(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、車両のインストルメントパネルに、空調装置から送られてきた空気を吹き出す空調用レジスタを設けた構成が知られている。(例えば、特許文献1など)。
特許文献1に記載の空調用レジスタには、空調用空気の通風路を形成するケースが設けられており、このケース内には、左右方向に延びる横フィンと、同横フィンよりも空調用空気の流れ方向上流側に位置し、上下方向に延びる縦フィンとが傾動可能に設けられている。横フィンには同横フィンに沿って摺動可能なノブが取り付けられている。ノブと縦フィンとの間にはノブの摺動に伴い縦フィンを傾動させるギア機構が設けられている。
【0003】
こうした空調用レジスタでは、横フィンを傾動させたり、横フィンに取り付けられているノブを操作して縦フィンを傾動させたりすることによって、空調用空気の吹き出し方向を変更する。
【0004】
ところで、上記構成のように通風路にギア機構を設けている場合には、通風面積が減少して圧力損失が大きくなる。そのため、特許文献2に記載の空調用レジスタでは、こうしたギア機構を設けずに、ノブと縦フィンとを連動させるようにしている。
【0005】
図18に示すように、特許文献2に記載の空調用レジスタでは、横フィン100に取り付けられたノブ101と縦フィン102との間にフォーク103が設けられている。フォーク103は、ノブ101側の端部が三股に分かれており、三股に分かれた端部のうち左端に位置する左端部104と右端に位置する右端部105とには、左右方向に延びる連結軸106が設けられている。ノブ101のフォーク103側の端部には、フォーク103側に突出して貫通孔が形成された一対の連結壁107と、同連結壁107と対向する支持壁108とが設けられている。そして、連結壁107を弾性変形させた状態で貫通孔に連結軸106を挿通し、連結壁107と支持壁108との間にフォーク103の端部104,105を組み付けることにより、フォーク103とノブ101とが連結されている。
【0006】
また、縦フィン102には、横フィン100側から切り欠かれた切り欠き部109が設けられている。そして、この切り欠き部109の周縁部における上部と下部とが係合軸110によって接続されている。フォーク103には、縦フィン102側に延びる一対の係合壁111が設けられており、この係合壁111が縦フィン102の係合軸110を左右から挟んでいる。
【0007】
このため、ノブ101を横フィン100に沿って左右方向に移動させると、係合壁111が係合軸110を移動させて縦フィン102が傾動する。
なお、こうした空調用レジスタでは、空調用空気の吹き出しを停止させるために、通風路を閉塞させるシャットダンパが設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、空調用レジスタの一実施形態について、
図1〜
図12を参照して説明する。本実施形態では、車両のインストルメントパネルに設けられ、車室内に空調用空気を吹き出す空調用レジスタを例に説明する。なお、以下では、車幅方向を左右方向とし、車両前方に向かって左手側を左右方向における左側、右手側を左右方向における右側とする。また、車両上下方向を単に上下方向とする。
【0021】
図1に示すように、空調用レジスタ1には、左右方向に延びて相対向する一対の壁部2と、上下方向に延びて相対向する一対の壁部3とにより、四角筒形状に形成されたケース4が設けられている。ケース4の正面には、空調用空気が吹き出される開口5が設けられている。ケース4は、通風ダクトを通じて空調装置に接続されており、内部に空調装置から送られてきた空調用空気の通路(以下、通風路という)が形成されている。したがって、空調用空気の流れ方向では、空調装置に近い側が上流側となり、空調装置から遠い側、すなわち開口5側が下流側となる。また、ケース4の開口5から各壁部2,3と平行に奥に向かって延びる方向を通風路の延伸方向とする。
【0022】
図2及び
図3に示すように、ケース4内には、下流側リテーナ6と上流側リテーナ7とが設けられている。各リテーナ6,7は、四角枠状をなし、それぞれフィン8,9が設けられる。
【0023】
図2に示すように、下流側リテーナ6には、通風路の延伸方向と直交する左右方向(第1方向)に延びる第1フィンとしての横フィン8が取り付けられる。横フィン8は、板状に形成されており、上下方向に複数(本実施形態では3つ)並んで設けられている。
【0024】
各横フィン8には、下流側の端部に左右方向に延びる回転軸10が設けられている。これら回転軸10の右端部には、支持板11が取り付けられる。支持板11には、上下方向における中央部に上流側から切り欠かれた溝12が設けられ、この溝12の上下に、支持孔を有し、右方に突出した筒形状の係止部13が設けられている。
【0025】
ここで、各横フィン8のうち上下方向における中央に位置する中央横フィン81は、回転軸10の右端に拡径部14が設けられており、回転軸10の右端部が括れた形状になっている。このため、この括れた部分を支持板11の溝12に差し込むとともに、他の横フィン8の回転軸10を支持板11の係止部13に挿通することによって、各横フィン8が支持板11に組み付けられる。
【0026】
また、各横フィン8の右端部には、回転軸10よりも上流側に、右方に突出した連動軸15が設けられている。各連動軸15には、支持孔が形成された板状の伝達部材16が組み付けられる。
【0027】
一方、下流側リテーナ6の左壁17には、3つの支持孔18が設けられている。また、下流側リテーナ6の右壁19には、下流側から切り欠かれた切り欠き部20が上下方向に3つ並んで設けられている。上下方向に並んで設けられた切り欠き部20のうち中央の切り欠き部201の周縁部には、同切り欠き部201を囲う囲い壁21が突設されている。
【0028】
また、下流側リテーナ6には、支持孔を有し、中央の切り欠き部201の囲い壁21に係止される係合片22が設けられている。
こうした構成を備える下流側リテーナ6には、例えば次のようにして、横フィン8が組み付けられる。
【0029】
すなわち、各横フィン8の右端部に支持板11と伝達部材16を組み付けて、各横フィン8の回転軸10の左端部を下流側リテーナ6の左壁17に設けられた支持孔18に挿通する。そして、各横フィン8の右端部に組み付けられた支持板11の係止部13を、下流側リテーナ6の右壁19に設けられた切り欠き部20のうち上方と下方に設けられた切り欠き部20にそれぞれ係止させる。これにより、各横フィン8が下流側リテーナ6の内部に配設されるとともに、中央横フィン81の回転軸10に設けられた拡径部14が、下流側リテーナ6の右壁19に設けられた中央の切り欠き部201内に位置した状態になる。そして、この中央横フィン81の拡径部14に支持孔を介して係合片22を組み付けつつ、同係合片22を囲い壁21に係止させる。これにより、各横フィン8は、それぞれが上下方向において離間して平行に並んだ状態で、下流側リテーナ6に回動可能に支持される。なお、伝達部材16は、各横フィン8の連動軸15に組み付けられており、下流側リテーナ6に対して変位可能になっている。
【0030】
また、空調用レジスタ1には、中央横フィン81に取り付けられるノブ23が設けられている。ノブ23は、中央横フィン81の上面を覆う第1部材24と、下面を覆う第2部材25とからなる。ノブ23には、フォーク26が連結される。
【0031】
次に、
図3を参照して、上流側リテーナ7の構成について説明する。
図3に示すように、上流側リテーナ7には、通風路の延伸方向及び左右方向(第1方向)の双方に直交する上下方向(第2方向)に延びる第2フィンとしての縦フィン9が取り付けられる。縦フィン9は、板状に形成されており、左右方向に複数(本実施形態では7つ)並んで設けられている。
【0032】
各縦フィン9には、上下方向に延びる回転軸27が設けられている。また、各縦フィン9の右側面には、回転軸27よりも上流側の位置に上方に突出した連動軸28が設けられている。
【0033】
各縦フィン9のうち、左右方向における中央に位置する中央縦フィン91には、下流側から切り欠かれた切り欠き部29が設けられている。そして、この切り欠き部29の周縁部における上部と下部とが係合軸30によって接続されている。
【0034】
一方、上流側リテーナ7の下壁31には、下流側から切り欠かれた複数の切り欠き溝32が設けられている。また、上流側リテーナ7の上壁33には、下壁31に設けられた切り欠き溝32と対向する位置に、支持溝34が形成されている。そして、これら切り欠き溝32及び支持溝34に各縦フィン9の回転軸27を挿通することによって上流側リテーナ7内に縦フィン9が配設される。
【0035】
また、上流側リテーナ7には、下壁31に固定されて、同下壁31の切り欠き溝32の開口を塞ぐ封止板35が設けられている。このため、例えば、各縦フィン9の回転軸27を切り欠き溝32と支持溝34とに挿通して、上流側リテーナ7内に縦フィン9が配設された状態で、切り欠き溝32の開口を塞ぐように封止板35を下壁31に固定すれば、各縦フィン9の回転軸27が封止板35と切り欠き溝32の間に挟まれて所定の位置に支持される。その結果、上流側リテーナ7に縦フィン9が回転可能に支持される。
【0036】
また、上流側リテーナ7には、各縦フィン9に設けられた連動軸28を支持する複数の支持孔が形成された伝達部材36が設けられている。この伝達部材36は、上流側リテーナ7に縦フィン9が組み付けられたときに連動軸28に組み付けられた状態で上流側リテーナ7に変位可能に収容される。
【0037】
図2及び
図3に示すように、上流側リテーナ7には、上壁33から上方に突出する係止爪37と下壁31から下方に突出する係止爪37とが設けられている。また、下流側リテーナ6の上流側の端部には、上壁及び下壁から上流側に突出して係止爪37と係合する係止孔が形成された係合片38が設けられている。そして、係止爪37と係止孔とを係合させることによって係合片38を介して上流側リテーナ7と下流側リテーナ6とが連結される。このように、各縦フィン9が組み付けられた上流側リテーナ7と、各横フィン8が組み付けられた下流側リテーナ6とを連結した状態では、縦フィン9が横フィン8よりも空調用空気の流れ方向において上流側に位置する。
【0038】
また、下流側リテーナ6の下流側には、上壁から上方に突出する係止爪39と下壁から下方に突出する係止爪39とが設けられている。また、ケース4の正面を構成する蓋体401には、その上端部又は下端部から下流側に突出して、係止爪39と係合する係止孔が形成された係合片40が設けられている。そして、係止爪39と係止孔とを係合させることによって係合片40を介して下流側リテーナ6と蓋体401とが連結される。
【0039】
そして、
図1に示すように、これらの部材が連結された状態で各リテーナ6,7を覆うようにして各壁部2,3が組み付けられることによって、空調用レジスタ1が構成されている。
【0040】
次に、
図4〜
図6を参照して、中央横フィン81に取り付けられるノブ23及びフォーク26の構成について詳細に説明する。
図4に示すように、ノブ23は、中央横フィン81が挿通される摺動溝64を有し、同中央横フィン81に摺動可能に取り付けられている。ノブ23は、中央横フィン81の上面41を覆う第1部材24と、中央横フィン81の下面42を覆う第2部材25とからなり、下流側の端部に一対の連結溝43が形成されている。
【0041】
図5に示すように、第1部材24と第2部材25とは、分離可能に形成されている。第1部材24の下流側端部には、左右方向において一対の壁面44を有する半円柱状の内側部45が設けられている。内側部45は、その下端が第1部材24の他の部分よりも下方に位置している。なお、内側部45は、窪み46が形成されている。
【0042】
一方、第2部材25には、下流側端部の左右方向における両端に外側部47が設けられている。各外側部47は、半円柱状に形成され、相対向する一対の壁面48が設けられている。各外側部47は、その上端が第2部材25の他の部分よりも上方に位置している。
【0043】
第2部材25では、外側部47の相対向する一対の壁面48の間の左右方向における長さが、第1部材24に設けられた内側部45の左右方向における長さよりも長くなっている。また、第1部材24では、第1部材24と第2部材25とを組み合わせたときに、左右方向において、内側部45が各外側部47の間の略中央に位置するように内側部45が設けられている。
【0044】
こうした構成を備える第1部材24と第2部材25とが連結されると、内側部45の壁面44と外側部47の壁面48とが間に隙間を形成して対向し、連結溝43を構成する。すなわち、内側部45の壁面44が連結溝43における相対向する対向壁のうち内側に位置する内側対向壁を構成し、外側部47の壁面48が連結溝43における相対向する対向壁のうち外側に位置する外側対向壁を構成する。
【0045】
ここで、第1部材24には、内側部45の壁面44に円柱状の凸部49が形成されている。この凸部49には、フォーク26が連結される。
図6に示すように、フォーク26は、ノブ23の連結溝43に挿通される一対の連結部50を有している。連結部50には、左右方向に延びる嵌合孔51が設けられている。また、各連結部50を繋ぐ結合部52には、上流側、すなわち第2フィン側に突出し、左右方向において相対向する一対の係合壁53が設けられている。なお、結合部52は、中央がノブ23側に突出するように湾曲した形状になっている。
【0046】
こうしたノブ23とフォーク26とは、例えば次のようにして中央横フィン81及び中央縦フィン91に組み付けられる。
まず、ノブ23の第1部材24と第2部材25とが分離した状態で、フォーク26の一対の連結部50のうち一方の連結部50に設けられた嵌合孔51を、第1部材24の内側部45の壁面44のうち一方の壁面44に設けられた凸部49に嵌合する。そして、各連結部50の間を拡げるようにフォーク26を弾性変形させて、一対の連結部50によって内側部45を挟むように、第1部材24の内側部45の他方の壁面44に設けられた凸部49に他方の連結部50の嵌合孔51を嵌合する。
【0047】
図7に示すように内側部45にフォーク26が組み付けられると、次に、内側部45が設けられた第1部材24と外側部47が設けられた第2部材25とによって中央横フィン81を上下に挟むようにしてこれらを組み付ける。
【0048】
これにより、
図8に示すように、一対の連結溝43が形成されたノブ23を構成し、この連結溝43に連結部50が挿通された状態になる。
そして、
図4に示すように、中央縦フィン91に設けられた係合軸30をフォーク26の係合壁53の間に挟んだ状態で、上流側リテーナ7と下流側リテーナ6を連結する。
【0049】
なお、
図9に示すように、連結溝43は、左右方向における幅wが、同連結溝43に挿入される連結部50の左右方向における長さl1と凸部49の左右方向における長さl2とを加算した長さよりも狭くなっている(w<l1+l2)。すなわち、凸部49の長さl2は、連結溝43と連結部50との隙間の左右方向における長さ(=w−l2)よりも長くなっている。
【0050】
次に、
図10及び
図11を参照して、こうした空調用レジスタ1の動作について説明する。
図10(a)に示すように、通風路には、上下方向に並んで3つの横フィン8が設けられており、各横フィン8が水平になっている場合には、通風路を流れてきた空調用空気が開口5から水平方向に吹き出される。
【0051】
一方、
図10(b)に示すように、ノブ23を操作したり中央横フィン81を直接操作したりして、中央横フィン81の上流側の端部を水平方向に対して下方に移動させるように回転軸10を中心に中央横フィン81を傾動させると、中央横フィン81の回転軸10よりも上流側に設けられている連動軸15が下方に変位する。このため、この連動軸15に嵌合している伝達部材16が押し下げられる。これにより、中央横フィン81の上下に設けられている各横フィン8でも、伝達部材16に嵌合している連動軸15が下方に変位し、回転軸10を中心として上流側の端部が下方に移動する。このように、中央横フィン81の上流側の端部を下方に移動させるように中央横フィン81を傾けることで、中央横フィン81の上下方向に離間して設けられている各横フィン8の上流側の端部も下方に移動し、全ての横フィン8が下流側ほど上方に向かうように傾動して通風路を流れる空調用空気が上方に向けて吹き出されるようになる。
【0052】
他方、
図10(c)に示すように、ノブ23を操作したり中央横フィン81を直接操作したりして、中央横フィン81の上流側の端部を上方に移動させるように回転軸10を中心に中央横フィン81を傾動させると、中央横フィン81の連動軸15が上方に変位し、伝達部材16が押し上げられる。これにより、中央横フィン81の上下に設けられている各横フィン8でも、伝達部材16に嵌合している連動軸15が上方に変位し、回転軸10を中心として上流側の端部が上方に傾動する。このように、中央横フィン81の上流側の端部を上方に移動させるように中央横フィン81を傾けることで、上下に離間して設けられている各横フィン8の上流側の端部も上方に移動し、全ての横フィン8が下流側ほど下方に向かうように傾動して通風路を流れる空調用空気が下方に向けて吹き出されるようになる。
【0053】
なお、こうして中央横フィン81が傾動すると、中央横フィン81に取り付けられているノブ23や同ノブ23に連結されているフォーク26も傾動する。フォーク26の係合壁53は、係合軸30を左右方向に挟んではいるが、上下方向には挟んでいないため、こうして横フィン8が傾動しても、縦フィン9は傾動しない。
【0054】
また、
図11(a)に示すように、通風路には、左右方向に並んで複数の縦フィン9が設けられており、各縦フィン9が通風路の延伸方向に対して平行になっている場合には、通風路を流れてきた空調用空気が開口5から通風路の延伸方向に沿って吹き出される。
【0055】
一方、
図11(a)に示す状態から
図11(b)に示すように、中央横フィン81に沿って右方向にノブ23を摺動させると、フォーク26を介して、中央縦フィン91の係合軸30が右側に移動する。こうして係合軸30が右側に移動すると、回転軸27を中心として、中央縦フィン91は下流側の端部を右側に移動させるように傾動する。すると、中央縦フィン91の回転軸27よりも上流側に設けられている連動軸28は左側に変位し、同連動軸28が嵌合している伝達部材36が左側に移動する。これにより、中央縦フィン91の左右に設けられている各縦フィン9では、伝達部材36に嵌合している連動軸28が左側に変位して、各縦フィン9が下流側の端部を右側に移動させるように傾動する。このように、ノブ23を操作して中央縦フィン91の下流側の端部を右側に移動させることで、左右に設けられている各縦フィン9の下流側の端部も右側に移動し、全ての縦フィン9が下流側ほど右側に向かうように傾動して通風路を流れる空調用空気が右側に向けて吹き出されるようになる。
【0056】
そして、
図11(c)に示すように、ノブ23を中央横フィン81に沿って更に右方向に摺動させると、各縦フィン9が更に傾動し、隣り合う縦フィン9同士が当接する。こうして各縦フィン9が当接すると、通風路が閉塞された状態になり、空調用レジスタ1からの空調用空気の吹き出しが抑制される。
【0057】
他方、こうした状態からノブ23を左方向に摺動させることで、各縦フィン9の下流側の端部を左側に移動させて通風路を開放し、空調用空気の吹き出しを再開させることができる。そして、ノブ23を更に左方向に摺動させて縦フィン9の下流側の端部を通風路の延伸方向に対して左側に移動させ、各縦フィン9を下流側ほど左側に向かうように傾動させることにより、各縦フィン9に沿って空調用空気が左側に向けて吹き出されるようになる。
【0058】
次に、こうした構成を備える空調用レジスタ1の作用について説明する。
図12に示すように、縦フィン9を大きく回動させて通風路を閉塞した場合には、係合軸30の位置が上流側に移動して、フォーク26の係合壁53の先端側に係合軸30が位置することになる。ノブ23を操作して縦フィン9を傾動させるときに、フォーク26に横方向の反力が作用するが、フォーク26の連結部50に作用する反力は、係合軸30が連結溝43から離れるほど大きくなる。このため、縦フィン9によって通風路を閉塞している状態から縦フィン9を傾動させるときには、縦フィン9からの反力によってフォーク26の連結部50に大きな荷重が作用する。
【0059】
本実施形態では、
図9に示すように、連結溝43の左右における幅wが、連結部50の左右方向における長さl1と凸部49の左右方向における長さl2とを加算した長さよりも狭くなっている。このため、反力によってフォーク26の連結部50が連結溝43内で左右方向に移動したとしてもノブ23の凸部49がフォーク26の嵌合孔51から抜ける前に連結部50が内側部45の壁面44(内側対向壁)または外側部47の壁面48(外側対向壁)に当接する。これにより、内側部45や外側部47によってフォーク26の変位が制限され、凸部49が嵌合孔51から抜けてしまうことが抑制される。
【0060】
また、ノブ23では、内側対向壁を構成する内側部45と外側対向壁を構成する外側部47とを別体に形成している。そのため、内側部45と外側部47とを組み合わせる前には、フォーク26の連結部50同士を開くように弾性変形させて内側部45に設けられた凸部49とフォーク26の連結部50に設けられた嵌合孔51とを嵌合させることができる。
【0061】
また、ノブ23を、中央横フィン81の上面41を覆う第1部材24と、中央横フィン81の下面42を覆う第2部材25とによって構成し、第1部材24に内側部45を設け、第2部材25に外側部47を設けている。このため、第1部材24と第2部材25とを中央横フィン81を上下に挟むようにして組み付けることで、ノブ23に一対の連結溝43が形成される。
【0062】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)連結溝43の左右方向における幅wを、連結溝43に挿入される連結部50の左右方向における長さl1と凸部49の左右方向における長さl2とを加算した長さよりも狭くした。このため、内側部45や外側部47でフォーク26の変位が制限され、ノブ23からフォーク26が外れにくくなる。
【0063】
(2)内側対向壁を構成する内側部45と外側対向壁を構成する外側部47とが別体であるため、内側部45と外側部47とを組み合わせる前に、嵌合孔51に凸部49を嵌合させるようにすれば、フォーク26の連結部50を弾性変形させて嵌合孔51に凸部49を容易に嵌合させることができる。
【0064】
(3)内側部45が設けられた第1部材24と外側部47が設けられた第2部材25とを中央横フィン81を挟むようにして組み付けて連結溝43を形成するようにした。このため、第1部材24と第2部材25とを中央横フィン81を上下に挟むようにして組み付けることで、ノブ23に一対の連結溝43が形成される。したがって、ノブ23を中央横フィン81に組み付ける作業と内側部45と外側部47とを組み合わせて連結溝43を形成する作業とを別々に行う場合に比べて作業工数が減少し、空調用レジスタ1の組み立てが容易になる。
【0065】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・凸部49の形状は円柱状に限らない。例えば、半球状であってもよい。なお、こうして凸部49を半球状に形成した場合には、凸部49の頂部での左右方向における長さが凸部49の左右方向における長さl2になる。
【0066】
・空調用レジスタ1の通風路の断面形状は適宜変更できる。要するに、ケース4は四角筒状に限らず、円筒状や他の形状であってもよい。
・
図13に示すように、ノブ23の第2部材25の外側部47の対向する壁面に凸部54を形成し、この凸部54にフォーク26の嵌合孔51を嵌合させるようにしてもよい。
【0067】
・
図14に示すように、フォーク26の連結部50に左右方向における外方に延びる凸部55を形成するとともに、第2部材25の外側部47の対向する壁面にこの凸部55と嵌合する凹部56を形成して、これら凸部55と凹部56との嵌合によってフォーク26を第2部材25に連結するようにしてもよい。
【0068】
・
図15に示すように、フォーク26の連結部50に左右方向における内方に向かって延びる凸部57を形成するようにしてもよい。すなわち、フォーク26の連結部50に一方の連結部50から他方の連結部50に延びる凸部57を形成するとともに、第1部材24の内側部45の壁面44にこの凸部57と嵌合する凹部58を形成し、これら凸部55と凹部58との嵌合によってフォーク26を第1部材24に連結するようにしてもよい。
【0069】
・ノブの構成としては、上述したものに限らず、例えば
図16及び
図17に示す構成を採用してもよい。
図16に示すように、ノブ59には、横フィン8が左右方向に差し込まれる摺動溝60が形成された本体部61が設けられている。本体部61は、上下方向に相対向する上壁部62及び下壁部63と、通風路の延伸方向に相対向する前壁部65及び後壁部66を有している。後壁部66には、一対の対向する壁面48を有する外側部47が設けられている。上壁部62は、その一部が切り欠かれている。
【0070】
また、ノブ59には、上壁部62の切り欠かれた形状に沿った形状を有する補助板部69が設けられている。本体部61と補助板部69とは別体に形成されており、補助板部69は本体部61の前壁部65の内面に蝶番などの回動機構を介して組み付けられている。補助板部69には、回動機構が組み付けられる端部と反対側に位置する端部に内側部45が設けられており、この内側部45の壁面44に設けられた凸部49を介してフォーク26が連結されている。こうした構成では、補助板部69を回動機構を中心に回動させて本体部61に組み付けることで、一対の連結溝43を備えるノブを構成することができる。
【0071】
また、
図17に示すように、ノブ70を左右方向に3つに分割して、内側部45を備える中心部71と外側部47を備える右側部72及び左側部73とで構成してもよい。こうした場合には、右側部72及び左側部73に設けられた係止爪74を中心部に設けられた係止孔75に係合させることで、一対の連結溝を備えるノブを構成することができる。
【0072】
・空調用空気の流れ方向において上流側に設けられるフィンを上下方向に延びる縦フィン9とし、空調用空気の流れ方向において下流側に設けられるフィンを左右方向に延びる横フィン8としたが、上流側に設けられるフィンの延びる方向と下流側に設けられるフィンの延びる方向とが直交しているのであれば、フィンの延びる方向は適宜変更可能である。例えば、空調用空気の流れ方向において上流側に左右方向に延びる横フィンを設け、同横フィンよりも空調用空気の流れ方向において下流側に上下方向に延びる縦フィンを設けるようにしてもよい。こうした構成では、縦フィンに摺動可能にノブを取り付けて、同ノブと横フィンとを連結するフォークを設ける。こうした構成であっても、ノブの連結溝に上記構成を適用することで、上記(1)と同様の効果を得ることができる。