【実施例】
【0016】
以下に、弁一体型フィルタにかかる実施例について、図面を参照して説明する。
本例の弁一体型フィルタ1は、
図1、
図2に示すように、流体Rが流れる通路部材2と、通路部材2の一方の第1開口部21に配置され、第1開口部21を開閉する開閉弁3と、通路部材2の他方の第2開口部22に配置され、流体Rを通過させる多数の通過孔411を有するとともに、流体Rに混入した異物Xの通過を阻止して、異物Xを捕集するフィルタ4と、通路部材2の第1開口部21の周囲に設けられた異物受皿5とを備えている。開閉弁3は、
図3に示すように、開閉弁3が第1開口部21を閉じて、フィルタ4への流体Rの流れが遮断されたときに、フィルタ4に捕集された異物Xの落下を受け止めるよう構成されている。異物受皿5は、
図4に示すように、開閉弁3に受け止められた異物Xが、開閉弁3が第1開口部21を開ける動作に伴って集められるよう構成されている。
【0017】
以下に、本例の弁一体型フィルタ1について、
図1〜
図5を参照して詳説する。
図5に示すように、本例の弁一体型フィルタ1は、バーナ71によって加熱された熱風が流体Rとして供給される乾燥炉6の入口61に配設されて用いられる。乾燥炉6は、塗装を行った金属製のワーク8の塗装表面を、熱風によって乾燥するものである。バーナ71の出口712と乾燥炉6の入口61とは入口側ダクト73によって接続されており、乾燥炉6の出口62とバーナ71の入口711とは、出口側ダクト74によって接続されている。そして、バーナ71の燃焼によって生成される熱風(流体R)は、乾燥炉6に供給された後、再びバーナ71に循環される。
【0018】
入口側ダクト73は、配管途中で複数のダクト分岐部731に分岐しており、弁一体型フィルタ1は、ダクト分岐部731の下流側端部と、乾燥炉6の入口61とに跨って配置されている。乾燥炉6の入口61付近には、流体Rの流れを整流する整流ボックス63が配置されている。流体ボックス63は、流体Rが流出するための複数の流出口631を有している。弁一体型フィルタ1のフィルタ4は、整流ボックス63内に配置されている。
【0019】
出口側ダクト74におけるバーナ71の入口711付近には、フレッシュエアとしての外気を取り込む外気入口75と、外気から混入した異物、又は乾燥炉6、出口側ダクト74において発生した異物を捕集するための捕集フィルタ76が設けられている。入口側ダクト73におけるバーナ71の出口712付近には、バーナ71によって生成された熱風を乾燥炉6へ送り出すためのファン72が設けられている。
【0020】
図5に示すように、弁一体型フィルタ1における通路部材2は、入口側ダクト73のダクト分岐部731内に配置されている。開閉弁3は、通路部材2の下方に位置する第1開口部21に、上方に向けて開くように配置されている。フィルタ4は、通路部材2の上方に位置する第2開口部22から上方に配置されている。
【0021】
図1に示すように、開閉弁3は、第1開口部21に近い下側に回動軸部31を有している。開閉弁3は、回動軸部31を中心に上方に回動して、第1開口部21を開ける開位置301になり、回動軸部31を中心に下方に回動して、第1開口部21を閉じる閉位置302になるよう構成されている。通路部材2には、開閉弁3に閉位置302に回動するための自重が作用する状態で、開閉弁3の開位置301への回動を止めるストッパー23が設けられている。ストッパー23は、開位置301に回動した開閉弁3に当接する位置に設けられている。
【0022】
ストッパー23の上面は、異物Xが蓄積することを防止するために、傾斜状に形成されている。本例の第1開口部21は、通路部材2の下方位置において、水平方向に並んで一対に形成されている。開閉弁3は、一対の第1開口部21において、通路部材2の内側に位置する回動軸部31の回りに回動するよう構成されている。
なお、開閉弁3の回動軸部31は、通路部材2の外側に配置することもできる。また、開閉弁3は、1つの第1開口部21に対して1つ又は複数設けることもできる。
【0023】
また、ストッパー23には、開位置301に回動した開閉弁3を閉位置302に付勢するためのバネ等の弾性部材を設けることができる。この場合には、弾性部材によって、開位置301に開いた開閉弁3に対して、閉位置302に回動するための力を付与することができ、開閉弁3を自重によって開位置301から閉位置302へ回動させることが容易になる。
【0024】
図1、
図2に示すように、本例の開閉弁3は、下方から上方への流体Rを通過させる一方、上方から下方へは流体Rを通過させないチャッキ弁として作用する。すなわち、開閉弁3は、下方からの流体Rの流れによる圧力を受けて上方へ回動して第1開口部21を開け、かつ、流体Rの流れによる圧力を受けなくなったときに自重によって下方へ回動して第1開口部21を閉じるよう構成されている。開閉弁3が閉位置302にあるときには、開閉弁3における、回動軸部31が形成されていない各端部32が、異物受皿5の上に載置されている。そして、開閉弁3は、閉位置302から、上方にのみ回動するよう構成されている。
【0025】
異物受皿5は、通路部材2の第1開口部21の周囲に形成された受皿として形成されている。異物受皿5を構成する受皿は、通路部材2における、第1開口部21の縁部を上方に折り曲げることによって形成されている。
また、開閉弁3の各端部32は、異物受皿5内に配置されるよう、開閉弁3の本体部から屈曲して形成されている。
【0026】
図3、
図4に示すように、異物受皿5は、開閉弁3が閉位置302から開位置301へ回動するときに、開閉弁3から落下する異物Xを受けるメイン受皿51と、フィルタ4から直接落下する異物Xを受けるサブ受皿52とによって構成されている。メイン受皿51は、ストッパー23の下方に形成されている。本例のメイン受皿51は、一対の第1開口部21同士の間の内側位置に形成されている。本例のサブ受皿52は、内側位置を除く、一対の第1開口部21の外側位置に形成されている。
【0027】
図2に示すように、フィルタ4は、網目状部材41を用いて、複数の山形状42と谷形状43とが交互に並ぶ波形状に形成されている。フィルタ4を波形状に形成することによって、フィルタ4の表面積を増やすことができる。本例の波形状における各山形状42及び各谷形状43を形成する側面は、傾斜状に形成されている。網目状部材41は、各山形状42及び各谷形状43を形成する側面に設けられている。そして、流体Rが通過する多数の通過孔411は、各側面に設けられた網目状部材41によって形成されている。なお、フィルタ4には、網目状部材41を用いる以外にも、多数の通過孔411が形成された種々の部材を用いることができる。
【0028】
次に、本例の弁一体型フィルタ1の動作及び作用効果について説明する。
図5に示すように、乾燥炉6内に搬送されたワーク8を乾燥させる際には、バーナ71の燃焼が行われ、バーナ71の燃焼によって生成された熱風が流体Rとして乾燥炉6へ供給される。このとき、
図1に示すように、流体Rの流通時として、乾燥炉6の入口61に配置された弁一体型フィルタ1の通路部材2に流体Rが流れる。そして、流体Rの圧力によって、開閉弁3が持ち上げられて上方へ回動し、開閉弁3が第1開口部21を開ける。このとき、第1開口部21からフィルタ4に流れる流体Rは、フィルタ4における多数の通過孔411を通過する。そして、流体Rに混入した異物Xは、フィルタ4によって通過孔411を通過することが阻止され、フィルタ4の表面に捕集される。こうして、乾燥炉6内に流体Rが供給される間は、フィルタ4による異物Xの捕集が行われる。
【0029】
次いで、乾燥炉6内のワーク8の乾燥を終了する際には、バーナ71の燃焼及びファン72の動作が停止され、乾燥炉6への流体Rの供給が停止される。このとき、
図3に示すように、流体Rの流通停止時として、弁一体型フィルタ1の通路部材2への流体Rの流れが停止される。そして、開閉弁3がその自重によって下方へ回動し、開閉弁3が第1開口部21を閉じる。このとき、フィルタ4への下方からの流体Rの流れが遮断され、フィルタ4の内部に捕集された異物Xの多くは、開閉弁3へ落下して、開閉弁3によって受け止められる。また、フィルタ4の内部に捕集された異物Xの一部は、異物受皿5のサブ受皿52の上に落下する。
【0030】
次いで、乾燥炉6に別のワーク8が搬送されて、このワーク8の乾燥を行う際には、流体Rの流通時として、乾燥炉6の入口61に配置された弁一体型フィルタ1の通路部材2に再び流体Rが流れる。そして、
図4に示すように、流体Rの圧力によって、開閉弁3が持ち上げられて上方へ回動し、開閉弁3が第1開口部21を再び開ける。このとき、開閉弁3が開く動作に伴って、開閉弁3の上に受け止められた異物Xが、開閉弁3の回動軸部31の側へ集められ、開閉弁3の回動軸部31の付近から異物受皿5のメイン受皿51の上に落下する。こうして、開閉弁3の上に受け止められた異物Xが、メイン受皿51に集められる。
【0031】
その後、流通停止時と流通時とが繰り返されるごとに、フィルタ4の内部に捕集された異物Xが、開閉弁3の動作に伴って異物受皿5のメイン受皿51に集められる。これにより、フィルタ4に捕集される異物Xは、流体Rの流通及び流通の停止が繰り返されるごとに、開閉弁3が第1開口部21を開ける動作を利用して集めることができる。また、異物受皿5のメイン受皿51及びサブ受皿52に集められた異物Xは、定期的なメンテナンスによって除去(回収)することができる。
【0032】
それ故、本例の弁一体型フィルタ1によれば、フィルタ4に捕集された異物Xを極めて簡単に集めることができ、異物Xの回収に伴うメンテナンスの頻度を少なくすることができる。