特許第6229627号(P6229627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6229627
(24)【登録日】2017年10月27日
(45)【発行日】2017年11月15日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20171106BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171106BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20171106BHJP
【FI】
   H04N1/00 107Z
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 388
   H04N1/00 C
   H04N1/00ZIT
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-200213(P2014-200213)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-72804(P2016-72804A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 和紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】葉山 真義
(72)【発明者】
【氏名】菊池 正城
(72)【発明者】
【氏名】宮井 俊也
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−165717(JP,A)
【文献】 特開平9−98222(JP,A)
【文献】 特開2011−170821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00 − 29/70
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行う印刷部と、
外部からの災害の報知を受信する通信部と、
画面を表示するための表示部と、前記画面に対するタッチ操作を受け付けるためのタッチパネル部を含み、設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルへの設定入力により予め登録され、それぞれの使用者の連絡先を含む使用者管理情報を記憶する記憶部と、
前記通信部が災害の報知を受信したとき、安否確認モードに移行し、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に、使用者の安否を確認するための安否確認連絡を前記通信部に送信させ、前記安否確認連絡に基づいた状況回答を前記通信部が受信したとき、前記状況回答に基づき、使用者の状況を認識する制御部と、を含み、
前記記憶部は、画像形成装置を利用する権限を有する使用者か否かを識別するための認証情報を含む前記使用者管理情報を記憶し、
前記操作パネルは、使用者を識別するための識別情報の入力を受け付け、
前記制御部は、前記認証情報と入力された前記識別情報に基づき使用者を識別し、前記安否確認モードであって識別した使用者が前記状況回答をまだ受信していない使用者であるとき、安否確認画面を前記表示部に表示させ、前記安否確認画面でなされた操作に基づき当該使用者の状況を認識することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
印刷を行う印刷部と、
外部からの災害の報知を受信する通信部と、
画面を表示するための表示部と、前記画面に対するタッチ操作を受け付けるためのタッチパネル部を含み、設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルへの設定入力により予め登録され、それぞれの使用者の連絡先を含む使用者管理情報を記憶する記憶部と、
前記通信部が災害の報知を受信したとき、安否確認モードに移行し、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に、使用者の安否を確認するための安否確認連絡を前記通信部に送信させ、前記安否確認連絡に基づいた状況回答を前記通信部が受信したとき、前記状況回答に基づき、使用者の状況を認識する制御部と、を含み、
前記通信部は、電話回線を用いて通信するためのポートを複数含む電話回線接続部を有し、
前記制御部は、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に電話をかけることによる前記安否確認連絡を前記通信部に行わせ、電話による前記状況回答を受信し、前記電話回線接続部に複数の電話回線が接続されているとき、全ての前記電話回線を用いて前記安否確認連絡を前記通信部に行わせず、複数の前記ポートのうち少なくとも1つを受信専用ポートとし、
前記通信部は、前記安否確認モード中の着信電話番号を確認し、
前記制御部は、着信電話番号が前記使用者管理情報で使用者の連絡先として登録された電話番号であるとき、ファクシミリとして受信する処理を前記通信部に行わせず、前記状況回答を前記通信部に受信させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
印刷を行う印刷部と、
外部からの災害の報知を受信する通信部と、
画面を表示するための表示部と、前記画面に対するタッチ操作を受け付けるためのタッチパネル部を含み、設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルへの設定入力により予め登録され、それぞれの使用者の連絡先を含む使用者管理情報を記憶する記憶部と、
前記通信部が災害の報知を受信したとき、安否確認モードに移行し、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に、使用者の安否を確認するための安否確認連絡を前記通信部に送信させ、前記安否確認連絡に基づいた状況回答を前記通信部が受信したとき、前記状況回答に基づき、使用者の状況を認識する制御部と、を含み、
前記通信部は、電話回線を用いて通信するためのポートを複数含む電話回線接続部を有し、
前記制御部は、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に電話をかけることによる前記安否確認連絡を前記通信部に行わせ、電話による前記状況回答を受信し、前記電話回線接続部に複数の電話回線が接続されているとき、全ての前記電話回線を用いて前記安否確認連絡を前記通信部に行わせず、複数の前記ポートのうち少なくとも1つを受信専用ポートとし、
前記通信部は、前記安否確認モード中の着信電話番号を確認し、
前記制御部は、着信電話番号が前記使用者管理情報に使用者の連絡先として登録された電話番号であるとき、着信電話番号に対応する使用者の安全が確保されたと認識することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
印刷を行う印刷部と、
外部からの災害の報知を受信する通信部と、
画面を表示するための表示部と、前記画面に対するタッチ操作を受け付けるためのタッチパネル部を含み、設定を行うための操作パネルと、
前記操作パネルへの設定入力により予め登録され、それぞれの使用者の連絡先を含む使用者管理情報を記憶する記憶部と、
前記通信部が災害の報知を受信したとき、安否確認モードに移行し、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に、使用者の安否を確認するための安否確認連絡を前記通信部に送信させ、前記安否確認連絡に基づいた状況回答を前記通信部が受信したとき、前記状況回答に基づき、使用者の状況を認識する制御部と、を含み、
問題があることを知らせる前記状況回答を前記通信部が受信したとき、前記制御部は、問題があることを知らせる前記状況回答を行った使用者に関する情報を、他の印刷ジョブに優先して、前記印刷部に印刷させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に使用者の連絡先として登録されたそれぞれのアドレスに向けて、電子メールによる前記安否確認連絡を前記通信部に送信させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記安否確認モード中に前記使用者管理情報に使用者の連絡先として登録されたアドレスから送信された電子メールであって規定の形式に合っていない電子メールを受信したとき、規定の形式に合っていない電子メールに基づき、使用者の状況を確認することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記安否確認モード中に規定の形式に合う電子メールを受信したとき、受信した前記電子メールの内容を前記印刷部に印刷させることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記操作パネルは、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の回答の状況を示すレポートの印刷指示を受け付け、
前記制御部は、前記操作パネルが前記レポートの印刷指示を受け付けたとき、前記レポートを前記印刷部に印刷させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記使用者管理情報に登録された全ての使用者の状況を認識したとき、前記安否確認モードを終了することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記操作パネルは、前記安否確認モードへの移行指示受け付け、
前記制御部は、前記操作パネルが前記移行指示を受け付けたとき、前記安否確認モードに移行することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記操作パネルは、前記安否確認モードの終了指示を受け付け、
前記制御部は前記操作パネルが前記終了指示を受け付けたとき、前記安否確認モードを終了することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機能に加え、通信機能を備えた画像形成装置画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置のうち、複合機のような画像形成装置は、印刷機能と送信機能のように複数の機能を備える。機能複合型の画像形成装置は、例えば、コンピューターやファクシミリ装置とデータの送受信を行う機能を備える。地震のような災害発生時に、複数の機能を有する画像形成装置を活用できれば、多くの使用者に災害の内容を効率的に知らせることができる。
【0003】
災害発生時の画像形成装置の利用の一態様が特許文献1に示されている。具体的に、特許文献1には、災害が発生したことを検知し、災害の発生時において実行を制限する機能を示す制限データを予め記憶し、災害を検知したとき、前記制限データに基づいて制限すべきと判定される機能が実行されないように制御する画像形成装置が記載されている。具体的には、災害が発生したことを検知すると、実行中ジョブ停止、災害の内容の優先的表示と印刷、特定通信相手以外との通信禁止、画像安定化の処理を行わない、といった動作制限がなされる(特許文献1:請求項1、段落[0101]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合機のような画像形成装置は、印刷機能のほか、ネットワークを介したコンピューターとのデータ送受信やメール送受信機能、電話回線を介したファクシミリ送受信機能など複数形式での通信に対応している。また、ファクシミリ送受信機能を用いるとき、電話回線が接続されている。そのため、このような画像形成装置では、相手方との通話も可能である。
【0006】
ところで、画像形成装置を利用できる使用者を画像形成装置に登録することがある。使用者は、画像形成装置を利用するとき、必要な入力(例えば、パスワードやユーザーIDの入力)を行う。入力された情報が正しいと、画像形成装置は、使用できる状態となる。これにより、第三者による悪用を防止したり、各使用者の使用状況を確認したりすることができる。このように、画像形成装置には、各使用者の情報が記憶される。
【0007】
このように、画像形成装置は、選択可能な通信方式が豊富であり、使用者に関する情報を記憶する。しかし、従来、画像形成装置を、災害時に有効に活用しきれていないという問題がある。
【0008】
尚、特許文献1記載の画像形成装置では、災害の内容の表示や印刷を優先するため、特定の機能は実行できるようにし、その他の機能を実行できないようにするにすぎない。また、特許文献1記載の画像形成装置は、災害が発生したことを示すメッセージの送信を行うのみで、使用者がどのような状態かを確認せず、画像形成装置の受信機能が活用されていないという問題がある。
【0009】
上記の問題点に鑑み、本発明は、画像形成装置に記憶された使用者の情報と、画像形成装置が有する通信機能を有効活用し、安否確認機能を取り込み、各使用者の安否確認をより容易、正確にできるようにし、画像形成装置ならではの効能を得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題解決のため画像形成装置は、印刷部、通信部、操作パネル、記憶部、制御部を含む。前記印刷部は、印刷を行う。前記通信部は、外部からの災害の報知を受信する。前記操作パネルは、画面を表示するための表示部と、前記画面に対するタッチ操作を受け付けるためのタッチパネル部を含み、設定を行うためのものである。前記記憶部は、前記操作パネルへの設定入力により予め登録され、それぞれの使用者の連絡先を含む使用者管理情報を記憶する。前記制御部は、前記通信部が災害の報知を受信したとき、安否確認モードに移行し、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に、使用者の安否を確認するための安否確認連絡を前記通信部に送信させ、前記安否確認連絡に基づいた状況回答を前記通信部が受信したとき、前記状況回答に基づき、使用者の状況を認識する。そして、前記記憶部は、画像形成装置を利用する権限を有する使用者か否かを識別するための認証情報を含む前記使用者管理情報を記憶してもよい。前記操作パネルは、使用者を識別するための識別情報の入力を受け付けてもよい。前記制御部は、前記認証情報と入力された前記識別情報に基づき使用者を識別し、前記安否確認モードであって識別した使用者が前記状況回答をまだ受信していない使用者であるとき、安否確認画面を前記表示部に表示させ、前記安否確認画面でなされた操作に基づき当該使用者の状況を認識してもよい。また、前記通信部は、電話回線を用いて通信するためのポートを複数含む電話回線接続部を有してもよい。前記制御部は、前記安否確認モードになったとき、前記使用者管理情報に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に電話をかけることによる前記安否確認連絡を前記通信部に行わせ、電話による前記状況回答を受信し、前記電話回線接続部に複数の電話回線が接続されているとき、全ての前記電話回線を用いて前記安否確認連絡を前記通信部に行わせず、複数の前記ポートのうち少なくとも1つを受信専用ポートとしてもよい。また、前記通信部は、前記安否確認モード中の着信電話番号を確認してもよい。前記制御部は、着信電話番号が前記使用者管理情報で使用者の連絡先として登録された電話番号であるとき、ファクシミリとして受信する処理を前記通信部に行わせず、前記状況回答を前記通信部に受信させてもよい。また、前記通信部は、前記安否確認モード中の着信電話番号を確認してもよい。前記制御部は、着信電話番号が前記使用者管理情報に使用者の連絡先として登録された電話番号であるとき、着信電話番号に対応する使用者の安全が確保されたと認識してもよい。また、問題があることを知らせる前記状況回答を前記通信部が受信したとき、前記制御部は、問題があることを知らせる前記状況回答を行った使用者に関する情報を、他の印刷ジョブに優先して、前記印刷部に印刷させてもよい。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明によれば、安否確認機能を取り込み、記憶された使用者の情報と、通信機能を用い、画像形成装置を有効活用することができる。また、各使用者の安否確認をより容易、正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図2】複合機の構成の一例を示すブロック図である。
図3】使用者情報画面の一例を示す説明図である。
図4】ログイン画面の一例を示す説明図である。
図5】複合機の通信方法の一例を示す図である。
図6】複合機による安否確認連絡の送信を説明するためのフローチャートである。
図7】安否確認モード中に受信した1件の電子メールに関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】安否確認モード中に電話回線で着信(着呼)があったときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】安否確認モード中、発信、着信以外になされる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】安否確認画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図10を用い、実施形態を説明する。以下では、複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
【0014】
(画像形成装置の概略)
次に、図1に基づき、実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、複合機100は、前面に操作パネル1(破線で図示)を有する。又、上部に原稿搬送部2aと画像読取部2bが設けられる。又、複合機100の内部には、印刷を行う印刷部3(給紙部3a、搬送部3b、画像形成部3c、定着部3d)が設けられる。
【0016】
操作パネル1は、複合機100の状態、メッセージ、設定画面を表示する表示部11を備える。また、表示部11に対しタッチパネル部12が設けられる。タッチパネル部12は、画面に対する入力操作(タッチ)を受け付ける。タッチパネル部12は、表示部11で押された部分の位置、座標を検出するためのものである。タッチパネル部12の出力に基づき、操作された(押された)ボタンやソフトキーが認識される。また、操作パネル1には、スタートキーやテンキーのような複数のハードキー13も設けられる。尚、操作パネル1には、タッチパネル部12の出力に基づき、操作されたソフトキーや操作されたハードキー13の認識を行い、また、表示部11の表示制御を行うパネル制御部10が設けられる(図2参照)。
【0017】
原稿搬送部2aは、セットされた原稿を1枚ずつ送り読取用コンタクトガラス(読み取り位置、不図示)に向けて連続的、自動的に搬送する。画像読取部2bは、送り読取用コンタクトガラスを通過する原稿や、載置読取用コンタクトガラス(不図示)にセットされた原稿を読み取り、画像データを生成する。
【0018】
給紙部3aは、複数の用紙を収容する。図1に示す例では、2つの給紙カセットが給紙部3aとして設けられる。印刷ジョブを実行するとき、何れかの給紙カセットが1枚ずつ用紙を搬送部3bに送り出す。搬送部3bは給紙部3aから供給された用紙を搬送する。画像形成部3cは、画像データに基づきトナー像を形成する。また、画像形成部3cは、搬送される用紙にトナー像を転写する。定着部3dは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。トナー定着後の用紙は、排出トレイ3eに排出される。
【0019】
(画像形成装置のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図2は複合機100の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
複合機100内に、制御部4が設けられる。制御部4は、CPU41、画像処理部42のような制御や処理を行うための回路を含む。尚、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、印刷部3を制御して印刷を制御するエンジン制御部と、を分割するというように、機能ごとに制御部4を分割し、制御を行う部分が複数種設けられてもよい。
【0021】
CPU41は、中央演算処理装置である。CPU41は、記憶部5に記憶されるプログラム、データに基づき画像形成装置の各部の制御や、各種の演算処理を行う。画像処理部42は、画像データに関する処理を行う。画像処理部42は、濃度変換や拡大、縮小、画像データの形式変換のようなジョブに関する画像データに対する画像処理を行う。
【0022】
記憶部5は、ROM51、RAM52、HDD53を含む。記憶部5は、不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。記憶部5は、複合機100の制御用の各種のプログラムやデータ、設定データ、画像データのような各種データを記憶する。
【0023】
又、制御部4は、操作パネル1、原稿搬送部2a、画像読取部2b、印刷部3のような各部とバスや信号線等で接続される。制御部4は、複合機100の動作(例えば、スキャン動作や印刷動作)を制御する。
【0024】
操作パネル1には、表示部11の表示を実際に制御し、タッチパネル部12やハードキー13の出力に基づき、設定内容を認識するパネル制御部10が設けられる。制御部4は、表示部11に表示すべき画面をパネル制御部10に指示する。これを受けて、パネル制御部10は、指示された画面を表示部11に表示させる。また、パネル制御部10は、タッチパネル部12、ハードキー13の出力に基づき認識された設定内容を示すデータを制御部4に送信する。これにより、制御部4は、操作パネル1でなされた設定内容を認識する。
【0025】
更に、コネクタ、ソケット、チップのような回路(通信用のハードウェア)、及び、通信用のソフトウェアを備えた通信部6が設けられる。通信部6は、ネットワークNW、公衆電話回線を介し、外部と通信できる。通信部6、制御部4、記憶部5は、相互に通信可能に接続される。制御部4は、記憶部5に記憶されたデータを用いた送信を通信部6に行わせる。
【0026】
(使用者の登録)
次に、図3を用いて、実施形態に係る使用者の登録の一例を説明する。図3は、表示部11に表示される使用者情報画面71の一例を示す説明図である。
【0027】
図3に示すように、「ユーザ名」、「ユーザ(カナ)」、「ログインユーザー名」、「ログインパスワード」、「アクセスレベル」、「所属部門」、「メールアドレス(連絡先)」、「電話番号(連絡先)」、「FAX番号(連絡先)」のような使用者に関する項目を、使用者情報画面71で登録することができる。「メールアドレス(連絡先)」、「電話番号(連絡先)」、「FAX番号(連絡先)」の項目は、安否確認連絡の宛先となる(詳細は後述)。また、「ログインユーザー名」と「ログインパスワード」の項目の内容は、使用者を認証するための認証情報54aとして用いられる。
【0028】
登録されていない項目(未入力の項目)については、その内容が表示されない(図3では、「FAX番号(連絡先)」の項目)。そして、各項目に対し、変更キーK1(K1a〜K1i)が設けられる。変更キーK1が押されると、パネル制御部10は、文字、記号、数字を入力するためのソフトウェアキーボード(不図示)を表示部11に表示させる。使用者は、ソフトウェアキーボードを用いて、数字、文字等の入力を行い、各項目を設定する。
【0029】
新規に使用者を登録するための操作が操作パネル1で行われると、パネル制御部10は、各項目の内容が空白で、新しい使用者情報画面71を表示部11に表示させる。また、既に登録してある使用者について項目の内容を変更するための操作が操作パネル1で行われると、パネル制御部10は、登録済の使用者の使用者情報画面71を表示させる。この場合、表示部11は、現在登録されている内容が書き込まれた使用者情報画面71を表示する。これにより、項目の内容を編集することができる。
【0030】
使用者情報画面71には、登録キーK2が配される。登録キーK2へのタッチ操作がなされると、記憶部5は、登録キーK2が操作された時点の各項目の内容を記憶する。記憶部5は、各使用者の使用者情報画面71で設定された内容(情報)の束を使用者管理情報54として記憶する。このように、記憶部5は、操作パネル1への設定入力により予め登録され、それぞれの使用者の連絡先を含む使用者管理情報54を記憶する。
【0031】
(複合機100における使用者の識別)
次に、図4を用いて、実施形態に係る複合機100での使用者の識別処理の一例を説明する。図4は、実施形態に係るログイン画面72の一例を示す説明図である。
【0032】
まず、制御部4は、基本的に、複合機100を使用不可状態(ログアウト状態)とする。又、操作パネル1は、ログアウト状態では、ログインのための入力のみ受け付け、コピーや読み取りのような機能の設定や、ジョブの実行開始指示を受け付けない。
【0033】
そこで、操作パネル1への入力に基づく使用者の識別(認証)を説明する。パネル制御部10は、ログアウト状態のとき、表示部11にログイン画面72(図4参照)を表示させる。認証を受けてログインするには、使用者は、ログイン画面72でユーザ名、ログインパスワードを入力する。
【0034】
パネル制御部10は、ログインユーザー名キーK3に対するタッチ操作がなされたとき、及び、ログインパスワードキーK4に対するタッチ操作がなされたとき、ソフトウェアキーボードを表示部11に表示させる。そして、使用者は、それぞれのソフトウェアキーボード画面で、自己のログインユーザー名、又は、ログインパスワードを入力する。パネル制御部10は、入力されたログインユーザー名をログインユーザー名表示欄72aに、入力されたパスワードをログインパスワード表示欄72bに表示させる。尚、パスワードについては、各文字を「*」に置き換え、パスワード自体を表示しないようにしてもよい(図4参照)。
【0035】
使用者がログインキーK5に対するタッチ操作を行うと、使用者の識別処理(認証作業)が開始される。操作パネル1に入力されたログインユーザー名とログインパスワード(使用者を識別するための識別情報)は、制御部4に送られる。そして、制御部4は、記憶部58に予め記憶された各使用者の使用者管理情報54と、識別情報を比較する。そして、制御部4は、使用者のうち、使用者管理情報54に含まれる認証情報54a(予め登録された「ログインユーザー名」と「ログインパスワード」)と識別情報が一致する使用者をさがす。そして、制御部4は、一致した使用者を、ログインしようとしている使用者と認識する。一致する使用者がいないとき、使用者は、使用権限の無い者が複合機100を使おうとしていると判断し、ログイン画面72を表示部11に表示させ続ける。
【0036】
尚、操作パネル1への識別情報入力に基づく使用者の識別(認証)を説明した。しかし、使用者の識別情報が記憶されたカードを配布し、複合機100がカードの情報を読み取って、使用者の識別を行うようにしてもよい。この場合、複合機100にカードリーダー(不図示)が取り付けられる。
【0037】
操作パネル1への入力が無くなってから所定時間(例えば、数分)経過したときや、操作パネル1にログアウト状態に移行する指示が入力されたとき、制御部4は、複合機100(操作パネル1)を自動的に、ログアウト状態とする。このとき、制御部4は、表示部11にログイン画面72(図4参照)を表示させる
【0038】
(複合機100の通信方法)
次に、図5を用いて、複合機100の通信方法を説明する。図5は、複合機100の通信方法の一例を示す図である。
【0039】
通信部6は、電話回線(公衆回線)を用いて、電話機200(固定電話や携帯電話)及びファクシミリ装置300と通話できる。また、通信部6は、電話回線(公衆回線)を用いて、ファクシミリ装置300にファクシミリの送受信することもできる。本説明でのファクシミリ装置300は、例えば、G3規格のファクシミリ装置300である。通信部6には、電話回線を接続し、通信するための電話回線通信部61が設けられる。電話回線通信部61は、電話回線による通信を可能とするための回路、部材を含む。例えば、電話回線通信部61は、ファクシミリ通信用のモデム、電話回線による通信のための通信回路、電話回線接続用のポート62を含む。ここで、複数の電話回線を複合機100に接続し、複数の電話回線を用いて通信できるように、電話回線通信部61は、複数のポート62を含む。
【0040】
通信部6は、ネットワークNW(例えば、IPネットワーク)を介し、電子メールをコンピューター400(例えば、PC、サーバー)、携帯通信端末500(例えば、スマートフォン、タブレットコンピューター、携帯電話)、インターネットファックス装置600のような通信装置に送信できる。尚、本説明でのインターネットファックス装置600は、電子メールを送受信でき、受信時には電子メールに添付された画像データを印刷し、送信時には電子メールに画像データを添付して送信する機能を有する。通信部6は、ネットワークNWを通じて、インターネットファックス装置600と電子メールに画像データが添付された電子メールを送受信し、インターネットファックスの送受信を行うことができる。このネットワークNWを介した通信のため、通信部6には、ネットワーク通信部63が設けられる。ネットワーク通信部63は、ネットワークNWの通信プロトコルに基づき通信処理を行う回路や、ネットワークNW接続用のケーブルを繋ぐためのソケットを含む。
【0041】
また、通信部6は外部からの災害の報知を受信する。災害の報知は適宜定めることができる。例えば、災害の報知は、緊急地震速報である。例えば、緊急地震速報は、官庁からの情報を受け、携帯電話事業者のような緊急地震速報を配信するサービスの提供者から発信される。この場合、図5の災害報知装置700は、サービスの提供者の装置であって、緊急地震速報を配信する装置である。また、近年、国や地方公共団体から配信される避難勧告や避難指示を配信するサービスが登場している。そこで、災害の報知は、サービス提供者から配信される避難勧告や避難指示としてもよい。この場合、図5の災害報知装置700は、サービスの提供者の装置であって、避難勧告や避難指示を配信する装置である。そして、通信部6(ネットワーク通信部63又は電話回線通信部61)は、災害報知装置700からの災害の報知を受信する。
【0042】
(安否確認連絡の送信)
次に、図6を用いて、実施形態に係る複合機100による安否確認連絡の送信を説明する。図6は、複合機100による安否確認連絡の送信を説明するためのフローチャートである。
【0043】
本実施形態の複合機100は、通信部6が災害の報知を受信したとき、安否確認モードに移行する。そして、制御部4は、安否確認モードになったとき、使用者管理情報54に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に、安否確認連絡を通信部6に送信させる。そのため、図6のスタートは、通信部6が災害の報知を受信し、制御部4が災害の報知を受信したことを認識した時点である。
【0044】
まず、制御部4は、複合機100のモードを安否確認モードとする(ステップ♯11)。言い換えると、制御部4は、災害の報知の受信を認識すると、自己の処理モードを安否確認モードに移行させる。
【0045】
尚、操作パネル1は、安否確認モードへの移行指示を受け付けるようにしてもよい。所定の移行指示の操作がなされたとき、操作パネル1は、移行指示がなされたことを制御部4に通知する。この通知を受けて、制御部4は、安否確認モードに移行してもよい。言い換えると、手動によって、制御部4(複合機100)を安否確認モードとできるようにしてもよい。
【0046】
続いて、制御部4は、使用者管理情報54に使用者の連絡先として登録されたそれぞれのアドレスに向けて、電子メールによる安否確認連絡を通信部6に送信させる(ステップ♯12)。連絡先がインターネットファックス装置600のとき、電子メールはインターネットファックスとして送信されることになる。尚、使用者管理情報54にアドレスが登録されていない使用者に向けては、電子メール又はインターネットファックスによる安否確認連絡を送信できない。
【0047】
制御部4は、災害の内容(例えば、発生日時、場所)、安否を問い合わせる旨、状況を知らせるための回答方法のような情報を含む安否確認連絡を通信部6に送信させる。状況の回答方法の情報として、複合機100に電子メールによって回答できる旨や、複合機100の電子メールのアドレスを示すデータが、安否確認連絡として送信するデータに含められる。また、状況の回答方法の情報として、電話により複合機100に回答できる旨や、複合機100の電話番号のうち回答受付用の電話番号を示すデータを、安否確認連絡として送信するデータに含めてもよい。
【0048】
また、状況の回答方法の情報として、複合機100に電子メールを送信するとき、「あ」=「安全」、「け」=「けが」、「じ」=「重傷」のように、1文字メールで回答できる旨を示すデータを安否確認連絡として送信するデータに含めてもよい。また、状況の回答方法の情報として、複合機100に電子メールを送信するとき、「1」=安全、「2」=軽傷、「3」=重傷、「4」=自宅に所在、「5」=通勤中、「6」=在社のように、数字を組み合わせたメールで回答してもよい旨を示すデータを、安否確認連絡として送信するデータに含めてもよい。
【0049】
制御部4は、災害報知装置700から受信した災害の報知に含まれる情報を加工して、災害の内容を、安否確認連絡として送信するデータ(電子メール)に含める。安否を問い合わせる旨、回答方法のような情報は、予め定められ記憶部5に記憶される。そして、制御部4は、記憶部5に記憶された情報を、安否確認連絡として送信するデータに含める。
【0050】
続いて、制御部4は、使用者管理情報54に登録されたそれぞれの使用者の連絡先(電話番号)に電話をかけることによる安否確認連絡を通信部6に行わせる(電話による安否確認連絡、ステップ♯13)。なお、多数の使用者の電話番号が登録されているとき、全ての使用者に対し、一度に電話をかけることができないので、順番に、各使用者の電話番号に電話がかけられる。
【0051】
本実施形態の複合機100(通信部6)は、連絡先として電子メール(インターネットファックス)のアドレスと電話番号の両方が登録されているとき、その使用者に対しては、電子メール及び電話の両方を用いて安否確認連絡を送信する。しかし、電子メールと電話のうち、何れか一方のみを用いて安否確認連絡が送信されてもよい。
【0052】
電話を用いるとき、安否確認連絡は音声により伝えられる。制御部4は、通信部6に安否確認連絡としての音声信号を送信させる。これにより、安否確認連絡の音声が相手の電話に流れる。音声信号には、災害の内容(例えば、発生日時、場所)、安否を問い合わせる旨、状況を知らせるための回答方法のような情報が含められる。
【0053】
通信部6は、状況の回答方法の情報として、電話により複合機100に回答できる旨や、複合機100の電話番号のうち回答受付用の電話番号が使用者の電話で流れるような音声信号を、使用者の電話に送信する。また、通信部6は、状況の回答方法の情報として、複合機100に電子メールによって回答できる旨や、複合機100の電子メールのアドレスが使用者の電話で流れるような音声信号を、使用者の電話に送信してもよい。更に、通信部6は、複合機100に電子メールを送信するとき、上述のような1文字メールや、数字の組み合わせメールで回答してもよい旨が使用者の電話で流れるような音声信号を、使用者の電話に送信してもよい。
【0054】
制御部4は、災害報知装置700から受信した災害の報知に含まれる情報を加工して、災害の内容を示す音声データを生成し、安否確認連絡として送信する音声データに含める。また、安否を問い合わせる旨、回答方法を示す音声データは、予め定められ、記憶部5に記憶される。そして、制御部4は、記憶部5に記憶された音声データを用いて、音声による安否確認連絡を相手の電話に送る。
【0055】
尚、所定時間(例えば、1分)ベルを鳴らし続けてもでない、話し中、回線が混雑している状況のような理由で、電話がつながらないとき、制御部4は、つながらない電話番号をひとまずとばし、次の順番の電話番号に電話をかけさせる。そして、制御部4は、つながらなかった電話番号へのリダイヤルを通信部6に行わせ、登録された全て電話番号につながるまでリダイヤルを通信部6に行わせる(ステップ♯14)。そして、使用者管理情報54に登録された全ての電話番号に電話がつながり、安否確認連絡を送信できたとき、送信に関する本フローは終了する(エンド)。
【0056】
ここで、本実施形態の複合機100は、電話による安否確認連絡の電話と、電話による状況回答の受信を行えるように、電話回線通信部61に複数の電話回線が接続される。そして、複数の電話回線か複合機100に接続されているとき、制御部4は、全ての電話回線を用いて安否確認連絡を通信部6に行わせない。言い換えると、制御部4は、電話回線通信部61に複数の電話回線が接続されているとき、通信部6の複数のポート62のうち少なくとも1つを受信専用ポートとする。
【0057】
(電子メールの受信時の処理)
次に、図7を用いて、安否確認モード中に受信した1件の電子メールに関する処理を説明する。図7は、安否確認モード中に受信した1件の電子メールに関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
通信部6は、電子メール(インターネットファックスを含む)を受信できる。そして、使用者は、安否確認連絡に基づく回答であって、使用者の状況を知らせる状況回答を電子メールで行うことができる。安否確認連絡に基づいた電子メールを通信部6が受信したとき、制御部4は、電子メールに基づき、使用者の状況を認識する。
【0059】
まず、図7のスタートは、安否確認モード中の何れかの時点である。また、図7のスタートは、使用者管理情報54に登録された使用者からの電子メールを受信した時点である。尚、制御部4は、電子メールのヘッダ部分を確認し、使用者管理情報54に登録された使用者からの電子メールであることを認識する。また、制御部4は、使用者管理情報54とヘッダ部分に記載された電子メールの送信元アドレスに基づき、状況回答を送信した使用者がだれであるかを認識する。
【0060】
まず、制御部4は、使用者管理情報54に使用者の連絡先として登録されたアドレスから送信された電子メールが規定の形式に合っているか否かを確認する(ステップ♯21)。電子メールが規定の形式に合っているとき(ステップ♯21のYes)、制御部4は、受信した電子メールの内容を印刷部3に印刷させる(ステップ♯22→エンド)。例えば、画像データが添付されているとき、画像データもあわせて印刷する。つまり、制御部4は、通常の電子メールとして処理する。このように、安否確認モードでも通常の電子メールに対しては、通常どおりの処理がなされる。
【0061】
一方、電子メールが規定の形式(複合機100において、予め定められた受信電子メールの形式)に合っていないとき(ステップ♯21のNo)、制御部4は、規定の形式に合っていない電子メールに基づき、使用者の状況を確認する(ステップ♯23)。
【0062】
ここで、複合機100では、受信したとき、適切に印刷が行えるようにするため、複合機100で扱える電子メール(インターネットファックス)の形式が予め定められる。例えば、電子メールの形式として、印刷に関する設定事項の設定値を電子メールの所定の位置に記載する、添付された画像データの属性の記載を電子メールの所定の位置にする、電子メールに添付可能な画像データのタイプといった形式が規定される。なお、上記の例に限られず、適宜、形式を定めることができる。
【0063】
つまり、使用者は、安否確認連絡に対する状況回答として電子メールを送るとき、規定の形式にあわないように送信すればよい。緊急時、複合機100の規定の形式どおりに電子メールを作成することは難しい。制御部4は、上述の1文字メールや数字で状況を知らせるメールも、規定の形式に合致していないと判断する。
【0064】
尚、安否確認モードでないとき、規定の形式に合っていない電子メール(インターネットファックス)を受信したとき、制御部4は、形式に合っていない電子メールをエラーと判定する。
【0065】
規定の形式に合っていない電子メール(インターネットファックス)に使用者の状況を示す文字、図形、記号のような情報が含まれているとき、制御部4は、その情報に基づき使用者の状況を認識する。状況を回答するため、使用者は、電子メールや電話による安否確認連絡で説明された回答方法に即した電子メールを送信する。記憶部5は、制御部4が認識した各使用者の状況を記憶する。一方、使用者の状況を知らせる情報が電子メールに含まれていないとき、制御部4は、電子メールを送信した使用者の状況判断を保留し、未認識のままとする。
【0066】
また、問題があることを知らせる状況回答であるとき(規定の形式に合っていない電子メールが問題ありを知らせる状況回答のとき)、制御部4は、問題がありの状況回答を行った使用者に関する情報を他の印刷ジョブに優先して、印刷部3に印刷させる(ステップ♯24→エンド)。
【0067】
そして、1文字メールに含まれる文字が、安全を示す文字以外の文字であるときや、問題ありと見なすものとして、予め定められた文字(例えば、「けが」、「壊」、「浸水」)が電子メール(インターネットファックス)に含まれているとき、制御部4は、問題があることを知らせる状況回答と判定する。
【0068】
問題ありの状況回答と判定したとき、制御部4は、問題ありの状況回答を行った使用者の情報として、少なくとも当該使用者の名前を印刷部3に印刷させる。また、制御部4は、問題ありの状況回答を行った使用者の情報として、受信した電子メール(インターネットファックス)の本文やヘッダやフッダを印刷部3に印刷させてもよい。
【0069】
また、制御部4は、問題ありの状況回答を行った使用者の情報を優先的に印刷部3に印刷させる。例えば、問題ありの状況回答を受信した時点で複数の印刷ジョブがたまっているとき、制御部4は、現在実行中の印刷ジョブが完了すると、先にためられた印刷ジョブの前に、問題ありの状況回答を行った使用者の情報を印刷部3に印刷させる(印刷ジョブ間での割込)。また、問題ありの状況回答を受信した時点で印刷ジョブが実行されているとき、制御部4は、次に給紙部3aから給紙される用紙に、問題ありの状況回答を行った使用者の情報を印刷部3に印刷させるようにしてもよい(1つの印刷ジョブのページ間での割込)。
【0070】
(電話回線での着信時の処理)
次に、図8を用いて、安否確認モード中に電話回線の着信があったときの処理を説明する。図8は、安否確認モード中に電話回線で着信(着呼)があったときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0071】
通信部6は、電話回線を介し、ファクシミリ通信や通話を行うことができる。そして、使用者は、複合機100の電話番号に電話をかけることにより、安否確認連絡に基づく状況回答を行うことができる。
【0072】
まず、図8のスタートは、安否確認モード中の何れかの時点である。また、図8のスタートは、電話回線に着信があった時点である。
【0073】
まず、通信部6(若しくは制御部4)は、着信電話番号を確認する(ステップ♯31)。そして、制御部4は、着信電話番号が使用者管理情報54に使用者の連絡先として登録された電話番号であるか否かを確認する(ステップ♯32)。また、制御部4は、着信電話番号と使用者管理情報54に基づき、電話をかけてきている使用者はだれであるかを認識できる。
【0074】
登録された電話番号でないとき(ステップ♯32のNo)、第三者からのファクシミリ送信とみなせるので、制御部4は、ファクシミリとして受信する処理(ファクシミリ規格に基づく一連の受信処理)を通信部6に行わせる(ステップ♯33)。
【0075】
一方、登録された電話番号のとき(ステップ♯32のNo)、制御部4は、ファクシミリ受信処理を通信部6に行わせず、使用者の状況回答を通信部6に受信させる(ステップ♯34)。このとき、また、制御部4は、着信電話番号と使用者管理情報54に基づき、電話をかけてきている使用者はだれであるかを認識できる。
【0076】
制御部4は、状況回答を説明する音声として「安全である場合には、プッシュボタンの1を、問題がある場合には、プッシュボタンの2を押して下さい」というような音声が使用者の電話に流れるとように、通信部6に音声を流させる。そして、通信部6は、押されたプッシュボタンに応じた信号を受信する。制御部4は、通信部6が受信した信号に基づき、押されたプッシュボタンの番号を認識する。そして、制御部4は、押されたプッシュボタンの番号に基づき、使用者の状況を認識する(ステップ♯35)。
【0077】
尚、通話料の軽減のため、着信電話番号が使用者管理情報54に使用者の連絡先として登録された電話番号であるとき、制御部4は、電話の着信(着呼)のみで、着信電話番号に対応する使用者の安全が確保されたと認識してもよい。
【0078】
そして、電子メール又はインターネットファックスのときと同様に、問題があることを知らせる状況回答であるとき、制御部4は、問題ありの状況回答を行った使用者に関する情報を他の印刷ジョブに優先して、印刷部3に印刷させる(ステップ♯36→エンド)。
【0079】
(安否確認モード中のその他の処理)
次に、図9図10を用いて、安否確認モード中、発信、着信以外の処理を説明する。図9は、安否確認モード中、発信、着信以外になされる処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10は、安否確認画面73の一例を示す図である。
【0080】
まず、制御部4は、操作パネル1への識別情報の入力に基づき、使用者を識別(認証)できた否かを確認する(ステップ♯41)。続いて、使用者を識別したとき(ステップ♯41のYes)、制御部4は、識別した使用者が状況確認済の使用者(状況回答を受信した使用者)であるか否かを確認する(ステップ♯42)。そして、状況未確認の使用者であるとき(ステップ♯42のNo)、制御部4は、安否確認画面73を表示部11に表示させ、安否確認画面73でなされた操作に基づき当該使用者の状況を認識する(ステップ♯43)。
【0081】
図9に、安否確認画面73の一例を示す。安否確認画面73には、現在、画像形成装置を使用中(ログイン中)の使用者の状況を確認するための4つの回答キーK6〜K9が配される。各回答キーK6〜K9の内側には、「安全、無事」、「軽傷」、「重傷」、「その他」の文字の何れかが配される。使用者は、該当する状況の回答キーに対し操作を行う。制御部4は、回答キーK6〜K9のうち、操作されたキーに応じて、ログイン中の使用者の状況を認識する。これにより、携帯電話を無くした、充電が切れた、のような理由により、状況回答を返すことができない使用者の状況を認識できる。また、安否確認連絡の連絡先を1つも登録していない使用者の状況も認識することができる。
【0082】
ステップ♯41のNoのとき、ステップ♯42のYesのとき、及び、ステップ♯43の後、制御部4は、操作パネル1が安否確認の状況を示すレポート62(以下、「安否確認レポート62」と称する。)の印刷の指示を受け付けたか否かを確認する(ステップ♯44)。
【0083】
ここで、制御部4は、状況回答及び安否確認画面73での操作に基づき、使用者管理情報54に含まれるそれぞれの使用者の状況(回答)を記憶部5に記憶させている。操作パネル1に対して所定の操作を行うことにより、安否確認レポート62の印刷を指示することができる。言い換えると、操作パネル1は、安否確認レポート62の印刷指示を受け付ける。これにより、記憶部5の記憶内容(各使用者の状況)を印刷し、現在の安否確認状況が集約された書類を提供することができる。
【0084】
安否確認レポート62の印刷の指示がなされたとき(ステップ♯44のYes)、制御部4は、安否確認レポート62を印刷部3に印刷させる(ステップ♯45)。安否確認レポート62は、各使用者の名前、回答内容、回答日時のような情報が含まれる一覧(表)である。その様式は、適宜定めることができる。
【0085】
安否確認レポート62の印刷の指示がなされていないとき(ステップ♯44のNo)及びステップ♯45の後、制御部4は、状況回答の受信や安否確認画面73への入力により、使用者管理情報54に登録された全ての使用者の状況を認識したか否かを確認する(ステップ♯46)。なお、安否確認モード中、ネットワークNWや電話回線による状況回答の受信は、本フローと並行して随時行われている。
【0086】
全ての使用者の状況を認識できていないとき(ステップ♯46のNo)、フローはステップ♯41に戻る。一方、全ての使用者の状況を認識できたとき(ステップ♯46のYes)、制御部4は、安否確認モードを終了する(ステップ♯47)。その結果、複合機100も安否確認モードでは無くなる。そして、本フローは終了する(エンド)。
【0087】
尚、操作パネル1は、安否確認モードへの終了指示を受け付けるようにしてもよい。所定の終了指示の操作がなされたとき、操作パネル1は、終了指示がなされたことを制御部4に通知する。この通知を受けて、制御部4は、安否確認モードを終了するようにしてもよい。言い換えると、手動によって、安否確認モードを終了させることができる。
【0088】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、印刷を行う印刷部3と、外部からの災害の報知を受信する通信部6と、画面を表示するための表示部11と、画面に対するタッチ操作を受け付けるためのタッチパネル部12を含み、設定を行うための操作パネル1と、予め登録されたそれぞれの使用者の連絡先を含む使用者管理情報54を記憶する記憶部5と、通信部6が災害の報知を受信したとき、安否確認モードに移行し、安否確認モードになったとき、使用者管理情報54に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に、使用者の安否を確認するための安否確認連絡を通信部6に送信させ、安否確認連絡に基づいた状況回答を通信部6が受信したとき、状況回答に基づき、使用者の状況を認識する制御部4と、を含む。
【0089】
これにより、画像形成装置(複合機100)から、各使用者に対し、安否を問い合わせる連絡を行うとともに、使用者からの回答に基づき、各使用者の状況を把握することができる。また、状況回答を返信していない使用者は、いまだ、安全を確認できていない使用者と判定できる。従って、画像形成装置を、従業員のような使用者の安否確認に利用することができる。また、画像形成装置だけで安否確認システムを構築でき、新たに複数台のコンピューター400やサーバーや通信機器を購入して安否確認システムを構築しなくてすむ。しかも、災害時でないときは、通常の画像形成装置として使うことができ、専用の安否確認システムを設けるよりも効率的である。尚、緊急地震速報や、市町村が発する避難勧告を「災害の報知」とすることができる。
【0090】
又、記憶部5は、画像形成装置(複合機100)を利用する権限を有する使用者か否かを識別するための認証情報54aを含む使用者管理情報54を記憶する。操作パネル1は、使用者を識別するための識別情報の入力を受け付ける。制御部4は、認証情報54aと入力された識別情報に基づき使用者を識別し、安否確認モードであって識別した使用者が状況回答をまだ受信していない使用者であるとき、安否確認画面73を表示部11に表示させ、安否確認画面73でなされた操作に基づき当該使用者の状況を認識する。
【0091】
使用者は、画像形成装置(複合機100)からの安否確認連絡があったことに気付かない場合がある。また、連絡先として登録した通信機器を使えない状況である可能性もある。そこで、画像形成装置を利用しようとしている使用者に安否確認画面73を示し、安否確認画面73への入力に基づき、当該使用者の状況を把握することができる。また、当該使用者は、状況回答をせずにすむ。また、画像形成装置は、当該使用者の状況回答に関する通信処理を行わなくてすむ。
【0092】
又、制御部4は、安否確認モードになったとき、使用者管理情報54に使用者の連絡先として登録されたそれぞれのアドレスに向けて、電子メールによる安否確認連絡を通信部6に送信させる。これにより、災害時に、ネットワークNWを利用して、災害を知らせ、安否を確認するためのデータを使用者に送信することができる。
【0093】
又、制御部4は、安否確認モード中に使用者管理情報54に使用者の連絡先として登録されたアドレスから送信された電子メールであって規定の形式に合っていない電子メールを受信したとき、規定の形式に合っていない電子メールに基づき、使用者の状況を確認する。
【0094】
これにより、安否確認連絡に対する使用者からの電子メール(インターネットファックスを含む)による返信を安否確認に利用することができる。なお、規定の形式とは、制御部4や通信部6が正当な電子メール(インターネットファックス)と認定する予め定められた様式である。例えば、制御部4(若しくは通信部6)は、画像形成装置(複合機100)で扱うことができないとされているファイル(例えば、文書ファイル)が添付されているときや、TIFFやJPEGのような所定の画像ファイルが添付されていないとき、メールのデータに規定の内容が記載されていないときに形式に合っていないと判断する。これにより、状況回答として、使用者は、1文字メールのような規定に合わない電子メール又はインターネットファックスを送信すればよい。
【0095】
又、制御部4は、安否確認モード中に規定の形式に合う電子メールを受信したとき、受信した電子メールの内容を印刷部3に印刷させる。これにより、安否確認モード中でも、状況回答ではないとみなせる電子メール又はインターネットファックスを受信したとき、通常通り、電子メール又はインターネットファックスに基づく印刷を行うことができる。
【0096】
又、通信部6は、電話回線を用いて通信するためのポート62を複数含む電話回線通信部61を有する。制御部4は、安否確認モードになったとき、使用者管理情報54に登録されたそれぞれの使用者の連絡先に電話をかけることによる安否確認連絡を通信部6に行わせ、電話による状況回答を受信し、電話回線通信部61に複数の電話回線が接続されているとき、全ての電話回線を用いて安否確認連絡を通信部6に行わせず、複数のポート62のうち少なくとも1つを受信専用ポートとする。
【0097】
これにより、電話による安否確認連絡を行うようにすることもできる。また、複数の電話回線が接続されているとき、全ての電話回線を用いた安否確認連絡は行わない。複数の電話回線のうち、少なくとも1つの回線は、状況回答の電話を受けるための回線として開けておくことができる。従って、全ての電話回線を用いて安否確認連絡を行う場合に比べ、電話による使用者からの状況回答を確実に受けることができる。
【0098】
又、通信部6は、安否確認モード中の着信電話番号を確認する。制御部4は、着信電話番号が使用者管理情報54で使用者の連絡先として登録された電話番号であるとき、ファクシミリとして受信する処理を通信部6に行わせず、状況回答を通信部6に受信させる。
【0099】
画像形成装置(複合機100)には、電話の着信を受けたとき、自動的にファックスとしての受信を開始するように設定されているものがある。ファクシミリ受信処理がなされると、電話による使用者の状況回答を受けることができない。そこで、電話番号が使用者の連絡先として登録されたものであるとき、ファクシミリとして受信する処理を行わないようにする。従って、電話による使用者からの状況回答を確実に受けることができる。また、使用者からの電話連絡であるのに、ファックスの受信処理のような無駄な処理がなされることを避けることができる。
【0100】
又、通信部6は、安否確認モード中の着信電話番号を確認する。制御部4は、着信電話番号が使用者管理情報54に使用者の連絡先として登録された電話番号であるとき、着信電話番号に対応する使用者の安全が確保されたと認識する。電話回線を利用した通話では、通話料が発生する。そこで、電話番号の着信(着呼)を状況回答と見なすことで、通話料の発生を防ぐことができる。対象とする使用者が多いとき、特に効果が高い。
【0101】
又、問題があることを知らせる状況回答を通信部6が受信したとき、制御部4は、問題があることを知らせる状況回答を行った使用者に関する情報を、他の印刷ジョブに優先して、印刷部3に印刷させる。
【0102】
これにより、救助や状況を詳しく知るべき必要性が高い使用者に関する印刷が、優先的になされる。印刷物によって、詳細な状況を迅速に確認すべき使用者を確認することができる。尚、安全ではないことを知らせるとき、状況回答に含めるキーワード(文字、合い言葉)や、方法を予め定めておく。
【0103】
又、操作パネル1は、使用者管理情報54に登録されたそれぞれの使用者の回答の状況を示すレポート62の印刷指示を受け付ける。制御部4は、操作パネル1がレポート62の印刷指示を受け付けたとき、レポート62を印刷部3に印刷させる。これにより、現在の安否確認状況を容易に確認することができる。
【0104】
又、制御部4は、使用者管理情報54に登録された全ての使用者の状況を認識したとき、安否確認モードを終了する。これにより、全員の安否確認がとれ、安否確認モードを終了してよい状態となったとき、使用者による操作を行うことなく自動的に安否確認モードが終了する。
【0105】
又、操作パネル1は、安否確認モードへの移行指示と、安否確認モードの終了指示を受け付ける。制御部4は、操作パネル1が移行指示を受け付けたとき、安否確認モードに移行し、操作パネル1が終了指示を受け付けたとき、安否確認モードを終了する。これにより、操作パネル1への入力という手動によって、画像形成装置(複合機100)(制御部4)を安否確認モードにしたり、安否確認モードを終了させたりすることができる。例えば、災害の報知が誤報であったとき、素早く安否確認モードを終わらせることができる。
【0106】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、通信部を含む画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0108】
100 複合機(画像形成装置) 1 操作パネル
11 表示部 12 タッチパネル部
3 印刷部 4 制御部
5 記憶部 54 使用者管理情報
54a 認証情報 6 通信部
61 電話回線通信部 62 ポート
73 安否確認画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10