込んだ混合液S3は、漏斗状部材40により集約されつつ配管55を介してタンク10に導入される。このとき、混合液S3は漏斗状部材40内においてフィルタF1を通過する。これにより、混合液S3から異物(例えば充電対象物9から離脱した部品・物質等)が除去される。
【0036】
タンク10に導入された混合液S3は、配管51を介して再び散布装置30に導入される。これにより、散布装置30に混合液S3が循環させられる。特に、混合液S3は、循環する際に配管51に設けられたラジエータRを通過する。したがって、例えばラジエータRの放熱フィンへの送風等によって、混合液S3を冷却しつつ循環させることができる。このように、配管51は、充電対象物9に散布された混合液S3を散布装置30に循環させる第3の配管として機能する。
【0037】
その後、充電対象物9が十分に冷却されると共に十分に放電され、安全性が確保された場合には、バルブV1〜V3,V8を閉状態に戻すと共にポンプPを停止状態に戻し、緊急時の動作を終了する。なお、この緊急時の動作において、混合液S3の電気分解等により上側室7において生じたガスは、上壁部3に設けられた排気孔3hから排気される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る充電設備1においては、充電対象物9が配置される上側室7に散布装置30が設置されている。また、水S1を貯留するタンク10、及び、導電性溶液S2を貯留するタンク20のそれぞれが、配管51及び配管52によって散布装置30に接続されている。このため、配管51を介してタンク10から散布装置30に水S1を導入すると共に、配管52を介してタンク20から導電性溶液S2を散布装置30に導入することができる。
【0039】
これにより、充電対象物9の充電中に充電対象物9に異常が生じた緊急時には、水S1と導電性溶液S2とが混合された混合液S3を散布装置30から充電対象物9に散布することによって、充電対象物9を冷却する。また、液体である水S1と導電性溶液S2とを混合し散布するため、例えば電解質物質を水に溶融させる場合と比較し、溶融に要する時間を必要とせず、速やかに充電対象物の放電を行うことができる。よって、充電対象物9の充電中における安全性を確保し、短時間での収束が可能である。また、充電設備1にあっては、水S1と導電性溶液S2とを別々のタンク10,20に貯留している。例えば、放電に塩水を用いる場合、塩水自体を大量に貯留すると、設備全体に高い防錆性が求められる。しかし、別々のタンク10,20に分けて貯留すれば、塩水の貯留量を減らし、高い防錆性を施す範囲を限定できる。すなわち、比較的取り扱いが困難な混合液S3を予め大量に貯留して保存しておく場合と比較して、設備の維持が容易である。
【0040】
また、本実施形態に係る充電設備1においては、散布装置30から充電対象物9に散布された混合液S3を、配管51を用いて散布装置30に循環させる。このため、比較的少ない量の混合液(水S1及び導電性溶液S2)S3により安全性を確保可能である。特に、充電設備1においては、配管51には、混合液S3を冷却するためのラジエータRが設けられている。このため、混合液S3を循環させている間に混合液S3の温度が上昇することが抑制される。よって、充電対象物9を確実に冷却することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る充電設備1においては、充電対象物9に異常が生じていない正常時において、定期的に、配管53を用いてタンク10に貯留された水S1を循環させる。特に、配管53にはフィルタF2が設けられているので、配管53による水S1の循環により、水S1から異物が除去される。このため、タンク10に貯留されている水S1の水質を良好な状態に維持することができる。
【0042】
さらに、本実施形態に係る充電設備1においては、正常時において、定期的にポンプPを作動状態として、配管53に設けられた流量計によりポンプPの異常の有無を検査する。このため、緊急時にあってポンプPが使用不能であるという状態が生じることを避けることができる。
【0043】
上記実施形態は、本発明に係る充電設備の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係る充電設備は、上述した充電設備1に限定されない。本発明に係る充電設備は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述した充電設備1を任意に変更したものとすることができる。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、配管51と配管52とは、別々に散布装置30に接続され、散布装置30において合流している場合について説明した。しかしながら、図4に示されるように、配管52が配管51に合流するように接続されていてもよい。この場合、配管52は、配管51の一部を介して、タンク20と散布装置30とを接続することとなる。また、散布装置30には、予め混合された混合液S3が導入されることとなる。
【0045】
また、上記実施形態に係る充電設備1は、図5に示される充電設備1Aのように変形することができる。充電設備1Aは、充電設備1と比較して、主に、タンク10の配置において充電設備1と相違している。すなわち、充電設備1Aにおいては、タンク10は、本体部2の外部に配置されている。より具体的には、タンク10は、タンク20と共に、上壁部3上に配置されている。
【0046】
充電設備1Aは、このようなタンク10の配置に応じて、配管56をさらに備えている。配管56は、タンク10の底部14から上壁部3を貫通して散布装置30の上部31に至るように延在している。つまり、配管56は、タンク10と散布装置30とを接続する第1の配管として機能する。配管56は、散布装置30側の端部において配管51と合流している。配管56には、バルブV9が設けられている。なお、ここでは、配管53が、配管51と別系統として設けられている。このため、配管53には、ポンプPAがさらに設けられている。
【0047】
充電設備1Aは、上方に開放された箱状の容器60をさらに備えている。容器60は、漏斗状部材40の下方に配置されている。容器60は、散布装置30から散布され、漏斗状部材40により集約された液体を受けて貯留する。
【0048】
図6は、図5に示された充電設備の動作を説明するための図である。図6に示されるように、充電設備1Aは、その正常時には、次のように動作する。すなわち、まず、初期状態において、所定時間が経過したときに(定期的に)、バルブV4を開状態とすると共に、ポンプPAを作動状態とする。なお、初期状態においては、バルブV9が閉状態とされている。
【0049】
これにより、充電設備1と同様に、配管53を介して、タンク10の底部14から上部15に向かって水S1が流れる。その結果、タンク10に貯留された水S1が循環させられる。水S1は、配管53を介した循環の際に、フィルタF2を通過する。これにより、水S1に含まれる異物(例えばバクテリアや藻等)が除去される。つまり、充電設備1Aにおいても、フィルタF2が設けられた配管53を介してタンク10に貯留された水S1を定期的に循環させることにより、水S1の水質を良好に維持する。
【0050】
また、充電設備1と同様にして、定期的に、ポンプPAの異常の有無、及びフィルタF2の交換時期が判断される。タンク10に貯留された水S1が十分に循環させられた場合(例えば循環を開始していから一定時間が経過した場合)には、バルブV4を閉状態とすると共にポンプPAを停止状態とし、正常時の動作を終了する。
【0051】
一方、充電設備1Aは、その緊急時には、次のように動作する。すなわち、充電設備1Aは、まず、初期状態において、バルブV3,V9を開状態とする。これにより、配管56を介してタンク10から散布装置30に水S1が流れると共に、配管52を介してタンク20から散布装置30に導電性溶液S2が流れる。散布装置30に導入された水S1と導電性溶液S2とは、散布装置30内において互いに混合され混合液S3となり、散布装置30の底部32から充電対象物9に散布される。
【0052】
これにより、混合液S3によって充電対象物9が速やかに冷却されると共に充電対象物9の放電が行われる(促進される)。充電対象物9に散布された混合液S3は、隔壁部6の孔を通じて漏斗状部材40に流れ込む。漏斗状部材40に流れ込んだ混合液S3は、漏斗状部材40により集約されつつ配管55を介して容器60に導入される。容器60に導入され貯留された混合液S3が一定の水位になったとき、バルブV1,V2を開状態とすると共に、ポンプPを作動状態とする。
【0053】
これにより、配管51を介して散布装置30に混合液S3が循環させられる。その後、充電対象物9が十分に冷却されると共に十分に放電され、安全性が確保された場合には、バルブV1〜V3,V9を閉状態に戻すと共にポンプPを停止状態に戻し、緊急時の動作を終了する。
【0054】
以上のような充電設備1Aにおいても、上述した充電設備1と同様の効果を奏することが可能である。特に、充電設備1Aにおいては、充電対象物9及び散布装置30よりも上側にタンク10(及びタンク20)が配置されている。したがって、緊急時において、ポンプPを作動させることなく、バルブV9(バルブV3)を開状態とする手順のみにより、混合液S3を充電対象物9に散布することが可能である。したがって、ポンプPの異常の有無に関わらず、安全性を確保することが可能となる。
【0055】
以上の充電設備1,1Aにおいては、例えば、ポンプPの故障に備えて、ポンプPに対して並列に別のポンプを設けることができる。また、配管53に設けられたフィルタF2に対してUV照射による殺菌機能をもたせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…充電設備、7…上側室(充電室)、9…充電対象物、10…タンク(第1のタンク)、20…タンク(第2のタンク)、51…配管(第1の配管、第3の配管)、52…配管(第2の配管)、53…配管(第4の配管)、56…配管(第1の配管)F2…フィルタ、R…ラジエータ(冷却部)、S1…水、S2…導電性溶液、S3…混合液。
図1
図2
図3
図4
図5
図6