(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1において、装着具にねじ穴が設けられる。支持ブロックに設けられた穴部を挿通するボルトがねじ穴に締結すれば、連結機構は装着具に固定される。しかし、HMDの軽量化を図るため、装着具の材質を変更したり、装着具の厚みを薄くしたりする場合、ねじ穴の形成に必要な剛性が得られにくくなる可能性がある。このような場合、例えば、装着具を径方向に挟んで固定する形態の連結機構を設けることが考えられる。
【0005】
しかしながら、装着具を挟む形態の連結機構は、装着具の内周側に位置する部分が、装着時に使用者の頭部に接触する可能性があった。
【0006】
本発明は、装着時に連結機構が頭部に接触しにくいヘッドマウントディスプレイおよび装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様によれば、第一位置と、前記第一位置よりも第一方向の一方側に位置する第二位置との間で延びる第一部分と、前記第一位置に対して前記第一方向に直交する第二方向の一方に位置する第三位置と、前記第二位置に対して前記第二方向の一方に位置し、且つ前記第三位置よりも前記第一方向の一方側に位置する第四位置との間で延びる第二部分と、前記第一位置と前記第三位置との間および前記第二位置と前記第四位置との間のうち少なくとも一方の間で延び、前記第一部分および前記第二部分の夫々に連続する第三部分とを備え、少なくとも一部が、前記第一部分、前記第二部分および前記第三部分によって取り囲まれる領域の外側へ向けて凸状に湾曲する装着具と、前記装着具の前記第一方向における中央の位置よりも前記第一方向一方側の部分で、前記装着具の前記第一方向一方側の端部である先端部を含む部分において前記領域内を向く面に設けられ、前記領域内を向く面から離間する離間方向に突出する第一当て部と、画像を表示する画像表示装置と、一端部が、前記装着具の前記第一方向における中央の位置よりも前記第一方向一方側の位置で、前記第一当て部が設けられた部分よりも前記第二方向一方側の特定位置において前記装着具に連結され、他端部が前記画像表示装置に連結されるアーム部と、前記装着具の前記特定位置と前記アーム部の前記一端部とを連結する連結機構であって、前記アーム部の前記一端部に接続する接続部と、前記装着具の前記特定位置に係合し、前記離間方向に前記装着具から突出する第一突出量が、前記第一当て部が前記離間方向に前記装着具から突出する第二突出量よりも小さい係合部とを有する連結機構とを備え
、且つ、前記装着具の前記第二部分で、前記特定位置よりも前記第一方向他方側の部分の少なくとも一部において、前記領域内を向く面に設けられ、前記離間方向に突出する第二当て部と、前記装着具の前記第一部分の少なくとも一部において前記領域内を向く面に設けられ、前記離間方向に突出する第三当て部とを更に備え、前記連結機構の前記係合部は、前記第一突出量が、前記第二当て部が前記離間方向に前記装着具から突出する第三突出量よりも小さく、且つ、前記装着具の前記第二部分で、前記特定位置よりも前記第一方向他方側へ所定距離離れた位置から、前記第一方向他方側の端部の位置までの部分には、前記離間方向に突出する突出部が形成され、前記第二当て部は、前記突出部の少なくとも一部において前記領域内を向く面に設けられ、前記離間方向に突出し、前記連結機構の前記係合部は、前記第一突出量が、前記突出部が前記離間方向に突出する第四突出量よりも小さいことを特徴とするヘッドマウントディスプレイが提供される。
【0008】
第一態様に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、例えば、第二方向を左右方向へ向け、第一方向の一方側を前側にして使用者の頭部に装着される。第一当て部は、使用者の前頭部に当接する。装着具において画像表示装置およびアーム部が接続される特定位置は、使用者の前頭側頭部に位置する。特定位置に係合する連結機構の係合部が領域内側、即ちHMD装着時の頭部側に突出する第一突出量は、第一当て部が頭部側に突出する第二突出量よりも小さい。故に、係合部は、HMDの装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
【0009】
連結機構の係合部がHMD装着時の頭部側に装着具から突出する第一突出量は、第二当て部が頭部側に突出する第三突出量よりも小さい。特定位置は、第一当て部が設けられた部分と第二当て部が設けられた部分との間に位置する。故に、係合部は、HMDの装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
係合部が頭部側に突出する第一突出量は、突出部が頭部側に突出する第四突出量よりも小さい。故に、突出部における装着具の内面に設けた第二当て部が装着時に弾性変形しても、突出部よりも突出量の小さな係合部は頭部に接触しにくい。
【0010】
第一態様において、前記装着具は、前記第二当て部が設けられた部分よりも前記第一当て部が設けられた部分に近い位置に、前記特定位置を有してもよい。HMDは、装着時に、第二当て部が設けられた部分と第三当て部が設けられた部分とで頭部を挟み、第二当て部と第三当て部を夫々後頭側頭部に当接させて押圧力を得ることで、頭部に装着される。これに対して第一当て部は前頭部に当接し、頭部において装着具を位置決めする。よって、第二当て部と第三当て部は、第一当て部よりも大きく弾性変形する可能性がある。故に、特定位置を第一当て部に近い位置に設けることで、係合部は、HMDの装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
【0012】
第一態様において、前記装着具の前記特定位置には、前記係合部を位置決めする位置決め部が形成されてもよい。係合部はHMDの使用中に特定位置からずれたりすることがない。故に係合部は、HMDの装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
【0013】
第一態様において、前記連結機構は、前記アーム部が前記装着具に対して二軸以上の回転自由度を有した状態で前記装着具と前記アーム部とを連結してもよい。HMDの装着後に使用者に対する画像表示装置の配置位置が変更された場合、装着具はアーム部の揺動に伴うトルクを受けて、元の装着位置に対して位置ずれする可能性がある。第一当て部が係合部よりも頭部側に突出するので、装着具が位置ずれしても、係合部は使用者の頭部に接触しにくい。
【0014】
第一態様において、前記装着具の前記第三部分は、前記第二位置と前記第四位置との間で延び、前記第一部分と前記第二部分の夫々に連続してもよい。装着具は、第一方向他方側が閉環し、第一方向一方側が開環する。HMDは、頭部に装着されるとき、装着具の開環側が広げられ、閉環側が位置決めされてから開環側で側頭部を押さえる形態で装着される。特定位置は第一方向中央の位置よりも一方側に位置し、即ち装着具の閉環する側に近い。故に、HMDは、閉環側に画像表示装置を配置するので、頭部に対する画像表示装置の位置決めを行いやすい。
【0015】
第一態様において、前記第一部分は、前記第一位置と、前記第一位置よりも前記第一方向一方側且つ前記第二方向他方側に位置する第五位置との間で延びる第四部分と、前記第五位置と、前記第五位置よりも前記第一方向一方側且つ前記第二方向一方側に位置する前記第二位置との間で延び、前記第四部分に連続する第五部分とを有してもよい。前記第二部分は、前記第三位置と、前記第三位置よりも前記第一方向一方側且つ前記第二方向一方側に位置する第六位置との間で延びる第六部分と、前記第六位置と、前記第六位置よりも前記第一方向一方側且つ前記第二方向他方側に位置する前記第四位置との間で延び、前記第六部分に連続する第七部分とを有してもよい。HMDの装着時に、装着具は、各部分が使用者の頭部形状にフィットし、頭部を確実に保持するので、装着位置のずれが抑制される。
【0017】
本発明の
第二態様によれば、画像を表示する画像表示装置を装着するための装着具であって、第一位置と、前記第一位置よりも第一方向の一方側に位置する第二位置との間で延びる第一部分と、前記第一位置に対して前記第一方向に直交する第二方向の一方に位置する第三位置と、前記第二位置に対して前記第二方向の一方に位置し、且つ前記第三位置よりも前記第一方向の一方側に位置する第四位置との間で延びる第二部分と、前記第一位置と前記第三位置との間および前記第二位置と前記第四位置との間のうち少なくとも一方の間で延び、前記第一部分および前記第二部分の夫々に連続する第三部分とを備え、少なくとも一部が、前記第一部分、前記第二部分および前記第三部分によって取り囲まれる領域の外側へ向けて凸状に湾曲し、更に、前記第一方向における中央の位置よりも前記第一方向一方側の部分で、前記第一方向一方側の端部である先端部を含む部分において前記領域内を向く面に、前記領域内を向く面から離間する離間方向に突出する第一当て部が設けられ、一端部とは反対側の他端部が前記画像表示装置に連結されるアーム部の前記一端部に接続する接続部と、前記離間方向に突出する第一突出量が、前記第一当て部が前記離間方向に突出する第二突出量よりも小さい係合部とを有する連結機構の前記係合部が、前記第一方向における中央の位置よりも前記第一方向一方側の位置で、前記第一当て部が設けられた部分よりも前記第二方向一方側の特定位置に係合され
、且つ、前記第二部分で、前記特定位置よりも前記第一方向他方側の部分の少なくとも一部において、前記領域内を向く面に設けられ、前記離間方向に突出する第二当て部と、前記装着具の前記第一部分の少なくとも一部において前記領域内を向く面に設けられ、前記離間方向に突出する第三当て部とを更に備え、前記連結機構の前記係合部は、前記第一突出量が、前記第二当て部が前記離間方向に前記装着具から突出する第三突出量よりも小さく、且つ、前記第二部分で、前記特定位置よりも前記第一方向他方側へ所定距離離れた位置から、前記第一方向他方側の端部の位置までの部分には、前記離間方向に突出する突出部が形成され、前記第二当て部は、前記突出部の少なくとも一部において前記領域内を向く面に設けられ、前記離間方向に突出し、前記連結機構の前記係合部は、前記第一突出量が、前記突出部が前記離間方向に突出する第四突出量よりも小さいことを特徴とする装着具が提供される。
【0018】
第二態様に係る装着具にアーム部を介して画像表示装置を取り付けたHMDは、第一当て部が係合部よりも頭部側に突出するので、装着時に係合部が使用者の頭部に接触しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0021】
図1〜
図3に示すように、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、以下、「HMD」という。)1は、使用者の頭部に装着可能な光学透過型のHMDである。使用者の眼前の景色の光は、ハーフミラー35を透過することによって使用者の眼に直接導かれる。HMD1の投影形式は、虚像投影型である。ハーフミラー35は、液晶パネル(図示略)に表示された画像の光を、使用者の片側の眼に向けて反射させる。HMD1は、使用者に対して、眼前の景色に画像を重ねて認識させることができる。HMD1は、画像表示部3、アーム部4、装着具5、連結機構8,9を備える。画像表示部3、アーム部4および連結機構8,9は、装着具5に取り付け・取り外し可能な画像表示ユニット2を構成する。以下、図の説明の理解を助けるため、HMD1の上側、下側、左側、右側、前側、後側を定義する。HMD1の上側、下側、左側、右側は、例えば、
図1の上側、下側、右側、左側に夫々対応する。HMD1の前側、後側は、例えば、
図2の下側、上側に夫々対応する。HMD1の上側、下側、左側、右側、前側、後側は、夫々、装着具5が使用者に着用された場合における使用者基準の方向に対応する。
【0022】
装着具5は、樹脂や金属(例えば、ステンレス)などの可撓性を有する材質で構成される。装着具5は、略環状に形成され、後側が開環する細長い板状部材である。本実施形態の装着具5の形状は、左右対称、且つ上下対称な形状である。以下では、便宜上、装着具5の構成を5つの部分に分けて説明する。装着具5は、中前部分53、右前部分54、右後部分55、左前部分56および左後部分57を有する。
【0023】
右前部分54は、位置12と位置16との間で延びる部分である。位置12は、位置16よりも前側且つ左側に位置する。右前部分54は、装着具5によって取り囲まれる領域10の外側、即ち前側且つ右側へ向けて凸状に湾曲する。右後部分55は、位置16と位置11との間で延びる部分である。位置11は、位置16よりも後側且つ左側に位置する。右後部分55は右前部分54に連続する。右後部分55は、領域10の外側、即ち後側且つ右側へ向けて凸状に湾曲する。言い換えると、右前部分54と右後部分55は、装着具5の構成を中前部分53、右側部分51および左側部分52の3つの部分に分けた場合の右側部分51を構成する。右側部分51は、中前部分53の右側に接続し、後側へ向けて延びる。右側部分51は右側へ向けて凸状に湾曲する。
【0024】
左前部分56は、位置14と位置17との間で延びる部分である。位置17は位置16の左方に位置する。位置14は位置12の左方の位置で、位置17よりも前側且つ右側に位置する。左前部分56は、領域10の外側、即ち前側且つ左側へ向けて凸状に湾曲する。左後部分57は、位置17と位置13との間で延びる部分である。位置13は位置11の左方の位置で、位置17よりも後側且つ右側に位置する。左後部分57は左前部分56に連続する。左後部分57は、領域10の外側、即ち後側且つ左側へ向けて凸状に湾曲する。言い換えると、左前部分56と左後部分57は、装着具5の左側部分52を構成する。左側部分52は、中前部分53の左側に接続し、後側へ向けて延びる。左側部分52は左側へ向けて凸状に湾曲する。
【0025】
中前部分53は、位置14と位置12との間で左右方向に延びる部分である。中前部分53は、右前部分54と左前部分56との夫々に連続する。中前部分53は、領域10の外側、即ち前側へ向けて凸状に湾曲する。左右方向における装着具5の中央の位置21には、前後方向における装着具5の最も前側の端部である先端部61が配置される。位置11,13には、前後方向における装着具5の最も後側の端部62,63が夫々配置される。位置16には、左右方向における装着具5の最も右側の端部64が配置される。位置17には、左右方向における装着具5の最も左側の端部65が配置される。
【0026】
装着具5は、装着時に使用者の頭部を挟んで保持する。右後部分55と左後部分57とが夫々使用者の側頭部を押圧し、且つHMD1の重みを支持するのに十分な押圧力を得られるように、装着具5の湾曲形状は部分ごとに異なる。位置12は、中前部分53の湾曲形状と、右前部分54の湾曲形状との境界となる位置である。位置14は、中前部分53の湾曲形状と、左前部分56の湾曲形状との境界となる位置である。また、位置16には、右前部分54の湾曲形状と右後部分55の湾曲形状との境界が位置する。位置17には、左前部分56の湾曲形状と左後部分57の湾曲形状との境界が位置する。
【0027】
平面視で、装着具5の領域10内を向く面に接する曲率円の径方向を、装着具5の厚み方向と定義する。装着具5の中前部分53、右前部分54および左前部分56における厚み方向の大きさは、略同じ大きさである。右後部分55および左後部分57における厚み方向の大きさは、中前部分53、右前部分54および左前部分56における厚み方向の大きさに対し、夫々、突出部66,67(後述)の厚み方向の大きさ分大きい。中前部分53、右前部分54および左前部分56における上下方向の大きさは、略同じである。右後部分55および左後部分57における上下方向の大きさは、夫々、前側から後側へ向けて徐々に大きくなり、端部62,63近傍で最も大きく、端部62,63へ向けて徐々に小さくなる。
【0028】
右後部分55および左後部分57には、夫々、領域10内へ突出する突出部66,67が形成される。突出部66,67は、夫々、右後部分55および左後部分57の領域10内を向く内面70,71を厚み方向に領域10内へ向けて段状にせり出す形態で設けられている。故に内面70,71は、夫々、右後部分55および左後部分57の湾曲形状に沿う曲面状を呈する。従って突出部66,67の上下方向の大きさも、夫々、前側から後側へ向けて徐々に大きくなり、端部62,63近傍で最も大きく、端部62,63へ向けて徐々に小さくなる。
【0029】
突出部66,67の突出方向(即ち、厚み方向)に対する側面には、夫々、突出方向に対する周方向に沿って溝状に延びる保持溝68,69が形成されている。保持溝68,69は、夫々、突出部66,67の周囲を一周して設けられる。突出部66の上側の側面に開口する保持溝68の部分と、下側の側面に開口する保持溝68の部分は、夫々、右後部分55の湾曲形状に沿って延びる。同様に、突出部67の上側の側面に開口する保持溝69の部分と、下側の側面に開口する保持溝69の部分も、夫々、左後部分57の湾曲形状に沿って延びる。
【0030】
画像表示部3と外部機器(図示略)とを電気的に接続するケーブル39(
図2参照)は、画像表示部3から引き出される。ケーブル39は、アーム部4および装着具5を伝って配線される。保持溝68,69は、ケーブル39の装着具5において配線される部分を溝内に保持する。保持溝68,69の上下方向の大きさ(即ち、深さ)は、ケーブル39の外径よりも大きい。故に保持溝68,69に保持された状態のケーブル39は、保持溝68,69の開口部から溝外へ露出しない。画像表示部3から引き出されたケーブル39は、アーム部4を伝い、アーム部4に近い側(例えば左側)の保持溝69内に挿入される。ケーブル39は、保持溝69の前側の端部69Aから保持溝69内に挿入される。ケーブル39は、保持溝69の部分のうち、突出部67の上側の側面に開口する部分で、溝内を通して配線される。ケーブル39は、保持溝69に案内され、保持溝69の後側の端部69Bから装着具5の外部に引き出される。
【0031】
装着具5は、装着時に使用者の頭部に当接するパッド75〜77を備える。パッド75〜77は、例えばシリコン樹脂等、弾性を有する樹脂で構成される。パッド75は、中前部分53において領域10内を向く内面72で、装着具5の左右方向中央の位置21を含む部分に設けられる。パッド75は、中前部分53の湾曲形状に沿って左右方向に延び、厚み方向に沿って、内面72から離間する方向(例えば、
図2における後方)に突出する。パッド75の上下方向の大きさは、中前部分53における装着具5の上下方向の大きさと略同じ、もしくはそれより小さい。HMD1の装着時、パッド75は、使用者の額または前頭部に当接し、頭部において装着具5を位置決めする。
【0032】
パッド76,77は、夫々、装着具5の右後部分55の内面70と左後部分57の内面71とに設けられる。パッド76は、右後部分55の湾曲形状に沿って延び、領域10内へ向けて厚み方向に沿って突出する。右後部分55の湾曲する向きに沿う方向においてパッド76が延びる長さは、右後部分55の長さよりも短い。パッド76の上下方向の大きさは、右後部分55の上下方向の大きさと略同じ、もしくはそれより小さい。また、パッド76の上下方向の大きさは、中前部分53、右前部分54および左前部分56における上下方向の大きさよりも大きい。本実施形態では、パッド76は、内面70において、右後部分55の湾曲形状に沿う方向の略中央から端部62にかけての部分に設けられている。パッド77は、左後部分57の湾曲形状に沿って延び、領域10内へ向けて厚み方向に沿って突出する。左後部分57の湾曲する向きに沿う方向においてパッド77が延びる長さは、左後部分57の長さよりも短い。パッド77の上下方向の大きさは、左後部分57の上下方向の大きさと略同じ、もしくはそれより小さい。また、パッド77の上下方向の大きさは、中前部分53、右前部分54および左前部分56における上下方向の大きさよりも大きい。本実施形態では、パッド77は、内面71において、左後部分57の湾曲形状に沿う方向で略中央から端部63にかけての部分に設けられている。
【0033】
前述したように、装着具5は可撓性を有する。HMD1の装着時、装着具5は、端部62と端部63とが領域10の外側へ向けて(例えば、左右方向に向けて)、使用者の手によって押し広げられて離間される。装着具5が使用者の頭部へ嵌められた場合、パッド75は、使用者の額または前頭部に当接することで、頭部において装着具5を前後方向に位置決めする。端部62,63の押し広げられた状態が解除されると、装着具5の右後部分55と左後部分57は、領域10の内側へ向けて付勢される。パッド76,77は、夫々、使用者の右側頭部と左側頭部に当接する。右後部分55の内面70は、パッド76を介し、使用者の右側頭部を押圧する。同様に、左後部分57の内面71は、パッド77を介し、使用者の左側頭部を押圧する。装着具5の右後部分55と左後部分57とは、夫々使用者の側頭部を押圧する押圧力を得て、使用者の頭部を挟んで保持する。前述したように、上下方向に大きく形成された内面70,71は、使用者の側頭部に当接する面積が、中前部分53の内面72と比べて大きく確保されている。故に装着具5が使用者の頭部に装着された場合に、パッド76,77は、頭部との当接面積が増えることによって、頭部との間で大きな摩擦力を得る。摩擦面積が確保されたことによって、装着具5は、頭部における位置ずれの発生を抑制できる。また、パッド76,77は、使用者の側頭部に当接する面積がパッド75に比べて大きい。故に、右後部分55と左後部分57は、夫々がパッド76,77を介して側頭部を押圧する押圧力を分散することができる。即ちHMD1は、使用者が後部側頭部に受ける単位面積あたりの押圧力を低減することができる。従って使用者は、側頭部に圧迫感を受けにくい。
【0034】
装着具5の前後方向前側の先端部61と、左右方向両側の端部64,65との間の部分には、夫々、取付部58,59が設けられる。取付部58が設けられた位置15Aは、位置21よりも右側で、且つ位置22よりも前側の位置である。なお、前記したように、位置22は前後方向における装着具5の中央に位置する。より詳細には、取付部58が設けられた位置15Aは、装着具5において、パッド75が設けられた部分と、突出部66が設けられた部分との間における位置である。取付部59が設けられた位置15Bは、位置21よりも左側で、且つ位置22よりも前側の位置である。より詳細には、取付部59が設けられた位置15Bは、装着具5において、パッド75が設けられた部分と、突出部67が設けられた部分との間における位置である。装着具5は、取付部58,59に、装着具5とアーム部4とを連結する連結機構8を取り付けることができる。本実施形態では、連結機構8は取付部59に取り付けられている。連結機構8については後述する。
【0035】
取付部58には、装着具5を厚み方向に貫通する2つの穴部58Aが形成されている(
図1参照)。取付部59にも同様に、装着具5を厚み方向に貫通する2つの穴部(図示略)が形成されている。穴部58Aにはネジ60(
図7参照)が挿通される。連結機構8は取付部58,59にネジ止めによって取り付けられる。即ち、画像表示部3、アーム部4、連結機構8,9を備える画像表示ユニット2は、取付部58と取付部59の一方を選択して取り付けることができる。画像表示ユニット2を取付部58に取り付けた場合、画像表示部3は装着具5の右側に配置される。画像表示部3は画像光を使用者の右眼に入射させることができる。画像表示ユニット2を取付部59に取り付けた場合、画像表示部3は装着具5の左側に配置される。画像表示部3は画像光を使用者の左眼に入射させることができる。
【0036】
図4に示されるように、画像表示部3は、筐体31内に、ハーフミラー35、レンズユニット36、画像ユニット37を備える。筐体31は、角が湾曲した略直方体状の形状を有する。筐体31は、所定方向に長く延びる。筐体31は中空箱状である。筐体31が延びる方向における一方の端部である先端部31Aは開放する。また、筐体31の他方の端部である基端部31Bには、後方へ向けて突出する突出部32が形成されている。突出部32の後端には、前後方向に貫通する穴部(図示略)が形成されている。基端部31Bにおいて、筐体31の後面で突出部32よりも右側の位置には、連結機構9の固定部94が接続される。連結機構9については後述する。
【0037】
基端部31Bにおける筐体31内には、画像ユニット37が設けられる。画像ユニット37は、周知の液晶パネル(図示略)と制御基板(図示略)を備える。液晶パネルは、左側面に画像を表示させて画像光を生成する。制御基板は液晶パネルの右側に配置される。制御基板にはケーブル39が接続される。ケーブル39は、突出部32内を通り、突出部32後端の穴部から画像表示部3の外部に引き出される。制御基板は、ケーブル39を介して外部機器から送信された画像データを受信する。制御基板は、液晶パネルに制御信号を出力し、画像データに応じた画像を液晶パネルに表示させる。なお、液晶パネルの代わりに、Digital Mirror Device(DMD)、有機EL等の二次元表示装置が用いられてもよい。また、液晶パネルの代わりに、2次元的に走査された光を使用者の網膜上に投影する網膜走査型の投影装置(Retinal Scanning Display)が用いられてもよい。
【0038】
筐体31内で、画像ユニット37の右側には、レンズユニット36が設けられる。レンズユニット36は、画像ユニット37から射出された画像光を通過させ、先端部31A側へ導く。レンズユニット36は複数のレンズ(図示略)を備える。レンズユニット36は、筐体31に、左右方向へ移動可能に保持される。筐体31の前面には、円錐台状で側面に複数の凹凸を有する操作部材38が設けられている。操作部材38は、溝カム(図示略)によって、レンズユニット36に係合する。操作部材38が回動されることによって、レンズユニット36は先端部31A側または基端部31B側へ向けて移動する。レンズユニット36が左右方向に移動することによって、画像ユニット37から出射された画像光の焦点距離が変化する。従って使用者は、操作部材38を回動させることによってピント調節を行うことができる。
【0039】
先端部31Aには、ハーフミラー35が設けられる。ハーフミラー35は矩形板状である。ハーフミラー35は、反射面に入射した光の一部(例えば50%)を反射させ、他部を透過させることができる。ハーフミラー35の反射面は、例えば、透明な樹脂やガラスの基板上に、アルミや銀などの金属を所定の反射率(例えば50%)となるように蒸着することで形成される。HMD1の装着時、筐体31の基端部31Bは、先端部31Aよりも左側に配置される。即ち、画像表示部3は、左右方向に延びて配置された状態で使用される。ハーフミラー35は、使用者の例えば左眼前方に配置される。ハーフミラー35は、反射面を左側且つ後側へ向けた状態で、先端部31Aに固定される。筐体31内の画像ユニット37から出射される画像光は、レンズユニット36を通過する際に集光される。集光された画像光は、ハーフミラー35に入射する。ハーフミラー35は、画像光を後側へ反射し、使用者の左眼に入射させる。使用者は、ハーフミラー35によって反射された画像光に基づく虚像を視認できる。また、ハーフミラー35は、前側から入射した外界の光を後側に透過することができる。
【0040】
図1〜
図3、
図5、
図6に示すように、アーム部4は、樹脂や金属などで構成され、棒状に延びる。アーム部4の上端部4Aは、連結機構8によって装着具5に連結される。アーム部4の下端部4Bは、連結機構9によって画像表示部3に連結される。アーム部4は、装着具5から離隔した位置に画像表示部3を保持する。
図1に示されるように、HMD1の装着時、アーム部4の下端部4Bは、上端部4Aの下側且つ左側に配置される。アーム部4は、領域10の外部側へ向けて凸状に湾曲する。本実施形態では、アーム部4は、HMD1装着時の左方へ向けて凸状に湾曲する。
【0041】
図5,
図6に示すように、アーム部4は、上端部4Aに接続部41を備える。接続部41はアーム部4が連結機構8に接続する部分である。接続部41は上端部4Aにおいて、所定の方向B(
図5参照)に沿って突出する。方向Bは、アーム部4が上端部4Aから下端部4Bへ向けて延びる方向Cに対して傾斜する方向である。接続部41には、方向Bに沿って延びる穴部(図示略)が形成されている。穴部には、連結機構8のボールスタッド81(後述)の棒体が挿入される。即ち、ボールスタッド81の棒体は、方向Bに沿って延びる。棒体が接続部41に固定されることで、アーム部4は連結機構8に接続される。
【0042】
連結機構8は、二軸以上の回転自由度を有する。本実施形態の連結機構8は、公知のボールジョイント式の可動部である。連結機構8は、ボールスタッド81、ソケット収容部82、固定ナット83、係合部84を備える。ボールスタッド81は球体に棒体を接続した部品である。ソケット収容部82は円筒形状で、内部にボールスタッド81の球体に球面接触するソケット(図示略)を収容する。固定ナット83は、ソケット収容部82の開口部分に外嵌めし、締結することができる蓋体である。固定ナット83には、ボールスタッド81の棒体が挿通される挿通穴(図示略)が形成されている。ボールスタッド81は、ソケットに接触する球体を支点に棒体が挿通穴内で移動できる範囲を可動範囲とする。
図5に示されるように、棒体の軸が挿通穴の中心に位置する場合、ボールスタッド81は可動範囲の中央に位置する。このとき、ボールスタッド81の棒体の延びる方向、即ち接続部41の延びる方向Bは、後述する方向A(
図1参照)に一致する。即ち、ボールスタッド81の可動範囲は、例えば、方向Aを中心軸とした、所定の立体角(即ち、円錐面の範囲内)である。固定ナット83がソケット収容部82に締結されると、ボールスタッド81は、球体がソケットに押しつけられて、ソケット収容部82に対して位置決めされる。
【0043】
係合部84は、ソケット収容部82の固定ナット83が嵌められる側とは反対側の端部(即ち、ソケット収容部92の右側の端部)に設けられる。係合部84は、装着具5の取付部58,59に、連結機構8を取り付ける部品である。
図5〜
図7に示すように、係合部84は、上壁85、内側壁86、外側壁87を備える。上壁85は、取付部58,59における装着具5の側面のうち、HMD1の頭部装着時に上側を向く上面に当接する部分である。上壁85の形状は、装着具5の湾曲形状に沿って湾曲しながら延びる板状である。上壁85の板面は平面状である。装着具5の上面には、上壁85の下側の板面が当接する。装着具5の厚み方向における上壁85の大きさは、装着具5の厚み方向の大きさに、内側壁86と外側壁87の厚みを加えた大きさである。外側壁87は、取付部58,59における装着具5の側面のうち、領域10内を向く内面とは反対側の外面に当接する部分である。外側壁87の形状は板状である。装着具5の外面には外側壁87の領域10内側の板面が当接する。外側壁87の板面は、装着具5の厚み方向に直交する。外側壁87の領域10内側の板面は、装着具5の外面と向き合って上下方向に緩やかに湾曲しながら前後方向に延びる。外側壁87は、上壁85の端部のうち、領域10外側の端部から下方へ突出する。外側壁87には、装着具5の厚み方向に貫通する2つの穴部87A(
図6参照)が形成されている。内側壁86は、取付部58,59における装着具5の側面のうち、領域10内を向く内面に当接する部分である。内側壁86の形状は、外側壁87よりも前後方向に細幅の板状である。装着具5の内面には内側壁86の領域10外側の板面が当接する。内側壁86の板面は、装着具5の厚み方向に直交する。内側壁86は、上壁85の端部のうち、領域10内側の端部から下方へ突出する。内側壁86は、装着具5の厚み方向において、外側壁87の穴部87Aの形成範囲と重なる位置には、設けられていない。
【0044】
係合部84が取付部58,59に取り付けられるとき、係合部84は、取付部58,59の上側から取付部58,59に配置される。内側壁86と外側壁87は、間に取付部58,59を挟む。係合部84において、内側壁86と、上壁85の内側壁86に接続する端部とが、装着具5よりも領域10内に突出する。係合部84が領域10内に突出する大きさは、内側壁86の厚み分の大きさである。装着具5の穴部58A(
図1参照)と、外側壁87の穴部87Aには、領域10内側からネジ60が挿通される。外側壁87は、領域10外側の板面で、穴部87Aの形成位置に、ナット(図示略)を収容する袋状の収容部87Bを有する。収容部87B内のナットにネジ60が締結されることによって、係合部84は、取付部58,59に固定される。締結後のネジ60の頭の厚みは、内側壁86の厚みよりも小さい。締結後のネジ60は、装着具5の厚み方向において、内側壁86よりも領域10内に突出しない。
【0045】
図5、
図6に示すように、アーム部4は、下端部4Bに接続部42を備える。接続部42はアーム部4が連結機構9に接続する部分である。接続部42は下端部4Bにおいて、接続部41と略同じ方向Bに沿って突出する。接続部42にも穴部(図示略)が形成されている。穴部には、連結機構9のボールスタッド91(後述)の棒体が挿入される。即ち、ボールスタッド91の棒体は、方向Bに沿って延びる。棒体が接続部42に固定されることで、アーム部4は連結機構9に接続される。
【0046】
連結機構9は、二軸以上の回転自由度を有する。
図4、
図5に示すように、本実施形態の連結機構9は、連結機構8と同様に、公知のボールジョイント式の可動部である。連結機構9は、ボールスタッド91、ソケット収容部92、固定ナット93、固定部94を備える。ボールスタッド91、ソケット収容部92および固定ナット93の構成は、連結機構8と同様である。ボールスタッド91の棒体の軸が固定ナット93の挿通穴(図示略)の中心に位置する場合、ボールスタッド91は可動範囲の中央に位置する。このとき、ボールスタッド91の棒体の延びる方向、即ち接続部42の延びる方向Bは、方向A(後述)に一致する。即ち、ボールスタッド91の可動範囲も、例えば、方向Aを中心軸とした、所定の立体角(即ち、円錐面の範囲内)である。
【0047】
固定部94は、ソケット収容部92の固定ナット93が嵌められる側とは反対側の端部に設けられる。固定部94は、画像表示部3に連結機構9を固定する部品である。固定部94は、第一固定部95、第二固定部96、段状接続部97を備える。第一固定部95は、ソケット収容部92に接続する。第一固定部95は、突出部32の後側に位置する。ソケット収容部92が接続される第一固定部95の左端は、突出部32の左端よりも僅かに左側に位置する。第二固定部96は、第一固定部95よりも前方且つ右方に位置する。第二固定部96は、画像表示部3の後面で突出部32の右側に位置する。第二固定部96は、画像表示部3に接続する。例えば、第二固定部96は、前後方向において、ハーフミラー35よりも後側で、画像表示部3の基端部31Bに接続する。段状接続部97は、第一固定部95と第二固定部96を段状に接続する。段状接続部97は、第一固定部95の前側部分から突出部32の後端を左右方向に横切って延びる。段状接続部97は、更に、突出部32の右側で突出部32に沿って、第二固定部96の左側部分まで延びる。段状接続部97が突出部32後端を横切る部分には、前後方向に貫通する穴部97Aが形成されている。穴部97Aには突出部32後端の穴部から引き出されたケーブル39が挿通されている。
【0048】
上記構成のHMD1は、画像表示ユニット2を取付部58に取り付け、連結機構8,9が夫々可動範囲の中央にあるとき、以下に説明する形態を呈する。
図1、
図2に示すように、取付部59が設けられた位置15Bを通り、領域10内から外部へ向かう方向を、方向Aと定義する。連結機構8は、装着具5よりも方向Aにおける領域10の外部側に突出して設けられる。アーム部4の上端部4Aは、連結機構8よりも方向Aにおける領域10の外部側で連結機構8に接続される。アーム部4の下端部4Bは、上端部4Aの下側に配置される。連結機構9は、画像表示部3の後側で画像表示部3の基端部31Bに接続する。画像表示部3の筐体31は、左右方向に延びて配置されるので、先端部31Aは、基端部31Bの右方に配置される。ハーフミラー35は、使用者の左眼の眼前に配置される。
【0049】
HMD1の装着時、装着具5のパッド75は、使用者の額または前頭部に当接する。パッド75は中前部分53の湾曲形状に沿って湾曲するため、使用者の額または前頭部の形状に馴染む。パッド76,77は、使用者の側頭部に夫々当接する。パッド76,77は、夫々、右後部分55と左後部分57の湾曲形状に沿って湾曲するため、使用者の側頭部の形状に馴染む。右後部分55と左後部分57が使用者の側頭部を押圧する押圧力を得るため、装着具5の右前部分54と左前部分56は、中前部分53、右後部分55および左後部分57よりも大きい曲率で湾曲する。右後部分55と左後部分57は、使用者の頭部の湾曲形状よりも大きい曲率で湾曲する。故に、装着具5は、パッド75が設けられた部分と、パッド76,77が設けられた部分の間の部分において、使用者の頭部の形状には馴染まず、頭部との間に間隙を有する。故に、パッド75とパッド76,77の間に設けられた取付部58,59に固定される連結機構8の係合部84は、使用者の頭部に接触しにくい。
【0050】
本実施形態では、以下の規定を設けることによって、HMD1は、更に、係合部84と使用者の頭部とが接触しにくい構造を実現する。本実施形態では、係合部84は取付部59に固定される。
図2に示すように、装着具5の湾曲形状に沿う長さで、パッド75が設けられた部分と位置15Bとの間の長さをL1とする。装着具5の湾曲形状に沿う長さで、位置15Bとパッド77が設けられた部分との間の長さをL2とする。この場合に、HMD1は、L1<L2を満たす。即ち、位置15Bは、パッド77が設けられた部分よりもパッド75が設けられた部分に近い位置である。装着時に右後部分55と左後部分57は、使用者の側頭部を押圧する押圧力を得るため、パッド76,77をパッド75よりも大きく弾性変形させる。変形の小さなパッド75に近い位置に取付部59が設けられたことによって、係合部84は、HMD1装着時に使用者の頭部に近づきにくい。
【0051】
取付部59に固定された係合部84は、前述したように、内側壁86の厚み分、領域10内に突出する。係合部84が取付部59における装着具5の内面から領域10内へ向けて厚み方向に突出する大きさを、突出量P1とする。パッド75が中前部分53における内面72から領域10内へ向けて厚み方向に突出する大きさを、突出量P2とする。この場合に、HMD1は、P1<P2を満たす。即ちパッド75の突出先端は、係合部84よりも領域10の内側に位置する。故に装着時、HMD1は、パッド75によって係合部84と使用者の頭部との間に間隙を設けることができる。
【0052】
パッド77が左後部分57の内面71から領域10内へ向けて厚み方向に突出する大きさを、突出量P3とする。内面71は、突出部67の突出先端に位置する。この場合に、HMD1は、P1<P3を満たす。係合部84を突出量の大きなパッド75とパッド77の間に配置することによって、HMD1は、係合部84と使用者の頭部との間に間隙を設けることができる。
【0053】
突出部67が左後部分57から領域10内へ向けて厚み方向に突出する大きさを、突出量P4とする。この場合に、HMD1は、P1<P4を満たす。HMD1は、パッド77が弾性変形しても、係合部84よりも突出量の大きな突出部67によって、係合部84と使用者の頭部との間に間隙を設けることができる。
【0054】
以上説明したように、装着具5の中前部分53に設けたパッド75は、使用者の前頭部に当接する。装着具5において画像表示部3およびアーム部4が接続される取付部59の位置15Bは、使用者の前頭側頭部に位置する。取付部59に係合する連結機構8の係合部84が領域10内側、即ちHMD1装着時の頭部側に突出する突出量P1は、パッド75が頭部側に突出する突出量P2よりも小さい。故に、係合部84は、HMD1の装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
【0055】
連結機構8の係合部84がHMD1装着時の頭部側に装着具5から突出する突出量P1は、パッド77が頭部側に突出する突出量P3よりも小さい。取付部59の位置15Bは、パッド75が設けられた部分とパッド77が設けられた部分との間に位置する。故に、係合部84は、HMD1の装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
【0056】
HMD1は、装着時に、パッド77が設けられた部分とパッド76が設けられた部分とで頭部を挟み、パッド77とパッド76を夫々後頭側頭部に当接させて押圧力を得ることで、頭部に装着される。これに対してパッド75は前頭部に当接し、頭部において装着具5を位置決めする。よって、パッド77とパッド76は、パッド75よりも大きく弾性変形する可能性がある。故に、特定位置をパッド75に近い位置に設けることで、係合部84は、HMD1の装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
【0057】
係合部84が領域10内に突出する突出量P1は、突出部67が領域10内に突出する突出量P4よりも小さい。故に、突出部67における装着具5の内面に設けたパッド77が装着時に弾性変形しても、突出部67よりも突出量の小さな係合部84は頭部に接触しにくい。
【0058】
位置15Bに設けた取付部59に係合部84を固定することによって、係合部84はHMD1の使用中に位置15Bからずれたりすることがない。故に係合部84は、HMD1の装着時に使用者の頭部に接触しにくい。
【0059】
HMD1の装着後に使用者に対する画像表示部3の配置位置が変更された場合、装着具5はアーム部4の揺動に伴うトルクを受けて、元の装着位置に対して位置ずれする可能性がある。パッド75が係合部84よりも頭部側に突出するので、装着具5が位置ずれしても、係合部84は使用者の頭部に接触しにくい。
【0060】
装着具5は、後側が閉環し、前側が開環する。HMD1は、頭部に装着されるとき、装着具5の開環側が広げられ、閉環側が位置決めされてから開環側で側頭部を押さえる形態で装着される。取付部59が設けられた位置15Bは、前後方向中央の位置22よりも前側に位置し、即ち装着具5の閉環する側に近い。故に、HMD1は、閉環側に画像表示部3を配置するので、頭部に対する画像表示部3の位置決めを行いやすい。
【0061】
HMD1の装着時に、装着具は、各部分が使用者の頭部形状にフィットし、頭部を確実に保持するので、装着位置のずれが抑制される。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。保持溝68,69を有する突出部66,67は、なくてもよい。パッド75〜77は、夫々、複数あって、装着具5の湾曲する向きに沿う方向において断続的に配置されてもよい。ハーフミラー35の代わりに、外界の光を透過せず、入射した画像光を実質的に全反射する反射部材が用いられてもよい。ハーフミラー35の代わりに、プリズム、回折格子等の光路偏向部材が用いられてもよい。連結機構8,9は、ボールジョイント式の可動部でなくてもよい。例えば、2つ以上のヒンジを組み合わせるなどして、夫々、二軸以上の回転自由度を有する可動部であればよい。装着具5は、全体が湾曲する構成でなくてもよい。装着具5の湾曲する部分は装着具5の一部であってもよい。方向Aは、左右方向に沿う方向に限らず、位置15Aまたは位置15Bを通り、領域10内から外部へ向かう方向であればよい。
【0063】
装着具5は環状でもよい。即ち、位置12と位置14との間で延びる中前部分53だけでなく、位置11と位置13との間にも延びる部分があってもよい。あるいは、
図8に示すHMD101のように、装着具105は、前側が開環する略環状の形状を有してもよい。即ち、装着具105は、位置12と位置14の間が開環し、位置11と位置13との間に延びる部分があってもよい。
【0064】
本実施形態では、パッド75より左側の位置15Bに設けた取付部59に連結機構8の係合部84を固定したが、パッド75より右側の位置15Aに設けた取付部58に係合部84を固定してもよい。この場合のパッド76、突出部66の構成は、夫々、パッド77、突出部67の構成と同様である。
【0065】
上記実施形態において、前後方向は、本発明の「第一方向」に相当する。左右方向は、本発明の「第二方向」に相当する。上下方向は、本発明の「第三方向」に相当する。位置11は、本発明の「第一位置」に相当する。位置12は、本発明の「第二位置」に相当する。位置13は、本発明の「第三位置」に相当する。位置14は、本発明の「第四位置」に相当する。位置15Bは、本発明の「特定位置」に相当する。位置16は、本発明の「第五位置」に相当する。位置17は、本発明の「第六位置」に相当する。位置22は、本発明の「第一方向における中央の位置」に相当する。右側部分51は、本発明の「第一部分」に相当する。左側部分52は、本発明の「第二部分」に相当する。中前部分53は、本発明の「第三部分」に相当する。右後部分55は、本発明の「第四部分」に相当する。右前部分54は、本発明の「第五部分」に相当する。左後部分57は、本発明の「第六部分」に相当する。左前部分56は、本発明の「第七部分」に相当する。
【0066】
画像表示部3は、本発明の「画像表示装置」に相当する。上端部4Aは、本発明の「一端部」に相当する。下端部4Bは、本発明の「他端部」に相当する。連結機構8は、本発明の「連結機構」に相当する。パッド75は、本発明の「第一当て部」に相当する。パッド77は、本発明の「第二当て部」に相当する。パッド76は、本発明の「第三当て部」に相当する。ボールスタッド81は、本発明の「接続部」に相当する。取付部59は、本発明の「位置決め部」に相当する。